(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125208
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択されるニトリル化合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 253/00 20060101AFI20240906BHJP
C07C 255/24 20060101ALI20240906BHJP
C07D 215/06 20060101ALI20240906BHJP
C07D 217/04 20060101ALI20240906BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
C07C253/00
C07C255/24
C07D215/06
C07D217/04
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030944
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】P 2023033163
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【弁理士】
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】百合野 大雅
(72)【発明者】
【氏名】高島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】大熊 毅
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC52
4H006AC54
4H006BA03
4H006BA05
4H006BA31
4H006BB18
4H006QN00
4H039CA19
4H039CA70
4H039CL25
(57)【要約】
【課題】 比較的安価な化合物をメチレン源として使用し、爆発性のTBHPなどの酸化剤を使用することなく、更に、触媒の使用量も減らしながら、比較的温和な条件で、α-アミノニトリルを製造する方法を提供する。更に、アミンの代わりに、アルコール、チオール、ホスフィンにも適用可能な方法を提供する。
【解決手段】 アルコール、チオール、アミン及びホスフィンから選択される化合物(1)、ニトロアルカン(2)、及びシアノ化合物(3)を反応させることを含む、ニトリル化合物(4)の製造方法である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記反応式1に示すように、
アルコール、チオール、アミン及びホスフィンから選択される化合物(1)、ニトロアルカン(2)、及びシアノ化合物(3)を反応させることを含む、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択されるニトリル化合物(4)の製造方法。
【化1】
[上記反応式1において、
X
1は、O、S、N-R
12、P-R
12、PO-R
12から選択され、R
1及びR
12は、各々独立して、炭化水素基、複素環式官能基から選択され、ただし、X
1がN-R
12、P-R
12、PO-R
12から選択される場合、R
1とR
12は環を形成していてもよく、R
1及びR
12のいずれか一方は水素原子でもよく、
R
2は、水素原子、または炭化水素基から選択され、
シアノ化合物(3)は、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドから選択される。]
【請求項2】
リチウム塩(5)の存在下、反応させることを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
リチウム塩(5)は、ホウフッ化物塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ハロゲン化物塩、カルボン酸塩、有機スルホン酸塩から選択される少なくとも1種を含む、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
遷移金属化合物(6)の存在下、反応させることを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
遷移金属化合物(6)は、青酸イオン、炭酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲン化物イオン、有機スルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンから選択される少なくとも1種のイオン、及び/又は1,3-ジアルキルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロアルキルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジアリールイミダゾール-2-イリデン、トリアルキルホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリシクロアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、ピリジン、2,2’-ビピリジル、ジベンジリデンアセトン、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも1種の配位子を含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
遷移金属化合物(6)は、3~15属、第4~第6周期に含まれる金属元素から選択される遷移金属カチオンを含む、請求項4に記載の製造方法。
【請求項7】
化合物(1)において、
炭化水素基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールから選択され、複素環式官能基は、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択され、
炭化水素基及び複素環式官能基は、更に上記のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基は、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、アミド基、カルボキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基から選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基(アリール及びヘテロアリールを除く)に、エステル、エーテル、カルボニル、アミド、アゾから選択される1種が挿入されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基が置換基で置換されている場合、その置換基と炭化水素基との間に、及びその置換基と複素環式官能基との間に、エーテル、エステル、カルボニル、アミド、アゾが挿入されていてよく、
化合物(3)において、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドは、シリルシアニド、アルミノシアニド、アルカリ金属シアニド、アルカリ土類金属シアニド及びアンモニウムシアニドから選択される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
化合物(1)のR1は、更に、
式(1-2):H-X12-
で置換されていてよく、
化合物(1)は、
式(1)’: H-X12-R1-X1-H
で示されてよく、
X1及びR1は、(1)で記載した通りであり、
X12は、O、S、N-R14、P-R14、PO-R14から選択され、
R14は、独立して、水素原子、炭化水素基、複素環式官能基から選択され、ただし、X12がN-R14、及びP-R14、PO-R14から選択される場合、R1とR14は環を形成していてもよい、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
化合物(1)において、
炭化水素基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールから選択され、複素環式官能基は、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択され、
炭化水素基及び複素環式官能基は、更に上記のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基は、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、アミド基、カルボキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基から選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基(アリール及びヘテロアリールを除く)に、エステル、エーテル、カルボニル、アミド、アゾから選択される1種が挿入されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基が置換基で置換されている場合、その置換基と炭化水素基との間に、及びその置換基と複素環式官能基との間に、エーテル、エステル、カルボニル、アミド、アゾが挿入されていてよく、
化合物(3)において、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドは、シリルシアニド、アルミノシアニド、アルカリ金属シアニド、アルカリ土類金属シアニド及びアンモニウムシアニドから選択される、請求項8に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール、チオール、アミン及びホスフィンから選択される化合物、ニトロアルカン、及びシアノ化合物を反応させることを含む、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択されるニトリル化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択されるニトリル化合物は、合成中間体として、重要である。
例えば、α-アミノニトリルは、α-アミノエステル、1,2-ジアミン、α-アミノアルデヒド、α-アミノケトンなどに誘導され得る。α-アミノニトリルの製造方法として、いくつかの方法が報告されている。
【0003】
α-アミノニトリルの製造方法として、アミンに対するシアノアルキル化反応が知られている。非特許文献1は、α-シアノ酢酸から反応系中で形成されるα-ヨードアセトニトリルと第二級アミンとの反応を報告する。α-ヨードアセトニトリルが、メチレン源である。しかし、非特許文献1の反応には、爆発性のt-ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)を反応剤として必要とし、ヨージド(I-)を化学量論の廃棄物として生じるという問題がある。
【0004】
非特許文献2は、鉄触媒を用いて、メタノールをメチレン源とする反応を報告する。非特許文献3は、銅触媒を用いて、DMFをメチレン源とする反応を報告する。しかし、両方共、多量の触媒(10mol%)を必要とするという問題がある。更に、非特許文献2は、爆発性のTBHPを必要とすること、非特許文献3は、高価なN-フルオロベンゼンスルホンイミド(NFSI)を必要とすることなどの問題がある。
【0005】
尚、アルコール、チオール、ホスフィンなどにも利用可能なシアノアルキル化反応は、報告されていない。工業的に利用可能な製造方法が要求されており、そのような方法は、工業的にも化学的にも興味深い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chem. Eur. J. 2015, 21, 18333
【非特許文献2】Chem. Commun. 2016, 52, 2776
【非特許文献3】Chem. Commun. 2018, 54, 2854
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、比較的安価な化合物をメチレン源として使用し、爆発性のTBHPなどの酸化剤を使用することなく、更に、触媒の使用量も減らしながら、比較的温和な条件で、アミンのシアノアルキル化反応を行って、α-アミノニトリルを製造する方法を提供することを目的とする。
更に、好ましくは、アミンの代わりに、アルコール、チオール、ホスフィンにも適用可能であり、同様に、シアノアルキル化反応を行って、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-ホスファニルニトリルを製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、メチレン源として、比較的安価なニトロアルカンを利用し、典型元素シアニド等の特定のシアノ化合物を反応させることで、比較的温和な条件で、爆発性の酸化剤を使用することなく、α-アミノニトリルを得られることを見出した。更に、そのようなシアノアルキル化反応は、出発原料の適用可能性が広いことを見出して、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本明細書は、下記の実施形態を含む。
1.下記反応式1に示すように、
アルコール、チオール、アミン及びホスフィンから選択される化合物(1)、ニトロアルカン(2)、及びシアノ化合物(3)を反応させることを含む、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択されるニトリル化合物(4)の製造方法。
【化1】
[上記反応式1において、
X
1は、O、S、N-R
12、P-R
12、PO-R
12から選択され、R
1及びR
12は、各々独立して、炭化水素基、複素環式官能基から選択され、ただし、X
1がN-R
12、P-R
12、PO-R
12から選択される場合、R
1とR
12は環を形成していてもよく、R
1及びR
12のいずれか一方は水素原子でもよく、
R
2は、水素原子、または炭化水素基から選択され、
シアノ化合物(3)は、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドから選択される。]
2.リチウム塩(5)の存在下、反応させることを含む、上記1に記載の製造方法。
3.リチウム塩(5)は、ホウフッ化物塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ハロゲン化物塩、カルボン酸塩、有機スルホン酸塩から選択される少なくとも1種を含む、上記2に記載の製造方法。
4.遷移金属化合物(6)の存在下、反応させることを含む、上記1から3のいずれか1つに記載の製造方法。
5.遷移金属化合物(6)は、青酸イオン、炭酸イオン、カルボン酸イオン、ハロゲン化物イオン、有機スルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、から選択される少なくとも1種のイオン、及び/又は1,3-ジアルキルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロアルキルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジアリールイミダゾール-2-イリデン、トリアルキルホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリシクロアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、ピリジン、2,2’-ビピリジル、ジベンジリデンアセトン、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも1種の配位子を含む、上記4に記載の製造方法。
6.遷移金属化合物(6)は、3~15属、第4~第6周期に含まれる金属元素から選択される遷移金属カチオンを含む、上記4又は5に記載の製造方法。
7.化合物(1)において、
炭化水素基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールから選択され、複素環式官能基は、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択され、
炭化水素基及び複素環式官能基は、更に上記のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基は、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、アミド基、カルボキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基から選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基(アリール及びヘテロアリールを除く)に、エステル、エーテル、カルボニル、アミド、アゾから選択される1種が挿入されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基が置換基で置換されている場合、その置換基と炭化水素基との間に、及びその置換基と複素環式官能基との間に、エーテル、エステル、カルボニル、アミド、アゾが挿入されていてよく、
化合物(3)において、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドは、シリルシアニド、アルミノシアニド、アルカリ金属シアニド、アルカリ土類金属シアニド及びアンモニウムシアニドから選択される、上記1から6のいずれか1つに記載の製造方法。
8.化合物(1)のR
1は、更に、
式(1-2):H-X
12-
で置換されていてよく、
化合物(1)は、
式(1)’: H-X
12-R
1-X
1-H
で示されてよく、
X
1及びR
1は、(1)で記載した通りであり、
X
12は、O、S、N-R
14、P-R
14、PO-R
14から選択され、
R
14は、独立して、水素原子、炭化水素基、複素環式官能基から選択され、ただし、X
12がN-R
14、及びP-R
14、PO-R
14から選択される場合、R
1とR
14は環を形成していてもよい、上記1から7のいずれか1つに記載の製造方法。
9.化合物(1)において、
炭化水素基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールから選択され、複素環式官能基は、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択され、
炭化水素基及び複素環式官能基は、更に上記のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールから選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基は、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、アミド基、カルボキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基から選択される少なくとも1種で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基(アリール及びヘテロアリールを除く)に、エステル、エーテル、カルボニル、アミド、アゾから選択される1種が挿入されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基が置換基で置換されている場合、その置換基と炭化水素基との間に、及びその置換基と複素環式官能基との間に、エーテル、エステル、カルボニル、アミド、アゾが挿入されていてよく、
化合物(3)において、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドは、シリルシアニド、アルミノシアニド、アルカリ金属シアニド、アルカリ土類金属シアニド及びアンモニウムシアニドから選択される、上記8に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態の製造方法は、比較的安価な化合物をメチレン源として使用し、爆発性のTBHPなどの酸化剤を使用することなく、更に、触媒の使用量も減らしながら、比較的温和な条件で、アミンのシアノアルキル化反応を行って、α-アミノニトリルを製造することができる。
更に、好ましくは、本発明の実施形態の製造方法は、アミンの代わりに、アルコール、チオール、ホスフィンにも適用可能であり、同様に、シアノアルキル化反応を行って、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-ホスファニルニトリルを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、アルコール、チオール、アミン及びホスフィンから選択される化合物(1)、ニトロアルカン(2)、及びシアノ化合物(3)を反応させることを含む、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択されるニトリル化合物(4)の製造方法を、反応式1で示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、一の要旨において、下記反応式1に示すように、
アルコール、チオール、アミン及びホスフィンから選択される化合物(1)、ニトロアルカン(2)、及びシアノ化合物(3)を反応させることを含む、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択されるニトリル化合物(4)の製造方法を提供する。
【化2】
[上記反応式1において、
X
1は、O、S、N-R
12、P-R
12、PO-R
12から選択され、R
1及びR
12は、各々独立して、炭化水素基、複素環式官能基から選択され、ただし、X
1がN-R
12、及びP-R
12から選択される場合、R
1とR
12は環を形成していてもよく、R
1及びR
12のいずれか一方は水素原子でもよく、
R
2は、水素原子、または炭化水素基から選択され、
シアノ化合物(3)は、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドから選択される。]
【0013】
本発明の実施形態において、化合物(1)は、
式(1):R1-X1-H
で示される。
X1は、O、S、N-R12、P-R12、PO-R12から選択される。
R1及びR12は、各々独立して、炭化水素基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールなど)、複素環式官能基、(例えば、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリール)から選択される。
ただし、X1がN-R12、P-R12、PO-R12から選択される場合、R1とR12は環を形成していてもよく、R1及びR12のいずれか一方は水素原子でもよい。
【0014】
本明細書において炭化水素基は、本発明が目的とするニトリル化合物(4)を得ることができる限り特に制限されることはないが、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールを例示することができる。
アルキルの炭素原子数は、例えば、1~30、1~24、1~18、1~12、1~8であってよく、アルケニルの炭素原子数は、例えば、2~30、2~24、2~18、2~12、2~8であってよく、アルキニルの炭素原子数は、例えば、2~30、2~24、2~18、2~12、2~8であってよく、シクロアルキルの炭素原子数は、例えば、3~30、3~24、3~18、3~12、3~8であってよく、シクロアルケニルの炭素原子数は、例えば、3~30、3~24、3~18、3~12、3~8であってよく、アリールの炭素原子数は、例えば、5~30、5~24、5~18、5~12、5~18であってよい。
【0015】
アルキルとして、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ジメチルヘキシル、オクチル、デシル等を例示できる。
アルケニルとして、例えば、エテニル、プロぺニル、イソプロぺニル、ブテニル、イソブテニル、t-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル等を例示できる。
アルキニルとして、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニル、デシニル等を例示できる。
シクロアルキルとして、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロデシル等を例示することができる。
シクロアルケニルとして、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロへプテニル、シクロデセニル等を例示することができる。
アリールとして、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ビフェニル等を例示することができる。
【0016】
本明細書において複素環式官能基は、本発明が目的とするニトリル化合物(4)を得ることができる限り特に制限されることはないが、例えば、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールを例示することができる。
ヘテロシクロアルキルの炭素原子数は、例えば、3~30、3~24、3~18、3~12、3~8であってよく、ヘテロシクロアルケニルの炭素原子数は、例えば、3~30、3~24、3~18、3~12、3~8であってよく、ヘテロアリールの炭素原子数は、例えば、4~30、4~24、4~18、4~12、4~18であってよい。
複素環式官能基は、N-Hを有さない。
【0017】
ヘテロシクロアルキルとして、例えば、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチオピラニルなどの含硫黄ヘテロシクロアルキル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニルなどの含酸素ヘテロシクロアルキル、N-メチルピロリジニル、N-メチルピペリジニルなどの含窒素ヘテロシクロアルキル、N-メチルモルホリニル、N-メチルチオモルホリニルなどの二種以上のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキルを例示することができる。ただし、含窒素ヘテロシクロアルキルの窒素原子は、水素原子を有さない(N-H結合を有さない)。
ヘテロシクロアルケニルとして、ジヒドロチエニル、チオピラニルなどの含硫黄ヘテロシクロアルケニル、ジヒドロフリル、ジヒドロピラニルなどの含酸素ヘテロシクロアルケニル、N-メチルテトラヒドロピリジル、ジヒドロイソキノリルなどの含窒素ヘテロシクロアルケニル、チアゾリニル、N-メチルジヒドロチアジニルなどの二種以上のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルケニルを例示することができる。
ヘテロアリールとして、例えば、含硫黄ヘテロアリール、含酸素ヘテロアリール、含窒素ヘテロアリール及び二種以上のヘテロ原子を含むヘテロアリール等のヘテロアリールを例示することができる。
【0018】
含硫黄ヘテロアリールとして、例えば、チオフェン基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、フェニルジベンゾチオフェン基を例示でき、含酸素ヘテロアリールとして、例えば、フラン基、ベンゾフラン基、ジベンゾフラン基、フェニルジベンゾフラン基を例示でき、含窒素ヘテロアリールとして、例えば、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、キノリン基、イソキノリン基、カルバゾール基、9-フェニルカルバゾール基、アクリジン基、キナゾリン基、キノキサリン基、1,6-ナフチリジン基、1,8-ナフチリジン基及びポルフィリン基を例示でき、二種以上のヘテロ原子(例えば、窒素と硫黄)を含むヘテロアリールとして、例えば、ベンゾチアゾール基を例示できる。
【0019】
炭化水素基及び複素環式官能基は、更に上記の炭化水素基及び/又は複素環式官能基有機基(好ましくは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール)で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基は、ハロゲン、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、カルボニル基、エステル基、アミド基、カルボキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基(好ましくは、ハロゲン)で置換されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基(ヘテロアリールを除く)に、エーテル、エステル、カルボニル、アミド、アゾ(好ましくは、エーテル、エステル、カルボニル、アミド)が挿入されていてよく、
炭化水素基及び複素環式官能基が置換基で置換されている場合、その置換基と炭化水素基との間に、及びその置換基と複素環式官能基との間に、エーテル、エステル、カルボニル、アミド、アゾ(好ましくは、エーテル、エステル、カルボニル、アミド)が挿入されていてよい。例えば、置換基は、アルコキシ、アリールオキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルなどを意味する。
ただし、X1がN-R12、P-R12、PO-R12から選択される場合、R1とR12は環を形成していてもよく、R1及びR12のいずれか一方は水素原子でもよい。
【0020】
炭化水素基及び複素環式官能基が置換されていてよい、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルチオ基に含まれるアルキル基は、いずれも、上述のアルキルを参照することができ、アルキル基の炭素原子数は、例えば、1~30、1~24、1~18、1~12、1~8であってよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ジメチルへキシル、オクチル、デシル等を例示できる。
【0021】
本発明の実施形態において、上述の化合物(1)のR1は、更に、
式(1-2):H-X12-
で置換されていてよく、
従って、(1)は、
式(1)’ H-X12-R1-X1-H
で示される。
X1及びR1は、(1)で記載した通りである。
X12は、O、S、N-R14、P-R14、PO-R14から選択され、
R14は、独立して、水素原子、炭化水素基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールなど)、複素環式官能基(例えば、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリール)から選択され、ただし、X12がN-R14、及びP-R14、PO-R14から選択される場合、R1とR14は環を形成していてもよい。
【0022】
上記(1-2)のX12、R14について、上記(1)のX1、R12に関する記載を参照することができる。より具体的には、上記(1-2)のX12、R14に関する記載(例えば、炭化水素基、複素環式官能基など)の内容は、上記(1)のX1、R12に関する記載の内容と同一であってよい。
【0023】
本発明の実施形態において、化合物(2)は、
式(2):R2-CH2-NO2
で示される。
R2は、水素原子、または炭化水素基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリールなど)から選択され、本発明が目的とするニトリル化合物(4)が得られる限り、特に制限されることはない。
【0024】
ここで、アルキルの炭素原子数は、例えば、1~30、1~24、1~18、1~12、1~8であってよく、アルケニルの炭素原子数は、例えば、2~30、2~24、2~18、2~12、2~8であってよく、アルキニルの炭素原子数は、例えば、2~30、2~24、2~18、2~12、2~8であってよく、シクロアルキルの炭素原子数は、例えば、3~30、3~24、3~18、3~12、3~8であってよく、シクロアルケニルの炭素原子数は、例えば、3~30、3~24、3~18、3~12、3~8であってよく、アリールの炭素原子数は、例えば、5~30、5~24、5~18、5~12、5~18であってよい。
【0025】
アルキルとして、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ジメチルヘキシル、オクチル、
デシル等を例示できる。
アルケニルとして、例えば、エテニル、プロぺニル、イソプロぺニル、ブテニル、イソブテニル、t-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、オクテニル、デセニル等を例示できる。
アルキニルとして、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、オクチニル、デシニル等を例示できる。
【0026】
シクロアルキルとして、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロデシル等を例示することができる。
シクロアルケニルとして、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、メチルシクロへプテニル、シクロへプテニル、シクロデセニル等を例示することができる。
アリールとして、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ビフェニル等を例示することができる。
炭化水素基は、上述の化合物(1)のR1の炭化水素基に関する記載を参照することができ、化合物(1)のR1の炭化水素基が有し得る置換基を有しても良い。
炭化水素基として、メチル、エチル、プロピルが好ましい。
【0027】
本発明の実施形態において、シアノ化合物(3)は、
式(3):R3CN
で示され、典型元素シアニド及びアンモニウムシアニドから選択され、本発明が目的とするニトリル化合物(4)を得ることができる限り特に制限されることはない。
本明細書において、典型元素シアニドとは、典型元素がシアノ基と結合する化合物であって、アルカリ金属シアニド(例えば、リチウムシアニド、ナトリウムシアニド、カリウムシアニドなど)、アルカリ土類金属シアニド(例えば、マグネシウムシアニド、カルシウムシアニド、バリウムシアニドなど)、アルミノシアニド、シリルシアニド、チタノシアニド、亜鉛シアニドなどをいう。
【0028】
典型元素シアニドとして、リチウムシアニド、ナトリウムシアニド、アルミノシアニド、シリルシアニドが好ましい。
シリルシアニドとして、3つの炭化水素基(例えば、(1)で記載したアルキル、アリールなど)を有するシリルシアニドが好ましく、例えば、トリアルキルシリルシアニド(例えば、トリメチルシリルシアニド、トリエチルシリルシアニド、トリt-ブチルシリルシアニド)、アルキルアリールシリルシアニド(フェニルジメチルシリルシアニドなど)を例示することができる。
【0029】
本明細書において、アンモニウムシアニドとは、アンモニウム基がシアノ基と結合する化合物であって、アンモニウム基は、4級アンモニウム基から選択され、本発明が目的とするニトリル化合物(4)を得ることができる限り特に制限されることはない。
アンモニウムシアニドとして、4つの炭化水素基(例えば、(1)で記載したアルキル、アリールなど)を有するアンモニウムシアニドが好ましく、例えば、テトラアルキルアンモニウムシアニド(例えば、テトラメチルアンモニウムシアニド、テトラエチルアンモニウムシアニド、テトラt-ブチルアンモニウムシアニド)、アルキルアリールアンモニウムシアニド(フェニルトリメチルアンモニウムシアニドなど)を例示することができる。
【0030】
本発明の実施形態の製造方法は、更に、リチウム塩(5)の存在下、反応させることを含むことが好ましい。
本発明の実施形態の製造方法は、リチウム塩(5)の存在下、反応させることを含む場合、反応がより速やかに進行し、収率が向上し得るという、有利な効果を奏し得る。
本発明の実施形態において、リチウム塩(5)は、リチウム金属イオンを含む塩であって、本発明が目的とするニトリル化合物(4)を得ることができる限り特に制限されることはない。
リチウム塩(5)として、例えば、ホウフッ化物塩(BF4
-)、ヘキサフルオロリン酸塩(PF6
-)、塩化物塩(Cl-)、臭化物塩(Br-)、酢酸塩(CH3CO2
-)、トリフルオロメタンスルホン酸塩(CF3SO3
-)、などの各種酸に由来するアニオンとのリチウム塩を例示することができる。
尚、本明細書では、リチウムとシアノ基を含む化合物、例えば、リチウムシアニド(LiCN)は、シアノ化合物(3)に該当し、リチウム塩(5)に該当しない。
【0031】
本発明の実施形態の製造方法は、更に、遷移金属化合物(6)の存在下、反応させることを含むことが好ましい。
本発明の実施形態の製造方法は、遷移金属化合物(6)の存在下、反応させることを含む場合、反応がより速やかに進行し、収率が向上し得るという、有利な効果を奏し得る。
本発明の実施形態において、遷移金属化合物(6)は、遷移金属を含む化合物であって、本発明が目的とするニトリル化合物(4)を得ることができる限り特に制限されることはない。
【0032】
遷移金属は、3~15属、第4~第6周期に含まれる金属元素から選択される遷移金属カチオンを含むことが好ましい、遷移金属として、例えば、Ni、Pd、Cu、Ag、Fe、Co、Ru、Rh、Ir、Pt、Auが好ましい。
遷移金属化合物(6)は、例えば、青酸イオン(CN-)、炭酸イオン(CO3
2-)、酢酸イオン(CH3COO-)、トリフルオロメタンスルホン酸イオン(CF3SO3
-)、ホウフッ化物イオン(BF4
-)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6
-)、塩化物イオン(Cl-)、臭化物イオン(Br-)などの各種酸に由来するアニオンとの遷移金属との塩を例示することができる。
また、遷移金属化合物(6)は、例えば、1,3-ジアルキルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロアルキルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジアリールイミダゾール-2-イリデン、トリアルキルホスフィン、トリシクロアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスファイト、トリシクロアルキルホスファイト、トリアリールホスファイト、ピリジン、2,2’-ビピリジル、ジベンジリデンアセトン、ジメチルスルホキシドなどを配位子として有する化合物を例示することができる。
遷移金属化合物(6)は、上述のアニオン及び配位子から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0033】
遷移金属化合物(6)が有し得る配位子に含まれる、アルキル、シクロアルキル、アリールは、本発明が目的とする化合物(4)を得ることができる限り、特に制限されることはないが、アルキルの炭素原子数は、例えば、1~30、1~24、1~18、1~12、1~8であってよく、シクロアルキルの炭素原子数は、例えば、3~30、3~24、3~18、3~12、3~8であってよく、アリールの炭素原子数は、例えば、5~30、5~24、5~18、5~12、5~18であってよい。
【0034】
遷移金属化合物(6)が有し得る配位子に含まれるアルキルとして、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ジメチルヘキシル、オクチル、デシル等を例示できる。
遷移金属化合物(6)が有し得る配位子に含まれるシクロアルキルとして、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロデシル、アダマンチル等を例示することができる。尚、シクロアルキルは、ビシクロアルキル、トリシクロアルキルを含む。
遷移金属化合物(6)が有し得る配位子に含まれるアリールとして、例えば、フェニル、トリル、キシリル、エチルフェニル、ジイソプロピルフェニル、メシチル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ビフェニル等を例示することができる。
これらのアルキル、シクロアルキル、アリールは、更に、アルキル、シクロアルキル、アリールを置換基として有することができる。
遷移金属化合物(6)が有し得る配位子として、具体的には、1,3-ビス(ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジ-t-ブチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジアダマンチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジシクロヘキシルイミダゾール-2-イリデン、トリフェニルホスフィン、トリt-ブチルホスフィン、トリフェニルホスファイト、ピリジン、2,2’-ビピリジル、ジベンジリデンアセトン、ジメチルスルホキシドなどを例示することができる。
【0035】
本発明の実施形態において、反応は、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)及び必要であれば、リチウム塩(5)及び/又は遷移金属化合物(6)を混合しながら、適宜、温度を調節して、行うことができる、混合方法、混合装置、混合温度、混合時間などの反応条件は、本発明が目的とする反応を行うことができれば特に制限されることはなく、適宜選択することができる。
【0036】
反応時間は、反応が進行すれば特に制限されることはなく、反応の進行を観察しながら適宜調整することができる。例えば、1分から300時間であってよく、30分から150時間であってよく、1時間から100時間であってよい。
【0037】
反応温度は、反応が進行すれば特に制限されることはなく、例えば、室温であってよく、適宜加熱又は冷却して調節することができる。反応温度は、例えば、-20~200℃であってよく、0~150℃であってよく、10~100℃であってよい。
【0038】
化合物(1)と化合物(2)との当量比(化合物(1)/化合物(2))(モル比)は、反応が進行すれば特に制限されることはなく適宜選択することができる。一般的には、化合物(2)を溶媒として使用すると、便利なので、化合物(2)を、化合物(1)より、過剰に使用することが多いと思われる。この場合、化合物(2)は、大過剰となる。化合物(1)と化合物(2)の経済的価値を比較して、経済的価値の低い方を過剰にすることが一般的と考えられる。化合物(1)と化合物(2)との当量比(化合物(1)/化合物(2))(モル比)は、例えば、1/10000~1000/1であってよく、1/5000~100/1であってよく、1/1000~10/1であってよい。
【0039】
化合物(1)と化合物(3)との当量比(化合物(1)/化合物(3))(モル比)は、反応が進行すれば特に制限されることはなく適宜選択することができる。一般的には、化合物(1)と化合物(3)の経済的価値を比較して、経済的価値の低い方を過剰にすることが一般的と考えられる。化合物(1)と化合物(3)との当量比(化合物(1)/化合物(3))(モル比)は、例えば、1/10000~1000/1であってよく、1/5000~100/1であってよく、1/1000~10/1であってよい。
【0040】
化合物(1)とリチウム塩(5)との当量比(化合物(1)/リチウム塩(5))(モル比)は、反応が進行すれば特に制限されることはなく適宜選択することができる。一般的には、リチウム塩(5)は、必要に応じて、本反応の触媒として使用されるので、リチウム塩(5)は、反応触媒量程度で使用される。化合物(1)とリチウム塩(5)との当量比(化合物(1)/リチウム塩(5))(モル比)は、例えば、1/1000~1000/1であってよく、1/100~100/1であってよく、1/10~10/1であってよい。
【0041】
化合物(1)と遷移金属化合物(6)との当量比(化合物(1)/遷移金属化合物(6))(モル比)は、反応が進行すれば特に制限されることはなく適宜選択することができる。一般的には、遷移金属化合物(6)は、必要に応じて、本反応の触媒として使用されるので、遷移金属化合物(6)は、反応触媒量程度で使用される。化合物(1)と遷移金属化合物(6)との当量比(化合物(1)/遷移金属化合物(6))(モル比)は、例えば、1/10~10000/1であってよく、1/5~5000/1であってよく、1/2~2000/1であってよい。
【0042】
本発明の実施形態において、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)が反応して、ニトリル化合物(4)を得ることができる。化合物(2)のニトロ基が結合する炭素原子と化合物(1)のX1との間に結合が形成され、化合物(2)のニトロ基が結合する炭素原子と化合物(3)のシアノ基との間に結合が形成され、化合物(2)のニトロ基が脱離して、ニトリル化合物(4)が形成される。
【0043】
本発明の実施形態において、ニトリル化合物(4)(α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-アミノニトリル及びα-ホスファニルニトリルから選択される)は、
式(4):R1-X1-CH(R2)-CN
で、示される。
上記(4)中、R1、X1は、上記(1)で記載した、R1、X1を参照することができる。より具体的には、上記(4)のX1、R1に関する記載の内容は、上記(1)で記載したX1、R1に関する記載の内容と同一である。
上記(4)中、R2は、上記(2)で記載した、R2を参照することができる。より具体的には、上記(4)のR2に関する記載の内容は、上記(2)で記載したR2に関する記載の内容と同一である。
【0044】
本発明の実施形態において、上述の(1)のR1が、更に、
式(1-2):H-X12-
で置換されていてよい。
(1)のR1が、(1-2)で置換されている場合、目的とするニトリル化合物(4)は、
式(4)’:NC-CH(R22)-X12-R1-X1-CH(R2)-CN
で示される。
上記(4)’中、R1、X1、X12は、上記(1)で記載した、R1、X1を参照することができる。より具体的には、上記(4)のX1、R1に関する記載の内容は、上記(1)で記載したX1、R1に関する記載の内容と同一であるが、R1は、更に水素原子が除去された2価の基になっている。
上記(4)’中、R2及びR22は、上記(2)で記載した、R2を参照することができる。より具体的には、上記(4)のR2及びR22に関する記載の内容は、上記(2)で記載したR2に関する記載の内容と同一である。
【0045】
本発明の実施形態において、化合物(1)は、上述の(1)のR1が、更に(1-2)で置換されている場合のように、O-H、S-H、N-H、P-Hを含む構造を、2以上含むことができる。
化合物(1)は、そのような構造を2以上含む場合、2以上の化合物(2)及び化合物(3)と反応できるので、本発明の実施形態では、更に種々のニトリル化合物を製造することが可能である。
【0046】
本発明の実施形態において、化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)の反応は、回分式(バッチ式)で及び/又は連続式で行うことができる。回分式の反応方法及び連続式の反応方法は、一般的に公知の方法を利用することができ、適宜、反応条件を修正して反応を行うことができる。
【0047】
回分式とは、原料の投入、反応、生成物の回収の工程が順番にひとつずつ行われ、それらをセットとして回数として数えられる反応方法である。連続式とは、原料の投入、反応、生成物の回収を全て同時に行い、操作に途切れ目のない反応方法である。反応器として、通常使用されている反応器を使用することができる。例えば、(回分)槽型反応器、(連続)槽型反応器、(連続)管型反応器などを例示することができる。
例えば、槽(タンク、フラスコ、容器)の外側及び/又は内部に光源を設置して光を照射する方法、管の外側及び/又は内側に光源を設置して光を照射する方法などを例示することができる。
【実施例0048】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準としている。
【0049】
本実施例で使用した分析装置及び化合物等を以下に示す。
NMRスペクトルは、JEOL ECX-400IIを用いて記録した。1HNMRは400MHzで操作した。1HNMRの化学シフト値はMe4Si及び溶媒を各々参照した。化学シフトはδppmで記録した。
特に記載しない限り、出発原料(化合物)は、市販品又は一般的な手順に基づいて製造した。
【0050】
実施例1
20mLシュレンク管内で反応を行った。Ar雰囲気下、MeNO2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、60℃に加熱した。Me3SiCN(3a)(246mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(1a)(54.4mg)を加え、20時間60℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO3水溶液を加え反応を停止した。CH2Cl2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、29%収率で生成物(4a)を得た(1H NMR収率)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.32 (app. t, J = 9.2 Hz, 2H, Ar-H), 6.92 (dt, J = 0.8, 7.6 Hz, 1H, Ar-H), 6.88 (app. d, 8.8 Hz, 2H, Ar-H), 4.18 (s, 2H, CH2CN), 3.01 (s, 3H, NCH3) ppm.
【0051】
【0052】
実施例2
20mLシュレンク管内で反応を行った。LiBF4(5a)(46.7mg)を加え、管内をAr雰囲気とした。MeNO2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、40℃に加熱した。Me3SiCN(3a)(248mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(1a)(53.6mg)を加え2時間40℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO3水溶液を加え反応を停止した。CH2Cl2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、68%収率で生成物(4a)を得た(1H NMR収率)。
【0053】
【0054】
実施例3
20mLシュレンク管内で反応を行った。AgCN(6a)(1.4mg)とLiBF4(5a)(46.5mg)を加え、管内をAr雰囲気とした。MeNO2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、40℃に加熱した。Me3SiCN(3a)(247mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(53.4mg)を加え2時間40℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO3水溶液を加え反応を停止した。CH2Cl2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、81%収率で生成物(4a)を得た(1H NMR収率)。
【0055】
【0056】
実施例4
20mLシュレンク管内で反応を行った。AgCN(6a)(1.3mg)を加え、管内をAr雰囲気とした。MeNO2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、60℃に加熱した。Me3SiCN(2a)(247mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(53.5mg)(1a)を加え20時間60℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO3水溶液を加え反応を停止した。CH2Cl2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、55%収率で生成物(4a)を得た(1H NMR収率)。
【0057】
実施例5
20mLシュレンク管内で反応を行った。PdCN2(6b)(1.6mg)を加え、管内をAr雰囲気とした。MeNO2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、40℃に加熱した。Me3SiCN(2a)(99.0mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(1a)(53.5mg)を加え2時間40℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO3水溶液を加え反応を停止した。CH2Cl2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、36%収率で生成物(4a)を得た(1H NMR収率)。
【0058】
実施例6
20mLシュレンク管内で反応を行った。Ag2CO3(6c)(1.4 mg)とLiBF4(5a)(46.7mg)を加え、管内をAr雰囲気とした。MeNO2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、40℃に加熱した。Me3SiCN(3a)(247mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(1a)(53.5mg)を加え2時間40℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO3水溶液を加え反応を停止した。CH2Cl2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、79%収率で生成物(4a)を得た(1H NMR収率)。
【0059】
実施例7
20mLシュレンク管内で反応を行った。Ag
2CO
3(6c)(1.4 mg)とクロロ[1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン]Cl(6d)(5.4mg)とLiBF
4(5a)(46.6mg)を加え、管内をAr雰囲気とした。MeNO
2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、40℃に加熱した。Me
3SiCN(3a)(248mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(1a)(53.4mg)を加え2時間40℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO
3水溶液を加え反応を停止した。CH
2Cl
2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、74%収率で生成物(4a)を得た(
1H NMR収率)。
【化6】
【0060】
実施例8
20mLシュレンク管内で反応を行った。AgCN(1.4mg)、トリフェニルホスフィン(2.5mg)とLiBF4(5a)(47.0mg)を加え、管内をAr雰囲気とした。MeNO2(2a)を5.0mL加え、凍結脱気をおこなった。解凍後、40℃に加熱した。Me3SiCN(3a)(249mg)を加え10分間攪拌したのち、N-メチルアニリン(1a)(53.7mg)を加え2時間40℃で反応を行った。得られた混合物に対し飽和NaHCO3水溶液を加え反応を停止した。CH2Cl2(10mL)で3回抽出を行ったのち、得られた有機層を飽和NaCl水溶液により洗浄した。得られた混合物の減圧下濃縮を行い、80%収率で生成物(4a)を得た(1H NMR収率)。
【0061】
実施例9~11
LiBF4(5a)(46.5mg)の代わりに、LiCl(5b)(6.3mg)、LiOTf(5c)(23.0mg)、LiBF4(5a)(14.1mg)を用い、2時間40℃で反応を行った代わりに、20時間60℃で反応を行ったことを除いて、実施例3に記載と同様の方法を使用して、実施例9~11の反応を行って、各々、69%収率、71%収率、73%収率で、実施例9~11の生成物(4a)を得た。
【0062】
実施例12
Me3SiCN(3a)(247mg)の代わりに、tBuMe2SiCN(3b)(353mg)を用いたことを除いて、実施例3に記載と同様の方法を使用して、実施例12の反応を行って、27%収率で、実施例12の生成物(4a)を得た。
【0063】
実施例13~14
MeNO2(2a)(5.0mL)の代わりに、CD3NO2(2b)(5.0mL)、PrNO2(2c)(5.0mL)を用いたことを除いて、実施例3に記載と同様の方法を使用して、実施例13~14の反応を行って、各々、16%収率、57%収率で、実施例13~14の生成物(4a)を得た。
実施例13:1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.32-6.88 (m, 5H), 3.01 (s, 3H, NCH3) ppm.
実施例14:1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.33-7.27 (m, 2H, Ar-H), 6.95-6.92 (m, 3H, Ar-H), 4.38 (t, J = 7.8 Hz, 1H, CHCN), 2.90 (s, 3H, NCH3), 2.05-1.88 (m, 2H, CH2), 1.11 (t, J = 7.4 Hz, 3H, CH2CH3) ppm.
【0064】
実施例21~32
N-メチルアニリン(53.4mg)の代わりに、N-メチル-m-メチルアニリン(61.1mg)、N-メチル-p-メチルアニリン(60.5mg)、N-メチル-p-ブロモアニリン(93.5mg)、N-エチルアニリン(61.0mg)、N-イソプロピルアニリン(68.1mg)、N-メチル-t-ブチルアニリン(75.6mg)、N-イソプロピル-p-フルオロアニリン(77.1mg)、N-イソプロピル-p-メトキシアニリン(83.1mg)、N-イソプロピル-p-トリフルオロメトキシアニリン(110mg)、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン(67.0mg)、N,N-ジベンジルアミン(98.8mg)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン(67.0mg)を用いたことを除いて、実施例3に記載と同様の方法を使用して、実施例21~32の反応を行って、各々、実施例21~32の生成物を得た。結果は、まとめて、下記の表に示した。尚、実施例25、26、28の反応時間は3時間であり、実施例27の反応時間は4時間であり、実施例32の反応時間は18時間であり、実施例23、29、30の反応時間は24時間であった。
【0065】
実施例21:収量59.7 mg, 74%収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.22-7.17 (m, 1H, Ar-H), 6.74 (d, J = 7.6 Hz,1H, Ar-H), 6.68-6.67 (m, 2H, Ar-H), 4.15 (s, 2H, CH2), 2.98 (s, 3H, NCH3), 2.34 (s, 3H, Ar-CH3) ppm.
実施例22:収量47.7 mg, 60%収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.13 (d, J = 8.4 Hz, 2H, Ar-H), 6.80 (d, J = 8.8 Hz, 2H, Ar-H), 4.14(s, 2H, CH2), 2.97 (s, 3H, NCH3), 2.29 (s, 3H, Ar-CH3) ppm.
実施例23:収量83.9 mg, 74% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.40 (d, J = 9.2 Hz, 2H, Ar-H), 6.74 (d, J = 9.2 Hz, 2H, Ar-H), 4.16 (s, 2H, CH2), 3.00 (s, 3H, NCH3) ppm.
実施例24:収量65.1 mg, 81%収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.33-7.29 (m, 2H, Ar-H), 6.92-6.86 (m, 3H, Ar-H), 4.16 (s, 2H, CH2CN), 3.45 (q, J = 7.1 Hz, 2H, CH2CH3), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 3H, CH3) ppm.
【0066】
実施例25:収量74.0 mg, 84% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.33-7.29 (m, 2H, Ar-H), 6.93-6.88 (m, 3H, Ar-H), 4.11 (sept, J = 6.8 Hz, 1H, CH), 4.08 (s, 3H, NCH3), 1.27 (s, J = 6.8 Hz, CHCH3) ppm.
実施例26:収量72.3 mg, 76% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.35-7.21 (m, 5H, Ar-H), 4.01 (s, 2H, CH2), 1.22 (s, 9H, CH3) ppm.
実施例27:収量72.6 mg, 75% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.03-6.99 (m, 2H, Ar-H), 6.94-6.91 (m, 2H, Ar-H), 4.02 (s, 2H, CH2), 3.90 (sept, J = 6.4 Hz, 1H, CH), 1.22 (d, J = 6.4 Hz, 6H, CH3) ppm. 19F NMR (376 MHz, CDCl3): -122.9 ppm.
実施例28:収量78.2 mg, 76% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.02-6.98 (m, 2H, Ar-H), 6.90-6.85 (m, 2H, Ar-H), 4.00 (s, 2H, CH2), 3.79 (sept, J = 6.4 Hz, 1H, CH), 3.79 (s, 3H, MeO), 1.19 (d, J = 6.4 Hz, CHCH3)
【0067】
実施例29:収量62.8 mg, 48% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.17 (d, J = 8.8 Hz, 2H, Ar-H), 6.91-6.87 (m, 2H, Ar-H), 4.07 (s, 2H, CH2), 4.07 (sept, J = 6.4 Hz, 1H, CH), 1.28 (d, J = 6.4 Hz, 6H, CHCH3) ppm. 19F NMR (376 MHz, CDCl3): -58.2 ppm.
実施例30:収量51.8 mg, 60% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.13 (t, J = 7.8 Hz, 1H, Ar-H), 7.02 (d, J = 7.02, 1H, Ar-H), 6.77 (t, J = 7.2 Hz, 1H, Ar-H), 6.66 (d, J = 8.4 Hz, 1H, Ar-H), 4.14 (s, 2H, CH2CN), 3.28 (app. t, J = 5.8 Hz, 2H, NCH2CH2), 2.79 (t, J = 6.4 Hz, 2H, ArCH2), 2.06-2.00 (m, 2H, ArCH2CH2) ppm.
実施例31:収量80.1 mg, 68% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.19-7.10 (m, 3H, Ar-H), 7.04-7.02 (m, 1H, Ar-H), 3.79 (s, 2H, CH2CN), 3.71 (s, 2H, ArCH2N), 2.96 (t, J = 5.8 Hz, 2H, NCH2CH2), 2.87 (t, J = 5.8 Hz, 2H, NCH2CH2) ppm.
実施例32:収量49.2 mg, 57% 収率, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.40-7.33 (m, 8H, Ar-H), 7.31-7.26 (m, 2H, Ar-H), 3.74 (s, 4H, PhCH2), 3.36 (s, 2H, CH2CN) ppm.
【0068】
【0069】
比較例1及び2
ニトロメタンを使用しなかったことを除いて、実施例3に記載と同様の方法を試みたところ、反応しなかった。更に、Me3SiCNを使用しなかったことを除いて、実施例3に記載と同様の方法を試みたところ、反応しなかった。
【0070】
上述から、比較的安価なニトロ化合物をメチレン源として使用し、爆発性のTBHPなどの酸化剤を使用することなく、更に、触媒の使用量も減らしながら、比較的温和な条件で、アミンのシアノアルキル化反応を行って、α-アミノニトリルを製造することができた。
【0071】
実施例33
N-メチルアニリン(53.4mg)(1a)の代わりに、ヘキシルチオール(59.1mg)(1-2a)を用いたことを除いて、実施例3に記載の方法と同様の方法を行ったところ、実施例33の生成物(4-2a)を得た。実施例33の反応時間は24時間であった。生成物(4-2a)の生成は、質量分析を行い、m/z=157のピークを確認して同定した。
【化7】
本発明の実施形態の製造方法は、比較的安価な化合物をメチレン源として使用し、爆発性のTBHPなどの酸化剤を使用することなく、更に、触媒の使用量も減らしながら、比較的温和な条件で、アミンのシアノアルキル化反応を行って、α-アミノニトリルを製造することができる。
更に、本発明の実施形態の製造方法は、アミンの代わりに、アルコール、チオール、ホスフィンにも適用可能であり、同様に、シアノアルキル化反応を行って、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-ホスファニルニトリルを製造することができる。
本発明の実施形態の製造方法は、出発原料の適用範囲も広く、α-アミノニトリル、α-オキシニトリル、α-チオニトリル、α-ホスファニルニトリルの製造方法として非常に有用である。