(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126094
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】画面入力装置およびプラント監視制御システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/023 20060101AFI20240912BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240912BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20240912BHJP
G06F 3/04886 20220101ALI20240912BHJP
【FI】
G06F3/023 460
G05B23/02 301P
G06F3/14 320C
G06F3/14 310C
G06F3/04886
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034260
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】弁理士法人ぱるも特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千葉 瞭介
【テーマコード(参考)】
3C223
5B020
5B069
5E555
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223FF02
3C223GG01
3C223HH01
3C223HH08
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5B020BB02
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5E555AA02
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5E555EA05
5E555EA09
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】プラント運転に支障をきたすことなく、ユーザ自身が任意の配置にキーを設定しなおすことを可能とする。
【解決手段】プラント監視制御装置1と情報をやり取りする画面情報通信部24、プラント監視制御装置1で認証されたユーザに対し、プラント監視制御装置1における監視画面を呼び出す割付キーを含むキーボード画面を表示する、画面入力が可能なキー画面表示部21、およびキー画面表示部21を介した入力により、割付キーと監視画面との対応、およびキーボード画面のレイアウトの少なくともいずれかの編集を受け付けるキー設定編集管理部22を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント監視制御装置と情報をやり取りする画面情報通信部、
前記プラント監視制御装置で認証されたユーザに対し、前記プラント監視制御装置における監視画面を呼び出す割付キーを含むキーボード画面を表示する、画面入力が可能なキー画面表示部、および
前記キー画面表示部を介した入力により、前記割付キーと前記監視画面との対応、および前記キーボード画面のレイアウトの少なくともいずれかの編集を受け付けるキー設定編集管理部、
を備えたことを特徴とする画面入力装置。
【請求項2】
前記画面情報通信部は、プラント内の状態変化のデータを収集する状態変化データ収集部として機能し、
前記状態変化に応じた前記割付キーの表示形態の定義データを保持する定義データ保持部、および
収集した前記状態変化のデータと前記定義データとを比較し、前記割付キーのなかから前記状態変化のデータに対応するキーがあった場合、前記定義データに従って当該キーの表示形態を変化させる状態変化管理部、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画面入力装置。
【請求項3】
前記キー設定編集管理部は、
権限レベルと編集項目の制限内容とを対応付けた編集項目制限データを保持し、前記プラント監視制御装置から得られた前記ユーザの権限レベルの情報と前記編集項目制限データに基づき、前記編集の内容を制限することを特徴とする請求項1または2に記載の画面入力装置。
【請求項4】
前記キー設定編集管理部には、前記編集の内容をグループごとに管理するグループ編集管理部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の画面入力装置。
【請求項5】
前記キー設定編集管理部には、前記編集の内容をグループごとに管理するグループ編集管理部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の画面入力装置。
【請求項6】
プラントを構成する複数の機器それぞれに対して設けられたプラント情報処理装置、
前記プラント情報処理装置のそれぞれと前記プラント監視制御装置との間で監視情報と制御指令の双方向での伝達を担う制御ネットワーク、および
前記監視画面の呼び出すための請求項1または2に記載の画面入力装置、
を備えたことを特徴とするプラント監視制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、画面入力装置およびプラント監視制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラントの監視制御システムでは、状況に応じて操作監視に用いる操作画面を切り替えて様々な指令を入力する必要がある。しかし、操作画面の選定に用いるオペレーションキーボードは専用のハードウェアであったため、キー配列の変更ができず、限られたスペース内で必要なキー配置を行うことが困難であった。
【0003】
それに対し、目的の監視画面に応じて表示されるキーボードが自動的に変化する画面入力装置が提案されている(特許文献1参照。)が、監視制御を行う監督者、運転員等のユーザが、それぞれ所望のキー配置にすることができず、使い勝手が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-199214号公報(段落0020~0024、
図1~
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、液晶表示パネル上のタッチパネルでのキーボードのキー配列をユーザが任意の配置にカスタマイズできるよう、キーボードレイアウト、領域レイアウト、キーサイズ等の変更を可能としている技術(特許文献2参照)を組み込むことが考えられる。しかしながら、この技術は汎用コンピュータの操作に用いられるものである。そのため、プラント監視制御に用いられる、監視画面の選定といった特別な意味を持たせたキーの割り付けに用いると、他人が勝手に決めたキーを誤認して誤った画面を呼び出してしまい、対応が遅延してプラント運転に支障をきたすことが予想される。
【0006】
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、プラント運転に支障をきたすことなく、ユーザ自身が任意の配置にキーを設定しなおすことを可能とする画面入力装置およびプラント監視制御システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示される画面入力装置は、プラント監視制御装置と情報をやり取りする画面情報通信部、前記プラント監視制御装置で認証されたユーザに対し、前記プラント監視制御装置における監視画面を呼び出す割付キーを含むキーボード画面を表示する、画面入力が可能なキー画面表示部、および前記キー画面表示部を介した入力により、前記割付キーと前記監視画面との対応、および前記キーボード画面のレイアウトの少なくともいずれかの編集を受け付けるキー設定編集管理部、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示される画面入力装置によれば、認証したユーザを対象にしてキー配置を編集するようにしたため、プラント運転に支障をきたすことなく、ユーザ自身が任意の配置にキーを設定しなおすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる画面入力装置、および画面入力装置を用いたプラント監視制御システムの構成を説明するためのブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかるプラント監視システムを構成するプラント監視制御装置のブロック図である。
【
図3】実施の形態1にかかるプラント監視システムを構成する画面入力装置のブロック図である。
【
図4】実施の形態1にかかる画面入力装置を構成するキー画面表示部のブロック図である。
【
図5】実施の形態1にかかる画面入力装置を構成する画面情報通信部のブロック図である。
【
図6】実施の形態1にかかる画面入力装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】実施の形態1にかかる画面入力装置で表示されるキーボード画面を示す図である。
【
図8】実施の形態1にかかる画面入力装置で表示されるキー割付管理画面を示す図である。
【
図9】実施の形態1にかかる画面入力装置で表示される画面番号検索ウィンドウを示す図である。
【
図10】実施の形態1にかかる画面入力装置で表示されるキーレイアウトの編集可能領域を示す図である。
【
図11】各実施の形態にかかる画面入力装置において演算処理を実行する部分のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図12】実施の形態2にかかる画面入力装置のブロック図である。
【
図13】実施の形態2にかかる画面入力装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図14】実施の形態2にかかる画面入力装置において、状変時に表示されるキーボード画面を示す図である。
【
図15】実施の形態2にかかる画面入力装置で、状変に応じたアクション定義の例を示す図である。
【
図16】実施の形態3にかかる画面入力装置におけるデータの流れを示すためのデータフロー図である。
【
図17】実施の形態4にかかる画面入力装置を構成するキー設定編集管理部のブロック図である。
【
図18】実施の形態4にかかる画面入力装置を構成するキー編集データ蓄積部のブロック図である。
【
図19】実施の形態4にかかる画面入力装置を構成するキー画面表示部のブロック図である。
【
図20】実施の形態4にかかる画面入力装置で表示されるキーボード画面を示す図である。
【
図21】実施の形態4にかかる画面入力装置で表示されるグループ編集画面を示す図である。
【
図22】実施の形態4にかかる画面入力装置で表示される画面グループ一覧ウィンドウを示す図である。
【
図23】実施の形態4にかかる画面入力装置において、グループ機能使用時に表示される割付キー設定画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1~
図10は、実施の形態1にかかる画面入力装置、および画面入力装置を用いたプラント監視制御システムの構成と動作について説明するためのものであり、
図1はプラント監視制御システムの基本的な構成を説明するためのブロック図、
図2はプラント監視制御システムのうち、プラント監視制御装置の構成を説明するためのブロック図である。また、
図3~
図5は画面入力装置の構成を説明するためのもので、
図3は全体構成を説明するためのブロック図、
図4はキー画面表示部のブロック図、
図5は画面情報通信部のブロック図である。
【0011】
そして、
図6は画面入力装置の動作を説明するためのフローチャートである。さらに、
図7~
図9は画面入力装置で表示される画面を示すもので、
図7はキーボード画面を示す図、
図8はキー割付管理画面を示す図、
図9は画面番号検索ウィンドウを示す図である。また
図10は画面入力装置で表示されるキーレイアウトの編集可能領域を示す図である。
【0012】
本願のプラント監視制御システム9は、例えば上下水道プラントの監視制御を行うものであり、プラント全体、およびプラント機器の状態を画面上で監視制御するものである。そして
図1に示すように、プラント機器から収集した各種データを蓄積するプラント監視制御装置1、プラント監視制御装置1に対してデータの収集および入力を行う画面入力装置2、プラント機器を制御するプラント情報処理装置3を備えている。
【0013】
なお、プラント情報処理装置は、プラント情報処理装置3i、プラント情報処理装置3i+1、・・・というように複数のプラント機器のそれぞれに対応して複数設けられているが、まとめてプラント情報処理装置3と称することとする。そして、プラント監視制御装置1と複数のプラント情報処理装置3を制御ネットワーク4でつなぐことにより、双方向での監視情報および制御指令の伝達を実現している。
【0014】
プラント監視制御装置1は、
図2に示すように監視画面を表示するユーザインターフェースとなる画面表示部11、画面表示処理プロセスの管理を行う画面表示管理部12、ユーザごとに定義された各種監視画面の定義データを管理している画面データ管理部13を備えている。さらに、各種プラントデータD141をプラント情報処理装置3から収集し、データ種別ごとに蓄積する監視制御データ蓄積部14を備えている。
【0015】
画面入力装置2は電子オペレーションキーボードとも称されるもので、
図3に示すように、ユーザごとに定義されたキーボードを画面に表示し、画面上での入力操作を実施するユーザインターフェースであるキー画面表示部21を備えている。これは、プラントの監視制御においては、ユーザ認証機能を用いて、ユーザの識別情報(ユーザID)を認証することを前提としているからである。そして、キー画面表示部21に表示するキーの設定情報の編集プロセスを管理するキー設定編集管理部22、キー編集に必要なデータを蓄積するキー編集データ蓄積部23、キーボード上で入力された操作情報の送信に関する通信を行う画面情報通信部24を備えている。
【0016】
なお、キー編集データ蓄積部23には、プラント監視制御装置1から収集した図示しない画面データと、オペレーションにおける標準的な機能に関するキーの情報を格納する標準キーデータD232(テンキー、カーソルキー等)が保存される。さらに、画面データに対応した監視制御画面への遷移操作を実行するキーとの割り付けの対応関係を設定した割付キーデータD233と、設定したキー配置情報を設定したキーボードのレイアウトデータD231が保存される。
【0017】
キー画面表示部21は、画面入力装置2に表示する画面における表示および操作処理を行うものである。そのため、
図4に示すように、ユーザによって設定されたキーボードを表示するキー表示部211と、入力を検知し画面情報通信部24に入力情報を渡すキー入力検知部212とを備えている。キー入力検知部212には、プラント監視制御装置1に対する監視制御の操作を検知するキー操作部212aと、キー設定の編集プロセスを実行するためのユーザインターフェースであるキー編集部212bが設けられている。
【0018】
画面情報通信部24は、
図5に示すように、プラント監視制御装置1との情報通信を行うため、キー設定情報の編集に必要な画面データを収集する画面データ収集部241と、画面入力装置2の画面上で入力されたプラント監視制御装置1への監視制御情報の送信を行う操作情報送信部242とを備えている。
【0019】
つぎに
図6のフローチャートを参考にして、画面入力装置2を中心とした動作について説明する。画面入力装置2のキー画面表示部21にてキー設定の編集操作が実行される(ステップS100)と、キー設定編集管理部22がキー編集プロセスを開始し、キー編集画面が表示される。キー編集画面では、キーの割付情報の編集と、キーボードレイアウトの編集の2種類から選択して編集が可能となる(ステップS200)。
【0020】
割付キーの編集を選択する(ステップS200で「割付キーの編集」)と、キー設定編集管理部22は、ユーザ定義された画面データをプラント監視制御装置1の画面データ管理部13から収集する(ステップS300)。画面データには各監視制御画面に割り振られた識別情報が含まれている。この識別情報と割付対象キーとの対応関係を表データとして作成する(ステップS310)。このとき、割付キーが画面上で押下された際に、画面展開動作以外の動作を行う際の動作、画面展開時の追加情報(各監視画面にて定義された画面グループ情報など)を表データに付与することも可能とする。なお、画面展開動作以外の動作を行う際の動作としては、画面履歴による展開、グラフィック画面の画面番号での順、逆送りによる画面遷移などが、追加情報としては、各監視画面にて定義された画面グループ情報などが挙げられる。
【0021】
割付キーの対応表が作成できたら、表データ(割付表)として保存することでキー編集データ蓄積部23の割付キーデータD233に格納される(ステップS320)。画面展開用の割付キーの編集が完了し、割付キー編集画面を閉じる(画面終了:ステップS330)。ここで、再度キー設定編集画面に移行すると(ステップS500で「No」)、ステップS200に移行し、キーの割付情報およびキーボードレイアウトの2種類の編集が選択可能となる。一方、キー編集画面を閉じる(ステップS500で「Yes」)と、オペレーションキーボード編集作業が完了する。
【0022】
また、ステップS200で、キーボードのレイアウト編集を選択すると、キー設定編集管理部22は、キー編集データ蓄積部23から割付キーデータD233、標準キーデータD232を収集する(ステップS400)。
【0023】
各キーのデータを収集したら、キーボードのレイアウトエリアを表示し、画面展開キー、標準キーをエリア内に配置することが可能となり、任意のキーボードレイアウトを作成できる(ステップS410)。作成したキーボードレイアウトを保存するとキー編集データ蓄積部23内のレイアウトデータD231として格納される。(ステップS420)キー画面表示部21のキー表示部211はこのレイアウトデータD231を参照することで、ユーザ自身が設定したオペレーションキーボードを表示することができる。
【0024】
レイアウトデータD231の保存が完了し、レイアウト編集画面を閉じる(画面終了:ステップS430)。ここでも、再度キー設定編集画面への移行を選択する(ステップS500で「No」)とステップS200に移行し、キーの割り付け情報およびキーボードレイアウトの2種類の編集が選択可能となる。一方、キー編集画面を閉じることを選択する(ステップS500で「Yes」)とオペレーションキーボード編集作業が完了する。キー編集画面が終了すると、上記の通りキー表示部211がキー編集データ蓄積部23内のレイアウトデータを参照することで、作成したキーボードレイアウトを表示する。
【0025】
つぎに、
図7~
図10を参照し、上記動作によって編集したキーボードレイアウトの例、およびキー設定の編集イメージについて説明する。画面入力装置2上のキーボードレイアウトの例は
図7に示すように、共通画面表示部200には、キー編集操作を実行するための編集ボタン201、キーレイアウト表示エリア202が配置されている。キーレイアウト表示エリア202には、ユーザによって定義された画面展開キー203、テンキー204、カーソルキー205、データ送信キー206が配置されている。
【0026】
ユーザが編集ボタン201を押下し、キー編集画面を展開することでキー割付、およびキーレイアウトの編集が可能となる。
【0027】
編集ボタンを押下(ステップS100)し、キーの割付情報の編集を選択する(ステップS300~S330)と、
図8に示すようなキー割付の管理画面が展開される。キー割付管理画面は、画面展開キー203のキーナンバーと画面番号の対応表を作成できるキー割付表300、任意の画面展開キー203に画面番号を割り付けるための設定ボタン301、設定したキー割付情報を削除するための削除ボタン302で構成される。また、保存ボタン303で設定されたキー割付情報を保存し、キャンセルボタン304によって設定内容をキャンセルし、前回表示のキーボード画面に戻ることができる。
【0028】
設定ボタン301を押下することで、
図9に示すような画面番号一覧ウィンドウ305が表示され、当該のキーナンバーに割り当てたい画面番号を画面名称入力エリア306、あるいは画面番号入力エリア307に入力することで検索することができる。任意の画面番号を検索後、登録ボタン310を押下することで、キー割付表300において対象のキーナンバーに割り付けた画面番号が登録される(ステップS310~S330)。ここでもキャンセルボタン311によって設定内容をキャンセルすることができる。
【0029】
キーレイアウトの編集操作(ステップS400~S430)としては、画面展開キー203のブロック、テンキー204のブロック、カーソルキー205およびデータ送信キー206のブロックを定義している。そして、
図10に示すようにブロック単位で横方向のレイアウト(黒塗り矢印)を入れ替えることができる。また、同一ブロック内ではキーの縦方向の配置(白抜き矢印)を調整することができる。
【0030】
本実施の形態1にかかる画面入力装置2では、プラント監視制御システム9においてオペレーションキーボードのハードウェアとしての構成を省略することができる。さらにユーザ自身がオペレーションキーボードの割付キー、キーボードレイアウトを設定することが可能になるため、キーの割付変更が生じた場合にも素早く対応することが可能となる。また、キーの割付変更だけでなく、例えばユーザの利き手、あるいは配置の好みなども考慮した自由なキー配置を上記の編集機能によって実現可能となる。また、ミス操作等の発生を抑制してプラント運転を円滑に行うことができる。
【0031】
また、本願の画面入力装置は、ハードウェアのキーをレイアウト変更できるように、単純に画面上でキーボードを表示する技術に置き換えたものではない。プラントの監視制御においては、ユーザIDの認証が必須であることを利用し、キー設定のデータがユーザごとに保存され、ユーザに応じて、設定したキー表示を自動で呼び出されるようにしたため、他人が設定した予想のつかないキー配置に対して操作させられることがない。つまり、共通端末を用いながら、あたかも各ユーザ専用の端末のように画面入力装置2を扱うことができる。その結果、個々のユーザにとって、最も使いやすい入力装置を用いることで、快適な監視制御の操作が可能となる。
【0032】
本実施の形態1にかかる画面入力装置2および画面入力装置2を用いたプラント監視制御システム9のうち、演算処理を行う部分を、
図11に示すように、プロセッサ2H1と記憶装置2H2を備えたひとつのハードウェア2Hによって構成することも考えられる。記憶装置2H2は、図示していないが、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置と、フラッシュメモリ等の不揮発性の補助記憶装置とを具備する。また、フラッシュメモリの代わりにハードディスクの補助記憶装置を具備してもよい。プロセッサ2H1は、記憶装置2H2から入力されたプログラムを実行する。この場合、補助記憶装置から揮発性記憶装置を介してプロセッサ2H1にプログラムが入力される。また、プロセッサ2H1は、演算結果等のデータを記憶装置2H2の揮発性記憶装置に出力してもよいし、揮発性記憶装置を介して補助記憶装置にデータを保存してもよい。これは、以降の各実施の形態にかかる画面入力装置2およびプラント監視制御システム9についても同様である。
【0033】
実施の形態2.
実施の形態1にかかる画面入力装置では、ユーザの希望に応じてキー配置を変更できる例について説明した。本実施の形態2では、プラントの状態変化(「状変」と称する)に応じてキー配置を変更する例について説明する。
【0034】
図12~
図15は実施の形態2にかかる画面入力装置、および画面入力装置を用いたプラント監視制御システムの構成と動作について説明するためのものであり、
図12は画面入力装置のブロック図、
図13は画面入力装置の動作を説明するためのフローチャート、
図14は画面入力装置において、状変時に表示されるキーボード画面を示す図、
図15はる画面入力装置で、状変に応じたアクション定義の例を示す図である。なお、プラントの状態変化に応じた動作、およびそれに関する構成以外については、実施の形態1で説明したものと同様であり、重複する説明を省略するとともに、実施の形態1で用いた
図1、
図2、
図4~
図11を援用する。
【0035】
実施の形態2にかかる画面入力装置2は、
図12に示すように、画面情報通信部24が、プラント監視制御システム9にて発生した状変データ(アラーム等のプラント機器の状態変化)を収集する状変データ収集部として機能する。そして、収集された状変データの管理を行う状変管理部26と、状変発生時に対応する画面が割り付けられたキーに対し、対象キーの色を変化させたり、点滅させたりするなど、任意のふるまいを付与するための定義データを管理する状変時アクション定義ファイル27とを備えている。
【0036】
状変データの種類としては、プラント監視制御装置1、あるいはプラント情報処理装置3といった監視制御を実施する装置(ステーション)単位での故障状態を示すステーション故障、監視制御におけるアナログ入力信号の故障状態を示すAI故障、デジタル入力信号の故障を示すDI故障に分けられる。各故障状態のなかでも、システム上での定義において故障の重篤度によって重故障、中故障、軽故障に分類される。
【0037】
つぎに
図13のフローチャートを参考にして、状変が発生した際の動作について説明する。
プラント監視制御システム9において状変が発生したことを検知すると、状変データ収集部(画面情報通信部24が)が状変データを取得する(ステップS700)。取得した状変データは状変管理部26に送信され(ステップS710)、状変管理部26は状変の内容を確認し、生じた状変に対応する画面がキーに割り付けられていれば(ステップS720で「Yes」)、キー表示部211に状変内容を通知する(ステップS730)。このとき、状変が生じた画面がキーに割り付けられていなければ(ステップS720で「No」)、キーボード上では状変通知は行わずに処理は終了する。
【0038】
状変データの内容を受け取ったキー表示部211は、状変時アクション定義ファイル27を参照し、状変発生と対応する画面が割り付けられたキーがあった場合、ユーザごとに定義された任意のふるまいにてキーの表示方法を変化させる(ステップS740)。なお、状変によって表示を変化させたキーについては、ユーザ側で停止操作を実行するか、状変が回復することでキー表示も通常に戻すことができるものとする。
【0039】
状変の内容を含む画面がキーに割り当てられていた場合、キーボード画面上での表示は例えば、
図14に示すように対象キー203jを点滅させたりする。このような画面展開キー(対象キー203j)の表示については、定義ファイルによって変更することができる。定義ファイルにおける定義内容の例としては、
図15に示すように、状変の種類および分類ごとにアクション(点滅、点灯、なし等)、あるいはキーが変化する色(赤、黄等)といった表示形態を定義することができる。
【0040】
このようにして、ユーザはプラント監視制御システム9において状変が発生した場合に、展開する画面に対応する割付キーをユーザにとって視覚的に分かりやすく表示するため、効率的な操作・対応が可能となる。つまり、状変が生じた際に、状況を視覚的に察知し、かつ対応する監視画面を直感的に選択できるので、速やかに迅速な対応が可能になる。
【0041】
実施の形態3.
本実施の形態3では、プラント監視制御における指揮系統を考慮し、ユーザの権限に応じてキー配置の編集項目に制限を設ける例について説明する。
【0042】
図16は実施の形態3にかかる画面入力装置、および画面入力装置を用いたプラント監視制御システムの構成と動作について説明するためのものであり、画面入力装置を中心とするプラント監視制御システム内でのデータの流れを示すためのデータフロー図である。なお、ユーザ権限に応じた編集項目の制限に関する構成以外については、実施の形態1、あるいは2で説明したものと同様であり、重複する説明を省略するとともに、実施の形態1、2で用いた図を援用する。
【0043】
実施の形態3における画面入力装置2のキー設定編集管理部22は、
図16に示すように、プラント監視制御装置1から、監視制御操作を実行中のユーザデータを受け取る構成となっている。これは、実施の形態1で説明したように、プラントの監視制御においては、ユーザ認証機能を用いて、ユーザIDを認証するように構成しているからである。また、例えば汚泥処理、殺菌処理、流量管理といった機器ごとに監督者、監督者の指示を受けて作業する作業員といった指揮系統があり、ユーザごとに扱う対象、あるいは操作する範囲に制限を設けることがある。
【0044】
実施の形態3における画面入力装置2では、キー設定編集管理部22に、ユーザデータ上の権限レベルとキーの編集項目の制限内容とを対応付けた編集項目制限データD221を保持するようにしている。そして、ユーザデータ上の権限レベルを参照することで、キー設定編集管理部22は自動的にユーザが実行できない画面操作を編集画面において制限し、当該ユーザには設定を不可とすることを可能とする。なお、キー設定編集を開始する際にキー設定編集管理部22がユーザデータを収集した後、キーレイアウトを編集し、保存するまでの動作フローは実施の形態1に準ずる。
【0045】
例えば、使用ユーザが監視可能な画面を制限されている場合、実施の形態1の
図6で説明したステップS300において、対象画面の画面データは収集されず、割付キーの表データの作成時に対象画面の識別データを設定できないものとする。また、使用ユーザがプラント監視制御装置1からプラント情報処理装置3に対して制御操作を制限されている場合、
図6で説明したステップS400において、制御データ送信に関するキーのデータが収集されず、キーボードレイアウトの設定を実行できないものとする。
【0046】
このように、ユーザの権限レベルに応じてキー設定に制約を設けることで、ユーザの操作範囲に対応した監視制御操作が可能となり、安心して作業に不要なキーを排除したキーボードレイアウトの作成が可能となる。
【0047】
実施の形態4.
本実施の形態4では、プラント監視制御における対象機器、あるいはチーム作業を考慮し、グループごとに編集できるようにした例について説明する。
【0048】
図17~
図23は実施の形態4にかかる画面入力装置、および画面入力装置を用いたプラント監視制御システムの構成と動作について説明するためのものであり、
図17は画面入力装置を構成するキー設定編集管理部のブロック図、
図18は画面入力装置を構成するキー画面表示部のブロック図、
図19はキー編集データ蓄積部のブロック図である。
【0049】
また、
図20は画面入力装置で表示されるキーボード画面を示す図、
図21は画面入力装置で表示されるグループ編集画面を示す図、
図22は画面入力装置で表示される画面グループ一覧ウィンドウを示す図、
図23はグループ機能使用時に表示される割付キー設定画面を示す図である。なお、グループごとの編集に関する構成以外については、実施の形態1~3で説明したものと同様であり、重複する説明を省略するとともに、実施の形態1~3で用いた図を援用する。
【0050】
実施の形態1では、
図6で説明したステップS310において、画面データに含まれる各監視制御画面の識別情報と、割付対象キーとの対応関係のみを表データとして作成する場合について述べた。本実施の形態4では、
図17に示すようにキー設定編集管理部22に、グループ編集管理機能(グループ編集管理部222)を設けることで割付キーと画面識別データとの対応関係を任意のグループと紐づけ、編集することを可能とする。なお、実施の形態1では説明しなかったが、キー設定編集管理部22には、標準編集管理機能(標準編集管理部221)が設けられていることになる。
【0051】
また、キー編集データ蓄積部23には
図18に示すようにグループ編集キーデータD234を格納する領域を備えるようにした。さらに、キー表示部211には、
図19に示すように、キーボード表示を行うキー表示部211において、実施の形態1では言及しなかった標準表示部211aに加え、グループ表示部211bを設けるようにした。これに応じて、キー編集画面を表示するキー編集部213においても、実施の形態1では言及しなかった編集画面(グループなし)213aに加え、編集画面(グループあり)213bを設けるようにした。これにより任意のグループごとに編集、保存した割付キーを表示することを可能とする。
【0052】
なお、割付キーの編集およびキーレイアウトを保存するまでの一連の動作フローについては、実施の形態1に準ずるものとする。また、グループ管理を用いた表示方法については、ユーザに応じてグループ表示機能の有無を切り替え可能とするものとする。
【0053】
グループ表示機能を使用時のキーボード画面の例を
図20に示す。グループ表示機能使用時には、共通画面表示部200にはグループ名表示ブロック207、その隣にグループ一覧ボタン208が設置される。グループ一覧ボタン208を押下すると
図21に示すような画面グループ一覧ウィンドウ400が表示され、そのなかに登録グループ名称一覧表401が表示される。このウィンドウで任意のグループを選択し、表示ボタン402を押下すると、当該のグループで登録されているキー割付およびキーレイアウトにて画面入力装置2上のキーレイアウトエリアに表示される。また、キャンセルボタン403を押下すると、画面グループ一覧ウィンドウ400を閉じ、元のキーボード画面を表示する。
【0054】
グループ表示機能を使用時に編集ボタン201を押下し、キー割付編集を実行すると、
図22に示すようなグループ編集画面が展開される。グループ編集画面上ではグループ名称表500にてキーグループを管理することができる。グループ編集画面は各グループの編集を行う、新規作成ボタン501、および設定ボタン502が配置されている。また、削除ボタン503を押下することで各グループの削除が可能である。グループの編集が完了後、保存ボタン505を押下すれば設定内容が保存され、キャンセルボタン504を押下すると編集内容をキャンセルし、編集前のキーボード画面に戻ることもできる。
【0055】
グループ編集にて新規作成ボタン501、または設定ボタン502を押下すると各グループの編集が可能となる。この画面では
図23に示すようにグループ名称入力エリア506、グループ管理表507、キー割付を設定する設定ボタン508、キー割付情報を削除する削除ボタン509が表示される。グループ名称入力エリアでは、任意のグループ名称を登録することができ、グループごとのキー割付の編集については実施の形態1に準じた操作手順にて実施することができる。
【0056】
このように、グループごとの編集ができるようになったため、ユーザはプラント監視画面を展開する際に任意の役割ごとに割付キーをグループ化して表示することができる、プラント監視制御においてはチーム(グループ)ごとに作業を分担することも多く、監視対象の設備、機器、あるいはチームに応じてグループを使い分けることで、効率的なプラント監視制御が可能となる。
【0057】
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態および実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。したがって、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【0058】
以上のように、本願の画面入力装置2によれば、プラント監視制御装置1と情報をやり取りする画面情報通信部24、プラント監視制御装置1で認証されたユーザに対し、プラント監視制御装置1における監視画面を呼び出す割付キー(画面展開キー203)を含むキーボード画面を表示する、画面入力が可能なキー画面表示部21、およびキー画面表示部21を介した入力により、割付キー(画面展開キー203)と監視画面との対応、およびキーボード画面のレイアウトの少なくともいずれかの編集を受け付けるキー設定編集管理部22、を備えるようにした。そのため、監視制御のメンバーとして認証したユーザそれぞれがキー配置を編集できるようになり、プラント運転に支障をきたすことなく、ユーザ自身が任意の配置にキーを設定しなおし、快適に監視制御ができる。
【0059】
また、画面情報通信部24は、プラント内の状態変化のデータを収集する状態変化データ収集部として機能し、状態変化に応じた割付キー(画面展開キー203)の表示形態(アクション)の定義データを保持する定義データ保持部(状変時アクション定義ファイル27)、および収集した状態変化のデータと定義データとを比較し、割付キー(画面展開キー203)のなかから状態変化のデータに対応するキー(対象キー203j)があった場合、定義データに従って当該キー(対象キー203j)の表示形態を変化させる状態変化管理部(状変管理部26)を備えるようにすれば、状態変化に対応する割付キーを視覚的にすぐに見つけることができるので、効率的な操作で迅速な対応が可能となる。
【0060】
また、キー設定編集管理部22は、権限レベルと編集項目の制限内容とを対応付けた編集項目制限データD221を保持し、プラント監視制御装置1から得られたユーザの権限レベルの情報(ユーザデータD31)と編集項目制限データD221に基づき、編集の内容を制限するように構成すれば、ユーザの操作範囲に対応した監視画面に対応した制御操作が可能となり、安心して作業に不要なキーを排除したキーボードレイアウトの作成が可能となる。
【0061】
キー設定編集管理部22には、編集の内容をグループごとに管理するグループ編集管理部222が設けられているようにすれば、ユーザはプラント監視画面を展開する際に任意の役割ごとに割付キーをグループ化して表示することができ、監視対象の設備、機器、あるいはチームに応じてグループを使い分けることで、効率的なプラント監視制御が可能となる。
【0062】
また、本願のプラント監視制御システム9によれば、プラントを構成する複数の機器それぞれに対して設けられたプラント情報処理装置3、プラント情報処理装置3のそれぞれとプラント監視制御装置1との間で監視情報と制御指令の双方向での伝達を担う制御ネットワーク4、および監視画面の呼び出すための上述した画面入力装置2、を備えたので、監視制御のメンバーとして認証したユーザそれぞれがキー配置を編集できるようになり、プラント運転に支障をきたすことなく、ユーザ自身が任意の配置にキーを設定しなおし、快適に監視制御ができる。
【0063】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0064】
(付記1)
プラント監視制御装置と情報をやり取りする画面情報通信部、
前記プラント監視制御装置で認証されたユーザに対し、前記プラント監視制御装置における監視画面を呼び出す割付キーを含むキーボード画面を表示する、画面入力が可能なキー画面表示部、および
前記キー画面表示部を介した入力により、前記割付キーと前記監視画面との対応、および前記キーボード画面のレイアウトの少なくともいずれかの編集を受け付けるキー設定編集管理部、
を備えたことを特徴とする画面入力装置。
【0065】
(付記2)
前記画面情報通信部は、プラント内の状態変化のデータを収集する状態変化データ収集部として機能し、
前記状態変化に応じた前記割付キーの表示形態の定義データを保持する定義データ保持部、および
収集した前記状態変化のデータと前記定義データとを比較し、前記割付キーのなかから前記状態変化のデータに対応するキーがあった場合、前記定義データに従って当該キーの表示形態を変化させる状態変化管理部、
を備えたことを特徴とする付記1に記載の画面入力装置。
【0066】
(付記3)
前記キー設定編集管理部は、
権限レベルと編集項目の制限内容とを対応付けた編集項目制限データを保持し、前記プラント監視制御装置から得られた前記ユーザの権限レベルの情報と前記編集項目制限データに基づき、前記編集の内容を制限することを特徴とする付記1または2に記載の画面入力装置。
【0067】
(付記4)
前記キー設定編集管理部には、前記編集の内容をグループごとに管理するグループ編集管理部が設けられていることを特徴とする付記1から3のいずれか1に記載の画面入力装置。
【0068】
(付記5)
プラントを構成する複数の機器それぞれに対して設けられたプラント情報処理装置、
前記プラント情報処理装置のそれぞれと前記プラント監視制御装置との間で監視情報と制御指令の双方向での伝達を担う制御ネットワーク、および
前記監視画面の呼び出すための付記1から4のいずれか1に記載の画面入力装置、
を備えたことを特徴とするプラント監視制御システム。
【符号の説明】
【0069】
1:プラント監視制御装置、 2:画面入力装置、 203:画面展開キー(割付キー)、 21:キー画面表示部、 22:キー設定編集管理部、 222:グループ編集管理部、 23:キー編集データ蓄積部、 24:画面情報通信部(状変データ収集部)、 26:状変管理部(状態変化管理部)、 27:状変時アクション定義ファイル(定義データ保持部)、 3:プラント情報処理装置、 9:プラント監視制御システム。