(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126345
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法、基板分離方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240912BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240912BHJP
B23K 26/57 20140101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L21/304 611Z
H01L21/68 N
B23K26/57
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034659
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】住谷 まり子
(72)【発明者】
【氏名】松尾 美恵
【テーマコード(参考)】
4E168
5F057
5F131
【Fターム(参考)】
4E168AD18
4E168AE05
4E168CB03
4E168CB07
4E168DA02
4E168DA23
4E168DA43
4E168HA01
4E168JA12
5F057AA43
5F057BA19
5F057BB03
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5F057CA40
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5F131CA63
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5F131EC63
5F131EC73
5F131KA54
5F131KB05
5F131KB53
(57)【要約】
【課題】半導体記憶装置の製造効率を向上し、且つ基板の再利用効率を向上する。
【解決手段】 一実施形態にかかる半導体装置の製造方法は、第1の基板の上に多孔質層を介して第1の半導体素子層を含む第1のチップと、第2の基板の上に第2の半導体素子層を含む第2のチップと、を貼合して有効素子領域を含む貼合基板を形成し、貼合基板の有効素子領域を囲う非有効素子領域において第1の基板側から多孔質層にレーザー光を照射し、非有効素子領域の多孔質層を起点に貼合基板から第1の基板を分離する、ことを含む。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板の上に多孔質層を介して第1の半導体素子層を含む第1のチップと、第2の基板の上に第2の半導体素子層を含む第2のチップと、を貼合して有効素子領域を含む貼合基板を形成し、
前記貼合基板の前記有効素子領域を囲う非有効素子領域において前記第1の基板側から前記多孔質層にレーザー光を照射し、
前記非有効素子領域の前記多孔質層を起点に前記貼合基板から前記第1の基板を分離する、ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記レーザー光の波長は、前記第1の基板を透過する波長である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記レーザー光の波長における前記多孔質層の吸収係数が前記第1の基板の吸収係数よりも大きい、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記多孔質層は、前記第1の基板よりも抵抗の低いシリコン層を含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1の半導体素子層はメモリセルアレイを含み、前記第2の半導体素子層はCMOS回路を含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
多孔質層を含む第1の基板と第2の基板とを貼合した有効素子領域を含む貼合基板の前記有効素子領域を囲う非有効素子領域において前記第1の基板側から前記多孔質層にレーザー光を照射し、
前記多孔質層の前記非有効素子領域を起点に前記貼合基板から前記第1の基板を分離する、ことを含む基板分離方法。
【請求項7】
多孔質層を含む第1の基板と第2の基板とを貼合した有効素子領域を含む貼合基板を保持し、回転するステージと、
前記貼合基板の位置を検出する位置検出機構と、
前記貼合基板の前記有効素子領域を囲う非有効素子領域において前記第1の基板側から前記多孔質層にレーザー光を照射するレーザー照射機構と、
前記多孔質層の前記非有効素子領域から内側に向かって応力を印加する応力印加機構と、を備える基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は半導体装置の製造方法、基板分離方法および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置としてNAND型フラッシュメモリが知られている。このNAND型フラッシュメモリはメモリセルアレイとその制御回路を備えている。半導体記憶装置の製造方法として、メモリセルアレイチップと、制御回路チップとを、それぞれ別体の基板上に形成し、後から貼り合わせる方法が知られている。この場合、メモリセルアレイチップを形成した基板は、分離をすることで再利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-075915号公報
【特許文献2】特開2004-179649号公報
【特許文献3】特開2007-220749号公報
【特許文献4】特許第5442224号公報
【特許文献5】特許第3667079号公報
【特許文献6】特開2004-134672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、半導体記憶装置の製造効率を向上し、且つ基板の再利用効率を向上した半導体装置の製造方法、基板分離方法および基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態にかかる半導体装置の製造方法は、第1の基板の上に多孔質層を介して第1の半導体素子層を含む第1のチップと、第2の基板の上に第2の半導体素子層を含む第2のチップと、を貼合して有効素子領域を含む貼合基板を形成し、貼合基板の有効素子領域を囲う非有効素子領域において第1の基板側から多孔質層にレーザー光を照射し、非有効素子領域の多孔質層を起点に貼合基板から第1の基板を分離する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本実施形態に係る半導体記憶装置(貼合基板)の全体構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る半導体記憶装置(貼合基板)の構成を示す上面図である。
【
図3】本実施形態に係る半導体記憶装置(貼合基板)の構成を示す断面図である。
【
図4】本実施形態に係る半導体記憶装置の全体構成を示す図である。
【
図5A】本実施形態に係るシリコン層の構成及び形成方法を示す図である。
【
図5B】本実施形態に係る多孔質層の構成及び形成方法を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る基板処理装置の基本的な構成を示す上面図である。
【
図7】本実施形態に係る処理装置の基本的な構成を示す側面図である。
【
図8A】本実施形態に係る処理装置の基本的な構成を示す側面図である。
【
図8B】本実施形態に係る処理装置の基本的な構成を示す上面図である。
【
図8C】変形例に係る処理装置の基本的な構成を示す上面図である。
【
図9A】本実施形態に係るウエハハンドの基本的な構成を示す側面図である。
【
図9B】本実施形態に係る第1のアームの構成を示す上面図である。
【
図9C】本実施形態に係る第2のアームの構成を示す上面図である。
【
図9D】本実施形態に係る第3のアームの構成を示す上面図である。
【
図10】本実施形態に係る基板分離方法を説明するフロー図である。
【
図11A】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図11B】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図11C】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図12】本実施形態に係る半導体記憶装置(貼合基板)のレーザーの照射領域を示す断面図である。
【
図13A】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図13B】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図14A】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図である。
【
図14B】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの側面図である。
【
図15A】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図15B】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の上面図である。
【
図16A】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図16B】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の上面図である。
【
図17A】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図17B】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の上面図である。
【
図18】本実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す断面図である。
【
図19】本実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す断面図である。
【
図20A】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図20B】本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
【
図21A】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図である。
【
図21B】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの側面図である。
【
図22A】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図である。
【
図22B】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの側面図である。
【
図23A】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図である。
【
図23B】本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法、基板分離方法および基板処理装置について図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する要素について、同一符号又は同一符号の後にアルファベットが追加された符号が付されており、必要な場合にのみ重複して説明する。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。一実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。これら実施形態やその変形例は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0008】
図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0009】
各実施形態において、それぞれの基板からメモリセルまたは制御回路に向かう方向を上方という。逆に、メモリセルまたは制御回路からそれぞれの基板に向かう方向を下方という。このように、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、基板とメモリセルとの上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。また、以下の説明で、例えば基板上のメモリセルという表現は、上記のように基板とメモリセルとの上下関係を説明しているに過ぎず、基板とメモリセルとの間に他の部材が配置されていてもよい。
【0010】
本明細書において「αはA、B又はC」を含む、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0011】
以下の各実施形態は、技術的な矛盾を生じない限り、互いに組み合わせることができる。
【0012】
<第1実施形態>
[半導体記憶装置(貼合基板)]
本実施形態にかかる半導体記憶装置(貼合基板)1の構成について、
図1から
図4を用いて説明する。
図1は、半導体記憶装置1の全体構成を示す図である。
図2は、半導体記憶装置1の構成を示す上面図である。
図3は、半導体記憶装置1の基本的な構成を示す断面図である。
図4は、半導体記憶装置2の全体構成を示す図である。
【0013】
図1に示すように、半導体記憶装置1は、第1の回路層としてのメモリセルアレイチップ100と、第2の回路層としての制御回路(CMOS回路)チップ200とを備える。メモリセルアレイチップ100と、制御回路チップ200とは、接続面C1にて接続される。なお、第1の回路層および第2の回路層は特に限定されない。故に、実施形態の半導体記憶装置を「半導体装置」と称することがある。
【0014】
図2に示すように、半導体記憶装置1は、複数の半導体チップ3を製造するための有効素子領域R1を含む。半導体記憶装置1は、有効素子領域R1の周りに、半導体チップ3のサイズに満たない切れ端となる非有効素子領域R2を含む。有効素子領域R1は、半導体記憶装置1の中心側に位置し、平面視で円に近い形状を有する。非有効素子領域R2は、半導体記憶装置1の端部側に位置し、平面視で円環に近い形状を有している。非有効素子領域R2は、平面視で有効素子領域R1を環状に包囲している。有効素子領域R1は、メモリセルアレイや制御回路を含む。一方、非有効素子領域R2は、メモリセルアレイやCMOS回路を含まなくてもよい。非有効素子領域R2には、配線等があったとしても、電気的に接続されておらず、チップとして成立しない。
【0015】
図2はさらに、後述するレーザーの照射領域R3の位置を示す。レーザーの照射領域R3は、非有効素子領域R2に配置される。レーザーの照射領域R3は、有効素子領域R1には重畳しない。レーザーの照射領域R3は、半導体記憶装置1の端部側に位置し、平面視で円環形状を有している。レーザーの照射領域R3は、平面視で有効素子領域R1を環状に包囲している。レーザーの照射領域R3は、非有効素子領域R2の一部に配置されるが、非有効素子領域R2の全部に配置されてもよい。
【0016】
[制御回路チップの構造]
図3に示すように、制御回路チップ200は、基板20と、制御回路を構成する複数のトランジスタ26と、回路側配線層27と、を有する。複数のトランジスタ26は基板20に形成され、基板20とは反対側において回路側配線層27に電気的に接続される。回路側配線層27の基板20とは反対側の接続面C1にはメモリセルアレイチップ100と接続するための接続端子が配置される。基板20はシリコン基板などの半導体ウエハであってもよい。
【0017】
[メモリセルアレイチップの構造]
図3に示すように、メモリセルアレイチップ100は、基板10と、多孔質層14と、複数の電極層16と、複数の半導体ピラー15と、メモリ側配線層17と、を有する。複数の電極層16は、多孔質層14を介して基板10上に、複数の絶縁層と交互に積層される。それぞれの半導体ピラー15は、基板10と垂直方向に、積層された複数の電極層16を貫通して配置される。それぞれの半導体ピラー15は、絶縁層を介して複数の電極層16と組み合わされることで、メモリセルを含む複数のトランジスタとして機能する。すなわち、メモリセルアレイ領域11(
図3の右上部分)においては、メモリセルを含む複数のトランジスタが3次元配置される。半導体ピラー15は、一方の端(基板10側)においてソース線に電気的に接続され、他方の端(基板10とは反対側)においてメモリ側配線層17に電気的に接続される。メモリ側配線層17の基板10とは反対側の接続面C1には、制御回路チップ200と接続するための接続端子が配置される。
【0018】
基板10上には、メモリセルアレイ領域11と並んでコンタクト領域12(
図3の左上部分)が配置される。コンタクト領域12において、複数の電極層16は、それぞれ階段状に端子部分が引き出されている。そして、それぞれの端子部分は絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して垂直方向に配置される配線と接続されている。これら垂直方向の配線はメモリ側配線層17と電気的に接続され、接続端子を介して制御回路チップ200と接続される。
【0019】
基板10は、シリコン基板などの半導体ウエハであってもよい。多孔質層14は、例えば、エピタキシャル成長させたシリコン層や低抵抗であるホウ素を含むポリシリコン層を多孔質化したものであることが好ましい。多孔質層14は、基板10と複数の電極層16との間に配置される。
図4に示すように、本実施形態に係る半導体記憶装置1の基板10は、半導体記憶装置の製造工程で最終的に多孔質層14を介して分離し、半導体記憶装置2が製造される。半導体記憶装置2は、基板10と多孔質層14とを除去した後に表面を洗浄し、必要に応じて平坦化、外部端子を形成してもよい。半導体記憶装置2は、個片化して半導体チップ3としてもよい。分離した基板10は残存した多孔質層14等を除去し、再利用してもよい。
【0020】
[多孔質層の構成]
シリコン層13および多孔質層14の構成及び形成方法について、
図5Aおよび
図5Bに説明する。
図5Aは、シリコン層13の構成及び形成方法を示す図である。
図5Bは、多孔質層14の構成及び形成方法を示す図である。まず、
図5Aに示すように、基板10のメモリセルが配置される面の略全面に基板10よりも低抵抗なシリコン層13を形成する。シリコン層13は、例えば、エピタキシャル成長させたシリコン層や、ホウ素(B)を含有したポリシリコン層である。
【0021】
シリコン層13は、例えば、LP-CVD法によって形成してもよい。低抵抗なシリコン層13は、LP-CVD法によって800℃前後の成膜温度で約100nm~20000nmのシリコン層13を基板10上に形成してもよい。シリコン層13をLP-CVD法で形成する場合、基板10の裏面側にもシリコン層が形成されることがある。この場合、裏面側のシリコン層はウエットエッチング法などで除去しておいてもよい。
【0022】
また、シリコン層13は、例えば、PE-CVD法によって形成してもよい。低抵抗なシリコン層13は、PE-CVD法によって500℃前後の成膜温度で約100nm~20000nmのアモルファス状シリコン層を形成し、その後、850℃でアニールをすることにより結晶化と活性化を行うことで形成してもよい。
【0023】
また、基板10に不純物をイオン注入し、その後、アニールをすることにより活性化を行うことで基板10の表面に低抵抗なシリコン層13を形成してもよい。低抵抗なシリコン層13は、例えば、イオン注入法によってホウ素(B)をドーピングすることにより約100nm~20000nmのシリコン層13を基板10上に形成してもよい。
【0024】
次に、
図5Bに示すように、例えば、陽極化成法等により、低抵抗なシリコン層13を多孔質化し、低抵抗な多孔質層14を形成する。本実施形態においてはシリコン層13の略全面を多孔質化し、多孔質層14を形成する。しかしながらこれに限定されず、低抵抗な多孔質層14は、後述する半導体チップ3を製造するための有効素子領域R1よりも外側まで形成すればよい。
【0025】
また、基板10の表面を、陽極化成法等により低抵抗化および多孔質化し、低抵抗な多孔質層14を形成してもよい。基板10は、例えば、比抵抗0.01Ω・cmのP型単結晶Si基板であってもよく、HF溶液中において陽極化成を行うことで低抵抗な多孔質層14を形成してもよい。陽極化成条件は、例えば、電流密度:5(mA・cm-2)、陽極化成溶液:HF:H2O:C2H5OH=1:1:1、時間:12(分)多孔質Siの厚み:10(μm)、Porosity:15(%)であってもよい。
【0026】
シリコン基板の場合、不純物の濃度が基板の抵抗と関連が有り、不純物濃度が高ければ抵抗は下がる。本実施形態において、例えば、基板10の不純物の濃度は、1×1014cm-3以上1×1016cm-3以下であることが好ましく、多孔質層14の不純物の濃度は、例えば、1×1017cm-3以上1×1019cm-3以下であることが好ましい。本実施形態において、基板10の抵抗は10Ωcm以上20Ωcm以下であることが好ましく、多孔質層14の抵抗は0.015Ωcm以上約0.15Ωcm以下であることが好ましい。多孔質層14の抵抗は基板10の抵抗より100倍以上小さいことが好ましい。
【0027】
本実施形態において、基板10と多孔質層14それぞれの、光の吸収率の波長依存性は異なる。基板10が1μm以上の波長に対して吸収率が低いのに対し、多孔質層14は低抵抗のシリコン層で形成されていることから1μm以上の波長においては長波長になるほど吸収率が高くなる。すなわち、1μm以上の波長において、多孔質層14の吸収係数は基板10の吸収係数より大きい。したがって、波長1μm以上の赤外光エネルギーは、基板10を透過するけれども、多孔質層14で吸収される。
【0028】
[基板処理装置]
本実施形態にかかる基板処理装置300について、
図6を用いて説明する。
【0029】
図6は、基板処理装置の基本的な構成を示す上面図である。
図6に示すように、基板処理装置300は、カセット載置台310、ウエハ搬送装置320、バッファステーション330、処理ステーション340を備える。
【0030】
カセット載置台310は、半導体記憶装置1または半導体記憶装置2を収納する複数のカセット312を含む。バッファステーション330は、基板処理前後の半導体記憶装置1および半導体記憶装置2の交換を行う。ウエハ搬送装置320は、カセット312に収納される基板処理前の半導体記憶装置1をバッファステーション330に搬送し、基板処理後の半導体記憶装置2および基板10をバッファステーション330からカセット載置台310に搬送する。バッファステーション330は、基板処理前の半導体記憶装置1のアライメントを行うウエハアライメント装置332を含む。ウエハアライメント装置332は、半導体記憶装置1のノッチの位置合わせを行う。
【0031】
処理ステーション340は、輸送装置350、第1の処理装置360、第2の処理装置370を含む。輸送装置350は、半導体記憶装置1をバッファステーション330から第1の処理装置360および第2の処理装置370の順に搬送し、基板処理後の半導体記憶装置2と基板10をバッファステーション330に搬送する。
【0032】
図7は、第1の処理装置360の基本的な構成を示す側面図である。第1の処理装置360は、ステージ361と、レーザー照射装置364と、位置検出装置366と、を備える。ステージ361は円形であり、ウエハ状(円盤状)の半導体記憶装置1を保持する。ステージ361は、真空チャックにより半導体記憶装置1を全面吸着してもよい。半導体記憶装置1は、基板20を下側(ステージ361側)、基板10を上側(ステージ361とは反対側)の向きで配置される。また、ステージ361は、半導体記憶装置1をステージ361に対して鉛直方向(Z方向)に昇降させる昇降機構を備える。昇降機構の昇降動作によって、基板処理前の半導体記憶装置1を第1の処理装置360に搬入することができるとともに、基板処理後の半導体記憶装置1を第1の処理装置360から搬出することができる。
【0033】
ステージ361は、回転機構362と制御部363とを含む。ステージ361は、回転機構362によって中心C1を含む鉛直軸を中心に回転する。ステージ361が回転することで、ステージ361が保持する半導体記憶装置1は中心C1を軸に回転する。回転機構362によって駆動されるステージ361の回転動作や回転速度は、制御部363によって制御される。しかしながらこれに限定されず、回転機構362によって駆動されるステージ361の回転動作や回転速度は、基板処理装置300の制御部380によって制御されてもよい。
【0034】
ステージ361の上方には、レーザー照射装置364と位置検出装置366が配置される。位置検出装置366は、半導体記憶装置1の外周位置と厚みを検出する。位置検出装置366が半導体記憶装置1の外周位置と厚みを検出することで、レーザーの照射領域R3の位置をより正確に制御することができる。位置検出装置366は、レーザー照射装置364と一体である形態を示した。しかしながらこれに限定されず、位置検出装置366はレーザー照射装置364と別体であってもよい。
【0035】
レーザー照射装置364は、半導体記憶装置1のレーザーの照射領域R3にレーザーを照射する。レーザーは半導体記憶装置1の多孔質層14に集光して照射する。レーザー照射装置364は、レーザー発振機構(図示せず)から発振された高周波のパルス状のレーザーを照射する。レーザーは、例えば、波長1μm以上の赤外パルスレーザーであることが好ましく、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)であることが好ましい。レーザーの照射によって抵抗が低い多孔質層14はアブレーションを起こす。
【0036】
レーザー照射装置364は、移動機構367と制御部368とを含む。レーザー照射装置364は、移動機構367によってステージ361の上方を半径方向に移動する。レーザー照射装置364は、少なくとも半導体記憶装置1の端から中心方向に半導体記憶装置1の照射領域R3の幅を移動することができる。ステージ361が回転しながらレーザー照射装置364が移動することで、レーザー照射装置364はステージ361に対して渦巻き状の軌道に沿ってレーザーを照射することができる。移動機構367によって駆動されるレーザー照射装置364の移動動作や移動速度、およびレーザー照射装置364のレーザー出力は、制御部368によって制御される。しかしながらこれに限定されず、移動機構367によって駆動されるレーザー照射装置364の移動動作や移動速度、およびレーザー照射装置364のレーザー出力は、基板処理装置300の制御部380によって制御されてもよい。
【0037】
図8Aは、第2の処理装置370の基本的な構成を示す側面図である。
図8Bは、第2の処理装置370の基本的な構成を示す上面図である。第2の処理装置370は、ステージ371と、複数のパッド373と、を備える。ステージ371は円形であり、ウェハ状(円盤状)の半導体記憶装置1を保持する。ステージ371は、真空チャックにより半導体記憶装置1を全面吸着してもよい。半導体記憶装置1の中心は、ステージ371の中心C2に配置されることが好ましい。半導体記憶装置1は、基板20を下側(ステージ371側)、基板10を上側(ステージ371とは反対側)の向きで配置される。また、ステージ371は、半導体記憶装置1をステージ371に対して鉛直方向(Z方向)に昇降させる昇降機構を備える。昇降機構の昇降動作によって、基板処理前の半導体記憶装置1を第2の処理装置370に搬入することができるとともに、基板処理後の半導体記憶装置2および基板10を第2の処理装置370から搬出することができる。
【0038】
ステージ371の上方には、複数のパッド373が配置される。複数のパッド373は円環形状で、平面視で円形のステージ371に対して中心C2を中心に同心円状に配置される。複数のパッド373のそれぞれは、ステージ371に対して鉛直方向(Z方向)に昇降させる昇降機構(図示せず)と、吸引・加圧機構(図示せず)を備える。複数のパッド373は、昇降動作によって半導体記憶装置1の基板10に接するように配置されてもよい。複数のパッド373の基板10との接触面は、吸引または加圧動作によって半導体記憶装置1の基板10に吸引または加圧してもよい。例えば、複数のパッド373のうち半導体記憶装置1の基板10を吸引するパッド373は、昇降機構による上昇動作によって基板10をステージ371に対して鉛直方向(Z方向)に引き上げてもよい。複数のパッド373のうち半導体記憶装置1の基板10を加圧するパッド373は、昇降機構による下降動作によって基板10をステージ371に対して鉛直方向(Z方向)に押し付けてもよい。複数のパッド373のそれぞれの、昇降機構による昇降動作と吸引・加圧機構による吸引または加圧動作は独立して制御される。すなわち、吸引および上昇動作するパッド373と、加圧および下降動作するパッド373は混在していてもよい。半導体記憶装置1の外周側に配置されるパッド373は吸引および上昇動作してもよく、半導体記憶装置1の中心C2側に配置されるパッド373は加圧および下降動作してもよい。半導体記憶装置1の外周側に配置されるパッド373から中心C2側に配置されるパッド373にかけて、加圧および下降動作から吸引および上昇動作に経時的に切り替えて制御してもよい。パッド373の基板10との接触部は、柔軟性の有るゴムなどであることが好ましい。
【0039】
図8Cは、変形例の係る第2の処理装置370の基本的な構成を示す上面図である。
図8Bにおいて、本実施形態に係る複数のパッド373は円環形状である形態を示した。しかしながらこれに限定されず、
図8Cに示すように、パッド373は同心円上に点状に配置されてもよい。この場合、1つの円周上に配置される複数のパッド373は昇降動作と吸引または加圧動作は一括して制御されてもよい。
【0040】
輸送装置350は、半導体記憶装置1、半導体記憶装置2および基板10を第1の処理装置360および第2の処理装置370に搬入・搬出するためのウエハハンド352を含む。
図9Aは、ウエハハンド352の基本的な構成を示す側面図である。
【0041】
ウエハハンド352は、例えば、第1のアーム352a、第2のアーム352b、および第3のアーム352cを有する。
図9Aにおいては、第1のアーム352aが伸長している図を示す。しかしながらこれに限定されず、ウエハハンド352の第1のアーム352a、第2のアーム352b、および第3のアーム352cは、それぞれ伸縮可能である。
【0042】
図9Bは、第1のアーム352aの構成を示す上面図である。第1のアーム352aは、ステージの昇降機構によって上昇した半導体記憶装置1または半導体記憶装置2の下に差し込むことによって、半導体記憶装置1または半導体記憶装置2を保持することができ、第1の処理装置360または第2の処理装置370に搬入・搬出することができる。第1のアーム352aは、上面に吸引孔を有し、吸引により半導体記憶装置1または半導体記憶装置2の基板20を吸着保持してもよい。
図9Bにおいて、第1のアーム352aは板状である形態で示した。しかしながらこれに限定されず、第1のアーム352aは、半導体記憶装置1または半導体記憶装置2を安定して保持できればよい。
【0043】
図9Cは、第2のアーム352bの構成を示す上面図である。第2のアーム352bは、複数のパッド373の吸引・加圧機構によって吸引および昇降機構によって上昇した基板処理後の基板10の下に差し込むことによって、基板10を保持することができ、第2の処理装置370から搬出することができる。
図9Cにおいて、第2のアーム352bは円環形状である形態を示した。しかしながらこれに限定されず、第2のアーム352bは、基板10に残存する多孔質層14と干渉せずに基板10を安定して保持できればよい。
【0044】
図9Dは、第3のアーム352cの構成を示す上面図である。第3のアーム352cは、第2のアーム352bによって第2の処理装置370から搬出した基板処理後の基板10を上から保持することができる。第3のアーム352cは、下面に吸引孔を有し、吸引により基板処理後の基板10を吸着保持してもよい。
図9Dにおいて、第3のアーム352cは板状である形態で示した。しかしながらこれに限定されず、第3のアーム352cは、基板10を安定して保持できればよい。第3のアーム352cによって基板10を上から保持した状態で、第2のアーム352bを引き抜き、第3のアーム352cを回転することで基板10を反転することができる。
【0045】
[基板分離方法]
本実施形態にかかる基板処理装置300を用いて、半導体記憶装置1から基板10と多孔質層14を除去する基板分離方法について説明する。実施形態の半導体記憶装置(半導体装置)は以降に説明する基板分離方法を用いて製造される。
図10は、本実施形態に係る基板分離方法を説明するフロー図である。
【0046】
まず、カセット載置台310のカセット312に半導体記憶装置1を載置すると、ウエハ搬送装置320は半導体記憶装置1をバッファステーション330に搬送する。バッファステーション330のウエハアライメント装置332は半導体記憶装置1のノッチの位置合わせ(アライメント)を行う。輸送装置350は、ウエハハンド352の第1のアーム352aを用いて半導体記憶装置1をバッファステーション330から第1の処理装置360に搬入する(
図10のS01)。
【0047】
図11Aから
図11Cは、本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
図11Aに示すように、半導体記憶装置1は、多孔質層14が配置される基板10を上側(ステージ361とは反対側)の向きに第1の処理装置360のステージ361に載置し、真空チャックの吸引によりステージ361に全面吸着する。半導体記憶装置1の中心は、ステージ361の中心C1に配置されることが好ましい。
【0048】
図11Bに示すように、位置検出装置366によって、半導体記憶装置1の外周位置と厚みを検出する。位置検出装置366が検出した半導体記憶装置1の外周位置と厚みから、レーザーの照射領域R3の位置を設定する。
【0049】
図11Cに示すように、回転機構362によってステージ361を回転させながら、レーザー照射装置364によって半導体記憶装置1のレーザーの照射領域R3にレーザーを照射する(
図10のS02)。レーザーは、例えば、波長1μm以上の赤外パルスレーザーであることが好ましく、炭酸ガスレーザー(CO
2レーザー)であることが好ましい。波長1μm以上のレーザーは基板10に対して透過性を有する。このため、半導体記憶装置1の基板10側からレーザーを照射することで、基板10の下に位置する多孔質層14に集光して照射することができる。
【0050】
移動機構367によってレーザー照射装置364をステージ361の上方を半径方向に移動(矢印)させることで、レーザー照射装置364はステージ361に対して渦巻き状の軌道に沿ってレーザーを照射する。レーザー照射装置364は、少なくとも半導体記憶装置1の端から中心方向に半導体記憶装置1の照射領域R3の幅を移動させる。レーザー照射装置364は、ステージ361に配置される半導体記憶装置1に対して渦巻き状の軌道に沿って円環形状の照射領域R3にレーザーを照射する。
【0051】
図12は、本実施形態に係る半導体記憶装置1のレーザーの照射領域R3を示す断面図である。不純物が少ない高抵抗の基板10は、赤外光をほとんど吸収せず、光と反応しない。一方、レーザーの照射によって抵抗が低い多孔質層14は赤外光を吸収して発熱し、急激な熱膨張により横方向(XY方向)に局所的なせん断応力が発生する。更に、多孔質層14は空隙を内部に有している為、断熱性が高く、ヤング率が低い。このため、低いエネルギーで多孔質層14の内部、あるいは上下層との界面で容易に亀裂を生じさせることができる。照射領域R3の多孔質層14は、亀裂が入ることによって接合力が低下する。レーザー照射による多孔質層14の改質(接合力の低下)を促進させるために、基板10と多孔質層14の抵抗の差および光の吸収係数の差は大きい方が好ましい。また、レーザーの波長は、より長波長の方が、高抵抗である基板10中を吸収されずに透過し、低抵抗である多孔質層14で吸収されることが出来る。
【0052】
なお、本実施形態においては、第1の処理装置360のステージ361の回転速度、レーザー照射装置364の移動速度、およびレーザー照射装置364のレーザー出力(パルスレーザーの振動数、レーザースポットの直径)を2つの制御部368、363がそれぞれ制御する構成を示した。しかしながらこれに限定されず、第1の処理装置360のステージ361の回転速度、レーザー照射装置364の移動速度、およびレーザー照射装置364のレーザー出力(パルスレーザーの振動数、レーザースポットの直径)は、基板処理装置300の制御部380によって統合して制御されてもよい。
【0053】
図13Aおよび
図13Bは、本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
図13Aに示すように、ステージ361の真空チャックの吸引を解除して、昇降機構によって半導体記憶装置1をステージ361から上昇させる。
【0054】
図13Bに示すように、ステージ361から昇降機構によって上昇した半導体記憶装置1の下にウエハハンド352の第1のアーム352aを差し込み、半導体記憶装置1を保持する。
図14Aおよび
図14Bは、本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図および側面図である。
図14Aに示すように、第1のアーム352aは上面に吸引孔を有し、吸引により半導体記憶装置1の基板20を吸着保持する。
図14Bに示すように、第1のアーム352aを伸縮および移動することで、第1の処理装置360から半導体記憶装置1を搬出し、第2の処理装置370に半導体記憶装置1を搬入する(
図10のS03)。
【0055】
図15Aおよび
図15Bは、本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図および上面図である。
図15Aおよび
図15Bに示すように、半導体記憶装置1は、多孔質層14が配置される基板10を上側(ステージ371とは反対側)の向きに第2の処理装置370のステージ371に載置し、真空チャックの吸引によりステージ371に全面吸着する。複数のパッド373は、平面視で半導体記憶装置1に対して同心円状に、半導体記憶装置1の基板10に接して配置される。ここで、半導体記憶装置1の最外周に配置されるパッド373aは吸引および上昇動作し、半導体記憶装置1の中心C2側に配置される残りのパッド373は加圧および下降動作する。照射領域R3の多孔質層14はレーザー照射によって改質(接合力の低下)していることから、最外周に配置されるパッド373aの吸引および上昇動作と中心C2側に配置される残りのパッド373の加圧および下降動作によって、外周部に沿って均一に引き剥がす力が働き、改質した多孔質層14を起点に基板10の分離が開始する。
【0056】
図16Aおよび
図16Bに示すように、基板10の分離が開始したら、最外周に配置されるパッド373aと隣接するパッド373bは吸引および上昇動作し、半導体記憶装置1の中心C2側に配置される残りのパッド373は加圧および下降動作する。
図17Aおよび
図17Bに示すように、半導体記憶装置1の外周側のパッド373aから中心側のパッド373dに向かって段階的に加圧および下降動作から吸引および上昇動作切り替えて制御することで、基板10を多孔質層14で分離する(
図10のS04)。
【0057】
図18は、本実施形態に係る半導体記憶装置1からの基板10の分離を説明する断面図である。基板10は、改質した照射領域R3の多孔質層14を起点に、半導体記憶装置1の外周側から中心側に多孔質層14内または多孔質層14の界面で剥離される。
【0058】
図19は、本実施形態に係る半導体記憶装置2の構成を示す断面図である。半導体記憶装置2は、基板10と多孔質層14とを除去した後に表面を洗浄し、必要に応じて平坦化、外部端子を形成してもよい。基板10は表面に残る多孔質層14を除去および洗浄して再利用してもよい。
【0059】
図20Aおよび
図20Bは、本実施形態に係る基板分離方法を説明する処理装置の側面図である。
図20Aに示すように、複数のパッド373の吸引および上昇動作により、分離した基板10をステージ371上の半導体記憶装置2から引き離す。複数のパッド373によって上昇した基板10の下にウエハハンド352の第2のアーム352bを差し込み、基板10を保持する。
【0060】
図21Aおよび
図21Bは、本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図および側面図である。
図21Aに示すように、基板10の下面(半導体記憶装置2側の面)は多孔質層14が一部残存することから、第2のアーム352bは円環形状であることが好ましい。
図21Bに示すように、第2のアーム352bを伸縮および移動することで、第2の処理装置370から半導体記憶装置2を搬出する。
【0061】
図22Aおよび
図22Bは、本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図および側面図である。
図22Aおよび
図22Bに示すように、第2のアーム352bによって保持される基板10は、第3のアーム352cによって持ちかえる。第3のアーム352cは、下面に吸引孔を有し、吸引により基板処理後の基板10を上から吸着保持する。
【0062】
図23Aおよび
図23Bは、本実施形態に係る基板分離方法を説明するウエハハンドの上面図および側面図である。
図23Aおよび
図23Bに示すように、第3のアーム352cによって保持される基板10は、第2のアーム352bを引き抜き、第3のアーム352cを回転することで反転する。輸送装置350は、ウエハハンド352の第3のアーム352cを用いて基板10を第2の処理装置370からバッファステーション330に搬送する。
【0063】
図20Bに示すように、ステージ371の真空チャックの吸引を解除して、昇降機構によって半導体記憶装置2をステージ371から上昇させる。ステージ371から昇降機構によって上昇した半導体記憶装置2の下にウエハハンド352の第1のアーム352aを差し込み、半導体記憶装置2を保持する。輸送装置350は、ウエハハンド352の第1のアーム352aを用いて半導体記憶装置2を第2の処理装置370からバッファステーション330に搬送する。
【0064】
ウエハ搬送装置320は半導体記憶装置2と基板10とをバッファステーション330からカセット載置台310のカセット312に搬送する(
図10のS05)。
【0065】
本実施形態に係る基板分離方法において、照射領域R3の多孔質層14にレーザーを照射することによって、照射領域R3の多孔質層14には亀裂が入り接合力が低下する。改質(接合力の低下)した多孔質層14を起点に半導体記憶装置1から基板10を分離することによって、有効素子領域R1のメモリセルアレイやCMOS回路を損傷することなく、基板10を分離することができる。機械的に脆弱な多孔質層14を基板10に形成しておくことで、基板10を分離するときのダメージを多孔質層14にとどめておくことができる。これにより、弱いエネルギーのレーザー照射でも基板10の分離が可能で、レーザー照射によるメモリセルアレイチップ100および制御回路チップ200の応力ダメージ、塑性変形痕を抑制することができる。したがって、本実施形態に係る基板分離方法は、半導体記憶装置2の製造効率を向上し、かつ基板10の再利用効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 半導体記憶装置(貼合基板)、2 半導体記憶装置、3 半導体チップ、10 基板、11 メモリセルアレイ領域、12 コンタクト領域、14 多孔質層、15 半導体ピラー、16 電極層、17 メモリ側配線層、20 基板、26 トランジスタ、27 回路側配線層、100 メモリセルアレイチップ、200 制御回路(CMOS回路)チップ、300 基板処理装置、310 カセット載置台、312 カセット、320 ウエハ搬送装置、330 バッファステーション、332 ウエハアライメント装置、340 処理ステーション、350 輸送装置、352 ウエハハンド、360 第1の処理装置、361 ステージ、362 回転機構、363 制御部、364 レーザー照射装置、366 位置検出装置、367 移動機構、368 制御部、370 第2の処理装置、371 ステージ、373 パッド、380 制御部