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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126366
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20240912BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240912BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240912BHJP
   B60L 53/62 20190101ALI20240912BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H02J7/00 P
H02J7/10 A
B60L53/62
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034691
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】高見 公章
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA10
5G503DA04
5G503DA19
5G503FA06
5G503GD03
5H030AA01
5H030AS08
5H030BB09
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125BC23
5H125BE02
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】車載バッテリの劣化を抑制でき、かつ、車載バッテリの充電時間の延長を抑制できる充電制御装置を提供する。
【解決手段】電気自動車である車1において、外部の充電器8から車載バッテリ2への充電を制御する充電制御装置A1は、車載バッテリ2への充電中に車載負荷(例えばエアコン3)での消費電力が変化する際に、消費電力の単位時間当たりの変化量である第1変化速度と、充電器8の出力電力の単位時間当たりの変化量である第2変化速度とを一致させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車において、外部の充電器から車載バッテリへの充電を制御する充電制御装置であって、
前記車載バッテリへの充電中に車載負荷での消費電力が変化する際に、前記消費電力の単位時間当たりの変化量である第1変化速度と、前記充電器の出力電力の単位時間当たりの変化量である第2変化速度とを一致させる、
充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などにおいて、充電器から車載バッテリへの充電を制御する充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の車載バッテリは、充電スタンドの充電器によって充電することができる。また、電気自動車は、空調のためのエアコンディショナ(以下では、「エアコン」と略して記載する)を備えている。エアコンの電動コンプレッサおよび高電圧電気ヒータなどは、車載バッテリから電力を供給される。充電器による充電中にエアコンが起動された場合、車載バッテリに充電された電力がエアコンで消費されるので、結果的に車載バッテリに充電される電力は、エアコンでの消費分だけ減少する。これに対応するために、車載バッテリに充電するための電力に、エアコンで消費される電力を上乗せして、充電器から電気自動車に供給する方法が知られている。この方法によると、上乗せされた電力がエアコンで消費されることで、当初予定していた電力が車載バッテリに充電される。特許文献1には、充電時に電動エアコンを起動する指示を検出したときに、充電器最大出力電流値と充電電流値との差分の電流値により電動エアコンを駆動する電気自動車用充電制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-65814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記方法を採用した場合でも、エアコンの起動時および停止時に問題が生じる場合がある。充電器において、出力電力を変化させる場合、単位時間当たりの変化量(以下では、「変化速度」と記載する)は、充電器の仕様によって定まっている。例えば、CHAdeMO(登録商標)規格では、電力の増加時でも減少時でも、出力電流の変化速度は、100ms当たり2Aに規定されている。なお、充電器の出力電圧は固定されており、出力電力の変化速度は、出力電流の変化速度に出力電圧を乗算した値になる。一方、エアコンの消費電力の変化速度は、エアコンの制御によって異なってくる。エアコンの消費電力の変化速度が充電器の出力電力の変化速度より小さい場合(後述する図4(b)参照)、エアコンの起動直後の期間において、充電器の出力電力の増加分がエアコンの消費電力を上回る。この上回った電力は、車載バッテリに充電される。エアコン起動前の充電器の出力電力は、車載バッテリの許容電力最大値より少し小さい電力に設定されている。したがって、エアコンの起動直後の期間において、車載バッテリに充電される電力が、許容電力最大値を上回る場合がある。図4(b)において点描を付している領域の面積が、許容電力最大値を上回って充電された電力量に相当する。車載バッテリは、許容電力最大値を上回る電力が充電されると、劣化が進行する。一方、エアコンの消費電力の変化速度が充電器の出力電力の変化速度より大きい場合(後述する図4(c)参照)、エアコンの起動直後の期間において、充電器の出力電力の増加分がエアコンの消費電力を下回る。この下回った電力は車載バッテリから供給されるので、その分、車載バッテリの充電に係る時間が長くなる。図4(c)において点描を付している領域の面積が、余分に充電が必要な電力量に相当する。エアコンの停止時にも同様の問題が生じる。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、車載バッテリの劣化を抑制でき、かつ、車載バッテリの充電時間の延長を抑制できる充電制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明によって提供される充電制御装置は、電気自動車において、外部の充電器から車載バッテリへの充電を制御する充電制御装置であって、前記車載バッテリへの充電中に車載負荷での消費電力が変化する際に、前記消費電力の単位時間当たりの変化量である第1変化速度と、前記充電器の出力電力の単位時間当たりの変化量である第2変化速度とを一致させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、第1変化速度と第2変化速度とが一致する。したがって、第1変化速度が第2変化速度より小さい場合と比較して、車載バッテリに充電される電力が許容電力最大値を上回ることが抑制される。これにより、本発明に係る充電制御装置は、車載バッテリの劣化を抑制できる。また、第1変化速度が第2変化速度より大きい場合と比較して、車載バッテリからエアコンに供給される電力が抑制される。これにより、本発明に係る充電制御装置は、車載バッテリの充電時間の延長を抑制できる。
【0009】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る充電制御装置を説明するための図であり、(a)は充電器による車の充電状態を示す概略図であり、(b)は車の内部構成を示す概略ブロック図である。
図2】充電制御装置が行う接続時処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図3】充電制御装置が行う電力変更処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図4】第1実施形態に係る充電制御装置の効果を説明するためのタイムチャートである。
図5】第2実施形態に係る充電制御装置を説明するための図であり、車の内部構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る充電制御装置A1を説明するための図である。図1(a)は、充電器8によって電気自動車である車1の車載バッテリ2を充電している状態を示す概略図である。図1(b)は、車1の内部構成を示す概略ブロック図である。図1に示すように、車1は、車載バッテリ2、エアコン3、エアコン制御装置6、電力変換装置4、プラグインコネクタ5、および充電制御装置A1を備えている。なお、車1は、その他の構成も含んでいるが、図1においては記載を省略している。また、車1は、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車に限定されず、内燃機関が併設されたプラグインハイブリッド車などであってもよい。
【0013】
充電器8は、駐車場などに配置されている充電スタンドの充電器であり、電気自動車などの充電を行う。充電器8は、いわゆる急速充電器であり、直流電力を出力して急速充電を行う。充電器8は、商用電源から入力される交流電力を直流電力に変換して出力する。充電器8は、図示しない通信部によって車1と通信を行って各種情報を送受信し、車1からの指令に応じて電力を出力する。充電器8は、充電ケーブル81によって車1と接続される。充電ケーブル81は、先端に充電コネクタ82が配置されており、内部に電力線81aおよび通信線81bが配置されている。充電器8は、電力線81aを介して電力を出力し、通信線81bを介して通信を行う。
【0014】
車1は、充電ケーブル81の充電コネクタ82がプラグインコネクタ5に接続されることで、充電器8に接続される。車1は、電力線81aを介して、充電器8から直流電力を供給され、通信線81bを介して充電器8の通信部と通信を行う。
【0015】
車載バッテリ2は、車1に搭載されている蓄電池であり、例えばリチウムイオン電池などである。車載バッテリ2は、充電器8から供給される電力を蓄電し、走行用の電動機に電力を供給する。また、車載バッテリ2は、走行用の電動機以外の車載負荷にも電力を供給する。車載負荷には、エアコン3、ワイパー、ヘッドライトやルームランプなどの電灯類、オーディオ、およびカーナビなどが含まれている。
【0016】
電力変換装置4は、プラグインコネクタ5から入力される直流電力を、充電制御装置A1から入力される指令に基づいて電圧を変換して、車載バッテリ2に出力する。電力変換装置4から出力される直流電力が車載バッテリ2に充電される。電力変換装置4の具体的な構成は限定されない。
【0017】
エアコン3は、車1の車内の空調を行う構成であり、冷却された送風と加熱された送風との混合率を調整することで、送風の温度を調整する。エアコン3は、図1(b)に示すように、コンプレッサ31およびヒータ32を備えている。なお、エアコン3は、その他の構成も含んでいるが、図1(b)においては記載を省略している。
【0018】
コンプレッサ31は、電動コンプレッサであり、送風の一部を冷却する冷媒の圧縮に用いられる。ヒータ32は、高電圧電気ヒータであり、送風の一部を加熱するために用いられる。コンプレッサ31およびヒータ32は、車載バッテリ2から供給される電力で駆動する。なお、エアコン3は、送風用のブロア、および、ヒータ32で加熱された温水を循環させるポンプなども備えており、これらの駆動でも、車載バッテリ2から供給される電力が消費される。ただし、ブロアおよびポンプで消費される電力は、コンプレッサ31およびヒータ32で消費される電力と比較して、十分に小さい。
【0019】
エアコン制御装置6は、エアコン3を制御するECU(Electric Control Unit)であり、CPUおよびメモリを備えたマイクロコンピュータによって実現されている。エアコン制御装置6は、エアコン3の制御専用のECUであってもよいし、その他の制御機能も備えたECUであってもよい。エアコン制御装置6は、ユーザの操作に応じてエアコン3を起動および停止させ、また、ユーザの設定に応じて、送風の流量および温度を制御する。
【0020】
また、エアコン制御装置6は、充電制御装置A1との間で信号および情報の入出力を行う。エアコン制御装置6は、エアコン3を起動するときに、エアコン3の起動を示す起動信号と、エアコン3が消費する電力を示す消費電力情報とを、充電制御装置A1に出力する。設定されている送風の流量および温度によって、エアコン3が消費する電力が異なる。送風の設定温度が低い場合(冷房時)、コンプレッサ31で消費される電力は大きく、ヒータ32で消費される電力は小さい。一方、送風の設定温度が高い場合(暖房時)、コンプレッサ31で消費される電力は小さく、ヒータ32で消費される電力は大きい。また、送風の設定流量が大きいほど、ブロアで消費される電力は大きい。エアコン制御装置6は、送風の設定温度および設定流量に応じた消費電力情報を、充電制御装置A1に出力する。なお、エアコン制御装置6は、送風の設定温度および設定流量によって変更されない固定された消費電力情報を出力してもよい。また、エアコン制御装置6が起動信号を出力して、充電制御装置A1が起動信号に応じて、あらかじめ記憶されている消費電力情報を読み出してもよい。また、エアコン制御装置6は、エアコン3を停止するときに、エアコン3の停止を示す停止信号を、充電制御装置A1に出力する。
【0021】
また、エアコン制御装置6は、車1が充電器8に接続されたときに、充電制御装置A1から、変化速度情報を入力されて記憶する。変化速度情報は、充電器8が出力電力を変化させる際の変化速度(単位時間当たりの変化量)を示す情報であって、出力電力を増加するときの増加速度、および、出力電力を減少するときの減少速度を含んでいる。なお、増加速度および減少速度が共通である場合もある。
【0022】
エアコン制御装置6は、充電中において、エアコン3の起動時および停止時には、変化速度情報に応じた制御を行う。具体的には、エアコン制御装置6は、エアコン3の起動時には、エアコン3の消費電力の増加速度を変化速度情報の増加速度(充電器8の出力電力の増加速度)に一致させる。また、エアコン制御装置6は、エアコン3の停止時には、エアコン3の消費電力の減少速度を変化速度情報の減少速度(充電器8の出力電力の減少速度)に一致させる。すなわち、エアコン制御装置6は、エアコン3の消費電力が変化速度情報に応じて変化するように、コンプレッサ31およびヒータ32などを制御する。なお、エアコン3において、コンプレッサ31およびヒータ32以外で消費される電力は十分小さいので、エアコン制御装置6は、コンプレッサ31およびヒータ32だけを制御してもよい。エアコン制御装置6は、充電中であるか否かを、充電制御装置A1から入力される指令により把握している。エアコン制御装置6は、充電中でない場合は、変化速度情報に関係なく、エアコン3の制御を行う。
【0023】
充電制御装置A1は、車載バッテリ2の充電を制御するECUであり、CPUおよびメモリを備えたマイクロコンピュータによって実現されている。充電制御装置A1は、車載バッテリ2の充電専用のECUであってもよいし、その他の制御機能も備えたECUであってもよい。充電制御装置A1は、充電器8に、電力の出力開始および停止を指令する。また、充電制御装置A1は、電力の出力開始時に、充電器8に出力電力を指令する。また、充電制御装置A1は、充電中にエアコン3が起動または停止するとき、充電器8に、出力電力の変更を指令する。このとき、充電制御装置A1は、消費電力情報に基づいて、出力電力の増加量または減少量を指令する。充電器8は、充電制御装置A1の指令に応じて、出力電力を変更する。また、充電制御装置A1は、車載バッテリ2の充電状態に応じて、電力変換装置4に電圧の変換を指令する。さらに、充電制御装置A1は、充電中にエアコン3が起動または停止するとき、エアコン3の消費電力の変化速度と、充電器8の出力電力の変化速度とを一致させる。本実施形態では、充電制御装置A1は、充電器8に接続されたときに、充電器8から情報を取得し、当該情報に基づいて変化速度情報を取得して、エアコン制御装置6に出力する。エアコン制御装置6が、入力された変化速度情報に応じてエアコン3の消費電力を制御することで、消費電力の変化速度が充電器8の出力電力の変化速度に一致する。充電制御装置A1は、通信部11、仕様取得部12、変化速度取得部13、記憶部14、および変化速度指令部15を備えている。
【0024】
通信部11は、通信線81bを介して充電器8の通信部と通信を行う。通信部11は、車1が充電器8に接続されたときに、車1の各種情報を充電器8に送信し、充電器8の各種情報を充電器8から受信する。通信部11が充電器8に送信する情報には、車1のメーカおよび車種の情報などが含まれるが、限定されない。通信部11が充電器8から受信する情報には、後述する仕様情報などが含まれる。また、通信部11は、充電器8に、電力の出力開始および停止を指令する指令信号を送信し、充電中にエアコン3が起動または停止するとき、出力電力の変更を指令する指令信号を送信する。通信部11は、充電中においても、充電器8の通信部との間で各種情報を送受信する。なお、通信部11と充電器8の通信部との間で送受信される情報は限定されない。また、通信部11と充電器8の通信部との通信規格は限定されない。なお、通信部11は、無線通信によって充電器8の通信部と通信を行ってもよい。
【0025】
仕様取得部12は、通信部11が充電器8から受信した情報のうちの仕様情報を取得する。仕様情報は、充電器8の仕様を特定するための情報であり、充電器8のメーカおよび機種を特定できる識別番号などである。
【0026】
変化速度取得部13は、仕様取得部12が取得した仕様情報に対応する変化速度情報を取得する。各充電器の出力電力または出力電流の変化速度および出力電圧は公開されている。記憶部14には、公開情報に基づいて、仕様情報と変化速度情報とが対応付けて記憶されている。変化速度取得部13は、仕様情報に対応する変化速度情報を、記憶部14から読み出すことで取得する。
【0027】
変化速度指令部15は、変化速度取得部13が取得した変化速度情報を、エアコン制御装置6に出力する。エアコン制御装置6は、充電中にエアコン3を起動または停止させるとき、変化速度情報に応じてエアコン3の消費電力を制御する。これにより、エアコン3の消費電力の変化速度と、充電器8の出力電力の変化速度とが一致する。
【0028】
図2は、充電制御装置A1が行う接続時処理を説明するためのフローチャートの一例である。接続時処理は、車1が充電器8に接続されたときに行われる処理である。接続時処理は、充電制御装置A1が起動したときに開始される。
【0029】
まず、充電コネクタ82がプラグインコネクタ5に接続されたか否かが判別される(S11)。例えば、通信部11が充電器8の通信部と通信可能になった場合に、接続されたと判別される。なお、接続の判別方法は限定されない。接続されていない場合(S1:NO)、ステップS1に戻って、ステップS1の判別が繰り返され、接続されるのを待つ。接続された場合(S1:YES)、車1の各種情報が充電器8に送信され(S2)、充電器8から各種情報が受信されたか否かが判別される(S3)。受信されていない場合(S3:NO)、ステップS3に戻って、ステップS3の判別が繰り返され、受信されるのを待つ。受信された場合(S3:YES)、受信された情報のうちの仕様情報に基づいて、変化速度情報が取得される(S4)。具体的には、変化速度取得部13が、仕様取得部12が取得した仕様情報に対応する変化速度情報を、記憶部14から読み出すことで取得する。次に、変化速度情報が、エアコン制御装置6に出力され(S5)、接続時処理が終了する。なお、充電制御装置A1が行う接続時処理は、上述したフローチャートに示すものに限定されない。
【0030】
図3は、充電制御装置A1が行う電力変更処理を説明するためのフローチャートの一例である。電力変更処理は、充電器8の出力電力を変更させるための処理である。電力変更処理は、充電制御装置A1の稼働中に、所定のタイミングで実行される。
【0031】
まず、充電中であるか否かが判別される(S11)。充電中でない場合(S11:NO)、電力変更処理は終了する。充電中の場合(S11:YES)、エアコン3が起動されたか否かが判別される(S12)。具体的には、充電制御装置A1が、エアコン制御装置6から起動信号を入力されたか否かを判別する。エアコン3が起動されていない場合(S12:NO)、エアコン3が停止されたか否かが判別される(S14)。具体的には、充電制御装置A1が、エアコン制御装置6から停止信号を入力されたか否かを判別する。エアコン3が停止されていない場合(S14:NO)、電力変更処理は終了する。ステップS12において、エアコン3が起動された場合(S12:YES)、出力電力を増加させるための指令が出力され(S13)、電力変更処理は終了する。具体的には、通信部11が、出力電力を増加させる指令信号および出力電力の増加量を、充電器8に送信する。また、ステップS14において、エアコン3が停止された場合(S14:YES)、出力電力を減少させるための指令が出力され(S15)、電力変更処理は終了する。具体的には、通信部11が、出力電力を減少させる指令信号および出力電力の減少量を、充電器8に送信する。なお、充電制御装置A1が行う電力変更処理は、上述したフローチャートに示すものに限定されない。
【0032】
次に、第1実施形態に係る充電制御装置A1の作用効果について説明する。
【0033】
図4は、第1実施形態に係る充電制御装置A1の効果を説明するためのタイムチャートである。図4の各図は、充電器8の出力電力の時間変化を示している。図4(b)、(c)は、図4(a)の一部(時刻t2および時刻t3の前後)を拡大した図である。
【0034】
図4(a)に示すように、時刻t0において、充電制御装置A1が充電器8に電力の出力開始を指令したことで、充電器8が電力の出力を開始している。充電器8は、仕様によって定まっている増加速度で出力電力を増加させている。そして、時刻t1において、充電器8の出力電力は、充電制御装置A1が指令した指令電力になっている。指令電力は、許容電力上限値を超えない電力値が設定されている。
【0035】
時刻t2において、エアコン3が起動するために、充電制御装置A1が充電器8に出力電力の増加を指令したことで、充電器8の出力電力は、増加を開始している。このときも、充電器8は、仕様によって定まっている増加速度で出力電力を増加させている。そして、時刻t3において、充電器8の出力電力は、充電制御装置A1の増加指令に応じた電力が増加された電力になっている。一方、エアコン制御装置6は、時刻t2から、充電器8の出力電力の増加速度と同じ増加速度で消費電力が増加するように、エアコン3を制御する。エアコン3が、充電器8の出力電力の増加速度と同じ増加速度で電力を消費するので、エアコン3の起動直後の期間(時刻t2から時刻t3)においても、充電器8の出力電力の増加分がエアコン3によって過不足なく消費される。
【0036】
エアコン3の消費電力の増加速度が充電器8の出力電力の増加速度より小さい場合、図4(b)に示すように、エアコン3の起動直後の期間(時刻t2から時刻t4)において、充電器8の出力電力の増加分がエアコン3の消費電力を上回る。図4(b)に示す破線の傾きが、エアコン3の消費電力の増加速度を示している。充電器8の出力電力の増加分の電力のうちエアコン3の消費電力を上回った電力は、車載バッテリ2に充電される。したがって、車載バッテリ2に充電される電力が、許容電力最大値を上回る場合がある。図4(b)において点描を付している領域の面積が、許容電力最大値を上回って充電された電力量に相当する。車載バッテリ2は、許容電力最大値を上回る電力が充電されると、劣化が進行する。したがって、充電制御装置A1は、エアコン3の消費電力の増加速度が充電器8の出力電力の増加速度より小さい場合と比較して、車載バッテリ2に充電される電力が許容電力最大値を上回ることが抑制されるので、車載バッテリ2の劣化を抑制できる。
【0037】
エアコン3の消費電力の増加速度が充電器8の出力電力の増加速度より大きい場合、図4(c)に示すように、エアコン3の起動直後の期間(時刻t2から時刻t3)において、充電器8の出力電力の増加分がエアコン3の消費電力を下回る。図4(c)に示す破線の傾きが、エアコン3の消費電力の増加速度を示している。エアコン3の消費電力のうち充電器8の出力電力の増加分の電力を上回った電力は、車載バッテリ2から供給される。したがって、車載バッテリ2の充電に係る時間が長くなる。図4(c)において点描を付している領域の面積が、余分に充電が必要な電力量に相当する。したがって、充電制御装置A1は、エアコン3の消費電力の増加速度が充電器8の出力電力の増加速度より大きい場合と比較して、車載バッテリ2からエアコン3に供給される電力が抑制されるので、車載バッテリ2の充電時間の延長を抑制できる。
【0038】
図4においては、エアコン3の起動時について説明したが、エアコン3の停止時においても同様である。エアコン3の消費電力の減少速度が充電器8の出力電力の減少速度に一致することで、エアコン3の停止時において、充電器8の出力電力が減少するまでの電力がエアコン3によって過不足なく消費される。これにより、充電制御装置A1は、車載バッテリ2の劣化を抑制でき、かつ、車載バッテリ2の充電時間の延長を抑制できる。
【0039】
また、本実施形態によると、エアコン制御装置6は、エアコン3の消費電力が、充電制御装置A1から入力された変化速度情報に応じて変化するように、エアコン3を制御する。したがって、充電制御装置A1は、充電器8の出力電力の変化速度が固定されている場合でも、充電器8の出力電力の変化速度とエアコン3の消費電力の変化速度とを一致させることが可能である。
【0040】
なお、本実施形態においては、充電中にエアコン3の起動または停止が行われる場合について説明したが、これに限られない。充電制御装置A1は、充電中に、エアコン3以外の車載負荷の起動または停止が行われる場合においても、同様の制御を行ってもよい。エアコン3以外の車載負荷としては、ワイパー、ヘッドライトやルームランプなどの電灯類、オーディオ、およびカーナビなどが考えられる。
【0041】
また、本実施形態においては、車1が、直流電力を出力する急速充電器である充電器8によって充電される場合について説明したが、これに限られない。車1は、交流電力を出力する普通充電器によっても充電可能である。車1は、普通充電器に接続された場合、普通充電器から供給される交流電力を直流電力に変換して、車載バッテリ2に充電する。この場合でも、充電制御装置A1は、同じ制御を行うので、同様の効果を奏する。
【0042】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態に係る充電制御装置A2を説明するための図であり、車1の内部構成を示す概略ブロック図である。図5において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。第2実施形態に係る充電制御装置A2は、充電器8の出力電力の変化速度をエアコン3の消費電力の変化速度に一致させる点で、第1実施形態に係る充電制御装置A1と異なる。
【0043】
第1実施形態に係る充電制御装置A1は、エアコン3の消費電力の変化速度を充電器8の出力電力の変化速度に合わせることで両者を一致させていた。一方、第2実施形態に係る充電制御装置A2は、充電制御装置A1とは逆に、充電器8の出力電力の変化速度をエアコン3の消費電力の変化速度に合わせることで、両者を一致させる。充電制御装置A2は、仕様取得部12、変化速度取得部13、記憶部14、および変化速度指令部15の代わりに、変化速度取得部16および変化速度指令部17を備えている。
【0044】
本実施形態に係るエアコン制御装置6は、設定されている送風の流量および温度などに基づいて、エアコン3が起動された場合の消費電力の増加速度、および、エアコン3が停止された場合の消費電力の減少速度を算出し、充電制御装置A2に変化速度情報として出力する。充電制御装置A2の変化速度取得部16は、エアコン制御装置6から入力される変化速度情報を取得する。変化速度指令部17は、変化速度取得部16が取得した変化速度情報を、通信部11を介して、充電器8に送信する。充電器8は、通信部が受信した変化速度情報に基づいて、出力電力の変化速度を制御する。
【0045】
本実施形態によると、充電制御装置A2は、エアコン制御装置6からエアコン3の消費電力の変化速度情報を取得して、充電器8に送信する。充電器8は、受信した変化速度情報に基づいて、出力電力の変化速度を制御する。したがって、充電制御装置A2は、充電器8の出力電力の変化速度をエアコン3の消費電力の変化速度に一致させることができる。これにより、充電制御装置A2は、車載バッテリ2の劣化を抑制でき、かつ、車載バッテリ2の充電時間の延長を抑制できる。
【0046】
本発明に係る充電制御装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電制御装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0047】
A1,A2:充電制御装置
11 :通信部
12 :仕様取得部
13 :変化速度取得部
14 :記憶部
15 :変化速度指令部
16 :変化速度取得部
17 :変化速度指令部
1 :車
2 :車載バッテリ
3 :エアコン
31 :コンプレッサ
32 :ヒータ
4 :電力変換装置
5 :プラグインコネクタ
6 :エアコン制御装置
8 :充電器
81 :充電ケーブル
81a :電力線
81b :通信線
82 :充電コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5