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特開2024-126401サーボパラメータの調整方法、および調整装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126401
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】サーボパラメータの調整方法、および調整装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20240912BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02P29/00
G05B11/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034757
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩行
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 健治
(72)【発明者】
【氏名】大野 悌
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼向 英行
(72)【発明者】
【氏名】海田 僧太
(72)【発明者】
【氏名】浦邊 研太郎
【テーマコード(参考)】
5H004
5H501
【Fターム(参考)】
5H004GA30
5H004HA07
5H004HA08
5H004HB07
5H004HB08
5H004KB01
5H004KB17
5H004KB39
5H004LA13
5H501AA22
5H501BB11
5H501CC05
5H501GG01
5H501GG03
5H501GG11
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501JJ24
5H501JJ26
5H501KK06
5H501LL01
5H501LL34
(57)【要約】
【課題】対象装置における周波数特性の変動を可及的に考慮して好適なサーボパラメータの調整を実現する。
【解決手段】モータのサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する方法であって、
モータが取り付けられている対象装置において、該モータの周波数特性に関連する、異なる第1条件及び第2条件を少なくとも含む特性取得条件のそれぞれで、該モータの周波数特性を取得する第1ステップと、第1条件に対応する第1周波数特性と第2条件に対応する第2周波数特性とに基づいて、共振領域に関連する所定区間に対応する周波数特性である第3周波数特性を補間する第2ステップと、第1周波数特性と、第2周波数特性と、第3周波数特性とに基づいて、サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性ブロックを生成する第3ステップと、周波数特性ブロックに基づいて、サーボパラメータを調整する第4ステップと、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータのサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する方法であって、
前記モータが取り付けられている対象装置において、該モータの周波数特性に関連する、異なる第1条件及び第2条件を少なくとも含む特性取得条件のそれぞれで、該モータの周波数特性を取得する第1ステップと、
前記第1条件に対応する第1周波数特性と前記第2条件に対応する第2周波数特性とに基づいて、前記モータの周波数特性における共振領域に関連する所定区間に対応する周波数特性である第3周波数特性を補間する第2ステップと、
前記第1周波数特性と、前記第2周波数特性と、前記第3周波数特性とに基づいて、前記サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性ブロックを生成する第3ステップと、
前記周波数特性ブロックに基づいて、前記サーボパラメータを調整する第4ステップと、
を含む、サーボパラメータの調整方法。
【請求項2】
前記対象装置において前記モータにより駆動される負荷の可動範囲が有限の範囲に限定される場合、前記特性取得条件は、該可動範囲における該負荷の位置に関する条件である、
請求項1に記載のパラメータ調整方法。
【請求項3】
前記第1条件は、該負荷が該可動範囲において一方の端部に位置するときの位置条件であり、前記第2条件は、該負荷が該可動範囲における他方の端部に位置するときの位置条件である、
請求項2に記載のパラメータ調整方法。
【請求項4】
前記特性取得条件は、前記対象装置と仕様が同一の装置群における装置の稼働期間に関する条件であって、
前記第1条件と前記第2条件は、前記装置群において稼働期間の異なる第1の装置と第2の装置のそれぞれの稼働期間に係る条件である、
請求項1に記載のパラメータ調整方法。
【請求項5】
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第2ステップでは、
前記第1周波数特性のゲイン推移における共振に係る第1ピークと、前記第2周波数特性のゲイン推移における共振に係る第2ピークとを抽出し、
前記第1ピークに対応する第1周波数と前記第2ピークに対応する第2周波数との間の区間を前記所定区間として、該第1ピークと該第2ピークとを直線補間することで前記第3周波数特性を生成し、
前記第3ステップでは、
前記第1周波数特性のゲイン推移と前記第2周波数特性のゲイン推移と前記第3周波数特性のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロックとして生成する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のパラメータ調整方法。
【請求項6】
前記周波数特性は、位相に関する特性を更に含み、
前記第3ステップでは、更に、前記第1周波数特性の位相推移と前記第2周波数特性の位相推移とから各周波数における最小位相推移を生成し該最小位相推移を前記周波数特性ブロックに含める、
請求項5に記載のパラメータ調整方法。
【請求項7】
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第2ステップでは、
前記第1周波数特性のゲイン推移における共振に係る第1ピークと、前記第2周波数特性のゲイン推移における共振に係る第2ピークとを抽出し、
前記第1ピークに対応する第1周波数と前記第2ピークに対応する第2周波数との間の区間を前記所定区間として、該第1ピークと該第2ピークとを直線補間した基準ゲイン推移よりゲインが大きくなるように補間することで前記第3周波数特性を生成し、
前記第3ステップでは、
前記第1周波数特性のゲイン推移と前記第2周波数特性のゲイン推移と前記第3周波数特性のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロックとして生成する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のパラメータ調整方法。
【請求項8】
前記周波数特性は、位相に関する特性を更に含み、
前記第3ステップでは、更に、前記第1周波数特性の位相推移と前記第2周波数特性の位相推移とから各周波数における最小位相推移を生成し該最小位相推移を前記周波数特性ブロックに含める、
請求項7に記載のパラメータ調整方法。
【請求項9】
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第1ステップでは、前記第1条件及び前記第2条件とは異なる追加条件でも、前記モータの周波数特性を追加周波数特性として取得し、
前記第2ステップでは、
前記第1周波数特性のゲイン推移における共振に係る第1ピークと、前記第2周波数特性のゲイン推移における共振に係る第2ピークと、前記追加周波数特性のゲイン推移における共振に係る追加ピークと、を抽出し、
前記第1ピーク、前記第2ピーク、前記追加ピークに基づいて前記所定区間を決定し、該所定区間において該第1ピーク、該第2ピーク、該追加ピークを下回らないように補間することで前記第3周波数特性を生成し、
前記第3ステップでは、
前記第1周波数特性のゲイン推移と前記第2周波数特性のゲイン推移と前記第3周波数特性のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロックとして生成する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のパラメータ調整方法。
【請求項10】
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第2ステップでは、少なくとも第1区間と第2区間を含む複数の前記所定区間を特定し、該複数の所定区間のそれぞれにおいて前記第3周波数特性を補間し、
前記第3ステップでは、前記第1周波数特性と、前記第2周波数特性と、前記複数の所定区間のそれぞれに対応する前記第3周波数特性とに基づいて、前記周波数特性ブロックを生成する、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のパラメータ調整方法。
【請求項11】
前記第2ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移における、共振に係る複数のピークのそれぞれと、前記第2周波数特性のゲイン推移における、共振に係る複数のピークのそれぞれとの間の周波数差に基づいて、前記第1区間と前記第2区間とを特定する、
請求項10に記載のパラメータ調整方法。
【請求項12】
モータのサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する調整装置であって、
前記モータが取り付けられている対象装置において、該モータの周波数特性に関連する、異なる第1条件及び第2条件を少なくとも含む特性取得条件のそれぞれで、該モータの周波数特性を取得する取得部と、
前記第1条件に対応する第1周波数特性と前記第2条件に対応する第2周波数特性とに基づいて、前記モータの周波数特性における共振領域に関連する所定区間に対応する周波数特性である第3周波数特性を補間する第1調整部と、
前記第1周波数特性と、前記第2周波数特性と、前記第3周波数特性とに基づいて、前記サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性ブロックを生成する第2調整部と、
前記周波数特性ブロックに基づいて、前記サーボパラメータを調整する第3調整部と、
を備える、調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボパラメータの調整方法、および調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷を駆動するためのモータ等が取り付けられた設備装置においては、一般的に、モータを適切にサーボ制御するために、サーボドライバのサーボパラメータ(位置ゲイン、速度ゲイン、フィルタのカットオフ周波数等)の調整が行われる。そして、このようなサーボパラメータの調整方法としては、一般的には、モータや負荷装置を実際に駆動することにより行われる調整方法が採用される。そこでは、サーボドライバ等のモータ制御装置にサーボパラメータを設定するとともに、そのサーボパラメータに応じたモータの周波数応答等を計測し、当該サーボパラメータの適否を判断することでサーボパラメータの調整が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に示す先行技術では、複数の異なる条件下で取得したモータの周波数特性に含まれるゲイン及び位相の推移に基づいて最大ゲイン包絡線と最小位相包絡線を算出し、それらを利用してサーボパラメータの調整が行われる。また、特許文献2では、モータが組み込まれる装置の負荷状態によって変化する共振周波数を1つの共振周波数と考えて、共振による振動を抑制するためのノッチフィルタの中心周波数を探索する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-282609号公報
【特許文献2】特開2007-185014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、モータをサーボ制御するためのサーボパラメータを調整するためには、実際にモータや負荷等を含む対象装置の制御軸において、対応するモータを駆動させてその周波数特性等を計測し、その計測結果に基づいて好適なサーボパラメータを探っていく。このような手法でサーボパラメータを調整した場合、対象装置が所望の周波数特性を示している状態では好適な制御特性が期待できる。しかし、対象装置においては、負荷位置の変化や経時的な要因等によって対象装置の機械剛性等の機械的な特性に変動が生じ、以てその機械内部の構造的な状況は必ずしも常に一定ではない。そのため、対象装置を特定の状態に置いて所望の周波数特性が発揮されるようにサーボパラメータを調整したとしても、対象装置が当該特定の状態から外れた場合、モータの制御状態が不安定なものとなり得る。
【0006】
また、対象装置は、一又は複数の制御軸を有しているため、当該装置が稼働時に置かれる状況は様々であり、あらゆる状況を想定して各制御軸での周波数特性を計測してサーボパラメータを調整するには多大な時間を要してしまい、作業効率の観点からも必ずしも好ましいものではない。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、対象装置における周波数特性の変動を可及的に考慮して好適なサーボパラメータの調整を実現する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係るサーボパラメータの調整方法は、モータのサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する方法であって、前記モータが取り付けられている対象装置において、該モータの周波数特性に関連する、異なる第1条件及び第2条件を少なくとも含む特性取得条件のそれぞれで、該モータの周波数特性を取得する第1ステップと、前記第1条件に対応する第1周波数特性と前記第2条件に対応する第2周波数特性とに基づいて、前記モータの周波数特性における共振領域に関連する所定区間に対応する周波数特性である第3周波数特性を補間する第2ステップと、前記第1周波数特性と、前記第2周波数特性と、前記第3周波数特性とに基づいて、前記サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性ブロックを生成する第3ステップと、前記周波数特性ブロックに基づいて、前記サーボパラメータを調整する第4ステップと、を含む。
【0009】
上記調整方法は、対象装置の制御軸を駆動するためのモータのサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整するための方法である。サーボパラメータとしては、当該制御軸に対応する、位置ループゲイン、速度ループゲインや、振動抑制のためのフィルタに関連するパラメータ(カットオフ周波数等)等が例示できる。例えば、周波数特性から把握できるゲインの乱れ(制御帯域付近のピークゲインや共振点等)を抑えるように、所定のサーボパラメータが調整される。
【0010】
ここで、第1ステップでは、サーボパラメータの調整を行う際に参照される周波数特性が取得される。当該周波数特性としては、いわゆるボード線図に示されるゲイン推移や位相推移等が例示できる。そして、制御軸でのモータの周波数特性を取得する際の、対象装置に関する条件は特性取得条件とされ、第1ステップにおいては、当該特性取得条件として少なくとも2つの条件である第1条件と第2条件とが設定される。これらの条件は、異なる周波数特性が見込まれる条件であり、好ましくは、両条件に対応する周波数特性(第1周波数特性と第2周波数特性)は、当該制御軸における周波数特性の変動範囲において境界的な特性であり、第1条件と第2条件はその境界的な特性に対応する境界条件である。境界条件は、位置的な条件や時間的な条件であってもよく、またそれ以外の条件であってもよい。
【0011】
そして、第2ステップでは、第1周波数特性と第2周波数特性とに基づいて、所定区間に対応する第3周波数特性が補間される。当該所定区間は、モータの周波数特性における共振領域に関連する区間である。共振領域では対象装置における振動が顕著になる傾向があるため、サーボ制御における安定性の観点からサーボパラメータを調整する際には、共振領域に関連する所定区間における対象装置の挙動に注目するのが好ましい。そして、第3周波数特性は、この所定区間に対応する周波数特性であり、第1周波数特性と第2周波数特性から想定される周波数特性である。第3周波数特性の補間は、様々な補間方式を採用することができ、特定の方式に限定されない。すなわち、第3周波数特性は、第1条件と第2条件以外の条件に対応する周波数特性として補間されるものである。
【0012】
次に、第3ステップでは、第1周波数特性と第2周波数特性と第3周波数特性とに基づいて、周波数特性ブロックを生成する。すなわち、第1周波数特性と第2周波数特性と第3周波数特性とを一つの周波数特性(周波数特性ブロック)に纏めることで、サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性が生成される。したがって、第3ステップで生成される周波数特性ブロックには、異なる2つの第1条件と第2条件に対応する周波数特性と、両条件以外の条件に対応する周波数特性とが含まれることになるため、第4ステップで行われるサーボパラメータの調整においては、対象装置における機械的な特性の変動を可及的に広く参照することになり、以て、広い機械的な特性変動に対応し得る好適なサーボパラメータの調整を実現することができる。
【0013】
ここで、上記の調整方法について、前記対象装置において前記モータにより駆動される負荷の可動範囲が有限の範囲に限定される場合、前記特性取得条件は、該可動範囲における該負荷の位置に関する条件であってもよい。すなわち、特性取得条件が位置的な条件である場合、負荷の位置に応じて対象装置の機械剛性等が変化し得ることを考慮したものである。したがって、このような場合に上記調整方法を採用することで、負荷の位置に起因する周波数特性の変動に起因した制御上の不安定性を可及的に排除することが可能となる。そして、当該調整方法において、好ましくは、前記第1条件は、該負荷が該可動範囲において一方の端部に位置するときの位置条件であり、前記第2条件は、該負荷が該可動範囲における他方の端部に位置するときの位置条件である。
【0014】
また、上記の調整方法において、前記特性取得条件は、前記対象装置と仕様が同一の装置群における装置の稼働期間に関する条件であってもよく、その場合、前記第1条件と前記第2条件は、前記装置群において稼働期間の異なる第1の装置と第2の装置のそれぞれの稼働期間に係る条件であってもよい。これは、特性取得条件が時間的な条件である場合、対象装置の稼働時間に応じて対象装置の機械剛性等が経時的に変化し得ることを考慮したものである。したがって、このような場合に上記調整方法を採用することで、対象装置の稼働時間に起因する周波数特性の変動に起因した制御上の不安定性を可及的に排除することが可能となる。
【0015】
ここで、上述までの調整方法において、前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含んでもよく、その場合、前記第2ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移における共振に係る第1ピークと、前記第2周波数特性のゲイン推移における共振に係る第2ピークとを抽出し、前記第1ピークに対応する第1周波数と前記第2ピークに対応する第2周波数との間の区間を前記所定区間として、該第1ピークと該第2ピークとを直線補間することで前記第3周波数特性を生成してもよい。そして、前記第3ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移と前記第2周波数特性のゲイン推移と前記第3周波数特性のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロックとして生成してもよい。すなわち、周波数特性に含まれるゲイン特性については、その共振特性に着目して第2ステップにおける第3周波数特性の補間を行うとともに第3ステップにおける周波数特性ブロックの生成を行う。当該補間については、所定区間では、第1ピークから第2ピークにわたってゲインピークが直線的に変化し得るとの前提に立って直線補間により第3周波数特性が得られる。
【0016】
また、周波数特性に含まれるゲイン特性に関する別法として、前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含んでもよく、その場合、前記第2ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移における共振に係る第1ピークと、前記第2周波数特性のゲイン推移における共振に係る第2ピークとを抽出し、前記第1ピークに対応する第1周波数と前記第2ピークに対応する第2周波数との間の区間を前記所定区間として、該第1ピークと該第2ピークとを直線補間した基準ゲイン推移よりゲインが大きくなるように補間することで前記第3周波数特性を生成してもよい。そして、前記第3ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移と前記第2周波数特性のゲイン推移と前記第3周波数特性のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロックとして生成してもよい。この場合も、その共振特性に着目して第2ステップにおける第3周波数特性の補間を行うとともに第3ステップにおける周波数特性ブロックの生成を行う。なお、当該補間については、所定区間では、第1ピークから第2ピークにわたってゲインピークが直線的な変化と比べてより大きく変化し得るとの前提に立って、第3周波数特性が得られる。
【0017】
そして、上記調整方法において、前記周波数特性は、位相に関する特性を更に含んでもよく、その場合、前記第3ステップでは、更に、前記第1周波数特性の位相推移と前記第2周波数特性の位相推移とから各周波数における最小位相推移を生成し該最小位相推移を
前記周波数特性ブロックに含めてもよい。ゲイン推移に加えて位相推移を考慮することで、より好適なサーボパラメータの調整が実現される。
【0018】
また、周波数特性に含まれるゲイン特性に関する更なる別法として、前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含んでもよく、その場合、前記第1ステップでは、前記第1条件及び前記第2条件とは異なる追加条件でも、前記モータの周波数特性を追加周波数特性として取得し、前記第2ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移における共振に係る第1ピークと、前記第2周波数特性のゲイン推移における共振に係る第2ピークと、前記追加周波数特性のゲイン推移における共振に係る追加ピークと、を抽出し、前記第1ピーク、前記第2ピーク、前記追加ピークに基づいて前記所定区間を決定し、該所定区間において該第1ピーク、該第2ピーク、該追加ピークを下回らないように補間することで前記第3周波数特性を生成してもよい。そして、前記第3ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移と前記第2周波数特性のゲイン推移と前記第3周波数特性のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロックとして生成してもよい。このようにすることで、所定区間における複数のゲインピークを考慮して、共振による振動を好適に抑制し得るパラメータ調整が可能となる。
【0019】
また、上記調整方法において、前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、そして、前記第2ステップでは、少なくとも第1区間と第2区間を含む複数の前記所定区間を特定し、該複数の所定区間のそれぞれにおいて前記第3周波数特性を補間し、前記第3ステップでは、前記第1周波数特性と、前記第2周波数特性と、前記複数の所定区間のそれぞれに対応する前記第3周波数特性とに基づいて、前記周波数特性ブロックを生成してもよい。すなわち、第3周波数特性の補間を行う所定区間は複数あっても構わない。この場合、所定区間のそれぞれにおいて、上述したように共振に係るピークを利用した第3周波数特性を補間し、それを用いて周波数特性ブロックを生成することができる。
【0020】
なお、上記調整方法において、前記第2ステップでは、前記第1周波数特性のゲイン推移における、共振に係る複数のピークのそれぞれと、前記第2周波数特性のゲイン推移における、共振に係る複数のピークのそれぞれとの間の周波数差に基づいて、前記第1区間と前記第2区間とを特定してもよい。一例としては、第1周波数特性のゲイン推移と第2周波数特性のゲイン推移とにおいて、共振に係るピークが相対的に近いピーク同士を1つのグループに纏めることで複数の所定区間を特定することができる。
【0021】
ここで、本発明を、モータのサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する調整装置の側面から捉えることができる。そして、当該調整装置は、前記モータが取り付けられている対象装置において、該モータの周波数特性に関連する、異なる第1条件及び第2条件を少なくとも含む特性取得条件のそれぞれで、該モータの周波数特性を取得する取得部と、前記第1条件に対応する第1周波数特性と前記第2条件に対応する第2周波数特性とに基づいて、両条件に挟まれた所定区間に対応する周波数特性である第3周波数特性を補間する第1調整部と、前記第1周波数特性と、前記第2周波数特性と、前記第3周波数特性とに基づいて、前記サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性ブロックを生成する第2調整部と、前記周波数特性ブロックに基づいて、前記サーボパラメータを調整する第3調整部と、を備える。このように構成される調整装置によれば、上述までのサーボパラメータの調整方法を実現可能である。また、上記の調整装置において、上記にてサーボパラメータの調整方法について開示した技術思想は、技術的齟齬の生じない範囲で当該調整装置にも適用することができる。
【発明の効果】
【0022】
対象装置における周波数特性の変動を可及的に考慮して好適なサーボパラメータの調整を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願開示のサーボパラメータの調整方法が適用される対象装置の制御システム、および、当該調整方法を実行する調整装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示す制御システムに含まれるサーボドライバの制御構造を示す図である。
図3】対象装置の制御軸における負荷の位置関係を示す第1の図である。
図4図3に示す3つの位置に負荷が位置している場合の、モータの周波数特性を示す図である。
図5】本発明のサーボパラメータの調整方法に係る処理の流れを示すフローチャートである。
図6図5に示すフローチャートにおける第3周波数特性の補間の形態を示す第1の図である。
図7図5に示すフローチャートにおける第3周波数特性の補間の形態を示す第2の図である。
図8図5に示すフローチャートにおける周波数特性ブロックの生成の形態を示す図である。
図9A図5に示すフローチャートにおける第3周波数特性の補間の形態を示す第3の図である。
図9B図5に示すフローチャートにおける第3周波数特性の補間の形態を示す第4の図である。
図10】モータの周波数特性のゲイン推移の別形態を示す図である。
図11】対象装置の制御軸における負荷の位置関係を示す第2の図である。
図12】対象装置の制御軸における負荷の位置関係を示す第3の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<実施例1>
図1は、本発明のサーボパラメータの調整方法が適用される制御システムの概略構成と、当該調整方法が実行される調整装置10の概略構成を示す図である。先ず、制御システムについて説明する。制御システムは、ネットワーク1と、モータ2と、負荷3と、サーボドライバ4と、PLC(Programmable Logic Controller)5とを備える。当該制御シス
テムは、モータ2とともに負荷3を駆動制御するためのシステムである。そして、モータ2及び負荷3が、当該制御システムによって制御される対象装置6とされる。ここで、負荷3としては、対象装置6の一部(例えば、産業用ロボットのアームや搬送装置のテーブル等)が例示でき、モータ2はその負荷3を駆動するアクチュエータとして対象装置6内に組み込まれている。例えば、モータ2は、ACサーボモータである。なお、モータ2には図示しないエンコーダが取り付けられており、当該エンコーダによりモータ2の動作に関するパラメータ信号がサーボドライバ4にフィードバック送信されている。このフィードバック送信されるパラメータ信号(以下、フィードバック信号という)は、たとえばモータ2の回転軸の回転位置(角度)についての位置情報、その回転軸の回転速度の情報等を含む。
【0025】
サーボドライバ4は、ネットワーク1を介してPLC5からモータ2の動作(モーション)に関する動作指令信号を受けるとともに、モータ2に接続されているエンコーダから出力されたフィードバック信号を受ける。サーボドライバ4は、PLC5からの動作指令信号およびエンコーダからのフィードバック信号に基づいて、モータ2の駆動に関するサーボ制御、すなわち、モータ2の動作に関する指令値を算出するとともに、モータ2の動作がその指令値に追従するように、モータ2に駆動電流を供給する。なお、この供給電流は、交流電源7からサーボドライバ4に対して送られる交流電力が利用される。本実施例では、サーボドライバ4は三相交流を受けるタイプのものであるが、単相交流を受けるタ
イプのものでもよい。なお、サーボドライバ4によるサーボ制御については、サーボドライバ4が有する位置制御器41、速度制御器42、電流制御器43を利用したフィードバック制御であり、その詳細については図2に基づいて後述する。
【0026】
このように構成される対象装置6とそれをサーボ制御する制御システム(サーボドライバ4等)は、工場等の所定の場所に設けられている。したがって、対象装置6が実際に稼働するためには、それに組み込まれモータ2のサーボ制御のためのサーボパラメータが、負荷3の実際の構造や制御上の特性等を適切に反映したものでなければならない。そこで、当該制御システムで実行されるサーボ制御のためのサーボパラメータの調整を効率的に行うために、本願が開示する調整装置10がサーボドライバ4と電気的に接続される。調整装置10によるサーボパラメータの調整が完了すると、調整装置10はサーボドライバ4から外される。
【0027】
ここで、調整装置10の構成について、図1に基づいて説明する。図1は、調整装置10において実行されるソフトウェア等によって実行される各種の機能をイメージ化して表した機能ブロック図である。調整装置10は、サーボドライバ4の装置制御パラメータを調整するための装置であり、調整用のソフトウェア(プログラム)が搭載されている。具体的には、調整装置10は、演算装置やメモリ等を有するコンピュータであり、そこで実行可能な調整用ソフトウェアがインストールされている。そして、調整装置10はこの調整用ソフトウェアを用いて、対象装置6のモータ2のサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する。なお、調整装置10と、対象装置6もしくはサーボドライバ4とは、有線や無線にて通信可能に接続されている。
【0028】
そして、調整装置10は、取得部11、調整部12、通信部13を有している。取得部11は、サーボパラメータの調整対象であるモータ2の周波数応答を解析しその周波数特性を取得する機能部である。取得部11は、モータ2の周波数応答を取得し、更にそれに対して所定の高速フーリエ変換処理を施すことで周波数特性を取得する。調整部12は、取得部11が取得した周波数特性に基づいてモータ2をサーボ制御するためのサーボパラメータの調整を行う機能部である。調整部12によるサーボパラメータの調整の詳細については後述する。また、通信部13は、調整装置10と制御システムとのデータの送受信を司る機能部である。
【0029】
ここで、モータ2をサーボ制御するためのサーボドライバ4の制御構造について、図2に基づいて説明する。サーボドライバ4は、位置制御器41、速度制御器42、電流制御器43を備え、これらの処理により上記サーボ制御が実行される。位置制御器41は、例えば、比例制御(P制御)を行う。具体的には、PLC5から通知された位置指令と検出位置との偏差である位置偏差に、位置比例ゲインKppを乗ずることにより速度指令を算出する。なお、位置制御器41が有する位置比例ゲインKppは、調整されるべきサーボパラメータの1つである。
【0030】
次に、速度制御器42は、例えば、比例積分制御(PI制御)を行う。具体的には、位置制御器41に算出された速度指令と検出速度との偏差である速度偏差の積分量に速度積分ゲインKviを乗じ、その算出結果と当該速度偏差の和に速度比例ゲインKvpを乗ずることにより、トルク指令を算出する。なお、速度制御器42が有する速度比例ゲインKvp及び速度積分ゲインKviも、調整されるべきサーボパラメータの1つである。また、速度制御器42はPI制御に代えてP制御を行ってもよい。この場合には速度制御器42が有する速度比例ゲインKvpが、調整されるべきサーボパラメータの1つとなる。次に、電流制御器43は、速度制御器42により算出されたトルク指令に基づいて電流指令を出力し、それによりモータ2が駆動制御される。電流制御器43は、トルク指令に関するフィルタ(1次のローパスフィルタ)や一又は複数のノッチフィルタを含み、調整され
るべきサーボパラメータとして、これらのフィルタの性能に関するカットオフ周波数等を有している。
【0031】
そして、サーボドライバ4の制御構造は、速度制御器42、電流制御器43、対象装置6を前向き要素とする速度フィードバック系を含み、更に、当該速度フィードバック系と位置制御器41を前向き要素とする位置フィードバック系を含んでいる。このように構成される制御構造によって、サーボドライバ4はPLC5から供給される位置指令に追従するようにモータ2をサーボ制御することが可能となる。
【0032】
ここで、対象装置6では、図3に示すように、モータ2の出力軸がボールねじに接続され、そのボールねじが回転駆動されることで負荷3の位置が制御されるように構成されているものとする。このときモータ2の駆動により負荷3の可動範囲は、図3に示すように位置P1から位置P2までの有限の範囲である。ここで位置P1はモータ2に最も近い可動範囲内の位置であり、可動範囲の一方の限界を示す境界位置である。また、位置P2はモータ2に最も遠い可動範囲内の位置であり、可動範囲の他方の限界を示す境界位置である。
【0033】
ここで、負荷3がP1に位置しているときとP2に位置しているときとでは、ボールねじと負荷3を含む対象装置6の機械剛性に違いが生じ得る。その結果、図4に示すように負荷3の位置に応じてモータ2の周波数特性に違いが生じる。図4は、負荷3が位置P1、P2及び両位置の中間である位置P3にあるときの、それぞれのモータ2の周波数特性である。図4の上段がゲイン特性を表し、下段が位相推移を表している。図4から理解できるように、低周波数領域や高周波数領域では、負荷3の位置に伴う周波数特性の違いは極めて小さいが、対象装置6の共振点を含む共振領域(低周波数領域と高周波数領域の間の領域)では、負荷3の位置に伴い周波数特性が異なっている。そのため、負荷3を特定の位置条件の下において得られた周波数特性に基づいてサーボパラメータの調整を行うと、その調整結果が、負荷3が他の位置条件の下に置かれた場合に必ずしも好適に適合するとは限らない。特に共振領域では共振により負荷3の振動等が顕著になりやすいため、サーボパラメータの調整は的確に行う必要がある。
【0034】
そこで、対象装置6において負荷3の位置に影響されにくいサーボパラメータの調整方法について、図5に基づいて説明する。図5に示すサーボパラメータの調整方法は、基本的には、対象装置6がサーボドライバ4のサーボ制御により正式に稼働する前に行われるものであるが、一度正式に稼働した後に、対象装置6で発生した問題等の諸事情を踏まえて再度サーボパラメータを調整する必要がある場合にも適用することができる。
【0035】
図5に示す調整方法は、調整装置10が有する取得部11、調整部12、通信部13が協働することで実現される。先ず、S101では、負荷3の位置に関する第1条件での、モータ2の周波数特性である第1周波数特性が取得される。具体的には、第1条件は、負荷3がP1に位置している条件とされる。また、本実施形態の周波数特性には、ゲイン推移と位相推移が含まれる。上記の通り、位置P1は、負荷3の可動範囲において、負荷3がモータ2に最も近い側に位置するときの境界位置である。次に、S102では、負荷3の位置に関する第2条件での、モータ2の周波数特性である第2周波数特性が取得される。具体的には、第2条件は、負荷3がP2に位置している条件とされる。上記の通り、位置P2は、負荷3の可動範囲において、負荷3がモータ2に最も遠い側に位置するときの境界位置である。
【0036】
このようにS101とS102で、負荷3の可動範囲において境界位置となる位置P1及びP2に対応する周波数特性(第1周波数特性、第2周波数特性)を取得するのは、負荷3が位置P1とP2の間の何れかの位置にあるときのモータ2の周波数特性を補間する
ためである。すなわち、仮に負荷3が位置P1とP2の間の何れかに位置している場合の周波数特性は、特に共振領域において、第1周波数特性および第2周波数特性とは違いが生じる可能性はあるものの、対象装置6の機械的構造に起因する周波数特性の変化は連続的に生じ、以て第1周波数特性および第2周波数特性とはある程度の相関を有している可能性が高いからである。
【0037】
そこで、S103では、モータの周波数特性における共振領域に関連する所定区間(図4を参照)において、当該所定区間に対応する第3周波数特性の補間が行われる。所定区間は共振領域とある程度の関連性があればよく、共振領域と一致しても構わなく、また共振領域の一部又は全部を含んでも構わない。当該第3周波数特性の補間は、第1周波数特性と第2周波数特性とに基づいて行われるものであり、その具体的な処理態様について図6に基づいて説明する。図6には、所定区間近傍の周波数特性のうちゲイン推移が示されている。図6において、第1周波数特性のゲイン推移は線L1で参照され、第2周波数特性のゲイン推移は線L2で参照されている。
【0038】
先ず、第3周波数特性の補間に関し、ゲイン推移について説明する。ここで、図6の(a)には、S101及びS102で取得された第1周波数特性のゲイン推移L1と第2周波数特性のゲイン推移L2が示されている。そして、S103での第3周波数特性の補間のために、先ず、第1周波数特性のゲイン推移L1におけるゲインのピークである第1ピークPK1と第2周波数特性のゲイン推移L2におけるゲインのピークである第2ピークPK2が抽出される(図6(b)を参照。)。なお、第1ピークPK1に対応する第1周波数(すなわち、第1周波数特性における共振周波数)はf1で参照され、第2ピークPK2に対応する第2周波数(すなわち、第2周波数特性における共振周波数)はf2で参照される。また、第1周波数f1と第2周波数f2との間の区間が所定区間とされる。次に、周波数特性のゲイン推移に関して、図6(c)に示すように第1ピークPK1と第2ピークPK2とを直線補間して得られるゲイン推移L3を、当該所定区間に対応する第3周波数特性として補間する。
【0039】
再び図5に戻る。S103における第3周波数特区性の補間処理が終了すると、S104において周波数特性ブロックの生成が行われる。当該周波数特性ブロックは、サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性であり、その具体的な生成処理については、図6の(d)に基づいて説明する。具体的には、第1周波数特性のゲイン推移L1と第2周波数特性のゲイン推移L2と第3周波数特性のゲイン推移L3とに基づいて、各周波数におけるゲインの最大値として抽出される最大ゲイン推移が周波数特性ブロックL5とされる。したがって、周波数特性ブロックL5において、所定区間におけるゲイン推移は、L3を輪郭とした、第1ピークPK1と第2ピークPK2との間が埋められた形状となり、図6(a)と比べて分かるように、サーボパラメータの調整において考慮すべきゲイン推移の領域が広まっている。このことは、サーボパラメータの調整において、上記の第1条件および第2条件以外の条件が考慮されるように、基準となる周波数特性が拡大して形成されていることを意味する。
【0040】
次に、サーボパラメータの調整のために周波数特性ブロックに含める位相推移について、図7に基づいて説明する。図7には、所定区間近傍の周波数特性のうち位相推移が示されている。図7において、第1周波数特性の位相推移は線L11で参照され、第2周波数特性の位相推移は線L12で参照されている。ここで、図7の(a)には、S101及びS102で取得された第1周波数特性の位相推移L11と第2周波数特性の位相推移L12が示されている。そして、第1周波数特性の位相推移L11と第2周波数特性の位相推移L12とに基づいて、各周波数における位相の最小値として抽出される最小位相推移L15が上記の周波数特性ブロックL5に含められる。なお、本実施形態では、最小位相推移L15は、第1周波数特性の位相推移L11と一致している。
【0041】
再び図5に戻る。S104における周波数特性ブロックの生成処理が終了すると、S105において、当該周波数特性ブロックに基づいてモータ2のサーボパラメータの調整が行われる。ここで、周波数特性ブロックに含まれるゲイン推移と位相推移を図8に示す。図8の上段にゲイン推移がL5で参照されており、下段に位相推移がL15で参照されている。上記の図6(d)及び図7(b)に示すゲイン推移と位相推移は、図8に示す同推移の一部を抽出し拡大したものである。そして、S105では、図8に示す周波数特性ブロックにおけるゲイン余裕や位相余裕を考慮してサーボパラメータの調整が行われる。サーボパラメータの調整自体については、公知の技術を好適に採用できる。なお、サーボパラメータの調整が終了すると、その調整済みのパラメータが、調整装置10の通信部13を介して対象装置6側に送信される。そして、受信された調整済みのサーボパラメータは、サーボドライバ4に設定されモータ2のサーボ制御に供される。
【0042】
このように図5に示すサーボパラメータの調整方法によれば、実際に周波数特性が計測された第1条件と第2条件以外の条件(負荷3の位置に関する条件)をも考慮して、サーボパラメータの調整が行われることになる。なお、第1条件と第2条件以外の条件に対応する周波数特性の計測は実際に行わず、上述したように第3周波数特性の補間処理を以て代用する。したがって、サーボパラメータの調整をより好適に且つより効率的に実現することができる。
【0043】
<変形例1>
ここで、図5に示すサーボパラメータの調整方法の変形例について、図9Aに基づいて説明する。図9A(a)には、S103の処理に関連する第3周波数特性の補間の別形態が示されている。本変形例では、周波数特性のゲイン推移に関して、図6(c)で示した第1ピークPK1と第2ピークPK2とを直線補間して得られるゲイン推移L3を基準ゲイン推移としたときに、当該基準ゲイン推移と比べてゲインが大きくなるように補間することで得られるゲイン推移L3’を当該所定区間に対応する第3周波数特性として補間する。ゲイン推移L3’は、所定区間(第1周波数f1から第2周波数f2の間の区間)において上に凸となるように推移してもよい。
【0044】
また、図9A(b)には、S104の処理に関連する周波数特性ブロックの生成の別形態が示されている。具体的には、第1周波数特性のゲイン推移L1と第2周波数特性のゲイン推移L2と第3周波数特性のゲイン推移L3’とに基づいて、各周波数におけるゲインの最大値として抽出される最大ゲイン推移が周波数特性ブロックL5’とされる。したがって、周波数特性ブロックL5’において、所定区間におけるゲイン推移は、L3’を輪郭とした、第1ピークPK1と第2ピークPK2との間が埋められた形状となり、図6(a)及び図6(c)と比べて分かるように、サーボパラメータの調整において考慮すべきゲイン推移の領域が更に広まっている。このことは、サーボパラメータの調整において、上記の第1条件および第2条件以外の条件が考慮されるように、基準となる周波数特性が形成されていることを意味する。
【0045】
以上より、実際に周波数特性が計測された第1条件と第2条件以外の条件(負荷3の位置に関する条件)をも考慮して、サーボパラメータの調整が行われることになり、以てサーボパラメータの調整をより好適に且つより効率的に実現することができる。
【0046】
次に、図5に示すサーボパラメータの調整方法の更なる変形例について、図9Bに基づいて説明する。図9B(a)には、S103の処理に関連する第3周波数特性の補間の別形態が示されている。本変形例では、第1条件と第2条件とは異なる追加条件の下でモータ2の周波数特性(以下、「追加周波数特性」という)が取得されている。当該追加周波数特性のゲイン推移が、図9B(a)においてL30で参照される。また、追加周波数特
性のゲイン推移におけるゲインのピーク(追加ピーク)はPK30で参照され、その共振周波数はf3である。共振周波数f3は第1周波数f1と第2周波数f2の間に位置している。そして、図9Bに示す変形例では、第1ピークPK1、第2ピークPK2、追加ピークPK30を下回らないように補間することで得られるゲイン推移L3’’を当該所定区間に対応する第3周波数特性として補間する。ここで、各ピークを下回らない程度は適宜設定しても構わないが、例えば、共振周波数f3のときのL3’’上のゲインの値が、追加ピークPK30を基準として一定割合増加した程度(例えば、追加ピークPK30の110%等)の値となるようにすることができる。
【0047】
また、図9B(b)には、S104の処理に関連する周波数特性ブロックの生成の別形態が示されている。具体的には、第1周波数特性のゲイン推移L1と第2周波数特性のゲイン推移L2と追加周波数特性のゲイン推移L30と第3周波数特性のゲイン推移L3’’とに基づいて、各周波数におけるゲインの最大値として抽出される最大ゲイン推移が周波数特性ブロックL5’’とされる。したがって、周波数特性ブロックL5’’において、所定区間におけるゲイン推移は、L3’’を輪郭とした、第1ピークPK1と第2ピークPK2との間が埋められた形状となり、図6(a)、図6(c)、図9A(b)と比べて分かるように、サーボパラメータの調整において考慮すべきゲイン推移の領域が更に広まっている。
【0048】
以上より、実際に周波数特性が計測された第1条件、第2条件、追加条件以外の条件(負荷3の位置に関する条件)をも考慮して、サーボパラメータの調整が行われることになり、以てサーボパラメータの調整をより好適に且つより効率的に実現することができる。
【0049】
<変形例2>
ここで、図5に示すサーボパラメータの調整方法における、第3周波数特性の補間のための所定区間の特定に関する変形例について、図10に基づいて説明する。図10には、第1周波数特性のゲイン推移がL10で参照され、第2周波数特性のゲイン推移がL20で参照されている。そして、本変形例での対象装置6においては、そのゲイン推移L10には2つのゲインピークが含まれ、ゲイン推移L20にも2つのゲインピークが含まれる。そして、第1周波数特性のゲイン推移L10における共振周波数(2つのゲインピークに対応する周波数)はf11とf12であり(f11<f12)、第2周波数特性のゲイン推移L20における共振周波数(2つのゲインピークに対応する周波数)はf21とf22である(f21<f22)。
【0050】
ここで、第1周波数特性のゲイン推移における共振周波数f11、f12と第2周波数特性のゲイン推移における共振周波数f21、f22とをそれぞれ比較すると、f11とf21の周波数差、及びf12とf22の周波数差は、それ以外の共振周波数同士の周波数差(例えば、共振周波数f11とf22との差等)と比べて相対的に小さい。そのため、共振周波数f11、f21は、対象装置6のある同一の共振点と関連を有するものであり、その周波数差は、第1周波数特性と第2周波数特性とを取得した際の特性取得条件の違い(第1条件と第2条件との違い)に起因するものと考えられる。同様に、共振周波数f12、f22は、対象装置6の別の共振点と関連を有するものであり、その周波数差は、第1周波数特性と第2周波数特性とを取得した際の特性取得条件の違い(第1条件と第2条件との違い)に起因するものと考えられる。
【0051】
そこで、このような場合、共振周波数f11とf21とで画定される区間を上記所定区間である第1区間と特定し、共振周波数f12とf22とで画定される区間を上記所定区間である第2区間と特定する。その上で、この2つの所定区間のそれぞれについて、図5に示す第3周波数特性の補間(S103の処理)を行い、そして周波数特性ブロックの生成(S104の処理)を行う。このようにして得られた周波数特性ブロックを用いてサー
ボパラメータの調整を行うことで(S104の処理)、対象装置6におけるサーボ制御上の不安定性を可及的に排除することができる。
【0052】
なお、図10に示す形態では、第1条件に対応する第1周波数特性と第2条件に対応する第2周波数特性が利用されているが、更にこれらの条件とは異なる追加条件に対応する周波数特性を取得し、そのゲイン推移を利用して複数の所定区間を特定してもよい。所定区間の特定のためにより多くの周波数特性を取得することで、より正確に所定区間を特定することができ、以て好適なサーボパラメータの調整が実現される。
【0053】
<変形例3>
図5に示すサーボパラメータの調整方法が適用される対象装置6の変形例について、図11及び図12に基づいて説明する。図11に示す対象装置6では、2つの制御軸(X軸とY軸)が設けられており、両軸は互いに直交する。X軸のモータ2xの出力軸がX軸用のボールねじに接続され、Y軸のモータ2yの出力軸がY軸用のボールねじに接続されている。そして、負荷3はモータ2yによってY軸上を直接駆動され、更に、モータ2xによって負荷3及びY軸の構造物(負荷3を載置するテーブルなど)がX軸上を駆動される。したがって、この場合の負荷3の可動範囲は、図11に示すようにXY平面上の、有限の矩形形状範囲となる。
【0054】
ここで位置P11は、負荷3がモータ2x及びモータ2yに最も近い可動範囲内の位置であり、可動範囲の限界を示す境界位置である。また、位置P12はモータ2x及びモータ2yに最も遠い可動範囲内の位置であり、可動範囲の限界を示す境界位置である。そこで、本変形例の対象装置6のX軸のモータ2xに上記サーボパラメータの調整方法を適用する場合は、負荷3が位置P11に位置しているときのモータ2xの周波数特性をS101における第1周波数特性とし、負荷3が位置P12に位置しているときのモータ2xの周波数特性をS102における第2周波数特性とする。これにより、負荷3が可動範囲の何れに位置している場合の周波数特性を好適に考慮して、モータ2xのサーボパラメータを調整することができる。
【0055】
次に、図12に示す対象装置6では、互いに直交する制御軸(X軸とY軸)が設けられており、更にX軸は平行する2つの制御軸X1、X2を有している。すなわち、対象装置6はガントリ構造を有している。具体的には、X1軸のモータ2x1の出力軸がX1軸用のボールねじに接続され、X2軸のモータ2x2の出力軸がX2軸用のボールねじに接続され、Y軸のモータ2yの出力軸がY軸用のボールねじに接続されている。そして、負荷3はモータ2yによってY軸上を直接駆動され、更に、モータ2x1及びモータ2x2によって負荷3及びY軸の構造物(負荷3を載置するテーブルなど)がX軸上を駆動される。したがって、この場合の負荷3の可動範囲は、図12に示すようにXY平面上の、有限の矩形形状範囲となる。
【0056】
ここで位置P21は、負荷3がモータ2x1、2x2及びモータ2yに最も近い可動範囲内の位置であり、可動範囲の限界を示す境界位置である。また、位置P22はモータ2x1、2x2及びモータ2yに最も遠い可動範囲内の位置であり、可動範囲の限界を示す境界位置である。そこで、本変形例の対象装置6のX1軸のモータ2x1及びX2軸のモータ2x2に上記サーボパラメータの調整方法を適用する場合は、負荷3が位置P21に位置しているときのモータ2x1及びモータ2x2の周波数特性をS101における第1周波数特性とし、負荷3が位置P22に位置しているときのモータ2x1及びモータ2x2の周波数特性をS102における第2周波数特性とする。これにより、負荷3が可動範囲の何れに位置している場合の周波数特性をある程度考慮して、モータ2x1及びモータ2x2のサーボパラメータを調整することができる。
【0057】
<変形例4>
上述までの実施形態では、特性取得条件に相当する第1条件と第2条件は、モータ2の周波数特性に関連する、負荷3の位置に関する条件とされ、負荷3の位置が異なることによる周波数特性の違いを考慮したサーボパラメータの調整が行われた。本願で開示されているサーボパラメータの調整に関する技術思想は、特性取得条件がモータ2の周波数特性に関連する条件であれば、上記位置条件以外の条件であっても適用できる。例えば、特性取得条件は、対象装置6と仕様が同一の装置群における装置の稼働期間に関する条件であってもよい。すなわち、対象装置6が使用される期間が長いほど、その使用に伴って装置内の構造物に経時変化が生じモータ2の周波数特性に何らかの影響が及ぶ可能性があることを考慮し、本願開示のサーボパラメータの調整技術を適用することができる。
【0058】
この場合、稼働期間の異なる第1の装置と第2の装置のそれぞれの稼働期間を上記第1条件、第2条件とする。第1の装置と第2の装置は、対象装置6と仕様が同じ装置であり、第1の装置、第2の装置、対象装置6は、同一の仕様を有する装置群に属するものである。そして、例えば、対象装置6の稼働保証期間が10年とした場合、稼働開始直後(すなわち稼働期間が0年)の第1の装置におけるモータ2の周波数特性を第1周波数特性とし、稼働期間が10年の第2の装置におけるモータ2の周波数特性を第2周波数特性とする。その上で、上記のサーボパラメータの調整に関する技術思想を適用することで、稼働保証期間の10年間において可及的に制御上の不安定性が可及的に排除されるサーボパラメータの調整が可能となる。
【0059】
<付記1>
モータ(2)のサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する方法であって、
前記モータ(2)が取り付けられている対象装置(6)において、該モータ(2)の周波数特性に関連する、異なる第1条件及び第2条件を少なくとも含む特性取得条件のそれぞれで、該モータ(2)の周波数特性を取得する第1ステップ(S101、S102)と、
前記第1条件に対応する第1周波数特性(L1)と前記第2条件に対応する第2周波数特性(L2)とに基づいて、前記モータ(2)の周波数特性における共振領域に関連する所定区間に対応する周波数特性である第3周波数特性(L3)を補間する第2ステップ(S103)と、
前記第1周波数特性(L1)と、前記第2周波数特性(L2)と、前記第3周波数特性(L3)とに基づいて、前記サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性ブロック(L5、L15)を生成する第3ステップ(S104)と、
前記周波数特性ブロック(L5、L15)に基づいて、前記サーボパラメータを調整する第4ステップ(S105)と、
を含む、サーボパラメータの調整方法。
<付記2>
前記対象装置(6)において前記モータにより駆動される負荷(3)の可動範囲が有限の範囲に限定される場合、前記特性取得条件は、該可動範囲における該負荷(3)の位置に関する条件である、
付記1に記載のパラメータ調整方法。
<付記3>
前記第1条件は、該負荷(3)が該可動範囲において一方の端部に位置するときの位置条件であり、前記第2条件は、該負荷(3)が該可動範囲における他方の端部に位置するときの位置条件である、
付記2に記載のパラメータ調整方法。
<付記4>
前記特性取得条件は、前記対象装置(6)と仕様が同一の装置群における装置の稼働期間に関する条件であって、
前記第1条件と前記第2条件は、前記装置群において稼働期間の異なる第1の装置と第2の装置のそれぞれの稼働期間に係る条件である、
付記1に記載のパラメータ調整方法。
<付記5>
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第2ステップ(S103)では、
前記第1周波数特性(L1)のゲイン推移における共振に係る第1ピーク(PK1)と、前記第2周波数特性(L2)のゲイン推移における共振に係る第2ピーク(PK2)とを抽出し、
前記第1ピーク(PK1)に対応する第1周波数(f1)と前記第2ピーク(PK2)に対応する第2周波数(f2)との間の区間を前記所定区間として、該第1ピーク(PK1)と該第2ピーク(PK2)とを直線補間することで前記第3周波数特性(L3)を生成し、
前記第3ステップ(S104)では、
前記第1周波数特性(L1)のゲイン推移と前記第2周波数特性(L2)のゲイン推移と前記第3周波数特性(L3)のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロック(L5)として生成する、
付記1から付記4の何れかに記載のパラメータ調整方法。
<付記6>
前記周波数特性は、位相に関する特性を更に含み、
前記第3ステップ(S104)では、更に、前記第1周波数特性(L1)の位相推移と前記第2周波数特性(L2)の位相推移とから各周波数における最小位相推移を生成し該最小位相推移を前記周波数特性ブロック(L15)に含める、
付記5に記載のパラメータ調整方法。
<付記7>
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第2ステップ(S103)では、
前記第1周波数特性(L1)のゲイン推移における共振に係る第1ピーク(PK1)と、前記第2周波数特性(L2)のゲイン推移における共振に係る第2ピーク(PK2)とを抽出し、
前記第1ピーク(PK1)に対応する第1周波数(f1)と前記第2ピーク(PK2)に対応する第2周波数(f2)との間の区間を前記所定区間として、該第1ピーク(PK1)と該第2ピーク(PK2)とを直線補間した基準ゲイン推移よりゲインが大きくなるように補間することで前記第3周波数特性(L3’)を生成し、
前記第3ステップ(S104)では、
前記第1周波数特性(L1)のゲイン推移と前記第2周波数特性(L2)のゲイン推移と前記第3周波数特性(L3)のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロック(L5’)として生成する、
付記1から付記4の何れかに記載のパラメータ調整方法。
<付記8>
前記周波数特性は、位相に関する特性を更に含み、
前記第3ステップ(S104)では、更に、前記第1周波数特性(L1)の位相推移と前記第2周波数特性(L2)の位相推移とから各周波数における最小位相推移を生成し該最小位相推移を前記周波数特性ブロック(L15)に含める、
付記7に記載のパラメータ調整方法。
<付記9>
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第1ステップ(S101、S102)では、前記第1条件及び前記第2条件とは異なる追加条件でも、前記モータの周波数特性を追加周波数特性として取得し、
前記第2ステップ(S103)では、
前記第1周波数特性(L1)のゲイン推移における共振に係る第1ピーク(PK1)と、前記第2周波数特性(L2)のゲイン推移における共振に係る第2ピーク(PK2)と、前記追加周波数特性(L30)のゲイン推移における共振に係る追加ピーク(PK30)と、を抽出し、
前記第1ピーク(PK1)、前記第2ピーク(PK2)、前記追加ピーク(PK30)に基づいて前記所定区間を決定し、該所定区間において該第1ピーク(PK1)、該第2ピーク(PK2)、該追加ピーク(PK30)を下回らないように補間することで前記第3周波数特性(L3’’)を生成し、
前記第3ステップ(S104)では、
前記第1周波数特性(L1)のゲイン推移と前記第2周波数特性(L2)のゲイン推移と前記第3周波数特性(L3’’)のゲイン推移とから各周波数における最大ゲイン推移を前記周波数特性ブロック(L5’’)として生成する、
付記1から付記4の何れかに記載のパラメータ調整方法。
<付記10>
前記周波数特性は、ゲインに関する特性を含み、
前記第2ステップ(S103)では、少なくとも第1区間と第2区間を含む複数の前記所定区間を特定し、該複数の所定区間のそれぞれにおいて前記第3周波数特性を補間し、
前記第3ステップ(S104)では、前記第1周波数特性と、前記第2周波数特性と、前記複数の所定区間のそれぞれに対応する前記第3周波数特性とに基づいて、前記周波数特性ブロックを生成する、
付記1から付記4の何れかに記載のパラメータ調整方法。
<付記11>
前記第2ステップ(S103)では、前記第1周波数特性のゲイン推移における、共振に係る複数のピークのそれぞれと、前記第2周波数特性のゲイン推移における、共振に係る複数のピークのそれぞれとの間の周波数差に基づいて、前記第1区間と前記第2区間とを特定する、
付記10に記載のパラメータ調整方法。
<付記12>
モータ(2)のサーボ制御に関連するサーボパラメータを調整する調整装置(10)であって、
前記モータ(2)が取り付けられている対象装置(6)において、該モータ(2)の周波数特性に関連する、異なる第1条件及び第2条件を少なくとも含む特性取得条件のそれぞれで、該モータ(2)の周波数特性を取得する取得部(11)と、
前記第1条件に対応する第1周波数特性(L1)と前記第2条件に対応する第2周波数特性(L2)とに基づいて、前記モータ(2)の周波数特性における共振領域に関連する所定区間に対応する周波数特性である第3周波数特性(L3)を補間する第1調整部(12)と、
前記第1周波数特性(L1)と、前記第2周波数特性(L2)と、前記第3周波数特性(L3)とに基づいて、前記サーボパラメータの調整のための基準となる周波数特性ブロック(L5、L15)を生成する第2調整部(12)と、
前記周波数特性ブロック(L5、L15)に基づいて、前記サーボパラメータを調整する第3調整部(12)と、
を備える、調整装置。
【符号の説明】
【0060】
2、2x、2y、2x1、2x2 モータ
3 負荷
4 サーボドライバ
6 対象装置
10 調整装置
11 取得部
12 調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12