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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126806
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】メモリシステム
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/16 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G11C11/16 240
G11C11/16 230
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035457
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安田 隆哉
(72)【発明者】
【氏名】初田 幸輔
(57)【要約】
【課題】書き込み動作に必要な電流を安定して供給することが可能なメモリシステムを提供すること。
【解決手段】メモリシステムは、第1方向に延伸する複数の第1配線と、第2方向に延伸する複数の第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間に接続されるメモリセルと、第1電圧を供給する第1電源線と、前記第1電源線と前記複数の第1配線との間に設けられ、前記メモリセルに対する書き込み動作に必要な電流を供給する第1トランジスタと、前記第1電源線と前記複数の第1配線との間において、前記第1トランジスタと並列に接続された第2トランジスタと、非選択である前記メモリセルに対応する前記第2配線に第2電圧を供給する第2電源線と、非選択である前記メモリセルに対応する前記第2配線から前記第2電源線に流れる電流を複製し、複製された電流に基づいて前記第2トランジスタを制御する第1電流複製回路と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸する複数の第1配線と、
前記第1方向と交差する第2方向に延伸する複数の第2配線と、
前記第1配線と前記第2配線との間に接続されるメモリセルと、
第1電圧を供給する第1電源線と、
前記第1電源線と前記複数の第1配線との間に設けられ、前記メモリセルに対する書き込み動作に必要な電流を供給する第1トランジスタと、
前記第1電源線と前記複数の第1配線との間において、前記第1トランジスタと並列に接続された第2トランジスタと、
非選択である前記メモリセルに対応する前記第2配線に第2電圧を供給する第2電源線と、
非選択である前記メモリセルに対応する前記第2配線から前記第2電源線に流れる電流を複製し、複製された電流に基づいて前記第2トランジスタを制御する第1電流複製回路と、を有するメモリシステム。
【請求項2】
非選択である前記メモリセルに対応する前記第1配線に第3電圧を供給する第3電源線と、
前記第3電源線と前記複数の第1配線との間に設けられた第3トランジスタと、
前記第2電源線と前記複数の第2配線との間に設けられた第4トランジスタと、
選択される前記メモリセルに対応する前記第2配線に第4電圧を供給する第4電源線と、をさらに有し、
前記第1電流複製回路は、前記第4トランジスタに流れる電流を複製し、複製された電流に基づいて前記第2トランジスタを制御する、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項3】
前記第1電流複製回路は、
前記第4トランジスタに接続された第1アンプ回路と、
前記第1アンプ回路に接続された第1カレントミラー回路と、を含み、
前記第2トランジスタは前記第1カレントミラー回路に含まれる、請求項2に記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記第1電流複製回路は、
前記第2電源線に接続された第5トランジスタと、
前記第5トランジスタと前記第1カレントミラー回路との間の第6トランジスタと、を含み、
前記第4トランジスタのゲート端子及び前記第5トランジスタのゲート端子は共通で制御され、
前記第4トランジスタの第1端子は、前記第1アンプ回路に含まれる第1増幅器の第1入力端子に接続され、
前記第5トランジスタの第1端子は、前記第1増幅器の第2入力端子に接続され、
前記第4トランジスタの第2端子及び前記第5トランジスタの第2端子は、前記第2電源線に接続され、
前記第1増幅器の出力端子は、前記第6トランジスタのゲート端子に接続された、請求項3に記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記第1カレントミラー回路は、前記第2トランジスタとゲート端子を共有する第7トランジスタを含み、
前記第2トランジスタの第1端子及び前記第7トランジスタの第1端子は、前記第1電源線に接続され、
前記第7トランジスタのゲート端子は、前記第7トランジスタの第2端子に接続され、
前記第6トランジスタは、前記第5トランジスタの第1端子と前記第7トランジスタの第2端子に接続されている、請求項4に記載のメモリシステム。
【請求項6】
前記第1電圧を供給する第3電源線と、
前記第3電源線と前記複数の第2配線との間に設けられ、前記メモリセルに対する書き込み動作に必要な電流を供給する第3トランジスタと、
前記第3電源線と前記複数の第2配線との間において、前記第3トランジスタと並列に接続された第4トランジスタと、
非選択である前記メモリセルに対応する前記第1配線に第3電圧を供給する第4電源線と、
非選択である前記メモリセルに対応する前記第1配線から前記第4電源線に流れる電流を複製し、複製された電流に基づいて前記第4トランジスタを制御する第2電流複製回路と、をさらに有する請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項7】
前記第4電源線と前記複数の第1配線との間に設けられた第5トランジスタと、
前記第2電源線と前記複数の第2配線との間に設けられた第6トランジスタと、
選択される前記メモリセルに対応する前記第2配線に第4電圧を供給する第5電源線と、
前記第5電源線と前記複数の第2配線との間に設けられた第7トランジスタと、
選択される前記メモリセルに対応する前記第1配線に前記第4電圧を供給する第6電源線と、
前記第6電源線と前記複数の第1配線との間に設けられた第8トランジスタと、をさらに有し、
前記第1電流複製回路は、前記第7トランジスタがオン状態かつ前記第3トランジスタ及び前記第8トランジスタがオフ状態で、前記第6トランジスタに流れる電流を複製し、複製された電流に基づいて前記第2トランジスタを制御し、
前記第2電流複製回路は、前記第8トランジスタがオン状態かつ前記第1トランジスタ及び前記第7トランジスタがオフ状態で、前記第5トランジスタに流れる電流を複製し、複製された電流に基づいて前記第4トランジスタを制御する、請求項6に記載のメモリシステム。
【請求項8】
前記第1電流複製回路は、
前記第6トランジスタに接続された第1アンプ回路と、
前記第1アンプ回路に接続された第1カレントミラー回路と、を含み、
前記第2トランジスタは前記第1カレントミラー回路に含まれ、
前記第2電流複製回路は、
前記第5トランジスタに接続された第2アンプ回路と、
前記第2アンプ回路に接続された第2カレントミラー回路と、を含み、
前記第4トランジスタは前記第2カレントミラー回路に含まれる、請求項7に記載のメモリシステム。
【請求項9】
前記第1電流複製回路は、
前記第2電源線に接続された第9トランジスタと、
前記第9トランジスタと前記第1カレントミラー回路との間の第10トランジスタと、を含み、
前記第10トランジスタは、前記第1アンプ回路に含まれ、
前記第2電流複製回路は、
前記第4電源線に接続された第11トランジスタと、
前記第11トランジスタと前記第2カレントミラー回路との間の第12トランジスタと、を含み、
前記第12トランジスタは、前記第2アンプ回路に含まれ、
前記第6トランジスタのゲート端子及び前記第9トランジスタのゲート端子は共通で制御され、
前記第6トランジスタの第2端子及び前記第9トランジスタの第2端子は、前記第2電源線に接続され、
前記第6トランジスタの第1端子は、前記第1アンプ回路に含まれる第1増幅器の第1入力端子に接続され、
前記第9トランジスタの第1端子は、前記第1増幅器の第2入力端子に接続され、
前記第1アンプ回路の出力端子は、前記第10トランジスタのゲート端子に接続され、
前記第5トランジスタのゲート端子及び前記第11トランジスタのゲート端子は共通で制御され、
前記第5トランジスタの第2端子及び前記第11トランジスタの第2端子は、前記第4電源線に接続され、
前記第5トランジスタの第1端子は、前記第2アンプ回路に含まれる第2増幅器の第1入力端子に接続され、
前記第11トランジスタの第1端子は、前記第2増幅器の第2入力端子に接続され、
前記第2アンプ回路の出力端子は、前記第12トランジスタのゲート端子に接続された、請求項8に記載のメモリシステム。
【請求項10】
前記第1カレントミラー回路は、前記第2トランジスタとゲート端子を共有する第13トランジスタを含み、
前記第2トランジスタの第1端子及び前記第13トランジスタの第1端子は、前記第1電源線に接続され、
前記第13トランジスタのゲート端子は、前記第13トランジスタの第2端子に接続され、
前記第10トランジスタは、前記第9トランジスタの第1端子と前記第13トランジスタの第2端子に接続され、
前記第2カレントミラー回路は、前記第4トランジスタとゲート端子を共有する第14トランジスタを含み、
前記第4トランジスタの第1端子及び前記第14トランジスタの第1端子は、前記第3電源線に接続され、
前記第14トランジスタのゲート端子は、前記第14トランジスタの第2端子に接続され、
前記第12トランジスタは、前記第11トランジスタの第1端子と前記第14トランジスタの第2端子に接続されている、請求項9に記載のメモリシステム。
【請求項11】
前記メモリセルは、前記第1配線と前記第2配線とが交差する位置に設けられている、請求項1乃至10のいずれか一に記載のメモリシステム。
【請求項12】
前記メモリセルは、可変抵抗素子及びスイッチング素子を含む、請求項1乃至10のいずれか一に記載のメモリシステム。
【請求項13】
前記可変抵抗素子は、第1低抵抗状態又は第1高抵抗状態に切り替えられる素子である、請求項12に記載のメモリシステム。
【請求項14】
前記スイッチング素子は、印加される電圧に応じて前記第1低抵抗状態よりも抵抗が低い第2低抵抗状態又は前記第1高抵抗状態よりも抵抗が高い第2高抵抗状態に切り替えられる2端子の素子である、請求項13に記載のメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は記憶装置を備えたメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上に抵抗変化型のメモリ素子等が集積化された記憶装置を備えたメモリシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開公報2018/0204615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
書き込み動作に必要な電流を安定して供給することが可能なメモリシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係るメモリシステムは、第1方向に延伸する複数の第1配線と、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する複数の第2配線と、前記第1配線と前記第2配線との間に接続されるメモリセルと、第1電圧を供給する第1電源線と、前記第1電源線と前記複数の第1配線との間に設けられ、前記メモリセルに対する書き込み動作に必要な電流を供給する第1トランジスタと、前記第1電源線と前記複数の第1配線との間において、前記第1トランジスタと並列に接続された第2トランジスタと、非選択である前記メモリセルに対応する前記第2配線に第2電圧を供給する第2電源線と、非選択である前記メモリセルに対応する前記第2配線から前記第2電源線に流れる電流を複製し、複製された電流に基づいて前記第2トランジスタを制御する第1電流複製回路と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るメモリシステムの全体構成を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係るメモリセルの構成を模式的に示す斜視図である。
図3】一実施形態に係る可変抵抗素子の構成を模式的に示す断面図である。
図4】一実施形態に係るスイッチング素子の電気特性を示す図である。
図5】一実施形態に係るメモリセルの読み出し動作時における電気特性を示す図である。
図6】一実施形態に係るメモリシステムに含まれる判定回路の機能構成を示すブロック図である。
図7】一実施形態に係るメモリシステムに含まれる電流複製回路を示す回路図である。
図8】一実施形態に係るメモリシステムに含まれる電流複製回路を示す回路図である。
図9】一実施形態に係るメモリシステムに含まれる電流複製回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本実施形態にかかる不揮発性半導体記憶装置を図面を参照して具体的に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する要素について、同一符号が付されており、必要な場合にのみ重複して説明する。以下に示す各実施形態は、この実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示する。実施形態の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定されない。実施形態の技術的思想は、特許請求の範囲に対して、種々の変更を加えたものであってもよい。
【0008】
本発明の各実施の形態において、可変抵抗素子101からスイッチング素子102に向かう方向を上又は上方という。逆に、スイッチング素子102から可変抵抗素子101に向かう方向を下又は下方という。このように、説明の便宜上、上方又は下方という語句を用いて説明するが、例えば、可変抵抗素子101とスイッチング素子102との上下関係が図示と逆になるように配置されてもよい。以下の説明で、例えば可変抵抗素子101の上方のスイッチング素子102という表現は、上記のように可変抵抗素子101とスイッチング素子102との上下関係を説明しているに過ぎず、可変抵抗素子101とスイッチング素子102との間に他の部材が配置されていてもよい。上方又は下方は、複数の層が積層された構造における積層順を意味する。ワード線WLの上方のビット線BLと表現する場合、平面視でワード線WLとビット線BLとが重ならない位置関係であってもよい。一方、ワード線WLの鉛直上方のビット線BLと表現する場合は、平面視でワード線WLとビット線BLとが重なる位置関係を意味する。
【0009】
本明細書において「αはA、B又はCを含む」、「αはA,B及びCのいずれかを含む」、「αはA,B及びCからなる群から選択される一つを含む」、といった表現は、特に明示が無い限り、αがA~Cの複数の組み合わせを含む場合を排除しない。さらに、これらの表現は、αが他の要素を含む場合も排除しない。
【0010】
以下の説明において、「電圧」は2端子間の電位差を指すが、「電圧」が電圧VSS又はグラウンド電圧を基準とした電位を指す場合もある。
【0011】
[1.第1実施形態]
図1図7を用いて、第1実施形態に係るメモリシステムについて説明する。例えば、第1実施形態に係るメモリシステム1は、メモリセルMCが複数配列されたメモリセルアレイ10と、当該メモリセルを制御する制御回路40と、を含む。
【0012】
[1-1.メモリシステムの全体構成]
第1実施形態に係るメモリシステムの全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係るメモリシステムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、メモリシステム1は、メモリセルアレイ10、ワード線選択/駆動回路20(WL Selector/Driver)、ビット線選択/駆動回路30(BL Selector/Driver)、及び制御回路40(Controller)を含む。
【0013】
メモリセルアレイ10には、複数のメモリセルMC、複数のローカルワード線LWL、及び複数のローカルビット線LBLが設けられている。各ローカルワード線LWLは、D1方向に延伸する。各ローカルビット線LBLは、D2方向に延伸する。各メモリセルMCは、ローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとの間に設けられており、ローカルワード線LWL及びローカルビット線LBLに電気的に接続されている。メモリセルMCは2端子のメモリセルである。メモリセルMCの第1端子11はローカルワード線LWLに接続されている。メモリセルMCの第2端子12はローカルビット線LBLに接続されている。詳細は後述するが、ローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとは交差している。ローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとが交差する位置にメモリセルMCが設けられている。
【0014】
図1では、D1方向とD2方向とが直交する構成が例示されている。ただし、D1方向とD2方向とは直角ではない角度で交差していてもよい。図1では、ローカルワード線LWLがD1方向に直線状に延伸した構成が例示されている。ただし、ローカルワード線LWLは直線状でなくてもよい。ローカルワード線LWLは、ローカルワード線LWL全体を見た場合にD1方向に延伸していればよい。図1では、ローカルビット線LBLがD2方向に直線状に延伸した構成が例示されている。ただし、ローカルビット線LBLは直線状でなくてもよい。ローカルビット線LBLは、ローカルビット線LBL全体を見た場合にD2方向に延伸していればよい。
【0015】
複数のローカルワード線LWL及び複数のローカルビット線LBLからそれぞれ1つのローカルワード線LWL及びローカルビット線LBLを選択することで、書き込み動作及び読み出し動作の対象であるメモリセルMCが指定される。具体的には、特定のローカルワード線LWL及びローカルビット線LBLに所定の電圧を印加することによって、メモリセルMCに所定の電流が流れる。当該メモリセルMCに所定の電流が流れることによって、メモリセルMCに対する書き込み動作及び読み出し動作が実行される。以下の説明において、メモリセルMCに対する読み出し動作を「センス動作」又は「センスアンプ動作」と言い換えることができる。
【0016】
ワード線選択/駆動回路20は、D1方向において、メモリセルアレイ10と隣接する位置に設けられている。各ローカルワード線LWLはワード線選択/駆動回路20に接続されている。
【0017】
ビット線選択/駆動回路30は、D2方向において、メモリセルアレイ10と隣接する位置に設けられている。各ローカルビット線LBLはビット線選択/駆動回路30に接続されている。
【0018】
制御回路40は、ワード線選択/駆動回路20及びビット線選択/駆動回路30に接続されている。制御回路40は、判定回路50(discrimination)及びセンスアンプ60(SA)を含んでいる。制御回路40は、グローバルワード線GWLを介してワード線選択/駆動回路20に接続されており、グローバルビット線GBLを介してビット線選択/駆動回路30に接続されている。より具体的に、グローバルワード線GWL及びグローバルビット線GBLはセンスアンプ60に接続されている。センスアンプ60はメモリセルMCに対する読み出し動作を実行する。
【0019】
制御回路40は、コマンドに応じて書き込み動作及び読み出し動作を実行する。制御回路40は、書き込み動作及び読み出し動作において指定されたアドレスに応じて、ワード線選択/駆動回路20及びビット線選択/駆動回路30に制御信号を供給する。ワード線選択/駆動回路20及びビット線選択/駆動回路30は、当該制御信号に応じて、それぞれ指定されたアドレスに対応するローカルワード線LWL及びローカルビット線LBLを選択する。ワード線選択/駆動回路20及びビット線選択/駆動回路30は、選択されたローカルワード線LWL及びローカルビット線LBLに、それぞれ書き込み電圧又は読み出し電圧を印加する。
【0020】
本実施形態では、それぞれ1本のグローバルワード線GWL及びグローバルビット線GBLが制御回路40に接続された構成を例示したが、この構成に限定されない。例えば、それぞれ複数のグローバルワード線GWL及びグローバルビット線GBLが制御回路40に接続されていてもよい。当該複数のグローバルワード線GWL及びグローバルビット線GBLは、それぞれ異なるメモリセルアレイ10に接続されていてもよい。
【0021】
グローバルワード線GWLは複数のローカルワード線LWLに接続可能である。グローバルビット線GBLは複数のローカルビット線LBLに接続可能である。
【0022】
判定回路50は、読み出し動作によって得られたメモリセルMCの電圧(読み出し電圧)に基づいて、メモリセルMCに記憶されたデータ値を判定する。詳細は後述するが、メモリセルMCは、可変抵抗素子101を含み、当該可変抵抗素子101の抵抗状態(低抵抗状態又は高抵抗状態)に依存する2値のデータを記憶する。判定回路50によって当該可変抵抗素子101の抵抗状態が判定されることで、メモリセルMCに記憶されたデータの判定が行われる。
【0023】
[1-2.メモリセルアレイ10の構成]
図2は、一実施形態に係るメモリセルの構成を模式的に示す斜視図である。図2に示すように、メモリセルMCはローカルワード線LWLの上方(D3方向)に設けられている。ローカルビット線LBLはメモリセルMCの上方(D3方向)に設けられている。換言すると、メモリセルMCは、互いに異なる層に設けられたローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとが交差する領域において、ローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとの間に設けられている。
【0024】
メモリセルMCは、可変抵抗素子101及びスイッチング素子102を含む。可変抵抗素子101及びスイッチング素子102は、ローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとの間で直列に接続されている。ローカルワード線LWL側に可変抵抗素子101が設けられている。ローカルビット線LBL側にスイッチング素子102が設けられている。
【0025】
可変抵抗素子101は、低抵抗状態又は高抵抗状態に切り替え可能な不揮発性のメモリ素子である。可変抵抗素子101の低抵抗状態を「第1低抵抗状態」という場合がある。可変抵抗素子101の高抵抗状態を「第1高抵抗状態」という場合がある。本実施形態では、可変抵抗素子101として、磁気トンネル接合(MTJ)を含む磁気抵抗効果素子が用いられた構成について説明する。以降、磁気抵抗効果素子をMTJ素子という場合がある。MTJ素子は、絶縁層を介して隣接する2つの磁性層の各々の磁化方向の関係(平行又は非平行)によって、絶縁層におけるトンネル効果による抵抗(トンネル抵抗)が変化するメモリ素子である。即ち、一方の磁性層の磁化の向きと他方の磁性層の磁化の向きとの相対的な関係(磁化配列)に応じて、MTJ素子は複数の抵抗状態(抵抗値)をとり得る。
【0026】
スイッチング素子102は、2端子の素子である。スイッチング素子は、2つの端子に印加される電圧に応じて低抵抗状態又は高抵抗状態に切り替えられる。スイッチング素子102の低抵抗状態を「第2低抵抗状態」という場合がある。スイッチング素子102の高抵抗状態を「第2高抵抗状態」という場合がある。第2低抵抗状態の抵抗は、上記の可変抵抗素子101の第1低抵抗状態の抵抗より低い。第2高抵抗状態の抵抗は、上記の可変抵抗素子101の第1高抵抗状態の抵抗より高い。つまり、スイッチング素子102が第2高抵抗状態である場合、メモリセルMCの抵抗は、ほぼスイッチング素子102の抵抗によって決定される。一方、スイッチング素子102が第2低抵抗状態である場合、メモリセルMCの抵抗は、ほぼ可変抵抗素子101の抵抗によって決定される。
【0027】
図2の構成とは異なり、ローカルビット線LBL側に可変抵抗素子101が設けられてもよい。ローカルワード線LWL側にスイッチング素子102が設けられていてもよい。ローカルワード線LWLがスイッチング素子102の上方(D3方向)に設けられてもよい。ローカルビット線LBLが可変抵抗素子101の下方(D3方向の逆方向)に設けられてもよい。ローカルワード線LWLと可変抵抗素子101との間に他の部材が設けられていてもよい。同様に、ローカルビット線LBLとスイッチング素子102との間に他の部材が設けられていてもよい。
【0028】
本実施形態では、可変抵抗素子101として、MTJ素子が用いられた構成が説明されるが、可変抵抗素子101として、MTJ素子以外の可変抵抗素子が用いられてもよい。例えば、可変抵抗素子101として、抵抗変化型メモリ素子(ReRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)、有機メモリ、及び相変化メモリ素子(PRAM)が用いられてもよい。
【0029】
[1-3.MTJ素子の構成]
図3は、一実施形態に係る可変抵抗素子の構成を模式的に示す断面図である。図3に示すように、可変抵抗素子101として用いられるMTJ素子は、記憶層101a、参照層101b、及びトンネルバリア層101cを含む。記憶層101aは第1の磁性を備えた強磁性層である。参照層101bは第2の磁性を備えた強磁性層である。トンネルバリア層101cは非磁性層である。記憶層101aの磁化方向は可変である。参照層101bの磁化方向は固定されている。記憶層101aに供給された書き込み電流によって、記憶層101aの磁化方向が変化する。具体的には、書き込み電流の方向によって、記憶層101aの磁化方向が決定される。一方、参照層101bに書き込み電流が供給されても参照層101bの磁化方向は変化しない。トンネルバリア層101cは絶縁層である。「磁化方向は可変である」という表現は、書き込み電流が供給される前(書き込み前)と書き込み電流が供給された後(書き込み後)とで磁化方向が変化可能であることを意味する。「磁化方向は固定されている」とは、書き込み電流が供給される前(書き込み前)と書き込み電流が供給された後(書き込み後)とで磁化方向が変化しないことを意味する。
【0030】
記憶層101aの磁化方向が参照層101bの磁化方向に対して平行である場合(磁化方向が同じ向きである場合)、MTJ素子は低抵抗状態である。記憶層101aの磁化方向が参照層101bの磁化方向に対して反平行である場合(磁化方向が反対向きである場合)、MTJ素子は高抵抗状態である。このように、記憶層101aの磁化方向によって抵抗状態(低抵抗状態又は高抵抗状態)が制御されるため、MTJ素子は、当該抵抗状態に基づいて異なる2値データを記憶することができる。
【0031】
図3には、可変抵抗素子101として、記憶層101aが参照層101bの下方に設けられたボトムフリー型のMTJ素子が用いられた構成が例示されているが、この構成に限定されない。可変抵抗素子101として、記憶層101aが参照層101bの上方に設けられたトップフリー型のMTJ素子が用いられてもよい。MTJ素子が、参照層101bから記憶層101aに印加される磁界をキャンセルするシフトキャンセリング層をさらに含んでいてもよい。
【0032】
[1-4.スイッチング素子の電気特性]
図4は、一実施形態に係る2端子型のスイッチング素子の電気特性を示す図である。図4に示すように、スイッチング素子102は、2端子間に印加される電圧が増加して第1の電圧V1に達すると、高抵抗状態111から低抵抗状態112に切り替えられる。スイッチング素子102は、スイッチング素子102が低抵抗状態112に切り替えられると、2端子間の電圧が第1の電圧V1よりも低い第2の電圧V2に移行し、電流が急激に増加する、という特性を有する。さらに、スイッチング素子102は、2端子間に印加される電圧が減少して第2の電圧V2に達すると、低抵抗状態112から高抵抗状態111に切り替えられる、という特性を有する。すなわち、スイッチング素子102は、高抵抗状態111から低抵抗状態112に切り替えられるときには電圧V1と電圧V2との間の負性抵抗領域をたどる(矢印RR1)が、低抵抗状態112から高抵抗状態111に切り替えられるときには負性抵抗領域をたどらずに高抵抗状態111に移行する(矢印RR2)。スイッチング素子102は、双方向(電圧Vの軸における正方向及び負方向)で互いに対称的な電気特性を有している。
【0033】
本実施形態のスイッチング素子102は、一例として、上述するように印加電圧が電圧V1に達するとスイッチング素子102の抵抗値が急激に下がり、それに伴い印加電圧は急減に電圧V2まで下がり、電流が増加(スナップバック)する、という特性を有する。本実施形態のスイッチング素子102は、2端子型のスイッチング素子である。このような特性を有するスイッチング素子に使用される材料組成は、メモリセルの特性に応じて、適宜選択される。
【0034】
ローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとの間に所定の電圧が印加されてスイッチング素子102が低抵抗状態に切り替えられることで、可変抵抗素子101に対する書き込み動作及び読み出し動作を行うことが可能となる。
【0035】
[1-5.メモリセルMCの電気特性]
図5は、選択されたメモリセルMCの読み出し動作時における電気特性を模式的に示した図である。図5において、横軸は選択されたメモリセルMCの2端子間の電圧(ローカルワード線LWLとローカルビット線LBLとの間に印加されている電圧)を示しており、縦軸は選択されたメモリセルMCに流れる電流を示している。特性(L)は、可変抵抗素子101が低抵抗状態であるときの特性である。特性(H)は、可変抵抗素子101が高抵抗状態であるときの特性である。
【0036】
上記のように、高抵抗状態のスイッチング素子102の抵抗は、高抵抗状態の可変抵抗素子101の抵抗よりも高い。この場合、メモリセルMCの抵抗は、ほぼスイッチング素子102の抵抗によって決定される。したがって、スイッチング素子102が高抵抗状態から低抵抗状態に切り替えられる前のメモリセルMCの電気特性(特性部分(a)に対応)は、可変抵抗素子101が低抵抗状態である場合であっても高抵抗状態である場合であっても、実質的に差はない。つまり、スイッチング素子102が高抵抗状態から低抵抗状態に切り替えられるときにメモリセルMCの2端子間に印加されている電圧(閾電圧Vth)は、スイッチング素子102が低抵抗状態である場合であっても高抵抗状態である場合であっても、実質的に差はない。
【0037】
一方、低抵抗状態のスイッチング素子102の抵抗は、低抵抗状態の可変抵抗素子101の抵抗よりも低いので、スイッチング素子102が高抵抗状態から低抵抗状態に切り替えられた後は、メモリセルMCの抵抗はほぼ可変抵抗素子101の抵抗によって決定される。したがって、スイッチング素子102が高抵抗状態から低抵抗状態に切り替えられた後のメモリセルMCの電気特性(特性部分(b)に対応)において、可変抵抗素子101が低抵抗状態である場合の電気特性は、可変抵抗素子101が高抵抗状態である場合の電気特性と異なる。具体的には、特性部分(b)における電圧-電流の勾配について、可変抵抗素子101が高抵抗状態である場合の勾配は可変抵抗素子101が低抵抗状態である場合の勾配よりも小さい。
【0038】
図5に示すように、読み出し動作における読み出し電流Ireadに対して、可変抵抗素子101が低抵抗状態である場合の読み出し電圧はVreadLであり、可変抵抗素子101が高抵抗状態である場合の読み出し電圧はVreadHである。読み出し電圧VreadLは、読み出し電圧VreadHより小さい。読み出し電圧VreadLと読み出し電圧VreadHとの差に基づいて、可変抵抗素子101の抵抗状態(低抵抗状態又は高抵抗状態)を判定することが可能である。
【0039】
図5において、ホールド電流Iholdは、スイッチング素子102が低抵抗状態から高抵抗状態に切り替えられるときにメモリセルMCに流れる電流である。ホールド電圧Vholdは、メモリセルMCにホールド電流Iholdが流れるときにメモリセルMCの2端子間に印加される電圧である。可変抵抗素子101が低抵抗状態の場合におけるホールド電圧がVholdLである。可変抵抗素子101が高抵抗状態の場合におけるホールド電圧がVholdHである。ホールド電圧VholdL及びVholdHを特に区別しない場合、これらは単にホールド電圧Vholdと記載される。
【0040】
[1-6.判定回路の機能構成]
図6は、一実施形態に係るメモリシステムに含まれる判定回路の機能構成を示すブロック図である。図6に示すように、判定回路50は、電圧保持部51(Voltage Maintaining)、電圧差取得部52(Voltage Difference Obtaining)、比較部53(Comparison)、及び決定部54(Decision)を含む。
【0041】
電圧保持部51は、メモリセルMCの読み出し動作によって得られた読み出し電圧(VreadL又はVreadH)を判定対象電圧として保持する。このように、メモリセルMCに記憶されたデータの読み出し動作を「第1読み出し動作」という場合がある。判定対象電圧を「第1対象電圧」という場合がある。
【0042】
さらに、電圧保持部51は、当該判定対象電圧についてデータ判定を行うための参照電圧を保持する。参照電圧は、上記の第1読み出し動作の後に行われる第2読み出し動作によって取得される。参照電圧を「第2対象電圧」という場合がある。上記の第1読み出し動作の後に可変抵抗素子101への書き込み動作が行われる。可変抵抗素子101が低抵抗状態又は高抵抗状態に切り替えられた後に第2読み出し動作が行われる。第1読み出し動作が行われるときの可変抵抗素子101の抵抗状態を「判定対象抵抗状態」といい、第2読み出し動作が行われるときの可変抵抗素子101の抵抗状態を「参照抵抗状態」という場合がある。
【0043】
電圧差取得部52は、電圧保持部51によって保持されている第1対象電圧と第2対象電圧との間の電圧差を取得する。
【0044】
比較部53は、電圧差取得部52によって取得された電圧差と基準電圧差とを比較する。基準電圧差は、例えば、可変抵抗素子101が低抵抗状態である場合の読み出し電圧VreadLと、可変抵抗素子101が高抵抗状態である場合の読み出し電圧VreadHとの電圧差に1/2を乗じた値である。
【0045】
決定部54は、比較部53によって取得された比較結果に基づいて、可変抵抗素子101の抵抗状態を判定する。具体的には、第1対象電圧と第2対象電圧との電圧差が基準電圧差よりも小さい場合、可変抵抗素子101の判定対象抵抗状態が参照抵抗状態と同じ抵抗状態であると判定される。第1対象電圧と第2対象電圧との電圧差が基準電圧差よりも大きい場合、可変抵抗素子101の判定対象抵抗状態が参照抵抗状態と異なる抵抗状態であると判定される。
【0046】
[1-7.電流複製回路の構成]
図7は、一実施形態に係るメモリシステムに含まれる電流複製回路を示す回路図である。図7に示す電流複製回路80は、非選択であるメモリセルMCを介してワード線WLからビット線BLに流れるリーク電流leakを検出して複製する。詳細は後述するが、電流複製回路80によって複製された電流によって生成された複製電流leak’が、書き込み電流I_VLDxとともにワード線WLに供給されることで、書き込み動作の対象であるメモリセルMCに所望の書き込み電流I_VLDxが供給される。
【0047】
図7は、図1に示すメモリセルアレイ10、ワード線選択/駆動回路20、及びビット線選択/駆動回路30をより詳細に示した図である。図7に示すように、メモリシステム1は、複数のワード線WL(WL1、WL2)、複数のビット線BL(BL1、BL2)、複数のメモリセルMC(MC1~MC4)、電源線VHH、トランジスタTr1~Tr4、電源線VUSEL1、VUSEL2、及び電流複製回路80を有する。ワード線WLはD1方向に延伸している。トランジスタTr1、Tr2はPMOS型トランジスタ(以下、「PMOS」という。)である。トランジスタTr3、Tr4はNMOS型トランジスタ(以下、「NMOS」という。)である。ビット線BLはD2方向に延伸している。ワード線WLを「第1配線」という場合がある。ビット線BLを「第2配線」という場合がある。図7では、D1方向とD2方向とが直交している構成を例示したが、D1方向とD2方向とが直交ではない角度で交差していてもよい。メモリセルMCは、ワード線WLとビット線BLとの間において、これらに接続されている。
【0048】
図7に示すワード線WL及びビット線BLは、それぞれ図1に示すローカルワード線LWL及びローカルビット線LBLに相当する。図7では、複数のワード線WLのうちワード線WL1、WL2が示されている。同様に、図7では、複数のビット線BLのうちビット線BL1、BL2が示されている。同様に、図7では、複数のメモリセルMCのうちメモリセルMC1~MC4が示されている。
【0049】
ワード線WL1、WL2は、選択回路201を介して電源線VHH、VUSEL1に接続されている。選択回路201は、複数のトランジスタを含む。当該複数のトランジスタは、ワード線WL1、WL2と電源線VHH、VUSEL1との間で並列に接続されている。当該複数のトランジスタのゲート端子に制御信号が供給されることで、複数のワード線WLのうち1のワード線WLが電源線VHHに接続され、他のワード線WLが電源線VUSEL1に接続される。電源線VHHに接続されたワード線WLを選択ワード線WLという。電源線VUSEL1に接続されたワード線WLを非選択ワード線WLという。電源線VHHは、電圧Vhhを供給する。電源線VHHを「第1電源線」という場合がある。電圧Vhhを「第1電圧」という場合がある。
【0050】
電源線VHHと複数のワード線WLとの間にはトランジスタTr1、Tr2が並列に接続されている。トランジスタTr1のゲート端子に制御信号VLDxが供給されることによって、トランジスタTr1は、メモリセルMCに対する書き込み動作に必要な電流(書き込み電流I_VLDx)を供給する。詳細は後述するが、電流複製回路80は、書き込み動作におけるリーク電流leakと同じ電流を複製し、複製された電流に基づいてトランジスタTr2を制御することによって、トランジスタTr2にリーク電流leakと同じ複製電流leak’を流す。トランジスタTr1を「第1トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr2を「第2トランジスタ」という場合がある。
【0051】
電源線VUSEL1と複数のワード線WLとの間にはトランジスタTr3が接続されている。電源線VUSEL1は、電圧Vuselを供給する。電源線VUSEL1を「第3電源線」という場合がある。電源線VUSEL1に供給される電圧Vuselを「第3電圧」という場合がある。トランジスタTr3を「第3トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr3は、オン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチ素子として機能する。トランジスタTr3がオン状態に制御されることで、非選択ワード線WLに電圧Vuselが供給される。例えば、電圧Vuselは閾電圧Vthの半分程度の電圧である。なお、電圧Vuselは、回路構成によっては、0V付近に設定される場合(負電源を含む場合)もある。
【0052】
ビット線BL1、BL2は、選択回路301を介して電源線VSS、VUSEL2に接続されている。選択回路301は、複数のトランジスタを含む。当該複数のトランジスタは、ビット線BL1、BL2と電源線VSS、VUSEL2との間で並列に接続されている。当該複数のトランジスタのゲート端子に制御信号が供給されることで、複数のビット線BLのうち1のビット線BLが電源線VSSに接続され、他のビット線BLが電源線VUSEL2に接続される。電源線VSSに接続されたビット線BLを選択ビット線BLという。電源線VUSEL2に接続されたビット線BLを非選択ビット線BLという。
【0053】
電源線VUSEL2と複数のビット線BLとの間にはトランジスタTr4が接続されている。電源線VUSEL2は、電圧Vuselを供給する。電源線VUSEL2を「第2電源線」という場合がある。電源線VUSEL2に供給される電圧Vuselを「第2電圧」という場合がある。トランジスタTr4は、選択回路301に接続された第1端子と、電源線VUSEL2(第2電源線)に接続された第2端子とを備える。トランジスタTr4はNMOSである。トランジスタTr4を「第4トランジスタ」という場合がある。電源線VSSは、電圧Vssを供給する。電源線VSSを「第4電源線」という場合がある。電圧Vssを「第4電圧」という場合がある。
【0054】
電源線VSSと複数のビット線BLとの間にはトランジスタTr0が接続されている。トランジスタTr0は、オン状態とオフ状態とを切り替えるスイッチ素子として機能する。トランジスタTr0がオン状態に制御されることで、選択ビット線BLに電圧VSSが供給される。
【0055】
図7において、選択ワード線WL及び選択ビット線BLに接続されたメモリセルMCが書き込み動作の対象である。それ以外のメモリセルMCは書き込み動作の対象ではない。換言すると、少なくとも非選択ワード線WL及び非選択ビット線BLのいずれか一方に接続されたメモリセルMCは書き込み動作の対象ではない。書き込み動作の対象であるメモリセルMCを選択メモリセルMCという。書き込み動作の対称ではないメモリセルMCを非選択メモリセルMCという。図7において、メモリセルMC1が選択メモリセルMCであり、メモリセルMC2~4が非選択メモリセルMCである。
【0056】
上記の構成を換言すると、選択メモリセルMC1に対応する選択ワード線WL1には電源線VHHが接続され、非選択メモリセルMC3、MC4に対応する非選択ワード線WL2には電源線VUSEL1が接続される。同様に、選択メモリセルMC1に対応する選択ビット線BL1には電源線VSSが接続され、非選択メモリセルMC2、MC4に対応する非選択ビット線BL2には電源線VUSEL2が接続される。
【0057】
理想的には、書き込み動作において、メモリセルMC1にのみ書き込み電流が流れ、その他のメモリセルMC2~4には電流が流れない。しかし、実際の書き込み動作において、2端子間に電位差が生じるメモリセルMC2、3には微弱なリーク電流が流れる。メモリセルMC2に流れるリーク電流と同様のリーク電流が、ワード線WL1に接続された複数のメモリセルMCのうちメモリセルMC1、MC2以外のメモリセルMCにも流れ、選択回路301を介してトランジスタTr4を通過する。同様に、メモリセルMC3に流れるリーク電流と同様のリーク電流が、ビット線BL1に接続された複数のメモリセルMCのうちメモリセルMC1、MC3以外のメモリセルMCにも流れ、選択回路301を介してトランジスタTr4を通過する。トランジスタTr4を通過する電流をリーク電流leakという。仮に、トランジスタTr2が設けられておらず、ワード線WL1に書き込み電流I_VLDxが供給された場合、選択メモリセルMC1には所望の電流(書き込み電流I_VLDx)からリーク電流leakが引かれた「(I_VLDx)-(leak)」の電流が供給される。つまり、選択メモリセルMC1に書き込み動作に必要な電流を供給することができない。
【0058】
電流複製回路80は、増幅器Amp及びトランジスタTr5~Tr7を有する。トランジスタTr5、Tr6はNMOSである。トランジスタTr7はPMOSである。電流複製回路80は、書き込み動作時にトランジスタTr4に流れるリーク電流leakを検出し、リーク電流leakと同じ電流を複製し、複製した電流に基づいてトランジスタTr2を制御することで、トランジスタTr2にリーク電流leakと同じ複製電流leak’を流す。増幅器AmpはトランジスタTr4に接続されている。具体的には、トランジスタTr4の第1端子が増幅器Ampの第1入力端子「+」に接続されている。トランジスタTr5は、増幅器Ampの第2入力端子「-」に接続された第1端子と、電源線VUSEL2(第2電源線)に接続された第2端子とを備える。トランジスタTr4、Tr5の各々のゲート端子に制御信号SIG(H/L)が供給されることで、トランジスタTr4、Tr5が共通して制御される。
【0059】
トランジスタTr6は、トランジスタTr5及び増幅器Ampに接続されている。具体的には、トランジスタTr6のゲート端子は増幅器Ampの出力端子に接続されている。トランジスタTr6はトランジスタTr5の第1端子に接続されている。増幅器Ampは、第1入力端子「+」及び第2入力端子「-」に対する入力が同電位になるようにトランジスタTr6のゲート端子を制御する。当該制御によって、トランジスタTr5、Tr6にはトランジスタTr4に流れる電流と同じ電流が供給される。
【0060】
トランジスタTr7はトランジスタTr2とともにカレントミラー回路を構成する。トランジスタTr2、Tr7の第1端子は、ともに電源線VHH(第1電源線)に接続されている。トランジスタTr2の第2端子は、選択回路201を介して複数のワード線WLに接続されている。トランジスタTr7の第2端子は、トランジスタTr7のゲート端子及びトランジスタTr6に接続されている。トランジスタTr2、Tr7はゲート端子を共有している。トランジスタTr5~Tr7は電源線VHHと電源線VUSEL2との間で直列に接続されているため、増幅器AmpによってトランジスタTr6が制御されることで、トランジスタTr5、Tr6と同様にトランジスタTr7にもトランジスタTr4に流れる電流と同じ電流が供給される。その結果、トランジスタTr2にもトランジスタTr4に流れる電流と同じ電流が供給される。
【0061】
上記のように、電流複製回路80は、非選択メモリセルMCに対応するビット線BL(第2配線)から電源線VUSEL2(第2電源線)に流れる電流leakを複製し、複製された電流に基づいてトランジスタTr2(第2トランジスタ)を制御する。この電流複製回路80を「第1電流複製回路」という場合がある。電流複製回路80によって、トランジスタTr2に複製電流leak’が流れる。したがって、選択ワード線WLには、書き込み電流I_VLDxに加えてリーク電流leakと同じ複製電流leak’が供給される。
【0062】
増幅器Amp及びトランジスタTr6を併せて「第1アンプ回路」という場合がある。トランジスタTr4を「第4トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr5を「第5トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr2、Tr7によって構成されるカレントミラー回路を「第1カレントミラー回路」という場合がある。この場合、図7の構成を以下のように表現することができる。第1カレントミラー回路は第1アンプ回路に接続されている。トランジスタTr2は第1カレントミラー回路に含まれる。トランジスタTr6はトランジスタTr5と第1カレントミラー回路との間に設けられている。
【0063】
以上のように、本実施形態に係るメモリシステム1によると、トランジスタTr4に流れるリーク電流leakを複製し、書き込み電流I_VLDxに加えてリーク電流leakと同じ複製電流leak’を選択ワード線WLに供給することで、選択メモリセルMCに書き込み電流I_VLDxを安定して供給することができる。
【0064】
[2.第2実施形態]
図8図9を用いて、第2実施形態に係るメモリシステム1について説明する。第2実施形態に係るメモリシステムは、第1実施形態に係るメモリシステムと類似している。以下の説明において、第1実施形態に係るメモリシステムと同様の構成の説明を省略し、主に当該メモリシステムと相違する点について説明する。
【0065】
[2-1.電流複製回路の構成]
図8及び図9は、一実施形態に係るメモリシステムに含まれる電流複製回路を示す回路図である。図8及び図9には同じ回路図が示されている。図8及び図9は、ともに書き込み動作を説明する図である。図8及び図9では、メモリセル(MC)として、図3を用いて説明された磁気トンネル接合(MTJ)を含む磁気抵抗効果素子が用いられた構成について説明する。すなわち、メモリセル(MC)に流れる電流の方向により、メモリセルは異なる抵抗状態(抵抗値)を取り得る。図8図9では、メモリセルに逆方向の電流が流れる構成が例示されている。図8に示す書き込み動作を「順方向の書き込み動作」といい、図9に示す書き込み動作を「逆方向の書き込み動作」という。
【0066】
本実施形態に係る電流複製回路80は、第1実施形態と同様に図8に示す順方向の書き込み動作の際に、書き込み電流I_VLDxに加えて複製電流leak’を供給する。電流複製回路90は、図9に示す逆方向の書き込み動作の際に、書き込み電流I_VLDxに加えて複製電流leak’を供給する。
【0067】
図8及び図9に示す回路図は、図7に示す回路図と類似する。以下の説明において、図7と同じ構成の説明を省略し、主に図7と異なる構成について説明する。なお、図8及び図9の電源線VHH1、増幅器Amp1、及び制御信号SIG1(H/L)は、それぞれ図7の電源線VHH、増幅器Amp、及び制御信号SIG(H/L)に対応する。
【0068】
本実施形態の回路構成について、図8を参照して説明する。図8に示すように、メモリシステム1は、図7に示す構成に加えて、電源線VSS1、VSS2、電源線VHH2、トランジスタTr8、Tr11、Tr12、Tr18、及び電流複製回路90を有する。電流複製回路90は、増幅器Amp2及びトランジスタTr15~Tr17を有する。トランジスタTr8、Tr15、Tr16はNMOSである。トランジスタTr11、Tr12、Tr17、Tr18はPMOSである。
【0069】
電源線VSS1は、トランジスタTr8及び選択回路201を介して複数のワード線WLに接続されている。メモリセルMCに対して順方向の書き込み動作が実行される場合にトランジスタTr1がオン状態に制御され、トランジスタTr8がオフ状態に制御される。上記の制御に加えて、トランジスタTr2に電流が流れないように制御されてもよい。この制御を実現するために、トランジスタTr2、Tr7のゲート端子と電源線VHH1とをスイッチ素子を介して接続する回路を追加してもよい。又は、トランジスタTr2の第2端子側にPMOSのスイッチ素子を追加してもよい。上記の場合、理想的にはトランジスタTr4に電流が流れないため、トランジスタTr2には電流が流れないが、仮にトランジスタTr2に電流が流れてしまう場合であっても、電源線VHH1→トランジスタTr2→トランジスタTr8→電源線VSS1の経路で流れるリーク電流が発生することを抑制することができる。
【0070】
メモリセルMCに対して逆方向の書き込み動作が実行される場合にトランジスタTr1がオフ状態に制御され、トランジスタTr8はオン状態に制御される。
【0071】
電源線VHH2と複数のビット線BLとの間にはトランジスタTr11、Tr12が並列に接続されている。詳細は後述するが、トランジスタTr11のゲート端子に制御信号VLDxが供給されることによって、トランジスタTr11は、メモリセルMCに対する逆方向の書き込み動作に必要な電流(書き込み電流I_VLDx)を供給する。詳細は後述するが、電流複製回路90は、逆方向の書き込み動作におけるリーク電流leakと同じ電流を複製し、複製された電流に基づいてトランジスタTr12を制御することによって、トランジスタTr12にリーク電流leakと同じ複製電流leak’を流す。
【0072】
電源線VSS2は、トランジスタTr18及び選択回路301を介して複数のビット線BLに接続されている。メモリセルMCに対して逆方向の書き込み動作が実行される場合にトランジスタTr11がオン状態に制御され、トランジスタTr18がオフ状態に制御される。メモリセルMCに対して順方向の書き込み動作が実行される場合にトランジスタTr11がオフ状態に制御され、トランジスタTr18はオン状態に制御される。
【0073】
上記のように、順方向の書き込み動作が実行される場合、トランジスタTr1、Tr18がオン状態に制御され、トランジスタTr8、Tr11がオフ状態に制御される。この状態は実質的に図7に示す状態と同じである。つまり、順方向の書き込み動作において、電流複製回路80はトランジスタTr4に流れるリーク電流leakを複製し、書き込み電流I_VLDxに加えてリーク電流leakと同じ複製電流leak’を選択ワード線WLに供給する。
【0074】
電流複製回路90について、図9を参照して説明する。図9に示すように、電流複製回路90は、逆方向の書き込み動作時にトランジスタTr3に流れるリーク電流leakを検出し、リーク電流leakと同じ電流を複製し、複製した電流に基づいてトランジスタTr12を制御することで、トランジスタTr12にリーク電流leakと同じ複製電流leak’を流す。増幅器Amp2はトランジスタTr3に接続されている。具体的には、トランジスタTr3の第1端子が増幅器Amp2の第1入力端子「+」に接続されている。トランジスタTr15は、増幅器Amp2の第2入力端子「-」に接続された第1端子と、電源線VUSEL1に接続された第2端子とを備える。トランジスタTr3、Tr15の各々のゲート端子に制御信号SIG2(H/L)が供給されることで、トランジスタTr3、Tr15が共通して制御される。
【0075】
トランジスタTr16は、トランジスタTr15及び増幅器Amp2に接続されている。具体的には、トランジスタTr16のゲート端子は増幅器Amp2の出力端子に接続されている。トランジスタTr16はトランジスタTr15の第1端子に接続されている。増幅器Amp2は、第1入力端子「+」及び第2入力端子「-」に対する入力が同電位になるようにトランジスタTr16のゲート端子を制御する。当該制御によって、トランジスタTr15、Tr16にはトランジスタTr3に流れる電流と同じ電流が供給される。
【0076】
トランジスタTr17はトランジスタTr12とともにカレントミラー回路を構成する。トランジスタTr12、Tr17の第1端子は、ともに電源線VHH2に接続されている。トランジスタTr17の第2端子は、トランジスタTr17のゲート端子及びトランジスタTr16に接続されている。トランジスタTr12、Tr17はゲート端子を共有している。トランジスタTr15~Tr17は電源線VHH2と電源線VUSEL1との間で直列に接続されているため、増幅器Amp2によってトランジスタTr16が制御されることで、トランジスタTr15、Tr16と同様にトランジスタTr17にもトランジスタTr3に流れる電流と同じ電流が供給される。その結果、トランジスタTr12にもトランジスタTr3に流れる電流と同じ電流が供給される。
【0077】
上記のように、電流複製回路90は、非選択メモリセルMCに対応するビット線BLから電源線VUSEL1に流れる電流leakを複製し、複製された電流に基づいてトランジスタTr12を制御する。電流複製回路90によって、トランジスタTr12に複製電流leak’が流れる。したがって、選択ビット線BLには、書き込み電流I_VLDxに加えてリーク電流leakと同じ複製電流leak’が供給される。
【0078】
図9の動作の場合、トランジスタTr1、Tr18がオン状態に制御され、トランジスタTr8、Tr11がオフ状態に制御されるが、この動作に加えて、トランジスタTr12に電流が流れないように制御されてもよい。この制御を実現するために、トランジスタTr12、Tr17のゲート端子と電源線VHH2とをスイッチ素子を介して接続する回路を追加してもよい。又は、トランジスタTr12の第2端子側にPMOSのスイッチ素子を追加してもよい。上記の場合、理想的にはトランジスタTr3に電流が流れないため、トランジスタTr12には電流が流れないが、仮にトランジスタTr12に電流が流れてしまう場合であっても、電源線VHH2→トランジスタTr12→トランジスタTr18→電源線VSS2の経路で流れるリーク電流が発生することを抑制することができる。
【0079】
電流複製回路90を「第2電流複製回路」という場合がある。電源線VHH2を「第3電源線」という場合がある。トランジスタTr11を「第3トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr12を「第4トランジスタ」という場合がある。電源線VUSEL1を「第4電源線」という場合がある。この場合、図8及び図9の構成を以下のように表現することができる。電流複製回路90(第2電流複製回路)は、非選択メモリセルMCに対応するワード線WL(第1配線)から電源線VUSEL1(第4電源線)に流れる電流を複製し、複製された電流に基づいてトランジスタTr12(第4トランジスタ)を制御する。電源線VHH2(第3電源線)は、電圧Vhh(第1電圧)を供給する。トランジスタTr11(第3トランジスタ)は、電源線VHH2(第3電源線)と複数のビット線BL(第2配線)との間に設けられ、選択メモリセルMCに対する書き込み動作に必要な電流を供給する。トランジスタTr12(第4トランジスタ)は、電源線VHH2(第3電源線)と複数のビット線BL(第2配線)との間において、トランジスタTr11(第3トランジスタ)と並列に接続されている。電源線VUSEL1(第4電源線)は、非選択メモリセルMCに対応するワード線WLに電圧Vusel(第3電圧)を供給する。
【0080】
トランジスタTr3を「第5トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr4を「第6トランジスタ」という場合がある。電源線VSS2を「第5電源線」という場合がある。トランジスタTr18を「第7トランジスタ」という場合がある。電源線VSS1を「第6電源線」という場合がある。トランジスタTr8を「第8トランジスタ」という場合がある。この場合、図8及び図9の構成を以下のように表現することができる。トランジスタTr3(第5トランジスタ)は、電源線VUSEL1(第4電源線)と複数のワード線WL(第1配線)との間に設けられている。トランジスタTr4(第6トランジスタ)は、電源線VUSEL2(第2電源線)と複数のビット線BL(第2配線)との間に設けられている。電源線VSS2(第5電源線)は、順方向の書き込み動作において、選択メモリセルMCに対応するビット線BL(第2配線)に電圧Vss(第4電圧)を供給する。トランジスタTr18(第7トランジスタ)は、電源線VSS2(第5電源線)と複数のビット線BL(第2配線)との間に設けられている。電源線VSS1(第6電源線)は、逆方向の書き込み動作において、選択メモリセルMCに対応するワード線WL(第1配線)に電圧Vss(第4電圧)を供給する。トランジスタTr8(第8トランジスタ)は、電源線VSS1(第6電源線)と複数のワード線WL(第1配線)との間に設けられている。
【0081】
電流複製回路80(第1電流複製回路)は、トランジスタTr1(第1トランジスタ)及びトランジスタTr18(第7トランジスタ)がオン状態かつトランジスタTr11(第3トランジスタ)及びトランジスタTr8(第8トランジスタ)がオフ状態で、トランジスタTr4(第6トランジスタ)に流れる電流を複製する。さらに、電流複製回路80は、複製された電流に基づいてトランジスタTr2(第2トランジスタ)を制御する。電流複製回路90(第2電流複製回路)は、トランジスタTr11(第3トランジスタ)及びトランジスタTr8(第8トランジスタ)がオン状態かつトランジスタTr1(第1トランジスタ)及びトランジスタTr18(第7トランジスタ)がオフ状態で、トランジスタTr3(第5トランジスタ)に流れる電流を複製する。さらに、電流複製回路90は、複製された電流に基づいてトランジスタTr12(第4トランジスタ)を制御する。
【0082】
増幅器Amp1及びトランジスタTr6を併せて「第1アンプ回路」という場合がある。増幅器Amp2及びトランジスタTr16を併せて「第2アンプ回路」という場合がある。トランジスタTr2、Tr7を含むカレントミラー回路を「第1カレントミラー回路」という場合がある。トランジスタTr12、Tr17を含むカレントミラー回路を「第2カレントミラー回路」という場合がある。トランジスタTr5を「第9トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr6を「第10トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr15を「第11トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr16を「第12トランジスタ」という場合がある。
【0083】
この場合、図8及び図9の構成を以下のように表現することができる。電流複製回路80(第1電流複製回路)は、第1アンプ回路と第1カレントミラー回路とを含む。第1アンプ回路はトランジスタTr4(第6トランジスタ)に接続されている。上記の第1カレントミラー回路は第1アンプ回路に接続されている。電流複製回路90(第2電流複製回路)は、第2アンプ回路と第2カレントミラー回路とを含む。第2アンプ回路はトランジスタTr3(第5トランジスタ)に接続されている。上記の第2カレントミラー回路は第2アンプ回路に接続されている。トランジスタTr5(第9トランジスタ)は電源線VUSEL2(第2電源線)に接続されている。トランジスタTr6(第10トランジスタ)はトランジスタTr5(第9トランジスタ)と上記第1カレントミラー回路との間に設けられている。トランジスタTr15(第11トランジスタ)は電源線VUSEL1(第4電源線)に接続されている。トランジスタTr16(第12トランジスタ)はトランジスタTr15(第11トランジスタ)と上記第2カレントミラー回路との間に設けられている。
【0084】
同様に、トランジスタTr4(第6トランジスタ)のゲート端子及びトランジスタTr5(第9トランジスタ)のゲート端子は共通で制御される。トランジスタTr4(第6トランジスタ)の第2端子及びトランジスタTr5(第9トランジスタ)の第2端子は、電源線VUSEL2(第2電源線)に接続されている。トランジスタTr4(第6トランジスタ)の第1端子は、第1アンプ回路に含まれる増幅器Amp1の第1入力端子「+」に接続される。トランジスタTr5(第9トランジスタ)の第1端子は、増幅器回路Amp1の第2入力端子「-」に接続される。増幅器Amp1の出力端子は、トランジスタTr6(第10トランジスタ)のゲート端子に接続される。
【0085】
同様に、トランジスタTr3(第5トランジスタ)のゲート端子及びトランジスタTr15(第11トランジスタ)のゲート端子は共通で制御される。トランジスタTr3(第5トランジスタ)の第2端子及びトランジスタTr15(第11トランジスタ)の第2端子は、電源線VUSEL1(第4電源線)に接続されている。トランジスタTr3(第5トランジスタ)の第1端子は、第2アンプ回路に含まれる増幅器Amp2の第1入力端子「+」に接続される。トランジスタTr15(第11トランジスタ)の第1端子は、増幅器Amp2の第2入力端子「-」に接続される。増幅器Amp2の出力端子は、トランジスタTr16(第12トランジスタ)のゲート端子に接続される。
【0086】
トランジスタTr7を「第13トランジスタ」という場合がある。トランジスタTr17を「第14トランジスタ」という場合がある。この場合、図8及び図9の構成を以下のように表現することができる。上記第1カレントミラー回路は、互いにゲート端子を共有するトランジスタTr2(第2トランジスタ)及びトランジスタTr7(第13トランジスタ)を含む。トランジスタTr2(第2トランジスタ)の第1端子及びトランジスタTr7(第13トランジスタ)の第1端子は、電源線VHH1(第1電源線)に接続されている。トランジスタTr7(第13トランジスタ)のゲート端子は、その第2端子に接続されている。トランジスタTr6(第10トランジスタ)はトランジスタTr5(第9トランジスタ)の第1端子とトランジスタTr7(第13トランジスタ)の第2端子に接続されている。上記第2カレントミラー回路は、互いにゲート端子を共有するトランジスタTr12(第4トランジスタ)及びトランジスタTr17(第14トランジスタ)を含む。トランジスタTr12(第4トランジスタ)の第1端子及びトランジスタTr17(第14トランジスタ)の第1端子は、電源線VHH2(第3電源線)に接続されている。トランジスタTr17(第14トランジスタ)のゲート端子は、その第2端子に接続されている。トランジスタTr16(第12トランジスタ)はトランジスタTr15(第11トランジスタ)の第1端子とトランジスタTr17(第14トランジスタ)の第2端子に接続されている。
【0087】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、本実施形態のメモリシステムを基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、上述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0088】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0089】
1:メモリシステム、 10:メモリセルアレイ、 11:第1端子、 12:第2端子、 20:ワード線選択/駆動回路、 30:ビット線選択/駆動回路、 40:制御回路、 50:判定回路、 51:電圧保持部、 52:電圧差取得部、 53:比較部、 54:決定部、 60:センスアンプ、 80:電流複製回路、 90:電流複製回路、 101:可変抵抗素子、 101a:記憶層、 101b:参照層、 101c:トンネルバリア層、 102:スイッチング素子、 111:高抵抗状態、 112:低抵抗状態、 201:選択回路、 301:選択回路、 Amp:増幅器、 BL:ビット線、 GBL:グローバルビット線、 GWL:グローバルワード線、 LBL:ローカルビット線、 LWL:ローカルワード線、 MC:メモリセル、 WL:ワード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9