(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128253
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ロボットの指操作装置及びロボットの指操作方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/10 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B25J15/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037129
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】庄司 和正
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707ES06
3C707ES07
3C707ES09
3C707ET01
3C707EU07
3C707EU11
3C707EU19
3C707HS27
(57)【要約】
【課題】指の間隔を広げたり狭めたりする動作を、機械的かつ同期するように行わせるロボット装置およびその指操作方法を提供する。
【解決手段】互いに平行に、かつ一の直線上に並べて配置された基端中心軸1A~3Aにそれぞれ基端部が支持された第1~第3指部材1~3と、第1指部材1の基端部から先端方向へ移動自在に設けられ、基端中心軸1Aと平行な連動中心軸4と、該連動中心軸4に一端が回転自在に連結され、他端が第2指部材2に回転自在に連結された第1リンクL1と、連動中心軸4に一端が回転自在に連結され、他端が第3指部材3に回転自在に連結された第2リンクL2と、連動中心軸4を移動させることで、第1、第2リンクL1、L2を介して指部材1~3を連動中心軸4を中心として回動させる駆動機構5とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に、かつ一の直線上に並べて配置された基端中心軸にそれぞれ基端部が支持された第1、第2、第3指部材と、
前記第1指部材の基端部から先端方向へ移動自在に設けられ、前記基端中心軸と平行な連動中心軸と、
該連動中心軸に一端が回転自在に連結され、他端が前記第2指部材に回転自在に連結された第1リンクと、
前記連動中心軸に一端が回転自在に連結され、他端が前記第3指部材に回転自在に連結された第2リンクと、
前記連動中心軸を移動させることで、前記第1及び第2リンクを介して前記第1~第3指部材を、前記基端中心軸を中心として回動させる駆動機構と、を有することを特徴とするロボットの指操作装置。
【請求項2】
前記第1指部材の一方の側に第2指部材を配置し、前記第1指部材の他方の側に第3指部材を配置することを特徴とする請求項1に記載のロボットの指操作装置。
【請求項3】
前記第3指部材の前記第1指部材と反対の側にさらに設けた基端中心軸に基端部が支持された第4指部材と、
該第4指部材に一端が回転自在に連結され、他端が前記第1~第3指部材のいずれに回転自在に連結された第3リンクを有することを特徴とする請求項2に記載のロボットの指操作装置。
【請求項4】
前記第4指部材の基端中心軸は、前記第1~第3指部材が並ぶ直線からずれた位置に配置され、
前記第3リンクは、回転自在に支持された一端と他端との間の部分で軸を中心に回転自在に構成されることを特徴とする請求項3に記載のロボットの指操作装置。
【請求項5】
前記駆動機構は、駆動モータと、該駆動モータにより回転駆動されるプーリと、該プーリに巻回されたワイヤとを有しており、該ワイヤの巻取り又は送出しにより、前記第1指部材上の長さ方向に沿って前記連動中心軸を移動させることで、前記基端中心軸を中心として前記第1指部材の両側の指部材を回動させることを特徴とする請求項1に記載のロボットの指操作装置。
【請求項6】
前記プーリは同軸に配置された指オープン用プーリと、指クローズ用プーリとを有し、
前記駆動モータは、前記駆動モータを正転させて前記指オープン用プーリに巻回される第1ワイヤを巻き取ることで、前記連動中心軸を一方の方向に移動させて前記複数の指部材の間隔を広げ、また、前記駆動モータを逆転させて前記指クローズ用プーリに巻回される第2ワイヤを巻き取ることで、前記連動中心軸を他方の方向に移動させて前記複数の指部材の間隔を狭めることを特徴とする請求項5に記載のロボットの指操作装置。
【請求項7】
前記駆動機構の第1及び第2ワイヤは、中指に該当する指部材を前記第1指部材として設定し、かつ当該指部材内の連動中心軸に接続されていることを特徴とする請求項6に記載のロボットの指操作装置。
【請求項8】
前記駆動機構の第1及び第2ワイヤは、薬指に該当する指部材を前記第1指部材として設定し、かつ当該指部材内の連動中心軸に接続されていることを特徴とする請求項6に記載のロボットの指操作装置。
【請求項9】
前記駆動機構の第1及び第2ワイヤは、人差し指、小指等の指部材に直接接続されていることを特徴とする請求項6に記載のロボットの指操作装置。
【請求項10】
互いに平行に、かつ一の直線上に並べて配置された基端中心軸にそれぞれ基端部が支持された第1、第2、第3指部材のうち、前記第1指部材の前記基端部から先端方向へ連動中心軸を移動させる工程と、
該連動中心軸に対して第1リンクの一端を回転させながら、その他端を前記第2指部材に対して回転させることにより、前記第1指部材と第2指部材と互いに間隔を狭めあるいは広げる方向へ回転させる工程と、
前記連動中心軸に対して第2リンクの一端を回転させながら、その他端を前記第3指部材に対して回転させることにより、前記第1指部材と第3指部材とを互いに間隔を狭めあるいは広げる方向へ回転させる工程と、
前記連動中心軸を移動させることで、前記第1及び第2リンクを介して前記第1~第3指部材を、前記基端中心軸を中心として回動させる工程と、を有することを特徴とするロボットの指操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の手の動きに近似して、指の間隔を広げたり狭めたりを同期して行うことが可能なロボットの指操作装置及びロボットの指操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のロボットの指操作装置として特許文献1が知られている。
特許文献1に示されるロボットでは、4本の指の先の離間距離を変化させるエンドエフェクタが設けられている。
このエンドエフェクタでは、掌の開閉の動作を行う駆動部の変化の度合いを検出するエンコーダの検出値に基づき、4本の指を同期させつつ開閉動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示される指操作装置では、指先の離間距離を変化させるエンドエフェクタについての記載があるが、これについての具体的な構成が示されておらず、この点において新たな技術提供が期待されていた。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、人の手の動きに近似して、指の間隔を広げたり狭めたりする動作を、機械的かつ同期するように行わせることが可能なロボットの指操作装置及びロボットの指操作方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第1態様に示されるロボットの指操作装置では、互いに平行に、かつ一の直線上に並べて配置された基端中心軸にそれぞれ基端部が支持された第1、第2、第3指部材と、前記第1指部材の前記基端部から先端方向へ移動自在に設けられ、前記基端中心軸と平行な連動中心軸と、該連動中心軸に一端が回転自在に連結され、他端が前記第2指部材に回転自在に連結された第1リンクと、前記連動中心軸に一端が回転自在に連結され、他端が前記第3指部材に回転自在に連結された第2リンクと、前記連動中心軸を移動させることで、前記第1及び第2リンクを介して前記第1~第3指部材を、前記基端中心軸を中心として回動させる駆動機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2態様に示されるロボットの指操作方法では、互いに平行に、かつ一の直線上に並べて配置された基端中心軸にそれぞれ基端部が支持された第1、第2、第3指部材のうち、前記第1指部材の前記基端部から先端方向へ連動中心軸を移動させる工程と、該連動中心軸に対して第1リンクの一端を回転させながら、その他端を前記第2指部材に対して回転させることにより、第1指部材と第2指部材と互いに間隔を狭めあるいは広げる方向へ回転させる工程と、前記連動中心軸に対して第2リンクの一端を回転させながら、その他端を前記第3指部材に対して回転させることにより、前記第1指部材と第3指部材とを互いに間隔を狭めあるいは広げる方向へ回転させる工程と、前記連動中心軸を移動させることで、前記第1及び第2リンクを介して前記第1~第3指部材を、前記基端中心軸を中心として回動させる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、指の間隔を広げたり狭めたりする動作を、リンクを用いた簡易な構成で機械的かつ同期するように行わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るロボット指操作装置の最小構成を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るロボット指操作装置を手の甲側から視た斜視図である。
【
図3】
図2のロボット指操作装置を手の平側から視た斜視図である。
【
図4】
図2のロボット指操作装置において指間隔を狭めた状態を示す図である。
【
図5】
図3のロボット指操作装置において指間隔を狭めた状態を示す図である。
【
図6】
図2のロボット指操作装置において指間隔をさらに広げた状態を示す図である。
【
図7】
図3のロボット指操作装置において指間隔をさらに広げた状態を示す図である。
【
図8】(A)はロボット指操作装置において指間隔を狭めた状態を示す図、(B)は図(A)において符号Bで示す箇所の拡大図である。
【
図10】(A)はロボット指操作装置において指間隔を広げた状態を示す図、(B)は図(A)において符号Bで示す箇所の拡大図である。
【
図13】本実施形態に係るワイヤによる動作を説明するための図であって、(A)は指間隔を広げた状態を示す図、(B)は指間隔を狭めた状態を示す図である。
【
図14】変形例1に係るワイヤによる動作を説明するための図であって、(A)は指間隔を広げた状態を示す図、(B)は指間隔を狭めた状態を示す図である。
【
図15】変形例2に係るワイヤによる動作を説明するための図であって、(A)は指間隔を広げた状態を示す図、(B)は指間隔を狭めた状態を示す図である。
【
図16】変形例3に係るワイヤによる動作を説明するための図であって、(A)は指間隔を広げた状態を示す図、(B)は指間隔を狭めた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るロボット指操作装置100の最小構成について
図1を参照して説明する。
このロボット指操作装置100は、親指U5、人差し指U2、中指U1、薬指U3及び小指U4からなる指部材(本例では右手)において、「人差し指U2、中指U1、薬指U3」という3本に適用されている。
なお、これら指において、中指U1は第1指部材となる指部材1、人差し指U2は第2指部材となる指部材2、及び薬指U3は第3指部材となる指部材3で構成されている。
【0011】
これら指部材1~3は、互いに平行にかつ一の直線上に並べて配置された基端中心軸1A~3Aにそれぞれ基端部が支持されている。
第1指部材となる指部材1には、基端部から先端方向へ沿う指長さ方向(矢印M1-M2方向)に移動自在でありかつ基端中心軸1Aと平行な連動中心軸4が設けられている。
【0012】
この連動中心軸4には第1リンクL1が設けられている。この第1リンクL1は連動中心軸4に一端が回転自在に連結され、他端が第2指部材となる指部材2に回転自在に連結されている。
また、この連動中心軸4には第2リンクL2が設けられている。この第2リンクL2は連動中心軸4に一端が回転自在に連結され、他端が第3指部材となる指部材3に回転自在に連結されている。
また、これら指部材1~3には、連動中心軸4を移動させることで、第1リンクL1及び第2リンクL2を介して指部材1~3を、連動中心軸4を中心として回動させる駆動機構5が設けられている。
【0013】
そして、以上のように構成された本発明のロボット指操作装置100によれば、第1リンクL1及び第2リンクL2の長さを最適値に設定の上、駆動機構5により指部材1上の連動中心軸4を移動させることで、これらリンクL1,L2を介して、連動中心軸4を中心として指部材1~3を互いに連動させつつ回動させることができる。
これにより本発明のロボット指操作装置100では、指の間隔を広げたり狭めたりする動作を、リンクL1,L2を用いた簡易な構成で、機械的かつ同期するように行わせることが可能となる。
【0014】
(実施形態)
本発明の実施形態に係るロボット指操作装置101について
図2~
図12を参照して説明する。
なお、このロボット指操作装置101は、
図2~
図7に示されるように中指U1、人差し指U2、薬指U3、小指U4及び親指U5からなる指部材について示されている。
また、これら指において、中指U1は第1指部材となる指部材11、人差し指U2は第2指部材となる指部材12、薬指U3は第3指部材となる指部材13、小指U4は第4指部材となる指部材14、及び親指U5は第5指部材となる指部材15により構成されている。
【0015】
これら指部材11~14のそれぞれは、例えば
図2~
図3の指部材14に示すように、3軸からなる連結軸16を介して回転自在に連結された複数の構成部材14a~14d(
図3参照)から構成され、かつ各指の指関節駆動モータ50により駆動される構造であるが、既知の技術であるため詳細な説明は省略する。
また、親指U5となる指部材15は、2軸からなる連結軸51を介して回転自在に連結された複数の構成部材15a~15cから構成され、かつ指関節駆動モータ52により駆動される構造であるが(
図3参照)、その技術も既知であり詳細な説明は省略する。
【0016】
これら指部材11~15は、
図2~
図7に示されるように基台10上に設置された基端中心軸11A~15Aにそれぞれの基端部が支持されている。
また、これらの指部材11~15の基端中心軸11A~15Aは基台10上にて互いが平行に配置されるとともに、これらの中で、基端中心軸11A~13Aは一直線上(
図12に符号Sで示す)に並べて配置されている。
また、これらの指部材11~15において、指部材11は基端中心軸11Aに支持されるものの、基台10に対して回転せず固定的に設けられている。
また、指部材11以外の指部材12~15は、基台10上の基端中心軸12A~15Aに回転可能に支持されている。
また、小指U4となる指部材14において基端中心軸14Aを挟んだ反対側の下部位置には、リンク機構20及び30(後述する)を経由して指部材11~14の全体を操作するための操作片19が設けられているが、これについては以下の変形例2及び3(
図15及び
図16参照)にて詳述する。
【0017】
第1指部材となる指部材11には、
図8及び
図10に示すように、基端部と先端部との間で矢印M1-M2方向に移動自在でありかつ基端中心軸11Aと平行な連動中心軸17が設けられている。
この連動中心軸17は、指部材11の基端部から先端方向へ延びかつ該指部材11の長さ方向(矢印M1-M2方向)に沿う長孔18内で移動自在であり、該長孔18に沿って矢印M1又は矢印M2方向に移動することで、リンク機構20及び30を介しかつ指部材11を中心として指部材12~14の間隔を広げたり狭めたりする動作を行わせる。
また、この連動中心軸17は、
図8及び
図10に示すように駆動機構40の駆動モータ41、プーリ42及びワイヤ43を介して長孔18内にて矢印M1-M2方向に移動させられ、これによって上述した指部材11を中心として指部材12~15の間隔を広げる/狭める動作を行わせる(後述する)。
【0018】
次に、
図8及び
図10~
図12を参照してリンク機構20及びリンク機構30について説明する。
リンク機構20は、
図11及び
図12に詳細に示されるようにリンク部材21及び22からなる。
リンク部材21は一端が長孔18に沿って移動する連動中心軸17に軸支され、かつ他端が、人差し指U2に相当する指部材12の中心位置から外れた箇所にある支持軸23に軸支されている。
また、リンク部材22は一端が長孔18に沿って移動する連動中心軸17に軸支され、かつ他端が、薬指U3に相当する指部材13の中心位置から外れた箇所にある支持軸24に軸支されている。
なお、リンク機構20において、リンク部材21及びリンク部材22は
図1に示す第1リンクL1、第2リンクL2にそれぞれ該当する。
【0019】
リンク機構30は、同じく
図11及び
図12に示されるようにリンク部材31及びリンク部材32からなる。
リンク部材31は中間部が指部材13の長孔33に沿って移動する移動軸34に軸支されたものであって、その一端が指部材11の中心位置から外れた箇所にある支持軸35に軸支され、かつその他端がリンク部材32に連結されている。なお、長孔33は薬指U3となる指部材13の中央部でかつ長さ方向に沿うように形成されている。
【0020】
また、リンク部材32は一端が前述のリンク部材31に連結軸36を介して回動自在とされ、かつ他端が、小指U4に相当する指部材14の中心位置から外れた箇所にある支持軸37に軸支されている。
なお、リンク機構30において、リンク部材31及び32は第3リンクに相当する。
【0021】
そして、以上のようなリンク機構20及びリンク機構30では、
図8に示すように、駆動機構40により連動中心軸17が内側の矢印M2方向に引っ張られた場合に、リンク機構20のリンク部材21,22が互いに閉じるように動作するとともに、リンク機構30のリンク部材31,32も互いに閉じるように動作する。
これによって上記ロボット指操作装置101では、指部材11を中心として指部材12~15の間隔を狭める動作が行われる。
【0022】
また、リンク機構20及びリンク機構30では、
図10に示すように、駆動機構40により連動中心軸17が外側の矢印M1方向に引っ張られた場合に、リンク機構20のリンク部材21,22が互いに開くように動作するとともに、リンク機構30のリンク部材31,32も互いに開くように動作する。
これによって上記ロボット指操作装置101では、指部材11を中心として指部材12~15の間隔を広げる動作が行われる。
【0023】
そして、このときリンク機構20及びリンク機構30において、リンク部材21,22及びリンク部材31,32の長さを適宜設定することで、隣接する指部材11~14の間隔が等しくなるように、これら指部材11~14を広げる/狭める動作を行わせることができる。
また、リンク機構30では、駆動機構40による連動中心軸17の動きを2つ離れた指部材14に伝達する場合に、長孔33に沿って移動する移動軸34、及びピポット軸となる連結軸36により2つのリンク部材31,32に相対回転を生じさせることで、指部材14の動きを微細に調整することができ、これによっても指部材11~14の互いの間隔が等しくなるように回転動作させることができる。
【0024】
次に、指部材11において連動中心軸17を矢印M1-M2方向に動作させる駆動機構40について、
図8~
図10を参照して説明する。
【0025】
この駆動機構40は、駆動モータ41と、該駆動モータ41により回転駆動されるプーリ42(42A、42B)と、該プーリ42に巻回されたワイヤ43(43A、43B)とを有する。
駆動モータ41及びプーリ42(42A、42B)は、
図5、
図7、
図8(B)及び
図10(B)に示されるように基台10内に埋め込まれるように設置されている。
また、プーリ42に巻回されたワイヤ43(43A、43B)は指部材12~15の内部空間に設置されている。
【0026】
具体的には、プーリ42は
図9に示すように同軸に配置された指オープン用プーリ42Aと、指クローズ用プーリ42Bとを有する。
指オープン用プーリ42Aは、ワイヤ43A(第1ワイヤ)を巻回するものであって、
図10(A)(B)に示すように、駆動モータ41を正転させて当該ワイヤ43Aを矢印m1方向に巻き取ることで、連動中心軸17を矢印M1方向に移動させて指部材11の両側の指部材12~14の間隔を広げる。
なお、指オープン用プーリ42Aがワイヤ43Aを巻き取っている際には、指クローズ用プーリ42Bからワイヤ43Bが送り出される。
【0027】
また、指クローズ用プーリ42Bは、
図8(A)(B)に示すようにワイヤ43B(第2ワイヤ)を巻回するものであって、駆動モータ41の駆動軸を逆転(矢印m2で示す)させて当該ワイヤ43Bを巻き取ることで、連動中心軸17を矢印M2方向に移動させて指部材11の両側の指部材12~14の間隔を狭める。
なお、指クローズ用プーリ42Bがワイヤ43Bを巻き取っている際には、指オープン用プーリ42Aからワイヤ43Aが送り出される。
そして、この駆動機構40では、プーリ42(42A、42B)によるワイヤ43(43A、43B)の巻取り又は送出しにより、指部材11上の長さ方向に沿って連動中心軸17を矢印M1又は矢印M2方向に移動させることで、基端中心軸12A~14Aを中心として指部材11の両側の指部材12~14を回動させ、これにより指部材11~14を広げる/狭める動作を行わせることができる。
【0028】
そして、以上の実施形態のロボット指操作装置101によれば、リンク機構20,30のリンク部材21,22及びリンク部材31,32の長さを最適値に設定の上、駆動機構40により指部材11上の連動中心軸17を矢印M1又はM2方向に移動させることで、連動中心軸17を中心として指部材11の両側の指部材12~14を互いに連動させつつ回動させることができる。
これにより本実施形態のロボット指操作装置101では、指の間隔を広げたり狭めたりする動作を、リンク機構20,30を用いた簡易な構成で機械的かつ同期するように行わせることが可能となる。
【0029】
上記実施形態の駆動機構40を以下のように変形しても良い。
(変形例1)
上記実施形態では、
図13(A)(B)に示すように中指U1となる指部材11を第1指部材に設定した上で、かつ当該指部材11内の連動中心軸17に、駆動機構40の第1ワイヤ43A及び第2ワイヤ43Bを接続するようにした。
しかしながら、これに限定されず、変形例1においては、
図14(A)(B)に示すように薬指U3となる指部材13を第1指部材に設定した上で、かつ当該指部材11の長孔33内の移動軸34(連動中心軸に相当)に、駆動機構40の第1ワイヤ43A及び第2ワイヤ43Bを接続するようにしても良い。
これによってもロボット指操作装置101では、プーリ42(42A、42B)によるワイヤ43(43A、43B)の巻取り又は送出しにより、指部材13上の長さ方向に沿って移動軸34(連動中心軸に相当)を矢印M1又は矢印M2方向に移動させることで、基端中心軸12A~14Aを中心として指部材11の両側の指部材12~14を回動させ、これにより指部材11~14を広げる/狭める動作を行わせることができる。
なお、
図13及び
図14において、図(A)はプーリ42によるワイヤ43Aの巻取り/ワイヤ43Bの送出しにより指部材11~14を広げた状態の図、図(B)はプーリ42によるワイヤ43Bの巻取り/ワイヤ43Aの送出しにより指部材11~14を狭めた状態の図をそれぞれ示している。
【0030】
(変形例2)
上記実施形態では、
図13(A)(B)に示すように指部材11内の連動中心軸17に、駆動機構40の第1ワイヤ43A及び第2ワイヤ43Bを接続した。
しかしながら、これに限定されず、変形例2においては、
図15(A)(B)に示すように駆動機構40の第1ワイヤ43Aを、小指U4となる指部材14の操作片19に接続するとともに、第2ワイヤ43Bを当該指部材14のリンク部材32の支持軸37付近に接続しても良い。
これによってもロボット指操作装置101では、プーリ42によるワイヤ43の巻取り又は送出しにより、基端中心軸12A~14Aを中心として指部材11の両側の指部材12~14を回動させ、これにより指部材11~14を広げる/狭める動作を行わせることができる。
なお、
図15において、
図15(A)はプーリ42によるワイヤ43Aの巻取り/ワイヤ43Bの送出しにより指部材11~14を広げた状態の図、
図15(B)はプーリ42によるワイヤ43Bの巻取り/ワイヤ43Aの送出しにより指部材11~14を狭めた状態の図をそれぞれ示している。
【0031】
(変形例3)
上記変形例2では、
図15(A)(B)に示すように駆動機構40の第2ワイヤ43Bを、指部材14のリンク部材支持軸37付近に接続したが、これに限定されず
図16(A)(B)に示すように人差し指U2となる指部材12のリンク部材21の支持軸23付近に接続しても良い。
これによってもロボット指操作装置101では、変形例2と同様に、プーリ42によるワイヤ43(43A、43B)の巻取り又は送出しにより、基端中心軸12A~14Aを中心として指部材11の両側の指部材12~14を回動させ、これにより指部材11~14を広げる/狭める動作を行わせることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、人の手の動きに近似して、指の間隔を広げたり狭めたりを同期して行うことが可能なロボットの指操作装置及びロボットの指操作方法に関する。
【符号の説明】
【0034】
1 指部材(第1指部材)
2 指部材(第2指部材)
3 指部材(第3指部材)
4 連動中心軸
5 駆動機構
10 基台
11 指部材
11A 基端中心軸
12 指部材
12A 基端中心軸
13 指部材
13A 基端中心軸
14 指部材
14A 基端中心軸
15 指部材
15A 基端中心軸
16 連結軸
17 連動中心軸
18 長孔
19 操作片
20 リンク機構
21 リンク部材(第1リンク)
22 リンク部材(第2リンク)
23 支持軸
24 支持軸
30 リンク機構
31 リンク部材(第3リンク)
32 リンク部材(第3リンク)
33 長孔
34 移動軸
35 支持軸
36 連結軸
37 支持軸
40 駆動機構
41 駆動モータ
42 プーリ
42A 第1プーリ
42B 第2プーリ
43 ワイヤ
43A 第1ワイヤ
43B 第2ワイヤ
50 指関節駆動モータ
51 連結軸
52 指関節駆動モータ
100 ロボット指操作装置
101 ロボット指操作装置
L1 第1リンク
L2 第2リンク
M1-M2 連動中心軸の移動方向
S 直線
U1 中指
U2 人差し指
U3 薬指
U4 小指
U5 親指