IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図1
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図2
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図3
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図4
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図5
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図6
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図7
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図8
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図9
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図10
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図11
  • 特開-電動式シャッターおよび換気扇 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128258
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】電動式シャッターおよび換気扇
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/013 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
F24F7/013 101R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037136
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桂川 佑也
(57)【要約】
【課題】シャッターブレードを全開状態で保持する際の保持力の低下を防止できる電動式シャッターおよび換気扇を提供する。
【解決手段】シャッター枠3の開口に配置された連結板6と、連結板6を開口の中の第一位置と第二位置との間で往復移動させるとともに、第二位置において往復移動を停止して固持するシャッターブレード開閉駆動部9と、シャッター枠3との間で回転中心として回転可能に連結された第一の摺動部40と、第一の摺動部40より連結板6側に位置して、連結板6との間で回転可能に連結された第二の摺動部41を有して、連結板6が第一位置にある場合は開口を全閉状態とし、第二位置にある場合は開口を全開状態とするシャッターブレード2と、第二位置において、シャッターブレード2の基部2cを、第一位置から第二位置の方向に押圧する押圧部6bと、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッター枠の開口に配置された連結板、
前記連結板を前記開口の中の第一位置と第二位置との間で往復移動させるとともに、前記第二位置において前記往復移動を停止して固持するシャッターブレード開閉駆動部、
前記シャッター枠との間で回転中心として回転可能に連結された第一の摺動部と、前記第一の摺動部より前記連結板側に位置して、前記連結板との間で回転可能に連結された第二の摺動部を有して、前記連結板が前記第一位置にある場合は前記開口を全閉状態とし、前記連結板が前記第二位置にある場合は前記開口を全開状態とするシャッターブレード、
前記第二位置において、前記第一の摺動部と前記第二の摺動部との間に位置する前記シャッターブレードを、前記第一位置から前記第二位置の方向に押圧する押圧部、
を備えた電動式シャッター。
【請求項2】
前記押圧部は、前記連結板に設けられている、
請求項1に記載の電動式シャッター。
【請求項3】
前記シャッターブレード開閉駆動部は、前記第二位置を検知する位置検知部を備えている、
請求項1に記載の電動式シャッター。
【請求項4】
前記シャッターブレードは、前記第一の摺動部および前記第二の摺動部を備える支軸部と、前記支軸部に接合された基部および前記基部から前記連結板の反対側に延びるシャッター部からなり、
前記押圧部は、前記基部を押圧する、
請求項1に記載の電動式シャッター。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の電動式シャッターを備えて換気を行う、
換気扇。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、屋内と屋外との間で空気の入れ替えを行う電動式シャッターおよび換気扇に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、強風などの強い外力を受けると、故障しないように、シャッターブレードが閉じる換気用電動式シャッター開閉機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-141116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された換気用電動式シャッター開閉機構は、全開状態のシャッターブレードに強風などの強い外力が加わると、シャッターブレードと連動して取り付けられた磁石が、シャッター開閉用モータ可動部に取り付けられた磁石受け金具から外れて、シャッターブレードを閉じている。しかしながら、特許文献1に開示されている換気用電動式シャッター開閉機構は、例えば、牛舎および鶏舎のような畜舎に配置された場合、牛および鶏の糞尿から生じるアンモニア、牛舎および鶏舎の塩素消毒から生じる塩素により、磁石と磁石受け金具に錆が発生するため、磁石と磁石受け金具との間の吸着力が低下する。磁石と磁石受け金具との間の吸着力の低下は、シャッターブレードを全開状態に保持する保持力の低下につながる。そのためシャッターブレードの全開状態を安定して保持できないという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するものであり、シャッターブレードを全開状態で保持する際の保持力の低下を防止できる電動式シャッターおよび換気扇を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる電動式シャッターは、シャッター枠の開口に配置された連結板、連結板を開口の中の第一位置と第二位置との間で往復移動させるとともに、第二位置において往復移動を停止して固持するシャッターブレード開閉駆動部、シャッター枠との間で回転中心として回転可能に連結された第一の摺動部と、第一の摺動部より連結板側に位置して、連結板との間で回転可能に連結された第二の摺動部を有して、連結板が第一位置にある場合は開口を全閉状態とし、連結板が第二位置にある場合は開口を全開状態とするシャッターブレード、第二位置において、第一の摺動部と第二の摺動部との間に位置するシャッターブレードを、第一位置から第二位置の方向に押圧する押圧部、を備えるものである。
【0007】
また本開示にかかる換気扇は、この電動式シャッターを備えて換気を行うものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シャッターブレードを全開状態で保持する際の保持力の低下を防止できる電動式シャッターおよび換気扇を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態にかかる電動式シャッターの概要を示す斜視図である。
図2】実施の形態にかかるシャッターブレードの全閉状態における電動式シャッターの構成を前面側から見た正面図である。
図3】実施の形態にかかるシャッターブレードの全開状態における電動式シャッターの構成を背面側から見た背面図である。
図4】実施の形態にかかる電動式シャッターのシャッターブレードを示す部品図である。
図5】実施の形態にかかる電動式シャッターの連結板を示す部品図である。
図6】実施の形態にかかる電動式シャッターにおけるシャッターブレードを連結板および左側面枠に取り付けた状態を示す詳細図であって、図3のD部を示す詳細図である。
図7】実施の形態にかかる電動式シャッターにおけるシャッターブレードと連結板を組み立てた状態を示す詳細図であって、シャッターブレードが全開状態の場合を示す詳細図である。
図8】実施の形態にかかる電動式シャッターにおけるシャッターブレード開閉駆動部を示す詳細図であって、図3に示す背面側から見た詳細図である。
図9】実施の形態にかかる電動式シャッターにおけるシャッターブレード開閉駆動部を構成するクランクとクランクの回転を停止させる検知スイッチとの関係を説明する説明図であって、図8のE方向から見た説明図である。
図10】実施の形態にかかる電動式シャッターのシャッターブレードの全閉状態における断面図であって、図2のA-A方向から電動式シャッターの構成を見た断面図である。
図11】実施の形態にかかる電動式シャッターのシャッターブレードの全開状態における断面図であって、図3のB-B方向から電動式シャッターの構成を見た断面図である。
図12】実施の形態にかかる電動式シャッターにおけるシャッターブレードの開閉動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は、以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
<電動式シャッター1の構成>
図1から図9に基づいて、実施の形態にかかる電動式シャッター1の構成について説明する。図1は、実施の形態にかかる電動式シャッター1の概要を示す斜視図である。図2は、実施の形態にかかるシャッターブレード2の全閉状態における電動式シャッター1の構成を前面側から見た正面図である。図3は、実施の形態にかかるシャッターブレード2の全開状態における電動式シャッター1の構成を背面側から見た背面図である。図4は、実施の形態にかかる電動式シャッター1のシャッターブレード2を示す部品図である。図5は、実施の形態にかかる電動式シャッター1の連結板6を示す部品図である。図6は、実施の形態にかかる電動式シャッター1におけるシャッターブレード2を連結板6および左側面枠3cに取り付けた状態を示す詳細図であって、図3のD部を示す詳細図である。図7は、実施の形態にかかる電動式シャッター1におけるシャッターブレード2と連結板6を組み立てた状態を示す詳細図であって、シャッターブレード2が全開状態の場合を示す詳細図である。図8は、実施の形態にかかる電動式シャッター1におけるシャッターブレード開閉駆動部9を示す詳細図であって、図3に示す背面側から見た詳細図である。図9は、実施の形態にかかる電動式シャッター1におけるシャッターブレード開閉駆動部9を構成するクランク13とクランク13の回転を停止させる検知スイッチ14との関係を説明する説明図であって、図8のE方向から見た説明図である。
【0012】
以下の説明においては、各図に示した矢印の方向を用いて電動式シャッター1の構成を説明するが、これは電動式シャッター1の構成の理解を容易にするためのものであり、これにより本開示の対象を限定するものでない。なお図における方向の表記において、右側面側と左側面側は、図1および図2に示すように前面側から背面側を見た方向に基づいて表記している。そのため、図3に示されるような背面側から前面側を見た図では、右側面側と左側面側は、図1および図2とは逆に表記している。
【0013】
電動式シャッター1は、シャッター枠3、フランジ20、補強板7、シャッターブレード2、連結板6、第一の摺動部40、第二の摺動部41およびシャッターブレード開閉駆動部9を有する。
【0014】
シャッター枠3は、図2に示すように、上枠3a、下枠3d、右側面枠3bおよび左側面枠3cから構成されている。上枠3a、下枠3d、右側面枠3bおよび左側面枠3cは、長尺の板状の部品である。上枠3aは、高さ方向の上面側に設けられている。下枠3dは、高さ方向の下面側に上枠3aに対向して設けられている。右側面枠3bは、幅方向の右側面側に設けられ、上枠3aの右側面側の一端と下枠3dの右側面側の一端をつないでいる。左側面枠3cは、幅方向の左側面側に設けられ、上枠3aの左側面側の一端と下枠3dの左側面側の一端をつないでいる。上枠3a、下枠3d、右側面枠3bおよび左側面枠3cは、例えば、接着剤または溶接により、互いに接合されている。これにより、シャッター枠3は、上枠3a、下枠3d、右側面枠3bおよび左側面枠3cで囲まれた矩形の開口を有する。
【0015】
フランジ20は、建物の壁60にシャッター枠3を固定する部材である。フランジ20は、奥行方向において、シャッター枠3の背面側に設けられている。フランジ20は、シャッター枠3と壁60の間に設けられている。フランジ20は、図3に示すように、上枠用フランジ20a、下枠用フランジ20d、右側面枠用フランジ20bおよび左側面枠用フランジ20cから構成される。上枠用フランジ20a、下枠用フランジ20d、右側面枠用フランジ20bおよび左側面枠用フランジ20cは、長尺の板状の部品である。
【0016】
上枠用フランジ20aは、高さ方向の上面側に設けられている。下枠用フランジ20dは、高さ方向の下面側に上枠用フランジ20aに対向して設けられている。右側面枠用フランジ20bは、幅方向の右側面側に設けられ、上枠用フランジ20aの右側面側の一端と下枠用フランジ20dの右側面側の一端をつないでいる。左側面枠用フランジ20cは、幅方向の左側面側に設けられ、上枠用フランジ20aの左側面側の一端と下枠用フランジ20dの左側面側の一端をつないでいる。上枠用フランジ20a、下枠用フランジ20d、右側面枠用フランジ20bおよび左側面枠用フランジ20cは、例えば、接着剤または溶接により、互いに接合されている。これにより、フランジ20は、上枠用フランジ20a、下枠用フランジ20d、右側面枠用フランジ20bおよび左側面枠用フランジ20cで囲まれた矩形の開口を有している。フランジ20とシャッター枠3が有する矩形の開口は、電動式シャッター1を通過する空気の流れを円滑にするため、ほぼ同じ大きさを有している。
【0017】
シャッター枠3は、図2に示すように、枠取付孔30を有している。枠取付孔30は、上枠3a、下枠3d、右側面枠3bおよび左側面枠3cのそれぞれにおいて、各枠の中央から両側に等しい間隔を有して、それぞれ一カ所の合計二カ所設けられている。フランジ20は、図3に示すように、フランジ取付孔31を有している。フランジ取付孔31は、上枠用フランジ20a、下枠用フランジ20d、右側面枠用フランジ20bおよび左側面枠用フランジ20cのそれぞれにおいて、各フランジの中央から両側に等しい間隔を有して、それぞれ一カ所の合計二カ所設けられている。枠取付孔30とフランジ取付孔31は、前面側または背面側から見て、同じ位置に設けられている。
【0018】
枠取付孔30とフランジ取付孔31は、図1から図3に示すように、電動式シャッター1を壁60に取り付ける場合に用いる。電動式シャッター1を給気口として空気の流入調整のために用いる場合は、枠取付孔30とフランジ取付孔31を介して、不図示のボルトなどの固定具により、電動式シャッター1を壁60に取り付ける。電動式シャッター1を背面側に設けられる換気扇50と組み合わせて用いる場合は、枠取付孔30とフランジ取付孔31、および不図示の換気扇50のフレームを介して、不図示のボルトなどの固定具により、電動式シャッター1を壁60に取り付ける。
【0019】
補強板7は、シャッター枠3を補強する長尺の板状の部品である。補強板7は、シャッター枠3の撓み、変形を防止する。補強板7は、図1および図3に示すように、シャッター枠3の矩形の開口の中央部に設けられ、シャッター枠3の上枠3aと下枠3dとを結びつけている。補強板7は、高さ方向に、左側面枠3cおよび右側面枠3bに平行して設けられている。補強板7は、上枠3aおよび下枠3dと接合されている。補強板7は、シャッターブレード2が設けられた位置に、切り欠き部7aを有している。切り欠き部7aは、シャッターブレード2を取り付ける際の作業を容易にするために設けられている。シャッター枠3の撓みおよび変形の可能性がない場合は、補強板7は無くてもよい。
【0020】
シャッターブレード2は、図2に示すように、上枠3a、下枠3d、右側面枠3bおよび左側面枠3cで囲まれた矩形の開口に設けられている。シャッターブレード2は、短手方向(図2において高さ方向)に予め定められた幅を有して、長手方向(図2において幅方向)に延びた長尺の部品である。シャッターブレード2は、右側面枠3bと左側面枠3cとの間で接触しない程度の間隙を有している。本実施の形態では、シャッターブレード2は、高さ方向に6枚設けたものを示している。6枚のシャッターブレード2により、シャッター枠3で形成された矩形の開口を全閉状態あるいは全開状態にする。なおシャッターブレード2の枚数は、6枚に限定するものではなく、矩形の開口を全閉状態あるいは全開状態にできれば、任意の枚数に設定可能である。
【0021】
シャッターブレード2は、図4に示すように、先部2a、シャッター部2b、基部2c、支軸部2d、第一曲げ部2hおよび第二曲げ部2iから構成される。図4に示すシャッターブレード2は、シャッターブレード2が全開状態での位置を示している(図1図3および図11参照)。シャッターブレード2は、先部2a、シャッター部2b、基部2c、固定部2e、第一曲げ部2hおよび第二曲げ部2iが形成された部品と支軸部2dの二つの部品から構成されている。シャッターブレード2は、基部2cと支軸部2dとをリベット2gで接合することで一つの部品として形成されている。
【0022】
固定部2eは、基部2cの下面側に設けられている。固定部2eは、基部2cを支軸部2dに接合する際に、支軸部2dと係合することで、基部2cを支軸部2dに固定する。先部2a、シャッター部2b、基部2c、第一曲げ部2hおよび第二曲げ部2iは、長手方向(図2において幅方向)に延びた平板の長尺の部品を、図4に示すように、断面視において、台形状に折り曲げることで形成されている。詳細には、シャッター部2bは、基部2cを基準面とすると、支軸部2dの前面側の端部から、前面側に延びて形成され、下面側の方向にほぼ30°の傾きを有して折り曲げられている。先部2aは、基部2cの反対側にあるシャッター部2bの端部から延びて形成されている。先部2aは、シャッター部2bを基準面とすると、シャッター部2bの端部から下面側の方向にほぼ45°の傾きを有して折り曲げられている。第二曲げ部2iは、シャッター部2bの反対側に位置する先部2aを、180°屈曲させて形成されている。第一曲げ部2hは、シャッター部2bの反対側に位置する基部2cを上面側に折り曲げ、その端部を180°屈曲させて形成されている。第一曲げ部2hおよび第二曲げ部2iは、シャッターブレード2の強度を増すために設けられている。
【0023】
支軸部2dは、図1図3および図6に示すように、奥行方向から見て、下面側に開口されたコの字形状をしている。支軸部2dは、図4に示すように、コの字形状の側面に第一摺動孔2jと第二摺動孔2kを有している。第一摺動孔2jと第二摺動孔2kは、コの字形状の両側の側面に形成されている。支軸部2dは、シャッター枠3の右側面枠3bおよび左側面枠3cと連結可能な位置に設けられている。支軸部2dは、連結板6と連結可能な位置に設けられている。本実施の形態では、シャッターブレード2は、図3に示すように、3本の連結板6に対応して3個の支軸部2dを有している。
【0024】
連結板6は、図5に示すように、長手方向である高さ方向に延びた長尺の部品である。連結板6は、幅方向で切断した際の断面形状がL型の形状をしている。連結板6は、背面側の端部から幅方向に向かってほぼ90°折り曲げられている(図3および図5参照)。連結板6は、奥行方向に連結部6aを有している。連結部6aは、シャッターブレード2を連結するための第三摺動孔6cを有している。連結板6は、連結部6aから奥行方向の前面側に突出する押圧部6bを有している。押圧部6bは、背面側の下側面に向かって開口する切欠き部6dを有している。押圧部6b、切欠き部6dおよび第三摺動孔6cは、シャッターブレード2の数と同じ6カ所設けられている。シャッターブレード2は、高さ方向に同じ間隔で取り付けられる。そのため、押圧部6b、切欠き部6dおよび第三摺動孔6cも同じ間隔で形成されている。連結板6は、奥行方向と直交する幅方向の面に、横板8およびシャッターブレード開閉駆動部9と連結するための不図示の取付孔を有している。
【0025】
連結板6は、図1および図3に示すように、幅方向で等間隔に3本設けられている。3本の連結板6のうちの1本は、シャッター枠3のほぼ中央に設けられている。3本の連結板6のうちの1本は、左側面枠3cの近くに設けられている。3本の連結板6のうちの残りの1本は、右側面枠3bの近くに設けられている。
【0026】
3本の連結板6は、図3に示すように、長手方向である幅方向に延びた長尺の横板8により互いに結合されている。本実施の形態では、横板8は、中央を境にして、高さ方向の上面側と下面側の2ヶ所に設けられている。横板8は、取付ねじなどの固定具により連結板6と結合される。横板8は、3本の連結板6を連動させるために設けられている。横板8は、3本の連結板6を連動させる際の補強として使用されている。なお連結板6の本数および横板8の本数は、特に限定されることはなく、任意に設定することが可能である。
【0027】
第一の摺動部40は、図4図6および図7に示すように、シャッターブレード2の支軸部2dの第一摺動孔2jに第一摺動ピン11を挿通して、シャッター枠3の右側面枠3bおよび左側面枠3cの不図示の取付孔と連結したものである。図6は、一例として、支軸部2dの第一摺動孔2jに第一摺動ピン11を挿通して、シャッター枠3の左側面枠3cと連結した状態を示している。これと同様の構成は、シャッター枠3の右側面枠3bにも設けられている(図3参照)。第一の摺動部40は、右側面枠3bおよび左側面枠3cと連結されているため、空間での位置が変化せず固定される。そのため、第一の摺動部40は、シャッターブレード2を回転移動させる際の回転中心として機能する。すなわち、シャッターブレード2は、シャッター枠3との間で回転可能に連結される。
【0028】
第二の摺動部41は、図4から図7に示すように、シャッターブレード2の支軸部2dの第二摺動孔2kと連結板6の第三摺動孔6cに、第二摺動ピン12を挿通したものである。第二の摺動部41は、シャッターブレード2と連結板6との間の摺動を可能にする。第二の摺動部41は、第一の摺動部40とは離れた位置に設けられている。具体的には、第二の摺動部41は、第一の摺動部40より連結板6側に位置するように設けられている。これにより第二の摺動部41は、第一の摺動部40を回転中心として、連結板6の高さ方向の直線移動をシャッターブレード2の回転移動に変換することで、シャッター枠3の開口に対するシャッターブレード2の開閉を可能にしている。
【0029】
図7は、一例として、連結板6とシャッターブレード2とを組み立てた状態で、シャッターブレード2が全開状態の場合を示したものである。このようにシャッターブレード2が全開状態のときは、連結板6の押圧部6bが、図9の矢印Wに示すように、シャッターブレード2の基部2c、具体的には、第一の摺動部40と第二の摺動部41との間に位置する基部2cを高さ方向の下面側に向かって押圧する。
【0030】
シャッターブレード開閉駆動部9は、図8および図9に示すように、モータ10、電源線10a、クランク13、クランクアーム15、連結アーム16、接続板17および検知スイッチ14を備えている。モータ10は、ギアモータである。モータ10は、電源線10aから駆動電圧が印加される。モータ10は、その内部に、ギアモータの回転軸に接続され、クランクアーム15に回転する力を伝達するクランク13と、クランク13の回転を停止させるための位置検知部としての検知スイッチ14を備えている。クランク13は、検知スイッチ14に接触することで、シャッターブレード開閉駆動部9の動作を停止して固定する。詳しくは、クランク13は、検知スイッチ14に接触することで、ギアモータの回転を停止し、その位置で固持される。本実施の形態では、シャッターブレード2が全開状態のときに、ギアモータの回転が停止するように、検知スイッチ14が調整されている。
【0031】
クランクアーム15は、長方形の板状の部材である。クランクアーム15は、長手方向の一方の端部が、クランクアーム固定ねじ13aによりクランク13に固定されている。連結アーム16は、長手方向に延びた長尺の部品である。クランクアーム15の他方の端部は、連結アーム16の一方の端部において、クランクアーム15と連結アーム16との間で摺動を可能にする第三摺動ピン18により連結されている。連結アーム16の他方の端部は、L型形状の接続板17の一方の端部に、連結アーム16と接続板17との間で摺動を可能にする第四摺動ピン19により連結されている。接続板17の他方の端部は、接続板固定ねじ17aにより、連結板6に固定されている。シャッターブレード開閉駆動部9は、モータ10の回転を、連結板6の高さ方向の直線移動に変換する。
【0032】
<電動式シャッター1の動作>
次に、主に図10から図12を参照して、実施の形態にかかる電動式シャッター1の動作について説明する。図10は、実施の形態にかかる電動式シャッター1のシャッターブレード2の全閉状態における断面図であって、図2のA-A方向から電動式シャッター1を見た断面図である。図11は、実施の形態にかかる電動式シャッター1のシャッターブレード2の全開状態における断面図であって、図3のB-B方向から電動式シャッター1を見た断面図である。図12は、実施の形態にかかる電動式シャッター1におけるシャッターブレード2の開閉動作を説明する説明図である。図12において、(A)は、シャッターブレード2が全閉状態を示し、(B)は、シャッターブレード2が全閉状態から全開状態となる途中の状態を示し、(C)は、シャッターブレード2が全開状態を示している。
【0033】
まずシャッターブレード2の全閉状態において、シャッターブレード開閉駆動部9のクランクアーム15の他方の端部は、図10に示すように、高さ方向において最も高い位置(以下、上死点と称する)となる。この上死点において、クランクアーム15に連結している連結板6と、連結板6との間でシャッターブレード2と連結している第二の摺動部41は、図12(A)に示すように、高さ方向の上面側の最も高い位置(第一位置と称する)に押し上げられている。第一位置では、第一の摺動部40を回転中心として第二の摺動部41の反対側にあるシャッターブレード2は、高さ方向の下面側に押し下げられ、図12(A)に示すように、全閉状態となる。
【0034】
次に、シャッターブレード開閉駆動部9のモータ10に電源線10aから駆動電圧を印加する。モータ10のギアモータに連結されたクランク13およびクランクアーム15は、図10のM1に示す方向に回転移動する。クランク13およびクランクアーム15が回転移動すると、クランクアーム15の他方の端部は、高さ方向の最も高い位置から下方に向けて移動する。クランクアーム15の他方の端部が下方に向けて移動すると、クランクアーム15に連結している連結板6と、連結板6との間でシャッターブレード2と連結している第二の摺動部41は、図12(B)のM2に示すように、高さ方向の下面側に移動する。そして、第二の摺動部41の高さ方向の下面側への移動に伴い、第一の摺動部40を回転中心として第二の摺動部41の反対側にあるシャッターブレード2は、図12(B)のM3に示すように、高さ方向の上面側に押し上げられ、徐々に開状態となる。
【0035】
クランク13およびクランクアーム15の回転移動が進むと、シャッターブレード開閉駆動部9のクランクアーム15の他方の端部は、図11に示すように、高さ方向において最も低い位置(以下、下死点と称する)となる。この下死点において、クランクアーム15に連結している連結板6と、連結板6との間でシャッターブレード2と連結している第二の摺動部41は、図12(C)に示すように、高さ方向の下面側の最も低い位置(第二位置と称する)に押し下げられている。第二位置では、第一の摺動部40を回転中心として第二の摺動部41の反対側にあるシャッターブレード2は、高さ方向の上面側に押し上げられ、図12(C)に示すように、全開状態となる。
【0036】
また、下死点において、クランク13は、位置検知部としての検知スイッチ14に接触するように調整されている。またモータ10のギアモータは、クランク13が検知スイッチ14に接触すると、モータ10の回転を停止して、停止した状態を固持するように設定されている。これによりシャッターブレード2は、全開状態を保持することができる。
【0037】
加えて、シャッターブレード2が全開状態において、連結板6の押圧部6bが、図12(C)の矢印Wに示すように、シャッターブレード2の基部2cを、シャッターブレード2が閉じるのを阻止するように高さ方向の下面側に向かって押圧する。具体的には、第一の摺動部40を支点とする梃子のように、押圧部6bが基部2cを高さ方向の下向きに押圧することで、第一の摺動部40を支点としてシャッターブレード2が高さ方向の上向きの力を受けることになる。従って、押圧部6bが基部2cを押圧する状態が維持されることで、シャッターブレード2が高さ方向の上向きに跳ね上げられた状態が維持される。
【0038】
例えば、図11の矢印Fに示すように、強風などの強い外力がシャッターブレード2に加わった場合、シャッターブレード2は高さ方向の下面側に押し下げられる。そして、シャッターブレード2が外力によって受ける作用の方向とは反対の方向に、連結板6は、高さ方向の上面側に押し上げられる。このとき、モータ10のギアモータの回転を停止させて固持することにより、シャッターブレード2を全開状態に保持するだけでは、シャッターブレード2のばたつきにより、シャッターブレード2の全開状態を保持できずに閉じてしまうことがある。本実施の形態では、シャッターブレード2が全開状態のときに、押圧部6bが、シャッターブレード2の第一の摺動部40と第二の摺動部41の間に位置する基部2cを高さ方向の下面側(第一位置から第二位置の方向)に向かって押圧することで、シャッターブレード2が閉じようとする力、言い換えれば、連結板6を高さ方向の上面側に引き上げる力に対抗する。これにより、シャッターブレード2を全開状態で安定して保持することができる。
【0039】
シャッターブレード2を、再び、全開状態から全閉状態にする時は、モータ10のギアモータを、下死点から上死点まで回転させる。このように、シャッターブレード開閉駆動部9は、連結板6を高さ方向の第一位置と第二位置との間で往復移動させることによって、連結板6の第一位置におけるシャッターブレード2は全閉状態と、連結板6の第二位置におけるシャッターブレード2は全開状態を繰り返す。
【0040】
なお、上記の説明では、連結板6が押圧部6bを有するものを示したが、押圧部6bは、シャッターブレード2の基部2cを押圧できればよく、例えば、押圧部6bを別の部品として構成してもよい。また上記の実施の形態の説明では、位置検知部としてクランク13の位置を検知する検知スイッチ14を用いたものを示したが、シャッターブレード2の全開状態を検知できればよく、例えば、連結板6の位置を検知する位置センサを用いてもよい。
【0041】
<電動式シャッター1の効果>
以上、本実施の形態における電動式シャッター1は、シャッターブレード2の全開状態において、シャッターブレード開閉駆動部9の動作を停止して固持するとともに、押圧部6bが、シャッターブレード2の基部2cを、シャッターブレード2が閉じるのを阻止する方向である第一位置から前第二位置の方向に押圧する。これにより、シャッターブレード2を全開状態で保持する際の保持力の低下を防止できる。
【0042】
また押圧部6bは、シャッターブレード2を、直接、動かないように押圧するので、シャッターブレード2がばたつくことが無くなる。
【0043】
また押圧部6bは、連結板6に付加するだけの構成でよいため、コスト低減に寄与する。
【0044】
さらに、シャッターブレード2を全開状態に保持するのに、磁石を用いていないので、錆による磁石の吸着力の低下がない。このため、電動式シャッター1を安定して稼働することができる。
【0045】
また本実施の形態の電動式シャッター1を換気扇50に取り付けることで、換気扇50を安定して稼働させることができる。
【0046】
以上、本実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものである。実施の形態は、別の公知の技術と組み合わせることが可能である。本開示の要旨を逸脱しない範囲で、実施の形態の構成の一部を省略または変更することが可能である。
【0047】
以下に、本開示に含まれ得る態様の例について、付記として明記する。
(付記1)
シャッター枠の開口に配置された連結板、
前記連結板を前記開口の中の第一位置と第二位置との間で往復移動させるとともに、前記第二位置において前記往復移動を停止して固持するシャッターブレード開閉駆動部、
前記シャッター枠との間で回転中心として回転可能に連結された第一の摺動部と、前記第一の摺動部より前記連結板側に位置して、前記連結板との間で回転可能に連結された第二の摺動部を有して、前記連結板が前記第一位置にある場合は前記開口を全閉状態とし、前記連結板が前記第二位置にある場合は前記開口を全開状態とするシャッターブレード、
前記第二位置において、前記第一の摺動部と前記第二の摺動部との間に位置する前記シャッターブレードを、前記第一位置から前記第二位置の方向に押圧する押圧部、
を備えた電動式シャッター。
(付記2)
前記押圧部は、前記連結板に設けられている、
付記1に記載の電動式シャッター。
(付記3)
前記シャッターブレード開閉駆動部は、前記第二位置を検知する位置検知部を備えている、
付記1または2に記載の電動式シャッター。
(付記4)
前記シャッターブレードは、前記第一の摺動部および前記第二の摺動部を備える支軸部と、前記支軸部に結合された基部および前記基部から前記連結板の反対側に延びるシャッター部からなり、
前記押圧部は、前記基部を押圧する、
付記1から3のいずれかに記載の電動式シャッター。
(付記5)
付記1から4のいずれかに記載の電動式シャッターを備えて換気を行う、
換気扇。
【符号の説明】
【0048】
1 電動式シャッター、2 シャッターブレード、2a 先部、2b シャッター部、2c 基部、2d 支軸部、2e 固定部、2g リベット、2h 第一曲げ部、2i 第二曲げ部、2j 第一摺動孔、2k 第二摺動孔、3 シャッター枠、3a 上枠、3b 右側面枠、3c 左側面枠、3d 下枠、6 連結板、6a 連結部、6b 押圧部、6c 第三摺動孔、6d 切欠き部、7 補強板、7a 切り欠き部、8 横板、9 シャッターブレード開閉駆動部、10 モータ、10a 電源線、11 第一摺動ピン、12 第二摺動ピン、13 クランク、13a クランクアーム固定ねじ、14 検知スイッチ、15 クランクアーム、16 連結アーム、17 接続板、17a 接続板固定ねじ、18 第三摺動ピン、19 第四摺動ピン、20 フランジ、20a 上枠用フランジ、20b 右側面枠用フランジ、20c 左側面枠用フランジ、20d 下枠用フランジ、30 枠取付孔、31 フランジ取付孔、40 第一の摺動部、41 第二の摺動部、50 換気扇、60 壁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12