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特開2024-128295車両ロック制御装置および車両ロック制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128295
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】車両ロック制御装置および車両ロック制御方法
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20240913BHJP
   B60R 25/01 20130101ALI20240913BHJP
   B60R 25/25 20130101ALI20240913BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20240913BHJP
【FI】
E05B49/00 K
E05B49/00 M
E05B49/00 R
B60R25/01
B60R25/25
G06T7/20 300Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037206
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】亀井 泰士
【テーマコード(参考)】
2E250
5L096
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB05
2E250BB08
2E250DD06
2E250DD08
2E250FF11
2E250FF24
2E250FF36
2E250FF38
2E250HH01
2E250JJ03
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA09
5L096JA16
(57)【要約】
【課題】遠隔操作でドアが解錠された車両が、解錠されたまま放置された状態になることを防止する。
【解決手段】車両ロック制御装置10は、遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両の施錠および解錠を行うロック制御部11と、遠隔操作で自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断する解錠者状態判断部12と、解錠者の状態に基づいて、解錠者が自車両の位置を認識しているか否かを判定する認識状況判定部13と、を備える。遠隔操作によって自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、解錠者が自車両の位置を認識していないと判定されると、ロック制御部11は、自車両を施錠する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両の施錠および解錠を行うロック制御部と、
前記遠隔操作で前記自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断する解錠者状態判断部と、
前記解錠者の状態に基づいて、前記解錠者が前記自車両の位置を認識しているか否かを判定する認識状況判定部と、
を備え、
前記ロック制御部は、前記遠隔操作によって前記自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していないと判定されると、前記自車両を施錠する、
車両ロック制御装置。
【請求項2】
前記解錠者状態判断部は、前記解錠者の視線の方向を判断し、
前記認識状況判定部は、前記遠隔操作によって前記自車両が解錠されてから一定時間経過するまでの間に前記解錠者の視線が前記自車両の方向を向いたと判断されると、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していると判定する、
請求項1に記載の車両ロック制御装置。
【請求項3】
前記解錠者状態判断部は、前記解錠者の位置を判断し、
前記認識状況判定部は、前記遠隔操作によって前記自車両が解錠された後に、前記解錠者が継続的に前記自車両に近づいていると判断されると、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していると判定する、
請求項1または請求項2に記載の車両ロック制御装置。
【請求項4】
前記自車両に搭乗した人物の履歴を記録する搭乗者履歴記録部と、
前記自車両から一定距離内に前記自車両への搭乗履歴のある人物がいるか否かを判定する周辺状況判定部と、
をさらに備え、
前記ロック制御部は、前記自車両から一定距離内に前記自車両への搭乗履歴のある人物がいると判定された場合、前記解錠者が前記自車両の位置を認識しているか否かの判定結果に応じた前記自車両の施錠を行わない、
請求項1または請求項2に記載の車両ロック制御装置。
【請求項5】
前記搭乗者履歴記録部は、前記自車両に搭乗した人物の顔画像を記録し、
前記周辺状況判定部は、前記自車両の周辺にいる人物の顔画像を過去に前記自車両に搭乗した人物の顔画像と照合することにより、前記自車両の周辺にいる人物の前記自車両への搭乗履歴の有無を判断する、
請求項4に記載の車両ロック制御装置。
【請求項6】
前記搭乗者履歴記録部は、前記自車両に搭乗した人物の携帯端末の履歴を記録し、
前記周辺状況判定部は、前記自車両の周辺にいる人物が所持する携帯端末と過去に前記自車両に搭乗した人物の携帯端末とを照合することにより、前記自車両の周辺にいる人物の前記自車両への搭乗履歴の有無を判断する、
請求項5に記載の車両ロック制御装置。
【請求項7】
前記搭乗者履歴記録部は、前記自車両に搭乗した人物の携帯端末の履歴として、前記自車両の車載機器とペアリングされた携帯端末の履歴を記録する、
請求項6に記載の車両ロック制御装置。
【請求項8】
車両ロック制御装置のロック制御部が、遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両を解錠し、
前記車両ロック制御装置の解錠者状態判断部が、前記遠隔操作で前記自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断し、
前記車両ロック制御装置の認識状況判定部が、前記解錠者の状態に基づいて、前記解錠者が前記自車両の位置を認識しているか否かを判定し、
前記遠隔操作によって前記自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していないと判定されると、前記ロック制御部が前記自車両を施錠する、
車両ロック制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両のドアの施錠および解錠を行う車両ロック制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばスマートキーなどの通信装置を用いた遠隔操作によりドアの施錠および解錠を行える車両が普及している。以下、「車両の施錠」および「車両の解錠」は、車両のドアの施錠および解錠を意味している。
【0003】
また、例えば下記の特許文献1には、通信装置との無線通信を実施することで通信装置の位置を検出し、防犯性の観点から、通信装置が車両から一定範囲内に位置するときにドアの施錠および解錠を許可する車載システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-122726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
遠隔操作でドアの施錠および解錠を行える車両では、例えば多くの車両が駐車した駐車場において、ユーザが自己の車両の位置を把握していない状態で当該車両を解錠することが想定される。ユーザが遠隔操作で車両を解錠してから当該車両を見付けるまでに時間を要した場合、車両が解錠されたまま放置された状態になるため、防犯上の問題が生じる。
【0006】
本開示は以上のような課題を解決するためになされたものであり、遠隔操作でドアが解錠された車両が、解錠されたまま放置された状態になることを防止できる車両ロック制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る車両ロック制御装置は、遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両の施錠および解錠を行うロック制御部と、遠隔操作で自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断する解錠者状態判断部と、解錠者の状態に基づいて、解錠者が自車両の位置を認識しているか否かを判定する認識状況判定部と、を備え、ロック制御部は、遠隔操作によって自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、解錠者が自車両の位置を認識していないと判定されると、自車両を施錠する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る車両ロック制御装置によれば、遠隔操作で解錠された車両が、解錠されたまま放置された状態になることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る車両ロック制御装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る車両ロック制御装置の動作を示すフローチャートである。
図3】実施の形態2に係る車両ロック制御装置の構成を示す図である。
図4】実施の形態2に係る車両ロック制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5】車両ロック制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
図6】車両ロック制御装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る車両ロック制御装置10の構成を示す図である。本実施の形態では、車両ロック制御装置10は車両に搭載されているものと仮定し、車両ロック制御装置10が搭載された車両を「自車両」という。
【0011】
車両ロック制御装置10は、自車両に搭載された車両制御装置20、通信機21および車外カメラ22に接続されている。
【0012】
車両制御装置20は、自車両を制御するECU(Electronic Control Unit)である。車両制御装置20の制御対象には自車両のドアのロックが含まれており、車両制御装置20は、車両ロック制御装置10からの指示に従って、自車両のドアの施錠および解錠を行う。
【0013】
通信機21は、自車両の施錠および解錠を遠隔操作で行うための遠隔制御装置(不図示)との通信を行う。遠隔制御装置は、例えばスマートキーなど、自車両のユーザが携帯して使用する携帯型の通信装置である。以下、遠隔制御装置を「リモコンキー」という。通信機21とリモコンキーとの間の通信方式は、例えば赤外線式や電波式など、どのようなものでもよい。通信機21は、リモコンキーから受信した施錠指示、解錠指示などの信号を車両ロック制御装置10に伝達する。また、通信機21は、リモコンキーとの通信により、リモコンキーの位置(自車両からの距離および方向)を検出することができ、リモコンキーの位置の情報を車両ロック制御装置10に提供する。
【0014】
車外カメラ22は、自車両の周辺を撮影するカメラである。車外カメラ22は、自車両の周辺に存在する人物を撮影し、当該人物の画像を車両ロック制御装置10に提供する。
【0015】
図1に示すように、車両ロック制御装置10は、ロック制御部11、解錠者状態判断部12および認識状況判定部13を備えている。
【0016】
ロック制御部11は、リモコンキーからの遠隔操作に応じて自車両の施錠および解錠を行う。具体的には、ロック制御部11は、通信機21が受信したリモコンキーからの施錠指示および解錠指示に基づいて、車両制御装置20を制御することで、自車両の施錠および解錠を行う。
【0017】
解錠者状態判断部12は、リモコンキーで自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断する。具体的には、解錠者状態判断部12は、通信機21が検出したリモコンキーの位置から解錠者の位置を特定し、解錠者の位置に基づいて、車外カメラ22が撮影した自車両周辺の画像から解錠者の画像を抽出し、解錠者の顔の画像から解錠者の視線の方向を判断する。また、解錠者状態判断部12は、リモコンキーの位置から特定した解錠者の位置の変化から、解錠者の進行方向を判断する。
【0018】
認識状況判定部13は、解錠者状態判断部12が判断した解錠者の状態に基づいて、解錠者が自車両の位置を認識しているか否かを判定する。具体的には、認識状況判定部13は、リモコンキーからの遠隔操作によって自車両が解錠されてから一定時間経過するまでの間に解錠者の視線が自車両の方向を向いたと判断された場合に、解錠者が自車両の位置を認識していると判定する。また、認識状況判定部13は、遠隔操作によって自車両が解錠された後に、解錠者が継続的に自車両に近づいていると判断されると、解錠者が自車両の位置を認識していると判定する。例えば、認識状況判定部13は、解錠者と自車両との間の距離が一定時間以上継続して短くなったことを検出すると、解錠者が継続的に自車両に近づいていると判断する。
【0019】
認識状況判定部13による、解錠者が自車両の位置を認識しているか否かの判定結果は、ロック制御部11に入力される。ロック制御部11は、遠隔操作に応じて自車両を解錠してから予め定められた時間経過しても、解錠者が自車両の位置を認識していないと判定される場合は、車両制御装置20を制御して自車両を施錠する。これにより、自車両が遠隔操作で解錠された後に、解錠されたまま放置された状態になることが防止される。
【0020】
図2は、実施の形態1に係る車両ロック制御装置10の動作を示すフローチャートである。以下、図2のフローチャートを参照しつつ、車両ロック制御装置10の動作を説明する。
【0021】
車両ロック制御装置10は、車両制御装置20の動作あるいは自車両のロックの状態を監視することで、自車両が施錠されているか否かを判断でき、図2のフローは自車両が施錠されたことが検出されると実行される。
【0022】
自車両が施錠され、図2のフローが開始した後に、自車両が解錠されると(ステップST1でYES)、車両ロック制御装置10は、その解錠がリモコンキーからの遠隔操作に応じた解錠であるか否かを判断する。解錠が遠隔操作に応じたものでない場合、すなわち、ユーザが手動で自車両を解錠した場合には(ステップST2でNO)、自車両のすぐ側にユーザがおり、防犯上の問題はないため、図2のフローは終了する。
【0023】
自車両の解錠が遠隔操作に応じたものであった場合(ステップST2でYES)、解錠者状態判断部12が解錠者の状態を判断し、認識状況判定部13が、その判断結果に基づき、以下のような手順で解錠者が自車両の位置を認識しているか否かを判定する。
【0024】
まず、認識状況判定部13は、自車両が解錠されてから一定時間経過するまでの間に解錠者の視線が自車両の方向を向いたか否かを判断する(ステップST3)。自車両が解錠されてから一定時間経過するまでの間に解錠者の視線が自車両の方向を向いたと判断される場合(ステップST3でYES)、認識状況判定部13は、解錠者が自車両の位置を認識していると判定する(ステップST4)。これは、自車両の位置を認識している解錠者は、自車両の方向を見ながらリモコンキーを操作することが多いことによる。解錠者が自車両の位置を認識していると判定されると、自車両が解錠されたまま放置された状態になる可能性は低いため、図2のフローは終了する。
【0025】
また、自車両が解錠されてから一定時間経過するまでの間に解錠者の視線が自車両の方向を向かなかった場合(ステップST3でNO)、認識状況判定部13は、解錠者が継続的に自車両に近づいているか否かを判断する(ステップST5)。解錠者が継続的に自車両に近づいていると判断される場合(ステップST5でYES)、認識状況判定部13は、解錠者が自車両の位置を認識していると判定し(ステップST4)、図2のフローは終了する。
【0026】
一方、解錠者が継続的に自車両に近づいていると判断されない場合(ステップST5でYES)、認識状況判定部13は、解錠者が自車両の位置を認識していないと判定する(ステップST6)。このとき、自車両の解錠から予め定められた時間だけ経過していなければ(ステップST7でNO)、ステップST5へ戻り、解錠者が継続的に自車両に近づいているか否かが再度判断される。
【0027】
しかし、解錠者が自車両の位置を認識していないとの判定(ステップST6)が、自車両の解錠から予め定められた時間だけ経過しても続く場合は(ステップST7でYES)、自車両が解錠されたまま放置された状態になる可能性が高いため、ロック制御部11が車両制御装置20を制御して自車両を施錠し(ステップST8)、ステップST1へ戻る。
【0028】
以上のように、実施の形態1に係る車両ロック制御装置10によれば、リモコンキーからの遠隔操作によって自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、解錠者が自車両の位置を認識していないと判定されると、自車両が施錠される。これにより、自車両が遠隔操作で解錠された後に、解錠されたまま放置された状態になることが防止される。
【0029】
<実施の形態2>
図3は、実施の形態2に係る車両ロック制御装置10の構成を示す図である。図3においては、図1に示したものと同一または対応する要素には、図1と同じ符号を付している。そのため、それらの要素について実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0030】
図3の車両ロック制御装置10は、図1に示した車両制御装置20、通信機21および車外カメラ22に加え、自車両に搭載された車内カメラ23、車載機器24および記憶装置25に接続されている。
【0031】
車内カメラ23は、自車両の屋内を撮影するカメラである。車内カメラ23は、自車両に搭乗している人物を撮影し、当該人物の画像を車両ロック制御装置10に提供する。
【0032】
車載機器24は、例えばナビゲーション装置やディスプレイオーディオ装置など、自車両に搭載された機器であり、例えばBluetooth(登録商標)などを用いた通信により、携帯電話やスマートフォンなどの携帯端末とのペアリングが可能なものである。車載機器24は、自己とペアリングした携帯端末の情報を車両ロック制御装置10に提供する。
【0033】
記憶装置25は、車両ロック制御装置10が各種の情報を保存するための記憶媒体である。記憶装置25は、車両ロック制御装置10に内蔵されていてもよい。
【0034】
また、本実施の形態では、通信機21は、周囲に存在する携帯端末との通信機能を有しており、通信によって携帯端末の位置を検出することができるものとする。
【0035】
また、図3の車両ロック制御装置10の構成は、図1の構成に対し、搭乗者履歴記録部14および周辺状況判定部15を追加したものである。
【0036】
搭乗者履歴記録部14は、自車両に搭乗した人物である搭乗者の履歴を記録する。搭乗者履歴記録部14によって記録される搭乗者の履歴は記憶装置25に保存される。具体的には、搭乗者履歴記録部14は、車内カメラ23が撮影した搭乗者の顔画像を、搭乗者の履歴の情報として記録する。また、搭乗者履歴記録部14は、通信機21が検出した携帯端末の位置に基づいて自車両内に存在する携帯端末を検出し、自車両内に存在する携帯端末を自車両の搭乗者が所持する携帯端末とみなして、その携帯端末の識別子を搭乗者の履歴の情報として記録する。また、搭乗者履歴記録部14は、車載機器24とペアリングした携帯端末の情報を車載機器24から取得し、車載機器24とペアリングした携帯端末を自車両の搭乗者が所持する携帯端末とみなして、その携帯端末の識別子を搭乗者の履歴の情報として記録する。
【0037】
搭乗者履歴記録部14は、上記の方法のうちの少なくとも1つによって、搭乗者の履歴を記録すればよい。なお、搭乗者の履歴として記録する携帯端末の識別子は、それぞれの携帯端末を識別できるユニークな情報であればどのような情報でもよく、例えば、例えば、Bluetooth(登録商標)のペアリングにおけるBDアドレスなどでもよい。
【0038】
周辺状況判定部15は、自車両から一定距離内に自車両への搭乗履歴のある人物がいるか否かを判定する。具体的には、周辺状況判定部15は、車外カメラ22が撮影した自車両の周辺の画像から、自車両の周辺にいる人物の顔画像を抽出し、記憶装置25に記録されている自車両の過去の搭乗者の顔画像と照合することにより、自車両の周辺にいる人物の自車両への搭乗履歴の有無を判定する。また、周辺状況判定部15は、通信機21を通して自車両の周辺にいる人物が所持する携帯端末を検出し、自車両の周辺にいる人物が所持する携帯端末の識別子と、記憶装置25に記録されている自車両の過去の搭乗者の携帯端末の識別子とを照合することにより、自車両の周辺にいる人物の自車両への搭乗履歴の有無を判定する。
【0039】
また、実施の形態2では、周辺状況判定部15が自車両から一定距離内に自車両への搭乗履歴のある人物がいると判定した場合、ロック制御部11は、解錠者が自車両の位置を認識しているか否かの判定結果に応じた自車両の施錠を行わない。
【0040】
図4は、実施の形態2に係る車両ロック制御装置10の動作を示すフローチャートである。図4のフローチャートは、図2のフローチャートに対し、ステップST8の前にステップST9を挿入したものである。
【0041】
ステップST9では、周辺状況判定部15が、自車両から一定距離内に自車両への搭乗履歴のある人物がいるか否かを判定する。自車両から一定距離内に自車両への搭乗履歴のある人物がいると判定された場合は、ステップST8(自車両の施錠)は行われず、図2のフローが終了する。
【0042】
解錠者がリモコンキーを使って遠方から自車両を解錠するユースケースの1つとして、解錠者が同行者を自車両に乗り込ませるために遠方から解錠するというユースケースがある。例えば、自車両に積まれた荷物を同行者に取ってきてもらう場合に、解錠者が遠方から自車両を解錠すれば、同行者のみを自車両の場所まで行かせればよく、施錠者は移動する必要がないため、高い利便性が得られる。
【0043】
しかし、実施の形態1のシステムでは、例えば、解錠者が自車両から見えない位置にいたり、解錠者がサングラスや帽子を着用していたりして、車両ロック制御装置10が施錠者の視線を認識できない場合には、解錠者がリモコンキーで自車両を解錠した後に、解錠者の意に反して自車両が自動的に施錠される可能性があり、上記のユースケースに対応できない。解錠者がリモコンキーで自車両を解錠した後に自車両の方向へ移動して、車両ロック制御装置10に施錠者が自車両の位置を認識していると判定させれば、自車両が自動的に施錠されることを回避できるが、施錠者が移動する必要がないという利便性が損なわれる。
【0044】
それに対し、実施の形態2のシステムでは、自車両から一定距離内に自車両への搭乗履歴のある人物がいれば、自車両が自動的に施錠されることはない。自車両への搭乗履歴のある人物は、解錠者の同行者である可能性が高いため、上記のユースケースに適切に対応できる。
【0045】
<ハードウェア構成例>
図5および図6は、それぞれ車両ロック制御装置10のハードウェア構成の例を示す図である。図1に示した車両ロック制御装置10の構成要素の各機能は、例えば図5に示す処理回路50により実現される。すなわち、車両ロック制御装置10は、遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両を解錠し、遠隔操作で自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断し、解錠者の状態に基づいて、解錠者が自車両の位置を認識しているか否かを判定し、遠隔操作によって自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、解錠者が自車両の位置を認識していないと判定されると、自車両を施錠するための処理回路50を備える。処理回路50は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサ(中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)とも呼ばれる)を用いて構成されていてもよい。
【0046】
処理回路50が専用のハードウェアである場合、処理回路50は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものなどが該当する。車両ロック制御装置10の構成要素の各々の機能が個別の処理回路で実現されてもよいし、それらの機能がまとめて一つの処理回路で実現されてもよい。
【0047】
図6は、処理回路50がプログラムを実行するプロセッサ51を用いて構成されている場合における車両ロック制御装置10のハードウェア構成の例を示している。この場合、車両ロック制御装置10の構成要素の機能は、ソフトウェア等(ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせ)により実現される。ソフトウェア等はプログラムとして記述され、メモリ52に格納される。プロセッサ51は、メモリ52に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち、車両ロック制御装置10は、プロセッサ51により実行されるときに、遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両を解錠する処理と、遠隔操作で自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断する処理と、解錠者の状態に基づいて、解錠者が自車両の位置を認識しているか否かを判定する処理と、遠隔操作によって自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、解錠者が自車両の位置を認識していないと判定されると、自車両を施錠する処理と、が結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ52を備える。換言すれば、このプログラムは、車両ロック制御装置10の構成要素の動作の手順や方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0048】
ここで、メモリ52は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)およびそのドライブ装置のほか、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0049】
以上、車両ロック制御装置10の構成要素の機能が、ハードウェアおよびソフトウェア等のいずれか一方で実現される構成について説明した。しかしこれに限ったものではなく、車両ロック制御装置10の一部の構成要素を専用のハードウェアで実現し、別の一部の構成要素をソフトウェア等で実現する構成であってもよい。例えば、一部の構成要素については専用のハードウェアとしての処理回路50でその機能を実現し、他の一部の構成要素についてはプロセッサ51としての処理回路50がメモリ52に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
【0050】
以上のように、車両ロック制御装置10は、ハードウェア、ソフトウェア等、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0051】
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0052】
<付記>
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0053】
(付記1)
遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両の施錠および解錠を行うロック制御部と、
前記遠隔操作で前記自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断する解錠者状態判断部と、
前記解錠者の状態に基づいて、前記解錠者が前記自車両の位置を認識しているか否かを判定する認識状況判定部と、
を備え、
前記ロック制御部は、前記遠隔操作によって前記自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していないと判定されると、前記自車両を施錠する、
車両ロック制御装置。
【0054】
(付記2)
前記解錠者状態判断部は、前記解錠者の視線の方向を判断し、
前記認識状況判定部は、前記遠隔操作によって前記自車両が解錠されてから一定時間経過するまでの間に前記解錠者の視線が前記自車両の方向を向いたと判断されると、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していると判定する、
付記1に記載の車両ロック制御装置。
【0055】
(付記3)
前記解錠者状態判断部は、前記解錠者の位置を判断し、
前記認識状況判定部は、前記遠隔操作によって前記自車両が解錠された後に、前記解錠者が継続的に前記自車両に近づいていると判断されると、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していると判定する、
付記1または付記2に記載の車両ロック制御装置。
【0056】
(付記4)
前記自車両に搭乗した人物の履歴を記録する搭乗者履歴記録部と、
前記自車両から一定距離内に前記自車両への搭乗履歴のある人物がいるか否かを判定する周辺状況判定部と、
をさらに備え、
前記ロック制御部は、前記自車両から一定距離内に前記自車両への搭乗履歴のある人物がいると判定された場合、前記解錠者が前記自車両の位置を認識しているか否かの判定結果に応じた前記自車両の施錠を行わない、
付記1から付記3のいずれか一つに記載の車両ロック制御装置。
【0057】
(付記5)
前記搭乗者履歴記録部は、前記自車両に搭乗した人物の顔画像を記録し、
前記周辺状況判定部は、前記自車両の周辺にいる人物の顔画像を過去に前記自車両に搭乗した人物の顔画像と照合することにより、前記自車両の周辺にいる人物の前記自車両への搭乗履歴の有無を判断する、
付記4に記載の車両ロック制御装置。
【0058】
(付記6)
前記搭乗者履歴記録部は、前記自車両に搭乗した人物の携帯端末の履歴を記録し、
前記周辺状況判定部は、前記自車両の周辺にいる人物が所持する携帯端末と過去に前記自車両に搭乗した人物の携帯端末とを照合することにより、前記自車両の周辺にいる人物の前記自車両への搭乗履歴の有無を判断する、
付記5に記載の車両ロック制御装置。
【0059】
(付記7)
前記搭乗者履歴記録部は、前記自車両に搭乗した人物の携帯端末の履歴として、前記自車両の車載機器とペアリングされた携帯端末の履歴を記録する、
付記6に記載の車両ロック制御装置。
【0060】
(付記8)
車両ロック制御装置のロック制御部が、遠隔制御装置からの遠隔操作に応じて自車両を解錠し、
前記車両ロック制御装置の解錠者状態判断部が、前記遠隔操作で前記自車両を解錠した人物である解錠者の状態を判断し、
前記車両ロック制御装置の認識状況判定部が、前記解錠者の状態に基づいて、前記解錠者が前記自車両の位置を認識しているか否かを判定し、
前記遠隔操作によって前記自車両が解錠されてから予め定められた時間経過しても、前記解錠者が前記自車両の位置を認識していないと判定されると、前記ロック制御部が前記自車両を施錠する、
車両ロック制御方法。
【符号の説明】
【0061】
10 車両ロック制御装置、11 ロック制御部、12 解錠者状態判断部、13 認識状況判定部、14 搭乗者履歴記録部、15 周辺状況判定部、20 車両制御装置、21 通信機、22 車外カメラ、23 車内カメラ、24 車載機器、25 記憶装置、50 処理回路、51 プロセッサ、52 メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6