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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024128622
(43)【公開日】2024-09-24
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/08 20060101AFI20240913BHJP
   F25D 11/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F25D17/08 306
F25D11/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037692
(22)【出願日】2023-03-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中津 哲史
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045CA03
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045LA06
3L045LA12
3L045MA02
3L045NA07
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L345AA02
3L345AA16
3L345BB02
3L345DD06
3L345DD11
3L345EE02
3L345EE33
3L345FF12
3L345FF25
3L345FF37
3L345FF41
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】圧縮機の停止と駆動とを繰り返すことなく、冷蔵庫内の温度が目標温度に近づくように制御する。
【解決手段】冷蔵庫(10)は圧縮機(90)と冷却器(25)と第1貯蔵室(R)と冷凍室(F)と冷凍室温度センサ(Ft)と冷却室(45)と第1貯蔵室(R)とを接続する第1風路(1a)と冷却室(45)と冷凍室(F)とを接続する第1冷凍室風路(5a)と第2冷凍室風路(5b)と第1調整機構(Rd)と冷凍室調整機構(Fd)と制御装置(80)を備える。制御装置(80)は目標温度域を設定し、圧縮機(90)を第1回転速度(N1)で駆動し目標温度域の範囲内となるように冷凍室調整機構(Fd)を制御する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、
冷却器と、
前記冷却器を配置する冷却室と、
第1貯蔵室と、
冷凍室と、
前記冷凍室内の空気温度を測定する冷凍室温度センサと、
前記冷却室と前記第1貯蔵室とを接続する第1風路と、
前記冷却室と前記冷凍室とを接続する第1冷凍室風路と、
前記冷却室と前記冷凍室とを接続し、前記第1冷凍室風路と異なる第2冷凍室風路と、
前記第1風路を開放および閉鎖可能な第1調整機構と、
前記第1冷凍室風路および前記第2冷凍室風路を開放および閉鎖可能な冷凍室調整機構と、
前記第1調整機構および前記冷凍室調整機構を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記冷凍室の空気温度に対して目標温度域を設定し、
前記圧縮機を第1回転速度で駆動しつつ、前記冷凍室の空気温度が目標温度域の範囲内となるように、前記冷凍室温度センサの検出値に基づいて前記冷凍室調整機構を制御する、冷蔵庫。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記冷凍室温度センサの検出値が目標温度域の第1上限温度を上回ったとき前記冷凍室調整機構を開放し、
前記冷凍室温度センサの検出値が目標温度域の第1下限温度を下回ったとき前記冷凍室調整機構を閉鎖する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記制御装置は、前記冷蔵庫に電源が投入された後の初回冷却処理を行う場合、
前記圧縮機を前記第1回転速度よりも高い第2回転速度で駆動しつつ、
前記冷凍室温度センサの検出値が前記第1上限温度よりも低い第2上限温度を上回ったとき、前記冷凍室調整機構を開放し、
前記冷凍室温度センサの検出値が前記第1下限温度よりも高い第2下限温度を下回ったとき、前記冷凍室調整機構を閉鎖する、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御装置は、前記冷凍室調整機構が閉鎖状態であるとき、前記圧縮機の回転速度を前記第1回転速度から低下させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記制御装置は、前記冷凍室の空気温度が目標温度域の範囲内となるように、前記冷凍室調整機構に対して、前記冷凍室温度センサの検出値に基づくフィードバック制御を行う、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記制御装置は、前記フィードバック制御により、前記冷凍室温度センサの検出値が一定の温度に安定した場合、前記一定の温度と目標温度との差が規定の範囲内であるか否かを判断し、
前記一定の温度と目標温度との差が前記規定の範囲内である場合、前記圧縮機の回転速度を低下させる、請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記制御装置は、前記一定の温度と目標温度との差が前記規定の範囲内ではない場合、前記冷凍室温度センサの検出値が目標温度よりも高いか否かを判断し、
前記冷凍室温度センサの検出値が目標温度よりも高い場合、前記圧縮機の回転速度を上昇させ、
前記冷凍室温度センサの検出値が目標温度よりも低い場合、前記圧縮機の回転速度を低下させる、請求項6に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍室を備える冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機を含む冷凍サイクルシステムを用いて庫内の食品などを冷蔵、冷凍保存する冷蔵庫が知られている。特許文献1(特開2015-038409号公報)には、冷蔵室、冷凍室を有し、冷却室にて冷却された空気を冷蔵室、冷凍室の各々に送風する冷蔵庫が記載されている。特許文献1の冷蔵庫には、冷蔵庫内の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0003】
特許文献1の冷蔵庫では、当該温度センサにより検出された庫内温度に基づいて、圧縮機を駆動するか否かを定めている。より具体的には、特許文献1の冷蔵庫は、庫内温度が目標温度域の範囲内であれば圧縮機を停止し、庫内温度が目標温度域の範囲外であれば圧縮機を駆動する。
【0004】
すなわち、特許文献1の冷蔵庫では、庫内温度が上昇して目標温度域の範囲外となったとき、庫内温度を低下させて目標温度域の範囲内に制御するために圧縮機を駆動する。一方、圧縮機の駆動により庫内温度が目標温度域の範囲内となったとき、特許文献1の冷蔵庫は圧縮機を停止する。さらに、特許文献1の冷蔵庫は、圧縮機の停止により、庫内温度が再度、目標温度域の範囲外となったことに基づき、再度圧縮機を駆動する。このように特許文献1では、圧縮機の駆動と停止を繰り返すことによって、庫内温度を目標温度域の範囲内に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-038409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような冷蔵庫では、圧縮機が停止している状態から圧縮機を駆動するときに大きな突入電流が生じてしまう。すなわち、庫内温度を目標温度域の範囲内に維持するために圧縮機の停止と駆動とを繰り返すと、大きな電流の発生が繰り返されるため、冷却処理に使用される消費電力が増大する場合がある。
【0007】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、圧縮機の停止と駆動とを繰り返すことなく、冷蔵庫内の温度が目標温度に近づくように制御する冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示における冷蔵庫は、圧縮機と、冷却器と、冷却器を配置する冷却室と、第1貯蔵室と、冷凍室と、冷凍室内の空気温度を測定する冷凍室温度センサと、冷却室と第1貯蔵室とを接続する第1風路と、冷却室と冷凍室とを接続する第1冷凍室風路と、冷却室と冷凍室とを接続し、第1冷凍室風路と異なる第2冷凍室風路と、第1風路を開放および閉鎖可能な第1調整機構と、第1冷凍室風路および第2冷凍室風路を開放および閉鎖可能な冷凍室調整機構と、第1調整機構および冷凍室調整機構を制御する制御装置とを備える。制御装置は、冷凍室の空気温度に対して目標温度域を設定し、圧縮機を第1回転速度で駆動しつつ、冷凍室の空気温度が目標温度域の範囲内となるように、冷凍室温度センサの検出値に基づいて冷凍室調整機構を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の冷蔵庫では、圧縮機の停止と駆動とを繰り返すことなく、冷蔵庫内の温度を目標温度に近づくように制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】冷蔵庫の断面を示す透過図である。
図2】冷却室および冷凍室周辺を側面視したときの断面透過図である。
図3】冷蔵庫で用いられる冷凍サイクルを示す模式図である。
図4】冷蔵庫の回路構成を示すブロック図である。
図5】開放状態または閉鎖状態であるときのダンパ装置を示す図2の拡大図である。
図6】ダンパ装置の斜視図である。
図7】開放状態または閉鎖状態であるときのダンパ装置の断面図である。
図8】実施の形態1における通常冷却処理時の各構成の動作を示すタイミングチャートである。
図9】比較例における通常冷却処理時の各構成の動作を示すタイミングチャートである。
図10】実施の形態1において実行される制御のフローチャートである。
図11】電源投入後の初回冷却処理において実行される制御のフローチャートである。
図12】実施の形態2において実行される制御のフローチャートである。
図13】実施の形態2にて行われるフィードバック制御を説明するための図である。
図14】実施の形態3において実行される制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
実施の形態1.
<冷蔵庫の全体構成>
図1は、冷蔵庫10の断面を示す透過図である。図1(A)は、冷蔵庫10を正面視したときの透過図である。図1(B)は、冷蔵庫10を側面視したときの透過図である。本実施の形態における冷蔵庫10は、六面体形状である。
【0013】
冷蔵庫10を床面に設置したときの上下方向をZ軸方向とし、Z軸方向に垂直な平面をXY平面とする。また、各図におけるZ軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。冷蔵庫10は、断熱箱体20を含む冷蔵庫本体100を備えている。断熱箱体20は、真空断熱材21と発泡断熱材22とを含む。真空断熱材21と発泡断熱材22は、外気からの熱、および図示しない断熱体内凝縮器からの熱の進入を抑制する。断熱箱体20は、外箱10Sおよび内箱10Iを含む。内箱10Iは、外箱10Sの内側に配置される。外箱10Sは、鋼鉄製である。内箱10Iは、樹脂製である。
【0014】
冷蔵庫本体100の内部に、貯蔵室として、冷蔵室Rと、製氷室Iと、切替室Sと、野菜室Vと、冷凍室Fとが形成されている。以下では、冷蔵室Rと製氷室Iと切替室Sと野菜室Vと冷凍室Fとを、総括して各貯蔵室R~Fと称する場合がある。なお、冷蔵室Rと製氷室I、切替室S、および野菜室Vの各々は、本開示における「第1貯蔵室」に対応し得る。各貯蔵室R~Fは、仕切部材50a~50fによって仕切られている。仕切部材50a~50fは、各貯蔵室R~F間の熱移動を抑制するために設けられている。
【0015】
冷蔵室Rの内部は、複数の棚板によって、上下方向に複数の空間に仕切られている。最下段の棚板の下側の空間は、チルド室Chである。冷蔵室Rの前面に形成された開口部には、当該開口部を開閉する回転式の冷蔵室扉が設けられている。冷蔵室扉は、右扉および左扉により構成される両開き式である。冷蔵室R内に配置されるサーミスタRtは、冷蔵室R内の空気の温度を検出する。
【0016】
切替室Sは、冷蔵室Rの下方に配置されている。切替室Sの保冷温度帯は、複数の温度帯のうちのいずれかに設定して切り替えることができる。切替室Sの保冷温度帯として選択可能な複数の温度帯は、冷凍温度帯(たとえば-15℃程度)、冷蔵温度帯(たとえば3℃程度)、チルド温度帯(たとえば0℃程度)およびソフト冷凍温度帯(たとえば-8℃程度)等である。切替室S内に配置されるサーミスタStは、切替室S内の空気の温度を検出する。
【0017】
製氷室Iは、冷蔵室Rの下方において切替室Sと隣接して配置されている。製氷室I内に配置されるサーミスタItは、製氷室I内の空気の温度を検出する。野菜室Vは、切替室Sおよび製氷室Iの下方に配置されている。野菜室Vは、主に野菜、容量の大きなペットボトル等を収納するためのものである。野菜室V内に配置されるサーミスタVtは、野菜室V内の空気の温度を検出する。
【0018】
冷凍室Fは、野菜室Vの下方であって、冷蔵庫本体100の最下段に配置されている。冷凍室Fは、主に貯蔵対象を比較的長期にわたって冷凍保存するために用いられる。冷凍室F内に配置されるサーミスタFtは、冷凍室F内の空気の温度を検出する。以下では、サーミスタFtの検出温度を「冷凍室温度Tf」と称する。なお、サーミスタFtは、本開示における「冷凍室温度センサ」に対応し得る。
【0019】
切替室S、製氷室I、野菜室V、および冷凍室Fの各々は、引き出し式の扉によって開閉される。引き出し式の扉は、扉に固定して設けられたフレームを切替室S、製氷室I、野菜室V、および冷凍室Fの各々の左右の内壁面に水平に形成されたレールに対してスライドさせることにより、Y軸方向に開閉できる。
【0020】
冷却室45は、冷蔵庫10内において野菜室VのY軸の負方向側の位置に形成される。冷却室45には、庫内ファン15と、冷却器25と、ヒータ35と、サーミスタQtとが配置されている。冷却器25は、冷却器25の周囲の空気を冷却する。庫内ファン15は、冷却器25によって冷却された空気を各貯蔵室R~Fへと送る。ヒータ35は、霜取運転時において、冷却器25の温度を上昇させて冷却器25に付着した霜を融解して除去する。冷凍室FのY軸の負方向側には、圧縮機90が配置された機械室95が形成されている。
【0021】
図1(B)に示すように、冷却室45と冷蔵室Rとの間には、ダンパ装置Rdが設けられている。冷却室45と切替室Sとの間には、ダンパ装置Sdが設けられている。冷却室45と野菜室Vとの間には、ダンパ装置Vdが設けられている。冷却室45と冷凍室Fとの間には、ダンパ装置Fdが設けられている。また、冷蔵室R内において、チルド室Chには、ダンパ装置Rd2が設けられている。
【0022】
図1(A)に示すように、冷却室45と製氷室Iとの間には、ダンパ装置Idが設けられている。ダンパ装置Idは、図1(B)において、ダンパ装置SdのX軸の負方向側に配置されている。ダンパ装置Idは、図1(A)にだけ図示されており、図1(A)おいて、ダンパ装置Rd,Sd,Vd,Fdの図示は省略されている。ダンパ装置Rd,Sd,Vd,Fd,Rd2,Idは、各ダンパ装置が配置されている風路の開度を調整可能であるように構成されている。以下では、ダンパ装置Rd,Sd,Id,Vd,Fdを総括して、ダンパ装置Rd~Fdと称する場合がある。冷蔵庫本体100のZ軸の正方向側であってY軸の負方向には、制御装置80が配置された制御室65が形成されている。制御装置80は、ダンパ装置Rd~Fdの開度を制御する。ダンパ装置Rd~Fdは、閉鎖状態であるとき、冷却室45から送風される空気の流れを遮断し、開放状態であるとき、冷却室45から送風される空気を通過させる。
【0023】
制御装置80は、冷蔵室R、切替室S、製氷室I、野菜室Vの各々に設定されている目標温度域と、冷蔵室R、切替室S、製氷室I、野菜室Vの各々のサーミスタの検出温度とを比較することにより、ダンパ装置Rd,Sd,Id,Vdの開度を制御する。制御装置80は、冷蔵室R、切替室S、製氷室I、野菜室V,冷凍室Fごとに、異なる目標温度域を設定する。
【0024】
目標温度域は、一定の範囲を含む温度域であって、下限温度と上限温度とを含む。たとえば、冷蔵室Rには、+2℃から+7℃の間の目標温度域が設定されている。以下では、目標温度域の中心を単に「目標温度」と称する。すなわち、冷蔵室Rの目標温度は5℃である。
【0025】
制御装置80は、サーミスタの検出値が設定された目標温度域の下限温度を下回るとき、対応するダンパ装置を閉鎖状態に制御して、当該貯蔵室が過度に冷却されることを抑制する。また、制御装置80は、サーミスタの検出値が設定された目標温度域の上限温度を上回るとき、対応するダンパ装置を開放状態に制御して、冷却された空気を流し込み貯蔵室内の温度を目標温度域内に維持する。なお、ダンパ装置Rd,Sd,Id,Vdの各々は、本開示における「第1調整機構」に対応し得る。ダンパ装置Fdは、本開示における「冷凍室調整機構」に対応し得る。
【0026】
<冷却室と冷凍室との間のダンパ装置>
図2は、冷却室45および冷凍室F周辺を側面視したときの断面透過図である。以下では、冷却室45と冷凍室Fとの間の空気の循環について説明する。冷却器25は、冷却器25の周囲の空気を冷却する。庫内ファン15が運転して庫内の空気を循環させることにより、冷凍室Fへと送風された空気は、冷凍室Fに到達した後、冷却室45へと戻る。
【0027】
図2において、実線で記載される矢印は、庫内ファン15が駆動したとき、冷却室45から冷凍室Fへと空気が送られる風路5aを示す。一方で、破線で記載される矢印は、庫内ファン15が駆動したとき、冷凍室Fから冷却室45へと空気が戻るための風路5bを示す。なお、本開示において風路5aは「第1冷凍室風路」に対応し、風路5bは「第2冷凍室風路」に対応し得る。
【0028】
冷凍室Fには、冷凍ケースCが配置される。冷凍室Fは、冷凍ケースCを境界として上部冷凍室Fuと下部冷凍室Fbとに分割される。ダンパ装置Fdは、冷却室45と冷凍室Fとの間に配置される。冷却室45と冷凍室Fとの間には、風路5aと風路5bとが形成されている。風路5aと風路5bとは風路壁Wfによって隔てられている。
【0029】
ダンパ装置Fdは、バッフル板Bfを備えている。風路5aおよび風路5bは風路壁Wfを隔てて隣接している。風路壁Wfにはバッフル板Bfの回転軸が設けられている。バッフル板Bfは回転軸を中心に少なくとも90度回転する。
【0030】
ダンパ装置Fdの風路5aを通過した空気は、上部冷凍室Fuと下部冷凍室Fbとに分岐する。上部冷凍室Fuへと送られた空気は、上部冷凍室Fuを通過した後、冷凍室FのY軸の正方向側に設けられた通路Al1と、冷凍室FのZ軸の負方向側に設けられた通路Al2とを通過する。その後、冷却室45から上部冷凍室Fuへと送られた空気は、ダンパ装置Fdの風路5bを通過して冷却室45へと戻る。このように、庫内ファン15により冷却室45へと送られた空気は、循環する。
【0031】
<冷凍サイクル>
図3は、冷蔵庫10で用いられる冷凍サイクルを示す模式図である。冷蔵庫10は、冷凍サイクル装置として、圧縮機90、凝縮器85、キャピラリーチューブ30S,30L、冷却器25、切換装置29、およびリザーバ49を備えている。
【0032】
圧縮機90は、冷媒を圧縮することにより、冷媒の状態を高温高圧である気体の状態へと変化させて、凝縮器85へ送る。凝縮器85は、高温高圧である気体の状態の冷媒を凝縮し、冷媒の状態を高温高圧である気液混合の状態へと変化させる。凝縮器85は、高温高圧である気液混合の状態の冷媒をキャピラリーチューブ30S,30Lのいずれか一方に送る。
【0033】
切換装置29は、三方弁である。制御装置80は、切換装置29を開放状態または閉鎖状態に制御する。キャピラリーチューブ30S,30Lは、高温高圧である気液混合の状態の冷媒を減圧し、低温低圧である気液混合の状態に変化させる。冷却器25に到達した低温低圧である気液混合の状態の冷媒は、冷却器25の周囲の空気と熱交換をする。これにより、冷却器25の周囲の空気は冷却される。また、冷却器25にて熱交換がされたことにより、冷媒は、低温低圧である気液混合の状態から低温低圧である気体の状態の冷媒へと変化する。冷却器25は、低温低圧である気体の状態の冷媒を圧縮機90へと送る。リザーバ49は、圧縮機90へと流れ込む冷媒のうち余剰となる冷媒を貯留する。圧縮機90に流入した冷媒は、再度、加圧された後に凝縮器85へと排出される。
【0034】
庫内ファン15は、周囲の空気を送風することにより、冷却器25によって冷却された空気を各貯蔵室R~Fへと送る。図3には、庫内ファン15の駆動によって空気が流れる経路を矢印で示されている。冷蔵室R,製氷室I,切替室S,野菜室Vにおいても、冷却室45から冷気が送風される風路1a,2a,3a,4aと、冷却室45へと空気が戻る風路1b,2b,3b,4bとが設けられている。なお、本開示において風路1a,1b、風路2a,2b、風路3a,3b、および風路4a,4bは、「第1風路」に対応し得る。
【0035】
ダンパ装置Rd~Fdが開放状態である場合、冷却された空気は、貯蔵室R~Fの各々を通過した後、冷却器25へと戻る。図3において庫内ファン15、ダンパ装置Rd~Fd、貯蔵室R~Fの各々を接続する破線は、空気の循環経路を示している。
【0036】
<制御装置について>
図4は、冷蔵庫10の回路構成を示すブロック図である。図4に示すように、制御装置80は、ヒータ35、圧縮機90、庫内ファン15、ダンパ装置Rd,Rd2,Id,Sd,Vd,Fd,および、サーミスタRt,It,St,Vt,Ft,Qtと接続されている。図4には、制御装置80と各構成との接続関係が示されている。
【0037】
制御装置80は、たとえば、マイクロコンピュータを備えており、プロセッサおよびメモリを備えている。制御装置80は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより、規定された処理を実行し、冷蔵庫10を総括的に制御する。
【0038】
図5は、開放状態または閉鎖状態であるときのダンパ装置Fdを示す図2の拡大図である。図5(A)は、ダンパ装置Fdが開放状態である場合を示す図である。図5(B)は、ダンパ装置Fdが閉鎖状態である場合を示す図である。
【0039】
制御装置80は、圧縮機90を駆動させて冷凍室Fを冷却する場合、図5(A)に示されるように、ダンパ装置Fdを開放状態にする。ダンパ装置Fdが開放状態であるとき、制御装置80は、バッフル板Bfの位置を、冷却室45と冷凍室Fとの間の空気の循環を妨げない位置に配置する。換言すれば、バッフル板Bfは、風路5aまたは風路5bを流れる空気の方向とバッフル板Bfが有する面とが平行となるように配置される。このとき、バッフル板Bfは、風路5aと風路5bとの間に位置する風路壁Wfの一部として機能する。
【0040】
冷凍室Fを冷却しない場合、制御装置80は、バッフル板Bfの位置を図5(A)におけるバッフル板Bfの位置から略90度、回転させる。ダンパ装置Fdは図5(B)に示される閉鎖状態となる。バッフル板Bfは、冷却室45と冷凍室Fとの間の空気の出入りを遮断する。これにより、冷却器25が冷却した空気は、冷凍室Fへと到達する前に経路SCを介して、冷却器25へと戻る。
【0041】
冷蔵庫10では、経路SCが形成されることによって冷却対象とならない冷凍室Fに冷気を送風せず、効率的に冷凍室F以外の貯蔵室を冷却することができる。これにより、冷凍室Fが冷却室45内の空気に影響されることを抑制でき、冷凍室F内の食品などの貯蔵物の品質低下を抑制できる。
【0042】
図6は、ダンパ装置Fdの斜視図である。図6(A)は、ダンパ装置Fdが開放状態であるときの斜視図である。ダンパ装置Fdは、バッフル板Bf、開口が形成されたフレームFr、およびステッピングモータM1を備える。
【0043】
略長方形状に形成されているバッフル板Bfの短辺の中央付近と、フレームFrとが回転可動であるように接続されている。バッフル板BfとフレームFrとが接続されている部分に、ステッピングモータM1が配置されている。ステッピングモータM1は、バッフル板Bfを、フレームFrの開口に対して水平な状態と垂直な状態を回転させる。図6(A)では、ダンパ装置Fdは開放状態である。図6(B)では、ダンパ装置Fdは開放状態である。
【0044】
図7は、開放状態または閉鎖状態であるときのダンパ装置Fdの断面図である。図7(A)は、開放状態のダンパ装置Fdを示し、図7(B)は、閉鎖状態のダンパ装置Fdを示す。ダンパ装置Fdのバッフル板Bfは、シールS1およびシールS2が接着されている。Y軸の正方向側の壁面W1,W2には、突起部IL1,IL2がそれぞれ設けられている。
【0045】
ダンパ装置Fdが閉鎖状態であるとき、突起部IL1および突起部IL2は、シールS1およびシールS2とそれぞれ接触する。突起部IL1および突起部IL2は、X軸方向において、フレームFrと同様の長さを有する。これにより、突起部IL1とシールS1との接触面および突起部IL2とシールS2との接触面が広くなり、ダンパ装置Fdが閉鎖状態であるときの冷凍室Fの気密性が向上する。シールS1,S2の材料は、水密性の高い材料であって、いわゆる独立気泡を有する構造である。これにより、シールS1,S2は元の形状に戻りやすい。
【0046】
制御装置80は、ダンパ装置Fdを閉鎖状態にするとき、図1(A)にあるバッフル板Bfの状態から90度を超えて回転させてもよい。これにより、シールS1が突起部IL1に単に接触している状態よりも、シールS1は、突起部IL1に強く押し付けられ気密性が向上する。
【0047】
<実施の形態1における通常冷却処理時の制御手法について>
以下では、実施の形態1における通常冷却処理時の制御手法について説明する。実施の形態1の制御装置80は、冷蔵庫10の状態に応じて複数の冷却処理を実行する。実施の形態1において、複数の冷却処理には、電源投入後の初回冷却処理、通常冷却処理、および霜取運転後の冷却処理が含まれる。
【0048】
電源投入後の初回冷却処理とは、冷蔵庫10自体が据え付けられた後に、冷蔵庫10に電源が投入された直後に実行される冷却処理であって、電源が投入されてから初めて行われる冷却処理である。すなわち、電源投入後の初回冷却処理において、冷蔵庫10は、外部の空気温度と同様の温度である冷蔵庫10内の温度を、目標温度域の範囲内まで低下させる。
【0049】
通常冷却処理は、電源投入後の初回冷却処理と異なり、貯蔵室の温度が目標温度域内もしくは目標温度域近傍で低下した状態で実行される冷却処理である。すなわち、通常冷却処理は、電源投入後の初回冷却処理の実行後に終了条件が満たされたことに基づいて実行される冷却処理である。当該終了条件とは、電源投入後の初回冷却処理の開始後から予め定められた期間が経過したこと、冷蔵庫10に含まれるサーミスタの検出温度が予め定められた温度まで低下したことなどであり得る。霜取運転後の冷却処理とは、上述した霜取運転後に実行される処理である。すなわち、ヒータ35によって加熱された冷却室45の温度を低下させる冷却処理である。
【0050】
なお、ある局面では、複数の冷却処理には、急速冷却処理、省エネ冷却処理などの冷却処理が含まれていてもよい。たとえば、急速冷却処理とは、消費電力の低減よりも庫内の貯蔵物を冷却することを優先する処理である。一方で、省エネ冷却処理とは、冷却処理よりも消費電力の低減を優先する処理である。
【0051】
以下では、図8を用いて、実施の形態1における通常冷却処理時の制御手法について説明する。図8は、実施の形態1における通常冷却処理時の各構成の動作を示すタイミングチャートである。図8では、横軸は経過した時間を示し、縦軸には冷凍室温度Tfと、圧縮機90の回転速度と、ダンパ装置Fdの状態とが示されている。通常冷却処理時において、実施の形態1の制御装置80は、圧縮機90を駆動しつつ冷凍室温度Tfを目標温度に近づけるようにダンパ装置Fdを制御する。
【0052】
制御装置80は、冷凍室Fに対して、通常冷却処理時における目標温度域を設定している。冷凍室Fの目標温度域の上限温度は-16℃であり、下限温度は-24℃であり、目標温度域の中心である目標温度は-20℃である。以下では、通常冷却処理時における冷凍室Fの目標温度の上限である-16℃を「第1上限温度」と称する。また、以下では、通常冷却処理時における冷凍室Fの目標温度の下限である-24℃を「第1下限温度」と称する。
【0053】
図8に示されるように、実施の形態1の制御装置80は、通常冷却処理時において圧縮機90を回転速度N1で駆動する。制御装置80は、冷凍室温度Tfにかかわらず、圧縮機90を回転速度N1で駆動し続けている。タイミングTm1からタイミングTm2の間において、ダンパ装置Fdは閉鎖されている。ダンパ装置Fdが閉鎖されているため、冷凍室F内の空気は冷却室45から冷却されず、冷凍室温度Tfは徐々に上昇していく。
【0054】
タイミングTm3において、冷凍室温度Tfが第1上限温度に到達する。冷凍室温度Tfが第1上限温度に到達したことに基づいて、制御装置80は、ダンパ装置Fdを開放する。ダンパ装置Fdが開放されたことによって、冷却室45から冷気が流れ込み冷凍庫F内の温度が低下し始める。その後、タイミングTm5において、冷凍室温度Tfが第1下限温度に到達する。冷凍室温度Tfが第1下限温度に到達したことに基づいて、制御装置80は、ダンパ装置Fdを閉鎖する。実施の形態1では、図8に示されるように冷凍室温度Tfが目標温度域の範囲内となるようにダンパ装置Fdを開閉制御(オンオフ制御)している。
【0055】
図9は、比較例における通常冷却処理時の各構成の動作を示すタイミングチャートである。比較例の冷蔵庫は、ダンパ装置Fdを有していない。ダンパ装置Fdを有していない冷蔵庫は、冷凍室温度Tfが第1上限温度に到達したことに基づいて、圧縮機を回転速度N1で駆動し、冷凍室温度Tfが第1下限温度に到達したことに基づいて、圧縮機を停止する。すなわち、比較例の冷蔵庫では、冷凍室温度Tfの値に基づいて、圧縮機の駆動と停止とを繰り返す。
【0056】
圧縮機が駆動しているとき、冷凍サイクル内において、冷媒の圧力が高い高圧の領域と、圧力が低い低圧の領域とが存在する。圧縮機の吐出側からキャピラリーチューブ30S,30Lまでが高圧側の領域であり、キャピラリーチューブ30S,30Lによって減圧されてから圧縮機の吸入されるまでの領域が低圧側の領域である。圧縮機が駆動することによって、高圧側と低圧側との間の圧力の差が保持される。
【0057】
圧縮機が停止すると、この圧力の差は小さくなる。すなわち、圧縮機の停止中において冷凍サイクル内の冷媒の圧力は平衡状態へと近づく。冷媒の圧力差が平衡状態に近づいた状態で圧縮機が駆動されると再度、高圧側と低圧側とに圧力の差を生じさせる必要がある。すなわち、圧縮機に流す電流量が増加する。電流量が増加すると、電線において損失が大きくなってしまう。圧縮機の駆動と停止とを繰り返す場合、圧縮機を低速で駆動させ続けている場合よりも、消費電力は大きくなる場合がある。
【0058】
比較例の冷蔵庫では、圧縮機の駆動と停止とが繰り返されてしまうことによって消費電力が増大し得る。一方で、実施の形態1では、圧縮機90は、回転速度N2よりも小さい回転速度N1で駆動し続け、駆動と停止とを繰り返さない。図8に示されるように、制御装置80は、圧縮機90を駆動し続ける一方で、ダンパ装置Fdの状態を制御することにより、冷凍室温度Tfを目標温度域の範囲内に制御する。これにより、実施の形態1の冷蔵庫10では、圧縮機90の停止と駆動とを繰り返すことなく、冷蔵庫10内の温度が目標温度に近づくように制御できる。
【0059】
また、通常冷却処理時は、霜取運転後の冷却処理、電源投入後の初回冷却処理などの他の冷却処理と比較して、冷蔵庫10が駆動している期間内で最も実行される期間が長い処理である。実施の形態1では、実行期間が長い通常冷却処理の消費電力の増大を抑制できるため、冷蔵庫10が使用される期間全体の消費電力を効率的に低減できる。また、冷蔵庫10内において、圧縮機90にて使用される消費電力は、ダンパ装置Fdの開閉などの他の構成の駆動に使用される消費電力よりも大きい。実施の形態1では、最も電力を消費する構成である圧縮機90での消費電力を低減できることによって、冷蔵庫10全体の消費電力の低減を図る。
【0060】
<実施の形態1における制御フロー>
図10は、実施の形態1において実行される制御のフローチャートである。制御装置80は、たとえば、冷蔵庫10への電源投入時、各冷却処理等の終了、およびユーザからの冷却開始命令を受け付けたこと等を契機に図10のフローチャートを実行する。
【0061】
制御装置80は、電源投入後から未だ冷却処理が実行されていない状態であるか否を判断する(ステップS101)。すなわち、制御装置80は、冷蔵庫10が電源投入直後の状態であるか否かを判断している。電源投入後から一度も冷却処理が実行されていない場合(ステップS101でYES)、制御装置80は、電源投入後の初回冷却処理を実行する(ステップS102)。ステップS102の開始時において、電源投入後から一度も冷却処理が実行されていない状態であるため、冷蔵庫10内の温度は外気温度と近い温度である。すなわち、電源投入後の初回冷却処理は、通常冷却処理よりも冷却負荷が高い処理である。
【0062】
図11は、電源投入後の初回冷却処理において実行される制御のフローチャートである。初回冷却処理は冷却負荷が高い処理であることから、制御装置80は、電源投入後の初回冷却処理において、第2下限温度および第2上限温度を設定する(ステップS150)。制御装置80は、通常冷却処理時における冷凍室温度Tfの目標温度域の第2上限温度として-19℃を設定し、第2下限温度として-21℃を設定する。第2下限温度は、第1下限温度よりも高い温度である。第2上限温度は、第1上限温度よりも低い温度である。初回冷却処理における目標温度域の第2上限温度と第2下限温度は、制御装置80内のメモリに記憶されている。
【0063】
制御装置80は、回転速度N1よりも高い回転速度N2で圧縮機90を駆動させ(ステップS151)、ダンパ装置Fdを開放する(ステップS152)。その後、制御装置80は、たとえば、冷凍室温度Tfが第2下限温度を下回ったか否かを判断する(ステップS153)。
【0064】
冷凍室温度Tfが第2下限温度以上の温度である場合(ステップS153でNO)、制御装置80は、ステップS153の処理を繰り返す。冷凍室温度Tfが第2下限温度を下回る場合(ステップS153でYES)、制御装置80は、冷凍室Fが過度に冷却された状態となることを防ぐためにダンパ装置Fdを閉鎖する(ステップS154)。その後、制御装置80は、初回冷却処理の終了条件が満たされたか否かを判断する(ステップS155)。
【0065】
実施の形態1において、初回冷却処理の終了条件とは、たとえば、電源投入後の初回冷却処理の開始後から予め定められた期間が経過し、かつ、各貯蔵室の温度が目標温度域の範囲内まで低下したことである。制御装置80は、初回冷却処理の終了条件が満たされたと判断する場合(ステップS155でYES)、初回冷却処理を終了する。
【0066】
初回冷却処理の終了条件が満たされていないと判断する場合(ステップS155でNO)、制御装置80は、冷凍室温度Tfが第2上限温度を上回ったか否かを判断する(ステップS156)。冷凍室温度Tfが第2上限温度を上回っていない場合(ステップS156でNO)、制御装置80は、処理をステップS155に戻す。冷凍室温度Tfが第2上限温度を上回った場合(ステップS156でYES)、制御装置80は、処理をステップS151に戻す。
【0067】
初回冷却処理において制御装置80は、冷凍室温度Tfが-21℃を下回った場合であっても、他の貯蔵室の温度が目標温度域の範囲内に到達していない場合、圧縮機90を一旦停止させる。その後、制御装置80は、冷凍室温度Tfが-19℃を上回ったことに基づいて圧縮機90を再度駆動させる。
【0068】
制御装置80は、他の全ての貯蔵室の温度が目標温度域の範囲内に到達するまで、冷凍室温度Tfの温度が-19℃から-21℃との間となるように圧縮機90の停止と駆動とを繰り返す。すなわち、電源投入後の初回冷却処理では、目標温度域の範囲が-19℃から-21℃の間となる。このように、電源投入後の初回冷却処理では目標温度域の範囲(-19℃~-21℃)は、通常冷却処理の目標温度域の範囲(-16℃~-24℃)よりも狭い。これにより、制御装置80は、冷却負荷が高い初回冷却処理において、より確実に冷凍室温度Tfを目標温度(-20℃)に近づけることができる。
【0069】
制御装置80は、電源投入後の初回冷却処理の終了に基づいて、新たに冷却開始命令を受け付けて、新たに図10のフローチャートを最初から実行する。電源投入後から初回冷却処理が既に実行されている場合(ステップS101でNO)、制御装置80は霜取運転後の冷却処理が未実行であるか否かを判断する(ステップS103)。すなわち、制御装置80は、霜取運転を実行した直後であるか否かを判断している。
【0070】
霜取運転の後であって冷却処理が実行されていない場合(ステップS103でYES)、霜取運転後の冷却処理を実行する(ステップS104)。霜取運転後の冷却処理は、通常冷却処理および電源投入後の初回冷却処理と異なるパラメータを用いる冷却処理である。霜取運転後の冷却処理では、全てのダンパ装置が閉鎖されている状態で圧縮機90が駆動され、霜取運転で加熱された冷却室45の空気が冷却される。制御装置80は、霜取運転後の冷却処理の終了後、再度、図10のフローチャートを新たに実行する。
【0071】
制御装置80は、霜取運転後に冷却処理が未実行ではない場合(ステップS103でNO)、霜取運転の直後ではないとして、ステップS105の処理を実行する。すなわち、制御装置80は、回転速度N1で圧縮機90の駆動を開始する(ステップS105)。制御装置80は、第1下限温度および第1上限温度を設定する。すなわち、制御装置80は、通常冷却処理時における冷凍室温度Tfの目標温度域の第1上限温度として-16℃を設定し、第1下限温度として-24℃を設定する。通常冷却処理における目標温度域の第1上限温度と第1下限温度は、制御装置80内のメモリに記憶されている。
【0072】
その後、制御装置80は、圧縮機90の積算駆動時間が霜取開始期間に到達したか否か判断する(ステップS107)。すなわち、制御装置80は、霜取運転を実行すべきタイミングであるか否かを判断している。霜取開始期間は、あらかじめ定められた期間であり、制御装置80内のメモリに記憶されている。圧縮機90の積算駆動時間が霜取開始期間に到達していない場合(ステップS107でNO)、制御装置80は、ダンパ装置Fdを開放する(ステップS109)。ダンパ装置Fdの開放により、冷凍室Fの温度は、冷却器25からの冷気が吸入されることによって低下し始める。
【0073】
続いて、制御装置80は、冷凍室温度Tfが第1下限温度(-24℃)を下回ったか否かを判断する(ステップS110)。冷凍室温度Tfが第1下限温度以上である場合(ステップS110でNO)、制御装置80は、ステップS110の処理を繰り返す。冷凍室温度Tfが第1下限温度を下回っている場合(ステップS110でYES)、制御装置80は、ダンパ装置Fdを閉鎖する(ステップS111)。すなわち、ダンパ装置Fdの閉鎖により、冷凍室Fの温度は、外気温度の影響によって上昇し始める。
【0074】
続いて、制御装置80は、圧縮機90の回転速度を回転速度N1から低下させる(ステップS112)。これにより、冷蔵庫10では、通常冷却処理の実行期間における消費電力の増大をさらに抑制することができる。なお、制御装置80は、ステップS111の処理の終了時に他の貯蔵室の温度が目標温度域内ではない場合、ステップS112の処理を実行せずにステップS113へと処理を進めてもよい。これにより、冷蔵庫10では、圧縮機90の回転速度を低下して他の貯蔵室の温度が目標温度域内まで低下しなくなることを抑制できる。
【0075】
続いて、制御装置80は、冷凍室温度Tfが第1上限温度(-16℃)を上回ったか否かを判断する(ステップS113)。冷凍室温度Tfが第1上限温度以下である場合(ステップS113でNO)、制御装置80は、ステップS113の処理を繰り返す。冷凍室温度Tfが第1上限温度を上回っている場合(ステップS113でYES)、制御装置80は、ステップS112で低下させて圧縮機90の回転速度を回転速度N1まで上昇させる(ステップS114)。
【0076】
制御装置80は、通常冷却処理の終了命令を受け付けたか否かを判断する(ステップS115)。制御装置80は、たとえば、ユーザから急速冷却処理の実行命令、または冷却停止命令を受け付けることによって通常冷却処理の終了命令を受け付けたと判断する。
【0077】
通常冷却処理の終了命令を受け付けた場合(ステップS115でYES)、図10のフローチャートの処理を終了する。通常冷却処理の終了命令を受け付けていない場合(ステップS115でNO)、制御装置80は、処理をステップS107に戻す。すなわち、制御装置80は、通常冷却処理時において、ステップS109からステップS115までの処理を繰り返す。この間、実施の形態1の冷蔵庫10では、圧縮機90が停止と駆動とを繰り返すことなく回転速度N2以下の回転速度で駆動し続ける。制御装置80は、ステップS107において、圧縮機90の積算駆動時間が霜取開始期間に到達したと判断する場合(ステップS107でYES)、制御装置80は霜取運転を実行する(ステップS108)。すなわち、制御装置80は、ヒータ35を駆動する。
【0078】
このように、実施の形態1の冷蔵庫10では、図10におけるフローチャートが実行される。図10のフローチャートの実行により、実施の形態1の冷蔵庫10では、通常冷却処理の間、圧縮機90が停止と駆動とを繰り返すことなくダンパ装置Fdを開閉することによって冷凍室温度Tfを制御する。すなわち、実施の形態1の冷蔵庫10では、通常冷却処理の実行期間における消費電力の増大を抑制しつつ、冷凍室温度Tfを目標温度に近づけることができる。
【0079】
<実施の形態2における通常冷却運転時の制御方法について>
実施の形態1における冷蔵庫10では、通常冷却運転時にダンパ装置Fdを開閉制御することによって圧縮機90を駆動させ続ける構成について説明した。実施の形態2の冷蔵庫10では、通常冷却運転時において、下限温度と上限温度とを用いた開閉制御ではなくフィードバック制御を行う構成について説明する。
【0080】
図12は、実施の形態2において実行される制御のフローチャートである。図12のフローチャートは、図10のフローチャートにおけるステップS107,S109,S110,S111,S112,S113,S114がステップS201に代えられた構成を有する。以下、図12において、図10にて既に説明したステップについては説明を繰り返さない。
【0081】
実施の形態2の制御装置80は、通常冷却処理時において霜取開始期間に到達していない場合(ステップS107でNO)、ダンパ装置Fdに対してフィードバック制御を行う(ステップS201)。実施の形態2において、通常冷却処理期間において、制御装置80は、フィードバック制御の処理(ステップS201)を繰り返す。
【0082】
図13は、実施の形態2にて行われるフィードバック制御を説明するための図である。フィードバック制御部70は、制御装置80に含まれている構成である。フィードバック制御部70は、冷凍庫F内の温度が最終的に目標温度である-20℃となるようにダンパ装置Fdを制御する。換言すれば、フィードバック制御部70は、目標温度(-20℃)に追従させるようにフィードバック制御を行う。
【0083】
フィードバック制御部70は、目標温度と冷凍室温度Tfとの差分に従ってダンパ装置Fdに対する操作量(ダンパ装置Fdの開度)を算出するフィードバック制御を行う。実施の形態2におけるダンパ装置Fdの開度とは、単位期間のうち、ダンパ装置Fdが開放されている期間の割合である。すなわち、実施の形態2におけるダンパ装置Fdの開度は、デューティ比である。
【0084】
具体的には、1分間のうち、ダンパ装置Fdが1分間、開放される場合、ダンパ装置Fdの開度は100%となる。1分間のうち、ダンパ装置Fdが30秒間、開放される場合、ダンパ装置Fdの開度は50%となる。1分間のうち、ダンパ装置Fdが全く開放されない場合、ダンパ装置Fdの開度は0%となる。上述した例では、単位期間が1分間である例を説明したが、単位期間は、30秒間、3分間、5分間などの他の期間であってもよい。
【0085】
ダンパ装置Fdの開度が大きくなれば冷凍室温度Tfが低下しやすくなり、ダンパ装置Fdの開度が小さくなれば、冷凍室温度Tfが低下しにくくなる。上述したように、サーミスタFtは、冷凍室F内の温度を計測している。フィードバック制御部70は、目標温度と冷凍室温度Tfとの偏差(目標温度-冷凍室温度Tf)を受け付ける。フィードバック制御部70は、目標温度と冷凍室温度Tfとの偏差(誤差)を受け付けると、ダンパ装置Fdに対する操作量を出力する。
【0086】
ダンパ装置Fdは、フィードバック制御部70から出力された操作量(ダンパ装置Fdの開度)に従って開放状態または閉鎖状態に制御される。この動作により、冷凍室F内の温度が変化する。サーミスタFtは、変化した冷凍室F内の温度を検出して、再度、制御装置80に入力する。そして、フィードバック制御部70は、目標温度と新たな室内温度との偏差が入力されると、ダンパ装置Fdに対する新たな操作量を出力する。
【0087】
このように、本実施の形態において、フィードバック制御部70は、目標温度と冷凍室F内の温度との偏差を入力してダンパ装置Fdの操作量を出力するフィードバック制御を行うコントローラとして動作している。なお、ダンパ装置Fdの開度は、ダンパ装置Fdの開口面積であってもよい。たとえば、ダンパ装置Fdの開閉を行うモータM1を制御して、ダンパ装置Fdが完全に開いている状態を開度100%とし、ダンパ装置Fdが完全に閉じている状態を開度0%とし、ダンパ装置Fdが半分開いた状態を開度50%としてもよい。
【0088】
実施の形態2においては、フィードバック制御部70は、PID制御によるフィードバック制御を行う。ある局面では、フィードバック制御部70によって行われる制御方式は、P制御、PI制御などの他の方式を採用してもよい。また、PID制御における調整パラメータ(比例ゲイン、微分ゲイン、積分ゲイン)は、ユーザによって適宜調整されてもよい。
【0089】
このように、実施の形態2における冷蔵庫10ではフィードバック制御を用いて、冷凍室Fの温度が目標温度(-20℃)へと制御される。これにより、実施の形態2では、冷凍室温度Tfが目標温度に到達する上で、ハンチングおよびオーバシュート等のロスが発生することを抑制できる。すなわち、実施の形態2では、冷凍室温度Tfを目標温度に到達させるための消費電力の増大を抑制できる。
【0090】
また、実施の形態2の冷蔵庫においても、通常冷却処理の間、圧縮機90が停止と駆動とを繰り返すことなくダンパ装置Fdの開閉によって冷凍室温度Tfが制御される。すなわち、実施の形態2の冷蔵庫10でも、通常冷却処理の実行期間における消費電力の増大を抑制しつつ、冷凍室温度Tfを目標温度に近づけることができる。
【0091】
<実施の形態3における通常冷却運転時の制御方法について>
実施の形態2における冷蔵庫10では、通常冷却運転時にダンパ装置Fdに対してフィードバック制御を行う構成について説明した。実施の形態3の冷蔵庫10では、通常冷却運転時において、フィードバック制御によって冷凍室温度Tfが安定したときに、当該冷凍室温度Tfが適正であるか否かを判断する構成について説明する。
【0092】
図14は、実施の形態3において実行される制御のフローチャートである。図14のフローチャートは、図12のフローチャートのステップS201とステップS115との間に、ステップS301~S306が加えられた構成を有する。以下、図14において、図10にて既に説明したステップについては説明を繰り返さない。
【0093】
実施の形態2の制御装置80は、ステップS201において図13にて説明したダンパ装置Fdの開度に基づいて、ダンパ装置Fdの状態を制御する。その後、実施の形態3では、制御装置80は、冷凍室温度Tfが一定の温度に安定したか否かを判断する(ステップS301)。制御装置80は、一定の温度に安定したか否かを、冷凍室温度Tfの変化率を用いて判断する。たとえば、制御装置80は、冷凍室温度Tfの変化率の絶対値が予め定められた規定の閾値よりも低くなったときに、冷凍室温度Tfが一定の温度に安定したと判断する。
【0094】
制御装置80は、冷凍室温度Tfが一定の温度に安定していないと判断する場合(ステップS301でNO)、処理をステップS107に戻す。制御装置80は、冷凍室温度Tfが一定の温度に安定したと判断する場合(ステップS301でYES)、冷凍室温度Tfが安定した状態が予め定められた規定期間経過したか否かを判断する(ステップS302)。制御装置80は、安定した状態が予め定められた規定期間経過していないと判断する場合(ステップS302でNO)、処理をステップS107に戻す。
【0095】
制御装置80は、冷凍室温度Tfが安定した状態が予め定められた規定期間経過したと判断する場合(ステップS302でYES)、安定している冷凍室温度Tfと目標温度(-20℃)との差が予め定められた規定の範囲内であるか否かを判断する(ステップS303)。すなわち、ステップS303で制御装置80は、安定した冷凍室温度Tfと目標温度との乖離度を確認し、冷凍室温度Tfが適正な温度に安定しているか否かを判断している。実施の形態3において、ステップS303における規定の範囲は、目標温度域と同様の範囲である。なお、ステップS303における規定の範囲は、目標温度域より狭い範囲であってもよい。たとえば規定の範囲は、-18℃~22℃の範囲であってもよい。
【0096】
安定している冷凍室温度Tfと目標温度(-20℃)との差が規定の範囲内である場合(ステップS303でYES)、制御装置80は、圧縮機90の回転速度を低下させる(ステップS304)。その後、制御装置80は、通常冷却処理において、再度、フィードバック制御を実行する(ステップS201)。このように、実施の形態3の冷蔵庫10では、フィードバック制御にて目標温度に近い範囲で冷凍室温度Tfが安定している場合、圧縮機90の回転速度を低下させ、圧縮機90での消費電力をさらに低減させる。圧縮機90の回転速度が低下した後、制御装置80は、再度、フィードバック制御を行うことによって冷凍室温度Tfを目標温度に近づけることができる。
【0097】
安定している冷凍室温度Tfと目標温度(-20℃)との差が規定の範囲外である場合(ステップS303でNO)、制御装置80は、冷凍室温度Tfが目標温度(-20℃)よりも高いか否かを判断する(ステップS305)。冷凍室温度Tfが目標温度(-20℃)よりも高い場合(ステップS305でYES)、制御装置80は、圧縮機90の回転速度を上昇させる(ステップS306)。すなわち、冷凍室温度Tfが目標温度と乖離しており、かつ、冷凍室温度Tfが目標温度(-20℃)よりも高い場合、ダンパ装置Fdのフィードバック制御だけでは冷凍室温度Tfを目標温度まで低下させることができていない状態である。つまり、冷蔵庫10において冷凍能力が不足している。そのため、制御装置80は、圧縮機90の回転速度を上昇させる。これにより、制御装置80は、冷凍室温度Tfを目標温度へと近づける。
【0098】
冷凍室温度Tfが目標温度(-20℃)よりも低い場合(ステップS305でNO)、制御装置80は、圧縮機90の回転速度を低下させる(ステップS304)。すなわち、冷凍室温度Tfが目標温度と乖離しており、かつ、目標温度よりも低い場合、ダンパ装置Fdのフィードバック制御だけでは冷凍室温度Tfを目標温度まで上昇させることができていない状態である。つまり、冷蔵庫10における冷凍能力が過剰である。そのため、制御装置80は、圧縮機90の回転速度を低下させる(ステップS304)。これにより、冷凍室温度Tfは、目標温度に近づく。実施の形態3ではステップS304,S306において圧縮機90の回転速度を更新する。ステップS304,S306の処理は、本開示における「更新処理」に対応し得る。
【0099】
このように、実施の形態3では、フィードバック制御によって安定した冷凍室温度Tfが適正であるか否かを判定し、判定結果に基づいて圧縮機90の回転速度を変化させることができる。また、実施の形態3の冷蔵庫においても、通常冷却処理の間、圧縮機90が停止と駆動とを繰り返すことなくダンパ装置Fdの開閉によって冷凍室温度Tfが制御される。すなわち、実施の形態3の冷蔵庫10でも、通常冷却処理の実行期間における消費電力の増大を抑制しつつ、冷凍室温度Tfを目標温度に近づけることができる。
【0100】
(まとめ)
以下に、本実施の形態を総括する。
【0101】
(第1項) 圧縮機と、冷却器と、冷却器を配置する冷却室と、第1貯蔵室と、冷凍室と、冷凍室内の空気温度を測定する冷凍室温度センサと、冷却室と第1貯蔵室とを接続する第1風路と、冷却室と冷凍室とを接続する第1冷凍室風路と、冷却室と冷凍室とを接続し、第1冷凍室風路と異なる第2冷凍室風路と、第1風路を開放および閉鎖可能な第1調整機構と、第1冷凍室風路および第2冷凍室風路を開放および閉鎖可能な冷凍室調整機構と、第1調整機構および冷凍室調整機構を制御する制御装置とを備える。制御装置は、冷凍室の空気温度に対して目標温度域を設定し、圧縮機を第1回転速度で駆動しつつ、冷凍室の空気温度が目標温度域の範囲内となるように、冷凍室温度センサの検出値に基づいて冷凍室調整機構を制御する。
【0102】
これによれば、圧縮機の停止と駆動とを繰り返すことなく、冷蔵庫内の温度が目標温度に近づくように制御する。
【0103】
(第2項) 第1項において、制御装置は、冷凍室温度センサの検出値が目標温度域の第1上限温度を上回ったとき冷凍室調整機構を開放し、冷凍室温度センサの検出値が目標温度域の第1下限温度を下回ったとき冷凍室調整機構を閉鎖する。
【0104】
(第3項) 第2項において、制御装置は、冷蔵庫に電源が投入されて初回の冷却処理を行う場合、圧縮機を第1回転速度よりも高い第2回転速度で駆動しつつ、冷凍室温度センサの検出値が第1上限温度よりも低い第2上限温度を上回ったとき、冷凍室調整機構を開放し、冷凍室温度センサの検出値が第1下限温度よりも高い第2下限温度を下回ったとき、冷凍室調整機構を閉鎖する。
【0105】
(第4項) 第1項~第3項のいずれか1項において、制御装置は、冷凍室調整機構が閉鎖状態であるとき、圧縮機の回転速度を第1回転速度から低下させる。
【0106】
(第5項) 第1項において、制御装置は、冷凍室の空気温度が目標温度域の範囲内となるように、冷凍室調整機構に対して、冷凍室温度センサの検出値に基づくフィードバック制御を行う。
【0107】
(第6項) 第5項において、制御装置は、フィードバック制御により、冷凍室温度センサの検出値が一定の温度に安定した場合、一定の温度と目標温度との差が規定の範囲内であるか否かを判断し、一定の温度と目標温度との差が規定の範囲内である場合、圧縮機の回転速度を低下させる。
【0108】
(第7項) 第6項において、制御装置は、一定の温度と目標温度との差が規定の範囲内ではない場合、冷凍室温度センサの検出値が目標温度よりも高いか否かを判断し、冷凍室温度センサの検出値が目標温度よりも高い場合、圧縮機の回転速度を上昇させ、冷凍室温度センサの検出値が目標温度よりも低い場合、圧縮機の回転速度を低下させる。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
10 冷蔵庫、10I 内箱、10S 外箱、15 庫内ファン、20 断熱箱体、21 真空断熱材、22 発泡断熱材、25 冷却器、29 切換装置、30L,30S キャピラリーチューブ、35 ヒータ、45 冷却室、49 リザーバ、50a,50f 仕切部材、65 制御室、70 フィードバック制御部、80 制御装置、85 凝縮器、90 圧縮機、95 機械室、100 冷蔵庫本体、Al1,Al2 通路、Bf バッフル板、C 冷凍ケース、Ch チルド室、F 冷凍室、Fb 下部冷凍室、Rd,Id,Sd,Vd,Fd,Rd2 ダンパ装置、Fr フレーム、Rt,It,St,Vt,Ft,Qt サーミスタ、Fu 上部冷凍室、I 製氷室、IL1,IL2 突起部
M1 ステッピングモータ、N1,N2 回転速度、R 冷蔵室、S 切替室、S1,S2 シール、SC 経路、Tf 冷凍室温度、Tm1~Tm5 タイミング、V 野菜室
W1,W2 壁面、Wf 風路壁。
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