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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129300
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】乾燥装置及び乾燥システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
A47K10/48 Z
A47K10/48 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038412
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朝日 洋平
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 浩志郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 章樹
(57)【要約】
【課題】ドレンタンクの液体を確実に蒸発させることができ、メンテナンスの負担を軽減することのできる乾燥装置及び乾燥システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る乾燥装置は、手を挿入可能な挿入空間に対して開口する通気孔を有する挿入部を形成する本体と、通気孔に流体連通し、通気孔から挿入空間へ空気を吹き出すか、挿入空間から空気を通気孔に吸込むように構成された送風機と、を備え、送風機による送風により、濡れた対象から水滴を分離させる乾燥装置であって、対象から分離した水滴を受けるドレンタンクと、ドレンタンクにある液体を蒸発させる蒸発手段と、をさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手を挿入可能な挿入空間に対して開口する通気孔を有する挿入部を形成する本体と、
前記通気孔に流体連通し、前記通気孔から前記挿入空間へ空気を吹き出すか、前記挿入空間から空気を前記通気孔に吸込むように構成された送風機と、
を備え、前記送風機による送風により、濡れた対象から水滴を分離させる乾燥装置であって、
対象から分離した水滴を受けるドレンタンクと、
前記ドレンタンクにある液体を蒸発させる蒸発手段と、
をさらに備える乾燥装置。
【請求項2】
前記ドレンタンクは、前記本体に対して着脱自在に接続され、かつ前記本体に対する位置が一義的に定まるよう取付けられ、かつ前記ドレンタンク全体が水洗い可能である請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記蒸発手段は、前記ドレンタンクまたは前記ドレンタンクの水に送風する送風手段を備える請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記蒸発手段は、電力を熱に変換し、前記ドレンタンクにある液体を直接または間接的に加熱する加熱手段を備える請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記加熱手段は、
前記本体に内蔵され、導線を捲回して形成したコイルと、
前記本体に内蔵され、前記コイルに高周波電流を供給する高周波電源と、
を有し、
前記ドレンタンクの少なくとも一部は、磁性体材料からなり、
前記コイルは、前記高周波電源により高周波電流が供給されることで磁束を形成し、
前記磁束により、前記磁性体材料が自己発熱する請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記本体は、前記加熱手段として電力により発熱する発熱体を備え、
前記ドレンタンクは、金属材料を備え、
前記ドレンタンクが前記本体に取付けられた状態で前記発熱体により前記金属材料が加熱される請求項4に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記ドレンタンクは、金属部材と樹脂部材とからなり、前記金属部材は前記樹脂部材に対して着脱自在である請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記本体に前記ドレンタンクが取り付けられた状態において、前記ドレンタンクの外観に金属部材が露出しない請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記ドレンタンクは、把持部を備え、
前記把持部は、非金属材料からなる請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項10】
前記ドレンタンクが前記本体から取り外されたことを検知する取り外し検知手段と、
前記ドレンタンクが前記本体から取り外されたことを前記取外し検知手段が検知すると前記蒸発手段をOFFにする制御手段と、
を備える請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項11】
前記挿入部に手または物体が挿入されたことを検知する挿入検知手段と、
前記本体の周辺の人を検知する人検知手段と、
前記本体の周辺の照明の点灯状態を検知する照明検知手段と、
のうちの少なくとも1つを備え、
前記挿入検知手段が手または物体が挿入されたことを検知するか、前記人検知手段が人を検知するか、前記照明検知手段が照明の点灯を検知すると、前記蒸発手段がOFFになり、
前記挿入検知手段が手または物体が挿入されないことを検知した時間、前記人検知手段が人を検知しない時間、または前記照明検知手段が照明の消灯を検知している時間が所定の時間に達すると前記蒸発手段がONになるようにする制御手段をさらに備える請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項12】
前記ドレンタンク内の水の量または水位を直接または間接的に検知するか、前記ドレンタンク内の水の量または水位が特定の量または特定の水位に達したかどうかを検知する水検知手段と、
前記水検知手段によって、水量または水位が第一の閾値以下であると判断した場合には前記蒸発手段をOFFにし、水量または水位が前記第一の閾値よりも値が大きい第二の閾値に達した場合に前記蒸発手段をONにする制御手段と、
をさらに備える請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記ドレンタンク内の水の量または水位が前記第二の閾値よりも値が大きい第三の閾値に達した場合に、蒸発速度を高めるよう、前記蒸発手段が有する加熱手段と送風手段のうち少なくとも1つの出力を上げる請求項12に記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記ドレンタンクの温度または前記ドレンタンク内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段の検知温度が第二の温度に達した場合に、前記蒸発手段が有する加熱手段の出力を小さくするかOFFにし、
前記温度検知手段の検知温度が前記第二の温度に達した後に前記第二の温度よりも低い第一の温度に達した場合に前記蒸発手段の出力を大きくするかONにする制御手段と、
を備える請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項15】
前記ドレンタンクの取り外しを規制するロック手段を備え、
前記温度検知手段の検知温度が所定の温度より高い場合または前記蒸発手段が有する加熱手段による加熱がONの場合に、前記ロック手段により前記ドレンタンクの取り外しが規制される請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項16】
前記本体は、
前記蒸発手段が有する加熱手段による加熱がONであることを示す加熱表示手段と、
前記ドレンタンクの温度または前記ドレンタンク内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段による検知結果が所定の温度以上であることを示す高温表示手段と、
前記温度検知手段により検知した温度を表示する温度表示手段と、
前記ドレンタンクの取り外しを規制するロック手段によりロック状態であることを示すロック表示手段とのうちの、少なくとも1つ以上の表示手段を備える請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項17】
前記ドレンタンクに浸入する液体をろ過するフィルターを備え、フィルターは着脱自在に取り付けられる請求項1または請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項18】
請求項1または請求項2に記載の乾燥装置と、
脱臭手段と、
を備え、
前記蒸発手段の動作状態に応じて前記脱臭手段により脱臭を行う乾燥システム。
【請求項19】
請求項1または請求項2に記載の乾燥装置と、
換気装置と、
を備え、
前記蒸発手段の動作状態に応じて前記換気装置により換気を行う乾燥システム。
【請求項20】
請求項1または請求項2に記載の乾燥装置を複数台備え、
前記複数台の前記換気装置の前記蒸発手段が互いに異なるタイミングで動作する乾燥システム。
【請求項21】
請求項1または請求項2に記載の乾燥装置と、
外部情報機器へ情報を送信するための通信部とを備えた乾燥システムであって、
前記乾燥装置は、
前記ドレンタンク内の水の量または水位を直接または間接的に検知するか、前記ドレンタンク内の水の量または水位が特定の量または特定の水位に達したかどうかを検知する水検知手段と、
前記ドレンタンクの温度または前記ドレンタンク内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段と、
のうちの少なくとも一つを備え、
前記通信部は、前記水検知手段により検知した水蓄積度合いに基づく情報と、前記温度検知手段により検知した温度に基づく情報のうち、少なくとも1つの情報を前記外部情報機器へ送信する乾燥システム。
【請求項22】
請求項12に記載の乾燥装置を備えた乾燥システムであって、
前記水検知手段が検知した水量または水位が、第三の閾値に達した場合、または第三の閾値を超え第四の閾値に達した場合に、前記水検知手段の検知結果に基づく情報を外部情報機器に送信する通信部を備える乾燥システム。
【請求項23】
請求項1または請求項2に記載の乾燥装置を備えた乾燥システムであって、
前記乾燥装置は、運転を制御するための制御指示情報を外部情報機器から受信した場合に、前記制御指示情報に応じた動作を実行し、
前記外部情報機器は、
前記蒸発手段による蒸発速度変更の制御指示情報と、
前記蒸発手段による蒸発促進実行可否の制御指示情報と、
前記ドレンタンクの取り外しを規制するロック手段のロック状態とアンロック状態の変更の制御指示情報と、
前記蒸発手段が有する加熱手段及び送風手段の独立したON-OFFの制御指示情報と、
のうち、少なくとも1つの制御指示情報を前記乾燥装置へ送信可能である乾燥システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乾燥装置及び乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に手乾燥装置が開示されている。特許文献1の手乾燥装置では、制御回路で発生した熱を供給する発熱部によってドレン溜りを加熱し、ドレン溜り内に貯留した水の乾燥速度を高めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-062979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の手乾燥装置では、ドレン溜りを加熱する熱量が少ないため、ドレン溜り内に貯留した水を十分に蒸発させることが困難であるという課題がある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、ドレンタンクの液体を確実に蒸発させることができ、メンテナンスの負担を軽減することのできる乾燥装置及び乾燥システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る乾燥装置は、手を挿入可能な挿入空間に対して開口する通気孔を有する挿入部を形成する本体と、通気孔に流体連通し、通気孔から挿入空間へ空気を吹き出すか、挿入空間から空気を通気孔に吸込むように構成された送風機と、を備え、送風機による送風により、濡れた対象から水滴を分離させる乾燥装置であって、対象から分離した水滴を受けるドレンタンクと、ドレンタンクにある液体を蒸発させる蒸発手段と、をさらに備えるものである。
本開示に係る乾燥システムは、上記乾燥装置と、脱臭手段と、を備え、蒸発手段の動作状態に応じて脱臭手段により脱臭を行うものである。
本開示に係る乾燥システムは、上記乾燥装置と、換気装置と、を備え、蒸発手段の動作状態に応じて換気装置により換気を行うものである。
本開示に係る乾燥システムは、上記乾燥装置を複数台備え、複数台の換気装置の蒸発手段が互いに異なるタイミングで動作するものである。
本開示に係る乾燥システムは、上記乾燥装置と、外部情報機器へ情報を送信するための通信部とを備えた乾燥システムであって、乾燥装置は、ドレンタンク内の水の量または水位を直接または間接的に検知するか、ドレンタンク内の水の量または水位が特定の量または特定の水位に達したかどうかを検知する水検知手段と、ドレンタンクの温度またはドレンタンク内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段と、のうちの少なくとも一つを備え、通信部は、水検知手段により検知した水蓄積度合いに基づく情報と、温度検知手段により検知した温度に基づく情報のうち、少なくとも1つの情報を外部情報機器へ送信するものである。
本開示に係る乾燥システムは、上記乾燥装置を備えた乾燥システムであって、水検知手段が検知した水量または水位が、第三の閾値に達した場合、または第三の閾値を超え第四の閾値に達した場合に、水検知手段の検知結果に基づく情報を外部情報機器に送信する通信部を備えるものである。
本開示に係る乾燥システムは、上記乾燥装置を備えた乾燥システムであって、乾燥装置は、運転を制御するための制御指示情報を外部情報機器から受信した場合に、制御指示情報に応じた動作を実行し、外部情報機器は、蒸発手段による蒸発速度変更の制御指示情報と、蒸発手段による蒸発促進実行可否の制御指示情報と、ドレンタンクの取り外しを規制するロック手段のロック状態とアンロック状態の変更の制御指示情報と、蒸発手段が有する加熱手段及び送風手段の独立したON-OFFの制御指示情報と、のうち、少なくとも1つの制御指示情報を乾燥装置へ送信可能であるものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ドレンタンクの液体を確実に蒸発させることができ、メンテナンスの負担を軽減することのできる乾燥装置及び乾燥システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1による乾燥装置を示す斜視図である。
図2】実施の形態1による乾燥装置の正面図である。
図3】実施の形態1による乾燥装置の側面図である。
図4】実施の形態1による乾燥装置の上面図である。
図5】実施の形態1による乾燥装置をユーザが使用している状態を示す側面図である。
図6】実施の形態1による乾燥装置の断面側面図である。
図7】実施の形態1による乾燥装置の第一変形例を示す斜視図である。
図8】実施の形態1による乾燥装置の第二変形例を示す斜視図である。
図9】実施の形態1による乾燥装置の上部を、右側から左側に向かう視点で視た図である。
図10】実施の形態1による乾燥装置の機能ブロック図である。
図11】実施の形態1による乾燥装置の処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。
図12】実施の形態1の変形例による乾燥装置の上部を、右側から左側に向かう視点で視た図である。
図13】実施の形態2による乾燥装置の斜視図である。
図14】実施の形態2による乾燥装置の断面側面図である。
図15】実施の形態2による乾燥装置の機能ブロック図である。
図16】取外し検知手段に関する制御フローを示すフローチャートである。
図17】挿入検知手段に関する制御フローを示すフローチャートである。
図18】人検知手段に関する制御フローを示すフローチャートである。
図19】照明検知手段に関する制御フローを示すフローチャートである。
図20】水検知手段に関する制御フローを示すフローチャートである。
図21】水検知手段に関する制御フローの他の例を示すフローチャートである。
図22】水検知手段による検知結果と、蒸発手段の動作との関係を示す図である。
図23】ドレンタンクの温度またはドレンタンク内に溜まった水の温度と、蒸発手段の出力設定の例を示す図である。
図24】コイルに高周波電流を流したときに形成される高周波磁場の磁束の様子を観念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。また、以下に示す実施の形態に示した構成は、本開示に係る技術的思想の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の複数の技術的思想を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略または変更することも可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による乾燥装置1の斜視図である。以下の説明では、乾燥装置1について、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向を、原則として図1中の矢印で示すように特定する。「前」は、乾燥装置1に正対したユーザにとって手前の方向に相当する。「後」は、当該ユーザにとって奥の方向に相当する。「左」は、当該ユーザにとって左となる方向に相当する。「右」は、当該ユーザにとって右となる方向に相当する。「上」は、鉛直上方に相当する。「下」は、鉛直下方に相当する。本実施の形態において、「手前側」、「正面側」、「ユーザ側」、「ユーザに近い側」とは、前側のことである。「背面側」、「奥側」、「壁側」、「ユーザから遠い側」とは、後側のことである。また、左側と右側を併せて、「側面」と表現することもある。例えば、乾燥装置1における正面側は、図1における手前側である。
【0011】
また、以下の説明における用語を次のように定義する。正面視とは、前側から後方に向かって視た視点である。また、正面視とは、前側から、左右方向に対して垂直な方向の視線で視た視点である。また、側面視とは、左側から右側に向かって視た視点、または右側から左側に向かって視た視点である。また、側面視とは、左側または右側から、前後方向に対して垂直な方向の視線で視た視点である。また、下面視とは、下側から上側に向かって視た視点である。また、下面視とは、下側から、前後方向及び左右方向のいずれにも垂直な方向の視線で視た視点である。また、上面視とは、上側から下側に向かって視た視点である。また、上面視とは、上側から、前後方向及び左右方向のいずれにも垂直な方向の視線で視た視点である。
【0012】
図2は、実施の形態1による乾燥装置1の正面図である。図3は、実施の形態1による乾燥装置1の側面図である。図4は、実施の形態1による乾燥装置1の上面図である。図5は、実施の形態1による乾燥装置1をユーザUが使用している状態を示す模式的な側面図である。図6は、実施の形態1による乾燥装置1の断面側面図であり、図2中のA-A線に沿う断面図である。
【0013】
図1から図6に示す乾燥装置1は、外郭をなす本体2と、本体2に収容される収容部を備える。乾燥装置1は、濡れた手や手で挿入した物体を乾燥させる機能を備えている。本体2は、乾燥装置1の外観を形成する。なお、本体2の一部は、本体2の内側に配置されていてもよく、収容部の一部は外観に露出していてもよい。
【0014】
本体2は、カバー部と、挿入部3と、表示部4と、操作部とを備える。カバー部は、外観に露出する意匠部分である。挿入部3は、挿入空間5を形成する。挿入空間5は、手が挿入される空間である。本実施の形態における挿入空間5は、1つの空間である。1つの空間である挿入空間5に、ユーザUの両手を挿入することが可能である。挿入空間5は、例えば、挿入部3の上端から下端までである。挿入空間5は、例えば、挿入部3の前端から後端までである。挿入空間5は、例えば、挿入部3の左端から右端までである。表示部4は、例えば、報知すべき情報を表示するディスプレイを有していてもよいし、インジケーターランプを有していてもよい。操作部は、ユーザ、清掃者、または管理者が操作する部分である。
【0015】
挿入部3は、挿入空間5に対して開口する通気孔6を有する。本実施の形態では、通気孔6から挿入空間5へ空気を吹き出す例について説明する。本実施の形態であれば、通気孔6から吹き出される気流によって、手または手で挿入した物体に付着した水を吹き飛ばすことができるので、短時間で乾燥させることが可能となる。本開示による乾燥装置は、このような例に限定されず、挿入空間5から空気を通気孔6に吸い込むように構成されたものでもよい。この場合、空気が通気孔6に吸い込まれることによって挿入空間5に気流が発生し、当該気流によって手または物体を乾燥させることができる。
【0016】
挿入部3は、乾燥装置1の上部に配置される。挿入部3は、挿入周囲部と、挿入底部3aとを備えている。挿入周囲部は、挿入前部3bと、挿入後部3cと、挿入側部3dとを備えている。挿入周囲部は、挿入底部3aを除く挿入部3である。挿入部3において、挿入前部3bは前側に配置され、挿入後部3cは後側に配置され、挿入側部3dは左側と右側とに配置され、挿入底部3aは下側に挿入部3の前側に配置される。
【0017】
変形例として、挿入部3は、挿入側部3dを備えていないものであってもよい。また、挿入部3は、挿入前部3bを備えていないものであってもよい。また、挿入部3は、上側に配置される挿入上部(図示省略)を備えていてもよい。また、これらの考えられる組み合わせであってもよい。例えば、挿入前部3bがなく、挿入上部がある挿入部3であってもよい。また、挿入部3において、挿入底部3aのみのものであってもよく、挿入上部だけのものであってもよい。つまり、挿入とは、一般的には中に差し入れることを意味するが、本実施の形態では一側または一面にしか構造物がないものに対しても挿入という言葉を使うことを含みうる。また、本実施の形態では、例えば、挿入底部3aと挿入前部3bがほぼ明確に区別できるが、挿入部3の各壁面が明確に区別できなくてもよい。例えば、挿入部3は、半球状に形成されていてもよい。
【0018】
本実施の形態の挿入部3は、挿入底部3aと、挿入前部3bと、挿入後部3cと、挿入側部3dとによって挿入空間5を形成する。挿入空間5には手を配置することができる。挿入空間5の前後方向の長さ、及び、挿入空間5の左右方向の長さは、手を配置できる程度の長さである。
【0019】
挿入側部3dの上端部は、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部よりも低い位置に配置される。本体2の上部または挿入部3の上部に、挿入開口7が形成されている。本体2の上部であって、挿入開口7の下方に、挿入空間5が形成されている。挿入空間5は、挿入開口7から挿入されたユーザの手を覆う凹状の空間である。
【0020】
挿入部3は、図3の側面視、または、図2中のA-A線での断面における側面視(図6)にて、おおむねU字形状を呈することにより、凹状の挿入空間5を形成する。図5に示すように、ユーザUは、手Hを、上方から下方に向けて、挿入開口7から挿入空間5に挿入可能である。
【0021】
図3の側面視において、挿入空間5に面する挿入前部3bの表面は、上部から下部に向かうに従って、前側から後側に向けて、若干傾斜している。また、挿入空間5に面する挿入後部3cの表面は、上部から下部に向かうに従って、前側から後側に向けて、若干傾斜している。
【0022】
図5に示すように、ユーザUは、例えば、乾燥装置1の前側に立って、手Hを挿入空間5に挿入する。挿入部3は、成人男女の腰部の高さ程度の位置に設置される。上述した挿入前部3b及び挿入後部3cの傾斜が設けられていることにより、ユーザUが挿入空間5に上方から手Hを挿入する際に、手Hを挿入しやすい。
【0023】
なお、手の挿入方向が異なる乾燥装置の場合、図5に示す例とは異なる高さに乾燥装置が設置されることがある。例えば、前方から後方に向かって手を挿入するタイプの乾燥装置の場合、挿入部3は成人男女の肘あたりの高さに配置される。
【0024】
挿入周囲部は、対向する面を有している。挿入前部3bは、挿入後部3cに対して、対向する位置に配置される。挿入底部3aの上方に挿入開口7が設けられる。図4に示すように、挿入側部3dは、挿入左部3gと挿入右部3hを備える。挿入左部3gは、正面視にて挿入前部3bの左側に配置される。挿入右部3hは、正面視にて挿入前部3bの右側に配置される。挿入左部3gは、挿入右部3hに対して、対向する位置に配置される。
【0025】
図3に示すように、挿入前部3bは前方突出部3eを備える。挿入後部3cは後方突出部3fを備える。前方突出部3eは、正面側、すなわちユーザに近い側、つまり挿入前部3bから、後側へ張り出した部位である。後方突出部3fは、背面側、すなわちユーザから遠い側、つまり挿入後部3cから、前側へ張り出した部位である。前方突出部3eは、挿入前部3bのうちの上側に設けられる。後方突出部3fは、挿入後部3cのうちの上側に設けられる。
【0026】
挿入前部3bと挿入後部3cは、挿入部3の最下部に設けられた挿入底部3aに繋がっている。このように、挿入部3は、側面視またはA-A断面における側面視において、上部が開口した有底の断面U字状をなしている。挿入底部3aは水平面に対して、傾斜していてもよい。挿入前部3b及び挿入後部3cの、挿入空間5に面する表面は、側面視にて折れ曲がる形状または湾曲した形状を呈していてもよい。
【0027】
挿入側部3dの上端部は、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部よりも、挿入底部3aに近い位置に配置される。挿入側部3dの上端部は、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部よりも、挿入底部3aの最下部に近い位置に配置される。このように、挿入側部3dは低い位置に配置されているため、挿入部3の左右方向における両側は開放されている。このような本実施の形態における挿入部3であれば、上下方向または左右方向から、ユーザの手を自由に挿入空間5に挿抜可能である。
【0028】
ここで、実施の形態1による乾燥装置1の変形例について説明する。図7は、実施の形態1による乾燥装置1の第一変形例を示す斜視図である。図8は、実施の形態1による乾燥装置1の第二変形例を示す斜視図である。これらの変形例に示すように、挿入部3は、上面が開口した箱型の形状を呈していてもよい。図7図8に示すように、挿入側部3dの上端部は、挿入底部3aの上端部または下端部よりも、挿入前部3bの上端部及び挿入後部3cの上端部に近い位置に配置された構造であってもよい。この場合、左右方向に水が飛散することを抑制することができる。また、図8に示すように、挿入側部3dの上端は、挿入前部3bの上端または挿入側部3dの上端と同等の高さに配置されていてもよい。また、挿入前部3bの上端の高さと、挿入後部3cの上端の高さが異なる場合には、挿入側部3dの上面は傾斜していてもよい。挿入前部3bと挿入側部3dは繋がっていることが望ましい。挿入側部3dと挿入後部3cは繋がっていることが望ましい。これにより、挿入前部3bと挿入側部3dの隙間から外部に水が漏れることがない。挿入前部3b、挿入後部3c、及び挿入側部3dの上部よりも低い位置において水平方向に乾燥装置1を視た場合、挿入空間5は挿入部3に覆われる。このため、挿入空間5を視認することができない。挿入側部3dの高さが高い場合、例えば、挿入側部3dが挿入前部3bあるいは挿入後部3cと同等の高さを有する場合には、水平方向のいずれの方向から視た場合でも、挿入空間5を視認することができない。
【0029】
なお、挿入後部3cの上端の高さよりも挿入前部3bの上端の高さの方が低くてもよい。挿入後部3cの上端の高さと挿入前部3bの上端の高さが同等高さの場合、挿入開口7は、側面視にて水平面に対して平行である。一方、上述したように挿入後部3cの上端の高さよりも挿入前部3bの上端の高さの方が低い場合には、側面視にて挿入開口7が水平面に対して傾斜することで、挿入開口7がユーザの方向に向く。このため、ユーザが手をさらに容易に挿入することが可能となる。
【0030】
図9は、実施の形態1による乾燥装置1の上部を、右側から左側に向かう視点で視た図である。図9においては、乾燥装置1の構成の理解を容易にするために、一部の縮尺を変更して示している。図9は、遠近法を用いて表現されている。
【0031】
図9に示すように、挿入底部3aの一部には、挿入底部3aの水を排水する排水口8が設けられている。排水口8は例えば、挿入底部3aのうち低い位置に設けられている。これにより、挿入底部3aに水が溜まりにくく、排水されやすい。つまり挿入底部3aは、排水口8に向かって傾斜していてもよい。排水口8は、例えば、複数設けられていてもよい。排水口8には、本体2内において上下方向に延びる不図示の排水路の上端部が取り付けられている。排水路の下端部には、本体2の底部に配置されたドレンタンク9が接続されている。ドレンタンク9は、排水路を通って排水された水を溜めるものである。ドレンタンク9は、本体2の底部に対して、着脱自在に取り付けられている。例えば、本体2の底部を前方に引き出すことで、ドレンタンク9を乾燥装置1から取り外すことができる。すなわち、ドレンタンク9の一部は外観に露出している。排水口8は、水が流下するように勾配が付けられており、挿入底部3aに付着した水は排水路を流れて、ドレンタンク9へ溜められる。
【0032】
挿入部3は、例えばアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂(ABS樹脂)、あるいは、ポリプロピレン等の材料を用いて構成されていてもよい。挿入部3の大部分は、例えばABS樹脂あるいはポリプロピレン等の材料で構成されてもよい。挿入部3の外観を形成する部位は、例えばABS樹脂あるいはポリプロピレン等の材料で構成されてもよい。
【0033】
図1に示すように、本体2のカバー部は、前カバー2aと、後カバー2bと、サイドカバー2cとを備える。前カバー2aは前方に配置される。後カバー2bは後方に配置される。サイドカバー2cは、前カバー2aよりも後側で、かつ後カバー2bよりも前側に、配置される。前カバー2aは、後カバー2bよりも前側に配置される。前カバー2aは、挿入前部3bよりも前側に配置される。後カバー2bは、挿入後部3cよりも後側に配置される。サイドカバー2cは、側方に配置される。サイドカバー2cは、前カバー2a及び後カバー2bの側方に配置される。本体2のカバー部は、挿入部3よりも外側に配置される。本実施の形態において、カバー部と挿入部3の間には、収容部の少なくとも一部が配置されている。
【0034】
図6に示すように、本体2の内部において、挿入部3の下方には、高速空気流を生成する送風機10が設置されている。送風機10は、電気により作動するモータ11と、モータ11によって回転するターボファン12を備えた高圧空気流発生装置により構成されている。送風機10は、吸気側を背面、排気側を前面として配設されている。また、送風機10は、吸気側を下面、排気側を上面として配設されていてもよい。モータ11は例えばブラシレスモータである。ブラシレスモータを使用することで出力の調整がしやすくなる。
【0035】
乾燥装置1は、吹出口部と、吹出風路と、吸気口16と、吸気風路18とを備える。吹出口部は、例えば、挿入部3の通気孔6から空気を吹き出すものである。吹出口部は、例えば複数のノズルから構成される。本実施の形態における吹出口部は、第一吹出口部19と第二吹出口部20を備える。ノズルは中空の円筒形状または中空の角柱形状を呈している。ノズルは湾曲していてもよい。ノズルの先端は円形または矩形形状を呈している。第一吹出口部19は例えば挿入前部3bに配置される。例えば、第一吹出口部19からの吹出風は、手に当たらなければ挿入後部3cに到達するように、吹出される。第二吹出口部20は例えば挿入後部3cに配置される。例えば、第二吹出口部20からの吹出風は、手に当たらなければ挿入前部3bに到達するように、吹出される。第一吹出口部19は、第二吹出口部20よりも前側に配置される。本実施の形態では、吹出口部は、第一吹出口部19と第二吹出口部20のように、複数設けられるが、本開示の乾燥装置は、1つのみの吹出口部を備えるものでもよい。例えば、第一吹出口部19が設けられずに、第二吹出口部20のみが設けられていてもよい。また、第一吹出口部19は、一つのみの通気孔6を有するものでもよいし、複数の通気孔6を含むものでもよい。また、第二吹出口部20は、一つのみの通気孔6を有するものでもよいし、複数の通気孔6を含むものでもよい。また、本開示の乾燥装置は、3つ以上の吹出口部を備えていてもよく、例えば第三吹出口部を備えていてもよい。
【0036】
吹出風路13は、送風機10の排気側に設けられる。吹出風路13は、送風機10から発生した空気流を吹出口部へ導く風路である。吹出口部と吹出風路13は、一つの風路を備えていてもよく、複数の風路を備えていてもよい。図6に示す例において、吹出風路13は、前側吹出風路14と後側吹出風路15を備える。前側吹出風路14は、後側吹出風路15よりも前側に配置される。吹出風路13の少なくとも一部は例えば、上下方向に沿って形成される。例えば、吹出風路13の大部分は、上下方向に沿って形成される。
【0037】
吸気口16は、乾燥装置1の外部の空気を内部に取り込むための開口である。吸気口16は、例えば、格子状またはスリット状に形成される。吸気口16は、例えば、本体2の底部に設けられる。吸気口16にはフィルタ部17が設けられていてもよい。フィルタ部17は、例えば、本体2の内部かつ吸気口16の近傍に配置される。これにより、フィルタ部17を通して吸気風路18に外気を取り入れることができ、異物の侵入を抑制することができる。吸気風路18は、送風機10の吸気側に設けられる。吸気風路18は、送風機10と吸気口16を流体的につなぐ風路である。吸気口16は挿入部3に設けられていてもよい。
【0038】
吸気風路18は、本体2の内部において背面側に画成されて上下方向に形成されている。吸気風路18の上部は送風機10に流体的に連通している。吸気風路18の下部は吸気口16に流体的に連通している。吸気風路18の一部は、ドレンタンク9の後側に配置される。
【0039】
送風機10の排気側は、本体2の内部において上下方向に連なり、前面側と背面側に分岐されて画成された前側吹出風路14及び後側吹出風路15の下方に連絡している。送風機10で高圧化された高圧空気は、送風機10と接続して設けられた前側吹出風路14及び後側吹出風路15に排出される。前側吹出風路14及び後側吹出風路15には、前面側と背面側に分岐する手前の位置にヒータを組み込み、通過する高圧空気を昇温させる構成としてもよい。
【0040】
前側吹出風路14の上部に第一吹出口部19が設けられている。後側吹出風路15の上部に第二吹出口部20が設けられている。第一吹出口部19は、挿入前部3bの上側の前方突出部3eに設けられる。第二吹出口部20は、挿入後部3cの上側の後方突出部3fに設けられる。第一吹出口部19と第二吹出口部20とは、挿入空間5を挟んで互いに対向している。第一吹出口部19及び第二吹出口部20は、斜め下向きにやや波状に開口した複数の通気孔6を含んでもよい。各通気孔6は、乾燥装置1の左右方向に沿って、一列に水平に配設されたものでもよい。
【0041】
第一吹出口部19及び第二吹出口部20は、送風機10により生成された高圧空気を高速気流に変換し、該高速気流を通気孔6から挿入空間5に向かって作動気流として噴射する。作動気流は、第一吹出口部19及び第二吹出口部20から、挿入空間5の対面方向に、水平方向よりもやや下向きに傾斜した角度で噴射される。作動気流は、ユーザが挿入空間5に挿入した手や物体に付着した水を挿入空間5の下方に吹き飛ばす。
なお、吸気口16を挿入部3に設けることで、吹出口部から噴き出した空気により弾き飛ばした水しぶきの飛散を抑制できる。
【0042】
図6及び図9に示すように、挿入前部3b及び挿入後部3cには、手検知部21が内蔵されている。手検知部21は、手や物体を検知する検知手段の例である。好ましくは、手検知部21は、第一吹出口部19よりも下の位置と、第二吹出口部20よりも下の位置とに内蔵されている。ユーザが挿入開口7から濡れた手や物体を挿入空間5の奥へ向かって進入させていくと、手検知部21は、挿入された手や物体を検知する。このようにして挿入空間5にユーザの手が挿入されたことを手検知部21が検知すると、ユーザの手を検知した旨の手検知信号を後述する制御部22に出力する。手検知部21の詳細については、後述する。
【0043】
図6に示すように、本体2内の下方には、手検知部21による手や物体の検知に応じて送風機10の運転を制御する制御部22が設けられている。制御部22は、手検知部21から出力された手検知信号情報に基づいて、送風機10の運転を制御して、第一吹出口部19及び第二吹出口部20から、挿入空間5に気流を噴出させる。
【0044】
図10は、実施の形態1による乾燥装置1の機能ブロック図である。図11は、実施の形態1による乾燥装置1の処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。制御部22の機能は、例えば、図11に示したハードウェア構成の処理回路により達成されてもよい。例えば、図11に示すプロセッサ101が、メモリ102に記憶されたプログラムを実行することにより、制御部22の機能が達成されてもよい。また、複数のプロセッサ及び複数のメモリが連携して、制御部22の機能を達成してもよい。また、制御部22の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101及びメモリ102を用いて達成するようにしてもよい。
【0045】
図12は、実施の形態1の変形例による乾燥装置1の上部を、右側から左側に向かう視点で視た図である。図12は、遠近法を用いて表現されている。以下、図12に示す変形例について説明する。挿入底部3aの左端付近と、挿入底部3aの右端付近とにそれぞれ排水口8が設けられている。挿入部3は、山部3iをさらに備える。山部3iは、挿入底部3aと挿入後部3cとの間に形成される。山部3iの表面は、左右方向の中央で最も高く、中央から左方向に行くにつれて低くなるように傾斜し、中央から右方向に行くにつれて低くなるように傾斜している。これにより、手や物体から滴下した水を、山部3iの傾斜に沿って、左右の両側の排水口8に円滑に導くことができる。
【0046】
制御部22は、手検知部21から出力された手検知信号情報に基づいて送風機10の運転を制御する。制御部22は、挿入空間5に手が挿入されたと手検知部21が検知した場合に、送風機10を運転させる。また、制御部22は、挿入空間5の下側及び上側ともに手や物体が挿入されていないと手検知部21において検知された場合は、送風機10を停止させる。
【0047】
送風機10で生成された高圧空気流は、第一吹出口部19及び第二吹出口部20に導かれ、第一吹出口部19及び第二吹出口部20から挿入空間5内に噴射される。そして、挿入空間5内に噴射された高圧空気流は、挿入空間5に挿入された手や物体に付着した水分を吹き飛ばすことにより、手や物体を乾燥させる。吹き飛ばされた水は挿入部3に付着する。例えば、挿入前部3b、挿入後部3c、挿入側部3dに付着した水は挿入底部3aに滴り落ちる。挿入底部3aの水は排水口8からドレンタンク9に流れる。
【0048】
本実施の形態1による乾燥装置1は、挿入部3の正面側壁面において、正面側から見て上側に電極21aを備え、正面側から見て下側に電極21bを備える。また、挿入部3の背面側壁面において、正面側から見て上側に電極21cを備え、正面側から見て下側に電極21dを備える。そして、手検知部21は、静電容量の変化を検出する2つの電極の組み合わせを切り替えて、挿入空間5における手前側、奥側、上側、下側の4つのポイントで挿入空間5における手または物体の挿入の有無を検知する。
【0049】
なお、本実施の形態では静電容量式のセンサで手または物体を検知する例について示したが、これに限定されない。例えば、赤外線を用いた光学式等であってもよい。
【0050】
ドレンタンク9は、ドレン水を貯水する貯水部と、貯水部よりも浅底であって、ドレンタンク9の水位が設定水位以上になった時にドレン水が流れ込む満水検出部とを備えている。手あるいは物体の乾燥が繰り返し実施されることにより、ドレンタンク9内のドレン水の水量は次第に増加し、水面が上昇する。
【0051】
表示部4において表示される情報には、フィルタ部に目詰まりが生じたこと及びドレンタンク9が満水となったことを挙げることができるが、これらの情報に限定されない。また、ランプの点灯状態は、消灯、点灯及び点滅を挙げることができ、消灯、点灯及び点滅によって情報を表示することができる。表示部には発光ダイオードを適用できるが、これに限定されず、液晶画面に情報を示すこともできる。
【0052】
本開示において、ドレン水とは、濡れた物体から離れた水滴がドレンタンク9内に入った水である。以下、ドレンタンク9内の水、ドレンタンク9内に貯水した水、ドレンタンク9内に溜まった水、等の表現として、ドレン水と称する。
【0053】
図6に示すように、本開示による乾燥装置1は、ドレンタンク9内にある液体すなわちドレン水を蒸発させる蒸発手段25をさらに備える。蒸発手段25は、ドレンタンク9内にある液体すなわちドレン水の蒸発を促進させるものである。本実施の形態であれば、蒸発手段25を備えたことで、ドレンタンク9のドレン水を捨てる頻度を少なくできるか、または水捨てを不要にできるため、清掃者の負担を軽減できる。蒸発手段25については、実施の形態2で詳しく説明する。
【0054】
実施の形態2.
次に、図13から図23を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
【0055】
図13は、実施の形態2による乾燥装置1の斜視図である。以下の説明では、図13の乾燥装置1について、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」の方向を、原則として図13中の矢印で示すように特定する。「前」は、乾燥装置1に正対したユーザにとって手前の方向に相当する。「後」は、当該ユーザにとって奥の方向に相当する。「左」は、当該ユーザにとって左となる方向に相当する。「右」は、当該ユーザにとって右となる方向に相当する。「上」は、鉛直上方に相当する。「下」は、鉛直下方に相当する。
【0056】
図14は、実施の形態2による乾燥装置1の断面側面図である。図15は、実施の形態2による乾燥装置1の機能ブロック図である。図13及び図14に示すように、乾燥装置1は、外殻の少なくとも一部を構成する本体2を有する。本体2に、挿入部3が形成されている。挿入部3は、ユーザが乾燥装置1の前から手を挿入空間5に挿入可能なように構成されている。挿入開口7は、乾燥装置1の前を向いて開口している。
【0057】
挿入後部3cは後側に配置される。挿入側部3dは左側と右側とに配置される。挿入底部3aは下側に配置される。挿入側部3dは、挿入左部3gと挿入右部3hを備える。挿入左部3gは、正面視にて左側に配置される。挿入右部3hは、正面視にて右側に配置される。挿入左部3gは、挿入右部3hに対して、対向する位置に配置される。挿入部3は、挿入上部3rを有する。挿入上部3rは、挿入空間5の上部を形成する。挿入上部3rは、挿入底部3aと向かい合う。挿入空間5に面する挿入上部3rの表面は、下方に向く。
【0058】
図14に示すように、本体2の内部において、挿入部3よりも上方の位置に、送風機10が配置されている。吹出口部を構成する通気孔6と、手検知部21とは、挿入上部3rに配置されている。吹出口部は、通気孔6から下に向かって、気流を挿入空間5へ吹き出す。吹出風路13は、送風機10の排気側に設けられる。吹出風路13は、送風機10から発生した空気流を吹出口部へ導く風路である。吹出口部と吹出風路13は、一つの風路を備えていてもよく、複数の風路を備えていてもよい。乾燥装置1は、吹出風路13を通過する空気を加熱するヒータ61を備えていてもよい。吸気風路18は、送風機10の吸気側に設けられる。
【0059】
乾燥装置1は、送風機10による送風により、濡れた対象から水滴を分離させることで、当該対象を乾燥させる。乾燥装置1が乾燥させる対象物は、ユーザの手でもよいし、挿入空間5に挿入された手で持ったコップなどの物でもよいし、挿入部3に置かれたコップなどの物でもよい。以下の説明では、ユーザの手を乾燥させる場合を例に記載する。挿入部3は、挿入空間5に対して開口する通気孔6を有する。本実施の形態では、通気孔6から挿入空間5へ空気を吹き出す例について説明する。
【0060】
本実施の形態であれば、通気孔6から吹き出される気流によって、手に付着した水を吹き飛ばすことができるので、手をより短時間で乾燥させることが可能となる。本開示による乾燥装置は、このような例に限定されず、挿入空間5から空気を通気孔6に吸い込むように構成されたものでもよい。この場合、空気が通気孔6に吸い込まれることによって挿入空間5に気流が発生し、当該気流によって手を乾燥させることができる。
【0061】
本体2に対してドレンタンク9が着脱自在に接続されている。ドレンタンク9は、本体2に対する位置が一義的に定まるよう取付けられる。ドレンタンク9は本体2に対して、正面側から前後方向に移動させることで着脱自在に設けられる。ドレンタンク9には、濡れてはいけない電気部品が備えられていない。このため、ドレンタンク9を本体2から取り外すと、ドレンタンク9の全体が水洗い可能となる。それゆえ、衛生性に優れる。
【0062】
挿入部3において手から分離された水は、挿入底部3aに集まり、排水口8を通って、ドレンタンク9に溜まる。乾燥装置1は、ドレンタンク9内にある液体を蒸発させる蒸発手段25をさらに備える。蒸発手段25は、ドレンタンク9内にある液体の蒸発を促進させるものである。本実施の形態であれば、蒸発手段25を備えたことで、ドレンタンク9の水を捨てる頻度を少なくできるか、または水捨てを不要にできるため、清掃者の負担を軽減できる。
【0063】
蒸発手段25は公知技術を用いても良い。蒸発手段25は、いかなる方式でドレン水を蒸発させるものでもよい。
【0064】
蒸発手段25は、例えば、ドレンタンク9またはドレン水を加熱する加熱手段26を有していてもよい。加熱手段26は、電力を熱に変換し、ドレンタンク9にある液体を直接または間接的に加熱する。水は高温になるほど蒸発しやすい。本実施の形態であれば、加熱手段26によりドレンタンク9にある液体を直接または間接的に加熱することで、蒸発を促すことができる。
【0065】
蒸発手段25は、例えば、少なくともドレンタンク9またはドレンタンク9のドレン水に送風する送風手段27を有していてもよい。図示の例における送風手段27は、通気口28から吸い込んだ空気をドレンタンク9またはドレンタンク9の水に対して吹き出すファンである。
【0066】
水面付近の空気の湿度が低いほど水は蒸発しやすい。本実施の形態であれば、水、水面、ドレンタンク9等へ送風手段27が送風することにより、蒸発により高湿になっている水面付近の水を移動させることで、水面の風速を高めて、蒸発を促すことができる。なお、ドレン水に送風する送風手段27に代えて、送風機10が、手あるいは物体の乾燥に加えて、ドレン水に送風するよう構成してもよい。例えば、送風機10の風がドレンタンク9内に流入するよう、挿入底部3aが開口していてもよく、複数の穴が開いていてもよく、格子状に開口していてもよい。この場合においても、ドレン水の蒸発を促進させることができる。
【0067】
本実施の形態であれば、蒸発手段25が加熱手段26と送風手段27との両方を備えたことで、ドレンタンク9のドレン水の蒸発をより促進することができる。ただし、本開示における蒸発手段25は、加熱手段26と送風手段27とのいずれか一方のみを備えたものでもよい。
【0068】
蒸発手段25は、例えば、高周波の振動により、ドレン水を霧化させる超音波発生手段を有していてもよい。この場合、超音波振動子をドレンタンク9内に備える。超音波振動を用いることで省エネルギーで液体を蒸発させることが可能となる。
【0069】
蒸発手段25は、例えば、吸水部材または多孔質部材によりドレン水を含んだ部材により蒸発を促進させる構成を含んでもよい。
【0070】
蒸発手段25は上記のような各種の蒸発手段25の組合せであってもよい。
【0071】
送風手段27はドレンタンク9内に送風し、ドレン水の水面に風を当てる。ドレン水の水面付近は蒸発により、湿度が高くなるため、水面に風を当てることで、空気を攪拌でき、水面付近の湿度を下げることができる。これにより、新たな蒸発が行われやすくなり、蒸発速度が速くなる。送風手段27は手または物体を乾燥させる送風機10によるものであってもよく、送風機10とは別の送風手段であってもよい。例えば、送風手段27は挿入底部3aより下方にあってもよい。
【0072】
図14の例において、加熱手段26は、ドレンタンク9の底面を加熱するように設けられている。これにより、ドレンタンク9の底部に溜まる液体を効率良く加熱することができる。
【0073】
ドレンタンク9の水を蒸発させた場合であっても、皮脂、皮膚片、その他異物等はドレンタンク9に蓄積していく。また、ぬめりの発生もある。蒸発手段25により、従来に比べてドレンタンク9の清掃負荷を下げつつも、ドレンタンク9が取り外し可能であり、清掃できるため、衛生性が保てる。
【0074】
ドレンタンク9は例えば、本体2に対して前後方向に移動することで着脱する。本実施の形態のドレンタンク9は例えば、本体2に対して、前方に移動することで、取り外すことができ、後方に移動することで、取り付けることができる。
【0075】
また、ドレンタンク9は、本体2に対する位置が一義的に定まるよう取付けられるので、加熱手段26に対するドレンタンク9の位置ずれによる蒸発速度の低下を防ぐことができる。また、ドレンタンク9が丸洗いできるため衛生性が高い。
【0076】
加熱手段26は、誘導加熱方式のものでもよい。誘導加熱方式の加熱手段26は、本体2に内蔵され、導線を捲回して形成したコイルと、本体2に内蔵され、コイルに高周波電流を供給する高周波電源とを有する。ドレンタンク9の少なくとも一部は、磁性体材料からなる。コイルは、高周波電源により高周波電流が供給されることで磁束を形成し、その磁束により、ドレンタンク9の磁性体材料が自己発熱する。このような構成であれば、ドレンタンク9に電気部品を設ける必要がないので、丸洗い可能で衛生的で設計自由度が高い。誘導加熱方式の加熱手段26の例については、後に詳しく説明する。
【0077】
本体2は、加熱手段26として、電力により発熱する発熱体(ヒータ)を備えていていもよい。ドレンタンク9が本体2に取付けられた状態で、当該発熱体により加熱される金属材料をドレンタンク9が備えていてもよい。このような構成でも、ドレンタンク9に電気部品を設ける必要がないので、丸洗い可能で衛生的で設計自由度が高い。
【0078】
ドレンタンク9は、金属部材と樹脂部材とからなり、金属部材は樹脂部材に対して着脱自在であることが好ましい。これにより、金属部材と樹脂部材の隙間に溜まる汚れを、金属部材と樹脂部材とを分解して洗うことができ、容易に衛生性を保つことができる。
【0079】
本体2にドレンタンク9が取り付けられた状態において、ドレンタンク9の外観にドレンタンク9の金属部材が露出しないことが好ましい。これにより、温度が高くなりやすい金属部材が外観に露出しないため、誤接触によるやけどのリスクが抑えられる。なお、金属部材とは、例えば、発熱体により加熱される金属材料あるいは誘導加熱により自己発熱する磁性体のことを指す。
【0080】
ドレンタンク9は、把持部を備え、把持部は、非金属材料からなることが好ましい。非金属材料は、熱伝導性が低い材料あるいは非磁性材料である。把持部を非金属材料とすることで、把持部に熱が伝わりづらく、火傷のリスクが確実に低減できる。
【0081】
乾燥装置1は、乾燥装置1の動作を制御する制御部22を備える。乾燥装置1は、ドレンタンク9が本体2から取り外されたことを検知する取り外し検知手段40をさらに備えていてもよい。制御部22は、ドレンタンク9が本体2から取り外されたことを取外し検知手段40が検知すると蒸発手段25をOFFにしてもよい。これにより、ドレンタンク9の取外し時の加熱を防ぐことができ、安全性、省エネ性に優れる。
【0082】
図16は、取外し検知手段40に関する制御フローを示すフローチャートである。ステップS1として、制御部22は、ドレンタンク9が本体2から取り外されたことを取外し検知手段40が検知したかどうかを判断する。ドレンタンク9が本体2から取り外された場合には、処理はステップS2に進み、制御部22は、蒸発手段25をOFFにする。これに対し、ドレンタンク9が本体2から取り外されていない場合には、処理はステップS3に進み、現在の状態を変更せずに維持する。
【0083】
取外し検知手段40は、例えば距離センサからなり、ドレンタンク9との距離を測定するものでもよい。取外し検知手段40は、例えば明るさセンサからなり、ドレンタンク9が取り外された際の明るさの違いによって検知するものでもよい。取外し検知手段40は、例えば金属検知センサであり、ドレンタンク9の金属が検知されなくなったことを検知するものでもよい。取外し検知手段40は、例えば磁性体検知センサからなり、ドレンタンク9の磁性体が検知されなくなったことを検知するものでもよい。取外し検知手段40は、加熱手段26の加熱中に検知し、非加熱時には検知しなくてもよい。この場合、電源をOFFからONに変えた際には、一瞬加熱手段26がONになったのち、ドレンタンク9がないことを取外し検知手段40が検知すると、すぐに加熱手段26がOFFになるような仕様であってもよい。
【0084】
乾燥装置1は、挿入部3に手または物体が挿入されたことを検知する挿入検知手段41と、本体2の周辺の人を検知する人検知手段42と、本体2の周辺の照明の点灯状態を検知する照明検知手段43とのうちの少なくとも1つを備えていてもよい。挿入検知手段41が手または物体が挿入されたことを検知するか、人検知手段42が人を検知するか、照明検知手段43が照明の点灯を検知すると、制御部22は、蒸発手段25をOFFにしてもよい。挿入検知手段41が手または物体が挿入されたことを検知していない時間、人検知手段42が人を検知しない時間、または照明検知手段43が照明の消灯を検知している時間が所定の時間に達すると、制御部22は、蒸発手段25がONになるようにしてもよい。このように、周囲に人がいることを検知して蒸発手段25をOFFにすることで、人が高温部分に触れることを確実に抑制できる。
【0085】
図17は、挿入検知手段41に関する制御フローを示すフローチャートである。ステップS4として、制御部22は、挿入検知手段41が手または物体が挿入されたことを検知したかどうかを判断する。手または物体が挿入されたことを検知した場合には、処理はステップS5に進み、制御部22は、蒸発手段25をOFFにする。これに対し、手または物体が挿入されたことを検知していない場合には、処理はステップS3に進み、現在の状態を変更せずに維持する。
【0086】
図18は、人検知手段42に関する制御フローを示すフローチャートである。ステップS7として、制御部22は、人検知手段42が人を検知したかどうかを判断する。人検知手段42が人を検知した場合には、処理はステップS8に進み、制御部22は、蒸発手段25をOFFにする。これに対し、人検知手段42が人を検知していない場合には、処理はステップS9に進み、現在の状態を変更せずに維持する。
【0087】
図19は、照明検知手段43に関する制御フローを示すフローチャートである。ステップS10として、制御部22は、照明検知手段43が照明の点灯を検知したかどうかを判断する。照明検知手段43が照明の点灯を検知した場合には、処理はステップS11に進み、制御部22は、蒸発手段25をOFFにする。これに対し、照明検知手段43が照明の消灯を検知した場合には、処理はステップS12に進み、現在の状態を変更せずに維持する。
【0088】
人検知手段42は、本体2に備えられた人感センサでもよいし、本体2以外の場所に設けられた人感センサでもよい。乾燥装置1は、人検知手段42が人のいないことを検知している期間中に蒸発手段25を動作させてもよい。無人のときに蒸発手段25を動作させることで、人が臭気を感知することを防止することができる。
【0089】
乾燥装置1は、水検知手段44を備えていてもよい。水検知手段44は、ドレンタンク9内の水の量または水位を直接または間接的に検知するか、ドレンタンク9内の水の量または水位が特定の量または特定の水位に達したかどうかを検知する。
【0090】
制御部22は、水検知手段44によって、水量または水位が第一の閾値以下であると判断した場合には蒸発手段25をOFFにし、水量または水位が第一の閾値よりも値が大きい第二の閾値に達した場合に蒸発手段25をONにする。これにより、空焚きを防止でき、省エネルギーと安全性の向上につながる。
【0091】
水検知手段44は、例えば、ドレンタンク9の重量を検知する重量検知手段を用いたものでもよい。この場合、ドレンタンク9の重量あるいは重量の変化によって、水の多さを検知する。重量検知部を本体2に備えていれば、ドレンタンクには電気部品を必要としない。また、水検知手段44は、例えば、フロートセンサを用いたものでもよい。第一の閾値は、例えば、満水に対して、10%程度の値でもよい。第二の閾値は、例えば、満水に対して、20%程度の値でもよい。
【0092】
水検知手段44は、ドレンタンク9の温度変化を検知することで間接的に水量または水位を検知するものでもよい。この場合、温度センサが本体2に設けられ、ドレンタンク9を本体2に装着するとドレンタンク9の外側に温度センサが接触するように構成することが好ましい。これにより、ドレンタンク9には電気部品がなく、ドレンタンク9を丸洗いすることが可能となる。
【0093】
制御部22は、ドレンタンク9内の水の量または水位が第二の閾値よりも値が大きい第三の閾値に達したことを水検知手段44が検知した場合に、蒸発速度を高めるよう、加熱手段26と送風手段27のうち少なくとも1つの出力を上げることが望ましい。これにより、満水になることを確実に防止できる。第三の閾値は、例えば、満水に対して、80%程度の値でもよい。
【0094】
図20は、水検知手段44に関する制御フローを示すフローチャートである。ステップS13として、制御部22は、水検知手段44が検知した水の量または水位が第一の閾値以下かどうかを判断する。水の量または水位が第一の閾値以下である場合には、制御部22は、蒸発手段25をOFFする(ステップS14)。
【0095】
水の量または水位が第一の閾値を超える場合には、制御部22は、水の量または水位が第二の閾値以上かどうかを判断する(ステップS15)。水の量または水位が第二の閾値以上である場合には、制御部22は、蒸発手段25をオンし、標準モードで蒸発手段25を運転する(ステップS16)。水の量または水位が第二の閾値未満である場合には、処理はステップS17に進み、現在の状態を変更せずに維持する。
【0096】
ステップS16の後、ステップS18として、制御部22は、水の量または水位が第三の閾値以上かどうかを判断する(ステップS18)。水の量または水位が第三の閾値以上である場合には、制御部22は、蒸発手段25の加熱手段26と送風手段27の少なくとも一方の出力をアップし、強モードで蒸発手段25を運転する(ステップS19)。水の量または水位が第三の閾値未満である場合には、処理はステップS20に進み、現在の状態を変更せずに維持する。
【0097】
なお、ドレンタンク9の水の量または水位が第三の閾値に達し、蒸発手段25の出力を上げた後、ドレンタンク9の水の量または水位が第二の閾値まで減少した場合には、制御部22は、蒸発手段25の出力を下げてもよい。
【0098】
図21は、水検知手段44に関する制御フローの他の例を示すフローチャートである。ステップS21として、制御部22は、ドレンタンク9の水の量または水位が第二の閾値または第三の閾値以上かどうかを判断する。ドレンタンク9の水の量または水位が第二の閾値または第三の閾値以上の場合には、制御部22は、挿入検知手段41が手または物体を検知していない時間、人検知手段42が人を検知しない時間、または照明検知手段43が照明の消灯を検知している時間が所定の時間に達したかどうかを判断する。当該時間が所定の時間に達した場合には、制御部22は、蒸発手段25をONし、標準モードまたは強モードで蒸発手段25を運転してもよい(ステップS23)。図22は、水検知手段44による検知結果と、蒸発手段25の動作との関係を示す図である。
【0099】
乾燥装置1は、ドレンタンク9の温度またはドレンタンク9内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段45を備えていてもよい。その場合、制御部22は、温度検知手段45の検知温度が第二の温度に達した場合に、加熱手段26の出力を小さくするかOFFにし、温度検知手段45の検知温度が第二の温度に達した後に第二の温度よりも低い第一の温度に達した場合に蒸発手段25の出力を大きくするかONにしてもよい。これにより、ドレンタンク9の温度またはドレンタンク9内の水の温度を一定範囲に保つことができるので、異常加熱を抑えつつ確実に蒸発できる。
【0100】
図23は、ドレンタンク9の温度またはドレンタンク9内に溜まった水の温度と、蒸発手段25の出力設定の例を示す図である。図22の例では、第二の温度70℃に達すると蒸発手段25をOFFまたは出力を下げ、第一の温度50℃まで低下すると蒸発手段25をONするか出力を上げる。これにより、第一の温度50℃と第二の温度70℃の間に、ドレンタンク9の温度またはドレンタンク9内に溜まった水の温度が制御される。水検知手段44が検知する水の量または水位が第一の閾値以下になるまで、図22の制御が実施される。制御部22は、水量に応じて、第一の温度と第二の温度に達したときの蒸発手段25の出力を変えてもよい。
【0101】
温度検知手段45は、ドレンタンク9の温度またはドレンタンク9内に溜まった水の温度を検知するが、必ずしもドレンタンク9に備える必要はなく、本体2に温度検知手段45を備えることが望ましい。例えば、温度検知手段45は、本体2に設けられ、ドレンタンク9に接触することで、ドレンタンク9の温度を検知しても良い。また本体2から非接触センサにより、ドレンタンク9の温度またはドレンタンク9の水の温度を検知しても良い。これにより、ドレンタンク9に電気部品を備える必要がないので、安全性、衛生性が高い。
【0102】
乾燥装置1は、ドレンタンク9の取り外しを規制するロック手段46を備えていてもよい。温度検知手段45の検知温度が所定の温度より高い場合または加熱手段26による加熱がONの場合に、制御部22は、ロック手段46をロック状態としてドレンタンク9の取り外しを規制してもよい。これにより、高温のドレンタンク9に使用者の手が触れることを確実に防止できる。
【0103】
ロック手段46の電気部品は本体2に設け、ドレンタンク9に電気部品を備えていないことが望ましい。これにより、ドレンタンク9を丸洗いでき、安全性、衛生性が高い。例えば、ロック手段46は、ロック状態とアンロック状態に可変するロック機構を本体2に備え、ロック状態のときにドレンタンク9の移動を規制するものであってもよい。
【0104】
本体2の表示部4には、蒸発手段25の加熱手段26による加熱がONであることを示す加熱表示手段、ドレンタンク9の温度またはドレンタンク9内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段45による検知結果が所定の温度以上であることを示す高温表示手段、温度検知手段45により検知した温度を表示する温度表示手段、及び、ドレンタンク9の取り外しを規制するロック手段46によりロック状態であることを示すロック表示手段のうち、少なくとも一つの表示手段が備えられていることが好ましい。これら複数の表示手段を一つの表示部で表示してもよいし、表示手段ごとに表示部を備えていてもよい。
【0105】
加熱表示手段によれば、加熱ON状態であることを利用者が分かるので、ドレンタンク9に触れることを抑制できる。加熱OFF状態であってもドレンタンク9の温度が下がりきっていない場合があるため、高温表示手段または温度表示手段により、ドレンタンク9が高温であるかそうでないかを知らせることで、利用者がドレンタンク9に不用意に接触することを防ぐことができる。また、ロック表示手段によりロック状態かアンロック状態かが利用者に分かるので、ロック状態の際にドレンタンク9を無理やり開けることを防ぐことができる。
【0106】
乾燥装置1の本体2は、ドレンタンク9に浸入する液体をろ過するフィルターを備えていてもよい。フィルターは本体2に着脱自在に取り付けられる。フィルターが液体と汚れを分離することで、液体からの菌あるいはぬめりの発生スピードを遅らせることができる。ドレンタンク9に浸入する液体には皮脂、皮膚片、異物等の汚れが含まれる。これらは加熱により液体が蒸発しても、ドレンタンク9に残るため、ドレンタンク9での汚れの割合が次第に高まる。汚れが液体に触れることで、菌あるいはぬめりの増加スピードが上がるため、これを抑制することで、衛生性を維持しやすくなる。フィルターを着脱自在にすることで、清掃の際にフィルターを使い捨てまたは清掃できるため、衛生的である。フィルターはドレンタンク9または挿入底部3aの裏面に取り付けられる。
【0107】
本開示に係る乾燥システムは、乾燥装置1と、脱臭フィルターを有する脱臭手段48とを備える。脱臭手段48は、例えば、乾燥装置1とは別体となった空気清浄機あるいは空気調和機でもよいし、乾燥装置1に組み込まれたものでもよい。本乾燥システムでは、蒸発手段25の動作状態に応じて脱臭手段48により脱臭を行う。例えば、蒸発手段25の加熱手段26の加熱状態に応じて脱臭手段48により脱臭を行ってもよい。加熱手段26の加熱により、臭気を感じやすくなるが、脱臭手段48により臭いを除去することで、不快感を軽減できる。
【0108】
加熱手段26の加熱により、湿度が上昇し、臭い分子が空気中に留まりやすくなり、臭いを感じやすくなる。また臭い分子の揮発によりさらに臭い分子が空気中に留まりやすくなる。また加熱による気流の変化および送風による空気が周辺に拡散するため、さらに臭いを感じやすくなる。これらのことに対し、脱臭手段48により脱臭を行うことで、臭いを確実に低減できる。
【0109】
脱臭手段48の動作は、制御部22により制御される。脱臭手段48は、加熱手段26の加熱ON状態の間稼働していてもよいし、加熱手段26が加熱ONから加熱OFF状態になったタイミングで稼働してもよいし、加熱手段26の加熱ON状態の間に加えて加熱OFF状態の所定の時間稼働してもよいし、加熱手段26の加熱ON状態の間と温度検知手段45が検知する温度が所定の温度に低下するまで稼働してもよいし、温度検知手段45の検知温度が所定の温度以上の間稼働してもよい。また、臭気センサ49を備え、臭気センサ49による検知結果に応じて、脱臭手段48を稼働してもよい。
【0110】
本開示に係る乾燥システムは、乾燥装置1と、乾燥装置1が設置されている空間の換気を行う換気装置52とを連携させてもよい。乾燥装置1の蒸発手段25の動作に応じて換気装置52が動作してもよい。例えば、蒸発手段25の動作開始を契機として、換気装置52をOFFからONに切り替えるか換気量を増加させる強運転に切り替えるようにしてもよい。これにより、蒸発手段25の動作によって発生した臭気を速やかに外部に排出できるので、臭いを確実に低減できる。
【0111】
本開示に係る乾燥システムは、乾燥装置1と、外部情報機器51へ情報を送信するための通信部50とを備えていてもよい。外部情報機器51は、例えばスマートフォンまたはパーソナルコンピュータでもよい。通信部50は、水検知手段44により検知したドレンタンク9の水蓄積度合いに関する情報と、温度検知手段45により検知した温度に関する情報のうち、少なくとも1つの情報を外部情報機器51へ送信してもよい。このような構成によれば、外部情報機器51で情報を確認できるため、都度乾燥装置1を確認する必要がない。例えば、水蓄積度合いを把握できるため、ドレンタンク9の満タンあるいは空焚きを懸念して乾燥装置1を確認する必要がない。また、乾燥装置1を確認せずとも温度情報を取得できるため、温度が高い状態のドレンタンク9への接触によるリスクを確実に低減できる。
【0112】
水検知手段44が検知した水量または水位が、第三の閾値に達した場合、または第三の閾値を超え第四の閾値に達した場合に、通信部50は、水検知手段44の検知結果に基づく情報を外部情報機器51に送信してもよい。これにより、想定を超える速度で水量が増えた場合に、外部情報機器51への通知により、満水に近いことを気づくことができ、適切な対応が可能となる。その結果、乾燥装置1周辺に水漏れすることを確実に防止でき、衛生的である。
【0113】
乾燥装置1は、運転を制御するための制御指示情報を外部情報機器51から受信した場合に、制御指示情報に応じた動作を実行する。外部情報機器51は、蒸発手段25による蒸発速度変更の制御指示情報と、蒸発手段25による蒸発促進実行可否の制御指示情報と、ドレンタンク9の取り外しを規制するロック手段46のロック状態とアンロック状態の変更の制御指示情報と、蒸発手段25が有する加熱手段26と送風手段27の独立したON-OFFの制御指示情報と、のうち、少なくとも1つの制御指示情報を乾燥装置1へ送信可能である。これにより、乾燥装置1を直接操作せず、遠隔で乾燥装置1を操作できるため、使い勝手が良い。
【0114】
また、手動で蒸発手段25のON-OFFあるいは蒸発速度を変更できるため、急いで蒸発させたい場合または蒸発させたくない場合等の調整が可能となる。また、ロック手段46を強制的にアンロック状態にすることで、ドレンタンク9を突発的に取り外したい場合にもドレンタンク9を容易に取り外せる。また、乾燥装置1にロック手段46をアンロック状態へ変更する手段を備えないことで、一般ユーザーによる高温状態のドレンタンク9の取外しを確実に防ぐことができる。また、加熱手段26と送風手段27を独立でON-OFFできるので、例えば加熱OFF、送風ONとすることで、加熱されたドレンタンク9を比較的早く冷却させることができる。
【0115】
本開示に係る乾燥システムは、複数台の乾燥装置1を備えたものでもよい。そのような乾燥システムにおいて、制御部22は、蒸発手段25を動作させるタイミングが、複数台の乾燥装置1のそれぞれで異なるように制御してもよい。複数台の乾燥装置1の蒸発手段25の動作タイミングを分散させることで、設置環境に発生する臭気の発生量を抑えることができる。
【0116】
本開示に係る乾燥システムは、乾燥装置1が設置された環境の湿度情報を取得する湿度情報取得手段53を備えていてもよい。湿度情報取得手段53は、例えば、乾燥装置1に設けられた湿度センサでもよいし、他の機器に設けられた湿度センサでもよいし、気象情報を配信するサーバからの湿度情報を受信するものでもよい。乾燥システムは、湿度が所定値よりも高い場合、蒸発手段25を動作させるか、蒸発手段25の動作時間を増やすようにしてもよい。湿度が高いとドレンタンク9の液体の蒸発速度が遅くなるため、蒸発手段25の動作時間を増やすことで、蒸発を促進することができる。また、乾燥システムは、湿度が所定値よりも低い場合に、蒸発手段25を動作させるか、蒸発手段25の動作時間を増やすようにしてもよい。湿度が低いとドレンタンク9の液体の蒸発速度が速くなるため、蒸発手段25を動作させることで液体を速やかに蒸発させることができる。
【0117】
以下、誘導加熱方式の加熱手段26について詳しく説明する。誘導加熱方式の加熱手段26では、誘導加熱負荷であるIHヒータとその駆動回路を接続し、このIHヒータを用いて制動電流による電力を熱に変換し、ドレンタンク9内のドレン水の気化を行ってもよい。誘導加熱により金属を加熱し、加熱された金属に接する気体や液体などの流体を加熱する。
【0118】
本体2は誘導加熱装置を備えていてもよい。誘導加熱装置には対象金属を電磁誘導加熱するコイルが配置されている。コイルはエナメル線などの導線を渦巻状に捲回して形成される。コイルは任意の平面形状に形成された平板状のコイルであってもよい。コイルに電源基板に実装された駆動部によって高周波電力が供給されると、コイルの周囲に高周波磁場が発生する。高周波電流の周波数は、これに限定されないが、20kHz~100kHz程度が望ましい。
【0119】
図24は、コイルに高周波電流を流したときに形成される高周波磁場の磁束の様子を観念的に示した図である。磁束Bは、図24(a)に示すようにコイルの表面側ではコイルの内周側から外周側に放射状に(半径方向に)発生し、図24(b)に示すようにコイルの外周端で折り返し、コイルの裏面側ではコイルの外周側から内周側に向かって中心に戻るように発生する。すなわち、磁束Bは右ねじの法則に従い、コイルの導線と直交する方向に発生する。そしてコイルに高周波電流が供給されるとき、高周波電流の極性に依存して磁束の向きも逆転する。なお、図24(b)では磁束に始点と終点があるように示したが、これは説明のためであって、マクスウェル方程式から明らかなように磁束は連続しており、始点あるいは終点は存在しない。
【0120】
コイルで発生した磁束は対象金属に達し、対象金属に誘導電流として、渦電流が流れ、対象金属が誘導加熱される。すなわち、駆動部は、商用交流電源からの交流電圧を、図示しない整流部で一旦直流に変換し、その後、スイッチング素子のスイッチングによって高周波に変換し、この高周波電流をコイルに供給する。
【0121】
制御部22が、駆動部の制御を開始すると駆動部は、商用交流電源からの交流電圧を、整流部で一旦直流に変換し、その後、スイッチング素子のスイッチングによって高周波に変換し、この高周波電流がコイルに供給される。コイルに高周波電流が流れると、コイルからは交番磁界が発生し、これによって対象金属に磁束が与えられる。これによって対象金属には渦電流が発生し、この渦電流と対象金属の電気抵抗によってジュール熱が発生し、対象金属が自己発熱する。
【0122】
インバータは、ダイオードブリッジ、コンデンサによって商用交流電源から変換して得られる直流電力を、高周波電力に変換して、コイルに供給するものであり、1組のスイッチング素子で構成され、これに共振コンデンサ、共振コンデンサ切り換えリレー、電流検出用抵抗が接続されている。制御回路は、操作部、コイル、ケース(誘導加熱装置を内部に有する)、温度センサと接続される。なお、操作部に代えて、外部端末から操作できるものであってもよい。
【0123】
温度センサは本体2に取り付けられた状態のドレンタンク9の温度を測定する。ドレンタンク9のドレン水の温度を直接測定するものであってもよい。
【0124】
操作部または外部端末から信号が送られると、制御回路は、リレーをオンにし、スイッチング素子aとbを交互に動作させて、交流電源をダイオードブリッジとコンデンサにより直流に変換した電力を高周波の電力に変換してコイルに供給する(ハーフブリッジ式)。この状態で、制御回路は、電流検出用抵抗に流れる電流を検出し、所定値以上の電流が流れれば磁性体を備えたドレンタンク9が載置されていると判定する。電流値が所定値以下の場合には磁性体を備えたドレンタンク9が設置されていないと判定し、コイルへの電力供給をしない、または供給を停止する。
【0125】
なお、上述の誘導加熱手段に限らず既存技術としての誘導加熱手段を用いても良い。
【0126】
磁性体を備えたドレンタンク9が設置されている場合、目標温度に近づくよう、電力を調整する。目標温度は設定された温度であっても、ユーザが設定した温度であってもよい。温度センサで検知した温度と目標温度を比較し、現行温度が目標温度より高い場合には、電力を下げるまたは電力の供給を停止するよう制御する。これを所定の間隔で繰り返し行い、現行温度が目標温度になるように制御する。
【0127】
コイルと共振コンデンサaとbで決まる共振周波数に近づけてコイル電流を増加させることで電力を増加させることができる。反対に、スイッチング素子の駆動周波数を共振点から遠ざけることで、電力を減少させることができる。
【0128】
この場合、発熱体と加熱源とを電気的に切り離すことができ、回路設計の自由度が向上させることができる。
【0129】
磁性体はドレンタンク9または本体2に設けられる。磁性体が本体2に設けられる場合には、ドレンタンク9が本体2に接続された際に、直接または間接的に熱源が本体2に接することで、熱源からドレンタンク9またはドレン水に熱が伝わる。
【0130】
磁性体とは例えば、磁石にくっつく材料である。すなわち、磁石にくっつく材料は磁性体であるとみなすことができる。磁性体とは例えば、比透磁率が2以上のものである。磁性体とは例えば鉄、フェライト、マルテンサイト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、フェライト系ステンレス等である。磁性体とは例えば、比透磁率が1.04以上のものであり、好ましくは比透磁率が2以上のものである。磁性体とは例えば、一部の金属材料である。
【0131】
ドレンタンク9は全体が磁性体材料であってもよい。また、ドレンタンク9の重量の8割以上が磁性体材料であってもよい。これにより、誘導加熱による効率的な温度上昇が期待できる。
【0132】
磁性体材料はドレンタンク9の外側に備えず、内側のみに備えていてもよい。内側とはすなわち水が溜まる側である。磁性体材料をドレンタンク9の内側に配置することで、高温となる磁性体材料を触り、火傷するリスクを抑えられる。
【0133】
磁性体材料をドレンタンク9の内側に配置し、かつ磁性体材料をドレンタンク9に対して、着脱自在な構成としてもよい。この場合、磁性体材料を取り外した状態で、磁性体材料あるいはドレンタンク9を清掃することができるため、衛生性が高い。
【0134】
また、磁性体材料は裏表反対であってもドレンタンク9に取り付けられる形状であってもよい。これにより、ユーザーによるドレンタンク9への取付性が向上し、ユーザーの負荷軽減につながる。
【0135】
磁性体材料をドレンタンク9の一部に配置する場合、ドレンタンク9の後部または底部に配置されることが望ましく、前部には配置されないことが望ましい。これにより、ユーザが高温の磁性体材料を触るリスクを抑えられる。
【0136】
なお、上述した複数の実施の形態が有する特徴のうち、組み合わせることが可能な二つ以上の特徴を組み合わせて実施してもよい。なお、水検知手段44が検知した水量または水位について、第一の閾値、第二の閾値、第三の閾値、第四の閾値があることを述べたが閾値はこれに限定されない。水検知手段44が検知した水量または水位について、例えば、第一の閾値を備えていなくてもよく、第二の閾値を備えていなくてもよく、第三の閾値を備えていなくてもよい。つまり、必ずしも、第三の閾値を備えることは、閾値が3つ以上あることを示すものではなく、第四の閾値を備えることは、閾値が4つあることを示すものではない。
【0137】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0138】
(付記1)
手を挿入可能な挿入空間に対して開口する通気孔を有する挿入部を形成する本体と、
前記通気孔に流体連通し、前記通気孔から前記挿入空間へ空気を吹き出すか、前記挿入空間から空気を前記通気孔に吸込むように構成された送風機と、
を備え、前記送風機による送風により、濡れた対象から水滴を分離させる乾燥装置であって、
対象から分離した水滴を受けるドレンタンクと、
前記ドレンタンクにある液体を蒸発させる蒸発手段と、
をさらに備える乾燥装置。
(付記2)
前記ドレンタンクは、前記本体に対して着脱自在に接続され、かつ前記本体に対する位置が一義的に定まるよう取付けられ、かつ前記ドレンタンク全体が水洗い可能である付記1に記載の乾燥装置。
(付記3)
前記蒸発手段は、前記ドレンタンクまたは前記ドレンタンクの水に送風する送風手段を備える付記1または付記2に記載の乾燥装置。
(付記4)
前記蒸発手段は、電力を熱に変換し、前記ドレンタンクにある液体を直接または間接的に加熱する加熱手段を備える付記1から付記3のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記5)
前記加熱手段は、
前記本体に内蔵され、導線を捲回して形成したコイルと、
前記本体に内蔵され、前記コイルに高周波電流を供給する高周波電源と、
を有し、
前記ドレンタンクの少なくとも一部は、磁性体材料からなり、
前記コイルは、前記高周波電源により高周波電流が供給されることで磁束を形成し、
前記磁束により、前記磁性体材料が自己発熱する付記4に記載の乾燥装置。
(付記6)
前記本体は、前記加熱手段として電力により発熱する発熱体を備え、
前記ドレンタンクは、金属材料を備え、
前記ドレンタンクが前記本体に取付けられた状態で前記発熱体により前記金属材料が加熱される付記4に記載の乾燥装置。
(付記7)
前記ドレンタンクは、金属部材と樹脂部材とからなり、前記金属部材は前記樹脂部材に対して着脱自在である付記1から付記6のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記8)
前記本体に前記ドレンタンクが取り付けられた状態において、前記ドレンタンクの外観に金属部材が露出しない付記1から付記7のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記9)
前記ドレンタンクは、把持部を備え、
前記把持部は、非金属材料からなる付記1から付記8のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記10)
前記ドレンタンクが前記本体から取り外されたことを検知する取り外し検知手段と、
前記ドレンタンクが前記本体から取り外されたことを前記取外し検知手段が検知すると前記蒸発手段をOFFにする制御手段と、
を備える付記1から付記9のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記11)
前記挿入部に手または物体が挿入されたことを検知する挿入検知手段と、
前記本体の周辺の人を検知する人検知手段と、
前記本体の周辺の照明の点灯状態を検知する照明検知手段と、
のうちの少なくとも1つを備え、
前記挿入検知手段が手または物体が挿入されたことを検知するか、前記人検知手段が人を検知するか、前記照明検知手段が照明の点灯を検知すると、前記蒸発手段がOFFになり、
前記挿入検知手段が手または物体が挿入されないことを検知した時間、前記人検知手段が人を検知しない時間、または前記照明検知手段が照明の消灯を検知している時間が所定の時間に達すると前記蒸発手段がONになるようにする制御手段をさらに備える付記1から付記10のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記12)
前記ドレンタンク内の水の量または水位を直接または間接的に検知するか、前記ドレンタンク内の水の量または水位が特定の量または特定の水位に達したかどうかを検知する水検知手段と、
前記水検知手段によって、水量または水位が第一の閾値以下であると判断した場合には前記蒸発手段をOFFにし、水量または水位が前記第一の閾値よりも値が大きい第二の閾値に達した場合に前記蒸発手段をONにする制御手段と、
をさらに備える付記1から付記11のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記13)
前記制御手段は、前記ドレンタンク内の水の量または水位が前記第二の閾値よりも値が大きい第三の閾値に達した場合に、蒸発速度を高めるよう、前記蒸発手段が有する加熱手段と送風手段のうち少なくとも1つの出力を上げる付記12に記載の乾燥装置。
(付記14)
前記ドレンタンクの温度または前記ドレンタンク内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段と、
前記温度検知手段の検知温度が第二の温度に達した場合に、前記蒸発手段が有する加熱手段の出力を小さくするかOFFにし、
前記温度検知手段の検知温度が前記第二の温度に達した後に前記第二の温度よりも低い第一の温度に達した場合に前記蒸発手段の出力を大きくするかONにする制御手段と、
を備える付記1から付記13のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記15)
前記ドレンタンクの取り外しを規制するロック手段を備え、
前記温度検知手段の検知温度が所定の温度より高い場合または前記蒸発手段が有する加熱手段による加熱がONの場合に、前記ロック手段により前記ドレンタンクの取り外しが規制される付記1から付記14のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記16)
前記本体は、
前記蒸発手段が有する加熱手段による加熱がONであることを示す加熱表示手段と、
前記ドレンタンクの温度または前記ドレンタンク内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段による検知結果が所定の温度以上であることを示す高温表示手段と、
前記温度検知手段により検知した温度を表示する温度表示手段と、
前記ドレンタンクの取り外しを規制するロック手段によりロック状態であることを示すロック表示手段とのうちの、少なくとも1つ以上の表示手段を備える付記1から付記15のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記17)
前記ドレンタンクに浸入する液体をろ過するフィルターを備え、フィルターは着脱自在に取り付けられる付記1から付記16のいずれか一項に記載の乾燥装置。
(付記18)
付記1から付記17のいずれか一項に記載の乾燥装置と、
脱臭手段と、
を備え、
前記蒸発手段の動作状態に応じて前記脱臭手段により脱臭を行う乾燥システム。
(付記19)
付記1から付記17のいずれか一項に記載の乾燥装置と、
換気装置と、
を備え、
前記蒸発手段の動作状態に応じて前記換気装置により換気を行う乾燥システム。
(付記20)
付記1から付記17のいずれか一項に記載の乾燥装置を複数台備え、
前記複数台の前記換気装置の前記蒸発手段が互いに異なるタイミングで動作する乾燥システム。
(付記21)
付記1から付記17のいずれか一項に記載の乾燥装置と、
外部情報機器へ情報を送信するための通信部とを備えた乾燥システムであって、
前記乾燥装置は、
前記ドレンタンク内の水の量または水位を直接または間接的に検知するか、前記ドレンタンク内の水の量または水位が特定の量または特定の水位に達したかどうかを検知する水検知手段と、
前記ドレンタンクの温度または前記ドレンタンク内に溜まった水の温度を検知する温度検知手段と、
のうちの少なくとも一つを備え、
前記通信部は、前記水検知手段により検知した水蓄積度合いに基づく情報と、前記温度検知手段により検知した温度に基づく情報のうち、少なくとも1つの情報を前記外部情報機器へ送信する乾燥システム。
(付記22)
付記12に記載の乾燥装置を備えた乾燥システムであって、
前記水検知手段が検知した水量または水位が、第三の閾値に達した場合、または第三の閾値を超え第四の閾値に達した場合に、前記水検知手段の検知結果に基づく情報を外部情報機器に送信する通信部を備える乾燥システム。
(付記23)
付記1から付記17のいずれか一項に記載の乾燥装置を備えた乾燥システムであって、
前記乾燥装置は、運転を制御するための制御指示情報を外部情報機器から受信した場合に、前記制御指示情報に応じた動作を実行し、
前記外部情報機器は、
前記蒸発手段による蒸発速度変更の制御指示情報と、
前記蒸発手段による蒸発促進実行可否の制御指示情報と、
前記ドレンタンクの取り外しを規制するロック手段のロック状態とアンロック状態の変更の制御指示情報と、
前記蒸発手段が有する加熱手段及び送風手段の独立したON-OFFの制御指示情報と、
のうち、少なくとも1つの制御指示情報を前記乾燥装置へ送信可能である乾燥システム。
【符号の説明】
【0139】
1 乾燥装置、 2 本体、 2a 前カバー、 2b 後カバー、 2c サイドカバー、 3 挿入部、 3a 挿入底部、 3b 挿入前部、 3c 挿入後部、 3d 挿入側部、 3e 前方突出部、 3f 後方突出部、 3g 挿入左部、 3h 挿入右部、 3i 山部、 3r 挿入上部、 4 表示部、 5 挿入空間、 6 通気孔、 7 挿入開口、 8 排水口、 9 ドレンタンク、 10 送風機、 11 モータ、 12 ターボファン、 13 吹出風路、 14 前側吹出風路、 15 後側吹出風路、 16 吸気口、 17 フィルタ部、 18 吸気風路、 19 第一吹出口部、 20 第二吹出口部、 21 手検知部、 21a 電極、 21b 電極、 21c 電極、 21d 電極、 22 制御部、 25 蒸発手段、 26 加熱手段、 27 送風手段、 28 通気口、 40 取り外し検知手段、 41 挿入検知手段、 42 人検知手段、 43 照明検知手段、 44 水検知手段、 45 温度検知手段、 46 ロック手段、 48 脱臭手段、 49 臭気センサ、 50 通信部、 51 外部情報機器、 52 換気装置、 53 湿度情報取得手段、 61 ヒータ、 101 プロセッサ、 102 メモリ
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