(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129490
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】障害情報検索装置および障害情報検索方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20240919BHJP
【FI】
G06F11/07 193
G06F11/07 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038726
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】寺島 覚
(72)【発明者】
【氏名】仲澤 英祐
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ29
5B042KK17
5B042MA08
5B042MA14
5B042MC17
5B042MC39
(57)【要約】
【課題】障害の原因または対策が異なる障害情報を大規模なデータベースから短時間で検索することができる障害情報検索装置を得ること。
【解決手段】障害情報検索装置1が、機種の障害情報を格納する障害情報DB41aと、機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報DB42aと、開発中の機種の機種識別情報および障害の内容を示す障害自然文を受け付ける障害情報入力部10と、障害情報DB41aから障害自然文に対応する障害情報を抽出して障害情報の検索確度を算出する障害情報検索部20と、機種情報DB42aから抽出した機種識別情報に対応する対応機種情報と対応しない非対応機種情報との機種類似度を算出するプロダクト類似度算出部30と、検索確度および機種類似度に基づいて障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部81と、表示順序に基づいて障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部82とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報データベースと、
開発中の機種を識別する機種識別情報および前記開発中の機種で発生した障害の内容を示す障害自然文を含んだシステム障害情報を受け付ける障害情報入力部と、
前記障害自然文に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害自然文に対応する障害情報を抽出するとともに、抽出した前記障害情報の検索確度を算出する障害情報検索部と、
前記機種識別情報に基づいて、前記機種情報データベースから、前記機種識別情報に対応する機種情報である対応機種情報と、前記対応機種情報以外の機種情報である非対応機種情報とを抽出し、前記対応機種情報と前記非対応機種情報との類似度を機種類似度として算出するプロダクト類似度算出部と、
前記検索確度および前記機種類似度に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部と、
前記表示順序に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
【請求項2】
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の開発環境の情報であるプロセス情報を格納するプロセス情報データベースと、
開発中の機種を識別する機種識別情報および前記開発中の機種で発生した障害の内容を示す障害自然文を含んだシステム障害情報を受け付ける障害情報入力部と、
前記障害自然文に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害自然文に対応する障害情報を抽出するとともに、抽出した前記障害情報の検索確度を算出する障害情報検索部と、
前記機種識別情報に基づいて、前記プロセス情報データベースから、前記機種識別情報に対応するプロセス情報である対応プロセス情報と、前記対応プロセス情報以外のプロセス情報である非対応プロセス情報とを抽出し、前記対応プロセス情報と前記非対応プロセス情報との類似度をプロセス類似度として算出するプロセス類似度算出部と、
前記検索確度および前記プロセス類似度に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部と、
前記表示順序に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
【請求項3】
前記表示順序決定部は、前記障害情報データベース内の前記障害毎に前記障害情報の表示順序を決定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の障害情報検索装置。
【請求項4】
前記障害情報データベース内の前記障害情報には、前記障害の内容を示す障害内容と、前記障害内容に対する解決手段または解決方法の情報が含まれている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の障害情報検索装置。
【請求項5】
前記機種識別情報は、前記機種の機種名であり、
前記機種情報データベースが格納する前記機種情報には、前記機種名が含まれており、
前記プロダクト類似度算出部は、前記機種名に基づいて、前記対応機種情報および前記非対応機種情報を抽出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の障害情報検索装置。
【請求項6】
前記機種識別情報は、前記機種の機種名であり、
前記プロセス情報データベースが格納する前記プロセス情報には、前記機種名が含まれており、
前記プロセス類似度算出部は、前記機種名に基づいて、前記対応プロセス情報および前記非対応プロセス情報を抽出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の障害情報検索装置。
【請求項7】
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の開発環境の情報であるプロセス情報を格納するプロセス情報データベースと、
前記障害情報に対応するプロセス情報の類似度に基づいて、前記障害情報をクラスタリングすることで決定木を作成するクラスタリング部と、
開発中の機種のプロセス情報を受け付ける環境情報取得部と、
前記開発中の機種のプロセス情報を前記決定木に入力することで、前記開発中の機種のプロセス情報に対応するプロセスで発生しやすい障害グループを推定し、推定した前記障害グループに含まれる障害情報のプロセス類似度を、他の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定するプロセス類似度算出部と、
前記プロセス類似度に基づいて、クラスタリングされた前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部と、
前記表示順序に基づいて、前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
【請求項8】
前記設計情報には、前記機種に適用された、機能の情報、共通技術の情報、要求仕様書の情報、テスト仕様書の情報、およびソースコードの情報の少なくとも1つが含まれており、
前記プロダクト類似度算出部は、前記機能の類似度、前記共通技術の類似度、前記要求仕様書の類似度、前記テスト仕様書の類似度、および前記ソースコードの類似度の少なくとも1つを用いて、前記機種類似度を算出する、
ことを特徴とする請求項1または5に記載の障害情報検索装置。
【請求項9】
機能の関連性を図式化した情報である機能展開表を格納する機能展開表データベースと、
前記機能展開表および前記障害情報データベースに格納された前記障害情報に基づいて、障害が発生した機能を特定する障害発生機能特定部と、
前記プロセス情報および前記障害が発生した機能に基づいて、前記障害の障害要因を分析する障害要因分析部と、
前記障害要因の分析結果を提示する障害要因提示部と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2または6に記載の障害情報検索装置。
【請求項10】
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報データベースと、
前記機種の開発環境の情報であるプロセス情報を格納するプロセス情報データベースと、
ユーザから新機種の情報を受け付ける機種情報入力部と、
前記ユーザから受け付けた前記新機種の情報に機種情報が含まれている場合に、前記ユーザから受け付けた機種情報と、前記機種情報データベース内の機種情報との類似度を機種類似度として算出するプロダクト類似度算出部と、
前記ユーザから受け付けた前記新機種の情報にプロセス情報が含まれている場合に、前記ユーザから受け付けたプロセス情報と、前記プロセス情報データベース内のプロセス情報との類似度をプロセス類似度として算出するプロセス類似度算出部と、
前記プロセス類似度および前記機種類似度の少なくとも一方に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害情報を抽出する関連障害抽出部と、
抽出された前記障害情報を提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
【請求項11】
前記関連障害抽出部が抽出した前記障害情報を分析する関連障害分析部をさらに備え、
前記障害情報提示部は、前記関連障害分析部が分析した結果を提示する、
ことを特徴とする請求項10に記載の障害情報検索装置。
【請求項12】
前記関連障害分析部は、前記分析の結果に基づいて、前記ユーザから受け付けた前記新機種の情報に対応する機種を開発する際の注意点をチェックリストとして作成し、
前記障害情報提示部は、前記チェックリストを提示する、
ことを特徴とする請求項11に記載の障害情報検索装置。
【請求項13】
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、前記機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報データベースとを備える障害情報検索装置が、開発中の機種を識別する機種識別情報および前記開発中の機種で発生した障害の内容を示す障害自然文を含んだシステム障害情報を受け付ける障害情報入力ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記障害自然文に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害自然文に対応する障害情報を抽出するとともに、抽出した前記障害情報の検索確度を算出する障害情報検索ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記機種識別情報に基づいて、前記機種情報データベースから、前記機種識別情報に対応する機種情報である対応機種情報と、前記対応機種情報以外の機種情報である非対応機種情報とを抽出し、前記対応機種情報と前記非対応機種情報との類似度を機種類似度として算出するプロダクト類似度算出ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記検索確度および前記機種類似度に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記表示順序に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示ステップと、
を含む、
ことを特徴とする障害情報検索方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障害の情報を検索する障害情報検索装置および障害情報検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)システム、列車システムといったシステムで発生した障害に対しては、障害の情報を検索する障害情報検索装置が、短時間で障害の原因または対策を検索してユーザに提示することで、迅速に障害に対応している。障害情報検索装置は、例えば、障害に対する対策をデータベースに蓄積しておき、障害発生時には、障害に対応する対策を検索してユーザに提示している。このような、障害情報検索装置に対しては、検索した情報を重要度の高い順でユーザに提供することが望まれる。
【0003】
特許文献1に記載の検索支援システムは、検索ワードの重要度を示すスコア情報を予め格納しておき、検索エンジンにより検索した検索結果のエントリを、予め格納しておいたスコア情報に基づいて、重要度の高い順に並べ替えて出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、複数の製品の障害情報を含んだ大規模なデータベースを検索する場合、同じような障害でも原因または対策が異なっていると、必要な情報を検索するために長時間を要するという問題があった。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、障害の原因または対策が異なる障害情報を大規模なデータベースから短時間で検索することができる障害情報検索装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の障害情報検索装置は、過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を障害毎に格納する障害情報データベースと、機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報データベースとを備えている。また、本開示の障害情報検索装置は、開発中の機種を識別する機種識別情報および開発中の機種で発生した障害の内容を示す障害自然文を含んだシステム障害情報を受け付ける障害情報入力部と、障害自然文に基づいて、障害情報データベースから障害自然文に対応する障害情報を抽出するとともに、抽出した障害情報の検索確度を算出する障害情報検索部とを備えている。また、本開示の障害情報検索装置は、機種識別情報に基づいて、機種情報データベースから、機種識別情報に対応する機種情報である対応機種情報と、対応機種情報以外の機種情報である非対応機種情報とを抽出し、対応機種情報と非対応機種情報との類似度を機種類似度として算出するプロダクト類似度算出部を備えている。また、本開示の障害情報検索装置は、検索確度および機種類似度に基づいて、障害情報データベース内の障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部と、表示順序に基づいて、障害情報データベース内の障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本開示にかかる障害情報検索装置は、障害の原因または対策が異なる障害情報を大規模なデータベースから短時間で検索することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1にかかる障害情報検索装置の構成を示す図
【
図2】実施の形態1にかかる障害情報検索装置が用いる機能展開表の構成例を示す図
【
図3】実施の形態1にかかる障害情報検索装置が表示させる障害情報の例を示す図
【
図4】実施の形態1にかかる障害情報検索装置による障害情報の検索処理の処理手順を示すフローチャート
【
図5】実施の形態2にかかる第1の障害情報検索装置の構成を示す図
【
図6】実施の形態2にかかる障害情報検索装置による障害情報の検索処理の処理手順を示すフローチャート
【
図7】実施の形態2にかかる第2の障害情報検索装置の構成を示す図
【
図8】実施の形態2にかかる第2の障害情報検索装置が作成する決定木の例を説明するための図
【
図9】実施の形態3にかかる障害情報検索装置の構成を示す図
【
図10】実施の形態3にかかる障害情報検索装置がユーザに提供する障害の分析結果の例を示す図
【
図11】実施の形態4にかかる障害情報検索装置の構成を示す図
【
図12】実施の形態4にかかる障害情報検索装置が作成する決定木の例を説明するための図
【
図13】実施の形態1にかかる障害情報検索装置を実現するハードウェア構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施の形態にかかる障害情報検索装置および障害情報検索方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる障害情報検索装置の構成を示す図である。障害情報検索装置1は、FAシステム、列車システムといったシステムで発生した障害に対し、障害に関連する情報(例えば、障害の原因、障害への対策などの情報)を検索するコンピュータである。障害情報検索装置1は、障害発生時に、障害の原因調査のため過去の類似する障害の情報(障害情報)を検索して提示する。障害情報検索装置1は、表示装置(図示せず)、ユーザ端末(図示せず)などに、検索結果を出力することで、検索結果をユーザに提供する。
【0012】
障害情報検索装置1は、検索対象となる機種の機種名を受け付けるとともに、この機種名に対応する機種の情報(機種情報)と、データベース(機種情報DB42a)内の機種情報との類似度(類似性)を算出する。そして、障害情報検索装置1は、類似度が高い機種情報の障害情報を優先して表示させる。
【0013】
障害情報検索装置1が受け付ける機種名は、例えば、開発中のシステムに適用される機器の機種名であり、障害情報検索装置1は、受け付けた機種名の機種に発生する可能性が高い順番で障害情報を出力する。障害情報検索装置1が受け付ける機種名は、開発中の機種を識別する識別情報(機種識別情報)の一例である。障害情報検索装置1は、開発中の機種を識別する情報であれば、機種名以外の機種識別情報を受け付けてもよい。
【0014】
障害情報検索装置1は、例えば、ユーザから機種名B1を受け付けると、機種名B1の機種情報A1と、機種情報A1以外の機種情報(例えば、機種情報A2,A3)とを機種情報DB42aから抽出する。そして、障害情報検索装置1は、機種情報A1,A2の類似度と、機種情報A1,A3の類似度とを算出する。障害情報検索装置1は、機種情報DB42a内の機種名B1以外の全ての機種名の機種情報に対して類似度を算出する。ユーザから受け付けた(ユーザの機種名)機種名B1に対応する機種情報A1が対応機種情報であり、対応機種情報以外の機種情報A2,A3などが非対応機種情報である。
【0015】
例えば、機種情報A1,A2の類似度が、機種情報A1,A3の類似度よりも高い場合、障害情報検索装置1は、機種情報A2に対応する障害情報を、機種情報A3に対応する障害情報よりも優先して表示させる。
【0016】
また、障害情報検索装置1は、障害の内容を示す文章(以下、障害自然文という)を受け付けるとともに、障害自然文に基づいて、機種情報DB42a内の障害情報を検索する。また、障害情報検索装置1は、障害自然文に基づいて検索した障害情報の検索確度を算出する。障害情報検索装置1は、検索確度が高い障害情報を優先して先に表示させる。
【0017】
実施の形態1では、障害情報検索装置1は、機種情報との類似度が高く、検索確度が高い障害情報を優先して表示させる。すなわち、障害情報検索装置1は、機種情報との類似度および検索確度に基づいて、障害情報を並べ替えてユーザに提示する。
【0018】
障害情報検索装置1は、障害情報入力部10と、障害情報検索部20と、プロダクト類似度算出部(機種類似度算出部)30と、障害情報DB(DataBase、データベース)41aと、機種情報DB42aと、機能展開表DB43と、表示順序決定部81と、障害情報提示部82とを備えている。
【0019】
障害情報入力部10は、ユーザからシステムの障害の情報(以下、システム障害情報という)を受け付ける。システム障害情報は、例えば、開発中のシステム(機器の機種)の障害の情報(開発障害情報)である。障害情報入力部10は、システム障害情報として、障害の内容を示す障害自然文と、障害が発生した機器の機種名(機種識別情報)とを受け付ける。障害情報入力部10は、検索クエリ(検索窓)に、開発機種を含んだ障害自然文が入力されることによって障害自然文を受け付ける。
【0020】
障害自然文の例は、「機種名B1の機器において、列車無線の無線通信時に通信エラーが発生した」、「パラメータPxを設定して、外部からデータDxを入力するとエラーExが発生する」などである。障害情報入力部10は、障害自然文を障害情報検索部20に送り、機種名をプロダクト類似度算出部30に送る。
【0021】
障害情報DB41aは、過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を障害毎に格納するデータベースである。障害情報DB41aは、複数の製品からなる製品群の障害毎の障害情報を格納する大規模なデータベースである。障害情報DB41aが格納する障害情報には、障害を識別する識別情報(例えば、障害名)と、障害の内容(障害内容)と、機種名と、障害解決情報とが含まれている。
【0022】
なお、障害を識別する識別情報(障害識別情報)は、障害を識別できる情報であれば障害名以外の情報であってもよい。障害解決情報は、障害を解決するための手段、方法などを示す情報である。すなわち、障害解決情報は、障害内容に対する解決手段、解決方法などを示す情報である。障害解決情報の例は、「エラー発生原因である関数Fxの返答結果が条件Cxの際に返答結果R1となっていましたが、正しくは返答結果R2となるように修正しました」などである。障害情報DB41aでは、障害名毎に、障害内容と、機種名と、障害解決情報とが対応付けされている。
【0023】
機種情報DB42aは、機器の機種毎の機種情報(プロダクト情報)を格納するデータベースである。機種情報は、システムに適用された機器の機種の情報である。機種情報は、例えば、FAシステムの製品情報である。この場合の機種情報には、FA機器毎の情報(FA製品毎に分かれた情報)が含まれている。また、FA機器の情報には、機種毎の情報(例えば、機種の型名)が含まれている。また、機種毎の情報には、機種の設計情報が含まれている。設計情報には、仕様書、取り扱い説明書、ソースコード、テスト内容など設計に使用する全ての情報を含めることができる。
【0024】
機種情報DB42aが格納する機種情報には、例えば、機種名と、設計情報とが含まれている。設計情報には、機種に適用された、機能の情報、共通技術の情報、要求仕様書(外部仕様書の情報)、ソースコードの情報、およびテスト仕様書の情報の少なくとも1つが含まれている。機能は、機種に含まれる機能であり、共通技術は、種々のシステムで共通して用いられる技術である。共通技術の例は、OSS(Open Source Software、オープンソースソフトウェア)、通信方式(通信規格)、プログラミング言語、OS(Operating System、オペレーティングシステム)などである。要求仕様書は、機器の動作に要求される仕様書であり、テスト仕様書は、機器のテストに用いられる仕様書である。ソースコードの例は、Cコードである。
【0025】
機能展開表DB43は、機能展開表を格納するデータベースである。機能展開表は、機器の機能の関連性を図式化した情報である。
図2は、実施の形態1にかかる障害情報検索装置が用いる機能展開表の構成例を示す図である。機能展開表90では、機種情報DB42aに格納されている機種の機能同士の関連性が示されている。例えば、
図2に示す機能展開表90の場合、機能F1と機能F2とに関連性があり、機能F2と機能F4とに関連性がある。
【0026】
障害情報検索部20は、障害情報入力部10から障害自然文を受け付ける。また、障害情報検索部20は、障害情報DB41aから障害情報を読み出す。障害情報検索部20は、障害情報DB41aから読み出した障害情報のうち、障害名と、障害内容と、障害を発生させた機種の機種名とを用いる。
【0027】
障害情報検索部20は、障害自然文に対応する障害情報を障害情報DB41aから読み出すとともに、読み出した各障害情報の検索確度を算出する。障害情報検索部20は、読み出さなかった障害情報に対しては最低の検索確度を算出する。すなわち、障害情報検索部20は、障害自然文に対応しない障害情報に対しては最低の検索確度を算出する。
【0028】
障害情報検索部20は、BERT(バート)、TF-IDF(Term Frequency-Inverse Document Frequency)などの、AI(Artificial Intelligence、人工知能、エーアイ)または自然言語処理を用いて、障害情報の検索確度を算出する。障害情報検索部20は、障害自然文に対応する障害情報に近い障害情報ほど高い検索確度を算出する。障害情報検索部20は、算出した検索確度と、検索確度を算出した障害情報に含まれる障害名とを対応付けて表示順序決定部81に送る。なお、障害情報検索部20は、算出した検索確度と、検索確度を算出した障害情報とを対応付けて表示順序決定部81に送ってもよい。
【0029】
プロダクト類似度算出部30は、機能類似度算出部31と、共通技術類似度算出部32と、仕様書類似度算出部33と、ソースコード類似度算出部34とを有している。プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名に基づいて、この機種名に対応する機種情報A1(対応機種情報)と、この機種名に対応しない機種情報A2,A3(非対応機種情報)とを機種情報DB42aから抽出する。
【0030】
プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名に対応する機種情報と、過去に障害が発生した機種(プロダクト)の機種情報との類似度(以下、機種類似度という場合がある)を算出する。すなわち、プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名の機種情報および過去に障害が発生した機種の機種情報を、機種情報DB42aから抽出して両者の類似度を算出する。
【0031】
例えば、プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名に対応する機種情報A1を機種情報DB42aから読み出すとともに、機種情報A1以外の機種情報A2,A3を機種情報DB42aから読み出す。そして、プロダクト類似度算出部30は、機種情報A1,A2の類似度を算出し、機種情報A1,A3の類似度を算出する。
【0032】
なお、プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名の機種情報A1に対しては、機種情報A1,A1の類似度を算出してもよい。この場合、プロダクト類似度算出部30は、機種情報A1,A1の類似度として最大値(例えば1)を算出する。
【0033】
プロダクト類似度算出部30は、機種情報間で、機能、共通技術、要求仕様書、ソースコード、およびテスト仕様書の類似度を算出し、これらの各類似度を用いて機種情報間の類似度を算出する。すなわち、プロダクト類似度算出部30は、機能の類似度、共通技術の類似度、要求仕様書の類似度、ソースコードの類似度、およびテスト仕様書の類似度の少なくとも1つを算出し、これらの各類似度に任意の係数を掛けた値の総和を機種情報の類似度として算出する。
【0034】
プロダクト類似度算出部30では、機能類似度算出部31が機能の類似度を算出し、共通技術類似度算出部32が共通技術の類似度を算出する。また、仕様書類似度算出部33が要求仕様書の類似度およびテスト仕様書の類似度を算出し、ソースコード類似度算出部34が、ソースコードの類似度を算出する。
【0035】
機能類似度算出部31は、機能の類似度を算出する際には、機能展開表を使用する。例えば、機能展開表90が用いられる場合、機能F1,F2は高い類似度を示し、機能F1,F3は低い類似度を示す。したがって、機能F1は、機能F3との類似度よりも機能F2との類似度の方が高くなる。なお、機能類似度算出部31は、機種情報に複数の機能が含まれている場合、各機能に対して機能の類似度を算出する。
【0036】
共通技術類似度算出部32は、共通技術の類似度を算出する際には、機種に使用している共通技術の一致数を使用する。共通技術類似度算出部32は、機種間で使用している共通技術が多いほど、共通技術の類似度を高く算出する。
【0037】
プロダクト類似度算出部30は、要求仕様書の類似度、ソースコードの類似度、およびテスト仕様書の類似度を算出する際には、BERT、word2vec、n-gram(nグラム)などの、AI、機械学習処理、自然言語処理を用いて類似度を算出する。
【0038】
プロダクト類似度算出部30は、類似度を算出した機種情報の障害情報を、障害情報DB41aから読み出す。これにより、プロダクト類似度算出部30は、類似度を算出した機種情報と障害情報とを対応付ける。この結果、プロダクト類似度算出部30は、障害情報に対応する機種情報の類似度を得ることができる。
【0039】
例えば、プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名の機種情報A1と、機種情報DB42aに格納されている機種情報A2との類似度を算出し、機種情報A2に対応する障害情報Xa2を障害情報DB41aから読み出す。これにより、プロダクト類似度算出部30は、機種情報A1と、障害情報Xa2に対応する機種情報A2との類似度を算出することができる。プロダクト類似度算出部30は、障害情報DB41aに含まれる全ての障害名の機種情報に対して、ユーザから受け付けた機種名の機種情報との類似度を算出する。
【0040】
なお、機種情報A2と障害情報Xa2との対応付けは、表示順序決定部81が障害情報DB41aを用いて実行してもよい。また、プロダクト類似度算出部30は、障害情報DB41aに含まれる全ての障害情報を抽出してから、抽出した障害情報の機種名に対応する機種情報と、ユーザから受け付けた機種名の機種情報との類似度を算出してもよい。
【0041】
この場合、プロダクト類似度算出部30は、障害情報DB41aから全ての障害名を読み出すとともに、読み出した障害名に対応する機種名の機種情報を機種情報DB42aから読み出す。そして、プロダクト類似度算出部30は、機種情報DB42aから読み出した機種情報と、ユーザから受け付けた機種名の機種情報との類似度を算出する。なお、プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名の機種情報も機種情報DB42aから読み出す。これにより、プロダクト類似度算出部30は、障害情報DB41aに含まれる全ての障害(障害名)の機種情報に対してユーザから受け付けた機種名の機種情報との類似度を算出することができる。
【0042】
このように、障害情報検索装置1は、障害情報DB41aに登録されている各障害情報に対し、ユーザから受け付けたシステム障害情報に対する、障害情報の検索確度と、機種情報の類似度とを求める。
【0043】
プロダクト類似度算出部30は、算出した障害毎の機種類似度と、この機種類似度に対応する障害情報とを、表示順序決定部81に送る。
【0044】
表示順序決定部81は、検索確度および機種類似度に基づいて、障害情報DB41a内の障害毎(障害名毎)に障害情報の表示順序を決定する。具体的には、表示順序決定部81は、検索確度および機種類似度に基づいて、障害情報毎の優先表示のスコア値を算出する。表示順序決定部81は、例えば、以下の式(1)を用いて、優先表示のスコア値を算出する。
スコア値=(Ks×検索確度)+(Kd×機種情報の類似度)・・・(1)
【0045】
式(1)におけるKsおよびKdは、任意の係数である。KsおよびKdは、検索確度と機種情報の類似度との重要度に応じて任意に設定可能である。例えば、検索確度および機種情報の類似度のうち、優先表示させたい方の係数が、他方の係数よりも大きく設定される。
【0046】
なお、スコア値を算出する際に用いられる式は、上述した式(1)に限らず何れの式であってもよい。表示順序決定部81は、優先表示のスコア値に基づいて、障害情報の表示順序を決定する。すなわち、表示順序決定部81は、障害情報の表示順序をスコア値が高い順に決定する。表示順序決定部81は、障害情報と、決定した表示順序とを障害情報提示部82に送る。
【0047】
障害情報提示部82は、表示順序決定部81から受け付けた表示順序に従って、障害情報を表示させる。これにより、障害情報検索装置1は、優先表示のスコア値が高い障害(障害内容および障害解決情報)ほど優先して先に表示させることができる。
【0048】
図3は、実施の形態1にかかる障害情報検索装置が表示させる障害情報の例を示す図である。障害情報提示部82は、複数の障害情報が含まれる障害情報一覧91を表示させる。
【0049】
障害情報一覧91では、表示の優先順位と、スコア値と、障害名と、障害内容と、障害解決情報とが、障害情報毎に対応付けされている。
図3では、障害自然文として、「G1機種のT1ツールを使用中にエラーが発生」が障害情報検索装置1に入力された場合の、障害情報一覧91を示している。なお、
図3に示すG1機種およびG2機種は、同一グループの機種であり、G1機種およびG2機種と、H機種とは異なるグループの機種であるとする。
【0050】
障害情報一覧91では、例えば、表示の優先順位が1位の障害情報は、スコア値が0.95であり、障害名が「G1機種のT1ツールでエラーが起きる」である。また、表示の優先順位が1位の障害情報は、障害内容が「T1ツール動作中に通信遮断エラーが発生」であり、障害解決情報が「パラメータPxを変更し、T1ツールを再起動」である。
【0051】
なお、スコア値で示されているカッコ内の数値は、第1項目がKs×検索確度の値であり、第2項目がKd×機種情報の類似度である。スコア値で示されているカッコ内は、障害情報一覧91に表示されなくてもよい。
【0052】
障害情報一覧91では、表示の優先順位が高い障害情報ほど、上側に表示される。すなわち、表示の優先順位が1位の障害情報が最上段に表示され、表示の優先順位が2位の障害情報が第2段目に表示される。なお、障害情報一覧91において、障害情報が横方向に並べられる場合には、表示の優先順位が高い障害情報ほど、左側に表示される。
【0053】
ユーザから受け付けた機種名の機種情報と、その他の機種名の機種情報との類似度が高いほど、ユーザから受け付けた機種名の障害情報と、その他の機種名の障害情報との類似度が高くなる。したがって、実施の形態1の障害情報検索装置1は、ユーザから受け付けた機種名の機種情報に類似する機種情報の障害情報ほど優先的に表示する。
【0054】
障害情報検索装置1は、検索時に設計情報を使用することにより、不具合情報(障害情報)の検索にコンポーネント構成が使用される場合、またはエラー発生環境条件が使用される場合と比較して、システムが備える機器の機種に関連性が高い機種に対して正確な検索を容易に行える。例えば、開発中の機種のソースコードの一部で不具合が発生していた場合において、過去に同じようなソースコードを使っていた機種で同様の不具合を発生させていた場合、障害情報検索装置1は、この不具合を示す障害を容易に検索して提示することが可能となる。
【0055】
障害情報検索装置1は、機種情報の類似性を用いることで、複数の製品の障害情報が入っている大規模な障害情報DB41aに対しても、同じ障害内容で技術的に全く異なる障害情報を排除した検索が可能となる。このように、障害情報検索装置1は、障害情報DB41aが、障害の原因または対策が異なる多くの障害情報を格納する大規模なデータベースであっても、機種情報の類似度などに基づいて、短時間でユーザから受け付けた機種名(ユーザの機種名)に対応する障害情報を検索することができる。例えば、通信エラーでも、人工衛星の通信と列車無線の通信とは全く異なる通信である。このため、人工衛星の通信に対する障害情報の検索の際には、列車無線の通信に対する障害情報はノイズとなる。実施の形態1では、障害情報検索装置1が、機種情報を用いることで、ノイズとなる障害情報を排除したうえで所望の障害情報を検索することが可能となる。
【0056】
ところで、ユーザが、検索ワードの重要度を示すスコア情報を予め設定しておき、検索エンジンにより検索した検索結果のエントリを、予め設定しておいたスコア情報に基づいて、重要度の高い順に並べ替える方法がある。この方法では、ユーザによってスコア値が設定されないと、重要度の高い順に検索結果を並べ替えることができず、検索結果の並べ替えに手間と時間を要する。また、古くからある障害情報は、多くのユーザによってスコア値が設定される機会があるので、高く評価されるが、新しい障害情報は、スコア値の設定が少ないので評価されにくい。また、ベテランユーザの検索結果を高く評価する仕組みが採用されると、ベテランユーザが調べたい障害情報と新人ユーザが調べたい障害情報とで障害の性質が違う場合に、新人ユーザは、所望の障害情報を検索することができない。このように、ベテランユーザにとっては調べる必要がない情報であっても、新人ユーザにとって重要な情報が存在する場合もある。例えば、ユーザが、通信障害について検索をする場合に、人工衛星のエラーと列車無線のエラーとは通信技術が異なるので、同じエラー内容であっても、障害情報に対する原因および対策は異なっている可能性が高い。このため、機器毎に障害情報を格納するデータベースを分ける方法がある。ところが、OSS、通信規格、プログラム言語に関する不具合などは、機器が異なっていても共通して発生する。このため、機器毎に障害情報を格納するデータベースを分けてしまうと、重要な情報を検索できない場合がある。
【0057】
一方、実施の形態1の障害情報検索装置1は、複数の機器の障害情報が混在する障害情報DB41aに対し、機種情報の類似度が高い障害情報を優先的に表示するので、提示する障害情報からノイズとなる障害情報を減らすことができる。このように、障害情報検索装置1は、莫大な障害情報の中から開発対象の機種情報に関連の深い障害情報を優先して提示することが可能となる。
【0058】
図4は、実施の形態1にかかる障害情報検索装置による障害情報の検索処理の処理手順を示すフローチャートである。障害情報検索装置1の障害情報入力部10は、ユーザからシステム障害情報を受け付ける。具体的には、障害情報入力部10は、障害の内容を示す障害自然文(ユーザの障害自然文)と、障害が発生した機器の機種名(ユーザの機種名)とを受け付ける。
【0059】
障害情報入力部10は、ユーザの障害自然文を障害情報検索部20に送り、ユーザの機種名をプロダクト類似度算出部30に送る。障害情報検索部20は、ユーザの障害自然文を障害情報入力部10から取得する(ステップS10)。
【0060】
障害情報検索部20は、ユーザの障害自然文に対応する障害情報を障害情報DB41aから検索する(ステップS20)。障害情報検索部20は、障害情報DB41aから検索した障害情報に対して検索確度を算出する(ステップS30)。すなわち、障害情報検索部20は、ユーザの障害自然文に対する障害情報の検索確度を算出する。例えば、ユーザの障害自然文に障害内容Y1,Y2の情報が含まれている場合、障害情報検索部20は、障害情報DB41aから障害内容Y1,Y2に関連する文言を含んだ障害情報を読み出すとともに、障害内容Y1,Y2の文言を含んだ障害情報に対して検索確度を算出する。障害情報検索部20は、ユーザの障害自然文に対応する障害名または障害情報と、検索確度とを対応付けて表示順序決定部81に送る。
【0061】
また、プロダクト類似度算出部30は、ユーザの機種名を障害情報入力部10から取得する(ステップS40)。プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた機種名の機種情報と、機種情報DB42aに格納されている機種情報との類似度である機種類似度を算出する(ステップS50)。
【0062】
プロダクト類似度算出部30は、機種類似度を算出した機種名の障害情報を、障害情報DB41aから読み出し、機種類似度を算出した機種情報と、読み出した障害情報とを対応付ける。例えば、プロダクト類似度算出部30は、ユーザの機種情報A1と、機種情報DB42aに格納されている機種情報A2との類似度を算出し、機種情報A2に対応する障害情報Xa2を障害情報DB41aから読み出す。そして、プロダクト類似度算出部30は、機種情報A1,A2の類似度と、ユーザの機種情報A1との間で類似度が算出された機種情報A2に対応する障害情報Xa2とを対応付けて表示順序決定部81に送る。プロダクト類似度算出部30は、障害情報DB41aに格納されている全ての障害名に対して機種情報の類似度を算出し、障害情報と機種類似度との対応関係を表示順序決定部81に送る。
【0063】
なお、障害情報検索装置1は、ステップS10~S30の処理と同時または先にステップS40,S50の処理を実行してもよい。
【0064】
表示順序決定部81は、検索確度および機種類似度に基づいて、障害情報毎の優先表示のスコア値を算出する。表示順序決定部81は、優先表示のスコア値に基づいて、障害内容および障害解決情報の表示順序を算出する(ステップS60)。表示順序決定部81は、決定した表示順序を障害情報提示部82に送る。障害情報提示部82は、表示順序決定部81から受け付けた表示順序に従って、障害内容および障害解決情報を表示装置などに表示させる。
【0065】
これにより、障害情報検索装置1は、障害情報の検索確度が高く、機種情報の類似度が高い障害情報を優先的にユーザに提示することができる。なお、機種情報DB42aに未登録の新たな機種情報が障害情報検索装置1に送られてきた場合、障害情報検索装置1は、新たな機種情報を機種情報DB42aに登録する。その後、障害情報検索装置1は、
図4のステップS10~S60の処理を実行する。
【0066】
また、障害情報DB41aに未登録の新たな障害情報が障害情報検索装置1に送られてきた場合、障害情報検索装置1は、新たな障害情報を障害情報DB41aに登録する。その後、障害情報検索装置1は、
図4のステップS10~S60の処理を実行する。
【0067】
このように実施の形態1によれば、障害情報検索装置1は、ユーザの機種情報に類似する機種情報の障害情報を優先的に提示するので、障害の原因または障害への対策が異なる障害情報を大規模なデータベース(障害情報DB41a)から短時間で検索することができる。
【0068】
また、障害情報検索装置1は、機種類似度を障害毎に算出するので、効率良く障害情報を検索することが可能となる。
【0069】
また、障害情報検索装置1は、ユーザの機種情報に対応する障害情報として、障害内容および障害解決情報を提示するので、ユーザは、障害内容および障害への解決方法などを参照することができる。したがって、ユーザは、障害への対応を容易に実行することが可能となる。
【0070】
また、障害情報検索装置1は、機種名に基づいて、機種情報および障害情報を抽出しているので、容易に機種情報および障害情報を抽出することが可能となる。
【0071】
実施の形態2.
つぎに、
図5から
図8を用いて実施の形態2について説明する。実施の形態2では、障害が発生した機種の開発環境の情報であるプロセス情報の類似度に基づいて、障害情報の表示順序を決定する。
【0072】
図5は、実施の形態2にかかる第1の障害情報検索装置の構成を示す図である。
図5の各構成要素のうち
図1に示す実施の形態1の障害情報検索装置1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0073】
実施の形態2の第1の障害情報検索装置である障害情報検索装置2Aは、検索対象となる機種名を受け付けるとともに、この機種名のプロセス情報と、他のプロセス情報との類似度を算出する。そして、障害情報検索装置2Aは、類似度が高いプロセス情報の障害情報を優先して表示させる。
【0074】
プロセス情報は、システムに適用されたプロセスの情報、すなわちシステムの開発環境の情報(環境情報)である。プロセス情報には、ソースコードの品質(ソースコード品質)、仕様書の品質(仕様書品質)、テストの品質(テスト品質)、開発者のスキル(開発者スキルレベル)、機種名などの情報が含まれている。前述したように、機種情報は、システムに適用される機器の機種の情報であり、プロセス情報は、システムに適用されたプロセスの情報である。すなわち、機種情報は、機器に関連する装置の情報であるのに対し、プロセス情報は、システムが開発された際の開発に関連する情報である。
【0075】
ソースコード品質は、ソースコードの不具合件数、ソースコードの不具合率などに対応する数値で示される。テスト品質は、テストの失敗数、失敗率などに対応する数値で示される。仕様書品質は、DR(Design Review、デザインレビュー、設計審査)での指摘件数、指摘率などに対応する数値で示される。開発者スキルレベルは、技術スキルマップなどに入力されている値に対応する数値で示される。
【0076】
障害情報検索装置2Aは、例えば、ユーザから機種名B1を受け付けると、機種名B1のプロセス情報P1と、プロセス情報P1以外のプロセス情報(例えば、プロセス情報P2,P3)とをプロセス情報DB44から抽出する。そして、障害情報検索装置2Aは、プロセス情報P1,P2の類似度と、プロセス情報P1,P3の類似度とを算出する。障害情報検索装置2Aは、プロセス情報DB44内の機種名B1以外の全ての機種名のプロセス情報に対して類似度を算出する。ユーザから受け付けた機種名B1に対応するプロセス情報P1が対応プロセス情報であり、対応プロセス情報以外のプロセス情報P2,P3などが非対応プロセス情報である。
【0077】
例えば、プロセス情報P1,P2の類似度が、プロセス情報P1,P3の類似度よりも高い場合、障害情報検索装置2Aは、プロセス情報P2に対応する障害情報を、プロセス情報P3に対応する障害情報よりも優先して表示させる。
【0078】
実施の形態2では、障害情報検索装置2Aは、プロセス情報との類似度が高く、検索確度が高い障害情報を優先して表示させる。すなわち、障害情報検索装置2Aは、プロセス情報の類似度および障害情報の検索確度に基づいて、障害情報を並べ替えてユーザに提示する。
【0079】
障害情報検索装置2Aは、障害情報入力部10と、障害情報検索部20と、プロセス類似度算出部60と、障害情報DB41aと、プロセス情報DB44と、表示順序決定部81と、障害情報提示部82とを備えている。
【0080】
障害情報入力部10は、ユーザからシステム障害情報を受け付ける。障害情報入力部10は、システム障害情報として、障害の内容を示す障害自然文と、障害が発生した機種の機種名とを受け付ける。障害情報入力部10は、障害自然文を障害情報検索部20に送り、機種名をプロセス類似度算出部60に送る。
【0081】
プロセス情報DB44は、機器の機種毎のプロセス情報(環境情報)を格納するデータベースである。プロセス情報DB44に格納されているプロセス情報では、仕様書品質としての仕様書品質値と、ソースコード品質としてのソースコード品質値と、テスト品質としてのテスト品質値と、開発者スキルレベルとしての開発者スキルレベル値とが、機種名毎に対応付けされている。
【0082】
プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名に基づいて、この機種名に対応するプロセス情報P1(対応プロセス情報)と、この機種名に対応しないプロセス情報P2,P3(非対応プロセス情報)とをプロセス情報DB44から抽出する。
【0083】
プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名に対応するプロセス情報と、過去に障害が発生したプロセス情報との類似度(以下、プロセス類似度という場合がある)を算出する。すなわち、プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報および過去に障害が発生した機種のプロセス情報を、プロセス情報DB44から抽出して両者の類似度を算出する。
【0084】
例えば、プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名に対応するプロセス情報P1をプロセス情報DB44から読み出すとともに、プロセス情報P1以外のプロセス情報P2,P3をプロセス情報DB44から読み出す。そして、プロセス類似度算出部60は、プロセス情報P1,P2の類似度を算出し、プロセス情報P1,P3の類似度を算出する。
【0085】
なお、プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報P1に対しては、プロセス情報P1,P1の類似度を算出してもよい。この場合、プロセス類似度算出部60は、プロセス情報P1,P1の類似度として最大値(例えば1)を算出する。
【0086】
プロセス類似度算出部60は、例えば、以下の式(2)を用いて、テスト品質の類似度を算出する。
テスト品質の類似度=1/(1+|(プロセス情報P1のテスト品質)-(プロセス情報P2のテスト品質)|)・・・(2)
【0087】
なお、スコア値を算出する際にも用いられる式は、上述した式(2)に限らず何れの式であってもよい。プロセス類似度算出部60は、仕様書品質の類似度と、ソースコード品質の類似度と、テスト品質の類似度と、開発者スキルレベルの類似度とを算出し、これらの各類似度に任意の係数を掛けた値の総和をプロセス情報の類似度として算出する。
【0088】
プロセス類似度算出部60は、プロセス情報の類似度を算出する際には、プロセスの品質値の類似度を算出する。例えば、プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名の仕様書品質値と、ユーザから受け付けた機種名以外の機種名の仕様書品質値との類似度を算出する。
【0089】
プロセス類似度算出部60は、類似度を算出したプロセス情報の障害情報を、障害情報DB41aから読み出す。これにより、プロセス類似度算出部60は、類似度を算出したプロセス情報と障害情報とを対応付ける。この結果、プロセス類似度算出部60は、障害情報に対応するプロセス情報の類似度を得ることができる。
【0090】
例えば、プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報P1と、プロセス情報DB44に格納されているプロセス情報P2との類似度を算出し、プロセス情報P2に対応する障害情報Xp2を障害情報DB41aから読み出す。これにより、プロセス類似度算出部60は、プロセス情報P1と、障害情報Xp2に対応するプロセス情報P2との類似度を算出することができる。プロセス類似度算出部60は、障害情報DB41aに含まれる全ての障害名の機種情報に対して、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報との類似度を算出する。
【0091】
なお、プロセス情報P2と障害情報Xp2との対応付けは、表示順序決定部81が障害情報DB41aを用いて実行してもよい。また、プロセス類似度算出部60は、障害情報DB41aに含まれる全ての障害情報を抽出してから、抽出した障害情報の機種名に対応するプロセス情報と、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報との類似度を算出してもよい。
【0092】
この場合、プロセス類似度算出部60は、障害情報DB41aから全ての障害名を読み出すとともに、読み出した障害名に対応する機種名のプロセス情報をプロセス情報DB44から読み出す。そして、プロセス類似度算出部60は、プロセス情報DB44から読み出したプロセス情報と、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報との類似度を算出する。なお、プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報もプロセス情報DB44から読み出す。これにより、プロセス類似度算出部60は、障害情報DB41aに含まれる全ての障害(障害名)のプロセス情報に対してユーザから受け付けた機種名のプロセス情報との類似度(プロセス類似度)を算出することができる。
【0093】
このように、障害情報検索装置2Aは、障害情報DB41aに登録されている各障害情報に対し、障害情報の検索確度と、プロセス情報の類似度とを求める。
【0094】
プロセス類似度算出部60は、算出した障害毎のプロセス類似度と、このプロセス類似度に対応する障害情報とを、表示順序決定部81に送る。
【0095】
表示順序決定部81は、検索確度およびプロセス類似度に基づいて、障害情報毎の優先表示のスコア値を算出する。表示順序決定部81は、例えば、以下の式(3)を用いて、優先表示のスコア値を算出する。
スコア値=(Ks×検索確度)+(Ko×プロセス情報の類似度)・・・(3)
【0096】
式(3)におけるKsおよびKoは、任意の係数である。KsおよびKoは、検索確度とプロセス情報の類似度との重要度に応じて任意に設定可能である。例えば、検索確度およびプロセス情報の類似度のうち、優先表示させたい方の係数が、他方の係数よりも大きく設定される。
【0097】
なお、スコア値を算出する際に用いられる式は、上述した式(3)に限らず何れの式であってもよい。表示順序決定部81は、優先表示のスコア値に基づいて、障害情報の表示順序を決定する。すなわち、表示順序決定部81は、スコア値が高い順に障害情報を並べ替える。表示順序決定部81は、障害情報と決定した表示順序とを障害情報提示部82に送る。障害情報提示部82は、表示順序決定部81から受け付けた表示順序に従って、障害情報を表示させる。
【0098】
ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報と、その他の機種名のプロセス情報との類似度が高いほど、ユーザから受け付けた機種名の障害情報と、その他の機種名の障害情報との類似度が高くなる。したがって、実施の形態2の障害情報検索装置2Aは、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報に類似するプロセス情報の障害情報ほど優先的に表示する。
【0099】
障害情報検索装置2Aは、プロセス情報算出装置9に接続されている。障害情報検索装置2Aは、プロセス情報算出装置9からプロセス情報を取得して、プロセス情報DB44に格納しておく。
【0100】
プロセス情報算出装置9は、機種情報からプロセス情報を算出するコンピュータである。プロセス情報算出装置9は、全ての障害発生時に、発生時のプロセス情報をプロセス情報DB44に格納する。
【0101】
プロセス情報算出装置9は、機種情報DB42bと、プロセス関連情報取得部50と、仕様書品質算出部51と、ソースコード品質算出部52と、テスト品質算出部53と、開発者スキルレベル算出部54とを備えている。なお、以下では、仕様書品質算出部51、ソースコード品質算出部52、テスト品質算出部53、または開発者スキルレベル算出部54を品質算出部という場合がある。
【0102】
機種情報DB42bは、機種情報DB42aと同様に機種情報を格納している。機種情報DB42bが格納しておく機種情報には、機種名と、共通技術と、要求仕様書と、開発時間と、開発者と、ソースコードと、テスト仕様書と、テストの網羅度とを含んでいる。
【0103】
プロセス関連情報取得部50は、機種情報DB42bから機種情報を読み出す。プロセス関連情報取得部50は、機種情報DB42bから読み出した機種情報を何れかの品質算出部に割り振る。
【0104】
プロセス関連情報取得部50は、読み出した機種情報のうち、仕様書品質の算出に用いる情報を仕様書品質算出部51に送る。プロセス関連情報取得部50は、読み出した機種情報のうち、ソースコード品質の算出に用いる情報をソースコード品質算出部52に送る。プロセス関連情報取得部50は、読み出した機種情報のうち、テスト品質の算出に用いる情報をテスト品質算出部53に送る。プロセス関連情報取得部50は、読み出した機種情報のうち、開発者スキルレベルの算出に用いる情報を開発者スキルレベル算出部54に送る。
【0105】
プロセス関連情報取得部50は、例えば、機種名および要求仕様書を仕様書品質算出部51に送る。また、プロセス関連情報取得部50は、機種名およびソースコードをソースコード品質算出部52に送る。また、プロセス関連情報取得部50は、機種名、テスト仕様書、およびテストの網羅度をテスト品質算出部53に送る。また、プロセス関連情報取得部50は、機種名、開発時間、および開発者を開発者スキルレベル算出部54に送る。
【0106】
各品質算出部は、各プロセス(ソースコード、テスト、仕様書、スキルレベル)の品質を数値化し、プロセス情報DB44に保存する。各プロセスから各プロセスの品質を算出するための情報は、予め特定のデータベースなどに保管しておく。
【0107】
仕様書品質算出部51は、要求仕様書に基づいて、仕様書品質を算出する。仕様書品質算出部51は、例えば、要求仕様書に記載されている1ラインあたりの工数に基づいて、仕様書品質を数値化する。なお、仕様書品質算出部51は、DRでの指摘件数、DRでの指摘率などに基づいて、仕様書品質を算出してもよい。仕様書品質算出部51は、機種名および仕様書品質をプロセス情報DB44に登録する。
【0108】
ソースコード品質算出部52は、ソースコードに基づいて、ソースコード品質を算出する。ソースコード品質算出部52は、例えば、ソースコードメトリクスに基づいて、ソースコード品質を数値化する。なお、ソースコード品質算出部52は、ソースコードの不具合件数、ソースコードの不具合率などに基づいて、ソースコード品質を算出してもよい。ソースコード品質算出部52は、機種名およびソースコード品質をプロセス情報DB44に登録する。
【0109】
テスト品質算出部53は、テスト仕様書およびテストの網羅度に基づいて、テスト品質を算出する。テスト品質算出部53は、例えば、テスト仕様書に記載されているテスト工数およびテストの網羅度に基づいて、テスト品質を数値化する。なお、テスト品質算出部53は、テストの失敗数、テストの失敗率などに基づいて、テスト品質を算出してもよい。テスト品質算出部53は、機種名およびテスト品質をプロセス情報DB44に登録する。
【0110】
開発者スキルレベル算出部54は、開発時間および開発者に基づいて、開発者スキルレベルを算出する。すなわち、開発者スキルレベル算出部54は、開発時間および開発者に基づいて、開発者スキルレベルを数値化する。なお、開発者スキルレベル算出部54は、開発者の経験年数、開発者の取得済み資格、技術スキルマップなどに入力されている値などに基づいて、開発者スキルレベルを算出してもよい。開発者スキルレベル算出部54は、機種名および開発者スキルレベルをプロセス情報DB44に登録する。
【0111】
品質算出部は、仕様書品質としての仕様書品質値と、ソースコード品質としてのソースコード品質値と、テスト品質としてのテスト品質値と、開発者スキルレベルとしての開発者スキルレベル値とを、機種名毎にプロセス情報DB44に登録する。
【0112】
障害情報検索装置2Aは、プロセス情報の類似性を用いることで、複数の製品の障害情報が入っている大規模な障害情報DB41aに対しても、同じ障害内容で技術的に全く異なる障害情報を排除した検索が可能となる。実施の形態2では、障害情報検索装置2Aが、プロセス情報を用いることで、ノイズとなる障害情報を排除したうえで所望の障害情報を検索することが可能となる。
【0113】
このように、障害情報検索装置2Aは、障害情報DB41aが、障害の原因または対策が異なる多くの障害情報を格納する大規模なデータベースであっても、プロセス情報の類似度に基づいて、短時間でユーザの機種名に対応するプロセス情報を検索することができる。
【0114】
図6は、実施の形態2にかかる障害情報検索装置による障害情報の検索処理の処理手順を示すフローチャートである。障害情報検索装置2Aの障害情報入力部10は、ユーザからシステム障害情報を受け付ける。具体的には、障害情報入力部10は、障害の内容を示す障害自然文と、障害が発生した機器の機種名とを受け付ける。
【0115】
障害情報検索装置2Aが実行するステップS10~S40の処理は、障害情報検索装置1が実行するステップS10~S40の処理と同様である。すなわち、障害情報入力部10は、ユーザの障害自然文を障害情報検索部20に送り、ユーザの機種名をプロセス類似度算出部60に送る。障害情報検索部20は、ユーザの障害自然文を障害情報入力部10から取得する(ステップS10)。
【0116】
障害情報検索部20は、ユーザの障害自然文に対応する障害情報を障害情報DB41aから検索する(ステップS20)。障害情報検索部20は、障害情報DB41aから検索した障害情報に対して検索確度を算出する(ステップS30)。障害情報検索部20は、ユーザの障害自然文に対応する障害名または障害情報と、検索確度とを対応付けて表示順序決定部81に送る。
【0117】
また、プロセス類似度算出部60は、ユーザの機種名を障害情報入力部10から取得する(ステップS40)。プロセス関連情報取得部50は、機種情報DB42bから機種情報を読み出す。プロセス情報算出装置9は、読み出した機種情報内の機種名に対応するプロセス品質を算出する(ステップS150)。具体的には、プロセス情報算出装置9は、機種名のプロセス情報に基づいて、機種名のプロセス品質を算出する。プロセス情報算出装置9が算出するプロセス品質は、ソースコード品質、仕様書品質、テスト品質、開発者スキルレベルなどである。プロセス情報算出装置9は、機種名毎のプロセス情報をプロセス情報DB44に格納する。
【0118】
プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた機種名のプロセス情報(ユーザのプロセス品質)と、プロセス情報DB44に格納されているプロセス情報(その他のプロセス品質)との類似度であるプロセス類似度を算出する(ステップS160)。
【0119】
プロセス類似度算出部60は、プロセス類似度を算出した機種名の障害情報を、障害情報DB41aから読み出し、算出したプロセス類似度と、読み出した障害情報とを対応付ける。例えば、プロセス類似度算出部60は、ユーザのプロセス情報P1と、プロセス情報DB44に格納されているプロセス情報P2との類似度を算出し、プロセス情報P2に対応する障害情報Xp2を障害情報DB41aから読み出す。そして、プロセス類似度算出部60は、プロセス情報P1,P2の類似度と、ユーザのプロセス情報P1との間で類似度が算出されたプロセス情報P2に対応する障害情報Xp2とを対応付けて表示順序決定部81に送る。プロセス類似度算出部60は、障害情報DB41aに格納されている全ての障害名に対してプロセス情報の類似度を算出し、障害情報とプロセス類似度との対応関係を表示順序決定部81に送る。
【0120】
なお、障害情報検索装置2Aは、ステップS10~S30の処理と同時または先にステップS40,S150,S160の処理を実行してもよい。
【0121】
表示順序決定部81は、検索確度およびプロセス類似度に基づいて、障害情報毎の優先表示のスコア値を算出する。表示順序決定部81は、優先表示のスコア値に基づいて、障害内容および障害解決情報の表示順序を算出する(ステップS170)。表示順序決定部81は、決定した表示順序を障害情報提示部82に送る。障害情報提示部82は、表示順序決定部81から受け付けた表示順序に従って、障害内容および障害解決情報を表示させる。
【0122】
これにより、障害情報検索装置2Aは、障害情報の検索確度が高く、プロセス情報の類似度が高い障害情報を優先的にユーザに提示することができる。なお、プロセス情報DB44に未登録の新たなプロセス情報が障害情報検索装置2Aに送られてきた場合、障害情報検索装置2Aは、新たなプロセス情報をプロセス情報DB44に登録する。その後、障害情報検索装置2Aは、
図6のステップS10~S170の処理を実行する。
【0123】
また、障害情報DB41aに未登録の新たな障害情報が障害情報検索装置2Aに送られてきた場合、障害情報検索装置2Aは、新たな障害情報を障害情報DB41aに登録する。その後、障害情報検索装置2Aは、
図6のステップS10~S170の処理を実行する。
【0124】
また、機種情報DB42bに未登録の新たな機種情報がプロセス情報算出装置9に送られてきた場合、プロセス情報算出装置9は、新たな機種情報を機種情報DB42bに登録する。その後、プロセス情報算出装置9の品質算出部は、プロセス情報を算出してプロセス情報DB44に登録する。
【0125】
図7は、実施の形態2にかかる第2の障害情報検索装置の構成を示す図である。
図7の各構成要素のうち
図1に示す障害情報検索装置1または
図5に示す障害情報検索装置2Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0126】
実施の形態2の第2の障害情報検索装置である障害情報検索装置2Bは、プロセス類似度を計算する際に、各プロセス情報を数値化した総和ではなく、決定木による分析結果を使用する。プロセス情報は、特定のプロセスが類似していても、必ずしも障害に高い類似度が見られるとは限らない。そこで、障害情報検索装置2Bは、決定木分析を用いて、特定の障害のタイプと関連性の強いプロセスの情報を抽出し、抽出したプロセス情報をプロセス類似度の算出に利用する。
【0127】
障害情報検索装置2Bは、障害情報DB41bと、障害情報クラスタリング部62と、第1群障害情報DB45と、第2群障害情報DB46と、第3群障害情報DB47と、プロセス類似度算出部61と、プロセス情報DB44と、環境情報取得部83とを備えている。また、障害情報検索装置2Bは、
図7では図示を省略しているが、表示順序決定部81と、障害情報提示部82とを備えている。なお、障害情報DBは、第1群障害情報DB45、第2群障害情報DB46、および第3群障害情報DB47の3つに限らず、2つまたは4つ以上であってもよい。
図7では、障害情報クラスタリング部62とプロセス情報DB44との接続線の図示を省略している。
【0128】
障害情報DB41bが格納する障害情報には、障害名と、障害内容と、機種名とが含まれている。なお、障害情報DB41bが格納する障害情報には、障害解決情報が含まれていてもよい。
【0129】
障害情報クラスタリング部62は、障害情報DB41bから障害情報を読み出してクラスタリングする。障害情報クラスタリング部62は、障害情報の文書の類似度に基づいて障害情報をクラスタリングすることで後述する決定木を作成する。障害情報クラスタリング部62は、作成した決定木に基づいて、障害情報を第1群障害情報DB45、第2群障害情報DB46、および第3群障害情報DB47の何れかに格納する。
【0130】
障害情報クラスタリング部62は、例えば、障害情報Xp1,Xp2を第1群障害情報DB45に格納し、障害情報Xp3,Xp4を第2群障害情報DB46に格納し、障害情報Xp5,Xp6を第3群障害情報DB47に格納する。
【0131】
このように、障害情報クラスタリング部62は、障害情報DB41bに登録されている各障害情報に対し文書の類似度でクラスタリングを行い、類似する障害をグループ化する。
【0132】
障害情報クラスタリング部62は、各障害情報DB(第1群障害情報DB45、第2群障害情報DB46、および第3群障害情報DB47)に含まれている障害情報を、決定木を用いて分類を行う。これにより、障害情報クラスタリング部62は、特定状況下で発生しやすい障害グループの推定が可能となる。
【0133】
図8は、実施の形態2にかかる第2の障害情報検索装置が作成する決定木の例を説明するための図である。障害情報クラスタリング部62は、各障害情報DBから全ての障害情報を読み出す。ここでは、障害情報クラスタリング部62が、全障害情報として10件の障害情報を読み出した場合について説明する。
【0134】
10件の障害情報のうち第1群障害情報DB45に格納されていた第1群に含まれる障害情報が4件であり、第2群障害情報DB46に格納されていた第2群に含まれる障害情報が4件であり、第3群障害情報DB47に格納されていた第3群に含まれる障害情報が2件であったとする。
【0135】
障害情報クラスタリング部62は、障害情報の機種名に基づいて、プロセス情報DB44から機種名に対応するプロセス情報を読み出す。障害情報クラスタリング部62は、例えば、プロセス情報に含まれる開発者スキルレベルおよび仕様書品質に基づいて、障害情報をクラスタリングする。
【0136】
例えば、障害情報クラスタリング部62は、障害情報を、開発者スキルレベルが低い(特定値V1よりも低い)障害情報と、開発者スキルレベルが高い(特定値V1以上)障害情報とに分ける。
図8では、開発者スキルレベルが低い障害情報が第1群に含まれる2件の障害情報であり、開発者スキルレベルが高い障害情報が第1群に含まれる2件の障害情報、第2群に含まれる4件の障害情報、および第3群に含まれる2件の障害情報である場合を示している。
【0137】
また、障害情報クラスタリング部62は、開発者スキルレベルが高い障害情報を、仕様書品質が低い(特定値V2よりも低い)障害情報と、仕様書品質が高い(特定値V2以上)障害情報とに分ける。
図8では、開発者スキルレベルが高い障害情報のうち、仕様書品質が低い障害情報が第2群に含まれる4件の障害情報および第3群に含まれる1件の障害情報であり、仕様書品質が高い障害情報が第1群に含まれる2件の障害情報および第3群に含まれる1件の障害情報である場合を示している。
【0138】
図8の例では、決定木から、開発者スキルレベルが低い場合に第1群の障害情報に対応する障害が2件発生していることが分かる。また、開発者スキルレベルは高いが仕様書品質が低い場合に第2群の障害情報に対応する障害が4件、第3群の障害情報に対応する障害が1件発生していることが分かる。また、開発者スキルレベルが高く仕様書品質も高い場合に第1群の障害情報に対応する障害が2件、第3群の障害情報に対応する障害が1件発生していることが分かる。
【0139】
このように、障害情報検索装置2Bが作成する決定木は、プロセスの品質値で分岐し、終点が、障害が属するグループとなっている。すなわち、決定木は、機種に含まれるプロセスの品質値の組合せと、障害が属するグループとの対応関係を示している。
【0140】
環境情報取得部83は、ユーザから開発中の機種のプロセス情報を受け付けてプロセス類似度算出部61に入力する。プロセス類似度算出部61は、ユーザからのプロセス情報を、作成した決定木に入力することで、ユーザのプロセス情報に対応するプロセスで発生しやすい障害グループを推定する。
【0141】
プロセス類似度算出部61は、推定した障害グループの障害情報に対応するプロセス情報ほど、プロセス類似度を高く設定する。例えば、ユーザのプロセス情報において、開発者スキルレベルが特定値V1よりも低い場合、プロセス類似度算出部61は、
図8の決定木を用いて、ユーザのプロセス情報に対応する障害のグループ(
図8の場合、第1群)を特定する。そして、プロセス類似度算出部61は、特定したグループに含まれる障害情報のプロセス類似度を、他の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定する。ここでのプロセス類似度算出部61は、第1群の4件の障害情報のプロセス類似度を、他の6件の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定する。
【0142】
また、ユーザのプロセス情報において、開発者スキルレベルが特定値V1以上で、仕様書品質が特定値V2よりも低い場合、プロセス類似度算出部61は、
図8の決定木を用いて、ユーザのプロセス情報に対応する障害のグループ(
図8の場合、第2群および第3群)を特定する。そして、プロセス類似度算出部61は、特定したグループに含まれる障害情報のプロセス類似度を、他の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定する。ここでのプロセス類似度算出部61は、第2群および第3群の障害情報のプロセス類似度を、第1群の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定する。
【0143】
また、ユーザのプロセス情報において、開発者スキルレベルが特定値V1以上で、仕様書品質が特定値V2以上の場合、プロセス類似度算出部61は、
図8の決定木を用いて、ユーザのプロセス情報に対応する障害のグループ(
図8の場合、第1群および第3群)を特定する。そして、プロセス類似度算出部61は、特定したグループに含まれる障害情報のプロセス類似度を、他の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定する。ここでのプロセス類似度算出部61は、第1群および第3群の障害情報のプロセス類似度を、第2群の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定する。
【0144】
プロセス類似度算出部61は、ユーザのプロセス情報に対応する障害のグループとして複数の群を特定した場合、群内の障害情報の件数に基づいて群毎にプロセス類似度を設定してもよい。例えば、ユーザのプロセス情報に対応する障害のグループに、第2群の障害情報に対応する4件の障害と、第3群の障害情報に対応する1件の障害が含まれている場合、プロセス類似度算出部61は、障害件数の多い方の第2群の障害情報のプロセス類似度を、第3群の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定してもよい。プロセス類似度算出部61は、プロセス類似度と、障害情報とを対応付けて表示順序決定部81に送る。
【0145】
表示順序決定部81は、プロセス類似度に基づいて、クラスタリングされた障害情報の表示順序を決定し、障害情報および表示順序を障害情報提示部82に送る。障害情報提示部82は、表示順序決定部81から受け付けた表示順序に従って、クラスタリングされた障害情報を表示させる。
【0146】
なお、表示順序決定部81は、実施の形態1で説明した障害情報の検索確度を用いて表示順序を決定してもよい。すなわち、表示順序決定部81は、検索確度およびプロセス類似度に基づいて、障害情報毎の優先表示のスコア値を算出し、スコア値に基づいて表示順序を決定してもよい。
【0147】
また、環境情報取得部83は、ユーザからプロセス情報として機種名を受け付けてもよい。この場合、プロセス類似度算出部61は、機種名に対応するプロセス情報をプロセス情報DB44から読み出す。プロセス類似度算出部61は、読み出したプロセス情報を決定木に入力する。これにより、プロセス類似度算出部61は、ユーザが適用するプロセスに類似するプロセスで発生しやすい障害情報を推定することができる。
【0148】
このように、プロセス類似度算出部61は、決定木による分析結果をプロセスの類似度の算出に使用する。すなわち、プロセス類似度算出部61は、ユーザのプロセス情報に対応する開発環境で発生する障害の障害情報と、過去の障害情報との類似度の算出に決定木を使用する。
【0149】
これにより、障害情報検索装置2Bは、プロセス類似度が高く、発生している可能性が高い障害の障害情報を優先してユーザに提示することが可能となる。障害情報検索装置2Bは、例えば、若手が多く、テストが十分に行われていないなど、特定の環境下(開発者スキルレベルが特定値V1よりも低い環境)で多発する障害(不具合)を、障害の検索時に優先して提示することが可能となる。
【0150】
なお、障害情報検索装置1,2Aを組み合わせてもよいし、障害情報検索装置1,2Bを組み合わせてもよい。すなわち、障害情報検索装置1がプロセス類似度算出部60,61およびプロセス情報DB44を備えていてもよい。また、障害情報検索装置2Aまたは障害情報検索装置2Bがプロダクト類似度算出部30および機種情報DB42aを備えていてもよい。
【0151】
このように実施の形態2によれば、障害情報検索装置2A,2Bは、ユーザのプロセス情報に類似するプロセス情報の障害情報を優先的に提示するので、障害の原因または障害への対策が異なる障害情報を大規模なデータベース(プロセス情報DB44)から短時間で検索することができる。
【0152】
また、障害情報検索装置2A,2Bは、プロセス類似度が高い障害情報を検索して提示するので、特定の環境下で発生しやすい障害の障害情報を優先して提示することが可能となる。例えば、障害情報検索装置2A,2Bは、ユーザのスキルによらず、ユーザに適切な過去の障害情報を検索して提示することが可能となる。
【0153】
実施の形態3.
つぎに、
図9および
図10を用いて実施の形態3について説明する。実施の形態3では、ユーザから受け付けた新機種の機種情報およびプロセス情報の少なくとも一方に基づいて、新機種に発生する可能性が高い障害の障害情報を抽出し、抽出した障害情報を分析してユーザに提供する。新機種は、これから開発を始める機種であり、障害が発生するか否かなどの検証が実行されていない機種である。新機種に対して障害が発生するか否かなどの検証が実行されることで、この機種は開発中の機種となる。さらに、開発中の機種が完成すると、この機種は過去に開発された機種となる。新機種では、実施の形態1で説明した機種情報および実施の形態2で説明したプロセス情報の少なくとも一方が決まっていればよい。
【0154】
図9は、実施の形態3にかかる障害情報検索装置の構成を示す図である。
図9の各構成要素のうち
図1に示す実施の形態1の障害情報検索装置1または
図5に示す実施の形態2の障害情報検索装置2Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0155】
実施の形態3の障害情報検索装置3は、新機種が開発される際に、障害の防止のため、過去の開発から発生する可能性が高い障害の障害情報を抽出して分析する。障害情報検索装置3は、機種情報入力部65と、プロダクト類似度算出部30と、プロセス類似度算出部60と、関連障害抽出部66と、関連障害分析部67と、障害情報提示部68とを備えている。また、障害情報検索装置3は、障害情報DB41a、機種情報DB42a、およびプロセス情報DB44を備えている。実施の形態3の障害情報DB41aが格納しておく障害情報には、障害が発生した機能(障害機能)、障害を発生させた要因(障害要因)などが含まれている。
【0156】
機種情報入力部65は、ユーザから新機種の情報を受け付けて、プロダクト類似度算出部30に入力する。機種情報入力部65がユーザから受け付ける新機種の情報には、機種名が含まれている。また、機種情報入力部65がユーザから受け付ける新機種の情報には、実施の形態1で説明した機種情報および実施の形態2で説明したプロセス情報の少なくとも一方が含まれている。なお、機種情報入力部65がユーザから受け付ける新機種の情報は、ユーザが入手可能な情報であれば、何れの情報が含まれていてもよい。
【0157】
プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた新機種の情報に機種情報が含まれている場合には、ユーザから受け付けた機種情報と、機種情報DB42a内の機種情報との類似度を機種類似度として算出する。この場合、プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた新機種の情報と、機種類似度とを対応付けてプロセス類似度算出部60に送る。プロダクト類似度算出部30は、ユーザから受け付けた新機種の情報に機種情報が含まれていない場合、ユーザから受け付けた新機種の情報をプロセス類似度算出部60に送る。
【0158】
プロセス類似度算出部60は、ユーザから受け付けた新機種の情報にプロセス情報が含まれている場合には、ユーザから受け付けたプロセス情報と、プロセス情報DB44内のプロセス情報との類似度をプロセス類似度として算出する。この場合、プロセス類似度算出部60は、プロセス類似度と、機種類似度と、機種名とを対応付けて関連障害抽出部66に送る。
【0159】
なお、ユーザから受け付けた新機種の情報に機種情報が含まれていない場合、プロセス類似度算出部60は、プロセス類似度と、機種名と、を対応付けて関連障害抽出部66に送る。また、ユーザから受け付けた新機種の情報にプロセス情報が含まれていない場合、プロセス類似度算出部60は、機種名と、機種類似度とを対応付けて関連障害抽出部66に送る。
【0160】
なお、障害情報検索装置3では、プロセス類似度算出部60がプロセス類似度を算出してからプロダクト類似度算出部30が機種類似度を算出してもよい。また、プロセス類似度算出部60によるプロセス類似度の算出と、プロダクト類似度算出部30による機種類似度の算出とは、並行して実行されてもよい。
【0161】
関連障害抽出部66は、機種類似度およびプロセス類似度の少なくとも一方と、機種名とが対応付けされた情報を受け付ける。関連障害抽出部66は、受け付けた機種名のうち、機種類似度とプロセス類似度との和が、特定の閾値を超えている機種名を抽出する。関連障害抽出部66は、抽出した機種名に対応する障害情報を障害情報DB41aから読み出す。すなわち、関連障害抽出部66は、機種類似度およびプロセス類似度の少なくとも一方に基づいて、障害情報DB41aから障害情報を読み出す。関連障害抽出部66は、抽出した障害情報を、関連障害分析部67に送る。
【0162】
関連障害分析部67は、関連障害抽出部66から送られてきた障害情報に含まれる機能(障害機能)の傾向および障害要因を分析して、障害情報提示部68に送る。障害情報提示部68は、障害機能および障害要因の分析結果を表示装置(図示せず)、ユーザ端末(図示せず)などに出力することで、分析結果をユーザに提供する。
【0163】
図10は、実施の形態3にかかる障害情報検索装置がユーザに提供する障害の分析結果の例を示す図である。
図10では、障害情報提示部68が表示装置に表示させる表示画面70の例を示している。表示画面70は、障害情報提示部68から受け付けた情報に基づいて、障害の分析結果として、障害が発生した機能である障害機能と、障害を発生させた要因である障害要因とを表示する。
【0164】
表示画面70では、例えば、障害機能の円グラフと、障害要因の円グラフとが表示される。障害機能の円グラフでは、障害機能の全体に対する、障害が発生した機能の構成比が示される。
図10では、障害機能の全体に対する、障害が発生した機能F1~F4の構成比が示されている。
【0165】
障害要因の円グラフでは、障害要因の全体に対する、障害を発生させた要因の構成比が示される。
図10では、障害要因の全体に対する、障害を発生させた要因C1~C4の構成比が示されている。
【0166】
なお、障害情報検索装置3は、開発者といったユーザに、開発の際に注意すべき点をチェックリスト化して提示してもよい。すなわち、障害情報検索装置3は、機種を開発する際の注意点または懸念点をチェックリストとして作成し、ユーザに提示してもよい。この場合、障害情報検索装置3は、ユーザにチェックリストを提示する条件と、ユーザに提供する記載内容(注意点または懸念点)とを対応付けた対応情報を記憶しておく。関連障害分析部67は、ユーザにチェックリストを提示する条件が成立すると、対応情報から、この条件に対応する記載内容を抽出し、注意すべき点の一覧であるチェックリストを作成する。これにより、障害情報検索装置3は、開発の際に注意することを記載したチェックリストをユーザに提示することが可能となる。
【0167】
対応情報では、例えば、ユーザにチェックリストを提示する条件である「機能Z1の障害割合が特定値V3よりも高い場合」と、この条件に対応する記載内容である「機能Z1について確認すること」とが対応付けられている。また、対応情報では、例えば、ユーザにチェックリストを提示する条件である「障害の要因として仕様書の記載ミスの割合が特定値V4よりも高い場合」と、この条件に対応する記載内容である「要求仕様書のレビューをすること」とが対応付けられている。
【0168】
関連障害分析部67は、例えば、障害の分析の結果、機能Z1の障害割合が特定値V3よりも高いと判断した場合、「機能Z1について確認すること」のコメントをチェックリストに登録する。また、関連障害分析部67は、例えば、障害の要因として仕様書の記載ミスの割合が特定値V4よりも高いと判断した場合、「要求仕様書のレビューをすること」のコメントをチェックリストに登録する。
【0169】
障害情報提示部68は、関連障害分析部67が作成したチェックリストを表示装置などに出力することで、チェックリストをユーザに提供する。これにより、障害情報検索装置3は、新機種の開発時に、開発チームの全体(開発者全員)に新機種の注意点または懸念点を伝えることができるので、開発チームは、開発時に注意点および懸念点を容易に共有できる。したがって、開発チームは、開発対象の機種に対して、障害(不具合)を発生させる可能性を減らすことが可能になる。
【0170】
なお、障害情報検索装置3は、関連障害分析部67を備えていなくてもよい。この場合、障害情報提示部68は、関連障害抽出部66が読み出した障害情報を表示装置、ユーザ端末などに出力することで、障害情報をユーザに提供する。
【0171】
また、障害情報検索装置3は、分析した障害機能および障害要因を、円グラフ以外のグラフで提示してもよいし、表などのグラフ以外の形式で提示してもよい。
【0172】
このように実施の形態3では、障害情報検索装置3が、機種類似度とプロセス類似度との和が閾値を超えている機種名の障害情報を障害情報DB41aから読み出している。障害情報検索装置3は、読み出した障害情報に含まれる障害機能および障害要因を分析して、分析結果をユーザに提供している。これにより、障害情報検索装置3は、新機種が開発される際に、新機種に対して発生する可能性が高い障害の情報をユーザに提供することが可能となる。すなわち、障害情報検索装置3は、ユーザの機種情報およびプロセス情報に関連の深い障害情報をユーザに提供することが可能となる。
【0173】
また、障害情報検索装置3は、障害自然文といった障害の情報を用いることなく、新機種に対して発生する可能性が高い障害の情報をユーザに提供することが可能となる。
【0174】
実施の形態4.
つぎに、
図11および
図12を用いて実施の形態4について説明する。実施の形態4では、機能毎のプロセスの品質と、障害が発生した機能と、発生しなかった機能とに基づいて、障害発生と密接なプロセスを導出する。
【0175】
図11は、実施の形態4にかかる障害情報検索装置の構成を示す図である。
図11の各構成要素のうち
図1に示す実施の形態1の障害情報検索装置1と同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。
【0176】
実施の形態4の障害情報検索装置4は、障害情報DB41cと、機能展開表DB43と、プロセス情報(機種開発環境)DB48と、障害発生機能特定部85と、障害要因分析部86と、障害要因提示部87とを備えている。プロセス情報DB48は、プロセス情報DB44と同様の情報を格納するデータベースである。
【0177】
実施の形態4の障害情報DB41cが格納しておく障害情報には、障害が発生した機能(障害機能)の情報、機種名などが含まれている。プロセス情報DB48には、機器の機種が用いる機能毎のプロセス情報が格納されている。プロセス情報DB48に格納されているプロセス情報では、要求仕様書品質としての仕様書品質値と、ソースコード品質としてのソースコード品質値と、テスト品質としてのテスト品質値と、開発者スキルレベルとしての開発者スキルレベル値と、機種名とが、機種が用いる機能毎に対応付けされている。プロセス情報DB48では、例えば、機種名B1と、機種名B1の機種に適用されている機能Z1と、この機能Z1のプロセス情報P1とが対応付けされている。
【0178】
障害発生機能特定部85は、障害情報DB41cに格納されている障害情報と、機能展開表DB43に格納されている機能展開表とに基づいて、障害が発生した機能と、発生しなかった機能との特定を行う。障害発生機能特定部85は、障害情報DB41cに格納されている機種の機能が、障害が発生した機能であると判定する。また、障害発生機能特定部85は、障害情報DB41cに格納されておらず、機能展開表に登録されている機能が、障害が発生しなかった機能であると判定する。障害発生機能特定部85は、特定結果を障害要因分析部86に送る。
【0179】
障害要因分析部86は、障害が発生した機能と発生しなかった機能とを示す特定結果(障害有無情報)と、プロセス情報DB48に格納されているプロセス情報とに基づいて、障害が発生した機能のプロセスと、障害が発生しなかった機能のプロセスとを判定する。障害要因分析部86は、障害発生と密接なプロセスについての分析を決定木分析手法で行う。
【0180】
図12は、実施の形態4にかかる障害情報検索装置が作成する決定木の例を説明するための図である。障害要因分析部86は、機能展開表DB43に格納されている機能の全てを読み出す。ここでは、障害要因分析部86が、機能展開表DB43から40件の機能を読み出した場合について説明する。
【0181】
障害要因分析部86は、障害発生機能特定部85から送られてきた障害有無情報に基づいて、機能展開表DB43から読み出した各機能に障害があるか否かを判定する。
【0182】
40件の機能のうち障害ありの機能が10件であり、障害なしの機能が30件であったとする。障害要因分析部86は、全40件の機能に対し、例えば、プロセスの第1例である開発者スキルレベルが特定値V5よりも低いか否かを判定する。これにより、障害要因分析部86は、全40件の機能を、機能の開発者スキルレベルが低い(特定値V5よりも低い)機能と、開発者スキルレベルが高い(特定値V5以上)機能とに分ける。
図12では、開発者スキルレベルが低い機能のうち障害があった機能が5件であり、障害がなかった機能が0件であり、開発者スキルレベルが高い機能のうち障害があった機能が5件であり、障害がなかった機能が30件である場合を示している。
【0183】
また、障害要因分析部86は、開発者スキルレベルが特定値V5以上の機能に対し、例えば、プロセスの第2例である仕様書品質が特定値V6よりも低いか否かを判定する。これにより、障害要因分析部86は、開発者スキルレベルが特定値V5以上の機能を、仕様書品質が低い(特定値V6よりも低い)機能と、仕様書品質が高い(特定値V6以上)機能とに分ける。
図12では、開発者スキルレベルが高く且つ仕様書品質が低い機能のうち、障害があった機能が5件であり、障害がなかった機能が10件である。また、開発者スキルレベルが高く且つ仕様書品質が高い機能のうち障害があった機能が0件であり、障害がなかった機能が20件である場合を示している。
【0184】
図12の例では、決定木から、開発者スキルレベルが低い場合に5件の機能に障害が発生していることが分かる。また、開発者スキルレベルは高いが仕様書品質が低い場合に5件の機能に障害が発生し、10件の機能に障害が発生していないことが分かる。また、開発者スキルレベルが高く仕様書品質も高い場合に、20件の機能に障害が発生していないことが分かる。
【0185】
このように、障害情報検索装置4が作成する決定木は、プロセスの品質値で分岐し、終点が、障害があった機能の件数および障害がなかった機能の件数となっている。すなわち、決定木は、機能に含まれるプロセスの品質値の組合せと、障害があった機能の件数および障害がなかった機能の件数との対応関係を示している。
【0186】
障害要因分析部86は、障害有無情報と、プロセス情報DB48に格納されているプロセス情報とに基づいて、
図12に示したような決定木を作成し、障害要因提示部87に送る。障害要因分析部86は、作成した決定木に基づいて、プロセス情報に対応する障害発生確率を算出してもよい。例えば、開発者スキルレベルは高いが仕様書品質が低い場合には、5件の機能に障害が発生し、10件の機能に障害が発生していないので、障害要因分析部86は、開発者スキルレベルは高く仕様書品質が低い場合の障害発生確率として33%を算出する。この場合、障害要因分析部86は、算出した障害発生確率を障害要因提示部87に送る。
【0187】
障害要因分析部86は、障害要因の分析結果である決定木を障害要因提示部87に送る。障害要因提示部87は、障害要因の分析結果である決定木を表示装置などに表示させる。これにより、ユーザは、機種毎の各機能に対し、最も障害に影響を与えているプロセスの品質を特定することが可能となる。すなわち、ユーザは、決定木を参照することにより、障害の発生に大きな影響を与えている主要因などの推定が可能である。
【0188】
例えば、
図12に示した決定木の場合、開発者スキルレベルが低い開発者による開発では常に障害が発生しているので、開発者スキルレベルを向上させることが障害発生を抑制する効果が大きいと考えられる。また、仕様書品質が高い場合には、障害の発生数が少ないので、仕様書品質を向上させることが障害発生を抑制する効果が大きいと考えられる。
【0189】
プロセスの品質として扱っている開発者のスキル、テストの網羅度、仕様書品質などは高いほど障害を発生させる可能性を下げることができる。ところが、限られた開発予算、限られた開発時間の中では、プロセスの改善にも限界がある。そこで、実施の形態4の障害情報検索装置4は、最も障害に影響を与えているプロセスの品質を特定し、ユーザに提供する。
【0190】
なお、実施の形態4では、障害情報検索装置4が、機種の機能毎に障害の有無を分類したが、機種毎に障害の有無を分類してもよい。
【0191】
このように実施の形態4の障害情報検索装置4は、障害有無情報と、機種毎のプロセスの品質値とに基づいて、分岐がプロセスの品質値で終点が障害があった機能の件数および障害がなかった機能の件数となっている決定木を作成している。障害情報検索装置4は、作成した決定木をユーザに提供することで、障害に影響を与えているプロセスの品質をユーザに提供することができる。すなわち、障害情報検索装置4は、間接的な障害要因のうち、特に障害と関連の深い障害要因をユーザに提供することができる。これにより、ユーザは、障害発生と密接なプロセスをユーザに提供することができる。ユーザは、障害発生と密接なプロセスに対して優先して対策を行うことが可能となる。
【0192】
ここで、障害情報検索装置1,2A,2B,3,4のハードウェア構成について説明する。なお、障害情報検索装置1,2A,2B,3,4は、同様のハードウェア構成を有しているので、ここでは障害情報検索装置1のハードウェア構成について説明する。
【0193】
図13は、実施の形態1にかかる障害情報検索装置を実現するハードウェア構成例を示す図である。障害情報検索装置1は、入力装置300、プロセッサ100、メモリ200、および出力装置400により実現することができる。プロセッサ100の例は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ200の例は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)である。
【0194】
障害情報検索装置1は、プロセッサ100が、メモリ200で記憶されている障害情報検索装置1の動作を実行するための、コンピュータで実行可能な検索プログラム80を読み出して実行することにより実現される。障害情報検索装置1の動作を実行するための検索プログラム80は、障害情報検索装置1の手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0195】
障害情報検索装置1で実行される検索プログラム80は、障害情報検索部20、プロダクト類似度算出部30と、表示順序決定部81、および障害情報提示部82を含むモジュール構成となっており、これらが主記憶装置上にロードされ、これらが主記憶装置上に生成される。
【0196】
障害情報検索装置1で実行される検索プログラム80には、障害自然文に基づいて障害情報DB41aから障害情報を検索するプログラム、ユーザの機種名および機種情報DB42a内の機種情報に基づいて機種類似度を算出するプログラム、障害情報の表示順序を決定するプログラムなどが含まれている。
【0197】
入力装置300は、ユーザからシステム障害情報を受け付けてプロセッサ100に送る。入力装置300が実行する処理は、障害情報入力部10が実行する処理に対応している。
【0198】
メモリ200は、障害情報、機種情報、機能展開表、検索プログラム80などを記憶する。障害情報、機種情報、機能展開表、および検索プログラム80は、プロセッサ100によってメモリ200から読み出される。また、メモリ200は、プロセッサ100が各種処理を実行する際の一時メモリに使用される。
【0199】
出力装置400が実行する処理は、障害情報提示部82が実行する処理に対応している。出力装置400は、表示装置に障害情報、障害情報の表示順序といった種々のデータを送る。
【0200】
検索プログラム80は、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルで、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、検索プログラム80は、インターネットなどのネットワーク経由で障害情報検索装置1に提供されてもよい。なお、障害情報検索装置1の機能について、一部を専用回路などの専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0201】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0202】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0203】
(付記1)
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報データベースと、
開発中の機種を識別する機種識別情報および前記開発中の機種で発生した障害の内容を示す障害自然文を含んだシステム障害情報を受け付ける障害情報入力部と、
前記障害自然文に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害自然文に対応する障害情報を抽出するとともに、抽出した前記障害情報の検索確度を算出する障害情報検索部と、
前記機種識別情報に基づいて、前記機種情報データベースから、前記機種識別情報に対応する機種情報である対応機種情報と、前記対応機種情報以外の機種情報である非対応機種情報とを抽出し、前記対応機種情報と前記非対応機種情報との類似度を機種類似度として算出するプロダクト類似度算出部と、
前記検索確度および前記機種類似度に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部と、
前記表示順序に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
(付記2)
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の開発環境の情報であるプロセス情報を格納するプロセス情報データベースと、
開発中の機種を識別する機種識別情報および前記開発中の機種で発生した障害の内容を示す障害自然文を含んだシステム障害情報を受け付ける障害情報入力部と、
前記障害自然文に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害自然文に対応する障害情報を抽出するとともに、抽出した前記障害情報の検索確度を算出する障害情報検索部と、
前記機種識別情報に基づいて、前記プロセス情報データベースから、前記機種識別情報に対応するプロセス情報である対応プロセス情報と、前記対応プロセス情報以外のプロセス情報である非対応プロセス情報とを抽出し、前記対応プロセス情報と前記非対応プロセス情報との類似度をプロセス類似度として算出するプロセス類似度算出部と、
前記検索確度および前記プロセス類似度に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部と、
前記表示順序に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
(付記3)
前記表示順序決定部は、前記障害情報データベース内の前記障害毎に前記障害情報の表示順序を決定する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の障害情報検索装置。
(付記4)
前記障害情報データベース内の前記障害情報には、前記障害の内容を示す障害内容と、前記障害内容に対する解決手段または解決方法の情報が含まれている、
ことを特徴とする付記1から3の何れか1つに記載の障害情報検索装置。
(付記5)
前記機種識別情報は、前記機種の機種名であり、
前記機種情報データベースが格納する前記機種情報には、前記機種名が含まれており、
前記プロダクト類似度算出部は、前記機種名に基づいて、前記対応機種情報および前記非対応機種情報を抽出する、
ことを特徴とする付記1に記載の障害情報検索装置。
(付記6)
前記機種識別情報は、前記機種の機種名であり、
前記プロセス情報データベースが格納する前記プロセス情報には、前記機種名が含まれており、
前記プロセス類似度算出部は、前記機種名に基づいて、前記対応プロセス情報および前記非対応プロセス情報を抽出する、
ことを特徴とする付記2に記載の障害情報検索装置。
(付記7)
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の開発環境の情報であるプロセス情報を格納するプロセス情報データベースと、
前記障害情報に対応するプロセス情報の類似度に基づいて、前記障害情報をクラスタリングすることで決定木を作成するクラスタリング部と、
開発中の機種のプロセス情報を受け付ける環境情報取得部と、
前記開発中の機種のプロセス情報を前記決定木に入力することで、前記開発中の機種のプロセス情報に対応するプロセスで発生しやすい障害グループを推定し、推定した前記障害グループに含まれる障害情報のプロセス類似度を、他の障害情報のプロセス類似度よりも高い類似度に設定するプロセス類似度算出部と、
前記プロセス類似度に基づいて、クラスタリングされた前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定部と、
前記表示順序に基づいて、前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
(付記8)
前記設計情報には、前記機種に適用された、機能の情報、共通技術の情報、要求仕様書の情報、テスト仕様書の情報、およびソースコードの情報の少なくとも1つが含まれており、
前記プロダクト類似度算出部は、前記機能の類似度、前記共通技術の類似度、前記要求仕様書の類似度、前記テスト仕様書の類似度、および前記ソースコードの類似度の少なくとも1つを用いて、前記機種類似度を算出する、
ことを特徴とする付記1または5に記載の障害情報検索装置。
(付記9)
機能の関連性を図式化した情報である機能展開表を格納する機能展開表データベースと、
前記機能展開表および前記障害情報データベースに格納された前記障害情報に基づいて、障害が発生した機能を特定する障害発生機能特定部と、
前記プロセス情報および前記障害が発生した機能に基づいて、前記障害の障害要因を分析する障害要因分析部と、
前記障害要因の分析結果を提示する障害要因提示部と、
をさらに備える、
ことを特徴とする付記2または6に記載の障害情報検索装置。
(付記10)
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、
前記機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報データベースと、
前記機種の開発環境の情報であるプロセス情報を格納するプロセス情報データベースと、
ユーザから新機種の情報を受け付ける機種情報入力部と、
前記ユーザから受け付けた前記新機種の情報に機種情報が含まれている場合に、前記ユーザから受け付けた機種情報と、前記機種情報データベース内の機種情報との類似度を機種類似度として算出するプロダクト類似度算出部と、
前記ユーザから受け付けた前記新機種の情報にプロセス情報が含まれている場合に、前記ユーザから受け付けたプロセス情報と、前記プロセス情報データベース内のプロセス情報との類似度をプロセス類似度として算出するプロセス類似度算出部と、
前記プロセス類似度および前記機種類似度の少なくとも一方に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害情報を抽出する関連障害抽出部と、
抽出された前記障害情報を提示する障害情報提示部と、
を備える、
ことを特徴とする障害情報検索装置。
(付記11)
前記関連障害抽出部が抽出した前記障害情報を分析する関連障害分析部をさらに備え、
前記障害情報提示部は、前記関連障害分析部が分析した結果を提示する、
ことを特徴とする付記10に記載の障害情報検索装置。
(付記12)
前記関連障害分析部は、前記分析の結果に基づいて、前記ユーザから受け付けた前記新機種の情報に対応する機種を開発する際の注意点をチェックリストとして作成し、
前記障害情報提示部は、前記チェックリストを提示する、
ことを特徴とする付記11に記載の障害情報検索装置。
(付記13)
過去に開発された機種で発生した障害の情報である障害情報を前記障害毎に格納する障害情報データベースと、前記機種の設計情報を含んだ機種情報を格納する機種情報データベースとを備える障害情報検索装置が、開発中の機種を識別する機種識別情報および前記開発中の機種で発生した障害の内容を示す障害自然文を含んだシステム障害情報を受け付ける障害情報入力ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記障害自然文に基づいて、前記障害情報データベースから前記障害自然文に対応する障害情報を抽出するとともに、抽出した前記障害情報の検索確度を算出する障害情報検索ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記機種識別情報に基づいて、前記機種情報データベースから、前記機種識別情報に対応する機種情報である対応機種情報と、前記対応機種情報以外の機種情報である非対応機種情報とを抽出し、前記対応機種情報と前記非対応機種情報との類似度を機種類似度として算出するプロダクト類似度算出ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記検索確度および前記機種類似度に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報の表示順序を決定する表示順序決定ステップと、
前記障害情報検索装置が、前記表示順序に基づいて、前記障害情報データベース内の前記障害情報を並べ替えて提示する障害情報提示ステップと、
を含む、
ことを特徴とする障害情報検索方法。
【符号の説明】
【0204】
1,2A,2B,3,4 障害情報検索装置、9 プロセス情報算出装置、10 障害情報入力部、20 障害情報検索部、30 プロダクト類似度算出部、31 機能類似度算出部、32 共通技術類似度算出部、33 仕様書類似度算出部、34 ソースコード類似度算出部、41a~41c 障害情報DB、42a,42b 機種情報DB、43 機能展開表DB、44,48 プロセス情報DB、45 第1群障害情報DB、46 第2群障害情報DB、47 第3群障害情報DB、50 プロセス関連情報取得部、51 仕様書品質算出部、52 ソースコード品質算出部、53 テスト品質算出部、54 開発者スキルレベル算出部、60,61 プロセス類似度算出部、62 障害情報クラスタリング部、65 機種情報入力部、66 関連障害抽出部、67 関連障害分析部、68,82 障害情報提示部、70 表示画面、80 検索プログラム、81 表示順序決定部、83 環境情報取得部、85 障害発生機能特定部、86 障害要因分析部、87 障害要因提示部、90 機能展開表、91 障害情報一覧、100 プロセッサ、200 メモリ、300 入力装置、400 出力装置、A1~A3 機種情報、B1 機種名、C1~C4 要因、F1~F4 機能、Fx 関数、P1~P3 プロセス情報、V1~V6 特定値、Xa2,Xp1~Xp6 障害情報、Y1,Y2 障害内容、Z1 機能。