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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024129524
(43)【公開日】2024-09-27
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20240919BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038778
(22)【出願日】2023-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 千尋
(72)【発明者】
【氏名】川島 充
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA52
3L260FC03
3L260FC07
(57)【要約】
【課題】天井裏に漏洩した冷媒の室内への流入を抑制できる冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】冷凍サイクル装置は、建物20内に設けられた室内機1と、建物20の外部に設けられた室外機2と、室内機1と室外機2を接続し、冷媒が流通する冷媒配管10とを備える。冷媒配管10の少なくとも一部は、建物20内の天井21と屋根又は上階の床との間の天井裏空間23内に配設される。冷凍サイクル装置は、天井裏空間23内で、かつ、室内機1の外部に設けられた冷媒センサ30を有し冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、漏洩検知手段が冷媒の漏洩を検知した場合に、天井21を貫通して形成された貫通孔24を閉塞可能な開閉部41に、貫通孔を閉塞させる信号を出力する制御装置100とをさらに備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設けられた室内ユニットと、
前記建物の外部に設けられた室外ユニットと、
前記室内ユニットと前記室外ユニットを接続し、冷媒が流通する冷媒配管と、を備え、
前記冷媒配管の少なくとも一部は、前記建物内の天井と屋根又は上階の床との間の天井裏空間内に配設され、
前記天井裏空間内で、かつ、前記室内ユニットの外部に設けられたセンサを有し前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井を貫通して形成された貫通孔を閉塞可能な閉塞手段に、前記貫通孔を閉塞させる信号を出力する制御手段と、をさらに備えた冷凍サイクル装置。
【請求項2】
建物内に設けられた室内ユニットと、
前記建物の外部に設けられた室外ユニットと、
前記室内ユニットと前記室外ユニットを接続し、冷媒が流通する冷媒配管と、を備え、
前記冷媒配管の少なくとも一部は、前記建物内の天井と屋根又は上階の床との間の天井裏空間内に配設され、
前記天井裏空間内で、かつ、前記室内ユニットの外部に設けられたセンサを有し前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井を貫通して形成された貫通孔から前記天井裏空間内に吸気可能な吸気ファンを動作させる信号を出力する制御手段と、をさらに備えた冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井裏空間内の空気を撹拌する撹拌ファンをさらに備えた請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井裏空間内の空気を前記建物の外部に排気する排気ファンをさらに備えた請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記天井裏空間内の前記冷媒配管を覆うカバーをさらに備え、
前記カバーの内側の空間は、前記建物の外部に通じている請求項1又は請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記カバーは、前記建物の外部に向かうにつれて次第に低くなるように傾斜した傾斜部を有する請求項5に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ケーシング(筐体)と、ケーシング内に設けられており、熱源側空調装置(室外機)から供給される冷媒によってケーシング内の空気を冷却又は加熱する利用側熱交換器(室内機)と、被空調空間(室内空間)からケーシングに室内空気を取り入れ、被空調空間外からケーシングに室外空気を取り入れ、ケーシング内の空気を被空調空間に供給空気として供給し、ケーシング内の空気を被空調空間外に排出空気として排出する給排気機構と、冷媒を検知する冷媒漏洩検知装置(冷媒センサ)と、を有しており、冷媒漏洩検知装置が冷媒を検知した際に、給排気機構によってケーシング内の空気とともに冷媒を被空調空間外に排出する冷媒排出運転を行う空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-196996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるような技術においては、冷媒漏洩を検知する冷媒センサが室内機の筐体に設けられている。このため、室内機の筐体内における冷媒漏洩しか検知できない。室内機の筐体外の天井裏にある冷媒配管から冷媒が漏洩した場合、漏洩した冷媒を排出できず、天井裏に漏洩した冷媒が滞留してしまう。そして、天井にある通気孔等から漏洩した冷媒が室内空間に侵入してしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、天井裏に漏洩した冷媒の室内への流入を抑制できる冷凍サイクル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る冷凍サイクル装置は、建物内に設けられた室内ユニットと、前記建物の外部に設けられた室外ユニットと、前記室内ユニットと前記室外ユニットを接続し、冷媒が流通する冷媒配管と、を備え、前記冷媒配管の少なくとも一部は、前記建物内の天井と屋根又は上階の床との間の天井裏空間内に配設され、前記天井裏空間内で、かつ、前記室内ユニットの外部に設けられたセンサを有し前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井を貫通して形成された貫通孔を閉塞可能な閉塞手段に、前記貫通孔を閉塞させる信号を出力する制御手段と、をさらに備える。
【0007】
あるいは、本開示に係る冷凍サイクル装置は、建物内に設けられた室内ユニットと、前記建物の外部に設けられた室外ユニットと、前記室内ユニットと前記室外ユニットを接続し、冷媒が流通する冷媒配管と、を備え、前記冷媒配管の少なくとも一部は、前記建物内の天井と屋根又は上階の床との間の天井裏空間内に配設され、前記天井裏空間内で、かつ、前記室内ユニットの外部に設けられたセンサを有し前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井を貫通して形成された貫通孔から前記天井裏空間内に吸気可能な吸気ファンを動作させる信号を出力する制御手段と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る冷凍サイクル装置によれば、天井裏に漏洩した冷媒の室内への流入を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置である空気調和機が備える冷媒回路の構成概略を示す図である。
図2】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の構成を模式的に示す図である。
図3】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の別例の構成を模式的に示す図である。
図5】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の別例の構成を模式的に示す図である。
図6】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の別例の構成を模式的に示す図である。
図7】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の変形例の構成を模式的に示す図である。
図8】実施の形態1に係る冷凍サイクル装置の制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に係る冷凍サイクル装置を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。なお、本開示は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、各実施の形態の自由な組み合わせ、各実施の形態の任意の構成要素の変形、又は各実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1から図8を参照しながら、本開示の実施の形態1について説明する。図1は冷凍サイクル装置である空気調和機が備える冷媒回路の構成概略を示す図である。図2は冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の構成を模式的に示す図である。図3は冷凍サイクル装置の制御系統の構成を示すブロック図である。図4から図6は冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の別例の構成を模式的に示す図である。図7は冷凍サイクル装置である空気調和機が設置された建物の変形例の構成を模式的に示す図である。図8は冷凍サイクル装置の制御装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【0012】
この実施の形態に係る冷凍サイクル装置の一例として、空気調和機が挙げられる。図1に示すように、この実施の形態に係る冷凍サイクル装置の一例である空気調和機は、室内機1と室外機2とを備えている。室内機1は、室内熱交換器3と室内ファン5とを備えている。室外機2は、室外熱交換器4、室外ファン6、圧縮機7、膨張弁8及び四方弁9を備えている。室内機1と室外機2とは冷媒配管10で接続されている。冷媒配管10は、室内機1の室内熱交換器3と室外機2の室外熱交換器4との間で循環的に設けられている。冷媒配管10内には冷媒が封入されている。冷媒配管10内に封入される冷媒は、地球温暖化係数(GWP)の小さいものを用いることが望ましい。冷媒として例えば、空気よりも平均分子量が大きいものを用いる。この場合の冷媒は、空気よりも密度が大きく大気圧下で空気より重い。したがって、この場合の冷媒は、空気中では重力方向(鉛直方向)の下方へと沈んでいく性質を持っている。
【0013】
このような冷媒として、具体的に例えば、テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2:HFO-1234yf)、ジフルオロメタン(CH2F2:R32)、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、1.1.1.2-テトラフルオロエタン(C2H2F4:R134a)、ペンタフルオロエタン(C2HF5:R125)、1.3.3.3-テトラフルオロ-1-プロペン(CF3-CH=CHF:HFO-1234ze)、二酸化炭素(CO2:R744)等の中から選ばれる1つ以上の冷媒からなる(混合)冷媒を用いることができる。混合冷媒の具体例としては、R516A、R445A、R444A、R454C、R444B、R454A、R455A、R457A、R459B、R452B、R454B、R447B、R447A、R446A、R459A、R474A、R479A等が挙げられる。
【0014】
冷媒配管10は、室内熱交換器3、四方弁9、圧縮機7、室外熱交換器4及び膨張弁8を環状に接続している。したがって、室内熱交換器3と室外熱交換器4との間で冷媒が循環する冷媒回路が形成されている。
【0015】
圧縮機7は、供給された冷媒を圧縮して当該冷媒の圧力及び温度を高める機器である。圧縮機7は、例えば、ロータリ圧縮機、スクロール圧縮機、レシプロ圧縮機等を用いることができる。膨張弁8は、流入した冷媒を膨張させ、当該冷媒を減圧する。ここで説明する構成例では、膨張弁8は、リニア電子膨張弁(LEV:Linear Electric expansion Valve)である。したがって、膨張弁8を閉じることで、冷媒の流通を阻止できる。
【0016】
室内熱交換器3は、室内熱交換器3に流入した冷媒と室内熱交換器3の周囲の空気との間で熱を交換させる。室内ファン5は、室内の空気が室内熱交換器3の周囲を通過するように送風し、室内熱交換器3における冷媒と空気との間での熱交換を促進するとともに、熱交換により加熱又は冷却された空気を再び室内に送り出す。室外熱交換器4は、室外熱交換器4に流入した冷媒と室外熱交換器4の周囲の空気との間で熱を交換させる。室外ファン6は、室外の空気が室外熱交換器4の周囲を通過するように送風し、室外熱交換器4における冷媒と空気との間での熱交換を促進する。
【0017】
このようにして構成された冷媒回路は、室内熱交換器3及び室外熱交換器4のそれぞれにおいて冷媒と空気の間で熱交換を行うことにより、室内機1と室外機2との間で熱を移動させるヒートポンプとして働く。この際、四方弁9を切り換えることにより、冷媒回路における冷媒の循環方向を反転させて空気調和機の冷房運転と暖房運転とを切り換えることができる。
【0018】
図2に空気調和機が設置された建物20の構成を模式的に示す。建物20内には天井21が設けられている。建物20内における天井21よりも下側には室内空間22が形成されている。図示の例では、建物20内に3つの部屋が設けられている。そして、これら3つの部屋のそれぞれの内部空間が室内空間22である。建物20内における天井21よりも上側には天井裏空間23が形成されている。天井裏空間23は、建物20内の天井21と屋根又は上階の床との間の空間である。
【0019】
天井21には、貫通孔24が形成されている。貫通孔24を介して各部屋の室内空間22と天井裏空間23とが通じている。貫通孔24は、例えば通気孔である。他に例えば、主に意匠上の効果を狙って天井21の一部又は全体がメッシュ状になっていることで、室内空間22と天井裏空間23とが通じていてもよい。図2に示す例では、3つの部屋のそれぞれの天井21に貫通孔24が形成されている。これにより、3つの部屋のそれぞれの室内空間22が天井裏空間23に通じている。
【0020】
天井21の貫通孔24には、開閉部41が設けられている。開閉部41は、貫通孔24を開閉可能な例えば蓋あるいはシャッター等を有している。開閉部41は、図示しないアクチュエータにより人の手によらずに、貫通孔24を開放したり、貫通孔24を閉塞したりすることができる。開閉部41が貫通孔24を開放した状態では、当該貫通孔24を通過して室内空間22と天井裏空間23との間で空気の流通が可能である。一方、開閉部41が貫通孔24を閉塞した状態では、当該貫通孔24を介した室内空間22と天井裏空間23との間で空気の流通が阻止される。開閉部41は、天井21を貫通して形成された貫通孔24を閉塞可能な閉塞手段である。
【0021】
室内機1は、建物20の内部に設けられる室内ユニットである。室外機2は、建物20の外部に設けられる室外ユニットである。図2に示す例では、室内ユニットである室内機1は、天井裏空間23に設けられている。また、同図に示す例では、建物20の3つの部屋のそれぞれに対応して室内機1が計3台設けられている。このように、室内機1の数は1台に限られず、複数台であってもよい。
【0022】
前述したように、室内ユニットである室内機1と室外ユニットである室外機2とは、冷媒配管10で接続されている。図2に示すように、室内機1と室外機2とを接続する冷媒配管10の少なくとも一部は、建物20内における天井裏空間23内に配設されている。
【0023】
この実施の形態に係る冷凍サイクル装置である空気調和機は、さらに、冷媒センサ30を備えている。冷媒センサ30は、建物20内における天井裏空間23内に配置されている。ここで、図2に示す例では、天井裏空間23内に室内機1が配置されている。この場合、冷媒センサ30の設置位置は、天井裏空間23内のうちで室内機1の筐体内を除く領域内である。すなわち、冷媒センサ30は、天井裏空間23内で、かつ、室内ユニットの外部に設けられる。
【0024】
冷媒センサ30は、天井裏空間23内における冷媒を検知するセンサである。冷媒センサ30は、少なくとも、冷媒配管10に封入されたものと同種の冷媒を検知可能である。冷媒センサ30は、例えば、接触燃焼式、半導体式、熱伝導式、低電位電解式及び赤外線式などの各方式のセンサを用いることができる。冷媒センサ30は、天井裏空間23内の冷媒濃度を電気信号に変換して出力する。
【0025】
また、冷媒センサ30として酸素センサを用いることもできる。酸素センサを用いた場合には、センサ出力に基づいて酸素濃度を求め、酸素濃度の低下分は流入ガスによるものであるとして流入ガスの濃度を逆算することで、流入ガスすなわち冷媒の濃度を間接的に検出することができる。酸素センサとしては、例えば、ガルバニ電池式、ポーラロ式及びジルコニア式等の各方式を用いることができる。
【0026】
この実施の形態に係る冷凍サイクル装置である空気調和機は、図3に示すように、制御装置100を備えている。制御装置100は、冷凍サイクル装置である空気調和機の運転動作一般を制御する。この実施の形態においては、制御装置100は、その機能として、漏洩検知部111、記憶部112及び制御部113を備えている。
【0027】
漏洩検知部111は、冷媒センサ30の検知結果に基づいて、天井裏空間23内における冷媒の漏洩の発生を検知する。前述したように、冷媒センサ30は、直接的又は間接的に冷媒を検知可能である。そして、冷媒センサ30は、検知した冷媒の濃度に応じた検知信号を出力する。
【0028】
冷媒センサ30から出力された検知信号は、漏洩検知部111に入力される。漏洩検知部111は、冷媒センサ30からの検知信号の示す冷媒濃度が冷媒漏洩判断基準値以上であるか否かを判定する。冷媒漏洩判断基準値は、予め設定された値である。予め設定された冷媒漏洩判断基準値は、記憶部112に記憶されている。漏洩検知部111は、記憶部112から取得した冷媒漏洩判断基準値と冷媒センサ30からの検知信号の示す冷媒濃度とを比較して判定を行う。
【0029】
そして、冷媒センサ30からの検知信号の示す冷媒濃度が冷媒漏洩判断基準値以上である場合、漏洩検知部111は、制御部113へと冷媒漏洩検知信号を出力する。冷媒漏洩検知信号は、天井裏空間23内での冷媒漏洩を検知した旨の信号である。冷媒センサ30及び漏洩検知部111は、天井裏空間23内における冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段を構成している。この実施の形態に係る漏洩検知手段は、天井裏空間23内で、かつ、室内機1の外部に設けられた冷媒センサ30を有している。
【0030】
制御部113は、空気調和機が備えるアクチュエータを制御することで、空気調和機の動作全般を制御する。具体的に例えば、制御部113は、室内機1の室内ファン5、室外機2の室外ファン6、圧縮機7及び四方弁9の動作を制御することで、冷凍サイクルの動作を制御して、空気調和機の運転動作を制御する。また、制御部113は、前述した閉塞手段である開閉部41も制御可能である。
【0031】
制御部113は、漏洩検知部111から冷媒漏洩検知信号が入力された場合、閉塞手段である開閉部41に閉塞指示信号を出力する。閉塞指示信号は、開閉部41に貫通孔24の閉塞を指示する信号である。閉塞指示信号を受けた開閉部41は、天井21の貫通孔24を閉塞する。
【0032】
なお、天井21の貫通孔24を開閉する開閉部41は、建物20に設けられた設備の一部を利用してもよい。この場合、開閉部41は冷凍サイクル装置(空気調和機)には含まれない。ただし、冷凍サイクル装置(空気調和機)と開閉部41とを合わせて冷凍サイクルシステム(空気調和システム)として構成してもよい。
【0033】
以上のように構成された冷凍サイクル装置である空気調和機によれば、天井裏空間23内の冷媒配管10から冷媒が漏洩した場合に、開閉部41を閉じて天井21の貫通孔24を閉塞できる。このため、天井裏空間23内の漏洩冷媒が、貫通孔24から室内空間22内へと流入することを抑制できる。特に、1つの室外機2に複数の室内機1が接続される場合、室内機1の数が多くなるほど冷凍サイクル装置に使用される冷媒量が多くなる。このような場合、天井裏空間23内の冷媒配管10から冷媒が漏洩した場合、天井裏空間23内に漏洩する冷媒量が多くなり、冷媒が天井裏空間23内から室内空間22内へと流入してしまいやすくなる。このような場合であっても、この実施の形態に係る冷凍サイクル装置によれば、開閉部41により天井21の貫通孔24を閉じて、天井裏空間23内から室内空間22内への冷媒の流入を抑制できる。
【0034】
なお、開閉部41は、貫通孔24を必ずしも気密に閉塞しなくともよい。開閉部41が貫通孔24を閉じた状態で多少の隙間があったとしても、貫通孔24を冷媒が通過することを開閉部41により妨害できる。このため、天井裏空間23内から室内空間22内への冷媒流入の抑制に一定の効果がある。
【0035】
この実施の形態に係る冷凍サイクル装置おいては、漏洩検知部111から冷媒漏洩検知信号が出力されると、天井裏空間23での冷媒漏洩が発生した旨を利用者又は作業者等に報知し、換気及び修理等の実施を促すようにしてもよい。この場合、例えば、室内機1の筐体、空気調和機のリモコン等に設けられたLED等のランプを点灯させたり、スピーカから音声を鳴動させたりすることで、冷媒漏洩を報知する。また、制御装置100を、PC、スマートフォン、タブレット端末、スマートスピーカ、スマートウォッチ、スマートテレビ等の端末装置と通信可能に設け、これらの端末装置を用いて冷媒漏洩を報知してもよい。
【0036】
また、制御部113は、漏洩検知部111から冷媒漏洩検知信号が入力された場合、空気調和機の通常運転を停止させてもよい。この場合、専門の保守員等による点検、補修作業が完了するまでは、制御部113は通常運転に復帰させないようにすることが好ましい。
【0037】
さらに、図2に示すように、室外機2と室内機1との間の冷媒配管10に遮断弁11を設けてもよい。そして、図3に示すように、制御装置100の制御部113は、遮断弁11の開閉も制御する。この場合、制御部113は、漏洩検知部111から冷媒漏洩検知信号が出力されると、遮断弁11を閉じて冷媒配管10における冷媒の流通を阻止する。また、特に室内機1の内部に図示しない冷媒センサを設け、室内機1内での冷媒漏洩を検知した場合に、制御部113は遮断弁11を閉じて冷媒が室内機1に流入することを阻止するとよい。
【0038】
この実施の形態に係る冷凍サイクル装置である空気調和機は、図4に示すように、撹拌ファン43をさらに備えてもよい。撹拌ファン43は、建物20内における天井裏空間23内に配置されている。より厳密に言えば、撹拌ファン43の設置位置は、冷媒センサ30と同様に、天井裏空間23内のうちで室内機1の筐体内を除く領域内である。すなわち、撹拌ファン43は、天井裏空間23内で、かつ、室内ユニットの外部に設けられる。
【0039】
この場合、制御装置100の制御部113は、撹拌ファン43の動作についても制御する。制御部113は、漏洩検知部111から冷媒漏洩検知信号が入力された場合、撹拌ファン43に動作開始指示信号を出力する。動作開始指示信号は、撹拌ファン43に動作開始を指示する信号である。動作開始指示信号を受けた撹拌ファン43は動作を開始する。撹拌ファン43が動作すると、撹拌ファン43により天井裏空間23内に気流が生成され、天井裏空間23内の空気が撹拌される。このようにして、撹拌ファン43により天井裏空間23内の空気を撹拌することで漏洩した冷媒の拡散を図り、天井裏空間23内に漏洩した冷媒が滞留して冷媒濃度が上昇してしまうことを抑制できる。
【0040】
この実施の形態に係る冷凍サイクル装置である空気調和機は、図5に示すように、排気ファン44をさらに備えてもよい。この場合、建物20には排気口が形成されており、この排気口を介して天井裏空間23と建物20の外部すなわち屋外とが通じている。そして、この排気口に排気ファン44が設置されている。
【0041】
この場合、制御装置100の制御部113は、排気ファン44の動作についても制御する。制御部113は、漏洩検知部111から冷媒漏洩検知信号が入力された場合、排気ファン44に動作開始指示信号を出力する。動作開始指示信号は、排気ファン44に動作開始を指示する信号である。動作開始指示信号を受けた排気ファン44は動作を開始する。排気ファン44が動作すると、天井裏空間23内の空気が屋外に排出される。これにより、天井裏空間23内に漏洩した冷媒を屋外に排気し、天井裏空間23内に漏洩した冷媒が滞留して冷媒濃度が上昇してしまうことを抑制できる。
【0042】
この実施の形態に係る冷凍サイクル装置である空気調和機は、図6に示すように、配管カバー50を備えていてもよい。配管カバー50は、カバー主部51と誘導部52とを備えている。カバー主部51は、天井裏空間23内の冷媒配管10を覆って設けられている。すなわち、カバー主部51は中空筒状であり、カバー主部51の内側の空間内に冷媒配管10が収容されている。
【0043】
誘導部52も、カバー主部51と同様に中空筒状の部材である。誘導部52の一端は、カバー主部51に接続されている。誘導部52の他端は、建物20の外壁を貫通して屋外に露出している。カバー主部51の内側の空間は、誘導部52の内側の空間を介して、屋外すなわち建物20の外部にまで通じている。このような配管カバー50を備えることで、天井裏空間23内の冷媒配管10から冷媒が漏洩した場合に、漏洩した冷媒を配管カバー50内に留めることが可能である。そして、配管カバー50内の漏洩冷媒を、誘導部52により誘導して屋外に排出できる。また、配管カバー50から天井裏空間23内に冷媒が漏出したとしても、開閉部41により貫通孔24は閉塞されているため、冷媒が室内空間22内に流入することを抑制できる。このように、配管カバー50を備えることで、天井裏空間23内の冷媒配管10から冷媒が漏洩した場合に、冷媒が室内空間22内に流入することをより確実に抑制できる。
【0044】
配管カバー50の誘導部52は、カバー主部51に接続された前述の一端側が高く、前述の他端側すなわち屋外側が低くなるように傾斜させるとよい。この場合、誘導部52は、建物20の外部に向かうにつれて次第に低くなるように傾斜した傾斜部になっている。前述したように、冷媒配管10内を流通する冷媒には、空気より重いものが用いられる。そこで、このような傾斜した誘導部52を備えることで、誘導部52内を冷媒が自然に流下して、配管カバー50内の冷媒を速やかに屋外に排出できる。
【0045】
次に、この実施の形態に係る冷凍サイクル装置である空気調和機の変形例について図7を参照しながら説明する。この変形例では、天井21の貫通孔24には、開閉部41に代えて、吸気ファン42が設けられている。天井21の貫通孔24には、吸気ファン42が設けられている。吸気ファン42は、貫通孔24から天井裏空間23内に吸気可能なファンである。吸気ファン42が動作すると、貫通孔24内には、室内空間22から天井裏空間23に向かう気流が生成される。
【0046】
この変形例においては、制御装置100の制御部113は、吸気ファン42を制御可能である。制御部113は、漏洩検知部111から冷媒漏洩検知信号が入力された場合、吸気ファン42に動作開始指示信号を出力する。動作開始指示信号は、吸気ファン42に動作開始を指示する信号である。動作開始指示信号を受けた吸気ファン42は動作を開始する。吸気ファン42が動作すると、貫通孔24内に、室内空間22から天井裏空間23に向かう気流が生成される。
【0047】
以上のように構成された冷凍サイクル装置の変形例においては、天井裏空間23内の冷媒配管10から冷媒が漏洩した場合に、吸気ファン42により貫通孔24内に室内空間22から天井裏空間23に向かう気流を生成する。これにより、天井裏空間23内の漏洩冷媒が、貫通孔24から室内空間22内へと流入することを抑制できる。
【0048】
なお、天井21の貫通孔24を吸気ファン42は、建物20に設けられた設備の一部を利用してもよい。この場合、吸気ファン42は冷凍サイクル装置(空気調和機)には含まれない。ただし、冷凍サイクル装置(空気調和機)と吸気ファン42とを合わせて冷凍サイクルシステム(空気調和システム)として構成してもよい。
【0049】
図8は、この実施の形態における制御装置100の機能を実現する構成の一例を示す図である。制御装置100の機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。処理回路は、専用ハードウェア103であってもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア103として形成され、かつ、当該処理回路はさらにプロセッサ101及びメモリ102を備えていてもよい。同図に示す例においては、処理回路の一部は専用ハードウェア103として形成されている。また、同図に示す例において、処理回路は、プロセッサ101及びメモリ102をさらに備えている。
【0050】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア103である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらを組み合わせたものが該当する。処理回路が少なくとも1つのプロセッサ101及び少なくとも1つのメモリ102を備える場合、制御装置100の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0051】
ソフトウェア及びファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ102に格納される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ102には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM及びEEPROM等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリ、又は磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク及びDVD等が該当する。
【0052】
このようにして、制御装置100の処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって、制御装置100の各機能を実現することができる。制御装置100の処理回路が少なくともプロセッサ101及びメモリ102を備える場合、制御装置100においてメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行し、制御装置100のハードウェアとソフトウェアとが協働することによって、制御装置100が備える各部の機能が実現される。なお、冷凍サイクル装置は、単一の制御装置100により動作が制御される構成に限定されるものではない。冷凍サイクル装置は、複数の装置が連携することで動作を制御されてもよい。
【0053】
なお、本開示においては、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態を任意に組み合わせてもよい。以下に、本開示の諸態様の例を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
建物内に設けられた室内ユニットと、
前記建物の外部に設けられた室外ユニットと、
前記室内ユニットと前記室外ユニットを接続し、冷媒が流通する冷媒配管と、を備え、
前記冷媒配管の少なくとも一部は、前記建物内の天井と屋根又は上階の床との間の天井裏空間内に配設され、
前記天井裏空間内で、かつ、前記室内ユニットの外部に設けられたセンサを有し前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井を貫通して形成された貫通孔を閉塞可能な閉塞手段に、前記貫通孔を閉塞させる信号を出力する制御手段と、をさらに備えた冷凍サイクル装置。
(付記2)
建物内に設けられた室内ユニットと、
前記建物の外部に設けられた室外ユニットと、
前記室内ユニットと前記室外ユニットを接続し、冷媒が流通する冷媒配管と、を備え、
前記冷媒配管の少なくとも一部は、前記建物内の天井と屋根又は上階の床との間の天井裏空間内に配設され、
前記天井裏空間内で、かつ、前記室内ユニットの外部に設けられたセンサを有し前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井を貫通して形成された貫通孔から前記天井裏空間内に吸気可能な吸気ファンを動作させる信号を出力する制御手段と、をさらに備えた冷凍サイクル装置。
(付記3)
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井裏空間内の空気を撹拌する撹拌ファンをさらに備えた付記1又は付記2に記載の冷凍サイクル装置。
(付記4)
前記漏洩検知手段が前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記天井裏空間内の空気を前記建物の外部に排気する排気ファンをさらに備えた付記1から付記3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
(付記5)
前記天井裏空間内の前記冷媒配管を覆うカバーをさらに備え、
前記カバーの内側の空間は、前記建物の外部に通じている付記1から付記4のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
(付記6)
前記カバーは、前記建物の外部に向かうにつれて次第に低くなるように傾斜した傾斜部を有する付記5に記載の冷凍サイクル装置。
【符号の説明】
【0054】
1 室内機
2 室外機
3 室内熱交換器
4 室外熱交換器
5 室内ファン
6 室外ファン
7 圧縮機
8 膨張弁
9 四方弁
10 冷媒配管
11 遮断弁
20 建物
21 天井
22 室内空間
23 天井裏空間
24 貫通孔
30 冷媒センサ
41 開閉部
42 吸気ファン
43 撹拌ファン
44 排気ファン
50 配管カバー
51 カバー主部
52 誘導部
100 制御装置
101 プロセッサ
102 メモリ
103 専用ハードウェア
111 漏洩検知部
112 記憶部
113 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8