(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024130155
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】半導体記憶装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/20 20230101AFI20240920BHJP
H10B 43/23 20230101ALI20240920BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240920BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240920BHJP
【FI】
H10B43/20
H10B43/23
H01L29/78 371
H10B43/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023039708
(22)【出願日】2023-03-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】前田 秋生
(72)【発明者】
【氏名】藤塚 良太
(72)【発明者】
【氏名】石田 貴士
(72)【発明者】
【氏名】荒川 光
(72)【発明者】
【氏名】岸 寛貴
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083GA06
5F083JA03
5F083JA39
5F083KA01
5F083PR21
5F101BA42
5F101BA44
5F101BA46
5F101BB08
5F101BC01
5F101BD16
5F101BD34
5F101BF09
5F101BH02
5F101BH04
5F101BH05
(57)【要約】
【課題】メモリセルのオフリーク電流および基板の反りを抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による半導体記憶装置は、複数の電極膜と複数の第1絶縁膜とを第1方向に交互に積層して構成された積層体を備える。絶縁体柱は、積層体内を第1方向に貫通するホール内に、ホールの径方向に積層された第2絶縁膜および第3絶縁膜を含む。半導体層は、絶縁体柱の周囲に設けられている。第4絶縁膜は、半導体層の周囲に設けられている。第5絶縁膜は、第4絶縁膜の周囲に設けられている。第6絶縁膜は、第5絶縁膜の周囲に設けられている。第3絶縁膜の不純物濃度は、第2絶縁膜の不純物濃度よりも低い。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極膜と複数の第1絶縁膜とを第1方向に交互に積層して構成された積層体と、
前記積層体内を前記第1方向に貫通するホール内に、該ホールの径方向に積層された第2絶縁膜および第3絶縁膜を含む絶縁体柱と、
前記絶縁体柱の周囲に設けられた半導体層と、
前記半導体層の周囲に設けられた第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜の周囲に設けられた第5絶縁膜と、
前記第5絶縁膜の周囲に設けられた第6絶縁膜とを備え、
前記第3絶縁膜の不純物濃度は、前記第2絶縁膜の不純物濃度よりも低い、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜は、前記第3絶縁膜よりも前記ホールの中心軸側に設けられており、
前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜と前記半導体層との間に設けられている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも前記ホールの中心軸側に設けられており、
前記第2絶縁膜は、前記第3絶縁膜と前記半導体層との間に設けられている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第2および第3絶縁膜は、シリコン酸化膜であり、
前記不純物濃度は、窒素および炭素の濃度である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第2絶縁膜の不純物濃度は、5×1019cm-3以上であり、
前記第3絶縁膜の不純物濃度は、5×1019cm-3未満である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第2絶縁膜のフッ酸または熱リン酸によるエッチングレートは、前記第3絶縁膜のフッ酸または熱リン酸によるエッチングレートよりも高い、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記絶縁体柱は、前記ホール内に前記第2絶縁膜、前記第3絶縁膜および第7絶縁膜を積層して構成されている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第7絶縁膜は、前記第3絶縁膜よりも前記ホールの中心軸側に設けられており、
前記第3絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも前記ホールの中心軸側に設けられており、
前記第2絶縁膜は、前記第3絶縁膜と前記半導体層との間に設けられている、請求項7に記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記絶縁体柱は、前記ホール内に前記第2絶縁膜、前記第3絶縁膜、第7絶縁膜および第8絶縁膜を積層して構成されている、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第7絶縁膜は、前記第3絶縁膜よりも前記ホールの中心軸側に設けられており、
前記第3絶縁膜は、前記第8絶縁膜よりも前記ホールの中心軸側に設けられており、
前記第8絶縁膜は、前記第2絶縁膜よりも前記ホールの中心軸側に設けられており、
前記第2絶縁膜は、前記第8絶縁膜と前記半導体層との間に設けられている、請求項9に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
前記第8絶縁膜は、シリコン窒化膜である、請求項10に記載の半導体記憶装置。
【請求項12】
複数の電極膜と複数の第1絶縁膜とを第1方向に交互に積層して構成された積層体と、
前記積層体内を前記第1方向に貫通するホール内に第2絶縁膜および第3絶縁膜を積層した絶縁体柱と、
前記絶縁体柱の周囲に設けられた半導体層と、
前記半導体層の周囲に設けられた第4絶縁膜と、
前記第4絶縁膜の周囲に設けられた第5絶縁膜と、
前記第5絶縁膜の周囲に設けられた第6絶縁膜とを備え、
前記第2絶縁膜のフッ酸または熱リン酸によるエッチングレートは、前記第3絶縁膜のフッ酸または熱リン酸によるエッチングレートよりも高い、半導体記憶装置。
【請求項13】
複数の犠牲膜と複数の第1絶縁膜とを第1方向に交互に積層して積層体を形成し、
前記積層体内を前記第1方向に貫通するホールを形成し、
前記ホールの内壁に第4~第6絶縁膜および半導体層を、前記第6絶縁膜、前記第5絶縁膜、前記第4絶縁膜、前記半導体層の順番に積層し、
前記ホール内の前記半導体層の内側に第3絶縁膜を堆積し、
前記ホール内の前記第3絶縁膜の内側にシリコン膜またはシリコン窒化膜を形成し、
前記シリコン膜または前記シリコン窒化膜を酸化することによって前記ホール内の前記第2絶縁膜の内側に第3絶縁膜を形成することを具備する、半導体記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のメモリセルを三次元的に配列した立体型メモリセルアレイを備えるNAND型フラッシュメモリが開発されている。このようなメモリセルアレイには、積層された複数のワード線を貫通する柱状体が設けられている。柱状体の中心部には、絶縁材料からなるコア層が設けられている。このコア層が単一層の絶縁材料で形成されている場合、メモリセルのオフリーク電流および基板の反りが問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-529163号公報
【特許文献2】特開2020-047642号公報
【特許文献3】特開2022-145313号公報
【特許文献4】特開2004-253520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メモリセルのオフリーク電流および基板の反りを抑制することができる半導体記憶装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による半導体記憶装置は、複数の電極膜と複数の第1絶縁膜とを第1方向に交互に積層して構成された積層体を備える。絶縁体柱は、積層体内を第1方向に貫通するホール内に、ホールの径方向に積層された第2絶縁膜および第3絶縁膜を含む。半導体層は、絶縁体柱の周囲に設けられている。第4絶縁膜は、半導体層の周囲に設けられている。第5絶縁膜は、第4絶縁膜の周囲に設けられている。第6絶縁膜は、第5絶縁膜の周囲に設けられている。第3絶縁膜の不純物濃度は、第2絶縁膜の不純物濃度よりも低い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成例を示す断面図。
【
図3】3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図。
【
図4】3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図。
【
図5】第1実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図。
【
図6】第1実施形態によるアレイチップの製造方法を示す断面図。
【
図10】第2実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図。
【
図11】第2実施形態によるアレイチップの製造方法を示す断面図。
【
図13】第3実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図。
【
図14】第3実施形態によるアレイチップの製造方法を示す断面図。
【
図16】第4実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図。
【
図17】第4実施形態によるアレイチップの製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものである。明細書と図面において、同一の要素には同一の符号を付す。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体記憶装置1の構成例を示す断面図である。以下、積層体20の積層方向をZ方向とする。Z方向と交差、例えば、直交する1つの方向をY方向とする。Z方向およびY方向のそれぞれと交差、例えば、直交する1つの方向をX方向とする。
【0009】
半導体装置1は、メモリセルアレイを有するアレイチップ2と、CMOS回路を有するCMOSチップ3とを備えている。アレイチップ2とCMOSチップ3とは、貼合面B1において貼合されており、貼合面において接合された配線を介して互いに電気的に接続されている。
図1では、CMOSチップ3上にアレイチップ2が搭載された状態を示している。なお、本実施形態の半導体装置1は、アレイチップ2とCMOSチップ3とを貼合して構成されている。しかし、アレイチップ2とCMOSチップ3は同一基板上に連続して形成してもよい。
【0010】
CMOSチップ3は、基板30と、トランジスタ31と、ビア32と、配線33および34と、層間絶縁膜35とを備える。
【0011】
基板30は、例えば、シリコン基板等の半導体基板である。トランジスタ31は、基板30の上に設けられたNMOS又はPMOSのトランジスタである。トランジスタ31は、例えば、アレイチップ2のメモリセルアレイを制御するCMOS回路を構成する。トランジスタ31は、複数の論理回路の例である。基板30上には、トランジスタ31以外の抵抗素子、容量素子等の半導体素子が形成されていてもよい。
【0012】
ビア32は、トランジスタ31と配線33との間、あるいは、配線33と配線34との間を電気的に接続する。配線33および34は、層間絶縁膜35内において多層配線構造を構成する。配線34は、層間絶縁膜35内に埋め込まれ、層間絶縁膜35の表面にほぼ面一に露出されている。配線33および34は、トランジスタ31等に電気的に接続される。ビア32、配線33および34には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜35は、トランジスタ31、ビア32、配線33および34を被覆し保護する。層間絶縁膜35には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0013】
アレイチップ2は、積層体20と、柱状体CLと、スリットST(LI)と、半導体ソース層BSLと、金属層40と、コンタクト29と、ボンディングパッド50とを備えている。
【0014】
積層体20は、トランジスタ31の上方に設けられており、基板30に対してZ方向に位置する。積層体20は、Z方向に沿って複数の電極膜21および複数の絶縁膜22を交互に積層して構成されている。積層体20は、メモリセルアレイを構成する。電極膜21には、例えば、タングステン等の導電性金属が用いられる。絶縁膜22には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。絶縁膜22は、電極膜21同士を絶縁する。すなわち、複数の電極膜21は、相互に絶縁状態で積層されている。電極膜21および絶縁膜22のそれぞれの積層数は、任意である。絶縁膜22は、例えば、ポーラス絶縁膜またはエアギャップであってもよい。
【0015】
積層体20のZ方向の上端および下端の1つまたは複数の電極膜21は、それぞれソース側選択ゲートSGSおよびドレイン側選択ゲートSGDとして機能する。ソース側選択ゲートSGSとドレイン側選択ゲートSGDとの間の電極膜21は、ワード線WLとして機能する。ワード線WLは、メモリセルMCのゲート電極である。ドレイン側選択ゲートSGDは、ドレイン側選択トランジスタのゲート電極である。ソース側選択ゲートSGSは、積層体20の上部領域に設けられる。ドレイン側選択ゲートSGDは、積層体20の下部領域に設けられる。上部領域は、積層体20の、CMOSチップ3に近い側の領域を指し、下部領域は、積層体20の、CMOSチップ3から遠い側(金属層40に近い側)の領域を指す。
【0016】
半導体記憶装置1は、ソース側選択トランジスタとドレイン側選択トランジスタとの間に直列に接続された複数のメモリセルMCを有する。ソース側選択トランジスタ、メモリセルMC、および、ドレイン側選択トランジスタが直列に接続された構造は“メモリストリング”または“NANDストリング”と呼ばれる。メモリストリングは、例えば、ビア28を介してビット線BLに接続される。ビット線BLは、積層体20の下方に設けられ、X方向(
図1の紙面方向)に延在している配線23である。
【0017】
積層体20内には、複数の柱状体CLが設けられている。柱状体CLは、積層体20内において積層体の積層方向(Z方向)に該積層体20を貫通するように延在し、ビット線BLに接続されたビア28から半導体ソース層BSLまで設けられている。柱状体CLの内部構造は後述する。なお、本実施形態においては、柱状体CLは高アスペクト比であるため、Z方向に2段に分けて形成している。しかし、柱状体CLは1段であっても問題無い。
【0018】
また、積層体20内には、複数のスリットST(LI)が設けられている。スリットST(LI)は、X方向に延在し、かつ、積層体20の積層方向(Z方向)に該積層体20を貫通している。スリットST(LI)内には、シリコン酸化膜等の絶縁膜が充填されており、絶縁膜は板状に構成される。スリットST(LI)は、積層体20の電極膜21を電気的に分離している。代替的に、スリットST(LI)の内壁にシリコン酸化膜等の絶縁膜を被覆し、さらに絶縁膜の内側に導電材料を埋め込んでもよい。この場合、導電材料は、半導体ソース層BSLに達するソース配線LIとしても機能する。即ち、スリットSTは、メモリセルアレイを構成する積層体20の電極膜21から電気的に分離され、かつ、半導体ソース層BSLに電気的に接続されたソース配線LIであってもよい。スリットは、ST(LI)とも呼ぶ。
【0019】
積層体20の上には、半導体ソース層BSLが設けられている。半導体ソース層BSLは、第1半導体層の例である。半導体ソース層BSLは、積層体20に対応して設けられる。半導体ソース層BSLは、第1面F1と、第1面F1と反対側の第2面F2とを有する。半導体ソース層BSLの第1面F1側には、積層体20(メモリセルアレイ)が設けられており、第2面F2側には金属層40が設けられている。金属層40は、ソース線41と電源線42とを含む。これらソース線41と電源線42とは、後に詳述する。半導体ソース層BSLは、複数の柱状体CLの一端に共通に接続されており、同一のメモリセルアレイ2mにある複数の柱状体CLに共通のソース電位を与える。すなわち、半導体ソース層BSLは、メモリセルアレイ2mの共通ソース電極として機能する。半導体ソース層BSLには、例えば、ドープドポリシリコン等の導電性材料が用いられる。金属層40には、例えば、銅、アルミニウム、または、タングステン等の、半導体ソース層BSLよりも低抵抗の金属材料が用いられる。なお、2sは、各電極膜21にコンタクトを接続するために設けられた電極膜21の階段部分である。階段部分2sについては、
図2を参照して後述する。
【0020】
一方、積層体20の上であって、半導体ソース層BSLが設けられていない領域には、ボンディングパッド50が設けられている。ボンディングパッド50は、第1電極の例である。ボンディングパッド50は、金属ワイヤなど(図示せず)に接続され、半導体記憶装置1の外部から電源供給を受ける。ボンディングパッド50は、コンタクト29、配線24および配線34を介して、CMOSチップ3のトランジスタ31に接続される。このため、ボンディングパッド50から供給された外部電源が、トランジスタ31に供給される。コンタクト29は、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。
【0021】
本実施形態では、アレイチップ2とCMOSチップ3とは、個別に形成され、貼合面B1で貼合されている。したがって、アレイチップ2内にはトランジスタ31は設けられていない。また、CMOSチップ3内には、積層体20(メモリセルアレイ)は設けられていない。トランジスタ31および積層体20は、ともに半導体ソース層BSLの第1面F1側にある。トランジスタ31は、金属層40がある第2面F2とは反対側にある。
【0022】
積層体20の下方には、ビア28、配線23、および、配線24が設けられている。配線23および24は、層間絶縁膜25内に埋め込まれ、層間絶縁膜25の表面にほぼ面一に露出されている。配線23および24は、柱状体CLの半導体ボディ210等に電気的に接続される。ビア28、配線23および配線24には、例えば、銅、タングステン等の低抵抗金属が用いられる。層間絶縁膜25は、積層体20、ビア28、配線23および配線24を被覆し保護する。層間絶縁膜25には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁膜が用いられる。
【0023】
層間絶縁膜25と層間絶縁膜35は貼合面B1において貼合しており、配線24と配線34も貼合面B1において略面一で接合している。これにより、アレイチップ2とCMOSチップ3は、配線24および配線34を介して電気的に接続される。
【0024】
図2は、積層体20を示す模式平面図である。積層体20は、階段部分2sと、メモリセルアレイ2mとを含む。階段部分2sは、積層体20の縁部に設けられている。メモリセルアレイ2mは、階段部分2sによって挟まれ、あるいは、囲まれている。スリットST(LI)は、積層体20の一端の階段部分2sから、メモリセルアレイ2mを経て、積層体20の他縁の階段部分2sまで設けられている。スリットSHEは、少なくともメモリセルアレイ2mに設けられている。スリットSHEは、スリットST(LI)よりも浅く、スリットST(LI)と略平行に延伸している。スリットSHEは、ドレイン側選択ゲートSGDごとに電極膜21を電気的に分離するために設けられている。
【0025】
図2に示す2つのスリットST(LI)によって挟まれた積層体20の部分は、ブロック(BLOCK)と呼ばれる。ブロックは、例えば、データ消去の最小単位を構成する。スリットSHEは、ブロック内に設けられている。スリットST(LI)とスリットSHEとの間の積層体20は、フィンガと呼ばれる。ドレイン側選択ゲートSGDは、フィンガごとに区切られている。このため、データの書込みおよび読み出し時に、ドレイン側選択ゲートSGDにより、ブロック内の1つのフィンガを選択状態とすることができる。
【0026】
図3および
図4のそれぞれは、3次元構造のメモリセルを例示する模式断面図である。複数の柱状体CLのそれぞれは、積層体20内に設けられたメモリホールMH内に設けられている。メモリホールMHは、Z方向に沿って積層体20の上端から積層体20を貫通している。これに伴い、各柱状体CLは、Z方向に沿って積層体20の上端から積層体20を貫通し、積層体20内および半導体ソース層BSL内にかけて設けられている。複数の柱状体CLは、それぞれ、半導体ボディ210、メモリ膜220、および、コア層230を含む。柱状体CLは、その中心部に設けられたコア層230、該コア層230の周囲に設けられた半導体ボディ(半導体部材)210、および、該半導体ボディ210の周囲に設けられたメモリ膜(電荷蓄積部材)220を含む。半導体ボディ210は、積層体20内において、積層方向(Z方向)に延在している。半導体ボディ210は、半導体ソース層BSLと電気的に接続されている。メモリ膜220は、半導体ボディ210と電極膜21との間に設けられ、電荷捕獲部を有する。各フィンガからそれぞれ1つずつ選択された複数の柱状体CLは、
図1のビア28を介して1本のビット線BLに共通に接続される。柱状体CLのそれぞれは、例えば、メモリセルアレイ2mの領域に設けられている。
【0027】
図4に示すように、X-Y平面におけるメモリホールMHの形状は、例えば、円または楕円である。電極膜21と絶縁膜22との間には、メモリ膜220の一部を構成するブロック絶縁膜21aが設けられてもよい。ブロック絶縁膜21aは、例えば、シリコン酸化物膜または金属酸化物膜である。金属酸化物の1つの例は、アルミニウム酸化物である。電極膜21と絶縁膜22との間、および、電極膜21とメモリ膜220との間には、バリア膜21bが設けられていてもよい。バリア膜21bは、例えば、電極膜21がタングステンである場合、例えば、窒化チタンとチタンとの積層構造膜が選ばれる。ブロック絶縁膜21aは、電極膜21からメモリ膜220側への電荷のバックトンネリングを抑制する。バリア膜21bは、電極膜21とブロック絶縁膜21aとの密着性を向上させる。
【0028】
半導体部材としての半導体ボディ210の形状は、例えば、底を有した筒状である。半導体ボディ210は、コア層230の周囲を囲むように筒状に設けられている。半導体ボディ210には、例えば、ポリシリコンが用いられる。半導体ボディ210は、例えば、アンドープシリコンである。また、半導体ボディ210は、p型シリコンであってもよい。半導体ボディ210は、ドレイン側選択トランジスタSTD、メモリセルMC、および、ソース側選択トランジスタSTSのそれぞれのチャネルとなる。同一メモリセルアレイ2m内の複数の半導体ボディ210の一端は、半導体ソース層BSLに電気的に共通に接続される。
【0029】
メモリ膜220は、ブロック絶縁膜21a以外の部分が、メモリホールMHの内壁と半導体ボディ210との間に設けられている。メモリ膜220の形状は、例えば、筒状である。複数のメモリセルMCは、半導体ボディ210と、ワード線WLとなる電極膜21との間に記憶領域を有し、Z方向に積層されている。メモリ膜220は、例えば、カバー絶縁膜221、電荷捕獲膜222、および、トンネル絶縁膜223を含む。半導体ボディ210、カバー絶縁膜221、電荷捕獲膜222、および、トンネル絶縁膜223のそれぞれはZ方向に延伸している。
【0030】
カバー絶縁膜221は、絶縁膜22またはブロック絶縁膜21aと電荷捕獲膜222との間に設けられている。カバー絶縁膜221は、電荷捕獲膜222の周囲に設けられている。カバー絶縁膜221は、例えば、シリコン酸化物を含む。カバー絶縁膜221は、犠牲膜(図示せず)を電極膜21にリプレースするとき(リプレース工程)、電荷捕獲膜222がエッチングされないように保護する。カバー絶縁膜221は、リプレース工程において、電極膜21とメモリ膜220との間から除去されてもよい。この場合、
図3および
図4に示すように、電極膜21と電荷捕獲膜222との間には、例えば、ブロック絶縁膜21aが設けられなくなる。また、電極膜21の形成に、リプレース工程を利用しない場合には、カバー絶縁膜221は、なくてもよい。
【0031】
電荷捕獲膜222は、カバー絶縁膜221とトンネル絶縁膜223との間に設けられている。電荷捕獲膜222は、トンネル絶縁膜223の周囲を囲むように筒状に設けられている。電荷捕獲膜222は、例えば、シリコン窒化物を含み、膜中に電荷をトラップするトラップサイトを有する。電荷捕獲膜222のうち、ワード線WLとなる電極膜21と半導体ボディ210との間に挟まれた部分は、電荷捕獲部としてメモリセルMCの記憶領域を構成する。メモリセルMCの閾値電圧は、電荷捕獲部中の電荷の有無、または、電荷捕獲部中に捕獲された電荷の量によって変化する。これにより、メモリセルMCは、情報を保持する。
【0032】
トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷捕獲膜222との間に設けられている。トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210の周囲を囲むように筒状に設けられている。トンネル絶縁膜223は、例えば、シリコン酸化物、または、シリコン酸化物とシリコン窒化物とを含む。トンネル絶縁膜223は、半導体ボディ210と電荷捕獲膜222との間の電位障壁である。例えば、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ電子を注入するとき(書き込み動作)、および、半導体ボディ210から電荷捕獲部へ正孔を注入するとき(消去動作)、電子および正孔が、それぞれトンネル絶縁膜223の電位障壁を通過(トンネリング)する。
【0033】
コア層230は、筒状の半導体ボディ210の内部スペースを埋め込む。コア層230の形状は、例えば、柱状である。コア層230は、例えば、シリコン酸化物を含み、絶縁性である。コア層230は、
図4に示すように、複数の絶縁膜231、232によって構成されている。
【0034】
図5は、第1実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図である。柱状体CLは、コア層230とメモリ膜220とを含む。
図5は、
図3の破線枠Bの部分を模式的に示している。尚、
図5の“-”は、メモリセルMCのチャネルを流れる電荷(電子)を示す。“+”は、固定電荷を示す。
【0035】
コア層230は、メモリホールMH内において、絶縁膜231と絶縁膜232とをメモリホールMHの径方向に積層することによって構成されている。
【0036】
本実施形態では、
図4および
図5に示すように、絶縁膜231は、絶縁膜232よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられている。よって、絶縁膜232は、絶縁膜231と半導体ボディ210との間に設けられている。絶縁膜231の膜厚は、例えば、約1nm~5nmである。絶縁膜232の膜厚は、例えば、約2~10nmである。このとき、
図4に示すX-Y断面において、コア層230の半径は、約20nmである。
【0037】
絶縁膜231、232には、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられている。しかし、絶縁膜232に含まれる不純物濃度は、絶縁膜231に含まれる不純物濃度よりも低い。例えば、不純物としては、窒素(N)、炭素(C)がある。絶縁膜232に含まれる窒素および炭素の濃度は、絶縁膜231に含まれるそれらの濃度よりも低い。より詳細には、絶縁膜231の窒素および炭素の濃度は、5×1019cm-3以上である。絶縁膜232の窒素および炭素の濃度は、5×1019cm-3未満である。
【0038】
また、絶縁膜231に含まれる不純物濃度が絶縁膜232に含まれる不純物濃度よりも高いので、絶縁膜231のエッチングレートは、絶縁膜232のエッチングレートよりも高い。例えば、絶縁膜231、232がシリコン酸化膜であり、不純物が窒素および炭素の場合、絶縁膜231のフッ酸または熱リン酸によるエッチングレートは、絶縁膜232のフッ酸または熱リン酸によるエッチングレートよりも高くなる。
【0039】
絶縁膜231、232は、それらの成膜工程が異なるため、このように不純物濃度が異なる。例えば、絶縁膜231は、ALD(Atomic Layer Deposition)法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法を用いて成膜されている。この場合、成膜工程におけるプロセスガスに窒素および炭素が含まれているため、絶縁膜231は、多くの窒素および炭素を含む。一方、絶縁膜232は、アモルファスシリコン膜を成膜した後、このアモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に結晶化させてから酸化することによって形成される。この場合、アモルファスシリコン膜の成膜工程では、プロセスガスに窒素および炭素があまり含まれていない。このため、絶縁膜232は、窒素および炭素の含有量の少ないシリコン酸化膜となる。本実施形態において、絶縁膜232に用いられるポリシリコン膜は、半導体ボディ210に用いられる材料である。従って、絶縁膜232は、半導体ボディ210の表面を酸化することによって形成され得る。このように、絶縁膜231、232は、同じ絶縁材料で構成されているものの、成膜方法によって不純物濃度において相違させることができる。
【0040】
もし、ALD法またはCVD法を用いたシリコン酸化膜のみでコア層230を構成した場合、コア層230の全体の不純物濃度が高くなる。この場合、コア層230と半導体ボディ210との間の界面において界面準位密度が高くなり、不純物によって発生する固定電荷が多くなる。メモリセルMCのチャネル部の近くに多くの固定電荷が存在すると、メモリセルMCの駆動電流が小さくなり、メモリセルMCのカットオフ特性も悪化する。また、アモルファスシリコン膜は、メモリホールMH内に均一に成膜することが困難である。従って、アモルファスシリコン膜のみを用いてコア層230のシリコン酸化膜を形成した場合、コア層230の膜厚の均一性が悪化する。即ち、コア層230を半導体ボディ210の表面にコンフォーマルに形成することができない。
【0041】
これに対し、本実施形態によるコア層230では、半導体ボディ210を酸化して形成された絶縁膜232がALD法またはCVD法を用いて形成された絶縁膜231と半導体ボディ210との間に設けられている。これにより、半導体ボディ210に近いコア層230には、界面準位密度および固定電荷が少なくなる。一方、メモリホールMH内の絶縁膜232の内側には、絶縁膜231が成膜されている。絶縁膜231は、絶縁膜232によって半導体ボディ210(メモリセルMCのチャネル部)から絶縁膜232の膜厚の分だけ離間している。よって、半導体ボディ210に対する絶縁膜231の電荷による影響は緩和される。その結果、メモリセルMCの駆動電流の低下を抑制し、メモリセルMCのカットオフ特性の悪化を抑制することができる。カットオフ特性は、メモリセルMCが非導通状態のときにオフリーク電流を阻止する特性である。また、メモリホールMH内の絶縁膜232の内側に絶縁膜231を成膜することによって、コア層230は、全体としてメモリホールMH内にほぼ均一に埋め込まれる。このように、コア層230を絶縁膜231、232の積層膜にすることによって、メモリセルMCの駆動電流の低下を抑制し、カットオフ特性の悪化を抑制する。また、コア層230をメモリホールMH内にコンフォーマルに形成することができる。
【0042】
また、ALD法またはCVD法を用いたシリコン酸化膜のみでコア層230を構成した場合、コア層230の収縮力によって、アレイチップ2が椀状に反ってしまう場合がある。
【0043】
これに対し、本実施形態によるコア層230は、半導体ボディ210を酸化して形成された絶縁膜2312およびALD法またはCVD法で形成された絶縁膜232の積層体で構成されている。この場合、絶縁膜232は収縮し、絶縁膜231は膨張するので、絶縁膜231、232がアレイチップ2に印加する応力は或る程度キャンセルされる。これにより、アレイチップ2の反りを緩和することができる。
【0044】
次に、本実施形態による半導体記憶装置の製造方法について説明する。
【0045】
図6~
図9は、第1実施形態によるアレイチップ2の製造方法を示す断面図である。
図6~
図9に示す断面は、
図5に示す断面に対応する。
【0046】
まず、図示しない基板の上方に、複数の犠牲膜121と複数の絶縁膜22とをZ方向に交互に積層して積層体20を形成する。積層体20内をZ方向に貫通するメモリホールMHを形成する。これにより、
図6に示す構造が得られる。絶縁膜22には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。犠牲膜121には、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁材料が用いられる。
【0047】
次に、メモリホールMHの内壁にカバー絶縁膜221、電荷捕獲膜222およびトンネル絶縁膜223を、この順番に積層する。これにより、
図7に示すメモリ膜220の構造が得られる。カバー絶縁膜221には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。電荷捕獲膜222には、例えば、シリコン窒化膜等の絶縁材料が用いられる。トンネル絶縁膜223には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。
【0048】
次に、メモリホールMH内のトンネル絶縁膜223の内壁に半導体ボディ210を形成する。半導体ボディ210には、例えば、ポリシリコン等の半導体材料が用いられる。半導体ボディ210のポリシリコンは、メモリホールMH内において、トンネル絶縁膜223の内壁にアモルファスシリコン膜を堆積し、そのアモルファスシリコン膜をアニールで結晶することによって形成される。
【0049】
次に、メモリホールMH内において露出された半導体ボディ210の表面を酸化する。このとき、半導体ボディ210の表面は、例えば、ドライ酸化法で熱酸化してもよく、あるいは、ラジカル酸化法で酸化してもよい。これにより、
図8に示すように、メモリホールMH内において、半導体ボディ210の内壁に絶縁膜232を形成する。半導体ボディ210がポリシリコンである場合、絶縁膜232は、シリコン酸化膜となる。
【0050】
絶縁膜232は、半導体ボディ210の表面部分を酸化して形成されるので、絶縁膜232と半導体ボディ210との間の界面における界面準位密度が少なく、不純物も少ない。したがって、半導体ボディ210と絶縁膜232との間の界面には電荷がトラップされ難く、固定電荷も少ない。
【0051】
次に、ALD法またはCVD法を用いて、メモリホールMH内において絶縁膜232の内側に、絶縁膜231を堆積する。これにより、
図9に示すコア層230の構造が得られる。絶縁膜231には、例えば、シリコン酸化膜等の絶縁材料が用いられる。ALD法またはCVD法を用いて堆積された絶縁膜231は、絶縁膜232に比べて不純物(例えば、窒素、炭素)の濃度が高い。よって、絶縁膜231は、絶縁膜232よりも多くの固定電荷を含む。しかし、絶縁膜231は、半導体ボディ210(メモリセルMCのチャネル部)から絶縁膜232の膜厚の分だけ離間している。よって、絶縁膜231の固定電荷の影響は、絶縁膜232によって緩和されている。その結果、上述の通り、メモリセルMCの駆動電流の低下を抑制し、カットオフ特性の悪化を抑制する。また、コア層230をメモリホールMH内にコンフォーマルに形成することができる。なお、不純物は、例えば、窒素、炭素等の水素を除く第3周期までの非金属元素である。不純物濃度は、水素を除く第3周期までの非金属元素の濃度の和である。
【0052】
次に、積層体20を貫通するスリットST(
図1参照)を形成し、スリットSTを埋め込む前に、スリットSTを介して、犠牲膜121およびカバー絶縁膜221を除去する。犠牲膜121が除去された後の空間の内壁に、バリア膜21bおよびブロック絶縁膜21aを薄く成膜し、さらに、この空間内に電極膜21の材料(例えば、タングステン)を埋め込む。これにより、積層体20の犠牲膜121が電極膜21に置換(リプレース)され、
図5の積層体20および柱状体CLが形成される。
【0053】
スリットSTの内壁にシリコン酸化膜等の絶縁膜を形成し、スリットST内の絶縁膜の内側にタングステン等の導電材料を埋め込む。これにより、
図1のソース配線LIが形成される。ソース配線LIは、半導体ソース層BSLに電気的に接続される。
【0054】
次に、柱状体CL上に図示しない多層配線層等を形成する。これにより、アレイチップ2が完成する。
【0055】
次に、
図1に示すように、別工程で形成されたCMOSチップ3をアレイチップ2に貼合する。
【0056】
次に、CMP法を用いて、半導体ソース層BSLを露出させる。半導体ソース層BSL上に金属層40およびボンディングパッド50を形成する。これにより、本実施形態による半導体記憶装置1が完成する。
【0057】
本実施形態によれば、絶縁膜232は、半導体ボディ210の表面部分を酸化することによって形成されている。よって、絶縁膜232と半導体ボディ210との間の界面準位密度が少なく、固定電荷も少ない。これにより、メモリセルMCの駆動電流の低下を抑制し、メモリセルMCのカットオフ特性の悪化を抑制することができる。
【0058】
メモリホールMH内の絶縁膜232の内側には、ALD法またはCVD法を用いて形成された絶縁膜231が成膜されている。絶縁膜231は、半導体ボディ210(メモリセルMCのチャネル部)から絶縁膜232の膜厚の分だけ離間している。よって、半導体ボディ210に対する絶縁膜231の固定電荷による影響は緩和される。また、ALD法またはCVD法を用いて形成された絶縁膜231は、メモリホールMH内にコンフォーマルに形成することができる。よって、コア層230は、メモリセルMCの駆動電流の低下およびカットオフ特性の悪化を抑制しつつ、メモリホールMH内に略均一に埋め込まれ得る。
【0059】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図である。
図10は、
図3の破線枠Bの部分を模式的に示している。
【0060】
第2実施形態では、絶縁膜232が、絶縁膜231よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられている。絶縁膜231は、絶縁膜232と半導体ボディ210との間に設けられている。
【0061】
絶縁膜231は、半導体ボディ210の形成後、ALD法またはCVD法を用いて半導体ボディ210の表面に堆積される。絶縁膜231と半導体ボディ210との間の界面において界面準位密度が比較的高くなる。しかし、絶縁膜231の不純物濃度は高いものの、絶縁膜231は、例えば、1nm~5nmと薄く形成されており、不純物含有量自体は少ない。また、メモリホールMH内の絶縁膜231の内側には、絶縁膜232が埋め込まれている。絶縁膜232は、アモルファスシリコン膜を酸化して形成されている。よって、絶縁膜232は、不純物濃度が低い。よって、絶縁膜231と半導体ボディ210との間の界面には、界面準位密度が高いものの、トラップされる固定電荷は少ない。従って、メモリセルMCの駆動電流の低下を抑制し、メモリセルMCのカットオフ特性の悪化を抑制することができる。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の構成と同様でよい。よって、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
次に、第2実施形態による半導体記憶装置の製造方法について説明する。
【0063】
図11および
図12は、第2実施形態によるアレイチップ2の製造方法を示す断面図である。
図6および
図7を参照して説明した工程を経た後、
図11に示すように、ALD法またはCVD法を用いて、メモリホールMH内において半導体ボディ210の内壁に、絶縁膜231を堆積する。絶縁膜231の膜厚は、例えば、1nm~5nmと薄い。ALD法またはCVD法を用いて堆積された絶縁膜231は、絶縁膜232に比べて不純物の濃度が高い。しかし、絶縁膜231は、例えば、1nm~5nmと薄いので、不純物含有量は少ない。よって、絶縁膜231と半導体ボディ210との間の界面において固定電荷は比較的少ない。また、ALD法またはCVD法を用いて堆積された絶縁膜231は、メモリホールMH内の半導体ボディ210の内壁にコンフォーマルに形成され得る。
【0064】
次に、メモリホールMH内において絶縁膜231の内側に、アモルファスシリコン膜を堆積する。次に、このアモルファスシリコン膜を酸化する。これにより、
図12に示す絶縁膜232が形成される。絶縁膜232は、メモリホールMH内の絶縁膜231の内側を埋め込む。このアモルファスシリコン膜の酸化処理は、ドライ酸化、ウェット酸化のような熱酸化処理であってもよく、ラジカル酸化のような酸化処理であってもよい。また、酸化処理前にアモルファスシリコンを結晶化し、ポリシリコンを酸化することで絶縁膜232を形成しても良い。このように、コア層230が形成される。
【0065】
その後、第1実施形態同様に、犠牲膜121を電極膜21に置換(リプレース)する工程等を経て第2実施形態による半導体記憶装置1が完成する。
【0066】
第2実施形態によれば、絶縁膜232が、絶縁膜231よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられ、絶縁膜231が、絶縁膜232と半導体ボディ210との間に設けられている。アモルファスシリコン膜を酸化して形成された絶縁膜232は、絶縁膜231に比べて不純物濃度が低い。よって、絶縁膜232と半導体ボディ210との間に絶縁膜231が介在するものの、コア層230に含まれる不純物量が少ないので、結果として、絶縁膜232と半導体ボディ210との間の界面において固定電荷量は少なくなる。よって、第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(第3実施形態)
図13は、第3実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図である。
図10は、
図3の破線枠Bの部分を模式的に示している。
【0068】
第3実施形態では、コア層230がメモリホールMH内において、半導体ボディ210の側壁に形成された三層(絶縁膜231~233)の積層体となっている。絶縁膜231は、第2実施形態の絶縁膜231と同じ構成であり、絶縁膜232と半導体ボディ210との間に設けられている。絶縁膜232は、絶縁膜231よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられている。絶縁膜233は、絶縁膜232よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられている。絶縁膜233は、メモリホールMH内の絶縁膜232の内側を埋め込んでいる。絶縁膜233の不純物濃度は、絶縁膜231のそれと同様でよく、5×1019cm-3以上である。よって、絶縁膜233のフッ酸または熱リン酸によるエッチングレートは、絶縁膜232のそれよりも高い。
【0069】
絶縁膜231は、半導体ボディ210の形成後、ALD法またはCVD法を用いて半導体ボディ210の表面に堆積される。絶縁膜231の不純物濃度は高いものの、絶縁膜231は、例えば、1nm~5nmと薄く形成されており、不純物含有量自体は少ない。また、メモリホールMH内の絶縁膜231の内側には、絶縁膜232が埋め込まれている。絶縁膜232は、アモルファスシリコン膜を酸化して形成されている。よって、絶縁膜232は、不純物濃度が低い。よって、絶縁膜231と半導体ボディ210との間の界面には、界面準位密度が高いものの、トラップされる固定電荷は少ない。従って、メモリセルMCの駆動電流の低下を抑制し、メモリセルMCのカットオフ特性の悪化を抑制することができる。
【0070】
絶縁膜233は、ALD法またはCVD法を用いて絶縁膜232の表面に堆積される。従って、絶縁膜233の不純物濃度は高いものの、絶縁膜233と半導体ボディ210との間には、絶縁膜231、232が介在する。従って、絶縁膜233は、絶縁膜231、232によって半導体ボディ210(メモリセルMCのチャネル部)から絶縁膜231、232の膜厚の分だけ離間している。よって、半導体ボディ210に対する絶縁膜233の電荷による影響は緩和される。その結果、メモリセルMCの駆動電流の低下を抑制し、メモリセルMCのカットオフ特性の悪化を抑制することができる。
【0071】
また、メモリホールMH内の絶縁膜232の内側に絶縁膜233を成膜することによって、絶縁膜233は、絶縁膜232内にほぼ均一に埋め込まれる。このように、コア層230を絶縁膜231~233の三層積層膜にすることによって、コア層230をメモリホールMH内にコンフォーマルに形成することができる。
【0072】
第3実施形態のその他の構成は、第2実施形態の構成と同様でよい。よって、第3実施形態は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0073】
次に、第3実施形態による半導体記憶装置の製造方法について説明する。
【0074】
図14および
図15は、第3実施形態によるアレイチップ2の製造方法を示す断面図である。
図6、
図7および
図11を参照して説明した工程を経た後、
図14に示すように、メモリホールMH内において絶縁膜231の内側に、アモルファスシリコン膜を堆積する。次に、このアモルファスシリコン膜を酸化する。このアモルファスシリコン膜の酸化処理は、ドライ酸化、ウェット酸化のような熱酸化処理であってもよく、ラジカル酸化のような酸化処理であってもよい。これにより、
図14に示す絶縁膜232が形成される。
【0075】
次に、ALD法またはCVD法を用いて、メモリホールMH内において絶縁膜232の内側に、絶縁膜233を堆積する。ALD法またはCVD法を用いて堆積された絶縁膜233は、メモリホールMH内の絶縁膜232の内壁にコンフォーマルに形成され得る。絶縁膜232は、絶縁膜232の内側を埋め込む。これにより、
図15に示す三層構造のコア層230が形成される。
【0076】
その後、第1実施形態同様に、犠牲膜121を電極膜21に置換(リプレース)する工程等を経て第3実施形態による半導体記憶装置1が完成する。
【0077】
第3実施形態によれば、絶縁膜232が、絶縁膜231よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられ、絶縁膜233が、絶縁膜232よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられている。絶縁膜231が、絶縁膜232と半導体ボディ210との間に設けられている。従って、第3実施形態は第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
さらに、ALD法またはCVD法を用いて堆積された絶縁膜233は、メモリホールMH内の絶縁膜232の内側をコンフォーマルに埋め込むことができる。
【0079】
(第4実施形態)
図16は、第4実施形態による柱状体および積層体の一部を示す断面図である。
図16は、
図3の破線枠Bの部分を模式的に示している。
【0080】
第4実施形態では、コア層230がメモリホールMH内において、半導体ボディ210の側壁に形成された四層(絶縁膜231~234)の積層体となっている。絶縁膜231、233は、第3実施形態の絶縁膜231、233と同じ構成である。
【0081】
絶縁膜233は、メモリホールMH内の絶縁膜232の内側を埋め込んでいる。絶縁膜232は、絶縁膜234よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられている。絶縁膜234は、絶縁膜231よりもメモリホールMHの中心軸側に設けられている。絶縁膜231は、絶縁膜234と半導体ボディ210との間に設けられている。
【0082】
絶縁膜234は、シリコン窒化膜であり、絶縁膜231と絶縁膜232との間に設けられている。絶縁膜232は、シリコン窒化膜をラジカル酸化することによって形成されたシリコン酸化膜である。このとき、窒素が絶縁膜231側に寄り、シリコン窒化膜である絶縁膜234が形成される。絶縁膜232は、シリコン窒化膜を酸化して形成されたシリコン酸化膜であるが、窒素濃度は、ALD法またはCVD法を用いて形成された絶縁膜231、233のシリコン酸化膜の窒素濃度に比べて低い。第4実施形態のその他の構成は、第3実施形態の構成と同様でよい。よって、第4実施形態は、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
次に、第4実施形態による半導体記憶装置の製造方法について説明する。
【0084】
図17および
図18は、第4実施形態によるアレイチップ2の製造方法を示す断面図である。
図6、
図7および
図11を参照して説明した工程を経た後、
図17に示すように、メモリホールMH内において絶縁膜231の内側に、絶縁膜232としてシリコン窒化膜を堆積する。次に、このシリコン窒化膜をラジカル酸化する。これにより、シリコン窒化膜は酸化され、シリコン酸化膜に変質するとともに、絶縁膜231側にシリコン窒化膜が形成される。第4実施形態において、このシリコン酸化膜が絶縁膜232となり、シリコン窒化膜が絶縁膜234となる。これにより、
図18に示す構造が得られる。
【0085】
次に、
図15を参照して説明した工程を経て、絶縁膜233が、メモリホールMH内の絶縁膜232の内側に埋め込まれる。これにより、
図16に示す四層構造のコア層230が形成される。
【0086】
その後、第1実施形態同様に、犠牲膜121を電極膜21に置換(リプレース)する工程等を経て第4実施形態による半導体記憶装置1が完成する。
【0087】
第4実施形態によれば、絶縁膜232、234は、シリコン窒化膜を酸化することによって形成されている。この場合、シリコン窒化膜の絶縁膜234が絶縁膜231と絶縁膜232との間に残るが、その他の構成は、第3実施形態の構成と同様となる。従って、第4実施形態は、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0089】
2 アレイチップ
20 積層体
CL 柱状体
ST(LI) スリット
BSL 半導体ソース層
MH メモリホール
210 半導体ボディ
220 メモリ膜
230 コア層
21 電極膜
22 絶縁膜
21a ブロック絶縁膜
21b バリア膜
221 カバー絶縁膜
222 電荷捕獲膜
223 トンネル絶縁膜
231~234 絶縁膜