IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 芝浦メカトロニクス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ウェーハ収納容器洗浄装置 図1
  • 特開-ウェーハ収納容器洗浄装置 図2
  • 特開-ウェーハ収納容器洗浄装置 図3A
  • 特開-ウェーハ収納容器洗浄装置 図3B
  • 特開-ウェーハ収納容器洗浄装置 図4
  • 特開-ウェーハ収納容器洗浄装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024131696
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ウェーハ収納容器洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240920BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01L21/304 648E
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042116
(22)【出願日】2023-03-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】宮迫 久顕
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131BA37
5F131CA12
5F131DA05
5F131DA22
5F131DB52
5F131DB72
5F131DB76
5F131EA06
5F131EC22
5F131GA14
5F131GA15
5F131GA27
5F131GA73
5F131GA76
5F131HA42
5F131HA44
5F157BB23
5F157BB24
5F157BB37
5F157CC21
5F157DC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】洗浄槽で洗浄されるウェーハ収納容器の汚染を抑制するウェーハ収納容器洗浄装置を提供する。
【解決手段】ウェーハ収納容器洗浄装置は、上面に開口部を有し、ウェーハ収納容器20を内部に収容可能な洗浄槽本体5aと、洗浄槽本体5aの開口部を開閉する蓋部5bと、シェル20aのシェル開口部を下方に向けた状態でシェル20aを載置可能な載置部5cと、シェル載置状態において、シェル20aの内面に洗浄液を吐出する第1の洗浄液吐出部5dと、シェル20aの外側に設けられ、シェル20aの外面に洗浄液を吐出する第2の洗浄液吐出部5eと、を備える。第1の洗浄液吐出部5dの水平方向に洗浄液を吐出するノズル5mの吐出口及び第2の洗浄液吐出部5eのノズル5oの吐出口は、載置部5cにシェル20aが載置されていない状態であるシェル非載置状態において、一方の吐出口から他方の吐出口に向かって互いに洗浄液を吐出可能に対向している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シェル開口部を有するシェル、及び、前記シェル開口部に装着されるドアを有するウェーハ収納容器を洗浄するウェーハ収納容器洗浄装置であって、
上面に開口部を有し、前記ウェーハ収納容器を内部に収容可能な容器である洗浄槽本体と、
前記洗浄槽本体の前記開口部側に設けられ、前記洗浄槽本体の前記開口部を開閉する蓋部と、
前記洗浄槽本体の内部に設けられ、前記シェルの前記シェル開口部を下方に向けた状態で前記シェルを載置可能な載置部と、
前記載置部により前記シェルが載置された状態であるシェル載置状態において前記シェルの内部に設けられ、前記シェルの内面に洗浄液を吐出する第1の洗浄液吐出部と、
前記シェル載置状態において前記シェルの外側に設けられ、前記シェルの外面に洗浄液を吐出する第2の洗浄液吐出部と、
を備え、
前記第1の洗浄液吐出部の吐出口及び前記第2の洗浄液吐出部の吐出口は、前記載置部により前記シェルが載置されていない状態であるシェル非載置状態において、一方の吐出口から他方の吐出口に向かって互いに洗浄液を吐出可能に対向している、ウェーハ収納容器洗浄装置。
【請求項2】
前記蓋部は、前記ドアを保持する保持機構を有し、
前記シェル載置状態であり、かつ、前記保持機構により前記ドアが保持された状態であるドア保持状態である場合において、前記シェルの外面のうち上面及び前記ドアにおける前記シェルの上面と対向するドア内面に洗浄液を吐出する第3の洗浄液吐出部を更に備え、
前記第1の洗浄液吐出部の吐出口及び前記第3の洗浄液吐出部の吐出口は、前記シェル非載置状態、かつ、前記保持機構により前記ドアが保持されていない状態であるドア非保持状態において、一方の吐出口から他方の吐出口に向かって互いに洗浄液を吐出可能に対向している、請求項1に記載のウェーハ収納容器洗浄装置。
【請求項3】
前記第1の洗浄液吐出部及び前記第2の洗浄液吐出部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記シェル非載置状態において、前記第1の洗浄液吐出部に対して洗浄液を吐出するように前記第2の洗浄液吐出部を制御する、請求項1に記載のウェーハ収納容器洗浄装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の洗浄液吐出部に対して洗浄液を吐出するように前記第2の洗浄液吐出部を制御する前に、前記第2の洗浄液吐出部に対して洗浄液を吐出するように前記第1の洗浄液吐出部を制御する、請求項3に記載のウェーハ収納容器洗浄装置。
【請求項5】
前記第1の洗浄液吐出部、前記第2の洗浄液吐出部及び前記第3の洗浄液吐出部を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記シェル非載置状態、かつ、前記ドア非保持状態において、前記第1の洗浄液吐出部に対して洗浄液を吐出するように前記第2の洗浄液吐出部及び前記第3の洗浄液吐出部を制御する、請求項2に記載のウェーハ収納容器洗浄装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の洗浄液吐出部に対して洗浄液を吐出するように前記第2の洗浄液吐出部及び前記第3の洗浄液吐出部を制御する前に、前記第2の洗浄液吐出部及び前記第3の洗浄液吐出部に対して洗浄液を吐出するように前記第1の洗浄液吐出部を制御する、請求項5に記載のウェーハ収納容器洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ウェーハ収納容器洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハ(半導体ウェーハ)を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)やFOSB(Front Opening Shipping Box)等のウェーハ収納容器がある。例えば、FOUPは、開口部を有するシェルと、開口部に装着されるドアとを備える。シェルの内部には、複数のウェーハを保持するために複数の棚が形成されている。
【0003】
ところで、半導体素子は、様々な工程を経てウェーハ上に形成される。ウェーハは、工程間を移動する際にウェーハ収納容器内に収容された状態で搬送される。複数の工程で繰り返しウェーハ収納容器が使用されると、ウェーハ収納容器内部(例えばシェル内部)には、パーティクルや化学的な汚染物質が付着することがある。それらの汚染物質がウェーハ収納容器内に収容されているウェーハに再付着すると、結果として半導体素子の歩留まりが低くなる。このため、何度かウェーハ収納容器の使用が繰り返されたら、ウェーハ収納容器を洗浄して清浄な状態に復帰させることが必要である。
【0004】
例えば、FOUPを洗浄する技術としては、シェル及びドアを一つの洗浄槽内に収容し、シェル及びドアに対して洗浄及び乾燥を行う装置が提案されている。洗浄及び乾燥済みのシェル及びドアは、洗浄及び乾燥後に洗浄槽内から搬出され、次のシェル及びドアが洗浄槽内に搬入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-109523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ウェーハ収納容器内部には、汚染物質が付着している。そのため、ウェーハ収納容器内部を洗浄しているときに、ウェーハ収納容器内部に洗浄液を供給する洗浄液供給部に汚染物質が付着してしまうおそれがある。洗浄液供給部に汚染物質が付着したまま次のウェーハ収納容器を洗浄すると、洗浄液供給部に付着していた汚染物質がそのウェーハ収納容器に付着し、ウェーハ収納容器を汚染してしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ウェーハ収納容器の汚染を抑制することができるウェーハ収納容器洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一態様に係るウェーハ収納容器洗浄装置は、シェル開口部を有するシェル、及び、前記シェル開口部に装着されるドアを有するウェーハ収納容器を洗浄するウェーハ収納容器洗浄装置であって、上面に開口部を有し、前記ウェーハ収納容器を内部に収容可能な容器である洗浄槽本体と、前記洗浄槽本体の前記開口部側に設けられ、前記洗浄槽本体の前記開口部を開閉する蓋部と、前記洗浄槽本体の内部に設けられ、前記シェルの前記シェル開口部を下方に向けた状態で前記シェルを載置可能な載置部と、前記載置部により前記シェルが載置された状態であるシェル載置状態において前記シェルの内部に設けられ、前記シェルの内面に洗浄液を吐出する第1の洗浄液吐出部と、前記シェル載置状態において前記シェルの外側に設けられ、前記シェルの外面に洗浄液を吐出する第2の洗浄液吐出部と、を備え、前記第1の洗浄液吐出部の吐出口及び前記第2の洗浄液吐出部の吐出口は、前記載置部により前記シェルが載置されていない状態であるシェル非載置状態において、一方の吐出口から他方の吐出口に向かって互いに洗浄液を吐出可能に対向している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、ウェーハ収納容器の汚染を抑制することができるウェーハ収納容器洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るウェーハ収納容器洗浄装置の概略構成の一例を示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る洗浄槽5の構成の一例を模式的に示す図である。
図3A図3Aは、実施形態に係るシェルの搬出時、搬入時及び乾燥時の第3の洗浄液供給部の位置の一例を説明するための図である。
図3B図3Bは、実施形態に係るシェルの洗浄時の第3の洗浄液供給部の位置の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る制御部の構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係るウェーハ収納容器洗浄装置が実行する洗浄槽5における自己洗浄処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するウェーハ収納容器洗浄装置の実施形態を詳細に説明する。なお、本願の開示するウェーハ収納容器洗浄装置は、以下の実施形態により限定されるものではない。また、各実施形態及び各変形例は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることができる。なお、以下の実施形態では、洗浄対象のウェーハ収納容器が、FOUPである場合を挙げて説明するが、洗浄対象のウェーハ収納容器はこれに限られない。例えば、洗浄対象のウェーハ収納容器は、FOSBであってもよい。
【0012】
(実施形態)
図1は、実施形態に係るウェーハ収納容器洗浄装置1の概略構成の一例を示す平面図である。ウェーハ収納容器洗浄装置1は、例えば、半導体ウェーハを製造する工場内に設けられ、ウェーハ収納容器を洗浄する。図1に示すように、ウェーハ収納容器洗浄装置1は、ロードポート2、ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、真空槽6、アンロードポート7及び制御部8を備える。
【0013】
ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、真空槽6及び制御部8は、ウェーハ収納容器洗浄装置1のケーシング1aの内部に設けられている。一方、ロードポート2及びアンロードポート7は、ウェーハ収納容器洗浄装置1のケーシング1aの内部及び外部に跨って設けられている。
【0014】
ロードポート2は、ロードポート2のケーシング1aの外部の部分に載置された、洗浄対象となるFOUP20をケーシング1aの内部に搬入する。FOUP20は、シェル(FOUP本体)20aとドア(蓋)20bとを備える。シェル20aは、開口部(シェル開口部)と、半導体ウェーハを収納する収納空間とを有する。収納空間は、シェル開口部よりも内側に存在し、シェル開口部に連通する。ドア20bは、シェル20aと分解/連結が可能であり、シェル20aと連結した際にはシェル開口部に対して開閉可能な状態で装着される。また、シェル20aにはフランジ20cが設けられている。フランジ20cは、FOUP20がOHT(Overhead Hoist Transport)やロボット3等により搬送される際に把持(保持)される部分である。
【0015】
例えば、ロードポート2のケーシング1aの外部の部分には、OHTによりフランジ20cが把持された状態で搬送されたFOUP20が載置される。例えば、図1に示すように、FOUP20のドア20bが、ケーシング1aの開口部1bに設けられたシャッター2aに対向するように、FOUP20が載置される。このようにしてロードポート2にFOUP20が載置されると、シャッター2aが上昇する。これにより、開口部1bからFOUP20がケーシング1aの内部に搬入可能な状態となる。すなわち、FOUP20がウェーハ収納容器洗浄装置1の内部に搬入可能な状態となる。そして、ロードポート2のスライド装置によりFOUP20が、矢印2bの方向にスライドされる。これにより、FOUP20がケーシング1aの内部に搬入される。スライド装置によるスライドについて説明する。例えば、スライド装置に備えられたピンが、FOUP20の底部(載置面)に設けられた孔部に挿入されることによりFOUP20の載置面がスライド装置に固定される。この状態で、スライド装置が矢印2bの方向へスライドされることによりFOUP20も伴ってスライドされる。これにより、FOUP20は、ロードポート2のケーシング1aの内部の所定の部分上に載置された状態となる。このようにしてFOUP20がケーシング1aの内部に搬入されると、シャッター2aが下降して、ケーシング1aの開口部1bが閉じられる。スライド装置はピンとともにシャッター2aの下端(FOUP20の載置面)よりも低い位置まで降下し、ケーシング1aの外部の元の位置へ戻る。
【0016】
ロボット3は、FOUP20のフランジ20cを把持した状態でFOUP20を各部へ搬送する。ロボット3は、ロボットアーム3a及びロボットハンド3bを備えている。ロボット3は、ロボットハンド3bにフランジ20cを把持させた状態で、ロボットアーム3aを伸縮させたり回転移動させたりすることで、FOUP20を各部へ搬送する。
【0017】
分解/連結ステージ4は、FOUP20をシェル20aとドア20bとに分解したり、シェル20aとドア20bとを連結したりする。分解/連結ステージ4上にはラッチキー4aが設けられている。このラッチキー4aがFOUP20のドア20bに形成されたキー穴に挿入された状態で回転することで、FOUP20がシェル20aとドア20bとに分解(分離)されたり、シェル20aとドア20bとが連結されたりする。例えば、分解/連結ステージ4には、ケーシング1aの内部に搬入されたFOUP20がロボット3により搬送される。この場合、分解/連結ステージ4は、FOUP20をシェル20aとドア20bとに分解する。なお、分解は、アンロックと言い換えることができ、連結は、ロックと言い換えることができる。
【0018】
洗浄槽5は、FOUP20を洗浄する槽である。洗浄槽5は、洗浄部の一例である。図2は、実施形態に係る洗浄槽5の構成の一例を模式的に示す図である。図2に示すように、例えば、洗浄槽5は、洗浄槽本体5aと、蓋部5bと、載置部5cと、第1の洗浄液供給部(第1の洗浄液吐出部)5dと、第2の洗浄液供給部(第2の洗浄液吐出部)5eと、乾燥部5fと、第1の排出部5gと、第2の排出部5hと、第3の洗浄液供給部(第3の洗浄液吐出部)5pと、固定部5sと、中空部5tとを備える。
【0019】
洗浄槽本体5aは、FOUP20を内部に収容可能な容器である。洗浄槽本体5aは、上方に開口部(本体開口部)を有するとともに、本体開口部に連通する洗浄空間を有する。洗浄空間は、本体開口部よりも内部に存在する空間である。ロボット3により、シェル20aが、本体開口部を経由して洗浄空間に搬入される。このようにして、シェル20aは、洗浄槽本体5aの内部に搬入される。そして、洗浄槽本体5aの洗浄空間に設けられた載置部5cには、搬入されたシェル20aが載置される。載置部5cは、洗浄槽本体5aの内部に設けられ、図2に示すように、シェル20aのシェル開口部が下方に向けられた状態でシェル20aを載置することが可能な台(載置台)である。載置部5cには、位置決めピンが設けられている。位置決めピンにより、シェル20aの載置位置が決定される。図2に示すように、載置部5cには、複数の貫通孔5c_1が形成されている。貫通孔5c_1は、第1の排出部5gに連通(接続)している。また、載置部5cの中心に開口が設けられている。
【0020】
中空部5tは、載置部5cの中心に設けられた開口に接続しており、上下方向に延びる軸5lを回転軸として、固定部5s周りを回転可能に構成されている。中空部5tが回転することにより、連動して、載置部5cも回転する。固定部5sは、洗浄槽本体5aに対して固定されている部材である。固定部5sは、中空部5tが有する中空を上下方向に貫くように設けられており、中空部5tが回転可能なように中空部5tを支持する。固定部5sは、固定の台5s_1及び固定シャフト5s_2を備える。
【0021】
固定の台5s_1の外形は、中空部5tが有する中空の外形よりも大きい。このようにすることで、シェル20aの内部を洗浄した洗浄液であって、固定の台5s_1の上面へと流れた洗浄液が中空部5tが有する中空内へと流れることを防ぐことができる。また、後述する洗浄槽5における自己洗浄処理において、第1の洗浄液供給部5dあるいは第3の洗浄液供給部5pを洗浄した洗浄液であって、固定の台5s_1の上面へと流れた洗浄液が中空部5tが有する中空内へと流れることを防ぐことができる。
【0022】
また、固定の台5s_1の外周に下に向かって伸長する凸部を設けるようにしてもよい。この場合、中空部5tの上端を載置部5cの上面よりも高い位置に設けることが好ましい。このようにすることで、固定の台5s_1の凸部と中空部5tの上端とでラビリンス構造を形成することができる。その結果、シェル20aの内部を洗浄した洗浄水あるいは、自己洗浄処理時に使用された洗浄水が中空部5tの中空内へと流れることをより防ぐことができる。なお、中空部5tが載置部5cの下面と接続される場合、載置部5cの開口周辺にその開口を囲うように凸部を設けるようにすればよい。その場合、固定の台5s_1の外形は、凸部の外形よりも大きくすればよい。
【0023】
蓋部5bは、洗浄槽本体5aの上方(本体開口部側)に設けられており、エアシリンダが動作することにより洗浄槽本体5aの本体開口部に対して開閉する。蓋部5bの内側にはドア20bを吸着して保持することが可能な保持部(保持機構)5iが設けられている。
【0024】
本実施形態では、洗浄槽5においてFOUP20の洗浄が行われる場合、ロボット3は、分解/連結ステージ4上のシェル20aとドア20bとを別々に洗浄槽5に搬送する。例えば、ロボット3は、シェル20aの開口部が下方に向けられた状態で、シェル20aを洗浄槽本体5aの開口部から洗浄槽本体5aの内部に搬送する。そして、図2に示すように、シェル20aは、シェル20aの開口部が下方に向けられた状態で、載置部5cに載置される。また、ロボット3は、ドア20bの外側の面が蓋部5bの保持部5iにより保持されるように、ドア20bを保持部5iに搬送する。これにより、図2に示すように、蓋部5bが閉じられた場合、ドア20bの内側の面(内面)が下方を向くようになる。
【0025】
また、洗浄槽本体5aの洗浄空間には、第1の洗浄液供給部5d、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pが設けられている。第1の洗浄液供給部5d、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pには、シェル20a及びドア20bを洗浄処理する際に用いられる洗浄液(例えばDI水(脱イオン水)等の純水)が供給される。そして、第1の洗浄液供給部5dは、シェル20aの収納空間(シェル20aの内面)に洗浄液を供給(吐出)することにより、収納空間内(シェル20aの内面)の洗浄を行う。また、第2の洗浄液供給部5eは、シェル20aの外側の側面に洗浄液を供給(吐出)することにより、シェル20aの外側の側面を洗浄する。また、第3の洗浄液供給部5pは、シェル20aの外側の上面及び蓋部5bの保持部5iにより保持されたドア20bの内面に洗浄液を供給(吐出)することにより、シェル20aの外側の上面及びドア20bの内面を洗浄する。
【0026】
第1の洗浄液供給部5dは、載置部5cに載置されたシェル20aの収納空間に洗浄液を供給することが可能な位置に設けられている。例えば、第1の洗浄液供給部5dは、固定部5sにおける台5s_1の上面から上方向に延びる少なくとも1本の棒状のパイプと、水平方向に延びる少なくとも1本の棒状のパイプと、各パイプに複数設けられたノズル5mとを備える。ノズル5mは、例えば、二流体ノズルである。ノズル5mが二流体ノズルである場合、ノズル5mは、空気(気体の一例)と洗浄液とを混合し、空気の流れにより洗浄液を微粒化して、微粒化された洗浄液をシェル20aの収納空間に供給する。なお、このようなノズル5mは、空気と洗浄液とを混合せずに、洗浄液を収納空間に供給することができる。すなわち、ノズル5mは、洗浄液を微粒化せずに、微粒化されていない洗浄液を収納空間に供給することができる。なお、空気および洗浄液は、固定シャフト5s_2内に設けられた配管であって、前述の固定部5sにおける台5s_1の上面から上方向に延びる棒状のパイプと接続された配管を通り、ノズル5mへと供給される。
【0027】
図2に示すように、第1の洗浄液供給部5dには、水平方向に洗浄液を吐出するノズル5mと、上方向に洗浄液を吐出するノズル5mとがある。水平方向に洗浄液を吐出するノズル5mは、シェル20aの内側の側面の洗浄を行う。上方向に洗浄液を吐出するノズル5mは、シェル20aの内側の上面の洗浄を行う。すなわち、第1の洗浄液供給部5dは、載置部5cによりシェル20aが載置された状態であるシェル載置状態において、シェル20aの内部に設けられ、シェル20aの内面に洗浄液を吐出する。
【0028】
第2の洗浄液供給部5eは、シェル20aの外側の側面に洗浄液を供給することが可能な位置に設けられている。例えば、第2の洗浄液供給部5eは、上下方向に延びる少なくとも1本の棒状のパイプと、パイプに複数設けられたノズル5oとを備える。ノズル5oは、例えば、一流体ノズルである。ノズル5oが一流体ノズルである場合、ノズル5oは、シェル20aの外側の側面に洗浄液を供給する。すなわち、第2の洗浄液供給部5eは、上述したシェル載置状態において、シェル20aの外側に設けられ、シェル20aの外面に洗浄液を吐出する。
【0029】
ここで、本実施形態では、載置部5cによりシェル20aが載置されていない状態(洗浄槽5内にシェル20aが無い状態)であるシェル非載置状態において、第1の洗浄液供給部5dの水平方向に洗浄液を吐出するノズル5mの吐出口と、第2の洗浄液供給部5eのノズル5oの吐出口とが、対向している。すなわち、第1の洗浄液供給部5dの吐出口及び第2の洗浄液供給部5eの吐出口は、上述したシェル非載置状態において、一方の吐出口から他方の吐出口に向かって互いに洗浄液を吐出可能に対向している。
【0030】
第3の洗浄液供給部5pは、シェル20aの外側の上面及び蓋部5bの保持部5iにより保持されたドア20bの内面に洗浄液を供給することが可能な位置に設けられている。例えば、第3の洗浄液供給部5pは、水平方向に延び、かつ回動可能な少なくとも1本の棒状のパイプと、パイプに複数設けられたノズル5r又はノズル5nとを備える。ノズル5nは、例えば、ドア20bの内面に向かって吐出するように設けられた、ノズル5mと同様の二流体ノズルである。ノズル5nが二流体ノズルである場合、ノズル5nは、ドア20bの内面に微粒化された洗浄液を供給する。また、ノズル5rは、例えば、一流体ノズルである。ノズル5rが一流体ノズルである場合、ノズル5rは、シェル20aの外側の上面に洗浄液を供給する。このように、第3の洗浄液供給部5pは、上述したシェル載置状態であり、かつ、蓋部5bの保持部5iによりドア20bが保持された状態であるドア保持状態である場合において、シェル20aの外面のうち上面及びドア20bにおけるシェル20aの上面と対向するドア内面に洗浄液を吐出する。
【0031】
図3Aは、実施形態に係るシェル20aの搬出時、搬入時及び乾燥時の第3の洗浄液供給部5pの位置の一例を説明するための図である。図3Bは、実施形態に係るシェル20aの洗浄時の第3の洗浄液供給部5pの位置の一例を説明するための図である。なお、図3Aでは、乾燥部5fは、実施形態に係るシェル20aの搬出時、搬入時における位置を示している。例えば、図2中、シェル20aとドア20bとの間に配置されている第3の洗浄液供給部5pのノズル5rは、シェル20aの搬出時、搬入時及び乾燥時には、図3Aに示すように、シェル20aに干渉しない位置(退避位置)に退避している。そして、シェル20aが洗浄空間に搬入され、保持部5iによりドア20bが保持された状態で蓋部5bが閉じられた後に、第3の洗浄液供給部5pのノズル5rは、図3Bに示すように、回動して、載置部5cに載置されたシェル20aの上方であり、かつ、保持部5iにより保持されたドア20bの下方の位置(洗浄位置)に移動する。洗浄が終了すると、第3の洗浄液供給部5pのノズル5rは、回動して、退避位置に戻る。なお、ノズル5nについては、図3A及び図3Bにおいて図示されていないが、ノズル5rと同様に移動する。
【0032】
本実施形態では、上述したシェル非載置状態であり、かつ、保持部5iによりドア20bが保持されていない状態であるドア非保持状態において、第3の洗浄液供給部5pのノズル5rが洗浄位置に位置している場合、ノズル5rの吐出口と上方向に洗浄液を吐出するノズル5mの吐出口とが対向している。すなわち、第1の洗浄液供給部5dの吐出口及び第3の洗浄液供給部5pの吐出口は、上述したシェル非載置状態、かつ、上述したドア非保持状態において、一方の吐出口から他方の吐出口に向かって互いに洗浄液を吐出可能に対向している。
【0033】
乾燥部5fは、シェル20aの内面、シェル20aの外面及びドア20bの内面に熱風(ホットブロー)を供給することが可能な位置に設けられている。例えば、乾燥部5fは、上下方向に延びる少なくとも2本の棒状のパイプと、水平方向に延びる少なくとも2本の棒状のパイプと、各パイプに複数設けられたホットブローノズルとを備える。本実施形態においては、シェル20aが載置された際に、シェル20aの内面に熱風を供給する、固定部5sにおける台5s_1の上面から上方向に延びる少なくとも1本のパイプと、固定部5sにおける台5s_1の上面と接続され、水平方向に延びる少なくとも1本のパイプとが設けられている。また、シェル20aの外側部分に熱風を供給する、上下方向に延びる少なくとも1本のパイプと、水平方向に延びていて回動可能な少なくとも1本のパイプが設けられている。これらのパイプに設けられたホットブローノズルは、シェル20aの内面、シェル20aの外面及びドア20bの内面に熱風を供給する。
【0034】
例えば、図2中、シェル20aとドア20bとの間に配置されている乾燥部5fは、シェル20aの搬出時、搬入時及び洗浄時には、シェル20aに干渉しない位置(退避位置)に退避している。そして、洗浄が終了すると、回動して、載置部5cに載置されたシェル20aの上方であり、かつ、保持部5iにより保持されたドア20bの下方の位置(乾燥位置)に移動する。乾燥が終了すると、乾燥部5fは、回動して、退避位置に戻る。
【0035】
また、洗浄槽本体5aは、モータ5kを含む第1の回転部を備える。第1の回転部は、シェル20aの洗浄中及び乾燥中に、上下方向に延びる軸5lを回転軸として、中空部5tを回転させることにより載置部5cを回転させる。載置部5cの回転に伴い、載置部5cに載置されたシェル20aも回転する。また、蓋部5bは、モータ5jを含む第2の回転部を備える。第2の回転部は、ドア20bの洗浄中及び乾燥中に、軸5lを回転軸として、保持部5iを回転させる。保持部5iの回転に伴い、保持部5iに保持されたドア20bも回転する。よって、FOUP20の洗浄中には、FOUP20にまんべんなく洗浄液が供給されることになる。また、FOUP20の乾燥中には、FOUP20にまんべんなくホットブローが供給されることになる。また、ホットブローノズルからホットブローを供給することなく、第1の回転部及び第2の回転部による回転によってシェル20a及びドア20bに付着した液体の乾燥を行うようにしても良い。
【0036】
第1の排出部5gは、シェル20aの収納空間に供給(吐出)された洗浄液を排出する。上述したように、第1の排出部5gは、貫通孔5c_1に連通(接続)している。このため、シェル20aの収納空間に供給された洗浄液が、貫通孔5c_1を経由して、第1の排出部5gに流入する。
【0037】
第2の排出部5hは、シェル20aの外側を経由した洗浄液を排出する。シェル20aの外側を経由した洗浄液とは、シェル20aの外面及びドア20bの内面に供給(吐出)された洗浄液である。例えば、第2の排出部5hは、洗浄槽本体5aの底部に設けられた排出口である。
【0038】
なお、洗浄槽5においてFOUP20の洗浄が完了した場合、ロボット3は、洗浄槽5内のシェル20aとドア20bとを別々に真空槽6に搬送する。
【0039】
図1の説明に戻り、真空槽6は、FOUP20を真空乾燥する槽である。真空槽6の内部には、真空槽6の内部に搬送されたシェル20a及びドア20bを保持する保持部、ハロゲンランプ、及び、真空槽6の内部を真空引きすることができるドライポンプやメカニカルブースターポンプなどの真空ポンプを備える。真空槽6は、保持部によりシェル20a及びドア20bが保持された状態で、真空槽6の内部を真空ポンプにより真空引きしながらハロゲンランプで加温することで、シェル20a及びドア20bを真空乾燥する。
【0040】
なお、真空槽6においてFOUP20の真空乾燥が完了すると、ロボット3は、真空槽6内のシェル20aとドア20bとを別々に分解/連結ステージ4上に搬送する。そして、分解/連結ステージ4は、シェル20aとドア20bとを連結する。
【0041】
アンロードポート7は、アンロードポート7のケーシング1aの内部の部分にロボット3により載置された洗浄済みであり真空乾燥済みであるFOUP20をケーシング1aの外部に搬出する。
【0042】
例えば、アンロードポート7のケーシング1aの内部の部分には、真空乾燥後に、分解/連結ステージ4おいてシェル20aとドア20bとが連結されたFOUP20がロボット3により搬送されて載置される。このようにしてアンロードポート7にFOUP20が載置されると、ケーシング1aの開口部1cに設けられたシャッター7aが上昇する。これにより、開口部1cからFOUP20がケーシング1aの外部に搬出可能な状態となる。すなわち、FOUP20がウェーハ収納容器洗浄装置1の外部に搬出可能な状態となる。そして、アンロードポート7のスライド装置(ロードポート2のスライド装置と同様の機構を有する)によりFOUP20が、矢印7bの方向にスライドされることにより、FOUP20がケーシング1aの外部に搬出される。このようにしてFOUP20がケーシング1aの外部に搬出されると、シャッター7aが下降して、ケーシング1aの開口部1cが閉じられる。
【0043】
制御部8は、ウェーハ収納容器洗浄装置1全体の動作を制御する。例えば、制御部8は、ロードポート2、ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、真空槽6及びアンロードポート7を制御することにより、上述したように、ロードポート2、ロボット3、分解/連結ステージ4、洗浄槽5、真空槽6及びアンロードポート7を動作させる。
【0044】
図4は、実施形態に係る制御部8の構成の一例を示す図である。図4に示すように、制御部8は、CPU(Central Processing Unit)8aと、ROM(Read Only Memory)8bと、RAM(Random Access Memory)8cと、HDD(Hard Disk Drive)8dと、通信インタフェース8eと、を備える。これらは、内部バスを介して接続されている。
【0045】
CPU8aは、RAM8cの記憶領域を各種の処理に用いられるデータの一時的な保存領域として用いながら、各種の処理を実行する。CPU8aにより実行される処理については後述する。ROM8b及びHDD8dには各種の処理を実行するためのプログラムや、各種の処理を実行する際に用いられる各種のデータベースや各種のテーブル等が記憶されている。例えば、ROM8b又はHDD8dには、洗浄槽5における自己洗浄処理を実行するためのプログラムが記憶されている。
【0046】
通信インタフェース8eは、ウェーハ収納容器洗浄装置1の上述した各部と通信を行うとともに、ウェーハ収納容器洗浄装置1とネットワークを介して接続された外部の装置と通信を行うためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース8eは、ネットワークインタフェースカードである。
【0047】
次に、本実施形態に係るウェーハ収納容器洗浄装置1が実行する洗浄槽5における自己洗浄処理について説明する。図5は、実施形態に係るウェーハ収納容器洗浄装置1が実行する洗浄槽5における自己洗浄処理の流れを示すフローチャートである。図5に示す自己洗浄処理は、ウェーハ収納容器洗浄装置1のメンテナンスを行う期間に、制御部8が備えるマウスやキーボード、タッチパネル等の入力インタフェースを介して、ユーザから自己洗浄処理を実行するための指示が制御部8に入力された場合に実行される。なお、自己洗浄処理は、洗浄槽5からシェル20a及びドア20bが搬出されており、洗浄槽5内にシェル20a及びドア20bが無い状態で実行される。
【0048】
図5に示すように、制御部8のCPU8aは、第3の洗浄液供給部5pのノズル5rを洗浄位置に移動させる(ステップS101)。これにより、ノズル5rの吐出口と上方向に洗浄液を吐出するノズル5mの吐出口とが対向するようになる。
【0049】
次に、CPU8aは、第1の洗浄液供給部5dで第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを洗浄することを開始するように第1の洗浄液供給部5dを制御する(ステップS102)。これにより、第1の洗浄液供給部5dの水平方向に洗浄液を吐出するノズル5mは、第2の洗浄液供給部5eを洗浄することを開始する。また、第1の洗浄液供給部5dの上方向に洗浄液を吐出するノズル5mは、第3の洗浄液供給部5pを洗浄することを開始する。
【0050】
ステップS102において、CPU8aは、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを洗浄する際にノズル5mから吐出される洗浄液の流量が、シェル20aを洗浄する際にノズル5mから吐出される洗浄液の流量よりも多くなるように、第1の洗浄液供給部5dを制御する。この理由について説明する。例えば、シェル20aの洗浄時にはノズル5mから吐出される洗浄液がシェル20aの内面まで届けばよい。一方、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pの洗浄時には、ノズル5mから吐出される洗浄液が、シェル20aよりも遠い第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pまで届く必要がある。このため、流量を多くすることで、ノズル5mから吐出される洗浄液が、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pまで届くようにしている。
【0051】
次に、CPU8aは、ステップS102において第1の洗浄液供給部5dで第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを洗浄することを開始してから、第1の洗浄時間が経過したか否かを判定する(ステップS103)。第1の洗浄時間は、実験又はシミュレーションにより、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pが十分に洗浄されることが期待できる予め決められた時間である。
【0052】
第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを洗浄することを開始してから、第1の洗浄時間が経過していない場合(ステップS103:No)、CPU8aは、再び、ステップS103の判定を行う。一方、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを洗浄することを開始してから、第1の洗浄時間が経過した場合(ステップS103:Yes)、CPU8aは、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pの洗浄を終了するように、第1の洗浄液供給部5dを制御する(ステップS104)。すなわち、CPU8aは、第1の洗浄液供給部5dのノズル5mからの洗浄液の吐出を停止するように第1の洗浄液供給部5dを制御する。このようにして、第1の洗浄液供給部5dは、第1の洗浄時間、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを洗浄する。
【0053】
次に、CPU8aは、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pで第1の洗浄液供給部5dを洗浄することを開始するように第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを制御する(ステップS105)。これにより、第2の洗浄液供給部5eのノズル5oは、第1の洗浄液供給部5dの全部分のうち、水平方向に洗浄液を吐出するノズル5mを含む部分を洗浄することを開始する。また、第3の洗浄液供給部5pのノズル5rは、第1の洗浄液供給部5dの全部分のうち、第1の洗浄液供給部5dの上方向に洗浄液を吐出するノズル5mを含む部分を洗浄することを開始する。
【0054】
ステップS105において、CPU8aは、第1の洗浄液供給部5dを洗浄する際にノズル5o、5rから吐出される洗浄液の流量が、シェル20aを洗浄する際にノズル5o、5rから吐出される洗浄液の流量よりも多くなるように、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを制御する。この理由は、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを洗浄する際にノズル5mから吐出される洗浄液の流量が、シェル20aを洗浄する際にノズル5mから吐出される洗浄液の流量よりも多くなる上述した理由と同様の理由である。
【0055】
次に、CPU8aは、ステップS105において第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pで第1の洗浄液供給部5dを洗浄することを開始してから、第2の洗浄時間が経過したか否かを判定する(ステップS106)。第2の洗浄時間は、実験又はシミュレーションにより、第1の洗浄液供給部5dが十分に洗浄されることが期待できる予め決められた時間である。
【0056】
第1の洗浄液供給部5dを洗浄することを開始してから、第2の洗浄時間が経過していない場合(ステップS106:No)、CPU8aは、再び、ステップS106の判定を行う。一方、第1の洗浄液供給部5dを洗浄することを開始してから、第2の洗浄時間が経過した場合(ステップS106:Yes)、CPU8aは、第1の洗浄液供給部5dの洗浄を終了するように、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを制御する(ステップS107)。すなわち、CPU8aは、第2の洗浄液供給部5eのノズル5o及び第3の洗浄液供給部5pのノズル5rからの洗浄液の吐出を停止するように第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを制御する。このようにして、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pは、第2の洗浄時間、第1の洗浄液供給部5dを洗浄する。
【0057】
そして、CPU8aは、第3の洗浄液供給部5pのノズル5rを退避位置に移動させ(ステップS108)、自己洗浄処理を終了する。
【0058】
以上、本実施形態に係るウェーハ収納容器洗浄装置1について説明した。本実施形態では、制御部8は、ステップS105で、上述したシェル非載置状態において、第1の洗浄液供給部5dに対して洗浄液を吐出するように第2の洗浄液供給部5eを制御する。より具体的には、制御部8は、ステップS105で、上述したシェル非載置状態、かつ、上述したドア非保持状態において、第1の洗浄液供給部5dに対して洗浄液を吐出するように第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを制御する。これにより、第1の洗浄液供給部5dに付着された汚染物質を第1の洗浄液供給部5dから取り除くことができる。このため、自己洗浄処理後に、洗浄槽5で洗浄されるFOUP20の汚染を抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態では、制御部8は、第1の洗浄液供給部5dに対して洗浄液を吐出するように第2の洗浄液供給部5eを制御する前に、ステップS102で、第2の洗浄液供給部5eに対して洗浄液を吐出するように第1の洗浄液供給部5dを制御する。より具体的には、制御部8は、第1の洗浄液供給部5dに対して洗浄液を吐出するように第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pを制御する前に、ステップS102で、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pに対して洗浄液を吐出するように第1の洗浄液供給部5dを制御する。これにより、特に、第1の洗浄液供給部5dの上方にある第3の洗浄液供給部5pから汚染物質を含んだ洗浄液が第1の洗浄液供給部5dにたれてくることにより第1の洗浄液供給部5dに汚染物質が付着した場合であっても、その後に、第1の洗浄液供給部5dが洗浄されるので、第1の洗浄液供給部5dが汚染されることを抑制することができる。そして、この点からも、自己洗浄処理後に、洗浄槽5で洗浄されるFOUP20の汚染を抑制することができる。
【0060】
なお、シェル20aの内部を洗浄しているときに、固定部5sに接続された乾燥部5fにも汚染物質が付着してしまうおそれがある。そのため、自己洗浄処理において、CPU8aは、第3の洗浄液供給部5pを揺動させることで、第1の洗浄液供給部5dに加えて上述した固定部5sに接続された乾燥部5fのホットブローノズルを洗浄してもよい。これにより、ホットブローノズルに付着した汚染物質がFOUP20に付着することを抑制することができる。ひいては、FOUP20の汚染を抑制することができる。
【0061】
また、自己洗浄処理において、CPU8aが第3の洗浄液供給部5pを揺動させる場合、複数の第1の洗浄液供給部5dは、固定部5sの台5s_1の外縁近傍に設けられてもよい。すなわち、第1の洗浄液供給部5d同士が離れた位置に設けられるようにしてもよい。第3の洗浄液供給部5pを揺動させることで、第1の洗浄液供給部5d同士が離れた位置に設けられていたとしても、複数の第1の洗浄液供給部5dは、第3の洗浄液供給部5pによって洗浄される。また、複数の第1の洗浄液供給部5dを固定部5sの台5s_1の外縁近傍に設けることで、第2の洗浄液供給部5eとの距離が短くなる。したがって、自己洗浄処理時にノズル5mあるいはノズル5oから吐出される洗浄液の流量の増加量を抑制することができる。
【0062】
なお、固定部5sの台5s_1の外縁近傍とは、中空部5tの外縁よりも第1の洗浄液供給部5dを構成する棒状のパイプの直径と同じ長さ分、内側の位置から固定部5sの台5s_1の外縁までの範囲である。また、第1の洗浄液供給部5dを構成する棒状のパイプは、上方向だけでなく、水平方向にも伸びる形状でもよい。例えば、第1の洗浄液供給部5dを構成する棒状のパイプは、固定部5sの台5s_1の外縁近傍に無く、ノズル5mが固定部5sの台5s_1の外縁近傍にある場合も、複数の第1の洗浄液供給部5dを固定部5sの台5s_1の外縁近傍に設けることに含まれる。
【0063】
また、固定部5s上には、第2の洗浄液供給部5eに対向する第1の洗浄液供給部5dだけでなく、シェル20aの外側の側面に熱風を供給する乾燥部5fに対向する第1の洗浄液供給部5dがさらに設けられてもよい。この場合、固定部5s上の乾燥部5fは、第1の洗浄液供給部5d同士の間に設けるようにすればよい。このようにすることで、シェル20aの外側の側面にホットブローを供給する乾燥部5fも自己洗浄処理時に洗浄することができる。
【0064】
また、第1の排出部5gよりも後段の洗浄液が廃液として流れる流路に、パーティクルカウンタが設けられていてもよい。パーティクルカウンタは、所定の時間間隔で、所定の単位容量(例えば10ml)の廃液に含まれるパーティクルの数を計測する。そして、CPU8aは、ステップS106の判定に代えて、パーティクルカウンタにより所定の単位容量の廃液に含まれるパーティクルの数が計測される度にパーティクルの数が閾値未満であるか否かを判定してもよい。そして、CPU8aは、パーティクルの数が閾値未満でない場合には、再び、パーティクルの数が閾値未満であるか否かを判定する。そして、CPU8aは、パーティクルの数が閾値未満である場合に、ステップS107に移行してもよい。
【0065】
また、次々とウェーハ収納容器洗浄装置1に洗浄対象のFOUP20が搬入される場合について説明する。この場合、CPU8aは、真空槽6において真空乾燥が開始される時間(時刻)T1と、洗浄槽5においてシェル20aとドア20bの洗浄が終了する時間T2とを比較し、時間T1から時間T2を減じた時間T3(T1-T2)が、自己洗浄処理に要する時間T4よりも長い場合には、洗浄槽5からシェル20aとドア20bを搬出した上で、自己洗浄処理を自動的に実行してもよい。なお、洗浄槽5においてシェル20aとドア20bの洗浄が終了する時間T2には、洗浄槽5内のシェル20aとドア20bが洗浄槽5内から搬出される時間も含まれる。
【0066】
前述の通り、自己洗浄処理を自動的に実行する場合、洗浄槽5から搬出されたシェル20aとドア20bは、真空槽6における別のFOUP20の真空乾燥が終わるまでの間、分解/連結ステージ4上に搬送され、分解/連結ステージ4において待機する。このようにすることで、ロボット3は、自己洗浄処理の間、他のFOUP20を搬送することができる。なお、ロボット3を他のFOUP20の搬送に使用できなくなるが、洗浄槽5から搬出されたドア20bは、分解/連結ステージ4上に搬送され、洗浄槽5から搬出されたシェル20aは、ロボット3に把持されたまま待機するようにしてもよい。また、シェル20aが分解/連結ステージ4上に搬送され、ドア20bがロボット3に把持されたまま待機するようにしてもよい。
【0067】
また、自己洗浄処理は、ユーザがマウスやキーボード、タッチパネル等の入力インタフェースを操作して、洗浄槽5内の各構成要素を動作させることによって実行されるようにしてもよい。つまり、自己洗浄処理が制御部8の制御のもとで行われないようにしてもよい。
【0068】
また、ステップS102において、ノズル5mから吐出される洗浄液の流量が、シェル20aを洗浄する際にノズル5mから吐出される洗浄液の流量と同じであってもよい。例えば、ノズル5mから吐出される洗浄液が、第2の洗浄液供給部5e及び第3の洗浄液供給部5pまで届く流量を予め求めておく。そして、求めた流量でシェル20aを洗浄するようにしてもよい。
【0069】
また、ステップS105において、第1の洗浄液供給部5dを洗浄する際にノズル5o、5rから吐出される洗浄液の流量が、シェル20aを洗浄する際にノズル5o、5rから吐出される洗浄液の流量と同じであってもよい。例えば、ノズル5o、5rから吐出される洗浄液が、第1の洗浄液供給部5dまで届く流量を予め求めておく。そして、求めた流量でシェル20aを洗浄するようにしてもよい。
【0070】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 ウェーハ収納容器洗浄装置
5 洗浄槽
5a 洗浄槽本体
5b 蓋部
5c 載置部
5d 第1の洗浄液供給部
5e 第2の洗浄液供給部
5p 第3の洗浄液供給部

図1
図2
図3A
図3B
図4
図5