(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132034
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】掃除機システム
(51)【国際特許分類】
A47L 9/04 20060101AFI20240920BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20240920BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A47L9/04 A
A47L5/24 A
A47L9/00 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042656
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 浩志郎
(72)【発明者】
【氏名】朝日 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】清水 映吾
【テーマコード(参考)】
3B006
3B061
【Fターム(参考)】
3B006MA03
3B061AA06
3B061AD05
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、回転清掃体に対して万遍なく紫外線を照射することのできる掃除機システムを提供する。
【解決手段】本開示に係る掃除機システムは、回転清掃体を有する掃除機と、掃除機の非清掃中に掃除機の位置を保つ保持装置と、を備えた掃除機システムであって、回転清掃体に向けて紫外線を照射する紫外線照射部を備え、保持装置が掃除機の位置を保った状態で回転清掃体を回転させながら紫外線照射部から回転清掃体に紫外線を照射する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転清掃体を有する掃除機と、
前記掃除機の非清掃中に前記掃除機の位置を保つ保持装置と、
を備えた掃除機システムであって、
前記回転清掃体に向けて紫外線を照射する紫外線照射部を備え、
前記保持装置が前記掃除機の位置を保った状態で前記回転清掃体を回転させながら前記紫外線照射部から前記回転清掃体に紫外線を照射する掃除機システム。
【請求項2】
前記紫外線照射部から紫外線を照射するときの前記回転清掃体の回転速度は、清掃中の回転速度とは異なる請求項1に記載の掃除機システム。
【請求項3】
前記紫外線照射部は、前記回転清掃体の回転方向に対向する向きで紫外線を前記回転清掃体に照射する請求項1または請求項2に記載の掃除機システム。
【請求項4】
前記紫外線照射部は、前記回転清掃体の回転軸の長手方向に沿って並ぶ複数の紫外線光源を有する請求項1または請求項2に記載の掃除機システム。
【請求項5】
前記紫外線照射部の紫外線光源は、前記回転清掃体の回転軸よりも前記掃除機の前側の位置で下から上に向かって紫外線を照射するか、前記回転清掃体よりも前記掃除機の前側の位置で前から後ろに向かって紫外線を照射する請求項1または請求項2に記載の掃除機システム。
【請求項6】
前記掃除機が前記保持装置から外れたことを検知する着脱検知手段と、
前記掃除機が前記保持装置から外れてからの経過時間をカウントするタイマーとを備え、
前記掃除機が前記保持装置から外れていた時間に応じて、前記紫外線照射部からの照射強度と照射時間との少なくとも一方を変化させる請求項1または請求項2に記載の掃除機システム。
【請求項7】
前記回転清掃体を回転する駆動手段の負荷電流を検知する電流検知手段を備え、
前記負荷電流に応じて、前記紫外線照射部からの照射強度と照射時間との少なくとも一方を変化させる請求項1または請求項2に記載の掃除機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、掃除機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に、塵埃を吸い込む吸込口を有する掃除機の非清掃中に掃除機の位置を保つ保持装置であって、吸込口が形成された掃除機の底面に向けて紫外線を照射する紫外線照射部を備えるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、回転ブラシなどの回転清掃体の全周に対して万遍なく紫外線を照射することが困難であるという課題がある。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、簡単な構成で、回転清掃体に対して万遍なく紫外線を照射することのできる掃除機システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る掃除機システムは、回転清掃体を有する掃除機と、掃除機の非清掃中に掃除機の位置を保つ保持装置と、を備えた掃除機システムであって、回転清掃体に向けて紫外線を照射する紫外線照射部を備え、保持装置が掃除機の位置を保った状態で回転清掃体を回転させながら紫外線照射部から回転清掃体に紫外線を照射するものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、簡単な構成で、回転清掃体に対して万遍なく紫外線を照射することのできる掃除機システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による掃除機システムを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す掃除機システムが備える掃除機を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態1による保持装置を示す斜視図である。
【
図4】実施の形態1による掃除機システムのブロック図である。
【
図5】紫外線照射部の配置構成を示す断面図である。
【
図6】紫外線照射部の他の配置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。なお、本開示で角度に言及した場合において、和が360°となる優角と劣角とがあるときには原則として劣角の角度を指すものとし、和が180°となる鋭角と鈍角とがある場合には原則として鋭角の角度を指すものとする。以下の説明では、塵埃とその他のゴミとは、まとめて単に「塵埃」と呼ばれる。塵埃が混じった空気は、「含塵空気」と呼ばれる。塵埃が取り除かれた空気は、「清浄空気」と呼ばれる。また、以下に示す実施の形態に示した構成は、本開示の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の内容を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による掃除機システム1を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す掃除機システム1が備える掃除機2を示す斜視図である。
図3は、実施の形態1による保持装置3を示す斜視図である。
図4は、実施の形態1による掃除機システム1のブロック図である。
【0011】
これらの図に示されるように、掃除機システム1は、掃除機2と保持装置3とを備える。掃除機2は、掃除機本体4と、吸込具5と、管体6とを備える。掃除機本体4は、吸引力を発生させる電動送風機4aと、電動送風機4aに電力を供給するバッテリ4bを内蔵する。吸込具5の底面には、被清掃面から塵埃を吸い込むための吸込口が形成されている。管体6は、吸込具5と掃除機本体4との間を接続する。吸込具5から吸い込まれた含塵空気は、管体6内の風路を通って掃除機本体4に流入する。掃除機本体4は、含塵空気から塵埃を除去して捕集する集塵部4cを有する。集塵部4cにより塵埃が取り除かれた清浄空気は、電動送風機4aを通過して外部へ排出される。
【0012】
掃除機本体4と吸込具5と管体6を備えた掃除機2とは例えばスティック型の掃除機である。また、図示の例に限らず、掃除機2は可撓性のあるホースを備えていてもよい。この場合、ホースは管体6と掃除機本体4との間を接続する。吸込具5から吸い込まれた含塵空気は管体6内及びホース内の風路を通って掃除機本体4に進入する。また、掃除機2は掃除機本体4と吸込具5が着脱自在なものであっても良い。
【0013】
使用者が手で握る部分であるハンドル4dが掃除機本体4に設けられている。吸込具5の前後方向は、
図1及び
図2中の矢印で示す方向に相当する。ハンドル4dを握って掃除機2の吸込具5により床面を清掃するときに使用者にとって前となる方向が吸込具5の前方に相当し、当該使用者にとって後ろとなる方向が吸込具5の後方に相当する。管体6が掃除機本体4から取り外し可能でもよい。管体6を取り外した状態の掃除機本体4をハンディ型掃除機として使用可能でもよい。
【0014】
例えば、吸込具5は吸込口体と関節を備える。関節は例えば吸込口体に対して管体6を上下方向に回転させる第一の回転軸を中心に回転する。関節は例えば吸込口体に対して管体6を左右方向に回転させる第二の回転軸を中心に回転する。このような二つの回転軸を中心に回転させることで、ハンドル4dの高さを変えても、吸込口体の姿勢は変わらない。例えば、第一の回転軸がない場合は、ハンドル4dの高さを変えると、吸込口体と被清掃面との姿勢が変わってしまう。しかし第一回転軸を中心に回転することで、吸込口体と被清掃面との姿勢が変わらない。このため、ハンドル4dの高さが変化しても被清掃面の塵埃を吸引することができる。
図1及び
図2中の矢印で示す前後方向は掃除機システム1または保持装置3または掃除機2の前後方向に相当するものでもある。使用者が掃除機2を用いて掃除をする際、ハンドル4dは吸込具5より後方に配置される。
【0015】
保持装置3は、掃除機2の非清掃中に掃除機2の位置を保つ。すなわち、保持装置3は、非清掃状態の掃除機2をセットし、掃除機2の姿勢を保つものである。また保持装置3は掃除機2を保持または支持するものである。保持装置3により掃除機2を保持または支持することで、掃除機2の位置及び姿勢が保たれる。掃除機2は、清掃が行われる際に保持装置3から取り外される。掃除機2は、清掃が終了した後に保持装置3にセットされる。例えば、保持装置3は、居室の床面に置かれる。保持装置3は、掃除機2のバッテリ4bを充電する充電台としての機能を有する。保持装置3は、基体7と、支持部8とを備える。基体7は、保持装置3の中で最も下方に配置される。基体7は、載置部7aを有する。載置部7aとは吸込具5を置く場所である。掃除機2を保持装置3にセットすると、載置部7aの上に吸込具5が載置された状態になる。吸込具5は、その底面から突出する車輪を有していてもよい。その場合、当該車輪が載置部7aに接する。支持部8は、基体7から上方に向かって突出する。支持部8は、掃除機本体4及び管体6の少なくとも一方に接することで、掃除機2の位置を保つことができる。本実施の形態では、保持装置3に掃除機2がセットされると、管体6の長手軸が鉛直線に平行になる。本実施の形態であれば、支持部8を備えたことで、掃除機2を所定の位置に確実に保つことが可能となる。
【0016】
掃除機2が保持装置3に取り付けられる際、掃除機本体4及び管体6の少なくとも一方は、支持部8に保持される。吸込具5は、保持装置3の基体7に支持される。この際、吸込具5の後端は、管体6と掃除機本体4より後方側に配置される。掃除機本体4の重心は、管体6の内部風路より前方側となる。本実施の形態では、掃除機本体4の重心は、管体6よりも掃除機本体4の前方側となる。また、吸込口は略長方形形状を呈している。吸込口は前後方向に対して垂直な方向に延びる開口である。
【0017】
支持部8で管体6を支持する場合は例えば、管体6の上部を支持してもよく、管体6の下部を支持してもよい。または、掃除機本体4の下部を支持部8で支持してもよいし、掃除機本体4の上部を支持部8で支持してもよい。また、支持部8で掃除機2を支持する場合、実施の形態では掃除機本体4及び管体6の少なくとも一方の前部を支持しているが、掃除機本体4及び管体6の少なくとも一方の後部を支持してもよい。また、載置部7aは、吸込具5の前端に接することにより、吸込具5を位置決めする突出部を有している。
【0018】
図3に示すように、基体7には、紫外線照射部9を備える。紫外線照射部9は吸込具5が基体7に収納されたとき、吸込具5の内部の回転ブラシ10に向けて紫外線を照射するように構成されている。紫外線照射部9は、紫外線を照射または出射する光源を備える。当該光源からの光線は、メインの波長またはピークの波長が紫外線である。紫外線とは一般に100nm~400nmの波長の不可視光線の電磁波である。
図3の例では、紫外線光源として、回転ブラシ10の回転軸の長手方向に沿って並ぶようにLED光源が複数配置されている。このように、回転軸の長手方向に沿って並ぶ複数の紫外線光源を配置することで、回転ブラシ10の全体に万遍なく紫外線を照射し殺菌することができる。
【0019】
清掃中に被清掃面の菌あるいはウイルスが回転ブラシ10に付着する可能性がある。本実施の形態であれば、清掃後に掃除機2を保持装置3にセットすることで、紫外線照射部9から回転ブラシ10に紫外線を照射できる。紫外線の照射により、回転ブラシ10は除菌される。それゆえ、次に清掃するときに、回転ブラシ10が清潔になっているので、菌あるいはウイルスが室内に広まることを確実に防止できる。それゆえ、室内の衛生性を向上することが可能となる。なお、本開示において「殺菌」あるいは「除菌」とは、菌あるいはウイルスの数が減ること、または、少なくとも一部の菌あるいはウイルスが不活化されることに相当する。本開示において「菌」とは、バクテリア(真正細菌)あるいはアーキア(古細菌)に相当する。
【0020】
図1に示すように、保持装置3に掃除機2をセットすると、紫外線照射部9の照射窓11の全体が掃除機2の吸込具5により覆われる状態となり、紫外線照射部9から回転ブラシ10及び吸込具5の底面に紫外線を照射できる。
【0021】
図5は、紫外線照射部9の配置構成を示す断面図である。回転ブラシ10は、回転清掃体の例である。本開示における回転清掃体は、回転ブラシ10に限定されない。本開示における回転清掃体は、拭き掃除をするためのものでもよい。
【0022】
本開示の掃除機システム1では、保持装置3が掃除機2の位置を保った状態で回転清掃体を回転させながら紫外線照射部9から回転ブラシ10に紫外線を照射する。これにより、回転ブラシ10の植毛に対して全周に万遍なく紫外線を照射することができるので、衛生性が高まる。
【0023】
図5の例において、紫外線照射部9の紫外線光源は、載置部7aの内部に配置されている。紫外線光源から発せられた紫外線は、照射窓11を透過して、回転ブラシ10に照射される。照射窓11は、例えば石英、樹脂などの紫外線透過性を有する物質で作られている。回転ブラシ10は、
図5中の時計回りに回転する。
【0024】
紫外線照射部9から紫外線を照射するときの回転ブラシ10の回転速度は、掃除機2が清掃中の回転速度とは異なることが好ましい。例えば、紫外線照射部9から紫外線を照射するときの回転ブラシ10の回転速度は、掃除機2が清掃中のときの回転速度よりも低くてもよい。例えば、清掃中の半分程度の回転速度でもよい。回転ブラシ10を高速回転させた場合、植毛が回転によりしなり、そこに紫外線を照射しても植毛の根元まで到達しにくくなる可能性がある。そのため、回転ブラシ10を、清掃中の半分程度などの、植毛のしなりがほぼないような低速で回転させることで、紫外線を植毛の根元まで到達させることができ、回転ブラシ10全体をより確実に万遍なく殺菌することができる。
【0025】
また、紫外線照射部9から紫外線を照射するときの回転ブラシ10の回転速度は、掃除機2が清掃中のときの回転速度よりも高くてもよい。回転ブラシ10を高速で回転させることで、除菌効率が向上し、短時間で除菌を完了させることが可能となる。
【0026】
図5の例において、紫外線照射部9は、回転ブラシ10の回転方向に対向する向きで紫外線を回転ブラシ10に照射する。すなわち、
図5中で、紫外線照射部9の光軸は、回転ブラシ10の回転軸の直下ではなく、やや右にずれて配置されている。これにより、紫外線照射部9から紫外線が照射される方向と、回転ブラシ10の回転によって植毛が移動する方向とが反対方向となる。清掃中には、回転ブラシ10の植毛のかき取りにより、床面からごみを取り除くと同時に、回転ブラシ10の回転方向の前方側の植毛に細菌あるいはウイルスが付着しやすい。そこで、上記のような向きで紫外線を照射することで、植毛に付着した細菌あるいはウイルスをより効果的に殺菌することができる。
【0027】
図5の例において、紫外線照射部9の紫外線光源は、回転ブラシ10の回転軸よりも掃除機2の前側の位置で下から上に向かって紫外線を照射する。これにより、回転ブラシ10の回転軸の直下に紫外線光源が配置されている場合に比べて、照射窓11に汚れが付きにくくなる。それゆえ、長期的に紫外線照度が低下せずに高い殺菌効果を得ることができる。
【0028】
図6は、紫外線照射部9の他の配置構成を示す図である。
図6では、紫外線光源は、回転ブラシ10の直下ではなく吸込具5の前方に配置されている。保持装置3に掃除機2が収納されると、吸込具5の前方の壁12は、紫外線光源に対して開放するよう可動する。図示の例では、壁12が上昇する。壁12を動かすアクチュエータが備えられていてもよい。紫外線照射部9から回転ブラシ10に向かい前から後ろに向かって水平方向に紫外線を照射するようになっている。このように、紫外線光源を回転ブラシ10の直下に置かないようにしたことで、紫外線光源と吸込具5との間にある照射窓11が、植毛に付着したゴミあるいは吸込具5底面の水滴などにより汚れにくくなり、長期的に紫外線照度が低下せずに高い殺菌効果を得ることができる。
【0029】
図1に示すように、保持装置3に掃除機2をセットすると、紫外線照射部9の照射窓11の全体が掃除機2の吸込具5により覆われる状態になる。この状態では、紫外線照射部9の照射窓11は、外部から視認できない。本実施の形態であれば、この状態で紫外線照射部9が紫外線を照射するので、紫外線照射部9が発生させた紫外線が人に当たることを確実に防止できる。
【0030】
図4に示すように、本実施の形態における掃除機2は、掃除機制御部4eと、駆動回路4fと、受電端子4gと、回転ブラシ10を駆動する電動機4hと、電動機4hに流れる電流を検知する電流検知部4iとをさらに備える。電動送風機4aと、バッテリ4bと、駆動回路4fと、電動機4hと、電流検知部4iとは、掃除機制御部4eに対して電気的に接続されている。掃除機2の使用時には、バッテリ4bからの電力が駆動回路4fを経て電動送風機4a及び電動機4hに供給されることで、電動送風機4a及び回転ブラシ10が作動する。
【0031】
本実施の形態における保持装置3は、保持装置制御部3aと、給電端子3bと、電源回路3cと、着脱検知部3dとをさらに備える。紫外線照射部9と、給電端子3bと、電源回路3cと、着脱検知部3dとは、保持装置制御部3aに対して電気的に接続されている。
【0032】
保持装置3に掃除機2がセットされると、給電端子3bに受電端子4gが接することで両者が電気的に導通する。この状態で、例えば商用電源のような外部電源から保持装置3へ供給される交流電力が、電源回路3cによって直流電力に変換される。この直流電力が給電端子3b及び受電端子4gを通ってバッテリ4bに供給されることでバッテリ4bが充電される。本実施の形態における給電端子3b及び電源回路3cは、充電手段に相当する。
【0033】
保持装置3に掃除機2がセットされた状態で、保持装置制御部3aと、掃除機制御部4eとが、有線通信または無線通信により通信可能となるように構成されてもよい。
【0034】
保持装置制御部3aは、掃除機2が保持装置3にセットされているかどうかを判定し、掃除機2が保持装置3にセットされているときに紫外線照射部9から紫外線を照射し、掃除機2が保持装置3にセットされていないときには紫外線照射部9による紫外線照射を禁止するように構成されていてもよい。掃除機2が保持装置3にセットされることで給電端子3bが受電端子4gを介してバッテリ4bに電気的に導通すると、給電端子3bの電流あるいは電圧が変化する。また、保持装置制御部3aは、例えば、給電端子3bの電流あるいは電圧を検出することで、掃除機2が保持装置3に支持されているかどうかを判定してもよい。
【0035】
保持装置3に掃除機2が支持され、保持装置3と掃除機2が電気的に導通すると、掃除機本体4の充電が開始される。また、保持装置3に掃除機2が支持され、保持装置3と掃除機2が電気的に導通すると、紫外線照射部9が紫外線照射を開始するように構成されてもよい。すなわち、保持装置制御部3aは、充電の開始と同時またはほぼ同時に紫外線照射部9による紫外線照射が開始されるように制御してもよい。また、保持装置3に掃除機2が支持され、保持装置3と掃除機2が電気的に導通すると、掃除機本体4の充電が開始され、かつ紫外線照射部9による紫外線照射が開始されるよう構成されていてもよい。また、保持装置制御部3aは、掃除機本体4の充電の開始から所定時間が経過した後に紫外線照射部9による紫外線照射を開始してもよい。紫外線照射部9による紫外線照射が自動で開始されることで、使用者の操作が不要となり、利便性が向上する。
【0036】
保持装置制御部3aは、紫外線照射部9から照射される紫外線の出力すなわち放射強度を調整可能となるように構成されていてもよい。
【0037】
着脱検知部3dは、掃除機2が保持装置3から外れたことを検知する着脱検知手段の例である。着脱検知部3dは、例えば、距離センサあるいは近接センサを用いて、吸込具5が載置部7aに置かれているかどうかを検知するように構成されていてもよい。例えば、基体7に距離センサを設置し、距離センサが計測した距離が、所定距離以下の場合には、吸込具5が載置部7aに置かれていると着脱検知部3dが検知することができる。また、着脱検知部3dは、基体7に設置された近接センサによって吸込具5の有無を非接触で検知してもよい。
【0038】
また、着脱検知部3dは例えば、赤外線センサを用いて、吸込具5が載置部7aに置かれているかどうかを検知するように構成されていてもよい。また、着脱検知部3dは例えば、重量センサを用いて掃除機2が保持装置3に支持されているかを検知するように構成されていてもよい。例えば、重量センサにより検知された重さが所定の重さより大きい、または重量センサにより検知された重さが所定の重さの範囲にある場合に掃除機2が保持装置3に支持されていると判断すればよい。
【0039】
保持装置制御部3aは、掃除機2が保持装置3から外れてからの経過時間をカウントするタイマーを備え、掃除機2が保持装置3から外れていた時間に応じて、紫外線照射部9からの照射強度と照射時間との少なくとも一方を変化させるようにしてもよい。
【0040】
掃除機2が清掃に使用された時間が長いほど、回転ブラシ10に付着している菌の量が増えると考えられる。掃除機2が保持装置3から外れていた時間は、掃除機2が清掃に使用された時間であるとみなすことができる。そこで、掃除機2が保持装置3から外れていた時間が長いほど、紫外線照射部9からの照射強度を高くするか照射時間を長くすることで、菌の付着量に応じた紫外線照射量とすることができる。
【0041】
保持装置制御部3aは、回転ブラシ10を駆動する電動機4hの負荷電流の情報を掃除機制御部4eから受信し、電動機4hの負荷電流に応じて、紫外線照射部9からの照射強度と照射時間との少なくとも一方を変化させるようにしてもよい。回転ブラシ10に付着する菌あるいはウイルスの量は、回転ブラシ10の植毛に付着するゴミが多いほど増加する傾向がある。回転ブラシ10の植毛に付着したゴミの量が多いほど、電動機4hの負荷電流は高くなる。そこで、電動機4hの負荷電流が高い場合ほど、紫外線照射部9からの照射強度を高くするか照射時間を長くすることで、菌の付着量に応じた紫外線照射量とすることができる。
【0042】
図7は、紫外線照射制御の例を示す図である。
図7の上段のパターンAは、掃除機2が保持装置3から外れていた時間が例えば5分程度と短いか、電動機4hの負荷電流が例えば1A未満と低い場合の制御例を示す。この場合には、紫外線照射部9からの紫外線照射時間を例えば30分程度と短くする。
【0043】
図7の下段のパターンBは、掃除機2が保持装置3から外れていた時間が例えば40分程度と長いか、電動機4hの負荷電流が例えば2A以上と高い場合の制御例を示す。この場合には、紫外線照射部9からの紫外線照射時間を例えば4時間程度と長くする。このような制御例によれば、回転ブラシ10に付着した菌の量に応じて過不足なく紫外線を照射することが可能となる。
【0044】
掃除機制御部4eと保持装置制御部3aのそれぞれに相当する制御装置は、以下のように構成されてもよい。制御装置の各機能は、処理回路により達成されてもよい。制御装置の処理回路は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備えてもよい。処理回路が少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備える場合、制御装置の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより達成されてもよい。ソフトウェア及びファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述されてもよい。ソフトウェア及びファームウェアの少なくとも一方は、少なくとも1つのメモリに格納されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置の各機能を達成してもよい。少なくとも1つのメモリは、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等を含んでもよい。
【0045】
制御装置の処理回路は、少なくとも1つの専用のハードウェアを備えてもよい。処理回路が少なくとも1つの専用のハードウェアを備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものでもよい。制御装置の各部の機能がそれぞれ処理回路で達成されても良い。また、制御装置の各部の機能がまとめて処理回路で達成されても良い。制御装置の各機能について、一部を専用のハードウェアで達成し、他の一部をソフトウェアまたはファームウェアで達成してもよい。処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、制御装置の各機能を達成しても良い。
【0046】
本開示による保持装置は、図示の例に限定されるものではない。例えば、本開示による保持装置は、被清掃面上を自律移動するロボット掃除機のホームベースあるいは充電ドックとしての機能を有するものでもよい。また、本開示による掃除機システムは、当該ロボット掃除機と、当該保持装置とを備えたものでもよい。また、本開示では、保持装置に紫外線照射部が設けられた例について説明したが、掃除機に紫外線照射部を設けてもよい。その場合、清掃中に、掃除機に設けられた紫外線照射部から回転ブラシに紫外線を照射してもよい。
【0047】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0048】
(付記1)
回転清掃体を有する掃除機と、
前記掃除機の非清掃中に前記掃除機の位置を保つ保持装置と、
を備えた掃除機システムであって、
前記回転清掃体に向けて紫外線を照射する紫外線照射部を備え、
前記保持装置が前記掃除機の位置を保った状態で前記回転清掃体を回転させながら前記紫外線照射部から前記回転清掃体に紫外線を照射する掃除機システム。
(付記2)
前記紫外線照射部から紫外線を照射するときの前記回転清掃体の回転速度は、清掃中の回転速度とは異なる付記1に記載の掃除機システム。
(付記3)
前記紫外線照射部は、前記回転清掃体の回転方向に対向する向きで紫外線を前記回転清掃体に照射する付記1または付記2に記載の掃除機システム。
(付記4)
前記紫外線照射部は、前記回転清掃体の回転軸の長手方向に沿って並ぶ複数の紫外線光源を有する付記1から付記3のいずれか一項に記載の掃除機システム。
(付記5)
前記紫外線照射部の紫外線光源は、前記回転清掃体の回転軸よりも前記掃除機の前側の位置で下から上に向かって紫外線を照射するか、前記回転清掃体よりも前記掃除機の前側の位置で前から後ろに向かって紫外線を照射する付記1から付記4のいずれか一項に記載の掃除機システム。
(付記6)
前記掃除機が前記保持装置から外れたことを検知する着脱検知手段と、
前記掃除機が前記保持装置から外れてからの経過時間をカウントするタイマーとを備え、
前記掃除機が前記保持装置から外れていた時間に応じて、前記紫外線照射部からの照射強度と照射時間との少なくとも一方を変化させる付記1から付記5のいずれか一項に記載の掃除機システム。
(付記7)
前記回転清掃体を回転する駆動手段の負荷電流を検知する電流検知手段を備え、
前記負荷電流に応じて、前記紫外線照射部からの照射強度と照射時間との少なくとも一方を変化させる付記1から付記5のいずれか一項に記載の掃除機システム。
【符号の説明】
【0049】
1 掃除機システム、 2 掃除機、 3 保持装置、 3a 保持装置制御部、 3b 給電端子、 3c 電源回路、 3d 着脱検知部、 4 掃除機本体、 4a 電動送風機、 4b バッテリ、 4c 集塵部、 4d ハンドル、 4e 掃除機制御部、 4f 駆動回路、 4g 受電端子、 4h 電動機、 4i 電流検知部、 5 吸込具、 6 管体、 7 基体、 7a 載置部、 8 支持部、 9 紫外線照射部、 10 回転ブラシ、 11 照射窓、 12 壁