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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024132151
(43)【公開日】2024-09-30
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/65 20180101AFI20240920BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20240920BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
F24F11/65
F24F11/63
F24F11/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023042832
(22)【出願日】2023-03-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】斎木 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】久下 洋介
(72)【発明者】
【氏名】栗原 誠
(72)【発明者】
【氏名】田中 健裕
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AA01
3L260AA04
3L260AA08
3L260AB03
3L260AB18
3L260BA01
3L260BA09
3L260BA41
3L260CA03
3L260CA12
3L260CA17
3L260CB23
3L260EA07
3L260FA02
3L260FC23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】温度快適性と空気清浄性を両立しつつ、省エネ化を図ることができるような空気調和機を得ることを目的とする。
【解決手段】複数台の室内機10と室外機11が冷媒配管を介して接続されている空気調和機であって、同一室内に設置された複数台の室内機10には、空気中の汚染物質を低減する空気清浄手段と、室内温度を測定する温度センサ16と、汚染物質濃度を検知する汚染物質検知センサ17と、人数を検知する人感センサ18と、を備え、室外機11には、各温度センサ16が測定した室内温度と設定温度との比較を行い、各汚染物質検知センサ17が検知した汚染物質濃度と閾値との比較を行い、また、各人感センサ18が検知した人数の比較を行う演算装置19と、演算装置19のそれぞれの比較結果によって、複数台の室内機10の空調運転および空気清浄手段の運転を制御する制御装置20と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と、前記室外機に対して冷媒配管を介して室内機が接続された空気調和機であって、
前記室内機は同一室内に複数台設けられており、
複数台の前記室内機のそれぞれには、
前記室内の空気中に浮遊する汚染物質を低減する空気清浄手段と、
前記室内の室内温度を測定する温度センサと、
前記室内の汚染物質濃度を検知する汚染物質検知センサと、
前記室内に存在する人の人数を検知する人感センサと、を備え、
前記室外機には、
それぞれの前記温度センサが測定した前記室内温度と設定された設定温度との比較を行い、それぞれの前記汚染物質検知センサが検知した前記汚染物質濃度と閾値との比較を行い、また、それぞれの前記人感センサが検知した前記人数の比較を行う演算装置と、
前記演算装置のそれぞれの比較結果によって、複数台の前記室内機のそれぞれの空調運転およびそれぞれの前記空気清浄手段の運転を制御する制御装置と、
を備える空気調和機。
【請求項2】
室外機と、前記室外機に対して冷媒配管を介して室内機が接続された空気調和機であって、
前記室内機は同一室内に複数台設けられており、
複数台の前記室内機のそれぞれには、
前記室内の空気中に浮遊する汚染物質を低減する空気清浄手段を備え、
前記室内には、
前記室内の室内温度を測定する温度センサと、
前記室内の汚染物質濃度を検知する汚染物質検知センサと、
前記室内に存在する人の人数を検知する人感センサと、を備え、
前記室外機には、
それぞれの前記温度センサが測定した前記室内温度と設定された設定温度との比較を行い、それぞれの前記汚染物質検知センサが検知した前記汚染物質濃度と閾値との比較を行い、また、それぞれの前記人感センサが検知した前記人数の比較を行う演算装置と、
前記演算装置のそれぞれの比較結果によって、複数台の前記室内機のそれぞれの空調運転およびそれぞれの前記空気清浄手段の運転を制御する制御装置と、
を備える空気調和機。
【請求項3】
複数台の前記室内機が冷房運転を行い、前記室内温度が前記設定温度に到達し、さらに前記汚染物質濃度が前記閾値以上である場合、
前記人感センサが検知した前記人数が最も多い室内機である第一の室内機と、前記第一の室内機の次に検知した前記人数が多い室内機である第二の室内機は、前記空気清浄手段の運転を実行する、請求項1から請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記設定温度よりも高い温度の第一の温度と、前記設定温度よりも低い温度の第二の温度と、前記第一の温度よりも高い第三の温度と、前記第二の温度よりも低い第四の温度が設定されている空気調和機であって、
前記第一の室内機と前記第二の室内機は前記空気清浄手段の運転を実行し、その他の前記室内機は冷房運転を行っている場合、
前記室内温度が、前記第一の温度よりも高くかつ前記第三の温度以下の場合、前記第二の室内機は、冷房運転を開始する、請求項3に記載の空気調和機。
【請求項5】
複数台の前記室内機が暖房運転を行い、前記室内温度が前記設定温度に到達し、さらに前記汚染物質濃度が前記閾値以上である場合、
前記第一の室内機と、前記第二の室内機は、前記空気清浄手段の運転を実行する、請求項1から請求項2に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記第一の室内機と前記第二の室内機は前記空気清浄手段の運転を実行し、その他の前記室内機は暖房運転を行っている場合、
前記室内温度が、前記第二の温度よりも低くかつ前記第四の温度以上の場合、前記第二の室内機は、暖房運転を開始する、請求項5に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
1台の室外機に対して、室内の冷暖房または除湿等を行う温調機能を備える室内機と室内の空気を清浄化する空気清浄機能を備える室内機とが複数台接続されている空気調和機がある。例えば、特許文献1の室内機では、1台の室外機に対して、暖房運転を行う室内機と空気清浄運転を行う室内機が複数台接続されている場合、室内機に設けられた室内熱交温度センサおよび室内温度センサで検出された室温と、設定温度との差に基づいて、室内送風機の運転制御を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-294834
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気調和機では、室温が設定温度に近付くにつれて、温調機能を備える室内機および空気清浄機能を備える室内機の室内送風機のファン回転数は、運転開始時と比較して連続的あるいは段階的に減少させ、送風量を低下させるように運転制御される。しかしながら、室内送風機の送風量が減少すると、空気清浄機能の能力も低下するという課題がある。この場合、室内に換気扇を設置し、換気扇の送風量を増加させることで空気清浄機能の低下を抑制することができるが、室内空気と温度調節されていない室外空気とを交換することになるため、温度快適性が損なわれ、さらに空調負荷が増大しエネルギー消費が増大する。
【0005】
本開示は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、温度快適性と空気清浄性を両立しつつ、省エネ化を図ることができるような空気調和機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
室外機と、室外機に対して冷媒配管を介して室内機が接続された空気調和機であって、室内機は同一室内に複数台設けられており、複数台の室内機のそれぞれには、室内の空気中に浮遊する汚染物質を低減する空気清浄手段と、室内の室内温度を測定する温度センサと、室内の汚染物質濃度を検知する汚染物質検知センサと、室内に存在する人の人数を検知する人感センサと、を備え、室外機には、それぞれの温度センサが測定した室内温度と設定された設定温度との比較を行い、それぞれの汚染物質検知センサが検知した汚染物質濃度と閾値との比較を行い、また、それぞれの人感センサが検知した人数の比較を行う演算装置と、演算装置のそれぞれの比較結果によって、複数台の室内機のそれぞれの空調運転およびそれぞれの空気清浄手段の運転を制御する制御装置と、を備える空気調和機。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、温度快適性と空気清浄性を両立しつつ、省エネ化を図ることができるような空気調和機を得ることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、室内機が設置された室内を模式的に示した概略図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、空気清浄手段が可動する前の室内機の状態を模式的に示した断面図である。
図3】本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、空気清浄手段が可動した後の室内機の状態を模式的に示した断面図である。
図4】本発明の実施の形態1に係る空気調和機の空気調和システムのブロック図である。
図5】本発明の実施の形態1に係る空気調和機が冷房運転時の空気調和システムのフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態1に係る空気調和機が冷房運転時の室内温度と室内機の運転モードの推移を示した図である。
図7】本発明の実施の形態1に係る空気調和機が暖房運転時の空気調和システムのフローチャートである。
図8】本発明の実施の形態1に係る空気調和機が暖房運転時の室内温度と室内機の運転モードの推移を示した図である。
図9】本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、室内機の変形例を模式的に示した断面図である。
図10】本発明の実施の形態1に係る空気調和機において、室内機の変形例を模式的に示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。また、以下の実施の形態に示した構成は、本開示による技術的思想の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の複数の技術的思想を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略または変更することも可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空気調和機100において、室内機10が設置された室内1を模式的に示した概略図である。図2は、実施の形態1に係る空気調和機100において、空気清浄手段30が可動する前の室内機10の状態を模式的に示した断面図である。図3は、実施の形態1に係る空気調和機100において、空気清浄手段30が可動した後の室内機10の状態を模式的に示した断面図である。図4は、実施の形態1に係る空気調和機100の空気調和システムのブロック図である。図5は、実施の形態1に係る空気調和機100が冷房運転時の空気調和システムのフローチャートである。図6は、実施の形態1に係る空気調和機100が冷房運転時の室内温度と室内機10の運転モードの推移を示した図である。
【0011】
本実施の形態に係る空気調和機100は、1台の室外機11に対して、冷媒配管を介して複数の室内機10が接続された空気調和機である。実施の形態1における空気調和機は、室内機10a、室内機10b、および室内機10cの3台の室内機が室外機11に接続されている。なお、室外機11に接続される室内機10の台数は、任意の台数とすることができる。室内機10a、室内機10b、および室内機10cの基本的な構成は同様であるため、それぞれを特に区別しない場合は、室内機10と称する。
【0012】
図1において、室内1は、例えばオフィスである。室内1は、天井2、廊下3、および窓4から構成されている。室内機10は、天井2に設置されている。実施の形態1における室内1はオフィスに限定されるものではなく、例えば、店舗、学校、あるいは住宅でもよい。実施の形態1における室内機10は天井2に設置されているが、そうでなくてもよい。
【0013】
室内機10は、空調運転または空気清浄運転を行う。空調運転とは、冷房運転、暖房運転または除湿運転である。空調運転は、室内温度をユーザーによって設定された設定温度に調整するために行う運転である。具体的には、温度センサ16の検知結果に応じて、制御装置20が室内機10の冷媒流量の調整、または送風機15を制御して熱交換器14に通風する風量の調整を行う。空気清浄運転(以下、空清運転とする)とは、室内1の空気中に浮遊する汚染物質を不活性化あるいは室内1の外部へ除去する運転である。具体的には、室内機10内の冷媒流量を低下させて熱交換量を抑制した状態で、送風機15を制御して空気清浄手段30に通風させる風量の調整を行う。汚染物質については、後述する空気清浄手段30にて説明する。
【0014】
また、図1に示すように、実施の形態1における室内1には、室内機10a、室内機10b、および室内機10cの3台の室内機が設置されている。室内機10aは、3台の室内機のうち、室内1の最も日射の当たる窓4側に設置されている。室内機10cは、3台の室内機のうち、最も廊下3側に設置されている。室内機10bは、室内機10aと室内機10cの間に設置されている。
【0015】
図2に示すように、室内機10は、本体ケーシング12、化粧パネル13、熱交換器14、送風機15、温度センサ16、汚染物質検知センサ17、人感センサ18、および空気清浄手段30から構成されている。また、図示しない室外機11には、いずれも図示しない演算装置19と、制御装置20とが設置されている。
【0016】
本体ケーシング12および化粧パネル13は、室内機10の外観をなす部品である。図1に示すように、本体ケーシングは天井2に埋め込まれており、化粧パネル13は天井2から室内1に向けて露出している。化粧パネル13には、いずれも図示しない吸込口と吹出口とが形成されている。吸込口は、室内1から室内機10の内部に室内空気を取り込むための開口である。吹出口は、室内機10の内部から室内1へ温調空気を吹き出すための開口である。
【0017】
熱交換器14は、室内機10の風路を流れる空気を冷却または加熱することで、当該空気の温度、湿度等を調整し、調和空気を生成する。具体的には、熱交換器14内の冷媒と室内機10の風路内の空気とで熱交換を行い、当該空気を冷却または加熱する。冷房運転時には熱交換器14は空気を冷却し、暖房運転時には熱交換器14は空気を加熱する。
【0018】
送風機15は、吸込口から吹出口へと向かう空気流を室内機10の風路内に生成するためのものである。送風機15が動作すると、吸込口から吹出口へと向かう空気流が室内機10の風路内に生成される。吸込口から吸込まれた室内空気は、室内機10の風路を、熱交換器14、送風機15の順に通過する空気流となり、熱交換器11によって熱交換された調和空気が吹出口から吹き出される。
【0019】
空気清浄手段30は、室内空気中に浮遊する汚染物質を不活性化あるいは室内1の外部へ除去する手段である。汚染物質とは、ウイルス、細菌、カビ、PM2.5、花粉、粉塵、臭気のうちの少なくとも一つを含む。実施の形態1における空気清浄手段30は、例えば、ろ材である。室内空気がろ材を通過することで、汚染物質がろ過される。吸込口から吸込まれた室内空気は、ろ材を通過し、熱交換器12によって温調空気へと変換され、吹出口から温調空気が室内へ吹き出される。図2および図3に示すように、ろ材は本体ケーシング12内に設けられている。室内機10が空調運転時には、図2に示すように、ろ材は蛇腹状に折りたたまれている。室内機10が空清運転時には、図3に示すように、ろ材は室内機10の風路内に広がる。
【0020】
図4は、実施の形態1に係る室内機10、温度センサ16、汚染物質検知センサ17、人感センサ18、演算装置19、および制御装置20の連携を示したブロック図である。
【0021】
温度センサ16は、化粧パネル13に設置されている。温度センサ16は、室内温度T(以下、Tとする)を測定する。温度センサ16は、例えば、サーミスタである。
【0022】
汚染物質検知センサ17は、化粧パネル13に設置されている。汚染物質検知センサ17は、室内空気中に浮遊する汚染物質を検知する。汚染物質検知センサ17は、例えば、粉塵センサである。粉塵センサは、室内1に発生した汚染物質濃度C(以下、Cとする)を測定する。汚染物質濃度は、個数濃度で測定してもよく、重量濃度で測定してもよい。
【0023】
人感センサ18は、化粧パネル13に設置されている。人感センサ18は、室内1に存在する人の人数N(以下、Nとする)を検知する。人感センサ18は、例えば、人を検知する画像カメラである。画像カメラは室内1を撮像し、室内1に存在する人の人数Nを検知する。
【0024】
演算装置19は、図示しない室外機11に設置されている。演算装置19は、温度センサ16から受信したTと、ユーザーによって設定された設定温度To(以下、Toとする)との大小関係の比較を行う。また、演算装置19は、汚染物質検知センサ17から受信したCと、空気清浄手段30の運転を開始するための閾値Cs(以下、Csとする)との大小関係の比較を行う。Csは、実験またはシミュレーションなどによって空気清浄手段30の運転を開始したほうが良い数値に設計者によって定められる。さらに、演算装置19は、室内機10aで検知された人数Na(以下、Naとする)と、室内機10bで検知された人数Nb(以下、Nbとする)と、室内機10cで検知された人数Nc(以下、Ncとする)との大小関係の比較を行う。
演算装置19は、TとToとの大小関係、CとCsとの大小関係、およびNaとNbとNcとの大小関係の比較結果を制御装置20に送信する。
【0025】
制御装置20は、図示しない室外機11に設置されている。制御装置20は、演算装置19から受信した比較結果によって、室内機10a、室内機10b、および室内機10cを空調運転あるいは空清運転に切り替える制御する。
【0026】
室内機10a、室内機10b、および室内機10cは、設定温度よりも高い第一の温度T1(以下、T1とする)と、設定温度よりも低い第二の温度T2(以下、T2とする)と、第一の温度T1よりも高い第三の温度T3(以下、T3とする)と、第二の温度T2よりも低い第四の温度T4(以下、T4とする)が設定されている。例えば、実施の形態1に係る室内機10の調和空気の温度ハンチングが設定温度に対して±0.7℃である場合、T1からT2の温度の幅は、温度ハンチングに対して±1.0℃~±1.5℃に設定されている。さらに、T3からT4の温度の幅は、T1からT2の温度の幅に対して±1.0℃~±1.5℃に設定されている。実施の形態1に係る室内機10のT1からT2の温度の幅およびT3からT4の温度の幅は、前述のように設定されているが、そうでなくてもよい。
【0027】
図5および図6に沿って、実施の形態1に係る室内機10の冷房運転時の空気調和システムについて説明する。
【0028】
(S1)
まず、ユーザーは室内機10のメイン電源を投入し、冷房運転が開始された場合、ステップS2へ進む。
【0029】
(S2)
ステップS1において、室内機10のメイン電源が投入されると、温度センサ16と汚染物質検知センサ17と人感センサ18の電源も投入される。なお、室内機10と温度センサ16と汚染物質検知センサ17と人感センサ18は、同一電源であってもよい。
【0030】
(S3)
ステップS2において、温度センサ16と汚染物質検知センサ17と人感センサ18の電源が投入されると、温度センサ16はTを検知する。
【0031】
(S4)
演算装置19は、ステップS3で検知したTと、Toとを比較する。その結果、T>Toとなる場合、ステップS5へ進む。一方、比較の結果、T≦Toとなる場合、ステップS3へ進む。
【0032】
(S5)
ステップS4において、T>Toと判断されると、制御装置20は、室内機10aと、室内機10bと、室内機10cが冷房運転を開始するよう制御する。
【0033】
(S6)
室内機10aと室内機10bと室内機10cとが冷房運転を開始し一定時間経過後、再び温度センサ16はTを検知する。演算装置19は、TとToとを比較する。その結果、T≦Toとなる場合、ステップS7へ進む。一方、比較の結果、T>Toとなる場合、ステップS5へ進む。
温度センサ16がTを検知する時間は、実験またはシミュレーションなどによってTを検知した方が良い時間に設計者によって設定されてもよく、ユーザーの要望に合わせて設定されてもよい。
【0034】
(S7)
ステップS6において、T≦Toと判断されると、汚染物質検知センサ17は、Cを検知する。
【0035】
(S8)
演算装置19は、ステップS7で検知したCと、Csとを比較する。その結果、C≧Csとなる場合、ステップS9へ進む。一方、比較の結果、C<Csとなる場合、ステップS7へ進む。
【0036】
(S9)
ステップS8において、C≧Csとなり、空気清浄手段30の運転を開始すると判断されると、空清運転を開始する室内機10を決定するために、室内機10aと室内機10bと室内機10cのそれぞれに備えられた人感センサ18は、NaとNbとNcとを検知する。
【0037】
(S10)
演算装置19は、ステップS9において、それぞれの人感センサ18が検知したNaとNbとNcの大小関係を比較する。その結果、検知した人数が最も多い室内機10と、その次に検知した人数が多い室内機10を、空清運転を開始する室内機10として決定する。実施の形態1に係るステップS10では、検知した人数がNb>Nc>Naとなる場合、演算装置19は、空清運転を開始する室内機を室内機10bと室内機10cとに決定する。
【0038】
(S11)
制御装置20は、ステップS10において、検知した人数が最も多い室内機10と、その次に検知した人数が多い室内機10は、空清運転を開始する。実施の形態1に係るステップS11では、制御装置20は、室内機10bと室内機10cが空清運転に運転を切り替えるよう制御する。
【0039】
(S12)
ステップS11において、室内機10bと室内機10cが空清運転を開始し、一定時間経過後、汚染物質検知センサ17は、Cを検知する。
汚染物質検知センサ17がCを検知する時間は、実験またはシミュレーションなどによってCを検知した方が良い時間に設計者によって設定されてもよく、ユーザーの要望に合わせて設定されてもよい。
【0040】
(S13)
演算装置19は、ステップS12で検知したCと、Csとを比較する。その結果、C<Csとなる場合、ステップS14へ進む。一方、比較の結果、C≧Csとなる場合、ステップS11へ進む。
【0041】
(S14)
ステップS13において、C<Csと判断されると、温度センサ16はTを検知する。演算装置19は、TとT1とを比較する。その結果、T>T1となる場合、ステップS15へ進む。一方、T≦T1となる場合、ステップS11へ進む。
【0042】
(S15)
ステップS14において、T>T1と判断されると、演算装置19は、TとT3とを比較する。その結果、T≦T3となる場合、ステップS16へ進む。一方、T>T3となる場合、ステップS5へ進む。
【0043】
(S16)
ステップS15において、T≦T3と判断された場合、制御装置20は、ステップS10で空清運転を開始した室内機10のうち、検知した人数が最も多い室内機10の次に検知した人数が多い室内機10を、冷房運転へ切り換えるように制御する。実施の形態1に係るステップS16では、制御装置20は、室内機10cを冷房運転へ切り換えるように制御する。
【0044】
(S17)
ユーザーが室内機10のメイン電源を切断された場合、冷房運転は停止する。一方、ユーザーが室内機10のメイン電源を切断しなかった場合、ステップS6へ進む。
【0045】
本実施の形態1に係る空気調和機100は、室内機10a、室内機10b、および室内機10cの3台の室内機10が室外機11に接続されており、ユーザーによって室内機10の電源が投入されると室内機10は冷房運転を開始する。一定時間経過後、室内温度Tが設定温度Toに到達し、室内1の汚染物質濃度Cが閾値Cs以上と判断されると、演算装置19は人感センサ18の検知結果を用いて空清運転を開始する室内機10を決定する。制御装置20は、人感センサ18が検知した人数が最も多い室内機10と、その次に検知した人数が多い室内機10を、冷房運転から空清運転へ切り替える。一定時間経過後、汚染物質濃度Cが閾値Csよりも低いと判断されると、演算装置19は、温度センサ16の検知結果が、室内温度Tが第一の温度T1よりも高く、かつ室内温度Tが第三の温度T3以下であるかを判断する。室内温度Tが第一の温度T1よりも高く、かつ室内温度Tが第三の温度T3以下であると判断されると、空清運転に切り替えた室内機10のうち、人感センサ18が検知した人数が最も多い室内機10の次に検知した人数が多い室内機10を再び冷房運転に切り替える。
【0046】
次に、図7および図8に沿って、実施の形態1に係る室内機10の暖房運転時の空気調和システムについて説明する。ここでは、図5および図6に示される実施の形態1に係る室内機10の冷房運転時の空気調和システムと相違する点を中心に説明する。
【0047】
(S1)
まず、ユーザーは室内機10のメイン電源を投入し、暖房運転が開始された場合、ステップS2へ進む。
【0048】
(S2)
ステップS1において、室内機10のメイン電源が投入されると、温度センサ16と汚染物質検知センサ17と人感センサ18の電源も投入される。なお、室内機10と温度センサ16と汚染物質検知センサ17と人感センサ18は、同一電源であってもよい。
【0049】
(S3)
ステップS2において、温度センサ16と汚染物質検知センサ17と人感センサ18の電源が投入されると、温度センサ16はTを検知する。
【0050】
(S4)
演算装置19は、ステップS3で検知したTと、Toとを比較する。その結果、T<Toとなる場合、ステップS5へ進む。一方、比較の結果、T≧Toとなる場合、ステップS3へ進む。
【0051】
(S5)
ステップS4において、T<Toと判断されると、制御装置20は、室内機10aと、室内機10bと、室内機10cが暖房運転を開始するよう制御する。
【0052】
(S6)
室内機10aと室内機10bと室内機10cとが暖房運転を開始し一定時間経過後、再び温度センサ16はTを検知する。演算装置19は、TとToとを比較する。その結果、T≧Toとなる場合、ステップS7へ進む。一方、比較の結果、T<Toとなる場合、ステップS5へ進む。
温度センサ16がTを検知する時間は、実験またはシミュレーションなどによってTを検知した方が良い時間に設計者によって設定されてもよく、ユーザーの要望に合わせて設定されてもよい。
【0053】
ステップS7~ステップS13は、図5で示される実施の形態1に係る室内機10の冷房運転時の空気調和システムと同様である。
【0054】
(S14)
ステップS13において、C<Csと判断されると、温度センサ16はTを検知する。演算装置19は、TとT2とを比較する。その結果、T<T2となる場合、ステップS15へ進む。一方、T≧T2となる場合、ステップS11へ進む。
【0055】
(S15)
ステップS14において、T<T2と判断されると、演算装置19は、TとT4とを比較する。その結果、T≧T4となる場合、ステップS16へ進む。一方、T<T4となる場合、ステップS5へ進む。
【0056】
(S16)
ステップS15において、T≧T4と判断された場合、制御装置20は、ステップS10で空清運転を開始した室内機10のうち、検知した人数が最も多い室内機10の次に検知した人数が多い室内機10を、暖房運転へ切り換えるように制御する。実施の形態1に係るステップS16では、制御装置20は、室内機10cを暖房運転へ切り換える。
【0057】
(S17)
ユーザーが室内機10のメイン電源を切断された場合、暖房運転は停止する。一方、ユーザーが室内機10のメイン電源を切断しなかった場合、ステップS6へ進む。
【0058】
同様にして、ユーザーによって室内機10の電源が投入されると室内機10は暖房運転を開始する。一定時間経過後、室内温度Tが設定温度Toに到達し、室内1の汚染物質濃度Cが閾値Cs以上と判断されると、演算装置19は人感センサ18の検知結果を用いて空清運転を開始する室内機10を決定する。制御装置20は、人感センサ18が検知した人数が最も多い室内機10と、その次に検知した人数が多い室内機10を、暖房運転から空清運転へ切り替える。一定時間経過後、汚染物質濃度Cが閾値Csよりも低いと判断されると、演算装置19は、温度センサ16の検知結果が、室内温度Tが第二の温度T2よりも低く、かつ室内温度Tが第四の温度T4以上であるかを判断する。室内温度Tが第二の温度T2よりも低く、かつ室内温度Tが第四の温度T4以上であると判断されると、空清運転に切り替えた室内機10のうち、人感センサ18が検知した人数が最も多い室内機10の次に検知した人数が多い室内機10を再び暖房運転に切り替える。
【0059】
以上のように、温度センサ16、汚染物質検知センサ17、および人感センサ18の検知結果を用いて複数台の室内機10を空調運転または空清運転に切り替えることで、温度快適性と空気清浄性を両立することが可能となる。さらに、空清運転中は冷媒流量を低下させ熱交換量を抑えるため、消費電力を低下させることができるので、省エネ化も図ることができるような空気調和機100を得ることができるという効果を奏する。
【0060】
さらに、本実施の形態1に係る空気清浄手段30に用いられているろ材は、室内機10が空調運転時には蛇腹状に折りたたまれており、室内機10が空清運転時には室内機10の風路内に広がる。これにより、ろ材は空調運転時の風路内の空気流を妨げることを抑制するため、省エネ性を向上させることができるという効果を奏する。
【0061】
なお、空気調和機100を構成する室内機10と室外機11、また室内機10の構成部品である、本体ケーシング12、化粧パネル13、熱交換器14、送風機15、温度センサ16、汚染物質検知センサ17、人感センサ18、および空気清浄手段30は、上記に限定されるものではなく、適宜、追加、代替されるものであってもよい。
【0062】
実施の形態1に係る空気調和機100は、1台の室外機11に対して、冷媒配管を介して複数台の室内機10が接続されているが、そうでなくてもよい。例えば、1台の室外機11に対して、冷媒配管を介して1台の室内機10を接続し、その組み合わせを室内1に複数設置してもよい。
【0063】
温度センサ16は、化粧パネル13に設けられているサーミスタであるが、そうでなくてもよい。例えば、温度センサ16は室内1に設けられてもよく、ユーザーが保有する端末から室内温度Tの情報を得てもよい。
【0064】
汚染物質検知センサ17は、化粧パネル13に設けられているが、そうでなくてもよい。例えば、汚染物質検知センサ17は室内1に設けられてもよく、ユーザーが保有する端末から汚染物質濃度Cの情報を得てもよい。
【0065】
人感センサ18は、画像カメラであるが、そうでなくてもよい。例えば、室内1に存在する人が保有している端末の位置情報から人数Nを検知するセンサであってもよい。人感センサ18は、室内1に存在する人の人数Nを検知しているが、そうでなくてもよい。人感センサ18は、室内1に存在する人の粗密を検知してもよい。例えば、赤外線で人から発生する熱を検知する赤外線センサ、あるいは人由来のガスであるCOあるいはVOC(揮発性有機化合物)の濃度を測定するガス検知器でもよい。
また、人感センサ18は、化粧パネル13に設けられているが、そうでなくてもよい。例えば、人感センサ18は、室内1に設けられてもよい。室内1に存在する人の粗密を検知して照度を調節できるような照明を天井2に設置し、当該照明から粗密の検知情報を受け取ってもよい。
【0066】
空気清浄手段30は、ろ材に限定されない。例えば、本体ケーシング12内に紫外線照射装置、オゾン発生装置、あるいは静電気発生装置が設けられていてもよい。空気清浄手段30が紫外線照射装置である場合、紫外線照射装置が室内機10の風路内の空気に紫外線を照射することで、風路内の空気に浮遊する汚染物質を不活性化することができる。空気清浄手段30がオゾン発生装置である場合、オゾン発生装置が室内機10の風路内にオゾンを発生することで、風路内の空気に浮遊する汚染物質を不活性化し、脱臭することができる。空気清浄手段30が静電気発生装置である場合、静電気発生装置は静電気を発生させることで帯電し、室内機10の風路内に浮遊する汚染物質を吸着することで、風路内の汚染物質が除去される。静電気発生装置は、当該静電気発生装置を帯電するようにしてもよく、例えば、室内機10に設けられた図示しないフィルタを帯電させるようにしてもよい。
紫外線照射装置、オゾン発生装置、あるいは静電気発生装置の電源は、室内機10のメイン電源と同一であってもよく、別個であってもよい。
【0067】
実施の形態1に係る空気清浄手段30は、本体ケーシング12内に設けられているが、そうでなくともよい。図9に示すように、本体ケーシング12と化粧パネル13の間に設けられていてもよい。また、図10に示すように、本体ケーシング12内に複数個所設けられていてもよい。換言すると、空気清浄手段30は、吸込口から吸込まれた室内空気が、熱交換器12によって温調空気へと変換され、吹出口から温調空気が室内へ吹き出されるまでの間に、汚染物質を不活性化あるいは除去されるように設けられていればよい。
【0068】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0069】
(付記1)
室外機と、前記室外機に対して冷媒配管を介して室内機が接続された空気調和機であって、
前記室内機は同一室内に複数台設けられており、
複数台の前記室内機のそれぞれには、
前記室内の空気中に浮遊する汚染物質を低減する空気清浄手段と、
前記室内の室内温度を測定する温度センサと、
前記室内の汚染物質濃度を検知する汚染物質検知センサと、
前記室内に存在する人の人数を検知する人感センサと、を備え、
前記室外機には、
それぞれの前記室内温度が測定した前記室内温度と設定された設定温度との比較を行い、それぞれの汚染物質検知センサが検知した前記汚染物質濃度と閾値との比較を行い、また、それぞれの前記人感センサが検知した前記人数の比較を行う演算装置と、
前記演算装置のそれぞれの比較結果によって、複数台の前記室内機のそれぞれの空調運転およびそれぞれの前記空気清浄手段の運転を制御する制御装置と、
を備える空気調和機。
(付記2)
室外機と、前記室外機に対して冷媒配管を介して室内機が接続された空気調和機であって、
前記室内機は同一室内に複数台設けられており、
複数台の前記室内機のそれぞれには、
前記室内の空気中に浮遊する汚染物質を低減する空気清浄手段を備え、
前記室内には、
前記室内の室内温度を測定する温度センサと、
前記室内の汚染物質濃度を検知する汚染物質検知センサと、
前記室内に存在する人の人数を検知する人感センサと、を備え、
前記室外機には、
それぞれの前記温度センサが測定した前記室内温度と設定された設定温度との比較を行い、それぞれの前記汚染物質検知センサが検知した前記汚染物質濃度と閾値との比較を行い、また、それぞれの前記人感センサが検知した前記人数の比較を行う演算装置と、
前記演算装置のそれぞれの比較結果によって、複数台の前記室内機のそれぞれの空調運転およびそれぞれの前記空気清浄手段の運転を制御する制御装置と、
を備える空気調和機。
(付記3)
複数台の前記室内機が冷房運転を行い、前記室内温度が前記設定温度に到達し、さらに前記汚染物質濃度が前記閾値以上である場合、
前記人感センサが検知した前記人数が最も多い室内機である第一の室内機と、前記第一の室内機の次に検知した前記人数が多い室内機である第二の室内機は、前記空気清浄手段の運転を実行する、付記1から付記2のいずれか一項に記載の空気調和機。
(付記4)
前記設定温度よりも高い温度の第一の温度と、前記設定温度よりも低い温度の第二の温度と、前記第一の温度よりも高い第三の温度と、前記第二の温度よりも低い第四の温度が設定されている空気調和機であって、
前記第一の室内機と前記第二の室内機は前記空気清浄手段の運転を実行し、その他の前記室内機は冷房運転を行っている場合、
前記室内温度が、前記第一の温度よりも高くかつ前記第三の温度以下の場合、前記第二の室内機は、冷房運転を開始する、付記1から付記3のいずれか一項に記載の空気調和機。
(付記5)
複数台の前記室内機が暖房運転を行い、前記室内温度が前記設定温度に到達し、さらに前記汚染物質濃度が前記閾値以上である場合、
前記第一の室内機と、前記第二の室内機は、前記空気清浄手段の運転を実行する、付記1から付記4のいずれか一項に記載の空気調和機。
(付記6)
前記第一の室内機と前記第二の室内機は前記空気清浄手段の運転を実行し、その他の前記室内機は暖房運転を行っている場合、
前記室内温度が、前記第二の温度よりも低くかつ前記第四の温度以上の場合、前記第二の室内機は、暖房運転を開始する、付記1から付記5のいずれか一項に記載の空気調和機。
【符号の説明】
【0070】
1 室内、 2 天井、 3 廊下、 4 窓、 10 室内機、 10a 室内機a、 10b 室内機b、 10c 室内機c、 11 室外機、 12 本体ケーシング、 13 化粧パネル、 14 熱交換器、 15 送風機、 16 温度センサ、 17 汚染物質検知センサ、 18 人感センサ、 19 演算装置、 20 制御装置、 30 空気清浄手段
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