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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024134385
(43)【公開日】2024-10-03
(54)【発明の名称】ビーム走査システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20240926BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20240926BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02B26/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023044654
(22)【出願日】2023-03-20
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三谷 勇介
(72)【発明者】
【氏名】山口 陽介
【テーマコード(参考)】
2H045
5J084
【Fターム(参考)】
2H045AA00
2H045AF11
2H045CB01
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA11
5J084BA13
5J084BA16
5J084BA36
5J084BA39
5J084BA40
5J084BA47
5J084BA48
5J084BB11
5J084BB13
5J084BB14
5J084BB21
5J084BB24
5J084BB27
5J084DA01
5J084DA02
5J084DA03
5J084EA40
(57)【要約】
【課題】 対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交するライン状に維持する新規な構成を開示する。
【解決手段】 ビーム走査システムは、ライン状の像を有するビームを第1方向に沿って照射する光源と、前記光源から照射された前記ビームを前記第1方向と直交する第2方向へ反射して、前記ビームを対象物へ照射する固定式の照射ミラーであって、前記第1方向に沿った軸回りに反射面が連続して存在している前記照射ミラーと、前記光源から前記照射ミラーまでの前記ビームの経路上に配置されており、前記光源から照射された前記ビームの前記像を前記ビームの光軸周りに回転させる像回転素子と、前記対象物から反射された前記ビームを受光する受光センサと、前記像回転素子を前記反射面の形状に合わせて前記第1方向に沿った軸周りに回転させる回転手段と、を備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状の像を有するビームを第1方向に沿って照射する光源と、
前記光源から照射された前記ビームを前記第1方向と直交する第2方向へ反射して、前記ビームを対象物へ照射する固定式の照射ミラーであって、前記第1方向に沿った軸回りに反射面が連続して存在している前記照射ミラーと、
前記光源から前記照射ミラーまでの前記ビームの経路上に配置されており、前記光源から照射された前記ビームの前記像を前記ビームの光軸周りに回転させる像回転素子と、
前記対象物から反射された前記ビームを受光する受光センサと、
前記像回転素子を前記反射面の形状に合わせて前記第1方向に沿った軸周りに回転させる回転手段と、
を備え、
前記光源から照射された前記ビームが、前記回転手段によって回転する前記像回転素子を通過し、前記照射ミラーで反射することにより、前記対象物に照射される前記ビームの前記像は、前記第2方向と直交する態様に維持される、
ビーム走査システム。
【請求項2】
前記反射面は、前記第1方向から45度傾斜した辺を有する平面図形を前記第1方向に沿った軸回りに回転させた回転体の側面である、請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項3】
前記ビーム走査システムは、さらに、
前記像回転素子から前記照射ミラーまでの前記ビームの経路上に配置され、前記照射ミラーに入射する前記ビームの前記像を屈折により変形させる第1屈折素子を備える、請求項2に記載のビーム走査システム。
【請求項4】
前記第1屈折素子は、前記反射面の形状である前記回転体を前記第1方向に沿って反転させた形状を有するプリズムである、請求項3に記載のビーム走査システム。
【請求項5】
前記ビーム走査システムは、さらに、
前記照射ミラーから前記対象物までの前記ビームの経路上に配置され、前記照射ミラーによって反射された前記ビームの前記像を屈折により変形させる第2屈折素子を備える、請求項2に記載のビーム走査システム。
【請求項6】
前記反射面は、前記第1方向に沿った軸を中心軸とする多角錐の側面である、請求項1に記載のビーム走査システム。
【請求項7】
前記反射面は、前記反射面に入射する前記ビームの前記光軸を中心軸として左右対称の形状を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のビーム走査システム。
【請求項8】
前記像回転素子は、ダブプリズムである、請求項1から6のいずれか一項に記載のビーム走査システム。
【請求項9】
前記像回転素子は、前記光源から照射された前記ビームを前記第1方向と交差する第3方向に反射させる第1ミラーと、前記第1ミラーによって反射された前記ビームを前記第3方向と交差する第4方向へ反射する第2ミラーと、前記第2ミラーによって反射された前記ビームを前記第1方向へ反射する第3ミラーと、を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のビーム走査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ビームを走査するビーム走査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ビームを照射する光源と、光源から照射されたビームを対象物へ反射するミラーと、ミラーを回転させるモータと、対象物から反射されたビームを受光する受光系と、を備えるシステムが開示されている。当該システムは、ビームを所定の角度を有する範囲(以下、「走査範囲」と記載)に亘って走査する。当該システムは、対象物までの距離を計測することに利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-180956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、対象物までの距離を立体的に計測することが求められる。例えば、対象物に照射されるビームの像を、走査範囲と直交するライン状にすることにより、対象物までの距離を立体的に計測することができる。
【0005】
本明細書では、対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交するライン状に維持する新規な構成を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示するビーム走査システムは、ライン状の像を有するビームを第1方向に沿って照射する光源と、前記光源から照射された前記ビームを前記第1方向と直交する第2方向へ反射して、前記ビームを対象物へ照射する固定式の照射ミラーであって、前記第1方向に沿った軸回りに反射面が連続して存在している前記照射ミラーと、前記光源から前記照射ミラーまでの前記ビームの経路上に配置されており、前記光源から照射された前記ビームの前記像を前記ビームの光軸周りに回転させる像回転素子と、前記対象物から反射された前記ビームを受光する受光センサと、前記像回転素子を前記反射面の形状に合わせて前記第1方向に沿った軸周りに回転させる回転手段と、を備え、前記光源から照射された前記ビームが、前記回転手段によって回転する前記像回転素子を通過し、前記照射ミラーで反射することにより、前記対象物に照射される前記ビームの前記像は、前記第2方向と直交する態様に維持される。
【0007】
例えば、走査範囲に亘って照射ミラーを回転させる比較例が想定される。当該比較例では、光源から照射されたライン状の像を有するビームが、照射ミラーで反射して対象物へ照射されるものの、照射ミラーの回転位置によっては、対象物に照射されたビームの像が、走査範囲と直交せず、対象物までの距離の立体的な計測を実現することができない。
【0008】
上記の構成によれば、光源から照射されたビームの像が像回転素子によって光軸周りに回転する。さらに、反射面の形状に合わせて像回転素子を回転させることにより、反射面を反射するビームの像が走査範囲と直交するライン状に維持される。像回転素子と回転手段と固定式の照射ミラーにより、対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交するライン状に維持することができる。
【0009】
前記反射面は、前記第1方向から45度傾斜した辺を有する平面図形を前記第1方向に沿った軸回りに回転させた回転体の側面であってもよい。上記の回転体は、例えば、円錐、円錐台である。
【0010】
前記ビーム走査システムは、さらに、前記像回転素子から前記照射ミラーまでの前記ビームの経路上に配置され、前記照射ミラーに入射する前記ビームの前記像を屈折により変形させる第1屈折素子を備えてもよい。
【0011】
上記の回転体の表面は、頂部から底部に向かって曲率半径が大きくなる。この曲率半径の変化を考慮して、照射ミラーに入射されるビームの像を第1屈折素子で予め屈折させることにより、対象物に照射されるビームの像の形状がライン状から変形することを抑制することができる。
【0012】
前記第1屈折素子は、前記反射面の形状である前記回転体を前記第1方向に沿って反転させた形状を有するプリズムであってもよい。
【0013】
前記ビーム走査システムは、さらに、前記照射ミラーから前記対象物までの前記ビームの経路上に配置され、前記照射ミラーによって反射された前記ビームの前記像を屈折により変形させる第2屈折素子を備えてもよい。
【0014】
上記の構成によれば、曲率半径が変化する照射ミラーの反射により変形したビームの像を第2屈折素子で屈折させることにより、対象物に照射されるビームの像の形状をライン状に戻すことができる。
【0015】
前記反射面は、前記第1方向に沿った軸を中心軸とする多角錐の側面であってもよい。
【0016】
多角錐では、頂部から底部に向かって曲率半径が変化しない。反射面が多角錐の側面であることにより、対象物に照射されるビームの像の形状がライン状から変形することを抑制することができる。
【0017】
前記反射面は、前記反射面に入射する前記ビームの前記光軸を中心軸として左右対称の形状を有していてもよい。
【0018】
上記の構成によれば、反射面に入射したビームは、左右対称の中心軸を中心として2方向に分かれる。走査範囲と直交するライン状の像を有するビームを2方向に同時に照射することができる。
【0019】
前記像回転素子は、ダブプリズムであってもよい。
【0020】
前記像回転素子は、前記光源から照射された前記ビームを前記第1方向と交差する第3方向に反射させる第1ミラーと、前記第1ミラーによって反射された前記ビームを前記第3方向と交差する第4方向へ反射する第2ミラーと、前記第2ミラーによって反射された前記ビームを前記第1方向へ反射する第3ミラーと、を備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施例のビーム走査システムの概念図である。
図2】像回転素子の斜視図及び第1の使用態様を示す図である。
図3】比較例のビーム走査システムの概念図である。
図4】像回転素子の変形例である。
図5】第2実施例のビーム走査システムの概念図である。
図6】第3実施例のビーム走査システムの概念図である。
図7】像回転素子の斜視図及び第2の使用態様を示す図である。
図8】梁の構造を示す斜視図である。
図9】第4実施例のビーム走査システムの概念図である。
図10】第5実施例のビーム走査システムの概念図である。
図11】第6実施例のビーム走査システムの概念図である。
図12】回転状態に異常が発生した具体的なケースである。
図13】第8実施例のビーム走査システムの概念図である。
図14】円錐ミラーの特性を示す図である。
図15】多角錐ミラーの斜視図である。
図16】第9実施例のビーム走査システムの概念図である。
図17】第10実施例のビーム走査システムの概念図である。
図18】第11実施例のビーム走査システムの概念図である。
図19】第12実施例のビーム走査システムの概念図である。
図20】第13実施例のビーム走査システムの概念図である。
図21】第14実施例のビーム走査システムの概念図である。
図22】回転状態に異常が発生した具体的なケースである。
図23】回転状態に異常が発生した具体的なケースである。
図24】第16実施例のビーム走査システムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施例)
(ビーム走査システム1の構成;図1図2
ビーム走査システム1は、3DLiDARに含まれるシステムである。3DLiDARは、光による検知と測距(light Detection And Rangingの略)と呼ばれ、周囲の物体との距離を三次元的に計測する装置である。3DLiDARから照射されたレーザは、周囲の対象物(例えば人物)に到達する。対象物に到達したレーザの反射光は、3DLiDARに受光される。3DLiDARは、対象物へのレーザの照射から当該レーザの反射光までの時間を利用して、3DLiDARと対象物との距離を算出する。
【0023】
ビーム走査システム1は、光源20と、ハーフミラー22と、受光センサ24と、像回転素子26と、アクチュエータ28と、照射ミラー30と、アクチュエータ32と、アクチュエータ28及び32を制御する制御装置34と、を備える。図1の一点鎖線矢印は、ビームの経路を示す。一点鎖線矢印は、ビームの光軸も示す。また、図中には、XYZ座標系が定義されている。
【0024】
光源20は、Y軸負方向へビームを照射する。光源20が照射したビームは、像B0を有する。像B0は、ライン状である。別言すれば、像B0は、所定の幅を有する細長い長方形である。
【0025】
光源20、ハーフミラー22、像回転素子26、及び、照射ミラー30は、Y軸に沿って配置される。ハーフミラー22は、Y軸に対して45度傾いている。光源20から照射されたビームは、ハーフミラー22を通過して、像回転素子26に入射する。
【0026】
像回転素子26は、光源20が照射したビームの像B0を当該ビームの光軸周りに回転させる。像回転素子26は、例えば、図2に示すダブプリズムである。
【0027】
ダブプリズムは、角柱の形状を有する。図2に示すように、角柱の底面40は、平行な2本の辺42a及び42bと、2本の斜辺44a及び44bと、を有する多角形である。底面40は、例えば、台形である。ダブプリズムは、辺42a及び42bと平行な軸(以下では、「長軸46」と記載)に沿って長手の形状を有する。
【0028】
図2に示すように、長軸46に沿ってダブプリズムに入射したビームは、斜辺44aを有する斜面48aで屈折し、長手の辺42bを有する側面(以下では「長手面50」と記載)で内側に反射する。長手面50で反射したビームは、斜辺44bを有する斜面48bで屈折して、ダブプリズムの外へ伝搬する。なお、図1及び他の図(例えば図5図13)では、ダブプリズムが簡略化して描かれており、これら図では、像回転素子26を通過するビームの光軸が簡略化して直線で描かれていることに留意されたい。
【0029】
図2に示すように、長軸46に沿ってダブプリズムに入射したビームは、長軸46に沿ってダブプリズムの外へ伝搬する。図2に示すように、ビームの像B12は、ダブプリズムを通過することにより、ビームの光軸周りに反転する。ここで、ダブプリズムを長軸46周りに回転させると、像B12も回転する。像B12の回転角度は、ダブプリズムの回転角度θの2倍である。
【0030】
本実施例では、像回転素子26の長軸46は、Y軸方向に一致する。像回転素子26から外へ伝搬したビームは、照射ミラー30に入射する。照射ミラー30は、Y軸に対して45度傾いている。このため、照射ミラー30に入射したレーザは、X軸方向へ反射して、3DLiDARの外に位置する対象物へ入射する。
【0031】
対象物へ入射したビームは、対象物で反射する。対象物からの反射光は、照射ミラー30で反射して、像回転素子26を通過して、ハーフミラー22で反射する。ハーフミラー22で反射した反射光は、受光センサ24に入射する。受光センサ24は、例えば、SPAD(Single Photon Avalanche Diodeの略)センサ等のイメージセンサである。
【0032】
アクチュエータ28は、像回転素子26をY軸方向に沿った軸回りに回転させる。例えば、アクチュエータ28のトルクは、ギア、ベルト等の動力伝達機構を介して、像回転素子26へ伝達する。アクチュエータ32は、照射ミラー30をY軸方向に沿った軸回りに回転させる。アクチュエータ32のシャフトは、照射ミラー30に接続されている。なお、変形例では、アクチュエータ32のトルクは、動力伝達機構を介して、像回転素子26へ伝達してもよい。制御装置34は、アクチュエータ32によって照射ミラー30が回転する速度が、アクチュエータ28によって像回転素子26が回転する角速度ωの2倍となるように、アクチュエータ28及び32を制御する。
【0033】
アクチュエータ32によって照射ミラー30が回転することにより、ビームが所定の角度を有する範囲(以下では「走査範囲」と記載)に亘って走査される。走査範囲は、X軸方向と平行であり、所定の角度は、例えば、180度、360度である。ここで、対象物に照射されるビームの像を、走査範囲と直交するライン状にすることにより、対象物までの距離を立体的に計測することができる。本実施例では、ライン状の像B0を有するビームが、光源20によって生成される。
【0034】
(本実施例の効果)
図3は、像回転素子26及びアクチュエータ28を備えない比較例である。本比較例でも、照射ミラー30が回転することにより、ビームが走査範囲に亘って走査される。例えば、照射ミラー30が傾斜する方向(以下では「傾斜方向」と記載)が像B0のラインの延びる方向と一致する回転位置では、対象物に照射されるビームの像B6は、走査範囲と直交する。しかし、照射ミラー30の傾斜方向が像B0のラインの延びる方向と交差する回転位置では、対象物に照射されるビームの像B4、B5、及び、B7は、走査範囲と直交しない。別言すれば、対象物に照射されるビームの像が光軸周りに回転し、当該像の延びる方向が走査範囲と直交する方向に維持されない。この状態では、対象物までの距離の立体的な計測を実現することができない。
【0035】
本実施例の構成によれば、光源20から照射されたビームの像B0が像回転素子26によって光軸周りに回転する。さらに、照射ミラー30がアクチュエータ32によって回転するとともに、像回転素子26もアクチュエータ28によって回転する。ここで、照射ミラー30の角速度を像回転素子26の角速度ωの2倍とすることにより、照射ミラー30の回転位置によらずに、像回転素子26から入射するビームの像のラインの延びる方向が、照射ミラー30の傾斜方向と一致する。これにより、図1の像B1~B3に示すように、対象物に照射されるビームの像が走査範囲と直交するライン状に維持される。像回転素子26とアクチュエータ28を備えることにより、対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交するライン状に維持することができる。
【0036】
なお、本実施例では、対象物からの反射光も像回転素子26を通過する。このため、受光センサ24に入射する像B9のラインが延びる方向は一定である。本実施例では、受光センサ24として、一次元のイメージセンサを採用する。なお、変形例では、受光センサ24として、二次元のイメージセンサを採用してもよい。
【0037】
(像回転素子26の変形例;図4
ダブプリズムと同様の特性は、3枚のミラーの組み合わせでも実現可能である。図4の像回転素子26aは、第1ミラー52と、第2ミラー54と、第3ミラー56と、を備える。第1ミラー52は、光源20から照射されたビームをY軸方向と交差する第1交差方向52aへ反射する。第2ミラー54は、第1ミラー52によって反射されたビームを第1交差方向52aと交差する第2交差方向54aへ反射する。第3ミラー56は、第2ミラー54によって反射されたビームをY軸方向へ反射する。
【0038】
第1実施例の像回転素子26に代えて、図4の像回転素子26aを採用しても、対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交するライン状に維持することができる。なお、本変形例でも、照射ミラー30の角速度は像回転素子26の角速度ωの2倍である。
【0039】
(第2実施例)
(ビーム走査システム2の構成;図3
本実施例のビーム走査システム2は、ハーフミラー22に代えて、反射ミラー122が備えられる点、及び、受光センサ24の位置が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。反射ミラー122は、光源20から照射ミラー30までのビームの経路とは異なる箇所に配置される。例えば、反射ミラー122は、照射ミラー30を挟んで、光源20と反対側に配置される。
【0040】
また、本実施例では、受光センサ24は、反射ミラー122によって反射される反射光の経路上に配置される。
【0041】
本実施例において、光源20から対象物までのビームの経路は、ハーフミラー22を通過しない点を除いて、第1実施例と同様である。一方、本実施例では、反射光の経路が第1実施例と異なる。図2に示すように、反射光は、反射ミラー122で反射して、受光センサ24に入射する。
【0042】
本実施例では、対象物からの反射光は、像回転素子26を通過しない。このため、受光センサ24に入射する反射光の像は、反射光の光軸周りに回転する。ここで、受光センサ24に入射する反射光の像のラインが延びる方向は、照射ミラー30の回転角度に応じて一意に決まる。本実施例では、受光センサ24として二次元のイメージセンサを採用する。二次元のイメージセンサは、マトリックス状に並ぶ複数個の素子(例えばフォトダイオード)を備える。本実施例のビーム走査システム2は、照射ミラー30の回転角度に基づいて、二次元のイメージセンサを構成する複数個の素子の中から、反射光を検知すべき素子を決定する。
【0043】
(第3実施例)
(ビーム走査システム3の構成;図6図7図8
本実施例のビーム走査システム3では、光源20、受光センサ24、アクチュエータ28、及び、アクチュエータ32が筐体202に支持されている。さらに、本実施例では、ダブプリズムである像回転素子26の使用方法が、第1及び第2実施例と異なる。
【0044】
本実施例では、図7に示すように、ビームは、長手面50のうちの斜面48aと対面する箇所から、長手面50と直交する方向に沿ってダブプリズムに入射する。長手面50と直交する方向に沿ってダブプリズムに入射したビームは、斜面48aの内側で反射して、斜面48bに入射する。斜面48bに入射したビームは、斜面48bの内側で反射して、長手面50からダブプリズムの外へ伝搬する。
【0045】
図7に示すように、ビームが長手面50と直交する方向に沿ってダブプリズムに入射する場合でも、ダブプリズムを通過したビームの像B12は、ビームの光軸周りに反転する。ここで、長手面50のうちの斜面48aと対面する箇所に入射するビームの光軸周りにダブプリズムを回転させると、像B12も回転する。像B12の回転角度は、ダブプリズムの回転角度θの2倍である。
【0046】
図6に示すように、アクチュエータ28は、筐体202の上壁202aの内側に固定されている。アクチュエータ28のシャフトは、像回転素子26に接続されている。像回転素子26の回転軸が長手面50のうちの斜面48aと対面する箇所を通過するように、像回転素子26が配置される。
【0047】
光源20と受光センサ24は、筐体202の内部に渡された梁204に固定されている。梁204の上面は、筐体202の上壁202aと対面している。光源20は、梁204の上面に露出し、像回転素子26と対面している。光源20から照射されるレーザの光軸は、像回転素子26の回転軸と一致する。
【0048】
また、梁204の下面は、筐体202の下壁202bと対面している。受光センサ24は、梁204の下面に露出している。
【0049】
下壁202bの内側には、アクチュエータ32が固定されている。アクチュエータ32のシャフトは、照射ミラー30に接続されている。照射ミラー30の回転軸と像回転素子26の回転軸は、Y軸方向に沿って直線状に並んでいる。照射ミラー30は、梁204の下面から露出している受光センサ24と対面している。
【0050】
本実施例でも、制御装置34は、アクチュエータ32によって照射ミラー30が回転する速度が、アクチュエータ28によって像回転素子26が回転する角速度ωの2倍となるように、アクチュエータ28及び32を制御する。
【0051】
図8に示すように、梁204は、支持板206に形成された円形の孔208の内側に渡されている。光源20は、円形の孔208の中心に配置されている。即ち、光源20の周りには、半円の孔が存在している。支持板206を筐体202の内部に固定することにより、梁204が筐体202の内部に渡される。
【0052】
図6に示すように、光源20は、Y軸正方向へレーザを照射する。光源20から照射されたレーザは、像回転素子26内で反射して、像回転素子26からY軸負方向の外へ伝搬する。像回転素子26から外へ伝搬するレーザの光軸は、光源20から照射されるレーザの光軸からずれている。像回転素子26から外へ伝搬するレーザは、光源20の周囲の孔208を通過して、照射ミラー30へ入射する。これにより、レーザが対象物に照射される。
【0053】
また、対象物からの反射光は、照射ミラー30で反射して、受光センサ24に入射する。本実施例では、反射光は、像回転素子26を通過しない。本実施例では、第2実施例と同様に、受光センサ24として二次元のイメージセンサを採用する。
【0054】
(本実施例の効果)
本実施例のビーム走査システム3も、像回転素子26とアクチュエータ28を備えることにより、対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交するライン状に維持することができる。特に、本実施例では、アクチュエータ28は、筐体202の上壁202aに固定される。このため、像回転素子26を回転させるための機構を筐体202の中空に配置しなくてもよい。
【0055】
上記したように、光源20の周りには、半円の孔が存在している。このため、本実施例では、走査範囲は、180度以下である。例えば、梁204を透明な素材、又は、メッシュ状の材料で形成すれば、レーザは、梁204の内部も通過可能である。本変形例では、走査範囲を360度まで拡張可能である。
【0056】
(第4実施例)
(ビーム走査システム4の構成;図9
本実施例のビーム走査システム4は、反射光の経路が異なる点と、受光センサ24の配置が異なる点と、を除いて、第3実施例のビーム走査システム3と同様である。
【0057】
本実施例では、受光センサ24は、光源20と同様に、梁204の上面に露出している。受光センサ24は、像回転素子26と対面している。例えば、光源20と受光センサ24は、X軸方向に沿って平行に並んでいる。
【0058】
本実施例において、光源20から対象物までのレーザの経路は、第3実施例と同様である。一方、本実施例では、対象物からの反射光は、照射ミラー30で反射して、梁204の孔208を通過して、像回転素子26に入射する。像回転素子26に入射した反射光は、図7に示す順序とは反対の順序で反射して、像回転素子26からY軸負方向の外へ伝搬する。像回転素子26から外へ伝搬したレーザは、受光センサ24に入射する。
【0059】
本実施例では、対象物からの反射光は、像回転素子26を通過する。このため、受光センサ24に入射する像のラインが延びる方向は一定である。本実施例では、受光センサ24として、一次元のイメージセンサと二次元のイメージセンサのいずれも採用可能である。本実施例でも、第3実施例と同様の効果を得ることができる。
【0060】
(第5実施例)
(ビーム走査システム5の構成;図10
本実施例のビーム走査システム5では、光源20、受光センサ24、アクチュエータ28、及び、アクチュエータ32が筐体212に支持されている。本実施例の像回転素子26は、ダブプリズムと同等の像回転効果を有するプリズムであり、その形状は、図2のダブプリズムと同様に、長手面50、長手面50と対面する短手面51、斜面48a、斜面48bを有する。本実施例の像回転素子26の使用方法は、第1実施例と同様である(図2参照)。
【0061】
図10に示すように、複数の柱212cが、筐体212の上壁212aから筐体212の内側へと延びている。複数の柱212cには、上段の梁213と、下段の梁214が渡されている。光源20は、上段の梁213に固定されており、上段の梁213の下面から露出している。即ち、光源20は、上段の梁213及び複数の柱212cを介して、上壁212aに固定されている。なお、変形例では、光源20は、上壁212aに直接に固定されていてもよい。
【0062】
また、下段の梁214の上面には、アクチュエータ28が固定されている。アクチュエータ28のシャフトは、像回転素子26に接続されている。アクチュエータ28の回転軸は、光源20から照射されるレーザの光軸と一致する。下段の梁214は、図8と同様に、支持板206に形成された円形の孔208内に渡されている。即ち、アクチュエータ28の周りには、半円の孔が存在している。
【0063】
図10に示すように、像回転素子26は、長軸46がY軸方向と一致するように配置される。特に、長手面50と対面する短手面51が、レーザの光軸周りの半径方向において外側に位置し、長手面50が、当該半径方向において内側に位置する光源20は、長手面50が位置する側に偏って斜面48aと対面している。この場合、図10に示すように、光源20から照射されたレーザは、斜面48aに入射した位置からX軸方向にずれた位置で斜面48bから外へ伝搬する。斜面48bは、アクチュエータ28の周りの半円の孔と対面している。この結果、レーザは、アクチュエータ28の周りの孔を通過する。なお、本実施例の像回転素子26では、斜面48bの一部がカットされている。
【0064】
受光センサ24は、梁214の下面に露出している。アクチュエータ32は、筐体212の下壁212bの内側に固定されている。受光センサ24、アクチュエータ32、及び、照射ミラー30の位置関係は、第3実施例(図6参照)と同様である。また、本実施例でも、照射ミラー30の回転軸と像回転素子26の回転軸は、Y軸方向に沿って直線状に並んでいる。
【0065】
(本実施例の効果)
本実施例のビーム走査システム5も、像回転素子26とアクチュエータ28を備えることにより、対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交するライン状に維持することができる。
【0066】
(第6実施例)
(ビーム走査システム6の構成;図11
本実施例のビーム走査システム6は、像回転素子26の向きが異なる点を除いて、第5実施例と同様である。
【0067】
図11に示すように、長手面50が、レーザの光軸周りの半径方向において外側に位置し、短手面51が、当該半径方向において内側に位置する。ここで、光源20は、短手面51が位置する側に偏って斜面48bと対面している。この場合、図11に示すように、光源20から照射されたレーザは、斜面48bに入射した位置からX軸方向にずれた位置で斜面48aから外へ伝搬する。斜面48aは、アクチュエータ28の周りの半円の孔と対面している。この結果、レーザは、アクチュエータ28の周りの孔を通過する。本実施例も、第5実施例と同様の効果を得ることができる。
【0068】
(第7実施例)
(回転状態の調整;図12
本実施例は、制御装置34がアクチュエータ28及び32のうちのいずれかの回転状態を調整する処理を実行する点を除いて、第1実施例と同様である。
【0069】
レーザの像の回転角度は、光源20に対する像回転素子26の相対角度によって決まる。また、3DLiDARから照射されるレーザの像を走査範囲と直交するライン状に維持するために、照射ミラー30の角速度が、像回転素子26の角速度ωの2倍に維持される。ここで、上記の相対角度と角速度を合わせて、「回転状態」と記載する。
【0070】
照射ミラー30及び像回転素子26を回転させる機構に何らかの異常が発生すると、回転状態が設計時の状態から変化する場合がある。回転状態に異常が発生すると、3DLiDARから照射されるレーザの像を走査範囲と直交するライン状に維持できない場合がある。
【0071】
本実施例では、制御装置34は、受光センサ24によって出力される出力画像を分析して、回転状態が設計時の状態から変化したことを検知する。図12のケースC1は、照射ミラー30の角速度と像回転素子26の角速度の比に異常が発生するケースである。照射ミラー30の角速度と像回転素子26の角速度の比が2:1で正常である場合には、出力画像は、ライン状の画像である。しかし、当該比に異常が発生すると、出力画像は、複数個のライン状の画像が重なった扇状の画像に変化する。制御装置34は、受光センサ24の出力画像が扇状の画像であることを検知すると、受光センサ24の出力画像がライン状の画像に戻るように、アクチュエータ28及び32のうちの少なくとも一方の角速度を調整する。
【0072】
また、図12のケースC2は、光源20に対する像回転素子26の相対角度に異常が発生するケースである。相対角度が設計時の相対角度で正常である場合には、出力画像は、一定の方向に延びるライン状の画像IM1である。しかし、相対角度に異常が発生すると、出力画像は、画像IM1から特定の角度αで傾いたライン状の画像IM2に変化する。制御装置34は、受光センサ24の出力画像が画像IM2であることを検知すると、受光センサ24の出力画像が画像IM1に戻るように、アクチュエータ28の回転角度を調整して、相対角度を調整する。ここで、制御装置34は、出力画像を分析して、角度αを算出する。制御装置34は、算出した角度αを利用して、アクチュエータ28の回転角度を調整する方向を決定する。
【0073】
本実施例の構成によれば、制御装置34は、照射ミラー30及び像回転素子26の回転状態に異常が発生する場合に、アクチュエータ28の回転状態とアクチュエータ32の回転状態とのうちの少なくとも一方を調整する。これにより、照射ミラー30及び像回転素子26の回転状態の異常が解消する。照射ミラー30及び像回転素子26の回転状態の異常が発生しても、3DLiDARから照射されるレーザの像を走査範囲と直交するライン状に維持することができる。
【0074】
(第8実施例)
(ビーム走査システム8の構成;図13
本実施例のビーム走査システム8は、照射ミラー30及びアクチュエータ32に代えて、固定式の円錐ミラー330を備える。光源20、ハーフミラー22、受光センサ24、像回転素子26、及び、アクチュエータ28の位置関係は、第1実施例と同様である。なお、本実施例の像回転素子26は、図2のダブプリズムでもいいし、図4の変形例でもよい。
【0075】
円錐ミラー330は、Y軸方向に高さを有する円錐形状のミラーである。円錐ミラー330の側面は、レーザを反射する反射面330aである。反射面330aは、Y軸方向から45度傾斜した面である。別言すれば、反射面330aは、Y軸方向から45度傾斜した辺を有する直角二等辺三角形をY軸方向に沿った軸回りに回転させた回転体の側面である。なお、変形例では、ビーム走査システム8は、円錐ミラー330に代えて、Y軸方向に高さを有する円錐台形状のミラーを備えてもよい。一般的に言えば、ビーム走査システム8は、Y軸方向から45度傾斜した辺を有する平面図形をY軸方向に沿った軸回りに回転させた回転体の形状のミラーを備えればよい。
【0076】
円錐ミラー330は、像回転素子26と対面している。反射面330aは、Y軸方向に沿った軸回りに連続して存在している。像回転素子26は、アクチュエータ28によりY軸方向に沿った軸回りに回転している。像回転素子26が回転する軸を円錐ミラー330の軸に合わせることにより、ビームが反射面330aに入射する位置によらず、像回転素子26から入射するビームの像のラインの延びる方向が、反射面330aの傾斜方向と一致する。これにより、反射面330aによって反射するビームの像は、走査範囲と直交するライン状に維持される。
【0077】
図13に示すように、円錐ミラー330に入射するビームの像B0の光軸は、反射面330a上に位置する。像B0が反射面330aに写る位置は、円錐ミラー330の軸に対して半径方向の外側に偏っている。例えば、図10と同様に像回転素子26に対するビームの入射位置を調整することにより、像B0の入射位置を円錐ミラー330の軸に対して半径方向の外側に偏らせることができる。
【0078】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、光源20から照射されたビームの像B0が像回転素子26によって光軸周りに回転する。さらに、反射面330aの形状に合わせて像回転素子26を回転させることにより、ビームが反射面330aに入射する位置によらず、反射面330aを反射するビームの像が走査範囲と直交するライン状に維持される。像回転素子26とアクチュエータ28と固定式の円錐ミラー330により、対象物に照射されるビームの像B1~B3を走査範囲と直交するライン状に維持することができる。
【0079】
また、本実施例では、固定式の円錐ミラー330が利用される。像回転素子26だけでなく照射ミラー30も回転させる第1実施例よりも回転機構を簡略化することができる。また、制御装置34は、アクチュエータ28を制御するだけでよい。制御装置34内のプログラムも簡略化することができる。
【0080】
また、本実施例では、対象物からの反射光は、円錐ミラー330により反射して像回転素子26を通過する。このため、受光センサ24に入射する像B9のラインが延びる方向は一定である。本実施例では、受光センサ24として一次元のイメージセンサと二次元のイメージセンサのいずれも採用可能である。
【0081】
(対応関係)
光源20、像回転素子26、受光センサ24が、それぞれ、「光源」、「像回転素子」、「受光センサ」の一例である。Y軸方向、X軸方向が、それぞれ、「第1方向」、「第2方向」の一例である。第1ミラー52、第2ミラー54、第3ミラー56が、それぞれ、「第1ミラー」、「第2ミラー」、「第3ミラー」の一例である。第1交差方向52a、第2交差方向54aが、それぞれ、「第3方向」、「第4方向」の一例である。ビーム走査システム8、円錐ミラー330、反射面330aが、それぞれ、「ビーム走査システム」、「照射ミラー」、「反射面」の一例である。アクチュエータ28が、「回転手段」の一例である。
【0082】
(円錐ミラー330の特性;図14
円錐では、頂部から底部に向かって曲率半径が大きくなる。ここで、像B0は、頂点P0と底部の一点P1へ向かう線分に沿って反射面330aに写る。このため、反射面330aによって反射したビームの像B10は、頂点P0に近い側が底部の一点P1に近い側よりも膨張する。像B10の形状は、頂点P0の側から底部の一点P1の側へと広がる台形又は三角形である。本実施例では、対象物に照射されるビームの像を走査範囲と直交する態様に維持することができるものの、対象物に照射されるビームの像がライン状とは異なる形状に変形し得る。
【0083】
(第8実施例の変形例)
(多角錐ミラー340の構成;図15
本変形例は、円錐ミラー330に代えて、多角錐ミラー340を採用する。多角錐ミラー340は、Y軸方向に高さを有する多角錐形状のミラーである。多角錐の側面は、平面である。多角錐は、円錐と異なり、頂部から底部に向かって曲率半径が変化しない。本変形例では、対象物に照射されるビームの像がライン状とは異なる形状に変化することを抑制することができる。多角錐ミラー340が、「照射ミラー」の一例である。
【0084】
(第9実施例)
(ビーム走査システム9の構成;図16
本実施例のビーム走査システム9は、像変換レンズ350が追加される点を除いて、第8実施例と同様である。
【0085】
像変換レンズ350は、ライン状の像B0を台形状の像B20へ変換するレンズである。像変換レンズ350は、像回転素子26から円錐ミラー330までのビームの経路上に配置されている。
【0086】
図14で説明したように、円錐ミラー330の反射面330aで反射したビームの像B10は台形状である。本実施例では、反射面330aへ入射するビームが、反射面330aへ入射する前に像変換レンズ350を通過する。反射面330aへ入射するビームの像B20の形状が、像B10と上下反転した台形又は三角形に予め変形する。反射面330aによって反射したレーザの像は、反射面330aによって、上下反転した台形又は三角形からライン状に変形する。この結果、対象物に照射されるビームの像がライン状とは異なる形状に変化することを抑制することができる。像変換レンズ350が、「第1屈折素子」の一例である。
【0087】
(第10実施例)
(ビーム走査システム10の構成;図17
本実施例のビーム走査システム10は、反転プリズム360が追加される点を除いて、第8実施例と同様である。
【0088】
反転プリズム360は、円錐ミラー330の円錐の形状を上下に反転させた形状を有するプリズムである。反転プリズム360は、像回転素子26から円錐ミラー330までのビームの経路上に配置されている。
【0089】
反転プリズム360も、通過するビームの像の形状をライン状から、像B10と上下反転した台形又は三角形へ変形させる特性を有する。ビームが反転プリズム360を予め通過することにより、円錐ミラー330の曲率半径の影響をキャンセルすることができる。本変形例でも、対象物に照射されるビームの像がライン状とは異なる形状に変化することを抑制することができる。反転プリズム360が、「第1屈折素子」の一例である。
【0090】
(第11実施例)
(ビーム走査システム10の構成;図18
本実施例のビーム走査システム11は、円錐ミラー330に代えて、円錐台ミラー370と円錐台プリズム372を備える点を除いて、第8実施例と同様である。
【0091】
円錐台ミラー370は、Y軸方向に高さを有する円錐台状のミラーである。円錐台プリズム372は、円錐台ミラー370の側面を取り囲むように形成された円錐台状のプリズムである。円錐台ミラー370の側面と円錐台プリズム372の側面は平行である。
【0092】
円錐台プリズム372は、円錐台ミラー370の曲率半径の影響をキャンセルする特性を有する。像回転素子26から外へ伝搬したレーザは、円錐台プリズム372の上面372aを通過して、円錐台ミラー370へ入射する。上面372aから円錐台ミラー370までの経路では、ビームの像は変形しない。円錐台ミラー370によって反射したビームの像の形状は、図14に示すように、台形又は三角形に変形する。しかし、ビームが、円錐台ミラー370の側面から円錐台プリズム372の側面へ通過する際に、台形又は三角形への変形がキャンセルされて、ビームの像がライン状へ戻る。本変形例でも、対象物に照射されるビームの像がライン状とは異なる形状に変化することを抑制することができる。円錐台プリズム372が、「第2屈折素子」の一例である。
【0093】
(第12実施例)
(ビーム走査システム12の構成;図19
【0094】
第8実施例では、円錐ミラー330に入射するビームの像B0の光軸は、反射面330a上に位置する。これに対して、本実施例では、円錐ミラー330に入射するビームの像B0の光軸は、円錐ミラー330の頂点を通過する。即ち、円錐ミラー330の反射面330aの形状は、円錐ミラー330に入射するビームの像B0の光軸を中心軸として左右対称の円錐である。これにより、反射面330aに入射したビームは、円錐ミラー330の左右対称の中心軸を中心としてX軸正方向とX軸負方向の2方向に分かれる。X軸正方向へ分かれたビームの像B30とX軸負方向へ分かれたビームの像B32のぞれぞれは、像B0の半分のライン状を有する。走査範囲と直交するライン状の像を有するビームを2方向に同時に照射することができる。第8実施例と比較して、像回転素子26を回転させる角度を半分にすることができる。
【0095】
(第13実施例)
(ビーム走査システム13の構成;図20
本実施例のビーム走査システム13は、第4実施例のビーム走査システム4において、照射ミラー30及びアクチュエータ32に代えて、円錐ミラー330を採用したものである。円錐ミラー330は、筐体202の下壁202bに固定されている。本実施例では、アクチュエータ32を含む回転機構を下壁202bに備えなくてもよい。本変形例は、第8実施例よりも回転機構を簡略化することができる。
【0096】
(第14実施例)
(ビーム走査システム14の構成;図21
本実施例のビーム走査システム14は、光源420と、アクチュエータ422と、回転ユニット430と、像回転素子440と、アクチュエータ442と、受光センサ444と、アクチュエータ422及び442を制御する制御装置424と、を備える。
【0097】
回転ユニット430は、ミラー432と、シリンドリカルレンズ434と、反射ミラー436と、を備える。ミラー432とシリンドリカルレンズ434は、回転ユニット430内に収容されている。反射ミラー436は、回転ユニット430の表面に露出している。
【0098】
光源420は、点状の像を有するビームをY軸方向へ照射する。光源420から照射されたレーザは、回転ユニット430の内部へ伝搬して、ミラー432へ入射する。ミラー432は、Y軸方向に対して45度傾いている。ミラー432に入射したレーザは、X軸方向へ反射して、シリンドリカルレンズ434を通過する。これにより、ビームの像は、点状の像からライン状の像B40へ変形する。像B40を有するビームは、X軸方向に沿って3DLiDARの外に位置する対象物へ入射する。
【0099】
また、アクチュエータ422は、回転ユニット430をY軸方向に沿った軸回りに回転させる。アクチュエータ422によって回転ユニット430が回転することにより、像B40を有するビームが走査範囲に亘って走査される。なお、アクチュエータ422は、中空構造を有しており、レーザは、中空構造を通過してミラー432へ入射する。中空構造は、例えば、中空のシャフトである。
【0100】
対象物へ入射したビームは、対象物で反射する。対象物からの反射光は、回転ユニット430の反射ミラー436に入射する。反射ミラー436は、Y軸方向に対して45度傾いている。反射ミラー436で反射した反射光は、Y軸方向に沿って伝搬する。
【0101】
反射ミラー436は、Y軸方向に沿って、像回転素子440と対面している。反射ミラー436で反射した反射光は、像回転素子440へ入射する。
【0102】
像回転素子440は、Y軸方向に沿って、受光センサ444と対面している。像回転素子440から外へ伝搬したビームは、受光センサ444へ入射する。
【0103】
像回転素子440は、ダブプリズムであり、長軸46がY軸方向に一致する。アクチュエータ442は、像回転素子440をY軸方向に沿った軸回りに回転させる。なお、像回転素子440は、図4の変形例でもよい。
【0104】
制御装置424は、アクチュエータ422によって回転ユニット430が回転する速度が、アクチュエータ442によって像回転素子440が回転する角速度ωの2倍となるように、アクチュエータ422及び442を制御する。
【0105】
(本実施例の効果)
例えば、像回転素子440及びアクチュエータ442を備えない比較例が想定される。この比較例では、受光センサ444に入射する反射光の像が、回転ユニット430の回転により、光軸周りに回転する。ここで、受光センサ444に入射する反射光の像のラインが延びる方向は、回転ユニット430の回転角度に応じて一意に決まる。例えば、本変形例において、受光センサ444として、二次元のイメージセンサを採用すれば、反射光の検知を実現することができる。しかし、この場合、比較例のシステムは、回転ユニット430の回転角度に基づいて、二次元のイメージセンサを構成する複数個の素子の中から、反射光を検知すべき素子を決定する決定処理を実行する必要がある。
【0106】
本実施例の構成によれば、反射ミラー436によって反射された反射光の像B42が像回転素子440によって光軸周りに回転する。さらに、像回転素子440がアクチュエータ442によって回転するとともに、反射ミラー436がアクチュエータ422によって回転する。ここで、反射ミラー436の角速度を像回転素子440の角速度ωの2倍とすることにより、反射ミラー436の回転位置によらずに、像回転素子440から外へ伝搬するビームの像が、一定の方向(例えばX軸方向)に延びるライン状に維持される。そして、受光センサ444に入射するビームの像も、一定の方向に延びるライン状に維持される。像回転素子440とアクチュエータ442を備えることにより、反射光の像を一定の方向に延びるライン状に維持することができる。反射光の像を一定の方向に延びるライン状に維持することにより、上記の決定処理を省略することができる。なお、本実施例では、受光センサ444として、一次元のイメージセンサと二次元のイメージセンサのいずれも採用可能である。
【0107】
(第15実施例)
(回転状態の調整;図22図23
本実施例は、制御装置34がアクチュエータ422及び442のうちの少なくとも一方の回転状態を調整する処理を実行する点を除いて、第14実施例と同様である。回転ユニット430及び像回転素子440を回転させる機構に何らかの異常が発生すると、回転状態が設計時の状態から変化する場合がある。回転状態に異常が発生すると、受光センサ444へ入射する反射光の像を一定の方向に延びるライン状に維持することができない場合がある。
【0108】
本実施例における受光センサ444は、一次元のイメージセンサである。図22の破線で示す像B50は、反射ミラー436の回転状態と像回転素子440の回転状態が設計時の状態に維持されている正常な場合において受光センサ444に入射する像である。一方、図22の実線で示す像B52は、受光センサ444に対する像回転素子440又は反射ミラー436の相対角度に異常が発生した異常な場合において受光センサ444に入射する像である。像B52は、像B50に対して角度α傾いている。即ち、受光センサ444へ入射する反射光の像が一定の方向に延びるライン状に維持されていない。
【0109】
正常な場合には、受光センサ444の全域でビームの像B50が検知される。正常な場合には、受光センサ444によって検知される像(以下では、「センサ像」と記載)の光の強さは、センサ像の全域において略一定である。ここで、「略一定」とは、光の強さが基準値に対してプラスマイナス数パーセントの誤差に含まれることを意味する。
【0110】
相対角度が異常な図22のケースC3では、受光センサ444の中央の領域では、ビームの像B52が検知されるものの、受光センサ444の両端の領域では、ビームの像B52がほとんど検知されない。このため、ケースC3では、図22のグラデーション図F1に示すように、センサ像の両端の光の強さが、センサ像の中央の光の強さよりも弱い。
【0111】
また、反射ミラー436の角速度と像回転素子440の角速度の比に異常が発生する図23のケースC4では、図23の上段に示すように、受光センサ444に入射する像の角度α、B50、B51、B52の順に変化する。これにより、図23の下段のグラデーション図F0~F2に示すように、センサ像の中央の光の強さも徐々に変化する。
【0112】
本実施例では、制御装置424は、受光センサ444によって検知される光の強さを分析する。そして、制御装置424は、センサ像の光の強さが、センサ像の全域において略一定でない場合に、センサ像の光の強さがセンサ像の全域において略一定となるように、アクチュエータ422の回転角度及びアクチュエータ442の回転角度のうちの少なくとも一方を調整して、相対角度を調整する。これにより、相対角度の異常が発生しても、受光センサ444へ入射する反射光の像を一定の方向に延びるライン状に維持することができる。
【0113】
また、制御装置424は、センサ像の中央の光の強さが徐々に変化する場合に、アクチュエータ422の角速度及びアクチュエータ442の角速度のうちの少なくとも一方を調整して、角速度の比を調整する。これにより、角速度の比に異常が発生しても、受光センサ444へ入射する反射光の像を一定の方向に延びるライン状に維持することができる。
【0114】
(第16実施例)
(ビーム走査システム16の構成;図24
本実施例のビーム走査システム16は、第14実施例のビーム走査システム14にハーフミラー446と受光センサ448とを追加した構成を有する。
【0115】
ハーフミラー446は、像回転素子440から受光センサ444までの反射光の経路上に配置される。ハーフミラー446は、Y軸方向に対して45度傾いている。像回転素子26から外へ伝搬したビームの一部は、ハーフミラー446を通過して、受光センサ444に入射する。また、像回転素子26から外へ伝搬したビームの一部は、ハーフミラー446で反射して、受光センサ448に入射する。
【0116】
受光センサ448は、二次元のイメージセンサである。例えば、相対角度に異常が発生する場合には、図12のケースC2に示すように、受光センサ448によって出力される出力画像は、一定の方向に延びるライン状の画像IM1から特定の角度αで傾いたライン状の画像IM2に変化する。また、例えば、角速度の比に異常が発生する場合には、図12のケースC1に示すように、受光センサ448によって出力される出力画像は、複数個のライン状の画像が重なった扇状の画像に変化する。
【0117】
本実施例では、制御装置424は、受光センサ448によって出力される出力画像を分析する。そして、制御装置424は、ケースC2のように出力画像が画像IM1から画像IM2に変化する場合に、アクチュエータ422の回転角度及びアクチュエータ442の回転角度のうちの少なくとも一方を調整して、相対角度を調整する。また、制御装置424は、ケースC1のように出力画像が画像IM1から扇状の画像に変化する場合に、アクチュエータ422の角速度及びアクチュエータ442の角速度のうちの少なくとも一方を調整して、角速度の比を調整する。本実施例でも、照射ミラー30及び像回転素子26の回転状態の異常が発生しても、受光センサ444へ入射する反射光の像を一定の方向に延びるライン状に維持することができる。
【0118】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0119】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0120】
1、2、3、4、5、6、8、9、10 :ビーム走査システム
11、12、13、14、16 :ビーム走査システム
20 :光源
22 :ハーフミラー
24 :受光センサ
26 :像回転素子
26a :像回転素子
28 :アクチュエータ
30 :照射ミラー
32 :アクチュエータ
34 :制御装置
40 :底面
42a、42b :辺
44a、44b :斜辺
46 :長軸
48a、48b :斜面
50 :長手面
51 :短手面
52 :第1ミラー
52a :第1交差方向
54 :第2ミラー
54a :第2交差方向
56 :第3ミラー
122 :反射ミラー
202 :筐体
202a :上壁
202b :下壁
204 :梁
206 :支持板
208 :孔
212 :筐体
212a :上壁
212b :下壁
212c :柱
213 :梁
214 :梁
330 :円錐ミラー
330a :反射面
340 :多角錐ミラー
350 :像変換レンズ
360 :反転プリズム
370 :円錐台ミラー
372 :円錐台プリズム
372a :上面
420 :光源
422 :アクチュエータ
424 :制御装置
430 :回転ユニット
432 :ミラー
434 :シリンドリカルレンズ
436 :反射ミラー
440 :像回転素子
442 :アクチュエータ
444 :受光センサ
446 :ハーフミラー
448 :受光センサ
B0~B9:像
B10、B12、B20、B30、B32、B40、B42、B50、B52 :像
F0~F2 :グラデーション図
IM1、IM2 :画像
P0 :頂点
P1 :一点
α :角度
θ :回転角度
ω :角速度
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