IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デイトナの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024135039
(43)【公開日】2024-10-04
(54)【発明の名称】キャンプ用テント
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/36 20060101AFI20240927BHJP
   E04H 15/54 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
E04H15/36
E04H15/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045531
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】592016485
【氏名又は名称】株式会社デイトナ
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】森山 環姫
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA08
2E141DD24
2E141DD27
(57)【要約】
【課題】 キャビン室と前室とを大きく形成しながらも、コンパクトに且つ設置作業も容易に行え、更には設営状態での強度も充分に確保できる新規なキャンプ用テントの開発を技術課題とした。
【解決手段】 本発明のテントTは、フレーム1が、前後に並ぶ三本のアーチフレーム11と、このアーチフレーム11の頂部を接続するトップフレーム13とを具え、インナーテント2のグランドシート21には、隅角部にアーチフレーム11のポールエンドを差し込む脚留具Rが設けられ、キャビンシートをフレーム1に吊り下げた際、テント後方のインナーテント2内にキャビン室Saを現出させ、またフライシート3は、フレーム1に張設した際、テント内前方において、フライシート3における前面シート31と側斜面シート32とのいずれか一方または双方に、キャノピー式のオーニングフラップが設けられ、フリー空間たる前室Sbを現出させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
このフレームに吊り下げ状態に設けられるインナーテントと、
インナーテントが設けられたフレームの外表面を全体的に覆うように設けられるフライシートとを具えたキャンプ用テントであって、
前記フレームは、前後に並ぶ三本のアーチフレームと、このアーチフレームの頂部を接続するトップフレームとを具え、実質的にテント内空間を現出させる骨格部材となるものであり、
また前記インナーテントは、グランドシートとキャビンシートとを具えて成り、このうちグランドシートの少なくとも隅角部にはアーチフレームのポールエンドを差し込む脚留具が設けられ、
一方、キャビンシートにはフレームに取り付ける吊り下げストラップが設けられ、キャビンシートをフレームに吊り下げた際、インナーテント内に、テント内空間の後方に構成されるキャビン室を現出させるものであり、
また前記フライシートは、インナーテントが取り付けられた前記フレームを地面近くまで覆うように構成され、前記インナーテントが設けられない、テント内空間の前方において、フライシートにおける前面シートと側斜面シートとのいずれか一方または双方に、キャノピータイプのオーニングフラップが設けられ、フリー空間たる前室を現出させるものであることを特徴とするキャンプ用テント。
【請求項2】
前記フレームにおけるトップフレームは、前後方向の少なくとも前方において上凸状に湾曲形成されていることを特徴とする請求項1記載のキャンプ用テント。
【請求項3】
前記フレームにおいて前後方向の中間部に設けられるアーチフレームは、テント後方側に傾斜する後傾状態に設置されることを特徴とする請求項1または2記載のキャンプ用テント。
【請求項4】
前記前室は、容積及び平面投影面積のいずれもキャビン室より大きく形成されることを特徴とする請求項1または2記載のキャンプ用テント。
【請求項5】
前記グランドシートには、その前方の左右隅部から、フレームにおいて前後方向の前方に設けられるアーチフレームのポールエンドを差し込む位置まで張り出すスタンディングベルトが設けられ、
且つ当該ポールエンドの差し込み位置には、グランドシートの隅角部に設けられる脚留具と同様の脚留具が設けられることを特徴とする請求項1または2記載のキャンプ用テント。
【請求項6】
前記脚留具と、各々のアーチフレームにおけるポールエンドとには、差し込む組み合わせを示すガイドマーカを具えることを特徴とする請求項1または2記載のキャンプ用テント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアウトドア用品として代表的なものの一つであるキャンプ用テントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
テントを用いた野外泊を伴うアウトドア活動が広く行われている。このうち、例えば単独行として行う、いわゆるソロキャンプでは、装備のコンパクト化が求められている。このようなことからソロキャンプ用のテントについても一人用のキャビン室を確保することが第一とされ、キャビン室に加えて他のユーティリティースペースないしはフリースペースについては、快適性の追求が必ずしも充分になされていない。
【0003】
すなわちソロキャンパーの視点ないしは経験上では、現実のキャンピング行動においては常に好天とは限らず、何日かは、停滞を余儀なくされることもあり、このような中で言わば所在なく過ごすには現状のキャンプ用テントは、必ずしも快適な構成とはなっていない。
もちろん、好天時であっても行動スケジュールによっては、キャンパーはテント内での読書をはじめ、思索に興じることも多く、このような状況でもより快適なテント空間が求められている。
【0004】
ところで、一般にコンパクト化を追求したキャンプ用テントについてみると、強度や風等の耐候性から、全体をドーム状としたドーム型テントが多用されている。
しかしながら、ドーム型テントにあっては、その形状に因み、床スペースとしては充分であっても、周側部は、上窄まり状になりがちであり、キャビン室として、広さを示す数値上では充分な値を示すことができても、体感上は、いわゆる窮屈さを感じることは否めない。特に、インナーテントの壁面近くに椅子を置いて腰掛けた場合、キャンパーは頭がテント(インナーテント)の壁面と接触することがあり、体感上の圧迫感は払拭できないことが多かった。
【0005】
このようなドーム型テントに起因する不都合を解消する一手法として、いわゆるカマボコ形ないしは幌形と称される、アーチフレームを前後に並設する構造のテントも案出されている。しかしながら、このようなテント構造は、アーチフレームが整列する前後方向でアーチフレーム自体を自立させることが難しかったり、全体の剛性を確保することが困難であったりするため、コンパクトなソロ用テント等にあっては、この構造の採用について顧みられることがなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-199859号公報
【特許文献2】実用新案登録第3204477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであって、特に寝室スペースであるキャビン室に加え、他のユティリティースペースであるフリー空間(前室)を充分に確保し、且つ全体としてのコンパクトさ、設置作業の容易さ、収納時での軽量化、更には設営状態での強度確保などをも達成することができる新規なキャンプ用テントを開発することを技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず請求項1記載のキャンプ用テントは、
フレームと、
このフレームに吊り下げ状態に設けられるインナーテントと、
インナーテントが設けられたフレームの外表面を全体的に覆うように設けられるフライシートとを具えたキャンプ用テントであって、
前記フレームは、前後に並ぶ三本のアーチフレームと、このアーチフレームの頂部を接続するトップフレームとを具え、実質的にテント内空間を現出させる骨格部材となるものであり、
また前記インナーテントは、グランドシートとキャビンシートとを具えて成り、このうちグランドシートの少なくとも隅角部にはアーチフレームのポールエンドを差し込む脚留具が設けられ、
一方、キャビンシートにはフレームに取り付ける吊り下げストラップが設けられ、キャビンシートをフレームに吊り下げた際、インナーテント内に、テント内空間の後方に構成されるキャビン室を現出させるものであり、
また前記フライシートは、インナーテントが取り付けられた前記フレームを地面近くまで覆うように構成され、前記インナーテントが設けられない、テント内空間の前方において、フライシートにおける前面シートと側斜面シートとのいずれか一方または双方に、キャノピータイプのオーニングフラップが設けられ、フリー空間たる前室を現出させるものであることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項2記載のキャンプ用テントは、前記請求項1記載の要件に加え、
前記フレームにおけるトップフレームは、前後方向の少なくとも前方において上凸状に湾曲形成されていることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項3記載のキャンプ用テントは、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記フレームにおいて前後方向の中間部に設けられるアーチフレームは、テント後方側に傾斜する後傾状態に設置されることを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項4記載のキャンプ用テントは、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記フリー空間は、容積及び平面投影面積のいずれもキャビン室より大きく形成されることを特徴として成るものである。
【0012】
また請求項5記載のキャンプ用テントは、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記グランドシートには、その前方の左右隅部から、フレームにおいて前後方向の前方に設けられるアーチフレームのポールエンドを差し込む位置まで張り出すスタンディングベルトが設けられ、
且つ当該ポールエンドの差し込み位置には、グランドシートの隅角部に設けられる脚留具と同様の脚留具が設けられることを特徴として成るものである。
【0013】
また請求項6記載のキャンプ用テントは、前記請求項1または2記載の要件に加え、
前記脚留具と、各々のアーチフレームにおけるポールエンドとには、差し込む組み合わせを示すガイドマーカを具えることを特徴として成るものである。
そして、これら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0014】
まず請求項1記載の発明によれば、テントは、フレームが前後に並ぶ三本のアーチフレームと、このアーチフレームの頂部を接続するトップフレームとによって構成され、テント後方側においてフレームにインナーテントを吊り下げることによりキャビン室を現出させ、また、インナーテントが吊り下げられたフレームの外表面を全体的に覆うようにフライシートを設けることにより、テント前方側にフリー空間たる前室を現出させる構成となっている。このため例えば、キャビン室と前室との境界に設けられる中間部アーチフレーム(フレームにおいて前後方向の中間部に設けられるアーチフレーム)の構成、具体的には、当該アーチフレームの上部を上方に延長するような構成とすることで、テントの平面投影面積は従来と概等状態としながらも、キャビン室と前室の天井高を高く確保することができ、これら両空間を圧迫感のない広々とした空間に形成することができる。
また、グランドシートの隅角部にはアーチフレームのポールエンドが差し込まれる脚留具が設けられるから、アーチフレームを脚留具に差し込むことによって、グランドシートの四隅をポールエンドで押さえることになる。このため例えばキャビン室に入ったキャンパーがグランドシート上で寝返り等を打っても、グランドシートにズレやヨリが発生することを防止できる。
【0015】
また請求項2記載の発明によれば、トップフレームが、前方において上凸状に湾曲形成されるため、例えば前部アーチフレームと中間部アーチフレームとの間に構成される前室の天井高を、より高く形成することができ、前室をより広々とした空間として形成することができる。
【0016】
また請求項3記載の発明によれば、フレームにおいて前後方向の中間部に設けられるアーチフレームが、後傾状態に設けられるから、例えば前室においてインナーテントの側面直近にチェアを置いて座っても、インナーテントの側面にキャンパーの頭が接触することがなく、前室をより一層、広々とした空間として形成することができる。
【0017】
また請求項4記載の発明によれば、フリー空間としての前室は、容積及び平面投影面積が、ともにキャビン室より大きく形成される。すなわち前室は、平面的な面積としても、且つ空間的な容積としてもキャビン室より大きく形成されるから、前室を更に有効に利用することができる。具体的には、前室の前面(正面)や側面に設けられたオーニングフラップを開放させれば、広くて大きい前室において日除け・風除け等を図りながら、チェア等に座ってゆったりと寛ぐことができ、自然の屋外雰囲気の中でリラックスした気分を充分に楽しむことができる。
また、キャンパーがキャビン室で就寝する際には、上記オーニングフラップを閉鎖状態とすることで、広くて大きい前室を閉鎖空間とすることができ、ここに種々の荷物、例えばキャンプテーブルやチェアなどを組み立てたままの状態で収容しておくことができる。これにより片付けの手間が掛からず、またキャビン室がより有効に利用できることはもちろんのこと、前室に収容した荷物を人目に晒さないことになるため、就寝時の盗難被害を防止することにもつながる。
【0018】
また請求項5記載の発明によれば、グランドシートの隅角部に、後方側の二本のアーチフレームのポールエンドを差し込む脚留具が設けられることに加え、グランドシートの前方側には、前方側の一本のアーチフレームのポールエンドを差し込む脚留具が設けられる。このため脚留具がアーチフレームを設置する際の位置決め作用を担うものであり、従って全てのアーチフレームの設置位置が明確となり、極めてスムーズにフレームの設置ひいてはテントの設営が行える。
【0019】
また請求項6記載の発明によれば、脚留具と、各々のアーチフレームのポールエンドとにおいて、差し込む組み合わせを示すガイドマーカ、例えば色分け等を施すため、三本のアーチフレームを適正な脚留具に差し込むことができ、円滑にアーチフレームの差し込み作業を行うことができる。従ってテントの設営時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のキャンプ用テントであってキャビン室の前に設けられた前室でキャンパーが寛ぐ様子を示す斜視図である。
図2】本発明のキャンプ用テントであってフライシートのフラップを閉鎖した状態で前方及び後方から示す斜視図(a)・(b)である。
図3】フレームにインナーテントを装着した状態を、前方及び後方から示す斜視図(a)・(b)である。
図4-1】折り畳み状態の複数のパイプ要素を示す説明図(a)、並びにこの複数のパイプ要素を立体的なフレームに形成した様子を示す平面図(b)、並びに側面図(c)である。
図4-2】立体形成したフレームを前方及び後方から示す斜視図(a)・(b)である。
図5-1】前室でキャンパーが寛ぐ様子を示す側面図である。
図5-2】前室でキャンパーが寛ぐ様子を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、以下の実施例に示すとおりであるが、これらの実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例0022】
以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。
まずキャンプ用テントT(以下、単に「テントT」と略記することがある)は、一例として図1図3に示すように、フレーム1と、このフレーム1に吊り下げ状態に設けられるインナーテント2と、このインナーテント2が吊り下げられたフレーム1の外表面を全体的に覆うように設けられるフライシート3とを主要部材として具える。
またテントT内の室内構造、つまりテント内空間Sとしては、テントTの出入口が形成される方を前方(前後方向の前方)とすると、テントTの奥側(後方側)において、この前後方向に直交する左右方向(テント幅方向)に、キャンパーMが横臥状態に寝ることができる寝室たるキャビン室Saが形成され(例えば図4-1・図4-2参照)、このキャビン室Saの前方に、当該キャビン室Saより大きな空間容積を有するフリー空間たる前室Sbが形成される構成となっている。
このようにキャビン室Saは、大人一人が横たわることができる広さに形成され、例えば平面視で畳一枚より一回り大きなサイズで形成される。また、キャビン室Saの前方の前室Sbは、キャビン室Saの幅方向寸法を維持しながら、キャビン室Saの前後長寸法とほぼ同じまたは大きな寸法で前方に張り出すように形成される。具体的な実製品寸法としては、例えば図4-1(b)に示すように、キャビン室Sa及び前室Sbの幅方向寸法(テントTの左右方向)が2200mmに形成され、各室の前後長寸法が1300mmに形成される。
【0023】
以下、テントTを構成する各部材についてそれぞれ説明する。
まずフレーム1は、一例として図4-1・図4-2に示すように、前後に並ぶ三本のアーチフレーム11と、この三本のアーチフレーム11の頂部を接続するトップフレーム13とを具えたフレーム構造を採る。
アーチフレーム11は、一例として前方側に設けられる前部アーチフレーム11aと、中間部に設けられる中間部アーチフレーム11bと、後方に設けられる後部アーチフレーム11cとを具えて成るものである。
このためテントTは、前部アーチフレーム11aと中間部アーチフレーム11bとの間に前室Sbが構成され、且つ中間部アーチフレーム11bと後部アーチフレーム11cとの間にキャビン室Saが構成されるテント内空間Sとなっており、換言すれば中間部アーチフレーム11bがキャビン室Saと前室Sbとの境界を実質的に形成している。なお、上記図4-2(a)では、トップフレーム13にハッチを施しているが、これは中間部アーチフレーム11bとの区別を明確にするために付したものである(断面を示すハッチではない)。
【0024】
そして、このような骨格部材であるフレーム1によって、実質的にテント内空間Sが現出する。また、それぞれのアーチフレーム11a~11cの天井高さについては、一例として図4-1(c)・図4-2に示すように、前部アーチフレーム11aの頂部高さが最も高く、次いで中間部アーチフレーム11bとなり、後部アーチフレーム11cの頂部高さが最も低くなるように形成される。つまりアーチフレーム11は、前方から後方に向かって順次低くなるように形成される。
ここで具体的な実製品寸法の一例を挙げると、例えば上記図4-1(c)に示すように、前部アーチフレーム11aの頂部の高さが1300mmであり、中間部アーチフレーム11bの頂部の高さが1200mmであり、後部アーチフレーム11cの頂部高さが900mmに形成される。また、各アーチフレーム11の頂部を接続するトップフレーム13は、前後方向の少なくとも前方、特にここでは前部アーチフレーム11aと中間部アーチフレーム11bとの間において上凸状に湾曲形成されている。そして、上記図4-1(c)中に示された1430mmという高さ寸法は、アーチフレーム11において上凸状に形成された部位の頂部高さであり、これにより前室Sbの天井高さが最も高くなるように構成されている。
【0025】
このようにキャビン室Saと前室Sbとでは、平面投影面積(または平面視状態で縦寸法・横寸法)が概ね等しい状態に形成されても、前室Sbの天井高が、キャビン室Saよりも高く形成されるため、結果として前室Sbの方が、広々とした空間として形成され、数値としてもキャビン室Saより大きな空間容積を有するものとなる。
なお、一般的な一人用テント(いわゆるソロテント)の高さは約105cmであるところ、本実施例のテントT(キャビン室Sa)の天井は、上記のように120cmとなるため、圧迫感のないキャビン室Saが得られる。また、このため本発明のテントTが一般的なソロテントと同じ床面積でも、天井高が高い分、大きな空間容積となり(感覚的な拡さとしては大きくなり)、キャビン室Saに居るキャンパーMに、圧迫感を感じさせ難い構造となっている。
【0026】
また本実施例では、一例として上記図4-1(c)に示すように、前部アーチフレーム11a及び中間部アーチフレーム11bは、後方に傾斜した後傾状態として形成される一方、後部アーチフレーム11cについては、幾分か前方に傾斜した前傾状態として形成される。具体的には、同図に示すように、前部アーチフレーム11aは、例えば地面(水平面)に対し65°の角度で後傾状態に設置され、中間部アーチフレーム11bは、例えば地面に対し75°の角度で後傾状態に設置され、後部アーチフレーム11cは、特に地面に近い立ち上がり部分(側面視で直線状となる部位)が、例えば地面に対し65°の角度で前傾状態に設置されている。なお、本実施例では、中間部アーチフレーム11bは、ほぼ一定の平面上に形成されており、側面視ではほぼ真っ直ぐな直線状に形成される。
【0027】
このように本発明のテントTは、中間部アーチフレーム11bを後傾状態に設置するため、例えば前室Sbにおいてチェアをインナーテント2の壁面近傍に置いて座っても、キャンパーMの頭がインナーテント2の壁面生地に接触することがなく、前室Sbを有効に利用することができる。
なお、一般的なソロテントでは、例えば図4-1(c)に破線で示すように、天井内面が円弧状を描くように形成されている(天井高を約105cmで図示)。これと比較すると本発明のテントTは、インナーテント2と前室Sbの境目に配置される中間部アーチフレーム11b(いわゆるリッジポール)を、上方に延長した構成であり、キャビン室Saと前室Sbともに空間を広々と使用できる2ルーム構造となっている。また、このためキャビン室Saと前室Sbとの両室とも、無駄なくテント内空間Sを利用できる構成となっている。因みに、上記図4-1(c)に施したハッチが、一般的なソロテントに対し本発明のテントTが広くなった空間部分である。
【0028】
また本実施例では、各アーチフレーム11の頂部高さと傾斜状態を上記のように形成している。これにより例えば上記図4-1(c)に併せて示すように、強風時には、風上にテントTの高さが低い後部を向けて設営することにより、風を受け流すことを意図している。すなわち、テント内空間Sを広く獲得することを重視すれば、テントTの前後、つまり前部アーチフレーム11aと後部アーチフレーム11cを垂直に配設することになるが、これでは強風時に風の影響を直に受け、テントTが吹き飛ばされたり、倒壊したりするおそれがある。そのため、本実施例では、高さが低く、前傾したテントTの後部(後部アーチフレーム11c)を風上に向けて設営することにより、風を効果的に受け流すようにしたものである。
このようにアーチフレーム11は、上述した頂部高さ状態・傾斜状態に設定することが好ましいが、少なくとも後部アーチフレーム11cについては頂部高さを最小に設定する条件の下、全てのアーチフレーム11a~11cをほぼ直立状態に配設することは差し支えない。
なお、上記各アーチフレーム11は、それぞれの下端にポールエンド12を具え、このポールエンド12をキャンプサイトの地面等に差し込むようにしてテントTの設営を図るものである。
【0029】
また上記フレーム1を構成するアーチフレーム11及びトップフレーム13は、組み立て前の初期状態にあっては、一例として図4-1(a)に示すように、複数且つ短寸のパイプ要素1eに分断されて成り、且つ公知の一体組み合わせのためのジョイントJにより分離組立自在とされている。すなわち、それぞれのパイプ要素1eは、伸張自在の弾性ストリングE(いわゆるショックコード)を介して連結されており、各接続点でジョイントJにより接続される構成となっている。なおジョイントJは、パイプ要素1eを縦方向(直列状)に接続する場合には、単なる入れ子状のジョイント構成とすることができるが、交差部、具体的にはアーチフレーム11とトップフレーム13との交差部では、交差部を例えば四方ジョイント、あるいは並列状に二基設けた二方ジョイント同士を中間部分で回動自在に接続するような構成としてもよいが、当該交差部におけるジョイントを含んで一定長のパイプ要素1eを構成すれば、ジョイントJは全て単なる入れ子状の構造(二方差込構造)とすることができる。
このように本実施例では、弾性ストリングEによって接続された複数のパイプ要素1eを入れ子状に接続することにより、フレーム1を立体化形成する形態を基本的に採用するため、各パイプ要素1eがバラバラにならず、また立体的に組み立てる際にも適切なパイプ要素1eを探しながら組み立てる手間が掛からないものである。
【0030】
次にインナーテント2について説明する。
インナーテント2は、キャビン室Saの底部に敷くように設けられるグランドシート21と、その上方においてフレーム1に吊り下げ状態に設けられ、キャビン室Saを立体化状態に形成するキャビンシート23とを具えて成り、両者は周縁部が縫製などにより一体的に形成される。このようにインナーテント2は、キャビン室Saを形成するものであり、より詳細にはグランドシート21と、立体化形成したキャビンシート23とによって囲まれた内側空間がキャビン室Saとなる。また、このようなことから、グランドシート21は、テントTの左右に長い矩形状、例えば畳一枚分より一回り大きい矩形状シートとして形成される一方、キャビンシート23は、折り畳まれた平面視状態ではグランドシート21と同じ矩形状に形成されるものの、中央部(後述する天蓋部25)を持ち上げて立体的に拡げた場合には、充分なキャビン室Saを現出させるように形成されるものである。
【0031】
また、グランドシート21における四カ所の隅角部に脚留具Rが設けられるものであり、この脚留具Rにアーチフレーム11の接地側先端部であるポールエンド12が差し込まれる。換言すれば、フレーム1を地面に立てるにあたり、グランドシート21の隅角部に設けられた脚留具Rに、中間部アーチフレーム11b及び後部アーチフレーム11cのポールエンド12をまず差し込むようにして、アーチフレーム11を地面に立てるようにするものである。
より詳細には、脚留具Rは、一例として図3(a)の要部拡大図に示すように、グランドシート21の四隅部から外方に延びるように縫い付け固定されたストラップ状の部材として形成され、最もグランドシート21の隅角部寄りに、一例としてハトメ状のポール受けRaを具える。もちろんポール受けRaとしては、前記ポールエンド12を嵌め込めばよいため、必ずしもハトメ状に形成する必要はなく、他の形態として例えば差し込み式のポケット状に形成することも可能である。
【0032】
なお、脚留具Rにおけるポール受けRaにアーチフレーム11のポールエンド12を差し込むにあたり、差し込む組み合わせ(差し込み位置)を容易に認識できるようにすべく、三本のアーチフレーム11毎に異なる色分けを施したガイドマーカGをポール受けRaとポールエンド12とに共通的に設けておくことが好ましい。具体的には、ガイドマーカGとして例えば前部アーチフレーム11aのポールエンド12と、これが差し込まれるポール受けRa(ハトメ)とに銀色の着色を施し、中間部アーチフレーム11bのポールエンド12と、これが差し込まれるポール受けRa(ハトメ)とに金色の着色を施し、後部アーチフレーム11cのポールエンド12と、これが差し込まれるポール受けRa(ハトメ)とに黒色の着色を施しておく態様が採り得る。因みに、異なる色分け以外のガイドマーカGとしては、例えば数字、アルファベット、記号等が挙げられる。
【0033】
そして、ハトメ状のポール受けRaの更に外方先端側には、フライシート3を留め付けるための接続対偶の一方であるフライジョイントRbが形成される。ここでフライジョイントRbとしては、一例としてバックル式の接続対偶が適用され、特に本実施例ではバックルメスが適用されている。
更にまた、ハトメ状のポール受けRaの外方先端側には、閉鎖ループ状のペグ差し部Rcも形成され、このペグ差し部Rcは、地面に打ち込んだペグ6との係止を図るためのものであり、設営したテントTを地面に対しより強固に固定したい場合に利用するものである。
【0034】
また前記グランドシート21の前方側には、一例として図3(a)に示すように、左右の両隅部から更に前方側に張り出すように、スタンディングベルト22が設けられ、このスタンディングベルト22は、前部アーチフレーム11aのポールエンド12を差し込む際、その位置を設定(規制)するための部材であり、言わばポールエンド12の位置決め用の部材である。すなわちスタンディングベルト22は、例えば平面視で「コ」字状を描く帯状部材として形成され、「コ」字状の開放先端部をグランドシート21の前方の両隅部に合わせるように地面に設置し、前方側に張り出した「コ」字状の交点部分(閉鎖交点部)に、前部アーチフレーム11aのポールエンド12を差し込むものである。このためスタンディングベルト22においてポールエンド12を差し込む隅角部にも、前記と同様の脚留具Rが設けられる。
【0035】
またキャビンシート23は、上述したようにフレーム1に吊り下げられて立体化形成された際、内部にキャビン室Saを形成するものであるから、例えば図3に示すように、側部から上部にかけての主に天蓋部25は、シート素材として通気性が良く、軽量な素材、例えばメッシュ状のシート素材によって形成される。しかしながら、側部の下側部分(下部側壁24とする)については、非通気性及び非透水性の素材、例えばグランドシート21と同様のシート素材で形成され、これはキャビン室Saに居るキャンパーMに対し、裾からの冷気が直接当たらないようにするためである。このようにキャビンシート23は、側面下部が非通気性及び非透水性のシート素材で形成される一方、これに続く上部がメッシュ地などの通気性を有するシート素材で形成されている。
【0036】
また、上記天蓋部25を構成するキャビンシート23の上部外方には、例えばフックタイプの吊り下げストラップ26が複数設けられ、これはキャビンシート23を立体化形成するにあたり、前記後部アーチフレーム11c・中間部アーチフレーム11b・トップフレーム13の後部側に係止させて立体化するための部材である。
そして、インナーテント2は、その前面にキャビン室Saへの出入口となる前開放フラップ27が開閉自在に設けられるものである。すなわち、出入口たる前開放フラップ27は、一例として図3(a)・図5-2に示すように、地面近くの側部から上方の天蓋部25に向かってアーチ状(半円弧状)の軌跡を描くスライドファスナーFによって開閉自在の構成を採る。なお、このスライドファスナーFについては、この軌跡をカバーするようにファスナーカバー(図示省略)を設けることが好ましく、このファスナーカバーによって雨や風の日でもキャビン室Sa内に、これらが侵入することを効果的に防止し、キャビン室Saの居住性を向上させることができる。
【0037】
次にフライシート3について説明する。
フライシート3は、立体形成したインナーテント2の更に外側からフレーム1に張設するものであり、フレーム1全体を地面近くまで覆うものである。このようにフライシート3は、インナーテント2を外覆い状に保護するものであり、特にキャビン室Saは、内側のインナーテント2と、外側のフライシート3とによって二重に保護されるため、インナーテント2内への雨の侵入をより高度に防止することができる。またインナーテント2が設けられない前方側の前室Sbでは、少なくとも上方がフライシート3によって保護される構造となっている。もちろん、前室Sbは、必要に応じて上方のみならず側部もフライシート3によって覆うことができ、フライシート3は、前室Sbの雨除け機能・日除け機能・風除け機能などを発揮するよう構成されている。
【0038】
フライシート3は、一例として図2に示すように、前方を形成する前面シート31と、左右の側面を形成する側斜面シート32と、後方を形成する後面シート33とを具えて成る。
このうち前面シート31には、開閉自在の前面オーニングフラップ31aが設けられ、これはキャノピー状に撥ね上げることができるように構成されている(いわゆるキャノピータイプ)。
また左右の側斜面シート32のいずれか一方または双方にも、キャノピータイプのフラップが設けられており、これを側面オーニングフラップ32aとする。因みに、本実施例では、上記図2(a)に示すように、テントTを正面から視て向かって右側の側斜面シート32に、側面オーニングフラップ32aが設けられる。なお、側斜面シート32に設けられるフラップは、キャノピー状に撥ね上げるタイプの他、巻き取って収納できるようなタイプに形成しても構わない。
【0039】
ここで、上記キャノピータイプのオーニングフラップとは、オーニングフラップの上端縁がフライシート3に固定される一方、例えば側縁の両側と下端縁とが、スライドファスナーFによって前面シート31または側斜面シート32に対し開閉自在に形成されるものであり、スライドファスナーFを全て開放したときには、例えば図1に示すように、適宜の補助ポール4と、張り綱5、ペグ6等を使って、前面オーニングフラップ31aをオーニング状に前方に張り出させたり、あるいは側面オーニングフラップ32aを巻き上げ状態として上部や側部等に留め付けて、前室Sbを半開放状態とすることができる。なお、前面シート31や側斜面シート32に設けられる上記スライドファスナーFにも、このものの移動軌跡を覆うファスナーカバーFcを設けることが好ましい(図2(a)参照)。
ここで本明細書に記載する「前室Sbの容積」とは、前面オーニングフラップ31aや側面オーニングフラップ32aなどのオーニングフラップを閉鎖した状態での容積を指し、端的には前部アーチフレーム11a・中間部アーチフレーム11b・フライシート3によって区画された前室Sbの内側空間の容積を意味する。
【0040】
更に側斜面シート32については、前記側面オーニングフラップ32aが設けられている側面に対向する側面(ここではテントTを正面から視て向かって左側)に、一例として図2(b)に示すように、半開フラップ32bを具える。この半開フラップ32bは、例えば丸味を帯びたL字状ないしは肩曲り状と表現できるように曲がった移動軌跡を描くスライドファスナーFを設け、その一部が開口するような形態を採る。もちろん、このスライドファスナーFについても、このものの移動軌跡を覆うファスナーカバーFcを設けることが好ましい。
更にフライシート3には、一例として図2(b)に示すように、後面シート33に換気窓33aが設けられるものであり、この換気窓33aは、後面フラップ33bを開放するように現出させるものであって、後面シート33の上方にスライドファスナーFを、やや下湾曲状に幅方向に形成して、その開閉により換気窓33aが構成できるようにしたものである。もちろん、このスライドファスナーFについても、このものの移動軌跡を覆うファスナーカバーFcを設けることが好ましい。
【0041】
更にフライシート3は、一例として上記図2に示すように、側斜面シート32の中間部位(上下の中間部)に、例えば六カ所~十五カ所の張り綱受け34を具えるものであり、これは地面に打ち込んだペグ6との接続を図るものである。すなわち、張り綱受け34とペグ6との間を張り綱5で接続し、張り綱5にテンションを掛けることにより、テントTを地面に対し、より強固に固定するものである。
またフライシート3は、一方の側斜面シート32の下端部に一例として三カ所(左右で計六カ所)のフライ固定ジョイント35が設けられ、このフライ固定ジョイント35は、前記グランドシート21やスタンディングベルト22側のフライジョイントRbに接続するための接続対偶であり、本実施例では特にバックル式のバックルオスが適用される(図3の要部拡大図参照)。
【0042】
本発明のテントTは、以上述べたような構成部材により自立設営が可能であるが、更に補助的に地面への固定を確実にするペグ6あるいは張り綱5を用いることができ、これらについては次に述べる組立手順の説明の中で説明する。
(1)テントサイトの選定とフレームの組み立て
テントサイトは、当然ながら宿泊等を快適に行なうため、平坦であって極端な湿気のないキャンプサイトが好ましく、選定した設営位置にまずインナーテント2を広げた状態に載置する。またインナーテント2を広げたら、前開放フラップ27が形成されたインナーテント2の前方両端部からスタンディングベルト22を更に前方側に張り出させるよう、「コ」の字状にセットする。この際、インナーテント2の前方両端部に、スタンディングベルト22の「コ」の字状先端二点(開放先端部)を合致させるようにする。
また、フレーム1については、弾性ストリングE(ショックコード)で連結された複数のパイプ要素1eを接続して、三本のアーチフレーム11とトップフレーム13とを仮の自立状態に立体化形成する。
すなわち、複数のパイプ要素1eは、一例として図4-1(a)に示すように、初期状態では、全てのパイプ要素1eが内部に設けられたゴム紐状の弾性ストリングEによって折り畳み状態に接続されているため、これを一本ずつキャンパーMの手作業で差し込んで行く。この際、接続するパイプ要素1e同士を、一旦、弾性ストリングEの引っ張りに抗して、直線状にするだけで(自由状態にするだけで)、パイプ要素1e同士の接続が図られ、全ての接続を終了すると、三本のアーチフレーム11とトップフレーム13とが、仮の立体化状態、つまりほぼ自立した状態となる。
【0043】
そして、全てのパイプ要素1eを接続した後には、既に広げてあるインナーテント2のグランドシート21やスタンディングベルト22における、ハトメ状のポール受けRaに対し、アーチフレーム11のポールエンド12を差し込んで行く。この際、ガイドマーカGとして例えばポールエンド12の色と、ハトメ状のポール受けRaの色を、差し込む組み合わせ毎に、色分けしておくことが好ましく、これにより三本のアーチフレーム11を正しい適合カ所に円滑に差し込むことができる。
また、ポールエンド12をポール受けRaに差し込むことにより、本実施例ではグランドシート21の四隅をポールエンド12で押さえることになる。従って、例えばキャビン室Saに入ったキャンパーMがグランドシート21上で寝返り等を打っても、グランドシート21にズレやヨリが発生することを防止することができる。
なお、各脚留具Rにおけるポール受けRaの位置ないし寸法は、アーチフレーム11の幅方向の自由開脚寸法より幾分か狭く構成されており、結果的にアーチフレーム11のポールエンド12をポール受けRaに差し込んだ状態では、アーチフレーム11がポール受けRaによって幾らか弾性的且つ幅狭状の保持を受けることになり、これによってもフレーム1全体にプリストレスが発生し、全体としての剛性が確保される。
【0044】
(2)インナーテントの立体化形成
その後、インナーテント2の上部を形成するキャビンシート23の天蓋部25を上方に持ち上げ、キャビンシート23の外側上部に設けられた吊り下げストラップ26を、適宜その上方に位置するフレーム1、具体的には前記後部アーチフレーム11c・中間部アーチフレーム11b・トップフレーム13の後部側に係止させて、インナーテント2を立体化形成する。これによってインナーテント2内に充分な立体空間が確保され、居室となるキャビン室Saを現出させる。
【0045】
(3)フライシートの設置
このようにしてインナーテント2を立体化形成したら、このインナーテント2の更に外側からフライシート3を被せるように張設するものである。これによりフレーム1は、全体的に地面近くまでフライシート3によって覆われる。
なお、フレーム1の上方から全体的に被せたフライシート3を、グランドシート21やスタンディングベルト22側に接続固定するには、側斜面シート32の下端部に、一例として六カ所設けられたフライ固定ジョイント35(ここではバックルオス)を、対応する脚留具RのフライジョイントRb(ここではバックルメス)に、いわゆるワンタッチ操作で嵌め込んで接続固定を図るものである(図3(a)の要部拡大図参照)。
【0046】
(4)補助作業
このようにしてテントTの設営を完了するが、キャンプ時における天候予測等によって、更に設営状態を確実にするためには、脚留具Rのペグ差し部Rcを利用して地面にペグ6を打ち込み、テントT(インナーテント2)の固定力を強化するとともに、更に必要に応じてフライシート3側では、張り綱5を前記張り綱受け34に係止するように設け、下方には適宜ペグ6を打ち込んで、テントT(フライシート3)の固定力を強化するものである。なお張り綱5の長さ調節は、アジャスタを用いて、その長さを適宜張設することが好ましい。もちろん、例えばキャンパーMが、いわゆるトートラインヒッチや自在結び等と称される、長さ調節自在なロープワークのスキルを有するときには、このようなアジャスタは必要としない場合もある。
【0047】
(5)テント利用の態様
このようにしてテントTを設営した後、インナーテント2のキャビン室Sa内で、適宜のキャンプマット、寝袋等を利用して就寝したり、休憩したりする。そしてこのような宿泊のほか、更に前室Sbを利用して、言わばリラックスした状態でキャンプ生活を楽しみたい場合には、一例として図1に示すように、前記フライシート3における前面オーニングフラップ31aや側面オーニングフラップ32aを開放し、且つそれらをオーニング状に前方に張り出させたり、巻き上げ状態で側部や上部等に留め付けたりすることにより、前室Sbにおいて日除け・風除け等を図りながら、自然の屋外雰囲気を堪能することができる。このように前室Sbは、より開放的な雰囲気空間として活用することができるものであり、前室Sbをこのような半開放状態としながら、例えばキャンプ用の携帯チェア等を用いて、前室Sbで食事しながら焚き火を楽しんだり、あるいは読書や音楽鑑賞等を行って、リラックスした気持ちでキャンプ生活を楽しむことができる。
【0048】
また、この際、アーチフレーム11やトップフレーム13の形状や設置角度などを上記のように構成したことにより、前室Sbは上方空間が充分に保たれるため、キャンパーMとしては圧迫感を感じることがなく、またテントT全体としてコンパクトなテント内空間Sとして構成でき、快適なテント生活を体験することができる。
もちろん、前室Sbについては、前面オーニングフラップ31a・側面オーニングフラップ32a等をスライドファスナーFで閉鎖しておき、テントTの外側から開閉できないようにしておくことも可能であり、例えばいわゆるキャンプツーリングにおいて、比較的大きな荷物となるライディングブーツやヘルメットあるいはツーリングバッグ、更には組み立て済みのテーブルや椅子などを組み立て状態のまま、人目に触れないよう、閉鎖空間とした前室Sbに収納しておくことができ、キャンパーMの就寝中に起こり得る盗難被害を未然に防ぐことができる。
また、このように、就寝に直接用いない不要な荷物を極力、前室Sbに置いておくことにより、キャンパーMが就寝するキャビン室Saを、より一層広々と使用することができる。
【符号の説明】
【0049】
T テント(キャンプ用テント)

1 フレーム
2 インナーテント
3 フライシート
4 補助ポール
5 張り綱
6 ペグ

1 フレーム
1e パイプ要素
11 アーチフレーム
11a 前部アーチフレーム
11b 中間部アーチフレーム
11c 後部アーチフレーム
12 ポールエンド
13 トップフレーム

2 インナーテント
21 グランドシート
22 スタンディングベルト
23 キャビンシート
24 下部側壁
25 天蓋部
26 吊り下げストラップ
27 前開放フラップ

3 フライシート
31 前面シート
31a 前面オーニングフラップ
32 側斜面シート
32a 側面オーニングフラップ
32b 半開フラップ
33 後面シート
33a 換気窓
33b 後面フラップ
34 張り綱受け
35 フライ固定ジョイント

E 弾性ストリング
F スライドファスナー
Fc ファスナーカバー
G ガイドマーカ
J ジョイント
M キャンパー
S テント内空間
Sa キャビン室
Sb 前室
R 脚留具
Ra ポール受け
Rb フライジョイント
Rc ペグ差し部
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】