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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137584
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】手乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A47K10/48 A
A47K10/48 B
A47K10/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088326
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】P 2023047912
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003568
【氏名又は名称】弁理士法人加藤国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤部 健司
(72)【発明者】
【氏名】青山 裕子
(57)【要約】
【課題】乾燥室内に付着した水滴を十分に拭き取ることのできる手乾燥装置を提供する。
【解決手段】 手乾燥装置1は、上面開口部10aおよび側面開口部10bを有するケーシング10と、ケーシング10に収容され、高圧空気流を発生させる高圧空気流発生部70と、ケーシング10における上面開口部10aおよび側面開口部10bの内側に設けられ、高圧空気流発生部70で発生した高圧空気流を噴出させて手を乾燥させる手乾燥室14と、上面開口部10aに着脱自在に装着され、手乾燥室14に手を挿入可能な手挿入口21を有する上面カバー20と、側面開口部10bに上方から挿入することにより側面開口部10bに着脱自在に装着された側面カバー30と、手乾燥室14の底面に設けられた排水口15に上方から挿入することにより排水口15に着脱自在に装着された排水管40とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口部および側面開口部を有するケーシングと、
前記ケーシングに収容され、高圧空気流を発生させる高圧空気流発生部と、
前記ケーシングにおける前記上面開口部および前記側面開口部の内側に設けられ、前記高圧空気流発生部で発生した高圧空気流を噴出させて手を乾燥させる手乾燥室と、
前記上面開口部に着脱自在に装着され、前記手乾燥室に手を挿入可能な手挿入口を有する上面カバーと、
前記側面開口部に上方から挿入することにより前記側面開口部に着脱自在に装着された側面カバーと、
前記手乾燥室の底面に設けられた排水口に上方から挿入することにより前記排水口に着脱自在に装着された排水管とを備える手乾燥装置。
【請求項2】
前記上面カバーおよび前記側面カバーが装着された際に、前記上面カバーは、前記側面カバーの上端を上から押さえる請求項1記載の手乾燥装置。
【請求項3】
前記排水管の上端に設けられ、前記排水管の前記排水口への挿入に合わせて、前記側面開口部に上方から挿入される持ち手を備え、
前記側面カバーおよび前記排水管が装着された際に、前記側面カバーは、前記持ち手の上端を上から押さえる請求項2に記載の手乾燥装置。
【請求項4】
前記高圧空気流発生部を制御する制御部と、
前記上面カバーの着脱を検出する上面カバー検出センサーと、
前記側面カバーの着脱を検出する側面カバー検出センサーと、
前記排水管の着脱を検出する排水管検出センサーとを更に備え、
前記制御部は、前記上面カバー検出センサー、前記側面カバー検出センサーおよび前記排水管検出センサーにより、前記上面カバー、前記側面カバーおよび前記排水管の全てが装着されていると検出された場合に、前記高圧空気流発生部の駆動を許可する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の手乾燥装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記上面カバー検出センサー、前記側面カバー検出センサーおよび前記排水管検出センサーにより、前記上面カバー、前記側面カバーおよび前記排水管の少なくとも一つが装着されていないと検出された場合に、前記高圧空気流発生部の駆動を禁止する請求項4記載の手乾燥装置。
【請求項6】
前記制御部が前記高圧空気流発生部の駆動を禁止した場合に、装着されていない部品があることを報知する報知部を備える請求項5記載の手乾燥装置。
【請求項7】
前記手挿入口の縁部は、前記手挿入口に近づくほどに前記手乾燥室の底面に向かって湾曲して延びている請求項1記載の手乾燥装置。
【請求項8】
前記手挿入口の縁部は、前記手乾燥室の壁面に密着する密着部と、前記密着部の下端に接続され、前記壁面から離れるように拡がりながら前記手乾燥室の底面に向かって延びるガイド部とを備える請求項1記載の手乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄後の濡れた手を乾燥させる手乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、装置本体の内部に設けられ、手が挿入される挿入口を有する乾燥室と、乾燥室内に配置され、高圧空気流を乾燥室内に吹き出させる吹出口とを備え、挿入口から乾燥室に挿入された手に付着した水滴を高圧空気流によって吹き飛ばす手乾燥装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6781159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された手乾燥装置は、使用者が乾燥室に挿入した手を上下に動かすと、乾燥室のあらゆる方向に水滴が激しく飛散し、乾燥室の内部に水滴が付着するおそれがあった。このため、乾燥室内の定期的な清掃が必要であった。しかし、清掃員は、挿入口から手を挿入して清掃を行わなければならないため、乾燥室内に付着した水滴を十分に拭き取ることが難しいといった課題があった。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、乾燥室内に付着した水滴を十分に拭き取ることのできる手乾燥装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る手乾燥装置は、上面開口部および側面開口部を有するケーシングと、ケーシングに収容され、高圧空気流を発生させる高圧空気流発生部と、ケーシングにおける上面開口部および側面開口部の内側に設けられ、高圧空気流発生部で発生した高圧空気流を噴出させて手を乾燥させる手乾燥室と、上面開口部に着脱自在に装着され、手乾燥室に手を挿入可能な手挿入口を有する上面カバーと、側面開口部に上方から挿入することにより側面開口部に着脱自在に装着された側面カバーと、手乾燥室の底面に設けられた排水口に上方から挿入することにより排水口に着脱自在に装着された排水管とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る手乾燥装置は、乾燥室内に付着した水滴を十分に拭き取ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る手乾燥装置を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係る手乾燥装置を示す分解斜視図である。
図3】実施の形態1に係る手乾燥装置を示す分解斜視図である。
図4】実施の形態1に係る手乾燥装置を示す側面図である。
図5】実施の形態1に係る手乾燥装置の内部を模式的に示す図である。
図6】実施の形態1に係る手乾燥装置の制御に関わる主要部分の機能構成を示す図である。
図7】実施の形態1に係る手乾燥装置が有する処理部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図8】実施の形態1に係る手乾燥装置1の動作を示すフローチャートである。
図9】実施の形態1に係る手乾燥装置1の動作を示すフローチャートである。
図10】表示部およびスピーカーの取り付け位置の別の例を示す図である。
図11】実施の形態2に係る手乾燥装置を示す斜視図である。
図12】実施の形態2に係る手乾燥装置を示す分解斜視図である。
図13】実施の形態2に係る手乾燥装置を示す分解斜視図である。
図14】実施の形態2に係る手乾燥装置における各部品の取り外し手順を示す図である。
図15】実施の形態3に係る手乾燥装置を示す側部断面図である。
図16】上面カバーを示す斜視図である。
図17】上面カバーを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図中、同一または相当する部分には同一の符号が付される。当該部分の重複説明は適宜に簡略化ないし省略される。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る手乾燥装置1を示す斜視図である。図2および図3は、実施の形態1に係る手乾燥装置1を示す分解斜視図である。図4は、実施の形態1に係る手乾燥装置1を示す側面図である。
【0010】
実施の形態1に係る手乾燥装置1は、例えば、洗面所内における洗面台の近傍に設置して、洗浄後の手の乾燥に用いることができる装置である。なお、手乾燥装置1は、洗面所のほか、高い衛生環境が求められる場所において洗浄後の手(手指)を衛生的に乾燥する必要がある場所であれば、工場、事業所、病院その他様々な場所に設置して使用することができる。また、以下の説明では、手乾燥装置1を設置した際に使用者に対向する面を正面とし、正面を基準として上面、左右の側面および背面を規定するものとする。
【0011】
図1から図3に示すように、手乾燥装置1は、手乾燥装置1の外郭をなす直方体形状のケーシング10を備えている。ケーシング10の上面には、長方形状の上面開口部10aが設けられている。また、ケーシング10の左右の側面のそれぞれには、長方形状の側面開口部10bが設けられている。そして、上面開口部10aの左右の端部には、側面開口部10bの上端がそれぞれ接続されている。
【0012】
ケーシング10の上面開口部10aには、上面カバー20が着脱自在に装着されている。また、ケーシング10の各側面開口部10bには、板状の側面カバー30が装着されている。各側面開口部10bは、上端が開口している。このため、側面カバー30は、側面開口部10bに対して上方から挿入することができる。また、各側面開口部10bにおける正面側端部と背面側端部には、上下方向に延びるガイド溝(図示せず)が形成されている。このため、各側面カバー30は、ガイド溝をガイドにして、側面開口部10b内を下にスライドすることができる。そして、側面カバー30の下端が側面開口部10bの下端に当接した状態で、各側面カバー30は側面開口部10bに装着される。なお、各側面カバー30をスライドさせる機構はガイド溝に限定されることなく、例えば、ガイドレールなどのその他の機構であってもよい。
【0013】
さらに、ケーシング10の正面上部には、表示部11とスピーカー12とが設けられている。表示部11は、例えば液晶ディスプレイによって形成される。スピーカー12は、ブザー音あるいは音声で報知する。なお、表示部11およびスピーカー12は、それぞれ「報知部」とも称する。
【0014】
ケーシング10における上面開口部10aおよび各側面開口部10bの内側には、使用者の両手が十分に収まる手乾燥室14が設けられている。ケーシング10の上面開口部10aには、上面カバー20が装着されているので、上面開口部10aは上面カバー20によって塞がれる。また、ケーシング10の各側面開口部10bには、側面カバー30が装着されているので、各側面開口部10bは側面カバー30によって塞がれる。このため、手乾燥室14は閉鎖された空間となる。
上面カバー20の中央には、左右方向に延びる矩形状の手挿入口21が設けられている。手挿入口21には、手が挿入可能である。このため、使用者が手挿入口21に手を挿入することにより、手乾燥室14で手を乾燥させることができる。
【0015】
図4に示すように、手乾燥室14は、正面側の内壁を構成する正面側壁面14aと正面側壁面14aに対向し背面側の内壁を構成する背面側壁面14bとを有している。正面側壁面14aおよび背面側壁面14bの材質には、抗菌剤を含浸させた樹脂が用いられている。また、正面側壁面14aの表面および背面側壁面14bの表面には、シリコン系もしくはフッ素系等の撥水性コーティングまたは酸化チタン等の親水性コーティングがなされている。このため、手乾燥室14における菌の繁殖を低減させると共に、手乾燥室14の内壁表面の汚れの付着を低減させることができる。
【0016】
正面側壁面14aの手挿入口21の近傍および、背面側壁面14bの手挿入口21の近傍には、それぞれ正面側ノズル(図示せず)と背面側ノズル(図示せず)とが、左右方向(紙面に直交する方向)に直線状に設けられている。正面側ノズルおよび背面側ノズルからは、高圧空気流が手乾燥室14の下側に向かって傾斜して噴き出し、手乾燥室14に挿入された使用者の手の甲側と掌側に同時に高圧空気流が当たる。このため、手に付着した水滴が吹き飛ばされて、手から水滴が排除される。
【0017】
正面側壁面14aにおける正面側ノズルの上方には、手の有無を検知する手検知センサー50の赤外線出射部50aが設けられている。また、背面側壁面14bにおける背面側ノズルの上方には、手検知センサー50の赤外線受光部50bが設けられている。赤外線出射部50aから出射された赤外線は、赤外線受光部50bに入射される。一方、使用者が手挿入口21に手を挿入すると、赤外線出射部50aから出射された赤外線が使用者の手によって遮断され、赤外線受光部50bに赤外線が入射されなくなる。このため、手検知センサー50は、赤外線受光部50bでの赤外線の受光の有無を検出することにより、使用者の手の挿入の有無を検出できる。
【0018】
手乾燥室14の底面には排水口15が設けられ、排水口15には、筒状の排水管40が上方から挿入されている。排水管40の上端にはフランジ40aが設けられ、このフランジ40aが排水口15の周縁に取り付けられることにより、排水管40が排水口15に装着される。また、排水管40の下端の下方には、排水管40を通って排水された水を溜めるタンク41が設置されている。
【0019】
図5は、実施の形態1に係る手乾燥装置1の内部を模式的に示す図である。図5に示すように、ケーシング10の下部におけるタンク41の上方には、高圧空気流発生装置60が収容されている。高圧空気流発生装置60は、羽根(図示せず)とDCブラシレスモーター(図示せず)を備えている。高圧空気流発生装置60とタンク41の間には、吸気風路61が設けられている。吸気風路61の下端には吸気口62が設けられ、吸気口62には吸気する空気を浄化するためのHEPAフィルター63が取り付けられている。また、吸気風路61の上端と高圧空気流発生装置60とは連通している。なお、高圧空気流発生装置60が備えるモーターはDCブラシレスモーターに限定されることなく、例えば、整流子モーターであってもよい。
【0020】
また、高圧空気流発生装置60の吸気側である下部には吸気風路61の上端が接続されている。このため、吸気口62周辺の空気が吸気風路61を通って高圧空気流発生装置60に吸引される。吸気風路61の内壁には吸音材が貼付され、高圧空気流発生装置60から吸気風路61に伝わる騒音が低減される。
【0021】
高圧空気流発生装置60の排気側である上部は、排気チャンバー64内に設けられ、排気チャンバー64の上端には、排気チャンバー64内の高圧空気を排出する排気口65が設けられている。排気口65には、正面側を上方に延びる正面側排気ダクト66の下端と、背面側を上方に延びる背面側排気ダクト67の下端とが接続されている。正面側排気ダクト66の上端には正面側ノズル(図示せず)が接続され、背面側排気ダクト67の上端には背面側ノズル(図示せず)が接続されている。
【0022】
このため、高圧空気流発生装置60で発生した高圧空気流は、正面側と背面側に分かれて、正面側排気ダクト66と背面側排気ダクト67とを進行する。そして、正面側排気ダクト66を通った高圧空気流は、正面側ノズルから斜め下方に噴出し、手乾燥室14および排水管40を通って、タンク41に排気される。同様に、背面側排気ダクト67を通った高圧空気流は、背面側ノズルから斜め下方に噴出し、手乾燥室14および排水管40を通って、タンク41に排気される。タンク41に排気された空気流は、吸気風路61の吸気口62に吸い込まれ、吸気風路61内を通って高圧空気流発生装置60に到達する。高圧空気流発生装置60に到達した空気流は、高圧空気流発生装置60によって高圧空気流となり、再び手乾燥室14に送られる。なお、高圧空気流発生装置60は、「高圧空気流発生部」とも称する。
【0023】
手乾燥室14に使用者の手が挿入された状態で、正面側ノズルと背面側ノズルから高圧空気流が噴出すると、使用者の手に付着した水滴は、高圧空気流によって吹き飛ばされ、水滴の大部分は手乾燥室14の底面に設けられた排水口15から排水管40に流れ込む。上述したように、排水管40内には下に向けて流れる空気流が存在するので、排水管40に流れ込んだ水はこの空気流に沿って排水管40内をスムーズに流れ落ちる。流れ落ちた水は排水管40の下端から排水され、タンク41に貯留される。
【0024】
手挿入口21の正面側縁部21aおよび背面側縁部21bは、手挿入口21に近づくほどに手乾燥室14の底面に向かって湾曲して延びている。このため、使用者の手に当たり向きを変えた高圧空気流の一部が上面カバー20の内側に向かった場合、この高圧空気流は正面側縁部21aおよび背面側縁部21bが有する湾曲した内面に沿って流れ、手乾燥室14の底面に向かうように方向転換する。
【0025】
このように、手挿入口21の正面側縁部21aおよび背面側縁部21bが、手挿入口21に近づくほどに手乾燥室14の底面に向かって湾曲して延びることにより、使用者の手に当たり向きを変えた高圧空気流が手挿入口21から外部に排出されることを防いでいる。その結果、手挿入口21から外部に排出した高圧空気流が使用者に当たり、使用者に不快感を与えるといった事態が防止される。なお、正面側縁部21aおよび背面側縁部21bは、それぞれ「縁部」とも称する。
【0026】
ケーシング10の内部における上面カバー20が接する位置には、上面カバー20の有無を検出する上面カバー検出センサー51が設けられている。また、ケーシング10の内部における各側面カバー30が接する位置には、側面カバー30の有無を検出する側面カバー検出センサー52が設けられている。さらに、ケーシング10の内部における排水管40が接する位置には、排水管40の有無を検出する排水管検出センサー53が設けられている。また、ケーシング10の内部における手乾燥室14の下方には、高圧空気流発生装置60、表示部11、スピーカー12などを制御する制御部70が設置されている。
【0027】
図6は、手乾燥装置1の制御に関わる主要部分の機能構成を示す図である。図6に示すように、制御部70は、高圧空気流発生装置60、表示部11、スピーカー12、手検知センサー50、上面カバー検出センサー51、一対の側面カバー検出センサー52および排水管検出センサー53と信号線で接続されている。手検知センサー50、上面カバー検出センサー51、一対の側面カバー検出センサー52および排水管検出センサー53は、制御部70に対して検出信号を送信する。また、制御部70は、高圧空気流発生装置60、表示部11およびスピーカー12に対して制御信号を送信する。
【0028】
図7は、実施の形態1に係る手乾燥装置1が有する制御部70のハードウェア構成の例を示す図である。図7には、プログラムを実行するハードウェアを用いて制御部70の機能が実現される場合におけるハードウェア構成が記載されている。制御部70は、プロセッサ71と、メモリ72とを有する。
【0029】
プロセッサ71は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ71は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、又はDSP(Digital Signal Processor)であってもよい。制御部70の各機能は、プロセッサ71と、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、内蔵メモリであるメモリ72に格納される。メモリ72は、不揮発性もしくは揮発性の半導体メモリであって、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。
【0030】
次に、実施の形態1に係る手乾燥装置1の特徴的な構成について説明する。使用者が手乾燥室14に挿入した手を上下に動かすと、手乾燥室14のあらゆる方向に水滴が激しく飛散する。このため、水滴の一部は、手乾燥室14の内面、上面カバー20の内面および各側面カバー30の内面に付着する。さらに、排水管40を流れる水の一部が水滴として排水管40の内面に付着する。このように、水滴が付着した状態で清掃が十分に行われないと、臭いの原因になり使用者に不快感を与えてしまう。
【0031】
実施の形態1に係る手乾燥装置1は、手乾燥室14の内面等に付着した水滴を容易に拭き取れるように構成されている。図2および図3に示すように、上面カバー20は、ケーシング10の上面から簡単に取り外し可能である。上面カバー20の取り外しにおいては、専用の工具を必要としない。なお、図2および図3では、上面カバー20はケーシング10の上方に向かって取り外しているが、ケーシング10の正面方向、背面方向あるいは左右方向にスライドさせて取り外してもよい。
このように、上面カバー20はケーシング10から取り外せるので、清掃員は上面カバー20を取り外した状態で、上面カバー20の内面に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。
【0032】
また、各側面カバー30は、ケーシング10の両側面の上部に設けられた側面開口部10bから上方にスライドさせて取り外すことが可能である。上面カバー20がケーシング10の上面開口部10aに装着された状態では、各側面カバー30の上端が上面カバー20によって上から押さえ付けられているため、各側面カバー30を取り外すことはできない。このため、側面カバー30をケーシング10から取り外すためには、初めに上面カバー20を取り外さなければならない。そして、上面カバー20を取り外した後に、各側面カバー30を取り外すことが可能となる。
【0033】
このように、清掃員が上面カバー20と各側面カバー30とをケーシング10から取り外すことにより、手乾燥室14の上面と両側面が開口した状態となる。このため、手乾燥室14内への手の挿入が容易になり、清掃員は手乾燥室14の内面に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。また、ケーシング10から取り外した状態で各側面カバー30を清掃できるので、清掃員は各側面カバー30の内面に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。
【0034】
なお、側面開口部10bは、ケーシング10の両方の側面のそれぞれに設けられているが、ケーシング10の片方の側面だけに側面開口部10bが設けられていてもよい。このように、ケーシング10の片方の側面だけに側面開口部10bが設けられている場合であっても、清掃員が上面カバー20と側面カバー30とをケーシング10から取り外せば、手乾燥室14の上面と片方の側面とが開口した状態となる。このように開口した状態であれば、清掃員は容易に手乾燥室14内に手を伸ばすことができるので、清掃員は手乾燥室14の内面に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。
【0035】
さらに、排水管40は、手乾燥室14の底面に設けられた排水口15から上方に引き抜くことが可能である。排水管40は手乾燥室14の底面に装着されているため、排水管40を取り外すためには、初めに上面カバー20を取り外さなければならない。そして、上面カバー20を取り外した状態では、ケーシング10の上面開口部10aから手乾燥室14の底面に手を伸ばすことができる。このため、清掃員は簡単に排水管40を取り外すことができ、清掃員は排水管40の内面に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。
【0036】
実施の形態1に係る手乾燥装置1を清掃する場合、まず、上面カバー20を取り外し、その後に、各側面カバー30と排水管40とを取り外す。このように、順番に各部品を取り外せるため、部品の外し忘れが起こり難くなり、水滴の拭き取りを確実に行うことができる。
また、清掃後における各部品の装着においては、まず、各側面カバー30と排水管40とを装着した後に、上面カバー20を装着する。そして、一旦、上面カバー20を装着した後には、各側面カバー30と排水管40は取り外すことができない。このため、例えば、上面カバー20だけに鍵を掛けるようにすれば、第三者によって側面カバー30あるいは排水管40が取り外されるといった事態が防止される。
【0037】
次に、実施の形態1に係る手乾燥装置1の動作を図8のフローチャートを用いて説明する。図8に示すように、使用者の手が手乾燥室14に挿入されると、手検知センサー50が使用者の手を検知して(ステップS10)、手検知センサー50から制御部70に検出信号が発信される(ステップS11)。検出信号を受信した制御部70は、上面カバー検出センサー51から出力された検出信号を受信して、上面カバー20の装着の有無を判定する(ステップS12)。
【0038】
上面カバー20が装着されていると判定された場合、制御部70は、各側面カバー検出センサー52から出力された検出信号を受信して、側面カバー30の装着の有無を判定する(ステップS13)。2枚の側面カバー30がいずれも装着されていると判定された場合、制御部70は、排水管検出センサー53から出力された検出信号を受信して、排水管40の装着の有無を判定する(ステップS14)。
【0039】
排水管40が装着されていると判定された場合、制御部70は、駆動許可の制御信号を高圧空気流発生装置60に送信し、高圧空気流発生装置60を駆動させる(ステップS15)。高圧空気流発生装置60の駆動によって、高圧空気流が発生し、この高圧空気流が正面側ノズルと背面側ノズルとから手乾燥室14内に噴出して、手乾燥室14に挿入された使用者の手の水滴を排除する。
【0040】
ステップS12において上面カバー20が装着されていないと判定された場合、制御部70は、駆動禁止の制御信号を高圧空気流発生装置60に送信し、高圧空気流発生装置60の駆動を禁止する(ステップS16)。また、ステップS13において2枚の側面カバー30の少なくともいずれかが装着されていないと判定された場合、制御部70は、駆動禁止の制御信号を高圧空気流発生装置60に送信し、高圧空気流発生装置60の駆動を禁止する(ステップS16)。さらに、ステップS14において排水管40が装着されていないと判定された場合、制御部70は、駆動禁止の制御信号を高圧空気流発生装置60に送信し、高圧空気流発生装置60の駆動を禁止する(ステップS16)。このようなステップS16の処理によって、高圧空気流発生装置60は停止した状態を維持する。
【0041】
このため、たとえ上面カバー20、各側面カバー30あるいは排水管40が外れた状態で使用者が手乾燥室14に手を挿入しても、正面側ノズルと背面側ノズルとから高圧空気流が噴出することはない。その結果、高圧空気流によって使用者の手から吹き飛ばされた水滴が手乾燥室14の外に飛び散るといった事態が防止される。
【0042】
さらに、制御部70は、例えば「上面カバーが外れています」、「側面カバーが外れています」、「排水管が外れています」といったメッセージを表示部11に表示させる(ステップS17)。この表示を見た使用者は、手乾燥装置1が駆動しない原因が部品の取り付け忘れであることを正確に把握することができ、手乾燥装置1が故障したと誤解することを回避できる。
【0043】
また、表示部11へのメッセージの表示に合わせて、制御部70は、メッセージをスピーカー12から音声出力する(ステップS18)。メッセージの音声出力によって、使用者は、部品の取り付け忘れを明確に把握することができる。なお、メッセージの音声出力の代わりに、スピーカー12からブザー音を出力してもよい。また、表示部11へのメッセージの表示とスピーカー12からのメッセージの音声出力は、いずれか一方だけであってもよい。
【0044】
なお、上面カバー20、側面カバー30および排水管40の装着の有無の検出は、手乾燥装置1の清掃が終了して電源が投入されたタイミングであってもよい。
この場合、制御部70は、上面カバー検出センサー51、側面カバー検出センサー52および排水管検出センサー53からの検出信号を受信し、受信した検出信号から上面カバー20等の装着の有無を判定する。そして、上面カバー20、側面カバー30および排水管40の全てが装着されていると判定された場合、制御部70は、高圧空気流発生装置60の駆動を許可する情報をメモリ72に保存する。また、上面カバー20、側面カバー30および排水管40の少なくともいずれかが装着されていないと判定された場合、制御部70は、高圧空気流発生装置60の駆動を禁止する情報をメモリ72に保存する。
【0045】
このように、高圧空気流発生装置60の駆動を許可あるいは禁止する情報を制御部70がメモリ72に保存することにより、使用者が手乾燥室14に手を挿入した場合、制御部70は、メモリ72に保存された情報を読み出して、高圧空気流発生装置60の駆動を制御する。ここで、メモリ72に保存された情報が駆動を許可する情報の場合、制御部70は、駆動許可の制御信号を高圧空気流発生装置60に送信し、高圧空気流発生装置60を駆動させる。また、メモリ72に保存された情報が駆動を禁止する情報の場合、制御部70は、駆動禁止の制御信号を高圧空気流発生装置60に送信し、高圧空気流発生装置60の駆動を禁止する。そして、制御部70は、高圧空気流発生装置60の駆動の禁止に併せて、表示部11に部品の取り付け忘れを警告するメッセージを表示し、スピーカー12から同様のメッセージを音声出力する。
【0046】
このように、一旦、高圧空気流発生装置60の駆動を許可あるいは禁止する情報をメモリ72に保存しておけば、使用者が手乾燥室14に手を挿入する毎に、上面カバー20、側面カバー30および排水管40の装着の有無を制御部70が検出する必要がなくなる。その結果、制御部70における処理の負荷が軽減する。
【0047】
次に、表示部11およびスピーカー12による報知の別の例について説明する。表示部11およびスピーカー12による報知は、手乾燥室14に手が挿入されたタイミングだけではなく、手乾燥装置1の清掃が終了して電源が投入されたタイミングでもよい。すなわち、図9に示すように、手乾燥装置1の清掃が終了して電源が投入された場合、制御部70は、上面カバー検出センサー51から出力された検出信号を受信して、上面カバー20の装着の有無を判定する(ステップS20)。
【0048】
上面カバー20が装着されていると判定された場合、各側面カバー検出センサー52から出力された検出信号を受信して、側面カバー30の装着の有無を判定する(ステップS21)。2枚の側面カバー30がいずれも装着されていると判定された場合、排水管検出センサー53から出力された検出信号を受信して、排水管40の装着の有無を判定する(ステップS22)。排水管40が装着されていると判定された場合、部品の取り付け忘れはないので、処理を終了する。
【0049】
一方、ステップS20において上面カバー20が装着されていないと判定された場合、制御部70は、例えば「上面カバーが外れています」といったメッセージを表示部11に表示させる(ステップS23)。また、ステップS21において2枚の側面カバー30の少なくともいずれかが装着されていないと判定された場合、制御部70は、例えば「側面カバーが外れています」といったメッセージを表示部11に表示させる(ステップS23)。さらに、ステップS22において排水管40が装着されていないと判定された場合、制御部70は、例えば「排水管が外れています」といったメッセージを表示部11に表示させる(ステップS23)。また、表示部11へのメッセージの表示に合わせて、制御部70は、メッセージをスピーカー12から音声出力する(ステップS24)。
【0050】
このようにメッセージの表示および音声出力によって、取り付けられていない部品があることを清掃員が把握することができる。その結果、清掃員は各部品を確実に取り付けることができ、清掃時における部品の取り付け忘れを防止することができる。
なお、メッセージの音声出力の代わりに、スピーカー12からブザー音を出力してもよい。また、表示部11へのメッセージの表示とスピーカー12からのメッセージの音声出力は、いずれか一方だけであってもよい。
【0051】
以上のように、実施の形態1に係る手乾燥装置1は、ケーシング10の上面開口部10aに着脱自在に装着された上面カバー20と、ケーシング10の側面開口部10bに着脱自在に装着された側面カバー30と、手乾燥室14の底面に設けられた排水口15に着脱自在に装着された排水管40とを備えている。
そして、上面カバー20と側面カバー30とをケーシング10から取り外すことにより、手乾燥室14の上面と側面が開口した状態となる。このため、手乾燥室14内への手の挿入が容易になり、清掃員は手乾燥室14の内面に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。また、ケーシング10から取り外した状態で側面カバー30を清掃できるので、清掃員は側面カバー30の内面に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。さらに、排水口15から排水管40を取り外すことができるので、清掃員は排水管40の内部に付着した水滴を確実に拭き取ることができる。
【0052】
また、実施の形態1に係る手乾燥装置1を清掃する場合、まず、上面カバー20を取り外し、その後に側面カバー30と排水管40を取り外す。このように、順番に各部品を取り外せるため、部品の外し忘れが起こり難くなり、水滴の拭き取りを確実に行うことができる。
さらに、清掃後における各部品の装着においては、まず、側面カバー30と排水管40を装着し、その後に上面カバー20を装着する。そして、一旦、上面カバー20を装着した後には、上面カバー20が側面カバー30の上端を上から押さえるので、側面カバー30は取り外すことができない。また、上面カバー20を装着した後には、手乾燥室14の底面に手を挿入することができないので、排水管40を取り外すことができない。このため、例えば、上面カバー20だけに鍵を掛けるようにすれば、第三者によって側面カバー30あるいは排水管40が取り外されるといった事態が防止される。
【0053】
なお、表示部11およびスピーカー12は、ケーシング10の側面上部に取り付けられているが、取付位置は、ケーシング10の上部側面に限定されない。例えば、図10に示すように、表示部11およびスピーカー12は、上面カバー20に取り付けられていてもよい。取付位置が上面カバー20であれば、使用者の視認性が向上する。
【0054】
実施の形態2.
図11は、実施の形態2に係る手乾燥装置2を示す斜視図である。図12および図13は、実施の形態2に係る手乾燥装置2を示す分解斜視図である。図14は、実施の形態2に係る手乾燥装置2における各部品の取り外し手順を示す図である。なお、実施の形態1の部分と同一又は相当部分には同一符号を付し、当該部分の説明は省略する。
【0055】
図11から図13に示すように、排水管40は、上端に設けられたフランジ40aにおける右側面側の端部から上方に延びる持ち手42を備えている。ケーシング10の右側面の上部には、側面開口部10bに比べて下方向に長い側面開口部16が設けられ、側面開口部16の下部に持ち手42が上方から挿入されている。そして、側面開口部16における持ち手42の上に側面カバー30が上方から挿入されている。側面カバー30が挿入された状態では、持ち手42の上端が側面カバー30の下端に押さえられ、持ち手42は側面開口部16の下部に固定される。このように、側面カバー30が挿入された状態では、持ち手42が固定されるので、排水管40を排水口15から取り外すことはできない。
【0056】
排水管40を排水口15から取り外すには、図14に示すように、まず、上面カバー20をケーシング10から取り外す。そして、上面カバー20を取り外すことにより、側面カバー30が上方に動かせるようになるので、側面カバー30を上方にスライドさせて、側面開口部16から側面カバー30を取り外す。さらに、側面カバー30を取り外すことにより、持ち手42が上方に動かせるようになるので、持ち手42を上方にスライドさせて、持ち手42と共に排水管40を上方に引き上げる。このような手順によって、排水管40を排水口15から取り外すことができる。
【0057】
以上のように、実施の形態2に係る手乾燥装置2においては、清掃時における各部品の取り外しを、上面カバー20、側面カバー30、排水管40の順番に行う。このため、排水管40を取り外して排水管40の内面に付着した水滴を拭き取る際には、必ず、上面カバー20と側面カバー30も取り外すことになる。その結果、排水管40の内面に付着した水滴の拭き取りに併せて、上面カバー20の内面と側面カバー30の内面に付着した水滴も拭き取ることができる。このため、水滴が付着しやすい部分の清掃が確実に行える。その結果、実施の形態2に係る手乾燥装置2のメンテナンス性が向上する。
【0058】
実施の形態3.
図15は、実施の形態3に係る手乾燥装置3を示す側部断面図である。図16は、実施の形態3に係る手乾燥装置3が有する上面カバー80を示す斜視図である。実施の形態3に係る手乾燥装置3が実施の形態1に係る手乾燥装置1と異なるのは、ケーシング10の上面開口部10aに設けられた着脱自在の上面カバー80の形状だけであり、それ以外の構成は実施の形態1と同一または同様である。このため、上面カバー80以外の構成の説明は省略する。
【0059】
図15および図16に示すように、上面カバー80は、ケーシング10の上面に密着すると共に、手乾燥室14の正面側壁面14aおよび背面側壁面14bに密着するように形成されている。上面カバー80における上面80aの中央には、左右方向に延びる矩形状の手挿入口81が設けられている。手挿入口81には、手が挿入可能である。このため、使用者が手挿入口81に手を挿入することにより、手乾燥室14で手を乾燥させることができる。
【0060】
手挿入口81の正面側縁部82には、密着部82aとガイド部82bとが設けられている。密着部82aは、上面カバー80の上面80aに上端が接続され、手乾燥室14の正面側壁面14aに密着して下方に延びている。また、ガイド部82bは、密着部82aの下端に接続され、正面側壁面14aから離れるように拡がりながら手乾燥室14の底面に向かって湾曲して延びている。
同様に、手挿入口81の背面側縁部83には、密着部83aとガイド部83bとが設けられている。密着部83aは、上面カバー80の上面80aに上端が接続され、手乾燥室14の背面側壁面14bに密着して下方に延びている。また、ガイド部83bは、密着部83aの下端に接続され、背面側壁面14bから離れるように拡がりながら手乾燥室14の底面に向かって湾曲して延びている。
【0061】
上面カバー80とケーシング10はどちらも樹脂製である。このため、上面カバー80が有する密着部82a,83aも樹脂で形成されている。また、ケーシング10の手乾燥室14が有する正面側壁面14aおよび背面側壁面14bも樹脂で形成されている。
ここで、密着部82aは正面側壁面14aに対して隙間が生じないように全面に亘って密着している。また、密着部83aは背面側壁面14bに対して隙間が生じないように全面に亘って密着している。このため、密着部82aと正面側壁面14aとの間、および密着部83aと背面側壁面14bとの間がシールされる。
【0062】
なお、密着部82aと正面側壁面14aとの間、および密着部83aと背面側壁面14bとの間に、ゴム製のパッキン部品を挟み込んでもよい。この場合、各パッキン部品は、上面カバー80側とケーシング10側とのいずれかに貼付される。そして、ケーシング10に上面カバー80が装着される際に各パッキン部品がつぶれ、密着部82aと正面側壁面14aとの間、および密着部83aと背面側壁面14bとの間が、より確実にシールされる。
【0063】
実施の形態3に係る手乾燥装置3においては、ガイド部82bが正面側壁面14aから離れるように拡がりながら手乾燥室14の底面に向かって湾曲して延びると共に、ガイド部83bが背面側壁面14bから離れるように拡がりながら手乾燥室14の底面に向かって湾曲して延びている。このため、使用者の手に当たり向きを変えた高圧空気流の一部がガイド部82bとガイド部83bとのいずれかに向かった場合、この高圧空気流はガイド部82bとガイド部83bとのいずれかの内面に沿って流れ、手乾燥室14の底面に向かうように方向転換する。また、手から飛ばされた水滴の一部がガイド部82bとガイド部83bとのいずれかに向かった場合、この水滴はガイド部82bとガイド部83bとのいずれかの内面に当たり、手乾燥室14の底面に流れ落ちる。
【0064】
なお、ガイド部82b,83bは、手乾燥室14の底面に向かって湾曲して延びていなくてもよく、例えば、直線状に傾斜して延びていてもよい。このような形状であっても、ガイド部82b,83bによって、高圧空気流を手乾燥室14の底面に向かうように方向転換させること、および水滴を手乾燥室14の底面に滴下させることが可能である。
【0065】
このように、実施の形態3に係る手乾燥装置3は、使用者の手に当たり向きを変えた高圧空気流あるいは手から飛ばされた水滴が、手挿入口81から外部に排出されることを防止することができる。その結果、実施の形態3に係る手乾燥装置3は、高圧空気流あるいは水滴が使用者に当たり、使用者に不快感を与えることを防止できるといった実施の形態1と同等の効果が発揮される。
【0066】
また、実施の形態3に係る手乾燥装置3は、密着部82aと正面側壁面14aとの間、および密着部83aと背面側壁面14bとの間がシールされている。このため、手乾燥時に手から吹き飛ばされた水滴あるいは手乾燥室14の内壁についた水滴が、高圧空気流の力で手乾燥室14の上方に移動し、これらの水滴が上面カバー80とケーシング10との間を通ってケーシング10の外郭表面に漏れ出すといった事態を確実に防止することができる。
【0067】
なお、図15では、正面側縁部82にガイド部82bを設け、背面側縁部83にガイド部83bを設けているが、ガイド部を設けるのは正面側縁部82と背面側縁部83とに限定されない。例えば、図17に示すように、正面側縁部82と背面側縁部83とに加えて、右側面側縁部84にガイド部84aを設け、左側面側縁部85にガイド部85aを設けてもよい。
このように、手挿入口81の4つの縁部全てにガイド部82b,83b,84a,85aを設けることにより、使用者の手に当たり向きを変えた高圧空気流あるいは手から飛ばされた水滴が、手乾燥室14の正面側と背面側だけでなく、手乾燥室14の右側面側と左側面側から外部に排出されることも防止することができる。その結果、高圧空気流あるいは水滴が使用者に当たり、使用者に不快感を与えるといった事態が回避される。
【0068】
以上の各実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能である。また、実施の形態同士を組み合わせることも可能であり、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0069】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0070】
(付記1)
上面開口部および側面開口部を有するケーシングと、
前記ケーシングに収容され、高圧空気流を発生させる高圧空気流発生部と、
前記ケーシングにおける前記上面開口部および前記側面開口部の内側に設けられ、前記高圧空気流発生部で発生した高圧空気流を噴出させて手を乾燥させる手乾燥室と、
前記上面開口部に着脱自在に装着され、前記手乾燥室に手を挿入可能な手挿入口を有する上面カバーと、
前記側面開口部に上方から挿入することにより前記側面開口部に着脱自在に装着された側面カバーと、
前記手乾燥室の底面に設けられた排水口に上方から挿入することにより前記排水口に着脱自在に装着された排水管とを備える手乾燥装置。
(付記2)
前記上面カバーおよび前記側面カバーが装着された際に、前記上面カバーは、前記側面カバーの上端を上から押さえる付記1記載の手乾燥装置。
(付記3)
前記排水管の上端に設けられ、前記排水管の前記排水口への挿入に合わせて、前記側面開口部に上方から挿入される持ち手を備え、
前記側面カバーおよび前記排水管が装着された際に、前記側面カバーは、前記持ち手の上端を上から押さえる付記2に記載の手乾燥装置。
(付記4)
前記高圧空気流発生部を制御する制御部と、
前記上面カバーの着脱を検出する上面カバー検出センサーと、
前記側面カバーの着脱を検出する側面カバー検出センサーと、
前記排水管の着脱を検出する排水管検出センサーとを更に備え、
前記制御部は、前記上面カバー検出センサー、前記側面カバー検出センサーおよび前記排水管検出センサーにより、前記上面カバー、前記側面カバーおよび前記排水管の全てが装着されていると検出された場合に、前記高圧空気流発生部の駆動を許可する付記1から付記3のいずれか一項に記載の手乾燥装置。
(付記5)
前記制御部は、前記上面カバー検出センサー、前記側面カバー検出センサーおよび前記排水管検出センサーにより、前記上面カバー、前記側面カバーおよび前記排水管の少なくともいずれか一つが装着されていないと検出された場合に、前記高圧空気流発生部の駆動を禁止する付記4記載の手乾燥装置。
(付記6)
前記制御部が前記高圧空気流発生部の駆動を禁止した場合に、装着されていない部品があることを報知する報知部を備える付記5記載の手乾燥装置。
(付記7)
前記手挿入口の縁部は、前記手挿入口に近づくほどに前記手乾燥室の底面に向かって湾曲して延びている付記1から付記6のいずれか一項に記載の手乾燥装置。
(付記8)
前記手挿入口の縁部は、前記手乾燥室の壁面に密着する密着部と、前記密着部の下端に接続され、前記壁面から離れるように拡がりながら前記手乾燥室の底面に向かって延びるガイド部とを備える付記1から付記6のいずれか一項に記載の手乾燥装置。
【符号の説明】
【0071】
1,2 手乾燥装置、10 ケーシング、10a 上面開口部、10b,16 側面開口部、11 表示部、12 スピーカー、14 手乾燥室、15 排水口、20,80 上面カバー、21,81 手挿入口、21a,82 正面側縁部(縁部)、21b,83 背面側縁部(縁部)、30 側面カバー、40 排水管、40a フランジ、41 タンク、42 持ち手、50 手検知センサー、51 上面カバー検出センサー、52 側面カバー検出センサー、53 排水管検出センサー、60 高圧空気流発生装置(高圧空気流発生部)、70 制御部、82a,83a 密着部、82b,83b ガイド部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17