(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024138910
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】稼働情報記録システム
(51)【国際特許分類】
G07C 5/00 20060101AFI20241002BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
E02F9/24 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049632
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多胡 尚
(72)【発明者】
【氏名】日暮 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅一
(72)【発明者】
【氏名】坂井 大斗
(72)【発明者】
【氏名】三ツ橋 元気
【テーマコード(参考)】
2D015
3E138
【Fターム(参考)】
2D015GA03
3E138AA07
3E138BA09
3E138MA01
3E138MB01
3E138MB08
3E138MB13
3E138MC12
3E138MD10
(57)【要約】
【課題】作業機械のユーザが当該作業機械に搭載された記録装置内の稼働情報を容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを防止することを目的とする。
【解決手段】稼働情報記録システム100は、作業機械50に搭載され作業機械50の稼働情報が記録される記録領域26を有する記録装置22と、記録領域26にアクセス可能なユーザを管理するユーザ管理サーバ30と、を備える。ユーザ管理サーバ30は、今回認証に成功したユーザの所属団体が、前回アクセスしたユーザの所属団体と一致するか否かを判定する判定処理を行い、不一致の判定結果が得られた場合、記録領域26に記録された稼働情報の削除指令を発行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に搭載され前記作業機械の稼働情報が記録される記録領域を有する記録装置と、前記記録領域にアクセス可能なユーザを管理するユーザ管理サーバと、を備える稼働情報記録システムであって、
前記ユーザ管理サーバは、前記記録領域にアクセスするユーザとして今回認証に成功したユーザの所属団体が、前記記録領域に前回アクセスしたユーザの所属団体と一致するか否かを判定する判定処理を行い、当該判定処理において不一致の判定結果が得られた場合、前記記録領域に記録された前記稼働情報の削除指令を発行し、
前記記録装置は、前記削除指令に基づいて、前記記録領域に記録された前記稼働情報を削除する
ことを特徴とする稼働情報記録システム。
【請求項2】
前記作業機械は、貸し手から借り手に貸し出される作業機械であり、
前記ユーザ管理サーバは、今回認証に成功したユーザが使用する前記作業機械の前記借り手が、前記記録領域に前回アクセスしたユーザが使用した前記作業機械の前記借り手と一致するか否かを判定する判定処理を行い、当該判定処理において不一致の判定結果が得られた場合、前記削除指令を発行する
ことを特徴とする請求項1に記載の稼働情報記録システム。
【請求項3】
前記記録装置には、前記記録装置に固有のPINコードが付与されており、
前記ユーザ管理サーバは、ユーザによって入力された前記PINコードに基づいて前記判定処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の稼働情報記録システム。
【請求項4】
前記作業機械とネットワークを介して無線通信を行い、前記稼働情報を管理する情報管理サーバを更に備え、
前記情報管理サーバは、前記作業機械が貸し出される際、又は、前記作業機械が前記貸し手に返却される際に、前記削除指令を発行し、
前記記録装置は、前記削除指令に基づいて、前記記録領域に記録された前記稼働情報を削除する
ことを特徴とする請求項2に記載の稼働情報記録システム。
【請求項5】
前記記録装置と無線通信を行うと共に、前記ユーザ管理サーバとネットワークを介して無線通信を行うモバイル機器を更に備え、
前記ユーザ管理サーバは、前記判定処理において不一致の判定結果が得られた場合、前記削除指令を前記モバイル機器へ送信し、
前記モバイル機器は、前記削除指令を前記記録装置へ送信して、前記記録領域に記録された前記稼働情報を削除させる
ことを特徴とする請求項1に記載の稼働情報記録システム。
【請求項6】
前記ユーザ管理サーバは、前記判定処理において一致の判定結果が得られた場合、前記記録領域へのアクセス許可指令を発行し、
前記記録装置は、前記アクセス許可指令に基づいて、前記記録領域へのアクセスを許可する
ことを特徴とする請求項1に記載の稼働情報記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の稼働情報を記録する稼働情報記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械では、作業機械及びその周辺の安全確認を目的として、作業機械の車体に複数のカメラを設置し、作業機械周辺の映像をディスプレイ等に表示するモニタシステムが一般的に導入されている。近年、当該カメラの映像を含む作業機械の稼働情報は、自動車と同様に、ドライブレコーダに記録され、後から事故又はヒヤリハット事象の振り返りに利用されている。
【0003】
特許文献1は、ドライブレコーダにアクセス制限を設けつつ、緊急性の高い映像は搭乗者以外でも閲覧することができる技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業機械のユーザは、作業機械を所有して使用するのではなくレンタル会社から借りて使用することが、乗用自動車のユーザよりも多い。作業機械に搭載されるドライブレコーダには、個人情報又は営業秘密等を含んだ作業機械の稼働情報が記録される。当該ドライブレコーダがユーザに自由にアクセス可能である場合、当該ドライブレコーダに記録された稼働情報が、次に作業機械を使用する第三者に流出する問題が発生し得る。特許文献1に開示された技術は、このような問題について何ら考慮されておらず、作業機械に適用するには改善の余地がある。
【0006】
上記事情に鑑みて、本発明は、作業機械のユーザが当該作業機械に搭載された記録装置内の稼働情報を容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の稼働情報記録システムは、作業機械に搭載され前記作業機械の稼働情報が記録される記録領域を有する記録装置と、前記記録領域にアクセス可能なユーザを管理するユーザ管理サーバと、を備える稼働情報記録システムであって、前記ユーザ管理サーバは、前記記録領域にアクセスするユーザとして今回認証に成功したユーザの所属団体が、前記記録領域に前回アクセスしたユーザの所属団体と一致するか否かを判定する判定処理を行い、当該判定処理において不一致の判定結果が得られた場合、前記記録領域に記録された前記稼働情報の削除指令を発行し、前記記録装置は、前記削除指令に基づいて、前記記録領域に記録された前記稼働情報を削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業機械のユーザが当該作業機械に搭載された記録装置内の稼働情報を容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】ユーザ管理サーバの構成及びユーザ認証に係る処理を説明する図。
【
図4】制御装置によって行われる処理を示すフローチャート。
【
図5】モバイル機器によって行われる処理を示すフローチャート。
【
図6】ユーザ管理サーバによって行われる処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。各実施形態において同一の符号を付された構成については、特に言及しない限り、各実施形態において同様の機能を有し、その説明を省略する。
【0011】
【0012】
稼働情報記録システム100によって稼働情報が記録される作業機械50は、油圧ショベル、ホイールローダ又はダンプトラック等の建設機械であってもよい。
図1には、作業機械50一例として油圧ショベルが示されているが、作業機械50は特に限定されない。
【0013】
作業機械50は、貸し手から借り手に貸し出される作業機械であってもよい。作業機械50の貸し手は、例えば、作業機械50のレンタル会社又はリース会社等である。作業機械50の借り手は、例えば、作業機械50のユーザ(オペレータ等の作業員又は現場管理者)が所属する建設会社等のユーザの所属団体である。なお、作業機械50は、作業機械50のユーザ個人が所有する作業機械、又は、ユーザの所属団体が所有する作業機械であってもよい。
【0014】
作業機械50には、エンジン又は電動モータである原動機1と、原動機1によって駆動される油圧ポンプであるメインポンプ2とが搭載されている。作業機械50では、メインポンプ2から供給された作動油によって、下部走行体3と上部旋回体4とフロント作業装置5とがそれぞれ独立して作動する。
【0015】
下部走行体3は、一対の走行体6(
図1では片側のみを示す)から成り、走行油圧モータ7の回転によって作動する。上部旋回体4は、旋回装置8を介して下部走行体3の上部に接続されており、不図示の旋回油圧モータの回転によって作動する。
【0016】
フロント作業装置5は、上部旋回体4に搭載されている。フロント作業装置5は、上部旋回体4に回転可能に支持されたブーム9と、ブーム9を駆動するブームシリンダ10と、ブーム9に回転可能に支持されたアーム11と、アーム11を駆動するアームシリンダ12と、アーム11に回転可能に支持されたバケット13と、バケット13を駆動するバケットシリンダ14と、を含む。各油圧シリンダ10,12,14は、メインポンプ2から供給された作動油によって伸縮し、各回転軸15~17を支点としてブーム9、アーム11及びバケット13をそれぞれ回転させる。これにより、フロント作業装置5は、掘削又は整地等の作業を行う。
【0017】
図2は、稼働情報記録システム100の構成を示す図である。
【0018】
稼働情報記録システム100は、作業機械50に搭載され作業機械50の稼働情報が記録される記録領域26を有する記録装置22と、記録領域26にアクセス可能なユーザを管理するユーザ管理サーバ30と、記録装置22と無線通信を行うと共にユーザ管理サーバ30とネットワークを介して無線通信を行うモバイル機器28と、を備える。
【0019】
作業機械50の上部旋回体4に搭載された運転室の外部には、カメラ18~21が設置されている。カメラ18~21は、後方カメラ18と、前方カメラ19と、右カメラ20と、左カメラ21とを含む。各カメラ18~21によって撮影された各映像は、記録装置22へ入力され記録される。
【0020】
記録装置22は、CAN等の車載ネットワーク23を介して、作業機械50を統括的に制御する制御装置24と通信を行っている。制御装置24は、原動機1の回転数、各操作レバーの操作情報、メインポンプ2及び各油圧シリンダ10,12,14を含む各油圧機器の油圧情報、並びに、時刻といった、車体3,4又はフロント作業装置5の情報を、記録装置22へ送信する。制御装置24から送信されたこれらの情報は、記録装置22に記録される。
【0021】
記録装置22には、記録装置22に固有のPINコードが付与されている。PINコードは、記録装置22の表面に貼付されたラベル等に記載されている。記録装置22は、PINコードによって一意に識別される。
【0022】
記録装置22は、映像処理部25と、記録領域26と、通信部27と、を有する。映像処理部25は、カメラ18~21から入力された各映像を、例えば4分割された1つの映像に合成し、記録領域26へ出力する。
【0023】
記録領域26は、映像処理部25から出力された映像と、制御装置24から送信された車体3,4又はフロント作業装置5の情報とを同期させて、作業機械50の稼働情報として記録する。記録領域26は、作業機械50の稼働情報に、当該稼働情報が取得された時刻を対応付けて記録する。
【0024】
通信部27は、モバイル機器28との無線通信を行う通信インタフェースである。通信部27は、ユーザ管理サーバ30によってユーザ認証されたモバイル機器28からの要求に応じて、記録領域26に記録された稼働情報をモバイル機器28へ送信する。
【0025】
モバイル機器28には、記録装置22に記録された稼働情報を閲覧するアプリケーションプログラム29(以下「閲覧アプリ29」とも称する)がインストールされている。モバイル機器28は、閲覧アプリ29によって稼働情報を表示して、ユーザに閲覧させることができる。具体的には、モバイル機器28の閲覧アプリ29は、記録装置22の記録領域26にアクセスして記録領域26に記録された稼働情報を通信部27からモバイル機器28へ送信させる。この際、モバイル機器28の閲覧アプリ29は、記録領域26へのアクセス前に、ユーザ管理サーバ30と通信してユーザ認証に係る処理を行う。
【0026】
図3は、ユーザ管理サーバ30の構成及びユーザ認証に係る処理を説明する図である。
【0027】
ユーザ管理サーバ30には、記録装置22の記録領域26にアクセス可能なユーザ情報として、記録領域26にアクセス可能なユーザを識別するユーザIDとパスワードとが互いに対応付けられて予め登録されている。記録領域26にアクセス可能なユーザとは、記録領域26にアクセスする資格を有する正規のユーザのことであり、閲覧アプリ29を使用可能なユーザのことである。
【0028】
更に、ユーザ管理サーバ30には、記録領域26にアクセス可能なユーザの所属団体を識別する所属団体IDが、ユーザID及びパスワードに対応付けられて予め登録されている。作業機械50が借り手に貸し出される作業機械である場合、ユーザ管理サーバ30には、借り手を識別する借り手IDが上記のユーザID等に対応付けられて予め登録されている。所属団体IDは、借り手IDを兼用していてもよい。
【0029】
更に、ユーザ管理サーバ30には、記録装置22のPIN(Personal Identification Number)コードと、当該PINコードが付与された記録装置22の記録領域26にアクセスしたユーザIDの履歴とが互いに対応付けられて予め登録されている。
【0030】
ユーザは、記録装置22の記録された稼働情報を閲覧する際、モバイル機器28の閲覧アプリ29を起動して、ユーザID、パスワード及びPINコードを入力する。モバイル機器28の閲覧アプリ29は、入力されたユーザID、パスワード及びPINコードをユーザ管理サーバ30へ送信する。
【0031】
ユーザ管理サーバ30は、記録装置22の記録領域26にアクセスするユーザを認証する。具体的には、ユーザ管理サーバ30は、受信されたユーザID及びパスワードが予め登録されたユーザID及びパスワードと一致するか否かを判定する。ユーザ管理サーバ30は、この両者が一致する場合にはユーザ認証に成功したと判定する。ユーザ管理サーバ30は、この両者が一致しない場合にはユーザ認証に成功しなかったと判定する。すなわち、ユーザ管理サーバ30は、この両者が一致しない場合には、受信されたユーザIDが記録領域26にアクセスする資格がないと判定する。
【0032】
更に、ユーザ管理サーバ30は、今回認証に成功したユーザIDの所属団体IDが、記録領域26に前回アクセスしたユーザIDの所属団体IDと一致するか否かを判定する判定処理を行う。作業機械50が借り手に貸し出される作業機械である場合、ユーザ管理サーバ30は、今回認証に成功したユーザIDが使用する作業機械50の借り手IDが、記録領域26に前回アクセスしたユーザIDが使用した作業機械50の借り手IDと一致するか否かを判定する判定処理を行ってもよい。
【0033】
ユーザ管理サーバ30は、当該判定処理を行う際、ユーザによって入力されたPINコードに基づいて行う。すなわち、ユーザ管理サーバ30は、受信されたPINコードが付与された記録装置22の記録領域26にアクセスしたユーザIDの履歴を検索することによって、前回アクセスしたユーザIDの所属団体ID又は借り手IDを特定する。そして、ユーザ管理サーバ30は、特定された所属団体ID又は借り手IDを用いて、当該判定処理を行うことができる。
【0034】
ユーザ管理サーバ30は、当該判定処理において両者が一致するとの判定結果が得られた場合、記録領域26へのアクセス許可指令を発行し、モバイル機器28の閲覧アプリ29へ送信する。モバイル機器28の閲覧アプリ29は、受信されたアクセス許可指令を記録装置22へ送信する。ユーザ管理サーバ30は、当該判定処理において両者が不一致であるとの判定結果が得られた場合、記録領域26に記録された稼働情報を削除する削除指令を発行し、モバイル機器28の閲覧アプリ29へ送信する。モバイル機器28の閲覧アプリ29は、受信された削除指令を記録装置22へ送信する。
【0035】
記録装置22は、受信されたアクセス許可指令に基づいて、モバイル機器28の閲覧アプリ29に記録領域26へのアクセスを許可する。モバイル機器28の閲覧アプリ29は、記録領域26に記録された稼働情報を表示し、ユーザに閲覧させることができる。記録装置22は、受信された削除指令に基づいて、記録領域26に記録された稼働情報を削除する。すなわち、削除指令が発行された場合、記録領域26に記録された稼働情報は、モバイル機器28の閲覧アプリ29が記録領域26へアクセスする前に、ユーザの入力操作とは無関係に削除される。
【0036】
図4は、制御装置24によって行われる処理を示すフローチャートである。
【0037】
制御装置24は、作業機械50のキースイッチがユーザの操作によってオンにされると、ユーザが稼働情報記録システム100を利用するか否かを確認するべく、
図4に示す処理を行う。
【0038】
ステップS1において、制御装置24は、作業機械50の運転室に設置された、タッチスクリーン式のディスプレイに、「稼働情報記録機能を利用しますか?」のメッセージを表示する。ディスプレイは、「利用する」又は「利用しない」を選択するユーザの操作を受け付けて、制御装置24へ送信する。
【0039】
ステップS2において、制御装置24は、ステップS1においてユーザが「利用する」を選択したか否かを判定する。ユーザが「利用する」を選択した場合、制御装置24は、ステップS3へ移行する。ユーザが「利用しない」を選択した場合、制御装置24は、ステップS4へ移行する。
【0040】
ステップS3において、制御装置24は、記録装置22がモバイル機器28の閲覧アプリ29に接続可能となるよう、記録装置22を「アプリ接続可能」に設定する。その後、制御装置24は、
図4に示す処理を終了する。
【0041】
ステップS4において、制御装置24は、記録領域26に記録された稼働情報を削除するよう記録装置22へ削除指令を送信する。記録装置22は、当該削除指令に基づいて、記録領域26に記録された稼働情報を削除する。
【0042】
ステップS5において、制御装置24は、記録装置22がモバイル機器28の閲覧アプリ29に接続不可となるよう、記録装置22を「アプリ接続禁止」に設定する。その後、制御装置24は、
図4に示す処理を終了する。
【0043】
図5は、モバイル機器28によって行われる処理を示すフローチャートである。
【0044】
ステップS11において、モバイル機器28は、ユーザの操作に応じて閲覧アプリ29を起動する。
【0045】
ステップS12において、モバイル機器28の閲覧アプリ29は、ユーザID、パスワード及び記録装置22のPINコードがユーザの操作によって入力されたか否かを判定する。閲覧アプリ29は、ユーザID、パスワード及びPINコードが入力されるまで待機する。ユーザID、パスワード及びPINコードが入力された場合、閲覧アプリ29は、ステップS13へ移行する。
【0046】
ステップS13において、閲覧アプリ29は、ステップS12において入力されたユーザID、パスワード及びPINコードをユーザ管理サーバ30へ送信する。
【0047】
ステップS14において、閲覧アプリ29は、ステップS13において送信されたユーザ情報(ユーザID及びパスワード)がユーザ管理サーバ30に予め登録されたユーザ情報と不一致という判定結果を受信したか否かを判定する。不一致の判定結果を受信した場合、すなわちユーザ認証に成功しなかった場合、閲覧アプリ29は、ステップS15へ移行する。一致の判定結果を受信した場合、すなわちユーザ認証に成功した場合、閲覧アプリ29は、ステップS16へ移行する。
【0048】
ステップS15において、閲覧アプリ29は、モバイル機器28のタッチスクリーン式のディスプレイに、「ユーザ情報が不一致です」のメッセージを表示する。その後、閲覧アプリ29は、ステップS12へ移行する。
【0049】
ステップS16において、閲覧アプリ29は、ユーザ管理サーバ30から、記録領域26に記録された稼働情報を削除する削除指令を受信したか否かを判定する。削除指令を受信した場合、閲覧アプリ29は、ステップS17へ移行する。削除指令を受信していない場合、閲覧アプリ29は、ステップS19へ移行する。
【0050】
ステップS17において、閲覧アプリ29は、記録領域26に記録された稼働情報を削除する削除指令を記録装置22へ送信する。記録装置22は、記録領域26に記録された稼働情報を削除する。
【0051】
ステップS18において、閲覧アプリ29は、モバイル機器28のディスプレイに、「データ初期化中」のメッセージを表示する。閲覧アプリ29は、記録領域26に記録された稼働情報の削除が完了するまで待機する。
【0052】
ステップS19において、閲覧アプリ29は、ユーザ管理サーバ30から、記録領域26へのアクセスを許可するアクセス許可指令を受信したか否かを判定する。アクセス許可指令を受信した場合、閲覧アプリ29は、ステップS20へ移行する。アクセス許可指令を受信していない場合、閲覧アプリ29は、ステップS21へ移行する。
【0053】
ステップS20において、閲覧アプリ29は、記録領域26へのアクセスを許可するアクセス許可指令を記録装置22へ送信する。記録装置22は、記録領域26への閲覧アプリ29のアクセスを許可する。閲覧アプリ29は、記録領域26にアクセスして、記録領域26に記録された稼働情報を取得する。閲覧アプリ29は、取得された稼働情報をモバイル機器28のディスプレイに表示する。その後、閲覧アプリ29は、
図5に示す処理を終了する。
【0054】
ステップS21において、閲覧アプリ29は、モバイル機器28のディスプレイに、「アクセス待機中」のメッセージを表示する。その後、閲覧アプリ29は、ステップS19へ移行する。
【0055】
図6は、ユーザ管理サーバ30によって行われる処理を示すフローチャートである。
【0056】
ステップS31において、ユーザ管理サーバ30は、モバイル機器28の閲覧アプリ29から、ユーザID、パスワード及び記録装置22のPINコードを受信したか否かを判定する。ユーザ管理サーバ30は、ユーザID、パスワード及びPINコードを受信するまで待機する。ユーザID、パスワード及びPINコードを受信した場合、ユーザ管理サーバ30は、ステップS32へ移行する。
【0057】
ステップS32において、ユーザ管理サーバ30は、ステップS31において受信されたユーザID及びパスワードが予め登録されたユーザID及びパスワードに一致するか否かを判定する。受信されたユーザID及びパスワードが予め登録されたユーザID及びパスワードに一致する場合、ユーザ管理サーバ30は、受信されたユーザID及びパスワードがユーザ認証に成功したと判定し、ステップS34へ移行する。受信されたユーザID及びパスワードが予め登録されたユーザID及びパスワードに不一致である場合、ユーザ管理サーバ30は、受信されたユーザID及びパスワードがユーザ認証に成功しなかったと判定し、ステップS33へ移行する。
【0058】
ステップS33において、ユーザ管理サーバ30は、ユーザ情報が不一致の判定結果を、モバイル機器28の閲覧アプリ29へ送信する。その後、ユーザ管理サーバ30は、ステップS31へ移行する。
【0059】
ステップS34において、ユーザ管理サーバ30は、ステップS31において受信されたユーザIDに対応付けられて予め登録された所属団体IDを特定する。なお、作業機械50が借り手に貸し出される作業機械である場合、ユーザ管理サーバ30は、借り手IDを特定してもよい。
【0060】
ステップS35において、ユーザ管理サーバ30は、ステップS31において受信されたPINコードが付与された記録装置22に前回アクセスしたユーザIDに対応付けられて予め登録された所属団体IDを特定する。なお、作業機械50が借り手に貸し出される作業機械である場合、ユーザ管理サーバ30は、借り手IDを特定してもよい。
【0061】
ステップS36において、ユーザ管理サーバ30は、ステップS34において特定された所属団体IDとステップS35において特定された所属団体IDとが一致するか否かを判定する判定処理を行う。ステップS34において特定された所属団体IDとステップS35において特定された所属団体IDとが一致する場合、ユーザ管理サーバ30は、ステップS38へ移行する。ステップS34において特定された所属団体IDとステップS35において特定された所属団体IDとが不一致である場合、ユーザ管理サーバ30は、ステップS37へ移行する。なお、作業機械50が借り手に貸し出される作業機械である場合、ユーザ管理サーバ30は、ステップS34において特定された借り手IDとステップS35において特定された借り手IDとが一致するか否かを判定する判定処理を行ってもよい。
【0062】
ステップS37において、ユーザ管理サーバ30は、記録領域26に記録された稼働情報を削除する削除指令を発行する。ユーザ管理サーバ30は、発行された削除指令をモバイル機器28の閲覧アプリ29へ送信する。
【0063】
ステップS38において、ユーザ管理サーバ30は、記録領域26へのアクセスを許可するアクセス許可指令を発行する。発行されたアクセス許可指令をモバイル機器28の閲覧アプリ29へ送信する。その後、ユーザ管理サーバ30は、
図6に示す処理を終了する。
【0064】
以上のように、稼働情報記録システム100は、作業機械50に搭載され作業機械50の稼働情報が記録される記録領域26を有する記録装置22と、記録領域26にアクセス可能なユーザを管理するユーザ管理サーバ30と、を備える。ユーザ管理サーバ30は、記録領域26にアクセスするユーザとして今回認証に成功したユーザの所属団体が、記録領域26に前回アクセスしたユーザの所属団体と一致するか否かを判定する判定処理を行う。ユーザ管理サーバ30は、当該判定処理において不一致の判定結果が得られた場合、記録領域26に記録された稼働情報の削除指令を発行する。記録装置22は、発行された削除指令に基づいて、記録領域26に記録された稼働情報を削除する。
【0065】
これにより、稼働情報記録システム100は、今回認証されたユーザの所属団体が、前回アクセスしたユーザの所属団体と異なる場合には記録装置22内の稼働情報を削除することができる。したがって、稼働情報記録システム100は、異なる団体に所属するユーザに稼働情報が流出することを防止することができる。加えて、稼働情報記録システム100は、今回認証されたユーザの所属団体が、前回アクセスしたユーザの所属団体と同一の場合には記録領域26に記録された稼働情報を維持することができる。したがって、稼働情報記録システム100は、同一の団体に所属するユーザ間にて稼働情報を容易に共有させることができる。よって、稼働情報記録システム100は、作業機械50のユーザが当該作業機械50に搭載された記録装置22内の稼働情報を容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを防止することができる。
【0066】
更に、稼働情報記録システム100において、作業機械50は、貸し手から借り手に貸し出される作業機械である。ユーザ管理サーバ30は、今回認証に成功したユーザが使用する作業機械50の借り手が、記録領域26に前回アクセスしたユーザが使用した作業機械50の借り手と一致するか否かを判定する判定処理を行う。ユーザ管理サーバ30は、不一致の判定結果が得られた場合、当該削除指令を発行する。
【0067】
これにより、稼働情報記録システム100は、同一の借り手のユーザ間にて稼働情報を容易に共有させることができると共に、異なる借り手のユーザに稼働情報が流出することを防止することができる。よって、稼働情報記録システム100は、作業機械50のユーザが当該作業機械50に搭載された記録装置22内の稼働情報を容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを防止することができる。
【0068】
更に、稼働情報記録システム100において、記録装置22には、記録装置22に固有のPINコードが付与されている。ユーザ管理サーバ30は、ユーザによって入力されたPINコードに基づいて当該判定処理を行う。
【0069】
これにより、稼働情報記録システム100は、記録装置22内の稼働情報の削除要否に係る当該判定処理を容易に行うことができる。よって、稼働情報記録システム100は、作業機械50のユーザが当該作業機械50に搭載された記録装置22内の稼働情報を容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを容易に防止することができる。
【0070】
更に、稼働情報記録システム100は、記録装置22と無線通信を行うと共に、ユーザ管理サーバ30とネットワークを介して無線通信を行うモバイル機器28を更に備える。ユーザ管理サーバ30は、当該判定処理において不一致の判定結果が得られた場合、当該削除指令をモバイル機器28へ送信する。モバイル機器28は、当該削除指令を記録装置22へ送信して、記録領域26に記録された稼働情報を削除させる。
【0071】
これにより、稼働情報記録システム100は、異なる所属団体のユーザへの稼働情報の流出を防止しながら、作業現場をはじめとする所望の場所において同一の所属団体のユーザ間にて稼働情報を容易に共有させることができる。よって、稼働情報記録システム100は、作業機械50のユーザが当該作業機械50に搭載された記録装置22内の稼働情報を更に容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを防止することができる。
【0072】
更に、稼働情報記録システム100において、ユーザ管理サーバ30は、当該判定処理において一致の判定結果が得られた場合、記録領域26へのアクセス許可指令を発行する。記録装置22は、当該アクセス許可指令に基づいて、記録領域26へのアクセスを許可する。
【0073】
これにより、稼働情報記録システム100は、異なる所属団体のユーザへの稼働情報の流出を防止しながら、同一の所属団体のユーザ間にて稼働情報を確実に共有させることができる。よって、稼働情報記録システム100は、作業機械50のユーザが当該作業機械50に搭載された記録装置22内の稼働情報を容易且つ確実に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを防止することができる。
【0074】
図7は、稼働情報記録システム100の他の構成を示す図である。
【0075】
稼働情報記録システム100は、作業機械50とネットワークを介して無線通信を行い、作業機械50の稼働情報を管理する情報管理サーバ32を更に備えていてもよい。記録装置22の通信部27は、作業機械50の通信装置31に有線で接続される通信インタフェースであってもよい。通信装置31は、情報管理サーバ32とネットワークを介して無線通信を行う作業機械50に搭載された装置である。
【0076】
記録装置22の通信部27は、記録領域26に記録された稼働情報を通信装置31へ出力する。通信装置31は、記録装置22から出力された稼働情報を任意のタイミングで情報管理サーバ32へ送信する。
【0077】
情報管理サーバ32は、複数の作業機械50の各稼働情報を蓄積する。情報管理サーバ32には、ネットワークを介してPC33が接続されている。PC33は、作業現場から離れた遠隔地に位置しており、情報管理サーバ32に蓄積された各稼働情報を表示し、遠隔地から当該各稼働情報をユーザに閲覧させることができる。
【0078】
この際、PC33は、ユーザ管理サーバ30と通信しながら、モバイル機器28の閲覧アプリ29と同様に、ユーザ認証に係る処理と、稼働情報の削除要否に係る判定処理とを行う。稼働情報の削除が必要な場合(所属団体ID又は借り手IDが不一致の判定結果が得られた場合)、ユーザ管理サーバ30は、記録領域26に記録された稼働情報を削除する削除指令をPC33へ送信する。PC33は、情報管理サーバ32及び通信装置31を介して、記録装置22へ削除指令を送信する。記録装置22は、当該削除指令に基づいて、記録領域26に記録された稼働情報を削除する。
【0079】
また、稼働情報記録システム100の管理者は、当該削除指令を任意のタイミングで記録装置22へ送信することが可能であってもよい。例えば、管理者は、作業機械50が貸し出される際又は返却される際、すなわち作業機械50の借り手が変更する毎に、PC33に当該削除指令の発行要求を入力する。PC33は、当該削除指令の発行要求を情報管理サーバ32へ送信する。情報管理サーバ32は、当該削除指令の発行要求に基づいて、当該削除指令を発行し、通信装置31を介して記録装置22へ送信する。記録装置22は、当該削除指令に基づいて、記録領域26に記録された稼働情報を削除する。
【0080】
これにより、稼働情報記録システム100は、記録装置22内の稼働情報が異なる所属団体のユーザに流出するリスクを極力低減することができる。よって、稼働情報記録システム100は、作業機械50のユーザが当該作業機械50に搭載された記録装置22内の稼働情報を容易に利用可能としながら、当該稼働情報が第三者に流出することを更に確実に防止することができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更を行うことができる。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0082】
22…記録装置、26…記録領域、28…モバイル機器、30…ユーザ管理サーバ、32…情報管理サーバ、50…作業機械、100…稼働情報記録システム