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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139635
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】建設機械の遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20241002BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E02F9/20 Z
E02F9/26 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050677
(22)【出願日】2023-03-27
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】山田 紫萌野
(72)【発明者】
【氏名】穴原 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】片岡 倫明
(72)【発明者】
【氏名】萩原 直樹
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003BA04
2D003DA04
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】建設機械の周囲でのオペレータの操作又は作業者の作業を阻害しないようにすることができる建設機械の遠隔操作システムを提供する。
【解決手段】遠隔操作システムは、ショベル1の遠隔操作の有効または無効を指示する遠隔操作切替スイッチ22と、ショベル1の遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示する表示灯25A~25Dと、ショベル1の周囲を照らす作業灯26と、作業灯26の点灯または消灯を指示する作業灯切替スイッチ35と、表示灯25の明るさを制御する車体コントローラ23とを備える。車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22及び作業灯切替スイッチ35で遠隔操作の有効および点灯が指示されている場合には、遠隔操作切替スイッチ22及び作業灯切替スイッチ35で遠隔操作の有効および消灯が指示されている場合よりも、表示灯25A~25Dの明るさを落として遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の遠隔操作の有効または無効を指示する遠隔操作切替スイッチと、
前記建設機械の遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示する表示灯と、
前記建設機械の周囲を照らす作業灯と、
前記作業灯の点灯または消灯を指示する作業灯切替スイッチと、
前記表示灯の明るさを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより点灯が指示されている場合には、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより消灯が指示されている場合よりも、前記表示灯の明るさを落として遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示することを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の遠隔操作システムにおいて、
前記建設機械の駆動装置のロック状態とロック解除状態とを検出するロック状態検出装置を更に備え、
前記制御装置は、
前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより点灯が指示され、かつ前記ロック状態検出装置によりロック解除状態が検出された場合には、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより消灯が指示されている場合よりも、前記表示灯の明るさを落として遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示し、
前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより点灯が指示され、かつ前記ロック状態検出装置によりロック状態が検出された場合には、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより消灯が指示されている場合の前記表示灯の明るさと同様の明るさで前記表示灯を制御して、遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示することを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械の遠隔操作システムにおいて、
前記表示灯は、前記建設機械の遠隔操作の有効状態と共に、前記建設機械の異常の検知状態を表示するように構成されており、
前記制御装置は、
前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより点灯が指示され、かつ前記建設機械の異常が未検知の場合には、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより消灯が指示されている場合よりも、前記表示灯の明るさを落として遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示し、
前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより点灯が指示され、かつ前記建設機械の異常が検知された場合には、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより消灯が指示されている場合の前記表示灯の明るさと同様の明るさで前記表示灯を制御して、遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示することを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項4】
請求項1に記載の建設機械の遠隔操作システムにおいて、
前記制御装置は、前記作業灯の点灯時の明るさの段階に応じて、前記表示灯の明るさを段階的に落とすことを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項5】
請求項1に記載の建設機械の遠隔操作システムにおいて、
前記制御装置は、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより点灯が指示されている場合には、前記表示灯を点滅させて遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示することを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項6】
請求項1に記載の建設機械の遠隔操作システムにおいて、
前記建設機械を遠隔操作する遠隔操作装置と、
前記遠隔操作装置に配置された前記建設機械の状態量を表示するモニタと、を更に備え、
前記モニタの明るさは、前記作業灯の点灯と消灯の切替えにかわらず、一定であることを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【請求項7】
請求項1に記載の建設機械の遠隔操作システムにおいて、
前記建設機械の周囲を撮影するカメラと、
前記建設機械を遠隔操作する遠隔操作装置と、
前記遠隔操作装置に配置された前記カメラの映像を表示するモニタと、を更に備え、
前記モニタの明るさは、前記作業灯の点灯と消灯の切替えにかかわらず、一定であることを特徴とする建設機械の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ショベル等の建設機械から離れて配置された遠隔操作装置を用いて、建設機械を遠隔操作するように構成された建設機械の遠隔操作システムを開示する。この遠隔操作システムは、建設機械の遠隔操作の有効または無効を指示する遠隔操作切替スイッチと、建設機械の遠隔操作の有効状態を建設機械の周囲に表示する表示灯とを備える。例えば、建設機械の周囲で遠隔操作装置を操作するオペレータ、又は建設機械の周囲で作業を行う作業者は、表示灯の点灯により、建設機械の遠隔操作の有効状態を確認することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-023486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表示灯の明るさは、例えば日中のように建設機械の周囲が明るい場合でも、オペレータ又は作業者が表示灯の点灯を確認できる程度の強さが必要である。しかし、例えば夜間のように建設機械の周囲が暗い場合には、表示灯の明るさが眩しすぎて、オペレータの操作又は作業者の作業を阻害する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事柄に鑑みてなされたものであり、その目的は、建設機械の周囲でのオペレータの操作又は作業者の作業を阻害しないようにすることができる建設機械の遠隔操作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の建設機械の遠隔操作システムは、建設機械の遠隔操作の有効または無効を指示する遠隔操作切替スイッチと、前記建設機械の遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示する表示灯と、前記建設機械の周囲を照らす作業灯と、前記作業灯の点灯または消灯を指示する作業灯切替スイッチと、前記表示灯の明るさを制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより点灯が指示されている場合には、前記遠隔操作切替スイッチにより遠隔操作の有効および、前記作業灯切替スイッチにより消灯が指示されている場合よりも、前記表示灯の明るさを落として遠隔操作の有効状態を前記建設機械の周囲に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建設機械の周囲でのオペレータの操作又は作業者の作業を阻害しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態における遠隔操作システムの構成を表すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態におけるショベルの構造を表示灯の配置と共に表す左側面図である。
図3】本発明の一実施形態におけるショベルの構造を表示灯の配置と共に表す右側面図である。
図4】本発明の一実施形態におけるショベルのキャブの構造を表示灯の配置と共に表す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態におけるショベルの構造を表示灯及び作業灯の配置と共に表す上面図である。
図6】本発明の一実施形態における表示灯制御の手順を表すフローチャートである。
図7】本発明の第1の変形例における表示灯制御の手順を表すフローチャートである。
図8】本発明の第2の変形例における遠隔操作システムの構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は、本実施形態における遠隔操作システムの構成を表すブロック図である。図2は、本実施形態におけるショベルの構造を表示灯の配置と共に表す左側面図である。図3は、本実施形態におけるショベルの構造を表示灯の配置と共に表す右側面図である。図4は、本実施形態におけるショベルのキャブの構造を表示灯の配置と共に表す斜視図である。図5は、本実施形態におけるショベルの構造を表示灯及び作業灯の配置と共に表す上面図である。なお、図2図4においては、便宜上、作業灯の配置を示していない。
【0011】
本実施形態の遠隔操作システムは、ショベル1から離れて配置された遠隔操作装置2と、ショベル1に搭載された機器(本実施形態では、後述する遠隔操作切替スイッチ、車体コントローラ、表示灯、及び作業灯)とを備え、遠隔操作装置2を用いてショベル1を遠隔操作するように構成されている。本実施形態では、オペレータは、ショベル1を直接目視しつつ、遠隔操作装置2を操作する。
【0012】
ショベル1は、走行可能な走行体11と、走行体11の上側に旋回可能に設けられた旋回体12と、旋回体12の前側(図2及び図5の左側、図3の右側)に連結された作業装置13とを備える。走行体11は、左右の走行モータの回転によって走行し、旋回体12は、旋回モータの回転によって旋回する。
【0013】
作業装置13は、旋回体12に回動可能に連結されたブーム14と、ブーム14の先端側に回動可能に連結されたアーム15と、アーム15の先端側に回動可能に連結されたバケット16とを備える。ブーム14は、ブームシリンダ17の伸縮によって回動し、アーム15は、アームシリンダ18の伸縮によって回動し、バケット16は、バケットシリンダ19の伸縮によって回動する。
【0014】
旋回体12のキャブ20以外の部分には、複数の油圧アクチュエータ(詳細には、上述した走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ17、アームシリンダ18、及びバケットシリンダ19等)を駆動する駆動装置21が搭載されている。
【0015】
駆動装置21は、例えば、エンジンと、エンジンによって駆動される油圧ポンプ及びパイロットポンプと、油圧ポンプから複数の油圧アクチュエータへの圧油の流れをそれぞれ制御する複数の制御弁と、パイロットポンプの吐出圧を元圧として、複数の制御弁を操作するパイロット圧を生成する複数の電磁比例弁とを備える。そして、複数の電磁比例弁のうちのいずれかが制御されれば、対応する油圧アクチュエータが駆動するようになっている。
【0016】
また、駆動装置21は、全ての油圧アクチュエータの駆動を制限するロック状態と、全ての油圧アクチュエータの駆動を許可するロック解除状態とを切替可能なように構成されている。詳しく説明すると、駆動装置21は、例えば、パイロットポンプと複数の電磁比例弁との間の油路を遮断状態と連通状態に切替可能なロック弁とを備える。そして、ロック弁が遮断状態に制御されれば、全ての油圧アクチュエータの駆動が制限され、ロック弁が連通状態に制御されれば、全ての油圧アクチュエータの駆動が許可されるようになっている。
【0017】
旋回体12のキャブ20には、ショベル1の遠隔操作の有効または無効を指示する遠隔操作切替スイッチ22と、車体コントローラ23(制御装置)とが搭載されている。車体コントローラ23は、ショベル1の通信装置24、通信ネットワーク3、及び遠隔操作装置2の通信装置31を介し、遠隔操作装置2のコントローラ32と通信可能である。なお、車体コントローラ23又はコントローラ32は、プログラムに従って処理を実行するプロセッサと、プログラムやデータを記憶するメモリ等を有するものである。
【0018】
車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の有効が指示された場合に、遠隔操作装置2のコントローラ32からの指令(詳細は後述)を有効化すると共に、ショベル1の外側(本実施形態では、ショベル1の前側、左側、後側、及び右側であって、旋回体12のキャブ20及びそれ以外の部分)に配置された表示灯25A~25Dを点灯する。なお、本実施形態の表示灯は、4つであるものの、これに限られない。
【0019】
各表示灯は、例えば、青ランプ、緑ランプ、黄ランプ、及び赤ランプがその順序で水平方向に配列されて構成されており、ショベル1の遠隔操作の有効状態と共に、ショベル1の運転状態を周囲に表示するようになっている。詳細には、青ランプの点灯により、ショベル1の遠隔操作の有効状態及びショベル1の異常の未検知状態を表示する。緑ランプの点灯により、通信装置24のON状態を表示する。黄ランプの点灯により、エンジンの駆動状態を表示する。赤ランプの点灯により、ショベル1の遠隔操作の有効状態及びショベル1の異常の検知状態を表示する。したがって、ショベル1の遠隔操作の有効状態、ショベル1の異常の未検知状態、通信装置24のON状態、及びエンジンの駆動状態である場合、青ランプ、緑ランプ、及び黄ランプが点灯し、赤ランプが消灯する。一方、ショベル1の遠隔操作の有効状態及びショベル1の異常の検知状態である場合、青ランプ、緑ランプ、及び黄ランプが消灯し、赤ランプが点灯する。
【0020】
遠隔操作装置2は、上述した通信装置31及びコントローラ32に加え、複数の操作レバー33、ロックスイッチ34、作業灯切替スイッチ35、及びモニタ36を備える。
【0021】
遠隔操作装置2の複数の操作レバー33は、ショベル1の動作(詳細には、走行体11の走行、旋回体12の旋回、ブーム14の回動、アーム15の回動、及びバケット16の回動)を指示するものであり、それらの操作に応じてポテンションメータで生成された信号をコントローラ32へ出力する。遠隔操作装置2のコントローラ32は、前述した信号に対応する操作指令をショベル1へ送信する。ショベル1の車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の有効が指示された場合に、遠隔操作装置2のコントローラ32からの操作指令を有効化し、これに応じて駆動装置21(詳細には、上述した電磁比例弁)を制御する。
【0022】
遠隔操作装置2のロックスイッチ34は、ショベル1の駆動装置21のロック状態またはロック解除状態を指示するものであり、その操作に応じてコントローラ32へ信号を出力する。遠隔操作装置2のコントローラ32は、前述した信号に対応するロック指令又はロック解除指令をショベル1へ送信する。ショベル1の車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の有効が指示された場合に、遠隔操作装置2のコントローラ32からのロック指令又はロック解除指令を有効化し、これに応じて駆動装置21(詳細には、上述したロック弁)を制御する。
【0023】
遠隔操作装置2の作業灯切替スイッチ35は、ショベル1の作業灯26の点灯または消灯を指示するものであり、その操作に応じてコントローラ32へ信号を出力する。遠隔操作装置2のコントローラ32は、前述した信号に対応する点灯指令又は消灯指令を送信する。ショベル1の車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の有効が指示された場合に、遠隔操作装置2のコントローラ32からの点灯指令又は消灯指令を有効化し、これに応じて作業灯26を点灯又は消灯する。
【0024】
ショベル1の作業灯26は、ショベル1の外側(本実施形態では、ショベル1の前側であって、旋回体12のキャブ20及びそれ以外の部分と作業装置13)に配置され、ショベル1の周囲(本実施形態では、作業装置13の周囲)を照らす。なお、本実施形態の作業灯26は、4つであるものの、これに限られない。
【0025】
ショベル1の車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の有効が指示された場合に、図示しないセンサ等で検出された状態量(詳細には、例えばエンジンの回転数など)を遠隔操作装置2へ送信する。遠隔操作装置2のコントローラ32は、ショベル1の状態量を受信してモニタ36に表示させる。
【0026】
ところで、ショベル1の表示灯25A~25Dの明るさは、例えば日中のようにショベル1の周囲が明るい場合でも、ショベル1の周囲で遠隔操作装置2を操作するオペレータ、又はショベル1の周囲で作業を行う作業者が、表示灯25A~25Dの点灯を確認できる程度の強さが必要である。しかし、例えば夜間のようにショベル1の周囲が暗い場合には、表示灯25A~25Dの明るさが眩しすぎて、オペレータの操作や作業者の作業を阻害する可能性がある。
【0027】
そこで、本実施形態の特徴として、ショベル1の車体コントローラ23は、作業灯26が消灯すれば、ショベル1の周囲が明るい状態であると判定し、作業灯26が点灯すれば、ショベル1の周囲が暗い状態であると判定する。そして、作業灯26の消灯と点灯の切替えに応じて、表示灯25A~25Dの明るさを制御する。この表示灯制御の詳細を、図6を用いて説明する。図6は、本実施形態における表示灯制御の手順を表すフローチャートである。
【0028】
ステップS1にて、車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の有効が指示されているかどうかを判定する。遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の無効が指示されている場合、ステップS2に移る。ステップS2にて、車体コントローラ23は、表示灯25A~25Dを消灯させる。
【0029】
ステップS1にて遠隔操作切替スイッチ22でショベル1の遠隔操作の有効が指示されている場合、ステップS3に移る。ステップS3にて、車体コントローラ23は、作業灯切替スイッチ35で作業灯26の点灯が指示されているかどうかを判定する。作業灯切替スイッチ35で作業灯26の消灯が指示されている場合、ステップS4に移る。ステップS4にて、車体コントローラ23は、表示灯25A~25Dを点灯させると共に、表示灯25A~25Dの明るさを強度Aに制御する。
【0030】
ステップS3にて作業灯切替スイッチ35で作業灯26の点灯が指示されている場合、ステップS5に移る。ステップS5にて、車体コントローラ23は、表示灯25A~25Dを点灯させると共に、表示灯25A~25Dの明るさを強度B(但し、B<A)に制御する。
【0031】
なお、遠隔操作装置2のコントローラ32は、ショベル1の作業灯26の点灯と消灯の切替えにかかわらず、モニタ36の明るさを一定にする。
【0032】
以上のように本実施形態においては、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により消灯が指示されている場合には、表示灯25A~25Dの明るさを強度Aに制御して遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示する。これにより、ショベル1の周囲で遠隔操作装置2を操作するオペレータ、又はショベル1の周囲で作業を行う作業者は、例えば日中のようにショベル1の周囲が明るい場合でも、表示灯25A~25Dの点灯を確認することができる。一方、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により点灯が指示されている場合には、表示灯25A~25Dの明るさを強度Bに落として遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示する。これにより、例えば夜間のようにショベル1の周囲が暗い場合には、ショベル1の周囲でのオペレータの操作又は作業者の作業を阻害しないように、表示灯25A~25Dの明るさを調整することができる。その結果、作業効率を維持することができる。
【0033】
なお、上記一実施形態において、ショベル1の作業灯26の点灯時の明るさは、段階的に可変されない場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ショベル1の作業灯26の点灯時の明るさは、作業灯切替スイッチ35の操作に応じて、段階的に可変されてもよい。更に、ショベル1の車体コントローラ23は、作業灯26の点灯時の明るさの段階に応じて、表示灯25A~25Dの明るさを段階的に落としてもよい。詳細には、作業灯26が明るいほど、表示灯25A~25Dを暗くしてもよい。
【0034】
また、上記一実施形態において、ショベル1の車体コントローラ23は、表示灯25A~25Dを点滅させない場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、車体コントローラ23は、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により消灯が指示されている場合には、表示灯25A~25Dを点灯(連続点灯)させるものの、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により点灯が指示されている場合には、表示灯25A~25Dを点滅(断続点灯)させてもよい。具体例の一つとして、ショベル1の遠隔操作の有効状態、通信装置24のON状態、エンジンの駆動状態、かつショベル1の異常の未検知状態である場合、青ランプ及び黄ランプが点灯しかつ緑ランプが消灯する状態と、青ランプ及び黄ランプが消灯しかつ緑ランプが点灯する状態とを交互に繰返してもよい。これにより、隣り合うランプの色が混ざらないように点滅することが可能である。
【0035】
また、上記一実施形態において、ロックスイッチ34は、遠隔操作装置2に設けられて、駆動装置21のロック状態またはロック解除状態を指示し、駆動装置21のロック弁は、ロックスイッチ34の指示に応じて車体コントローラ23から出力された信号によって切替えられる場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、ロックスイッチ34は、ショベル1に設けられて、駆動装置21のロック状態またはロック解除状態を指示するロックレバーの操作を検出し、駆動装置21のロック弁は、ロックスイッチ34から出力された信号によって切替えられてもよい。なお、遠隔操作装置2又はショベル1のロックスイッチ34は、駆動装置のロック状態とロック解除状態とを検出するロック状態検出装置に相当する。
【0036】
また、上記一実施形態において、ショベル1の車体コントローラ23は、駆動装置21のロック状態とロック解除状態の切替えにかかわらず、表示灯25A~25Dの明るさを制御する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば図7で示す変形例のように、車体コントローラ23は、駆動装置21のロック状態とロック解除状態の切替えに応じて、表示灯25A~25Dの明るさを制御してもよい。詳しく説明すると、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により点灯が指示されている場合には、ステップS1及びS3を経て、ステップS6に移る。ステップS6にて、車体コントローラ23は、ロックスイッチ34で駆動装置21のロック解除状態が検出(又は指示)されているかどうかを判定する。ロックスイッチ34で駆動装置21のロック解除状態が検出(又は指示)されている場合は、ステップS5に移って、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により消灯が指示されている場合よりも、表示灯25A~25Dの明るさを落として遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示する。一方、ロックスイッチ34で駆動装置21のロック状態が検出(又は指示)されている場合は、ステップS4に移って、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により消灯が指示されている場合の表示灯の明るさと同様の明るさで表示灯25A~25Dを制御して、遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示してもよい。
【0037】
また、上記一実施形態において、ショベル1の車体コントローラ23は、ショベル1の異常検知の有無にかかわらず、表示灯25A~25Dの明るさを制御する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、車体コントローラ23は、ショベル1の異常検知の有無に応じて、表示灯25A~25Dの明るさを制御してもよい。詳しく説明すると、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により点灯が指示され、かつショベル1の異常が未検知の場合は、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により消灯が指示されている場合よりも、表示灯25A~25D(詳細には、青ランプ、緑ランプ、及び黄ランプ)の明るさを落として遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示する。一方、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により点灯が指示され、かつショベル1の異常が検知された場合は、遠隔操作切替スイッチ22により遠隔操作の有効および、作業灯切替スイッチ35により消灯が指示されている場合の表示灯の明るさと同様の明るさで表示灯25A~25D(詳細には、赤ランプ)の明るさを制御して、遠隔操作の有効状態をショベル1の周囲に表示してもよい。
【0038】
また、上記一実施形態において、ショベル1は、ショベル1の周囲を撮影するカメラを備えない場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、図8で示す変形例のように、ショベル1は、ショベル1の周囲(特に、作業装置13の周囲)を撮影するカメラ27を備えてもよい。ショベル1の車体コントローラ23は、カメラ27の映像を遠隔操作装置2へ送信する。遠隔操作装置2のコントローラ32は、カメラ27の映像をモニタ36に表示させる。オペレータは、モニタ36で表示されたショベル1の周囲を目視しつつ、遠隔操作装置2を操作する。なお、遠隔操作装置2のコントローラ32は、ショベル1の作業灯26の点灯と消灯の切替えにかかわらず、モニタ36の明るさを一定にする。
【0039】
また、上記一実施形態において、遠隔操作切替スイッチ22は、ショベル1に配置された場合を例にとって説明したが、これに限られず、遠隔操作装置2に配置されてもよい。また、上記一実施形態において、作業灯切替スイッチ35は、遠隔操作装置2に配置された場合を例にとって説明したが、これに限られず、ショベル1に配置されてもよい。
【0040】
なお、以上においては、建設機械としてショベル1が用いられた場合を例にとって説明したが、これに限られず、他の建設機械が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ショベル(建設機械)
2 遠隔操作装置
21 駆動装置
22 遠隔操作切替スイッチ
23 車体コントローラ(制御装置)
25A~25D 表示灯
26 作業灯
27 カメラ
34 ロックスイッチ(ロック状態検出装置)
35 作業灯切替スイッチ
36 モニタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8