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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024142802
(43)【公開日】2024-10-11
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/13 20060101AFI20241003BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J29/13
B41J3/36 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023055135
(22)【出願日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】浅井 翔
(72)【発明者】
【氏名】古山 敏行
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 篤男
(72)【発明者】
【氏名】池本 友亮
(72)【発明者】
【氏名】和田 朋広
(72)【発明者】
【氏名】村松 哲郎
【テーマコード(参考)】
2C055
2C061
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C061AP05
2C061AQ04
2C061AS06
2C061CD06
(57)【要約】
【課題】開閉カバーが外れにくい印刷装置を提供する。
【解決手段】開閉カバーは固定部60を後方に移動して開く。固定部60は天壁の爪掛部23に係合するロック機構61を有する。ロック機構61は左右方向に移動する第2スライド部70を有する。開閉カバーの閉塞時、第2スライド部70はばね73に左方へ付勢され、固定位置にある。第2スライド部70のフック部72は前方に延び、左方に突出する突出部72Aを有する。固定位置において、突出部72Aは爪掛部23の右方に突出する突出部23Aの前側に位置し、前後方向に並ぶ。開閉カバーを開くとき、第2スライド部70を右方に移動する。フック部72の突出部72Aは、爪掛け部23の突出部23Aに対し前後方向に並ぶ位置から外れる。故に固定部60は後方に移動でき、開閉カバーを開くことができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドにより印刷媒体に印刷する印刷装置であって、
前記印刷ヘッドを収容し、前壁と、前記前壁と対向する位置に配され開口が形成された後壁と、前記前壁と前記後壁とを連結し被係合部が形成された側壁とを有する筐体と、
前記開口を閉塞可能な第1領域と、前記被係合部と係合可能な第1係合部を有し前記第1領域と交差する第1方向に延びる第2領域とを有する開閉カバーと
を備え、
前記第1係合部は、前記第1方向と交差する第2方向の異なる第1位置と第2位置との間で移動可能なスライド部を備え、
前記スライド部は、前記スライド部が前記第1位置にある場合に前記被係合部に対して前記第1方向に並び且つ前記被係合部に接触する位置に配置され、前記スライド部が前記第2位置にある場合に前記被係合部に対して前記第1方向に並ぶ位置から外れ且つ前記被係合部に非接触となる位置に配置される係合爪を備えたこと
を特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記開閉カバーが前記開口を閉塞した状態において、前記第1係合部は、前記第1方向の異なる第3位置と第4位置との間で移動可能な第1スライド部を備え、
前記第4位置は、前記第3位置よりも前記第1方向の一方側に位置し、
前記スライド部は、前記第2方向の前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能な第2スライド部であり、
前記第2スライド部は、前記第1スライド部に従動し、
前記第1スライド部が前記第3位置にある場合に前記第1位置に位置し、
前記第1スライド部が前記第4位置にある場合に前記第2位置に位置すること
を特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記第1係合部は、前記第2スライド部を前記第1位置に位置するように付勢する第1付勢部材を備えたこと
を特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第1係合部は、前記第1スライド部を前記第3位置に位置するように付勢する第2付勢部材を備えたこと
を特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第1スライド部は、前記第1方向の一方側、且つ前記第2方向において前記第1位置から前記第2位置へ向かう側を向く第1傾斜面を有し、
前記第2スライド部は、前記第1傾斜面と反対側を向き、前記第1傾斜面に当接する傾斜面71を有すること
を特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記スライド部は、前記スライド部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる操作を受け付ける操作部を有すること
を特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第1係合部は、前記スライド部を前記第1位置に位置するように付勢する第3付勢部材を備えたこと
を特徴とする請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第2方向は、前記側壁の外面に沿う方向であること
を特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の印刷装置。
【請求項9】
前記開閉カバーは、前記第1領域において前記第1係合部とは反対側の端部に設けられ、前記開口を閉塞する場合に前記開口に係合する第2係合部を備えたこと
を特徴とする請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記開口を開閉する場合、前記開閉カバーは、前記第1係合部を前記第1方向に移動し、前記第2係合部を支点に回動すること
を特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記開閉カバーは、前記筐体の手持ちを補助する補助具を取り付ける第1取付部を備えたこと
を特徴とする請求項10に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記筐体は、前記開口の周囲に位置する外面のうち、前記側壁とは反対側に位置する外面に設けられ、前記補助具の一端を取り付ける第2取付部を備え、
前記第1取付部は、前記第1領域において前記第1係合部に近い側の端部に設けられ、且つ前記補助具の他端が取り付けられ、
前記補助具は、前記筐体の片手持ちを補助すること
を特徴とする請求項11に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記開閉カバーは、前記第1領域において前記第1係合部から離れた側の端部に設けられ、前記補助具の一端を取り付ける第3取付部を備え、
前記第1取付部は、前記第1領域において前記第1係合部に近い側の端部に設けられ、且つ前記補助具の他端が取り付けられ、
前記補助具は、前記筐体の片手持ちを補助すること
を特徴とする請求項11に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されたテープ作成装置は、下側装置本体の背面に、テープカセットを装着するカセット収納部と電池を装着する電池収納部を開口し、背面カバーで閉塞する。背面カバーは、下端に第1差込部を備え、上端に第2差込部を備える。背面カバーの第2差込部は上方に突出する爪部を有する。下側装置本体の開口を背面カバーで閉塞する場合、下側装置本体の開口下端の差込溝に第1差込部が差し込まれ、第1差込部を支点に背面カバーの上端が下側装置本体の開口上端に近づけられる。下側装置本体の天面下部には爪固定部が形成されている。背面カバーの第2差込部の爪部が開口内で下方から爪固定部に嵌合することで、背面カバーは下側装置本体の開口を閉塞状態にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-22291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、テープ作成装置の片手持ちを補助するため、背面カバーの上部と下部にベルトの両端を夫々取り付ける場合がある。テープ作成装置を持ち運ぶ際にユーザがベルトを把持し、テープ作成装置をぶら下げて持った場合、背面カバーはテープ作成装置の重みによってベルトの両端間がアーチ形に撓む可能性がある。撓みが生ずると第2差込部は開口内で下側装置本体の天面から離れる方向に移動するため、爪部が爪固定部から離れ、下側装置本体から背面カバーが外れてしまう可能性があった。また、ベルトを取り付けない場合であっても、何らかの衝撃で背面カバーが撓み、下側装置本体から背面カバーが外れてしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、開閉カバーが外れにくい印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、印刷ヘッドにより印刷媒体に印刷する印刷装置であって、前記印刷ヘッドを収容し、前壁と、前記前壁と対向する位置に配され開口が形成された後壁と、前記前壁と前記後壁とを連結し被係合部が形成された側壁とを有する筐体と、前記開口を閉塞可能な第1領域と、前記被係合部と係合可能な第1係合部を有し前記第1領域と交差する第1方向に延びる第2領域とを有する開閉カバーとを備え、前記第1係合部は、前記第1方向と交差する第2方向の異なる第1位置と第2位置との間で移動可能なスライド部を備え、前記スライド部は、前記スライド部が前記第1位置にある場合に前記被係合部に対して前記第1方向に並び且つ前記被係合部に接触する位置に配置され、前記スライド部が前記第2位置にある場合に前記被係合部に対して前記第1方向に並ぶ位置から外れ且つ前記被係合部に非接触となる位置に配置される係合爪を備えたことを特徴とする印刷装置が提供される。
【0007】
第1係合部の係合爪は、スライド部を第2方向において第1位置から第2位置に移動しなければ、被係合部との係合が解除されない。例えば、ユーザが開閉カバーに取り付けられた補助具を持ち、重みにより開閉カバーが撓んだ場合、第1係合部は側壁から離れる方向に変形する可能性がある。スライド部が移動する第2方向は第1係合部が側壁から離れる方向とは異なるので、第1係合部は、仮に開閉カバーが撓んだとしても、係合爪が被係合部に係合した状態を維持することができる。よって印刷装置は、筐体から開閉カバーを外れにくくすることができる。
【0008】
本態様において、前記開閉カバーが前記開口を閉塞した状態において、前記第1係合部は、前記第1方向の異なる第3位置と第4位置との間で移動可能な第1スライド部を備え、前記第4位置は、前記第3位置よりも前記第1方向の一方側に位置し、前記スライド部は、前記第2方向の前記第1位置と前記第2位置との間で移動可能な第2スライド部であり、前記第2スライド部は、前記第1スライド部に従動し、前記第1スライド部が前記第3位置にある場合に前記第1位置に位置し、前記第1スライド部が前記第4位置にある場合に前記第2位置に位置してもよい。開閉カバーを開放する場合、第1係合部を第1方向の一方側に移動する。また、第1スライド部が第3位置から第4位置へ移動する向きは、第1方向の一方側である。この場合に、第1スライド部に従動する第2スライド部は、第1位置から第2位置へ移動し、係合爪と被係合部との係合を解除する。即ち、係合爪と被係合部との係合を解除するために第1スライド部を移動させる方向と、開閉カバーの開放開始時における第1係合部の移動方向とは、同じ方向である。故にユーザは、第1スライド部を、開閉カバーを開く向きに移動させるだけで、容易に開閉カバーを閉塞した状態から開放することができる。
【0009】
本態様において、前記第1係合部は、前記第2スライド部を前記第1位置に位置するように付勢する第1付勢部材を備えてもよい。第2スライド部は、第1位置に位置するように付勢される。故に、開閉カバーを閉塞する場合に、係合爪は確実に、被係合部に係合することができる。よって印刷装置は、筐体から開閉カバーを外れにくくすることができる。
【0010】
本態様において、前記第1係合部は、前記第1スライド部を前記第3位置に位置するように付勢する第2付勢部材を備えてもよい。第1スライド部は、第3位置に位置するように付勢される。故に、開閉カバーを閉塞する場合に、第1スライド部に従動する第2スライド部の係合爪は確実に、被係合部に係合することができる。よって印刷装置は、筐体から開閉カバーを外れにくくすることができる。
【0011】
本態様において、前記第1スライド部は、前記第1方向の一方側、且つ前記第2方向において前記第1位置から前記第2位置へ向かう側を向く第1傾斜面を有し、前記第2スライド部は、前記第1傾斜面と反対側を向き、前記第1傾斜面に当接する傾斜面71を有してもよい。簡易な構成で第2スライド部を第1スライド部に従動させることができる。
【0012】
本態様において、前記スライド部は、前記スライド部を前記第1位置から前記第2位置へ移動させる操作を受け付ける操作部を有してもよい。開閉カバーを開く向きと、係合爪と被係合部との係合を解除する向きとが異なる。故に、操作部が外部から押圧されただけでは開閉カバーが開放状態とはならず、誤操作があっても開閉カバーは開放状態にはなりにくい。
【0013】
本態様において、前記第1係合部は、前記スライド部を前記第1位置に位置するように付勢する第3付勢部材を備えてもよい。スライド部は、第1位置に位置するように付勢されることによって、開閉カバーを閉塞する場合に、係合爪を確実に、被係合部に係合した状態にすることができる。よって印刷装置は、筐体から開閉カバーを外れにくくすることができる。
【0014】
本態様において、前記第2方向は、前記側壁の外面に沿う方向であってもよい。スライド部が移動する第2方向は側壁の外面に沿う方向であるので、第1係合部が側壁から離れる方向とは異なる。故に第1係合部は、仮に開閉カバーが撓んだとしても、係合爪が被係合部に係合した状態を維持することができる。よって印刷装置は、筐体から開閉カバーを外れにくくすることができる。
【0015】
本態様において、前記開閉カバーは、前記第1領域において前記第1係合部とは反対側の端部に設けられ、前記開口を閉塞する場合に前記開口に係合する第2係合部を備えてもよい。開閉カバーは、第1係合部と第2係合部を筐体に係合し、開口を閉塞した状態を維持することができる。よって印刷装置は、筐体から開閉カバーを外れにくくすることができる。
【0016】
本態様において、前記開口を開閉する場合、前記開閉カバーは、前記第1係合部を前記第1方向に移動し、前記第2係合部を支点に回動してもよい。ユーザは、第1スライド部の移動方向と同じ第1方向に第1係合部を移動させ、第2係合部を支点に開閉カバーを回動するという同じ方向への1動作で開口を開閉することができる。
【0017】
本態様において、前記開閉カバーは、前記筐体の手持ちを補助する補助具を取り付ける第1取付部を備えてもよい。ユーザは、第1取付部に補助具を取り付け、補助具の補助によって、筐体を手持ちすることができる。
【0018】
本態様において、前記筐体は、前記開口の周囲に位置する外面のうち、前記側壁とは反対側に位置する外面に設けられ、前記補助具の一端を取り付ける第2取付部を備え、前記第1取付部は、前記第1領域において前記第1係合部に近い側の端部に設けられ、且つ前記補助具の他端が取り付けられ、前記補助具は、前記筐体の片手持ちを補助してもよい。ユーザは、補助具の一端を筐体の第2取付部に取り付け、他端を開閉カバーの第1取付部に取り付けることができる。故にユーザは、誤操作等により開閉カバーが筐体から外れてしまった場合でも、開閉カバーを保持できていれば、印刷装置の本体の落下を防止することができる。また、ユーザは補助具と開閉カバーの間に手を差し入れて、筐体を片手持ちすることができる。
【0019】
本態様において、前記開閉カバーは、前記第1領域において前記第1係合部から離れた側の端部に設けられ、前記補助具の一端を取り付ける第3取付部を備え、前記第1取付部は、前記第1領域において前記第1係合部に近い側の端部に設けられ、且つ前記補助具の他端が取り付けられ、前記補助具は、前記筐体の片手持ちを補助してもよい。ユーザは、補助具の一端を開閉カバーの第2取付部に取り付け、他端を開閉カバーの第1取付部に取り付けることができる。故にユーザは、開閉カバーを開放する場合の動作を補助具によって妨げられにくい。また、ユーザは補助具と開閉カバーの間に手を差し入れて、筐体を片手持ちすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】印刷装置1の正面図である。
図2】ベルト30を取り付けた印刷装置1の後方斜視図である。
図3】開閉カバー5を外した印刷装置1の後方斜視図である。
図4】第2スライド部70が固定位置にある固定部60の内部構成を示す図である。
図5】第2スライド部70が解除位置にある固定部60の内部構成を示す図である。
図6】爪掛部23を支点に開閉カバー5を筐体10に対して回動した印刷装置1の後方斜視図である。
図7】固定部160の内部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態である印刷装置1について、図面を参照して説明する。以下の方向に関する説明では、ユーザが入力部22を操作する向きに基づき、図面において矢印によって示す上下、左右、前後を使用する。印刷装置1は、ユーザが手で持って(手持ちで)使用することが可能な大きさである。印刷装置1は、例えば、レセプタタイプ、サーマルタイプ、ラミネートタイプ、チューブタイプ等、各種のテープカセット17(図3参照)を使用可能である。テープカセット17には、長尺状の印刷媒体が収納される。印刷媒体は、例えば、片面粘着テープ、感熱紙テープ、両面粘着テープ、フィルムテープ、チューブテープであり、これらを総称して「テープ」という。印刷装置1は、文字、図形等のキャラクタをテープに印刷する印刷動作を実行できる。
【0022】
図1図3に示すように、印刷装置1は、筐体10、表示部21、入力部22、開閉カバー5を備える。筐体10は、上下方向に長い箱形状であり、前壁11、後壁12、左壁13、右壁14、天壁15及び底壁16を有する。前壁11は、ユーザが印刷装置1を操作する場合に正面に見据える側の壁面である。表示部21は、例えば液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示可能である。表示部21は、前壁11において、上下方向略中央よりも上側の位置に設けられる。入力部22は、ユーザ操作による各種の情報の入力を受け付ける。入力部22は、前壁11において、表示部21の下側に設けられる。
【0023】
筐体10の後壁12には、開口18が形成される。開口18は、テープカセット17が装着されるカセット装着部24と、バッテリ(図示略)が装着されるバッテリ装着部25に連通する。カセット装着部24は、筐体10内の上下方向略中央よりも上側に設けられる。バッテリ装着部25は、筐体10内でカセット装着部24よりも下側に設けられる。カセット装着部24及びバッテリ装着部25は筐体10内で前側に凹む形状であり、後壁12の開口18を介して筐体10外に露出する。テープカセット17及びバッテリは夫々、筐体10の後方からカセット装着部24及びバッテリ装着部25に対して前後方向に着脱される。
【0024】
後壁12の下端部の後面には、インサートナット31が設けられる。インサートナット31にベルト30の一端を挟み、取付ねじ35を締結することで、後壁12の下端部にベルト30の一端を取り付けることができる。後述する開閉カバー5にも一対のインサートナット32が設けられる。インサートナット32にベルト30の他端を挟み、取付ねじ35を締結することで、開閉カバー5にベルト30の他端を取り付けることができる。ベルト30は、印刷装置1を手持ちする場合の補助具として使用される。ベルト30は、上下方向に延び、筐体10との間に間隙を形成する。ユーザは、筐体10とベルト30との間に手を差し入れ、印刷装置1を片手で持つことができる。開閉カバー5を筐体10から外した場合でも、ベルト30は筐体10と開閉カバー5とを連結した状態を維持することができる。
【0025】
筐体10の天壁15には配置部15Aが形成されている。配置部15Aは、開閉カバー5の固定部60(後述)の形状に合わせて天壁15を凹状にした部分である。固定部60は、開閉カバー5が開口18を閉塞した場合に配置部15Aに配置される。配置部15Aには後述する爪掛部23が設けられる。爪掛部23は、配置部15Aにおいて、上方へ向けて突出する。爪掛部23は、後端部に、右方へ突出する突出部23A(図4参照)を有する。突出部23Aの前面は、前後方向に対して直交する。突出部72Aの後面は、右後方へ向けて傾斜する。
【0026】
筐体10の内部には、印刷部27と制御部(図示略)が収容される。印刷部27は、カセット装着部24の周囲に配置される。印刷部27は、印刷ヘッド28、プラテンローラ29、駆動モータ等(図示略)を含む。印刷部27は、駆動モータの駆動に伴いプラテンローラ29がテープカセット17からテープを引き出して搬送することで、印刷ヘッド28によるテープへの印刷を行う。印刷されたテープは、天壁15の排出口19から印刷装置1の外部に排出される。制御部は、筐体10内でバッテリ装着部25の前側に配置される。制御部はCPU、ROM、RAM等(図示略)を含み、印刷装置1の駆動を制御する。
【0027】
開閉カバー5は、筐体10の後壁12の開口18に係合し、カセット装着部24及びバッテリ装着部25を開閉する。開閉カバー5は、蓋部50と固定部60を有する。以下説明において、開閉カバー5の方向の説明は、開閉カバー5が筐体10に取り付けられた状態における筐体10の方向の説明に準ずる。
【0028】
蓋部50は、開口18を閉塞する部分である。蓋部50は上下方向に長く延びる板状で、前後方向に厚みを有する。筐体10の後壁12は、下端部を残し、ほぼ全体が開口18として開放されている。蓋部50は、開口18を閉塞した状態において、筐体10の後壁12として機能する。蓋部50の内面(前面)には十字型のリブ(図示略)が形成され、蓋部50の強度がリブによって補強されている。蓋部50の下端には一対の突起部51が形成されている。一対の突起部51は蓋部50の内面に設けられ、左右方向に離れた位置で、夫々下方へ向けて突出する。筐体10の後壁12の開口18は、下側の縁部に、一対の係合穴20を有する。一対の係合穴20は、開口18の縁部分の内面側において、左右方向に離れた位置で、夫々下方へ向けて凹部状に形成されている。筐体10に開閉カバー5を取り付けた場合に、一対の突起部51は一対の係合穴20に挿入され、開口18の縁部分に当接し、蓋部50の下端側の外れを規制する。後述するが、一対の突起部51は、開閉時に開閉カバー5を回転させて開閉するときの支点として機能する。
【0029】
蓋部50の後面には、インサートナット32,33が設けられる。インサートナット32は蓋部50の上部に設けられ、インサートナット33は蓋部50の下端部に設けられる。ユーザは、手持ちを補助するベルト30の両端を、蓋部50の上部のインサートナット32と、蓋部50の下端部のインサートナット33とに取り付けることもできる。この場合にユーザは、筐体10とベルト30との間に手を差し入れ、印刷装置1を片手で持つことができる。また、テープカセット17又はバッテリの交換時に、ユーザは、ベルト30を開閉カバー5と共に筐体10から外すことができる。
【0030】
固定部60は、開閉カバー5が開口18を閉塞した場合に、開閉カバー5が筐体10から外れないように固定する部分である。固定部60は前後方向に延びる板状で、上下方向に厚みを有する。固定部60は蓋部50の上端に接続し、前方に延びる。固定部60にロック機構61が設けられる。ロック機構61は、開閉カバー5が開口18を閉塞した場合に、天壁15の配置部15Aに形成された爪掛部23に係合する。
【0031】
図4図5を参照し、ロック機構61について説明する。ロック機構61は、本体部62、第1スライド部65、第2スライド部70、ばね67,73を備える。本体部62はロック機構61の各部品を保持する本体部分であり、厚みを有する矩形板状である。本体部62は、上面の略中央に、前後方向に長い矩形凹状の案内凹部62Aを有する。案内凹部62A内には、第1スライド部65が配置される。案内凹部62Aは、第1スライド部65を前後方向に移動可能に案内する。第1スライド部65は平面視で略正方形状の板状であり、角部分がR面取りされている。第1スライド部65の上面には凹状の指掛部65Aが形成されている。ユーザは、指掛部65Aに指を掛けて第1スライド部65を案内凹部62A内で後方に移動できる。
【0032】
第1スライド部65の底面前端部には、支持部65Bが設けられる。支持部65Bには、前後方向に伸縮するばね67の前端部が支持される。ばね67の後端部は、本体部62の案内凹部62A内に設けられた支持部62Bに支持される。第1スライド部65は、ばね67によって、案内凹部62A内を前方に向けて付勢され、前後方向への移動可能な範囲における前端位置に配置される。また、第1スライド部65は、ユーザによって後方に移動された場合に、前後方向への移動可能な範囲における後端位置に配置される。第1スライド部65の下面の右後方角部には傾斜面66が設けられる。傾斜面66は、右後方を向く面であり、第1スライド部65の下面において下方に突出し、右方から後方へ向けて長く延びる。傾斜面66は、第2スライド部70の傾斜面71に当接する。
【0033】
本体部62は、案内凹部62Aの後方に、案内台部62Cを有する。案内台部62Cは左右方向に長く延び、第2スライド部70を左右方向に移動可能に案内する。第2スライド部70は左右方向に延びる板状であり、厚みを有する。第2スライド部70は、第1スライド部65の右後方に位置し、且つ下側に配置される。第2スライド部70には、傾斜面71とフック部72が設けられる。傾斜面71は第2スライド部70の右端部に設けられ、左前方を向き、第2スライド部70の左前方から左後方角部へ向けて長く延びる。傾斜面71は、傾斜面66と向き合い、互いに当接する。フック部72は第2スライド部70の右端部に設けられ、前方へ向けて延び、先端部に、左方へ突出する突出部72Aを有する。突出部72Aの後面は、前後方向に対して直交する。突出部72Aの前面は、左前方へ向けて傾斜する。
【0034】
第2スライド部70の底面略中央部には、支持部70Aが設けられる。支持部70Aには、左右方向に伸縮するばね73の左端部が支持される。ばね73の右端部は、本体部62の右後部に設けられた支持部62Dに支持される。第2スライド部70は、ばね73によって、案内台部62Cの前面に沿って左方へ向けて付勢され、左右方向への移動可能な範囲における左端の位置である固定位置に配置される。固定位置において、フック部72の突出部72Aは、爪掛部23の突出部23Aに対して前後方向に並ぶ。また、突出部72Aの後面は突出部23Aの前面と対向する。開閉カバー5が外れる方向である後方へ向けて固定部60が応力を受けた場合、突出部72Aは前側から突出部23Aに当接する。故に、固定部60の後方への移動は、突出部23Aによって規制される。また、第1スライド部65がユーザによって後方に移動される場合、第2スライド部70は、傾斜面66,71を介して右方に押圧される。第1スライド部65が後端位置に配置された場合、第2スライド部70は、左右方向への移動可能な範囲における右端の位置である解除位置に配置される。解除位置において、フック部72の突出部72Aは、爪掛部23の突出部23Aに対して前後方向に並ぶ位置から外れた右側の位置(図5参照)に配置され、突出部23Aとは非接触となる。
【0035】
なお、ユーザがベルト30(図2参照)を手にして印刷装置1を吊り下げた場合、印刷装置1の重みは、開閉カバー5の上端部と下端部の夫々の係合部分にかかる。この場合に開閉カバー5が上下方向においてアーチ型に撓むと、第2スライド部70のフック部72は、爪掛部23に対して上下方向に移動する。本実施形態の印刷装置1において、第2スライド部70のフック部72は、左右方向に移動して爪掛部23との係合を解除する構成である。故に、開閉カバー5がアーチ型に撓んだとしても、フック部72と爪掛部23との係合は解除されない。
【0036】
開閉カバー5を開閉する場合の動作について説明する。図2図4に示すように、開閉カバー5が筐体10の開口18を閉塞した状態において、固定部60は、天壁15に凹部形成された配置部15Aに配置される。第1スライド部65は、ばね67の付勢によって本体部62に対して前方へ向けて押圧され、案内凹部62A内の前端位置に配置される。第2スライド部70は、ばね73の付勢によって本体部62に対して左方へ向けて押圧され、案内台部62Cに沿って固定位置に配置される。第2スライド部70のフック部72の突出部72Aは、配置部15Aに設けられた爪掛部23の突出部23Aの前側に位置し、突出部23Aと前後方向に並ぶ。即ちロック機構61は爪掛部23と係合することにより、固定部60の後方への移動を規制する。よって開閉カバー5は、上部側が筐体10に対して後方に移動しない。また、開閉カバー5の下端に設けられた突起部51は、筐体10の開口18の下側縁部に設けられた係合穴20に係合する。突起部51は開口18の縁部分に当接することにより、後方への移動を規制する。よって開閉カバー5は、下部側も、筐体10に対して後方に移動しない。故に、開閉カバー5は、筐体10の開口18を閉塞した状態を維持することができる。
【0037】
次に、開閉カバー5を開放する場合、ユーザは、第1スライド部65の指掛部65Aに指を掛けて、第1スライド部65を後方の後端位置に移動する。図5に示すように、第1スライド部65が後方に移動すると、傾斜面66が、第2スライド部70の傾斜面71を右後方へ向けて押圧する。第2スライド部70は傾斜面71が受ける応力によって、案内台部62Cに沿って右方の解除位置に移動する。フック部72の突出部72Aは、爪掛部23の突出部23Aに対して前後方向に並ぶ位置から外れる。即ち、ロック機構61と爪掛部23との係合が解除され、固定部60は配置部15Aに対して後方に移動できるようになる。ユーザが第1スライド部65を移動する方向は、固定部60が配置部15Aから離れることができる方向と同じ後方である。故にユーザが第1スライド部65を後方に移動させることによって、開閉カバー5の上端部は、後方に移動する。係合穴20に係合する突起部51は、開口18の縁部分に当接している。図6に示すように、開閉カバー5は、上端部が後方に移動すると、開口18の縁部分に当接する突起部51が支点となり、左側面視で反時計回りに回動する。開閉カバー5が回動によって筐体10から離れたら、ユーザは、突起部51を係合穴20から抜いて筐体10から開閉カバー5を取り外し、筐体10の開口18を開放する。このように、開口18を開放するため開閉カバー5を回動し始めるときに上端部を移動させる方向は、ロック機構61と爪掛部23との係合を解除するため第1スライド部65を移動させる方向と同じ方向である。故にユーザは、ロック機構61の解除動作と、開閉カバー5の開放動作とを1動作で行うことができる。
【0038】
以上説明したように、ロック機構61のフック部72は、第2スライド部70を左右方向において固定位置から解除位置に移動しなければ、爪掛部23との係合が解除されない。例えば、ユーザが開閉カバー5に取り付けられたベルト30を持ち、重みにより開閉カバー5が撓んだ場合、ロック機構61は天壁15から離れる方向に変形する可能性がある。第2スライド部70が移動する左右方向はロック機構61が天壁15から離れる後方向とは異なるので、ロック機構61は、仮に開閉カバー5が撓んだとしても、フック部72が爪掛部23に係合した状態を維持することができる。よって印刷装置1は、筐体10から開閉カバー5を外れにくくすることができる。
【0039】
開閉カバー5を開放する場合、ロック機構61を前後方向の後側に移動する。また、第1スライド部65が前端位置から後端位置へ移動する向きは、前後方向の後側である。この場合に、第1スライド部65に従動する第2スライド部70は、固定位置から解除位置へ移動し、フック部72と爪掛部23との係合を解除する。即ち、フック部72と爪掛部23との係合を解除するために第1スライド部65を移動させる方向と、開閉カバー5の開放開始時におけるロック機構61の移動方向とは、同じ方向である。故にユーザは、第1スライド部65を、開閉カバー5を開く向きに移動させるだけで、容易に開閉カバー5を閉塞した状態から開放することができる。
【0040】
第2スライド部70は、ばね73によって固定位置に位置するように付勢される。故に、開閉カバー5を閉塞する場合に、フック部72は確実に、爪掛部23に係合することができる。よって印刷装置1は、筐体10から開閉カバー5を外れにくくすることができる。
【0041】
第1スライド部65は、ばね67によって前端位置に位置するように付勢される。故に、開閉カバー5を閉塞する場合に、第1スライド部65に従動する第2スライド部70のフック部72は確実に、爪掛部23に係合することができる。よって印刷装置1は、筐体10から開閉カバー5を外れにくくすることができる。
【0042】
第1スライド部65は傾斜面66を有し、第2スライド部70は傾斜面66と反対側を向き、傾斜面66に当接する傾斜面71を有する。故に、ロック機構61は、簡易な構成で第2スライド部70を第1スライド部65に従動させることができる。
【0043】
第2スライド部70が移動する左右方向は、ロック機構61が天壁15から離れる後方向とは異なる。故にロック機構61は、仮に開閉カバー5が撓んだとしても、フック部72が爪掛部23に係合した状態を維持することができる。よって印刷装置1は、筐体10から開閉カバー5を外れにくくすることができる。
【0044】
開閉カバー5は、ロック機構61と突起部51を筐体10に係合し、開口18を閉塞した状態を維持することができる。よって印刷装置1は、筐体10から開閉カバー5を外れにくくすることができる。
【0045】
ユーザは、第1スライド部65の移動方向と同じ前後方向にロック機構61を移動させ、突起部51を支点に開閉カバー5を回動するという同じ方向への1動作で開口18を開閉することができる。
【0046】
ユーザは、開閉カバー5のインサートナット32にベルト30を取り付け、ベルト30の補助によって、筐体10を手持ちすることができる。
【0047】
ユーザは、ベルト30の一端を筐体10のインサートナット31に取り付け、他端を開閉カバー5のインサートナット32に取り付けることができる。故にユーザは、誤操作等により開閉カバー5が筐体10から外れてしまった場合でも、開閉カバー5を保持できていれば、印刷装置1の本体の落下を防止することができる。また、ユーザはベルト30と開閉カバー5の間に手を差し入れて、筐体10を片手持ちすることができる。
【0048】
ユーザは、ベルト30の一端を開閉カバー5のインサートナット33に取り付け、他端を開閉カバー5のインサートナット32に取り付けることができる。故にユーザは、開閉カバー5を開放する場合の動作をベルト30によって妨げられにくい。また、ユーザはベルト30と開閉カバー5の間に手を差し入れて、筐体10を片手持ちすることができる。
【0049】
上記実施形態において、爪掛部23は、本発明の「被係合部」の一例である。天壁15は、本発明の「側壁」の一例である。蓋部50は、本発明の「第1領域」の一例である。ロック機構61は、本発明の「第1係合部」の一例である。前後方向は、本発明の「第1方向」の一例である。固定部60は、本発明の「第2領域」の一例である。左右方向は、本発明の「第2方向」の一例である。固定位置は、本発明の「第1位置」の一例である。解除位置は、本発明の「第2位置」の一例である。フック部72は、本発明の「係合爪」の一例である。前端位置は、本発明の「第3位置」の一例である。後端位置は、本発明の「第4位置」の一例である。ばね73は、本発明の「第1付勢部材」の一例である。ばね67は、本発明の「第2付勢部材」の一例である。傾斜面66は、本発明の「第1傾斜面」の一例である。傾斜面71は、本発明の「第2傾斜面」の一例である。突起部51は、本発明の「第2係合部」の一例である。ベルト30は、本発明の「補助具」の一例である。インサートナット32は、本発明の「第1取付部」の一例である。インサートナット31は、本発明の「第2取付部」の一例である。インサートナット33は、本発明の「第3取付部」の一例である。
【0050】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。補助具としてベルト30を例に説明したが、ストラップや、あらかじめ形状が固定されたアーム部材をインサートナット31~33に取り付けて補助具として用いてもよい。また、インサートナット31~33の代わりに、ベルト30やストラップを取り付け可能な軸状の部材が設けられてもよい。或いは、インサートナット31~33に軸状の部材を取り付けてもよい。
【0051】
第1スライド部65のばね67は、なくてもよい。この場合、ユーザが第1スライド部65から手を離したとき、第2スライド部70のばね73は、第2スライド部70を解除位置へ向けて押圧し、更に傾斜面71,66を介して第1スライド部65を前端位置へ向けて押圧するのに十分な付勢力を有するとよい。また、ロック機構61と爪掛部23は、左右対称に設けてもよい。
【0052】
開閉カバー5を閉じたときに固定部60が配置される配置部15Aは天壁15に設けたが、左壁13、右壁14又は底壁16に設けてもよい。なお、配置部15Aを左壁13又は右壁14に設けた場合、第2スライド部70は上下方向に移動可能に設けるとよい。
【0053】
また、開閉カバー5を開放する場合に、第1スライド部65を第2スライド部70と同じ左右方向に移動させつつ、開閉カバー5の上端部を後方に移動させてもよい。例えば、図7に示す固定部160のロック機構161は、本体部162、スライド部170、ばね173を備える。本体部162は、上面の略中央に、左右方向に長い矩形凹状の案内凹部162Aを有する。案内凹部162A内にはスライド部170が左右方向に移動可能に配置される。スライド部170の上面には凹状の指掛部175Aが形成される。ユーザは、指掛部175Aに指を掛けてスライド部170を案内凹部162A内で右方に移動できる。スライド部170は、右後端部から右方に延びる延出部165を備える。延出部165は、右端部にフック部172を有する。フック部172は前方へ向けて延び、先端部に、左方へ突出する突出部172Aを有する。スライド部170の延出部165の底面略中央部には、支持部170Aが設けられる。支持部170Aと、本体部162の右後部に設けられた支持部162Dとの間にばね173が支持される。
【0054】
開閉カバー5が筐体10の開口18を閉塞した状態において、スライド部170は、ばね173に付勢されて、案内凹部162A内左端部の固定位置に配置される。突出部172Aは爪掛部23の突出部23Aの前側に位置し、突出部23Aと前後方向に並ぶ。故にロック機構161は、固定部160の後方への移動を規制する。開閉カバー5を開放する場合、ユーザは、スライド部170の指掛部175Aに指を掛けて、スライド部170を右方の解除位置に移動する。フック部172の突出部172Aは、爪掛部23の突出部23Aに対して前後方向に並ぶ位置から外れる。故にロック機構161は爪掛部23との係合を解除し、固定部160の後方への移動を許容する。開閉カバー5は突起部51を支点に回動し、開口18を開放する。
【0055】
上記変形例において、開閉カバー5を開く向きと、フック部172と爪掛部23との係合を解除する向きとが異なる。故に、指掛部175Aが外部から押圧されただけでは開閉カバー5が開放状態とはならず、誤操作があっても開閉カバー5は開放状態にはなりにくい。また、スライド部170は、固定位置に位置するように付勢されることによって、開閉カバー5を閉塞する場合に、フック部172を確実に、爪掛部23に係合した状態にすることができる。よって印刷装置1は、筐体10から開閉カバー5を外れにくくすることができる。なお、上記変形例において、指掛部175Aは、本発明の「操作部」の一例である。ばね173は、本発明の「第3付勢部材」の一例である。上記変形例において、ロック機構161と爪掛部23は、左右対称に設けてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 印刷装置
5 開閉カバー
10 筐体
11 前壁
12 後壁
15 天壁
18 開口
23 爪掛部
28 印刷ヘッド
30 ベルト
31~33 インサートナット
50 蓋部
51 突起部
60 固定部
61 ロック機構
65 第1スライド部
66,71 傾斜面
67,73,173 ばね
70 第2スライド部
72 フック部
175A 指掛部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7