(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146077
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】締固め機械
(51)【国際特許分類】
F01P 11/10 20060101AFI20241004BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20241004BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20241004BHJP
B60K 13/02 20060101ALI20241004BHJP
E01C 19/26 20060101ALI20241004BHJP
F01P 5/06 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F01P11/10 K
B60K11/04 E
B62D25/08 C
B60K13/02 A
E01C19/26
F01P5/06 510A
F01P5/06 510B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058785
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅嶋 進弥
(72)【発明者】
【氏名】飯田 勉
(72)【発明者】
【氏名】早坂 喜憲
【テーマコード(参考)】
2D052
3D038
3D203
【Fターム(参考)】
2D052AC01
2D052BB05
2D052DA27
3D038AA05
3D038AA10
3D038AB09
3D038AC01
3D038AC11
3D038AC12
3D038AC13
3D038AC14
3D038BA08
3D038BB09
3D038BC01
3D038BC14
3D203AA26
3D203BA02
3D203BB40
3D203CB30
3D203DA05
(57)【要約】
【課題】運転席近傍に流れる熱気の抑制が可能な締固め機械を提供する。
【解決手段】タイヤローラ1Aにおいて、エンジンルーム70(機器収容室)は、運転席8の前方に設けられた前パネル18により区画され、前パネル18には、冷却ファン26fの駆動により車体フレーム2aの外側から空気をエンジンルーム70内に吸引するための第1吸気口61(第1の吸気口)が形成され、エンジンルーム70の前部の下面(第2底面部71b)には、冷却ファン26fの駆動により熱交換器100を通過した空気を車体フレーム2aの外側へ排出する排気口65が形成される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転席の前方の車体フレーム内に設けられた機器収容室と、
前記機器収容室内に搭載された熱交換器と、前記機器収容室内に搭載され、前記熱交換器を冷却するための冷却ファンと
を備えた締固め機械において、
前記機器収容室は、前記運転席の前方に設けられた前パネルにより区画され、
前記前パネルには、前記冷却ファンの駆動により前記車体フレームの外側から空気を前記機器収容室内に吸引するための第1の吸気口が形成され、
前記機器収容室の前部の下面には、前記冷却ファンの駆動により前記熱交換器を通過した空気を前記車体フレームの外側へ排出する排気口が形成されたことを特徴とする締固め機械。
【請求項2】
前記車体フレームの前方には、前記運転席の前方に位置する前転圧輪が取り付けられ、
前記排気口は、前記前転圧輪よりも後方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の締固め機械。
【請求項3】
前記車体フレームに取り付けられ、前記排気口を覆う排気口カバーを備え、
前記排気口カバーは、前記車体フレームの外側と前記機器収容室の内側とを連通する複数の空気穴と、前記空気穴から排出される空気を後方に向けて導く複数の導風板と、を有したことを特徴とする請求項1に記載の締固め機械。
【請求項4】
前記車体フレームに取り付けられ、前記排気口を覆う排気口カバーを備え、
前記機器収容室に収容される機器は、前記機器収容室内に固定され、少なくとも一部が前記排気口から前記車体フレームの外側に露出する第1機器を含み、
前記排気口カバーは、前記第1機器のうち前記排気口よりも前記車体フレームの外側に露出する部位を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の締固め機械。
【請求項5】
前記車体フレームの側部には、第2の吸気口が形成され、
前記第2の吸気口よりも前記車体フレームの外方には、前記運転席に乗降するためのステップが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の締固め機械。
【請求項6】
前記車体フレームに設けられ、前記第1の吸気口と前記運転席との間に配置された遮蔽板を備え、
前記遮蔽板は、前記第1の吸気口と前後方向に間隔を空けて設けられたことを特徴とする請求項1に記載の締固め機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は締固め機械に関し、特に、機器収容室に熱交換器および冷却ファンを含む複数の機器が搭載された締固め機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器収容室に熱交換器を含む複数の機器が搭載された締固め機械に関する技術が知られている。例えば、特許文献1には、エンジンルーム内に走行用エンジン、熱交換器、冷却ファン部および油圧ポンプが収容される締固め機械(転圧機械)が記載されている。この締固め機械では、エンジンルームに前方側から運転席側に向かって熱交換器、冷却ファン部、走行用エンジン、油圧ポンプの順に配置されている。エンジンルームの前方側に熱交換器が配置される構成では、車体フレームの上面やタイヤハウスを形成する下面から熱交換器への空気を吸気し、後方に向けて空気が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、熱交換器を通過した後の温まった空気が後方に流れる場合、運転席近傍に熱気が流れ、運転者が暑さを感じる可能性がある。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運転席近傍に流れる熱気の抑制が可能な締固め機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の締固め機械は、運転席の前方の車体フレーム内に設けられた機器収容室と、記機器収容室内に搭載された熱交換器と、前記機器収容室内に搭載され、前記熱交換器を冷却するための冷却ファンとを備えた締固め機械において、前記機器収容室は、前記運転席の前方に設けられた前パネルにより区画され、前記前パネルには、前記冷却ファンの駆動により前記車体フレームの外側から空気を前記機器収容室内に吸引するための第1の吸気口が形成され、前記機器収容室の前部の下面には、前記冷却ファンの駆動により前記熱交換器を通過した空気を前記車体フレームの外側へ排出する排気口が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の締固め機械によれば、運転席近傍に流れる熱気の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態にかかる締固め機械としてのタイヤローラを示す斜視図である。
【
図4】タイヤローラから水タンクを抜き出した状態を前方から視た分解斜視図である。
【
図5】エンジンルーム内を模式的に示す説明図である。
【
図6】比較例のタイヤローラにおいてエンジンルーム内を模式的に示す説明図である。
【
図8】左側部におけるステップ周辺を示す斜視図である。
【
図9】右側部におけるステップ周辺を示す斜視図である。
【
図11】排気口カバーを前方かつ下方から視た斜視図である。
【
図12】排気口カバーを前方かつ上方から視た斜視図である。
【
図15】熱交換器を運転席側から視た斜視図である。
【
図16】熱交換器を運転席側から視た分解斜視図である。
【
図17】熱交換器の構成要素の一部を運転席とは反対側から視た分解斜視図である。
【
図18】熱交換器の下側ブラケットを示す斜視図である。
【
図20】熱交換器の下側ブラケット近傍を左右方向の側方から視た側面図である。
【
図21】ラジエータコアを熱交換器フレームから取り外す際の様子を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。以下の説明では、車両に搭乗した運転者を主体として前後方向、左右方向および上下方向を規定する。
【0010】
(タイヤローラ)
図1は、実施形態にかかる締固め機械としてのタイヤローラを示す斜視図であり、
図2は、タイヤローラを示す側面図であり、
図3は、タイヤローラを示す平面図である。
図1から
図3に示すタイヤローラ(締固め機械)1Aは、鋼板製の車体フレーム2aにより形成される車体2の前部に、走行輪を兼ねた3本のゴム製の前転圧輪3fが左右方向に並列配置され、車体2からヨークを介して操舵可能に支持されている。また、車体2の後部には、走行輪を兼ねた4本のゴム製の後転圧輪3rが左右方向に並列配置され、車体2から図示しないアクスルを介して支持されている。前転圧輪3fは、車体フレーム2aにより形成されるタイヤハウス2hf内に配置され、後転圧輪3rは、車体フレーム2aにより形成されるタイヤハウス2hr内に配置されている。
【0011】
車体フレーム2aにより形成されるフロア11上には、ステアリング5および図示しない前後進レバーを備えた操作端末としての操作台7が設置され、操作台7の後側においてフロア11上の右側位置に運転席8が設置される。また、フロア11と隣接する車体フレーム2aの左側部2bには、階段状に形成された複数のステップ12aが設けられている。また、フロア11と隣接する車体フレーム2aの右側部2cには、左右方向の外側に向けて張り出すように形成された複数のステップ12bが設けられている。運転者は、通常はステップ12aからフロア11上に搭乗するが、ステップ12bから搭乗してもよい。運転席8の直上には、ルーフスタンドを介してルーフ10が支持されている。運転席8に着座した運転者は、ステアリング5、前後進レバーおよびフロア11上のペダルを操作してタイヤローラ1Aを走行させ、舗装作業中には前転圧輪3fおよび後転圧輪3rにより路面に敷きつめられた舗装材を締め固める。
【0012】
前転圧輪3fおよび後転圧輪3rの近傍には、水散布装置13および溶剤散布装置14が設けられている。水散布装置13は、車体フレーム2aの内部に収容される水タンク30(
図4参照)と接続され、溶剤散布装置14は、車体フレーム2aの内部に収容される図示しない溶剤タンクと接続されている。舗装作業時には、前転圧輪3fおよび後転圧輪3rの外周面への舗装材や泥の付着を防止すべく、それぞれの外周面に水タンクに貯留された水が水散布装置13から散布されたり、溶剤タンクに貯留された溶剤が溶剤散布装置14から散布されたりする。
【0013】
車体フレーム2aの運転席8の前方には、上方に開閉可能なエンジンフード15を備えたエンジンルーム70(機器収容室。
図5参照)が設けられ、エンジンルーム70内にはエンジン22(原動機)、HST(Hydro Static Transmission)およびエンジン22の冷却装置26(
図5参照)が搭載されている。エンジンフード15は、前端部でヒンジにより回動可能に車体フレーム2aに取り付けられ、後端が上方に持ち上がるように構成されている。HSTの構成は周知のため概略のみを後述するが、エンジン22より駆動される油圧ポンプ25(第1機器。
図5参照)からの作動油により車体2の各部に設置された油圧アクチュエータを駆動する油圧システムである。このHSTにより、後転圧輪3rの駆動や前転圧輪3fの操舵、水散布装置13および溶剤散布装置14の作動などが行われる。
【0014】
(水タンク)
図4は、タイヤローラ1Aから水タンク30を抜き出した状態を前方から視た分解斜視図である。車体フレーム2aは、水タンク30を収容可能となるように、互いに仕切られた収容空間40を形成する。収容空間40は、第1収容空間41、第2収容空間42および第3収容空間43を含み、前転圧輪3fが配置されるタイヤハウス2hfの後方に設けられる。第1収容空間41、第2収容空間42および第3収容空間43は、それぞれ前方を向いて開口する開口部41a、42a、43aを有する。第1収容空間41は、エンジンルーム70の下部に形成され、上面がエンジンルーム70の底面71(
図5参照)に沿った形状とされる。第2収容空間42は、第1収容空間41の左方に隣接して設けられ、エンジンルーム70の左側方まで延在する。第3収容空間43は、第1収容空間41の右方に隣接して設けられ、エンジンルーム70の右側方まで延在する。
【0015】
水タンク30は、第1タンク31、第2タンク32および第3タンク33を含み、上記収容空間40内に収容される。各水タンク30は、樹脂材料により車体フレーム2aとは別体に形成され、図示しない複数の配管で互いに接続されると共に水散布装置13に接続される。第1タンク31は、第1収容空間41に沿った形状とされ、開口部41aを介して前後方向に沿って第1収容空間41内に挿抜可能(着脱可能)とされている。第2タンク32は、第2収容空間42に沿った形状とされ、開口部42aを介して前後方向に沿って第2収容空間42内に挿抜可能とされている。第3タンク33は、第3収容空間43に沿った形状とされ、開口部43aを介して前後方向に沿って第3収容空間43内に挿抜可能とされている。
【0016】
(エンジンルーム)
次に、エンジンルーム70の構成について説明する。
図5は、エンジンルーム70内を模式的に示す説明図である。エンジンルーム70は、車体2の左右方向における中央部に設けられ、
図5では、エンジンルーム70内が視えるように車体フレーム2aを左右方向の中央部で切った断面を示している。エンジンルーム70は、車体フレーム2aにより形成される底面71と、車体フレーム2aおよび開閉自在なエンジンフード15により形成される上面72と、運転席8の前部に設けられた前パネル18などにより画成される。上面72は、エンジンルーム70の上部を覆うカバーとなる。エンジンルーム70内は、油圧ポンプ25の前方に設けられた仕切り板74などによって、その内部が適宜区画されている。また、エンジンルーム70の左側方には、
図1から
図4に示すように、作業員がエンジンルーム70内に配置された機器のメンテナンスといった作業を行うときの足場16が形成されている。
【0017】
図5に示すように、エンジンルーム70の底面71は、前後方向に水平に延びる第1底面部71aと、第1底面部71aから後方に向かうにつれて下方に延びる第2底面部71bと、第2底面部71bから後方に向けて水平に延びる第3底面部71cとを含む。上述した第1収容空間41および第1タンク31は、底面71の第3底面部71cの下部に設けられ、その上面が第3底面部71cに沿って延在する。また、エンジンルーム70の上面72は、エンジンルーム70の上面72を形成するエンジンフード15における運転席8側の後端72aが、運転席8に着座した運転者のアイポントPよりも下方に位置し、この後端72aから前方に向かうにつれて下方に延びるように形成されている。すなわち、上面72は、エンジンルーム70の後部から前部に向かって斜め下方向に傾斜して形成される。それにより、図中に破線矢印で示すように、運転者の車体2に対する前方斜め下方側への視認性を確保することができる。
【0018】
(エンジンルーム内の機器)
エンジンルーム70内に搭載される複数の機器について説明する。
図5に示すように、エンジンルーム70には、上述したエンジン22および油圧ポンプ25に加えて、冷却装置26といった複数の機器が搭載されている。冷却装置26は、熱交換器100および冷却ファン26fを含む。熱交換器100は、冷却ファン26fによりエンジンルーム70内に吸入された空気との間で熱交換を行ってエンジン22の冷却水を冷却するラジエータと、上記空気との間で熱交換を行ってエンジン22のオイルを冷却するオイルクーラとを有している。冷却ファン26fは、エンジンルーム70の後部から前部に向かって流れる冷却風を生成する。なお、熱交換器100は、過給気を冷却するためのインタークーラを備えてもよい。冷却ファン26fは、熱交換器100とエンジン22との間に配置され、エンジン22の動力により駆動される。
【0019】
上記エンジン22、油圧ポンプ25および冷却装置26は、エンジンルーム70において車体フレーム2aに図示しない固定部を介して固定される。そして、エンジン22、油圧ポンプ25および熱交換器100は、エンジンルーム70内に搭載された状態で、その全高が熱交換器100、エンジン22、油圧ポンプ25の順に高い。また、冷却ファン26fは、エンジン22および熱交換器100よりも全高が低い。
【0020】
ここで、
図6は、比較例のタイヤローラ1Bにおいてエンジンルーム70内を模式的に示す説明図である。比較例のタイヤローラ1Bでは、エンジン22、油圧ポンプ25および熱交換器100は、エンジンルーム70内に運転席8側から前方側にかけて油圧ポンプ25、エンジン22、熱交換器100の順に配置される。この構成では、図示するように、第3底面部71cを運転席8側から前方側にかけて斜め下方向に延びるように形成しなければ、各機器(特に全高が高い熱交換器100)がエンジンルーム70の上面72よりも上方に位置してしまう。言い換えると、
図6に示す比較例のタイヤローラ1Bについて、仮に第3底面部71cをエンジン22の下面の近傍に位置させた状態で水平に形成した場合には、上面72を運転席8側から前方側にかけて斜め下方向に延びるように形成することができない。その結果、運転者の前方斜め下方側への視認性を確保することが困難となる。
【0021】
一方で、
図6に図示するような第3底面部71cを運転席8側から前方側にかけて斜め下方向に延びる形状をタイヤローラ1Bに適用しようとした場合、第1収容空間41や第1タンク31も第3底面部71cに沿った形状とせざるを得ない。したがって、第1タンク31の後端が第1収容空間41の前端の開口部41aよりも大きくなるため、開口部41aを介して第1タンク31を第1収容空間41に挿抜することができない。第1タンク31は、車体2の左右方向における中央部に配置されるため、側方から車体フレーム2aに挿抜することは難しい。また、タイヤハウス2hf側では、前転圧輪3fを取り外せば、開口部41aを介して第1タンク31を第1収容空間41に挿抜することができるが、後転圧輪3rが配置されるタイヤハウス2hr内には、図示しない走行用モータやアクスルが配置されることから、タイヤハウス2hr側から第1タンク31を車体フレーム2aに挿抜することは、好ましくない。その結果、鋼板製の車体フレーム2a自体の内部空間を水タンクとして利用せざるを得ず、水タンクの防錆性を確保することが困難となる。
【0022】
そこで、本実施形態のタイヤローラ1Aでは、
図5に示すように、エンジンルーム70内にエンジン22、油圧ポンプ25および熱交換器100が運転席8側から前方側に向かうにつれて全高が低くなる順に配置される。より詳細には、熱交換器100は、運転席8の前方、かつ、エンジンルーム70の後部に配置され、冷却ファン26fは、熱交換器100の前方に配置され、エンジン22は、冷却ファン26fの前方に配置され、油圧ポンプ25は、エンジン22の前方に配置される。なお、各機器のうち最も前方に配置される油圧ポンプ25は、第2底面部71bに形成された排気口65を介して車体フレーム2aの外側に一部が露出する。これにより、エンジンルーム70を形成する車体フレーム2aの小型化を図ることができる。換言すると、車体フレーム2aを大型化することなく、機器の収容空間を拡大することができる。
【0023】
この構成により、第3底面部71cを水平に形成し、かつ、エンジンルーム70の上面72を運転席8側から前方側にかけて斜め下方向に延びる形状としても、各機器が上面72よりも上方に位置することがない。その結果、第1収容空間41および第1タンク31を第3底面部71cと同様に水平に延びる形状とし、第1収容空間41の前端の開口部41aを介して第1タンク31を第1収容空間41に挿抜することができる。したがって、第1タンク31として車体フレーム2aとは別体の樹脂製タンクを利用することが可能となる。また、上述したように、運転者の前方斜め下方側への視認性も確保することができる。
【0024】
(エアクリーナ)
また、本実施形態において、エンジンルーム70内には、エンジン22の吸気側に接続され、エンジン22へと供給される空気を浄化するエアクリーナ27と、一端がエアクリーナ27に接続され、他端が吸気口271dを形成する吸気ダクト27dとが設けられている。エアクリーナ27は、エンジン22および冷却ファン26fの上部で熱交換器100の前方に配置される。
図5に示すように、エンジン22および冷却ファン26fが熱交換器100よりも全高が低いことで、エンジン22および冷却ファン26fとエンジンルーム70の上面72との間には、余剰スペースが形成される。この余剰スペースにエアクリーナ27の本体27aを配置することで、エンジンルーム70内のスペースの有効利用を図ることができる。特に、エアクリーナ27をエンジン22の側方に配置する場合に比べて、エンジン22の側方のスペースを確保することができる。その結果、エンジンルーム70が車体2の左右方向における中央部に設けられ、エンジンルーム70の側方に第2タンク32および第3タンク33を配置する本実施形態の構成において、水タンク30の配置スペースを十分に確保し、水タンク30の十分に容量を確保することができる。
【0025】
また、吸気ダクト27dの吸気口271dは、熱交換器100の前面よりも後方のエンジンルーム70内に配置される。より詳細には、吸気口271dは、熱交換器100の上部に配置され、エアクリーナ27には、吸気口271dからエンジンルーム70内の空気の一部が供給される。したがって、エアクリーナ27には、エンジンルーム70内の空気の流れ方向(
図5の白抜き矢印参照)において、熱交換器100の空気出口よりも上流側から空気が供給されることになる。それにより、熱交換器100でエンジン22の冷却水やオイルと熱交換して昇温した空気をエアクリーナ27が吸引することがない。その結果、エンジン22の運転効率を向上させることができる。
【0026】
また、エアクリーナ27および吸気口271dは、メンテナンス用の足場16(
図1および
図3参照)よりも上方に位置するように配置されている。それにより、エンジンフード15を開放すれば、足場16にいる作業者がエアクリーナ27に容易にアクセスすることができ、メンテナンス作業の効率を向上させることができる。
【0027】
(後処理装置)
また、エンジン22には、排気を浄化処理するための後処理装置28と、一端が後処理装置28と接続され、他端が排気口を形成する排気管28aとが設けられている。後処理装置28は、エンジン22の前方側に設けられている。また、エンジンルーム70は、エンジン22の前方に貫通孔としての排気口65を有しており、後処理装置28の排気管28aは、排気口65を介してエンジンルーム70の外側へと下方に向けて延び、さらに車体フレーム2aの下面に沿って延びる。一方、
図6に示す比較例のタイヤローラ1Bのように、エンジンルーム70内に運転席8側から前方側にかけて油圧ポンプ25、エンジン22、熱交換器100の順に配置される場合、後処理装置28から延びる排気管28aがより長くなってしまう。本実施形態では、後処理装置28の排気管28aの長さを短くすることができ、歩留まりや安全性を向上させることができる。また、後処理装置28が運転席8側にある場合に比べて、運転席8近傍の熱気や騒音を低減可能となる。
【0028】
(冷却装置の吸気構造および排気構造)
次に、冷却装置26の吸気構造および排気構造について説明する。
図7は、前パネル18を運転席8側から視た正面図である。
図8は、左側部2bにおけるステップ12a周辺を示す斜視図である。
図9は、右側部2cにおけるステップ12b周辺を示す斜視図である。図示するように、タイヤローラ1Aには、冷却装置26へと吸気を行うための複数(本実施形態では、3つ)の吸気口60が設けられている。吸気口60は、第1吸気口61と、第2吸気口62と、第3吸気口63とを含む。
【0029】
第1吸気口61は、
図1、
図5、
図7および
図8に示すように、前パネル18の下部に設けられ、エンジンルーム70内と連通し、冷却ファン26fの駆動により車体フレーム2aの外側から空気をエンジンルーム70内に吸引する。第1吸気口61には、格子状のカバーが取り付けられる。第1吸気口61は、前パネル18に沿って鉛直方向に延在し、それにより、第1吸気口61への異物の侵入が抑制される。また、第1吸気口61と運転席8との間には、
図1に示すように、遮蔽板19が取り付けられる。遮蔽板19は、第1吸気口61と前後方向に間隔を空け、操作台7の下部において左方に延びるように車体フレーム2aに設けられ、第1吸気口61の少なくとも一部を前後方向に覆う。これにより、第1吸気口61による吸気を阻害しないようにしながら、運転席8に着座した運転者の足が第1吸気口61と干渉することを防ぐことができる。なお、
図7、8では、遮蔽板19の記載を省略している。
【0030】
第2吸気口62は、
図8に示すように、車体フレーム2aの左側部2bに形成される。第2吸気口62よりも車体フレーム2aの外方には、上述したようにステップ12aが設けられている。第2吸気口62には、前後方向に延びる複数の空気穴62aが形成されており、各空気穴62aからフロア11の下方に延在する空間V(
図5参照)を介してエンジンルーム70と連通する。車体フレーム2aの左側部2bは、鉛直方向に延びるように形成されており、各空気穴62aも鉛直方向に延在する。また、各空気穴62aの上縁には、左方(車幅方向外側)かつ下方に延びる導風板62bが取り付けられている。
【0031】
第3吸気口63は、
図9に示すように、車体フレーム2aの右側部2cに形成される。第3吸気口63よりも車体フレーム2aの外方には、上述したようにステップ12bが設けられている。第3吸気口63は、第2吸気口62と同様にフロア11の下方に延在する空間V(
図5参照)を介してエンジンルーム70と連通する。車体フレーム2aの左側部2bは、鉛直方向に延びるように形成されており、それにより、第3吸気口63も鉛直方向に延在する。
【0032】
排気口65は、
図5に示すように、第2底面部71bに形成されている。そして、車体フレーム2aには、油圧ポンプ25の排気口65よりも車体フレーム2aの外側に露出する部位を覆い、油圧ポンプ25を保護すると共に排気口65からの異物の侵入を抑制する排気口カバー50が取り付けられている。
図10は、排気口カバー50周辺を示す斜視図である。
図11は、排気口カバー50を前方かつ下方から視た斜視図である。
図12は、排気口カバー50を前方かつ上方から視た斜視図である。
図13は、排気口カバー50を示す側面図である。
【0033】
排気口カバー50は、例えば鋼板により形成され、車体フレーム2aにボルトおよびナットといった締結具により固定される。本実施形態の排気口65および排気口カバー50は、
図5に示すように、前転圧輪3fよりも後方に配置される。なお、排気口65および排気口カバー50は、前転圧輪3fの後端よりも後方に配置される構成に限らず、前転圧輪3fと上下方向から視て重なる位置に配置されてもよい。排気口カバー50は、
図10から
図13に示すように、下面部51と、前面部52と、下面部51および前面部52の間を延びる左右一対の側面部53とを含む。下面部51は、前面部52から下方に向かうにつれて後方に延びる斜面部51aと、斜面部51aから後方に延びる底面部51bとを有している。斜面部51aおよび底面部51bからなる下面部51には、左右方向に延び、車体フレーム2aの外側とエンジンルーム70の内側とを連通する複数の空気穴55が形成されている。そして、各空気穴55の上縁には、後方かつ下方に延びる導風板56が延出される。なお、空気穴55は、前面部52および一対の側面部53にも形成されてもよい。
【0034】
以上の構成により、冷却装置26の冷却ファン26fが回転すると、第1吸気口61からエンジンルーム70内へと空気が取り込まれると共に、第2吸気口62および第3吸気口63からフロア11下の空間を介してエンジンルーム70内へと空気が吸引される。これにより、エンジンルーム70内への吸気量を十分に確保することができる。吸引された空気は、
図5の白抜き矢印に示すように、エンジンルーム70内を前方に流れて熱交換器100やエンジン22を通過した後、排気口65および排気口カバー50の複数の空気穴55を介して車体フレーム2aの外側へと排気される。排気された空気は、さらに、前転圧輪3fの後方で車体フレーム2aに沿って下方へと流れる。
【0035】
ここで、
図6に示す比較例のタイヤローラ1Bでは、熱交換器100がエンジン22よりも前方に配置されることから、図中に白抜き矢印で空気の流れ方向を例示するように、車体フレーム2aの上面やタイヤハウス2hfが形成される下面(第2底面部71b)に吸気口を形成することになる。その結果、上面に形成された吸気口から雨などの異物、下面に形成された吸気口から水散布装置13の水や溶剤散布装置14の溶剤、前転圧輪3fにより跳ね上げられる泥といった異物が車体フレーム2a内に侵入する可能性がある。本実施形態のタイヤローラ1Aでは、車体フレーム2aの上面や下面に吸気口が形成されないため、各吸気口60から雨などの異物が車体フレーム2a内に侵入することを抑制可能となる。特に、本実施形態では、第1吸気口61、第2吸気口62および第3吸気口63がいずれも鉛直方向に延在する面に形成される。さらに、第2吸気口62の複数の空気穴62aには、導風板62bが設けられている。これにより、各吸気口60から異物が侵入することをより良好に抑制可能となる。
【0036】
また、比較例のタイヤローラ1Bのように、熱交換器100やエンジン22を通過して昇温した空気が後方側(運転席8側)に流れる場合、運転席8近傍に熱気が伝わり、運転者が暑さを感じる可能性がある。本実施形態のタイヤローラ1Aでは、エンジンルーム70内を前方に向かって空気が流れるため、運転席8近傍に熱気が伝わることを抑制可能となる。
【0037】
さらに、比較例のタイヤローラ1Bでは、車体フレーム2aの上面や下面から吸気した空気を冷却ファン26fに対して正面から供給することが難しく、熱交換器100による冷却効率の低下を招いたり、冷却ファン26fによる騒音が大きくなったりする可能性がある。本実施形態のタイヤローラ1Aでは、熱交換器100や冷却ファン26fと向かいあって配置される前パネル18に第1吸気口61が設けられるため、冷却ファン26fに対して正面から空気を供給することができる。その結果、熱交換器100による冷却効率の向上および冷却ファン26fによる騒音の低減を図ることが可能となる。
【0038】
また、タイヤハウス2hfを形成する車体フレーム2aの下面(第2底面部71b)に排気口65を設けたとしても、排気口カバー50により水散布装置13からの水や溶剤散布装置14からの溶剤、前転圧輪3fにより跳ね上げられる泥といった異物が排気口65からエンジンルーム70内に侵入することを抑制可能となる。また、排気口65から排気される空気の流れによって、上記異物は下方へと送られるため、上記異物が排気口カバー50の空気穴55に目詰まりしたり、排気口65から車体フレーム2a内に侵入したりすることをより良好に抑制可能となる。
【0039】
さらに、排気口65および排気口カバー50は、前転圧輪3fよりも後方に配置され、各空気穴55の上縁には導風板56が設けられる。これにより、上記異物による空気穴55の目詰まりや、上記異物の車体フレーム2a内への侵入をさらに良好に抑制することができる。
【0040】
次に、熱交換器100の構造および車体フレーム2aへの取り付け構造について説明する。
図14は、車体フレーム2aを示す斜視図である。
図15は、熱交換器100を運転席8側から視た斜視図である。
図16は、熱交換器100を運転席8側から視た分解斜視図である。
図17は、熱交換器100の構成要素の一部を運転席8とは反対側から視た分解斜視図である。
図18は、熱交換器100の下側ブラケットを示す斜視図である。
図19は、熱交換器100の縦断面図である。
図20は、熱交換器100の下側ブラケット近傍を左右方向の側方から視た側面図である。
【0041】
図14に示すように、車体フレーム2aには、エンジンルーム70の後部において、エンジンルーム70に作業員がアクセス可能な開口部80が形成されている。開口部80は、運転席8の前方に設けられた前パネル18(
図1参照)といった部材を取り外すことで運転席8側(後方側)に臨むように露出し、エンジンルーム70の内側と外側とを連通する。また、エンジンルーム70を画成する車体フレーム2aには、熱交換器100をボルト締結により固定するための複数の固定部75が形成されている。
【0042】
(熱交換器)
熱交換器100は、
図15から
図20に示すように、オイルクーラ110と、ラジエータコア120(コア)と、熱交換器フレーム130とを含み、開口部80と向き合って配置される(
図14の破線参照)。オイルクーラ110は、図示しないホースにより油圧アクチュエータを駆動するための作動油が流れる油圧回路に接続され、冷却ファン26fにより吸引される空気と作動油とを熱交換させる。ラジエータコア120は、エンジンルーム70の後部で開口部80と向き合って配置される。ラジエータコア120は、ホース122、124(
図19参照)によりエンジン22の冷却水が流れるラインに接続され、冷却ファン26fにより吸引される空気と冷却水とを熱交換させる。ホース122、124は、その長さを最小限とするため、ラジエータコア120のエンジン22側(開口部80とは反対側)の面に取り付けられている。
【0043】
熱交換器フレーム130は、
図16および
図17に示すように、上板部131と、底板部132と、一対の側板部133と、コア抑え部134とを含む枠状部材である。熱交換器フレーム130の内側には、ラジエータコア120およびオイルクーラ110が左右方向に沿って並んで収容される。本実施形態では、オイルクーラ110は、運転席8側すなわち開口部80側から視た熱交換器フレーム130の左半部に配置される。ラジエータコア120は、開口部80側から視た熱交換器フレーム130の右半部に配置される。
【0044】
上板部131は、上下方向から視てL字形状に形成される。上板部131の左半部側には、オイルクーラ110の取り付け部131aが設けられている。底板部132は、上板部131と対向して配置される。底板部132の右半部側には、ラジエータコア120が配置される箇所の一部を切り欠いた切り欠き132aが形成されている。一対の側板部133は、上板部131と底板部132とに接続される。各側板部133には、車体フレーム2aの固定部75に締結される取り付け部133aが設けられている。また、各側板部133には、熱交換器フレーム130に対して運転席8とは反対側に位置する冷却ファン26fを収容するファン用フレーム139が取り付けられる。コア抑え部134は、底板部132の運転席8側(開口部80側)の端部から上方に延びる。コア抑え部134は、一対の側板部133にも接続されている。
【0045】
以上のように構成された熱交換器フレーム130に対して、オイルクーラ110は、上板部131の取り付け部131aに当接すると共にコア抑え部134にスペーサ116を介して当接し、取り付け部131aおよびコア抑え部134にボルトおよびナットで締結される。一方、ラジエータコア120は、防振性能を高めるために、防振ゴムを介して熱交換器フレーム130に取り付けられる。
【0046】
ここで、実施形態のタイヤローラ1Aでは、
図6に示す比較例のタイヤローラ1Bと異なり、運転席8側に熱交換器100が配置されてタイヤハウス2hfが形成される車体フレーム2aの下面(底面71)からは熱交換器100にアクセスすることができない。また、エンジンルーム70の両側方および下方に水タンク30が配置されるため、熱交換器100の側方や直下から熱交換器100にアクセスすることもできない。本実施形態では、特に防振ゴムを介して熱交換器フレーム130に取り付けられるラジエータコア120を容易に熱交換器フレーム130に着脱するために、以下のラジエータコア120の取り付け構造を有している。
【0047】
(ラジエータコアの取り付け構造)
本実施形態の熱交換器100は、ラジエータコア120の取り付け構造として、
図15から
図20に示すように、熱交換器フレーム130に加えて、熱交換器フレーム130に着脱自在に取り付けられるブラケットと、ブラケットに支持される防振ゴムとを備えている。より詳細には、防振ゴムは、上側防振ゴム150と下側防振ゴム170とを備え、ブラケットは、上側ブラケット160と下側ブラケット180とを備えている。
【0048】
(上側防振ゴム)
上側防振ゴム150は、
図16および
図19に示すように、円筒状の防振ゴムであり、軸心が前後方向に延びるようにラジエータコア120の開口部80側の面の上部に設けられ、主として前後方向の振動を吸収する。上側防振ゴム150は、ラジエータコア120に対して左右方向に間隔を空けて並んで2つ取り付けられる。各上側防振ゴム150には、前後方向に沿ってボルトB4が挿通され、当該ボルトB4がラジエータコア120の上部に締結されることで、ラジエータコア120に固定される。また、上側防振ゴム150の外周縁には、上側防振ゴム150を上側ブラケット160に取り付けるための保持部材155が篏合されている。保持部材155は、上側防振ゴム150から左右方向の両側に張り出すように略ひし形状に形成され、左右方向の両端部にボルト締結孔が設けられている。
【0049】
(上側ブラケット)
上側ブラケット160は、
図16および
図19に示すように、前後方向に延びる上面部161と、上面部161の開口部80側の端部から下方に延びる立壁部162とを有するL字形状部材である。上側ブラケット160は、
図19に示すように、上面部161が熱交換器フレーム130の上板部131と上下方向で当接すると共に、立壁部162が上側防振ゴム150に取り付けられた保持部材155と前後方向で当接するように配置される。また、立壁部162には、
図16に示すように、各上側防振ゴム150の外周を支持する支持孔162aが形成される。
【0050】
上側ブラケット160は、熱交換器フレーム130の上板部131にボルトB1(
図16および
図19参照)を介して締結されると共に、上側防振ゴム150に取り付けられた保持部材155にボルトB2(
図15、
図16参照)を介して締結される。また、熱交換器フレーム130の開口部80側の面には、
図15および
図16に示すように、枠部材114が取り付けられており、上側ブラケット160は、立壁部162の下縁に形成された固定部163において枠部材114にも締結される。これにより、上側ブラケット160は、上側防振ゴム150を介して、ラジエータコア120を熱交換器フレーム130に対して支持する。
【0051】
(下側防振ゴム)
下側防振ゴム170は、
図19および
図20に示すように、円筒状の防振ゴムであり、軸心が上下方向に延びるようにラジエータコア120の下部と熱交換器フレーム130との間に設けられ、主として上下方向の振動を吸収する。
図19および
図20では、下側防振ゴム170を1つのみを例示しているが、下側防振ゴム170は、左右方向に間隔を空けて2つ設けられる。ラジエータコア120の下面120dには、下側防振ゴム170の配置位置で下方に延びるピン125aが形成された固定部材125が取り付けられており、当該固定部材125に下側防振ゴム170が挿通される。下側防振ゴム170は、上記熱交換器フレーム130の底板部132と、下側ブラケット180とにより支持される。
【0052】
(熱交換器フレームの底板部)
図19に示すように、ラジエータコア120は、下面120dに取り付けられた固定部材125および下側防振ゴム170が底板部132の切り欠き132a(
図17参照)内に位置するように配置される。そして、熱交換器フレーム130の底板部132は、下側防振ゴム170の下面と当接し、下側防振ゴム170を介してラジエータコア120を下方から支持する。また、
図17に示すように、底板部132には、切り欠き132aの運転席8とは反対側の縁部近傍に、上方に向けて円弧状に立ち上がる2つの当接部(第2当接部)135が形成されている。各当接部135は、下側防振ゴム170に対応した位置に1つずつ設けられ、
図19および
図20に示すように、下側防振ゴム170の外周縁に沿って当接する。これにより、ラジエータコア120の熱交換器フレーム130に対する左右方向の位置決めを容易に行うことができる。各当接部135は、互いに接続されて強度が確保されている。また、底板部132の各当接部135の内側には、ピン125aを挿通するための円弧状の切り欠き137(
図17参照)が形成されている。当接部135と切り欠き137とは、その軸心が一致する。
【0053】
(下側ブラケット)
下側ブラケット180は、
図17および
図18に示すように、前後方向に延びる支持部181と、支持部181の開口部80側の端部から上方に延びる立壁部182とを有する。立壁部182の上部中央部には、開口部80側に向けて延びる把持部183が形成されている。支持部181の立壁部182とは反対側の端部には、上方に向けて円弧状に立ち上がる2つの当接部(第1当接部)185が形成されている。各当接部185は、下側防振ゴム170に対応した位置に1つずつ設けられ、
図19および
図20に示すように、下側防振ゴム170の外周縁に沿って当接する。各当接部185は、互いに接続されて強度が確保されている。また、支持部181の各当接部185の内側には、ピン125aを挿通するための円弧状の切り欠き187が形成されている。当接部185と切り欠き187とは、その軸心が一致する。したがって、当接部185および切り欠き187は、底板部132の当接部135および切り欠き137と互いに向き合って形成される。また、支持部181上には、各当接部135の側方において、底板部132側に向けて延びる2つのガイド部材190が設けられている。ガイド部材190は、
図20に示すように、支持部181上で前後方向に延びる水平部191と、支持部181の端部からやや突出した位置で斜め上方に向けて傾斜して延びる傾斜部192とを有する。
【0054】
下側ブラケット180は、立壁部182が熱交換器フレーム130のコア抑え部134と前後方向で当接し、支持部181が熱交換器フレーム130の下方に位置するように、開口部80側から熱交換器フレーム130に差し込まれる。そして、立壁部182がコア抑え部134にボルトB3(
図15、
図19および
図20参照)により締結される。下側ブラケット180は、
図19に示すように、立壁部182がコア抑え部134に締結された状態で、支持部181が熱交換器フレーム130の底板部132と面一の状態となり、支持部181で各下側防振ゴム170の下面と当接する。それにより、各下側防振ゴム170が下側ブラケット180と底板部132とにより下方から支持される。これにより、下側ブラケット180は、下側防振ゴム170を介してラジエータコア120を熱交換器フレーム130に対して支持する。
【0055】
上述のように、下側ブラケット180が支持部181と立壁部182とからなるL字形状部材に形成されることで、立壁部182をコア抑え部134に当接させ、支持部181を下側防振ゴム170の下面と当接させるだけで、下側ブラケット180を容易に位置決めしながら、開口部80側から熱交換器フレーム130に対して差し込むことができる。
【0056】
また、下側ブラケット180には、対応する下側防振ゴム170の外周縁に沿って当接する当接部185が形成されている。これにより、各当接部185が各下側防振ゴム170に当接するように下側ブラケット180を開口部80側から熱交換器フレーム130に差し込めば、各下側防振ゴム170に対する下側ブラケット180の左右方向の位置決めをより容易に行うことができる。また、下側ブラケット180がコア抑え部134に締結された後には、当接部185が底板部132の当接部135と共に下側防振ゴム170を前後方向に挟みこみ、下側防振ゴム170が安定的に保持される。なお、下側防振ゴム170が挿通されるピン125aは、切り欠き137、197を介して底板部132や下側ブラケット180と干渉しないものとされている。すなわち、ピン125aと切り欠き137、197との間には、図示しない隙間が形成される。
【0057】
さらに、下側ブラケット180の支持部181上には、上述したようにガイド部材190が設けられる。ガイド部材190は、下側ブラケット180がコア抑え部134に締結された状態で、水平部191が底板部132に上方から当接するように形成されている。それにより、下側ブラケット180がコア抑え部134に締結された後には、下側ブラケット180が底板部132により下方から安定的に支持される。また、下側ブラケット180を開口部80側から熱交換器フレーム130に差し込む際に、支持部181が底板部132に対してやや下方にずれていたとしても、ガイド部材190の傾斜部192が底板部132に上方から当接することで、支持部181の上下方向における位置が狙いから大きくずれることがない。そして、傾斜部192を底板部132に摺動させながら下側ブラケット180を前後方向に差し込めば、底板部132に対する下側ブラケット180の上下方向の位置決めをより容易に行うことができる。
【0058】
また、熱交換器100は、
図5に示すように、運転席8が配置されるフロア11よりもその下端部が下方に位置づけられ、それにより、運転者の前方斜め下方側の視認性を確保している。つまり、下側ブラケット180がフロア11よりも下方に位置する。本実施形態の下側ブラケット180には、把持部183および上記ガイド部材190が形成されている。そのため、作業者が把持部183を把持し、上記ガイド部材190で熱交換器フレーム130に沿って下側ブラケット180を移動させることができるため、下側ブラケット180の熱交換器フレーム130に対する抜き差しを容易に行うことが可能である。
【0059】
(ラジエータコアの取り外し手順)
図21は、ラジエータコア120を熱交換器フレーム130から取り外す際の様子を示す分解斜視図である。ラジエータコア120の取り外し作業は、運転席8の前方の前パネル18といった部材を取り外し、車体フレーム2aの開口部80を運転席8側に向けて露出させて実行される。作業者は、上記ボルトB1および上記ボルトB2による上側ブラケット160と熱交換器フレーム130の上板部131との締結および上側ブラケット160と上側防振ゴム150の保持部材155との締結を解除する。それにより、図示するように、上側ブラケット160を熱交換器フレーム130およびラジエータコア120から開口部80側に引き出して取り外すことが可能となる。また、作業者は、上記ボルトB3による下側ブラケット180とコア抑え部134との締結を解除する。それにより、図示するように、下側ブラケット180を熱交換器フレーム130から開口部80側に引き出して取り外すことが可能となる。なお、図示省略するが、作業者は、上記手順の後、熱交換器フレーム130から枠部材114およびスペーサ116を取り外す。
【0060】
これにより、ラジエータコア120は、下側防振ゴム170を介して熱交換器フレーム130の底板部132のみにより下方から支持されている状態となる。作業者は、ラジエータコア120を開口部80側に向けて引き出すように傾斜させ、ラジエータコア120とファン用フレーム139との間に隙間を形成する。その結果、当該隙間を利用してホース122、124(
図19参照)をラジエータコア120から取り外すことが可能となる。ラジエータコア120からホース122、124を取り外せば、ラジエータコア120を拘束する部材はなくなり、ラジエータコア120を熱交換器フレーム130から取り出すことができる。なお、下側防振ゴム170は、ピン125aに抜き差し自在に篏合されており、ラジエータコア120を熱交換器フレーム130から取り出しても、ラジエータコア120に取り付けられた状態で保持される。ラジエータコア120を熱交換器フレーム130に取り付けるときには、上記手順とは逆の手順を実行すればよい。
【0061】
以上のように、実施形態のタイヤローラ1Aでは、開口部80側に設けられた車体フレーム2aの開口部80側に臨むように、上側ブラケット160および下側ブラケット180が熱交換器フレーム130に対して着脱自在に取り付けられている。そのため、熱交換器100に側方や下方からアクセスすることができない構成であっても、開口部80から熱交換器100にアクセスし、ラジエータコア120を熱交換器フレーム130に対して容易に着脱することができる。したがって、作業者が車体2の下方に潜り込んで作業したり、熱交換器100を分解したりする必要がなく、ラジエータコア120の熱交換器フレーム130に対する着脱作業の効率化を図ることが可能となる。また、ラジエータコア120を熱交換器フレーム130に取り付けるための上側ブラケット160および下側ブラケット180を用いることで、オイルクーラ110の熱交換器フレーム130に対する取り付け状態に影響を与えることなく、ラジエータコア120のみを熱交換器フレーム130に対して着脱することができる。
【0062】
(実施形態の効果)
以上説明したように、実施形態にかかるタイヤローラ(締固め機械)1Aにおいて、エンジンルーム70(機器収容室)は、運転席8の前方に設けられた前パネル18により区画され、前パネル18には、冷却ファン26fの駆動により車体フレーム2aの外側から空気をエンジンルーム70内に吸引するための第1吸気口61(第1の吸気口)が形成され、エンジンルーム70の前部の下面(第2底面部71b)には、冷却ファン26fの駆動により熱交換器100を通過した空気を車体フレーム2aの外側へ排出する排気口65が形成される。この構成により、運転席8近傍に流れる熱気の抑制が可能となる。
【0063】
また、車体フレーム2aの前方には、運転席8の前方に位置する前転圧輪3fが取り付けられ、排気口65は、前転圧輪3fよりも後方に配置される。この構成により、上記異物による空気穴55の目詰まりや、上記異物の車体フレーム2a内への侵入をより良好に抑制することができる。
【0064】
また、車体フレーム2aに取り付けられ、排気口65を覆う排気口カバー50を備え、
排気口カバー50は、車体フレーム2aの外側とエンジンルーム70の内側とを連通する複数の空気穴55と、空気穴55から排出される空気を後方に向けて導く複数の導風板56と、を有する。この構成により、複数の空気穴55を介してエンジンルーム70内の空気を排気しつつ、異物が排気口65からエンジンルーム70内に侵入することを抑制することができる。また、導風板56により、上記異物による空気穴55の目詰まりや、上記異物の車体フレーム2a内への侵入をより良好に抑制することができる。
【0065】
また、エンジンルーム70に収容される機器は、エンジンルーム70内に固定され、少なくとも一部が排気口65から車体フレーム2aの外側に露出する油圧ポンプ25(第1機器)を含み、排気口カバー50は、油圧ポンプ25のうち排気口65よりも車体フレーム2aの外側に露出する部位を覆うように設けられている。この構成により、車体フレーム2aの外側に一部が露出する油圧ポンプ25を排気口カバー50により保護することができる。
【0066】
前記車体フレーム2aの左側部2b、右側部2cには、第2吸気口62、第3吸気口63(第2の吸気口)が形成され、第2吸気口62、第3吸気口63よりも車体フレーム2aの外方には、運転席8に乗降するためのステップ12a、12bが設けられる。この構成により、エンジンルーム70内への吸気量を十分に確保しつつ、第2吸気口62、第3吸気口63に異物が侵入することを抑制可能となる。
【0067】
また、車体フレーム2aに設けられ、第1吸気口61と運転席8との間に配置された遮蔽板19を備え、遮蔽板19は、第1吸気口61と前後方向に間隔を空けて設けられる。この構成により、第1吸気口61による吸気を阻害しないようにしながら、運転席8に着座した運転者の足が第1吸気口61と干渉することを防ぐことができる。
【0068】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、締固め機械は、振動ローラ、マカダムローラ、タンピングローラなどであってもよい。また、締固め機械は、電動モータといったエンジン22とは異なる原動機を用いてもよく、エンジンルーム70は、これらの機器を収容する機器収容室であればよい。
【符号の説明】
【0069】
1A、1B タイヤローラ(締固め機械)
2 車体
2a 車体フレーム
2b 左側部
2c 右側部
2hf、2hr タイヤハウス
3f 前転圧輪
7 操作台
8 運転席
12a、12b ステップ
13 水散布装置
18 前パネル
19 遮蔽板
22 エンジン(原動機)
25 油圧ポンプ(第1機器)
26f 冷却ファン
30 水タンク
50 排気口カバー
51 下面部
51a 斜面部
51b 底面部
55 空気穴
56、62b 導風板
60 吸気口
61 第1吸気口(第1の吸気口)
62 第2吸気口(第2の吸気口)
63 第3吸気口(第2の吸気口)
65 排気口
70 エンジンルーム(機器収容室)
100 熱交換器