(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024147847
(43)【公開日】2024-10-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
H04L 61/106 20220101AFI20241009BHJP
【FI】
H04L61/106
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023057136
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-10-08
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】多賀 正樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 真史
(57)【要約】
【課題】 異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信を可能にすることにある。
【解決手段】 情報処理装置は、第一のエリアに属する端末装置から、第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIPを含む第一のパケットを収集する収集部と、ユニキャストIP選択情報に基づいて、収集した第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択したユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成する生成部と、生成した第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して第一のルータに入力し、第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する設定変更部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集する収集手段と、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、前記第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成する生成手段と、
生成した第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する設定変更手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記第一のエリアはPIM-SM(Protocol-Independent Multicast Sparse Mode)を利用したエリアで、
前記第二のエリアはPIM-SSM(Source-Specific Multicast)を利用したエリアで、前記第二のパケットにはIGMPv3を用いる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報供給装置は映像を提供する映像提供装置である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が、
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集し、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、前記第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成し、
生成した第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する、
情報処理方法。
【請求項5】
前記第一のエリアはPIM-SM(Protocol-Independent Multicast Sparse Mode)を利用したエリアで、
前記第二のエリアはPIM-SSM(Source-Specific Multicast)を利用したエリアで、前記第二のパケットにはIGMPv3を用いる、
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記情報供給装置は映像を提供する映像提供装置である、
請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集させ、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、前記第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成させ、
生成した第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更させる、
プログラム。
【請求項8】
前記第一のエリアはPIM-SM(Protocol-Independent Multicast Sparse Mode)を利用したエリアで、
前記第二のエリアはPIM-SSM(Source-Specific Multicast)を利用したエリアで、前記第二のパケットにはIGMPv3を用いる、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記情報供給装置は映像を提供する映像提供装置である、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項10】
複数の利用者の端末装置及び情報を提供する複数の情報供給装置と、ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を有するシステムであって、
前記情報処理装置は、
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集する収集手段と、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、前記第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成する生成手段と、
生成した第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する設定変更手段と、を有する、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マルチキャストシステムで用いる情報処理装置、情報処理方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マルチキャストは、IP(Internet Protocol)ネットワークにおいて、複数の端末装置に対して一つのデータを同時に送信する通信方式である。マルチキャストは、例えば、映像提供サーバから映像を特定の複数の利用者の端末装置へ同時に送信する、ストリーミング配信などで利用されている。
【0003】
ところが、利用者側と配信側それぞれにおいて、互換性のない、異なる通信方式のマルチキャストシステムを利用している場合には、ストリーミング配信ができないので、異なる通信方式のマルチキャストシステムを接続したいという要望がある。関連する技術として、例えば、特許文献1から4の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-225163号公報
【特許文献2】特開2012-199689号公報
【特許文献3】特開2018-207268号公報
【特許文献4】特開2020-167668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1から4に開示の技術は、互換性のない、異なる通信方式のマルチキャストシステム間を、利用者が意識することなく接続し、通信(ストリーミング配信など)を可能にするものではない。
【0006】
本開示の目的の一例は、異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一側面における情報処理装置は、
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集する収集部と、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、前記第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成する生成部と、
生成した第二のパケットを、前記第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する設定変更部と、
を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本開示の一側面における情報処理方法は、
情報処理装置が、
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集し、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成し、
生成した第二のパケットを、前記第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する、
ことを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示の一側面におけるプログラムは、
コンピュータに、
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集させ、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、前記第一のマルチキャストIPとを有する第二のパケットを生成させ、
生成した第二のパケットを、前記第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更させる、
ことを特徴とする。
【0010】
さらに、上記目的を達成するため、本開示の一側面におけるシステムは、
複数の利用者の端末装置及び情報を提供する複数の情報供給装置と、ネットワークを介して接続される情報処理装置と、を有するシステムであって、
前記情報処理装置は、
スパースモードのマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、前記第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集する収集部と、
記憶部に記憶されている、前記第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した前記第一のマルチキャストIPに含まれる前記第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択した前記ユニキャストIPアドレスと、前記第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成する生成部と、
生成した第二のパケットを、前記第二のエリアに設置された第二のルータを介して前記第一のルータに入力し、前記第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する設定変更部と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本開示によれば、異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、情報処理装置の一例を説明するための図である。
【
図2】
図2は、情報処理装置を有するシステムの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、情報処理装置の動作を説明するための図である。
【
図4】
図4は、システムの動作の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、実施形態における情報処理装置を実現するコンピュータの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下で説明する図面において、同一の機能又は対応する機能を有する要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0014】
(実施形態)
図1を用いて、実施形態における情報処理装置の構成について説明する。
図1は、情報処理装置の一例を説明するための図である。
【0015】
[装置構成]
図1に示す情報処理装置は、異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信を可能にする装置である。また、
図1に示すように、情報処理装置10は、収集部11と、生成部12と、設定変更部13とを有する。
【0016】
収集部11は、スパースモードの第一のマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリアに属する利用者の端末装置から、第一のエリアのランデブーポイントに設置された第一のルータを介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIP(Internet Protocol)を含む第一のパケットを収集する。
【0017】
生成部12は、記憶部に記憶されている、第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択し、選択したユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスを有する第二のパケットを生成する(選択したユニキャストIPアドレスを、第一のマルチキャストIPに付加する)。
【0018】
設定変更部13は、生成した第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して第一のルータに入力し、第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する。
【0019】
このように、実施形態においては、ユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して第一のルータに入力し、第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更するので、異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信を可能にすることができる。
【0020】
[システム構成]
図2を用いて、実施形態における情報処理装置10の構成をより具体的に説明する。
図2は、情報処理装置を有するシステムの一例を示す図である。システム100は、例えば、ストリーミング配信などに用いられるシステムである。
【0021】
図2に示すように、実施形態におけるシステム100は、例えば、ストリーミング配信などに用いるシステムである。情報処理装置10と、第一のエリア20に設けられた、一つ以上の端末装置21(21a、21b、21c)と、ルータ22(22a、22b、22c)、複数のルータ22により構成されたルータ網23と、第二のエリア30に設けられた、情報供給装置31と、ルータ32(32a、32b、32c、32d)と、複数のルータ32により構成されたルータ網33と、を有する。
【0022】
情報処理装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルなデバイス、又はGPU(Graphics Processing Unit)、又はそれらのうちのいずれか一つ以上を搭載した回路、サーバコンピュータなどである。
【0023】
第一のエリア20は、例えば、PIM-SM(Protocol-Independent Multicast Sparse Mode)を利用したエリアである。
【0024】
端末装置21は、例えば、CPU、又はFPGA、又はそれら両方を搭載したパーソナルコンピュータ、モバイル端末などの情報処理装置である。
図2の例では、三個の端末装置21a、21b、21cを示したが、三個に限定されるものではない。
【0025】
ルータ22は、例えば、PIM-SMに対応したマルチキャストルータである。
図2の例では、三個のルータ22a、22b、22cを示したが、三個に限定されるものではない。
【0026】
第二のエリア30は、例えば、PIM-SSM(Source-Specific Multicast)を利用したエリアである。
【0027】
情報供給装置31は、例えば、CPU、又はFPGAなどのプログラマブルなデバイス、又はGPU、又はそれらのうちのいずれか一つ以上を搭載した回路、サーバコンピュータなどである。情報供給装置31は、例えば、映像などの情報を提供する映像提供装置などである。
【0028】
ルータ32は、例えば、PIM-SSMに対応したマルチキャストルータである。
図2の例では、四個のルータ32a、32b、32c、32dを示したが、四個に限定されるものではない。
【0029】
●情報処理装置について詳細に説明する。
第一のエリア20がPIM-SMで、第二のエリア30がPIM-SSMである場合について説明する。その場合、情報処理装置10は、端末装置21から送信された要求をもとにした第一のパケットを取得すると、ユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成し、第二のパケットを用いて代理配信要求をする。
【0030】
収集部11は、PIM-SMのエリア(第一のエリア20)に設置されたランデブーポイント(RP)のルータ22c(第一のルータ)に入力された、PIM-SMのエリアに属する端末装置21a、21b、21cから送信された要求をもとにした、第一のマルチキャストIPアドレスを含む第一のパケットを収集する。
【0031】
生成部12は、まず、第一のパケットに含まれている第一のマルチキャストIPアドレスを用いて、ユニキャストIPアドレス選択情報を参照し、第一のマルチキャストIPアドレスに対応する情報供給装置31のユニキャストIPアドレスを選択する。
【0032】
次に、生成部12は、選択したユニキャストIPアドレスと、PIM-SSM(第二のエリア30)で用いる第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成する。
【0033】
ユニキャストIP選択情報は、情報処理装置10に設けられた記憶部に、あらかじめ記憶された、第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置31のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられた情報である。
【0034】
設定変更部13は、生成した第二のパケットを、PIM-SSM(第二のエリア30)に設置されたルータ32d(第二のルータ)を介してルータ22cに入力し、ルータ22cのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する。具体的には、ユニキャストIPアドレスとマルチキャストIPアドレスで構成された(S,G)エントリを新たに生成する。
【0035】
[装置動作]
実施形態における情報処理装置の動作について
図3を用いて説明する。
図3は、情報処理装置の動作を説明するための図である。以下の説明においては、適宜図を参照する。また、実施形態では、情報処理装置を動作させることによって、情報処理方法が実施される。よって、実施形態における情報処理方法の説明は、以下の情報処理装置の動作説明に代える。
【0036】
収集部11は、スパースモードの第一のマルチキャストルーティングプロトコルを利用している第一のエリア20(PIM-SMのエリア)に属する利用者の端末装置21から、第一のエリアのランデブーポイント(RP)に設置されたルータ22c(第一のルータ)を介して送信された、配信要求用の第一のマルチキャストIPアドレスを含む第一のパケットを収集する(ステップA1)。
【0037】
生成部12は、記憶部に記憶されている、第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスと、情報供給装置31のユニキャストIPアドレスと、が関連付けられたユニキャストIPアドレス選択情報に基づいて、収集した第一のマルチキャストIPに含まれる第一のマルチキャストIPアドレスに対応するユニキャストIPアドレスを選択する(ステップA2)。
【0038】
生成部12は、選択したユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスとを有する第二のパケットを生成する(ステップA3)。
【0039】
設定変更部13は、生成した第二のパケットを、第二のエリア30に設置されたルータ32d(第二のルータ)を介してルータ22cに入力し、ルータ22cのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更する(ステップA4)。
【0040】
●システムの動作を説明する。
図4は、システムの動作の一例を説明するための図である。
図4に示すシステム100は、複数の利用者(閲覧者)に向けたストリーミング配信を行うシステムである。また、情報供給装置31は、例えば、映像提供サーバである。
【0041】
例えば、第一のエリア20(PIM-SM)に設けられた端末装置21aから配信要求(第一のパケット)を情報供給装置31へ送信する。配信要求では、マルチキャストIPアドレス「224.10.10.10」を送信する。IGMPv2では、利用者は情報供給装置31のマルチキャストIPアドレスを知っていれば、配信要求が行うことができる。
【0042】
次に、配信要求は、
図4の(1)に示すように、第一のエリア20のルータ22a、22b、23、22cを介して送信される。しかし、PIM-SSMは、利用者がIGMPv3のINCLUDEモードを使用する前提で設計されているので、第一のエリア20から第二のエリア30に設けられた情報供給装置31に直接、配信要求を送信できない。
【0043】
理由は、IGMPv3のINCLUDEモードでは、利用者が、情報供給装置31のユニキャストIPアドレスを情報として知っている前提で設計されているからである。そこでPIM-SMのIGMPv2に不足している、PIM-SSMのIGMPv3で必要な、情報供給装置31のユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスとを有する、代理配信要求(第二のパケット)を生成する。
【0044】
具体的には、情報処理装置10は、
図4の(2)に示すように、RPのルータ22cから配信要求(第一のパケット)を収集する。次に、情報処理装置10は、第二のパケットを生成する。具体的には、配信要求(第一のパケット)にマルチキャストIPアドレス「224.10.10.10」を用いて、ユニキャストIPアドレス選択情報を参照し、情報供給装置31のユニキャストIPアドレス「192.168.1.1」を取得する。そして、ユニキャストIPアドレス「192.168.1.1」と、第一のマルチキャストIPアドレス「224.10.10.10」とを有する第二のパケットとを生成する。
【0045】
次に、代理配信要求(第二のパケット)は、
図4の(3)(4)に示すように、第二のエリア30に設置されたルータ32dを介してルータ22cに送信する。すると、ルータ22cは、代理配信要求を受信すると、ルータ22cのマルチキャストルーティングテーブルの送信先の設定を変更する。具体的には、ユニキャストIPアドレスとマルチキャストIPアドレスで構成された(S,G)エントリを新たに生成する。
【0046】
ルータ22cは、ユニキャストIPアドレス「192.168.1.1」と第一のマルチキャストIPアドレス「224.10.10.10」で構成された(S,G)エントリに基づき、「192.168.1.1」が存在する方向にあるルータ32cへ、映像配信要求を転送する。
【0047】
ルータ32cに到達した映像配信要求は「192.168.1.1」が存在する方向に位置する32b、32aにも転送されていく。このようにすることで、端末装置21aからの配信要求が情報供給装置31からのマルチキャスト通信を受け付けているルータ32aに届くようになる。
【0048】
ルータ32aは、映像配信要求が転送されてきたルータ32bに向けて、マルチキャスト通信を転送する。ルータ32b、32c、22c、22b、22aも同様にマルチキャスト通信を転送する。利用者から映像要求を直接受けとったルータ22aは、端末装置21aへ向けてマルチキャスト通信を転送し、利用者のもとに情報供給装置からのマルチキャストパケットが届くようになる。
【0049】
[実施形態の効果]
以上のように実施形態によれば、ユニキャストIPアドレスと、第一のマルチキャストIPアドレスを有する第二のパケットを、第二のエリアに設置された第二のルータを介して第一のルータに入力し、第一のルータのマルチキャストルーティングテーブルの設定を変更するので、異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信を可能にすることができる。
【0050】
また、利用者は、従来通りの映像要求方法で映像が閲覧することができるので、映像提供者側は閲覧者側を意識することなく、PIM-SSMの導入を進めることができる。
【0051】
[プログラム]
実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、
図3に示すステップA1からA4を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、実施形態における情報処理装置と情報処理方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、収集部11、生成部12、設定変更部13として機能し、処理を行なう。
【0052】
また、実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、収集部11、生成部12、設定変更部13のいずれかとして機能してもよい。
【0053】
[物理構成]
ここで、実施形態におけるプログラムを実行することによって、情報処理装置を実現するコンピュータについて
図5を用いて説明する。
図5は、実施形態における情報処理装置を実現するコンピュータの一例を説明するための図である。
【0054】
図5に示すように、コンピュータ110は、CPU111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU、又はFPGAを備えていてもよい。
【0055】
CPU111は、記憶装置113に格納された、コード群で構成された実施の形態におけるプログラムをメインメモリ112に展開し、各コードを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置である。
【0056】
また、実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。
【0057】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置があげられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0058】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0059】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体があげられる。
【0060】
なお、実施形態における情報処理装置10は、プログラムがインストールされたコンピュータではなく、各部に対応したハードウェア、例えば、電子回路を用いることによっても実現可能である。さらに、情報処理装置10は、一部がプログラムで実現され、残りの部分がハードウェアで実現されていてもよい。実施形態において、コンピュータは、
図5に示すコンピュータに限定されることはない。
【0061】
以上、実施形態を参照して発明を説明したが、発明は上述した実施形態に限定されるものではない。発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
上述した記載によれば、異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信を可能にすることができる。また、異なる通信方式のマルチキャストシステム間の通信が必要な分野において有用である。
【符号の説明】
【0063】
10 情報処理装置
11 収集部
12 生成部
13 設定変更部
20 第一のエリア
21、21a、21b、21c 端末装置
22、22a、22b、22c ルータ
23 ルータ網
30 第二のエリア
31 情報供給装置
32、32a、32b、32c、32d ルータ
33 ルータ網
100 システム
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス