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特開2024-151300ダイヤモンド工具およびその製造方法
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151300
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】ダイヤモンド工具およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B24D 7/00 20060101AFI20241017BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20241017BHJP
   B23B 51/04 20060101ALI20241017BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20241017BHJP
   B23B 27/20 20060101ALI20241017BHJP
   B23P 15/28 20060101ALI20241017BHJP
   B23P 15/32 20060101ALI20241017BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20241017BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20241017BHJP
【FI】
B24D7/00 P
B24D3/00 320B
B24D3/00 340
B23B51/04 Z
B23B51/00 M
B23B51/00 P
B23B51/00 L
B23B27/20
B23P15/28 Z
B23P15/32
B23K26/34
B23K26/21 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010063
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0047285
(32)【優先日】2023-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】524036240
【氏名又は名称】シンハン ダイヤモンド インダストリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHINHAN DIAMOND INDUSTRIAL CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】キム シン ギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソン ギュ
(72)【発明者】
【氏名】クォン ウン グァン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジュン ヒョク
【テーマコード(参考)】
3C037
3C046
3C063
4E168
【Fターム(参考)】
3C037AA05
3C037CC08
3C037DD01
3C037DD05
3C046HH04
3C063AA02
3C063AB05
3C063BA04
3C063BA21
3C063BA22
3C063BB02
3C063BC02
3C063BG11
3C063CC02
3C063EE20
3C063FF23
3C063FF30
4E168BA35
4E168BA81
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA26
4E168DA28
4E168DA29
(57)【要約】
【課題】被加工物を加工するための加工装置に結合されるダイヤモンド工具を提供する。
【解決手段】ダイヤモンド工具は、加工装置が前記被加工物の加工を行なうときに発生する切粉を外部へ排出するように備えられた貫通孔を有しているシャンクと、前記シャンクの端部に付着されていることで前記被加工物に接触して加工するセグメントと、前記シャンクの外面において前記貫通孔に隣接する隣接部の表面上において、前記被加工物を加工するときの前記外面の摩耗を抑制する摩耗抑制部と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工するための加工装置に結合されるダイヤモンド工具であって、前記ダイヤモンド工具は、
前記加工装置が前記被加工物の加工を行なうときに発生する切粉を外部へ排出するように備えられた貫通孔を有しているシャンクと、
前記シャンクの端部に付着されていることで、前記被加工物に接触して加工するセグメントと、
前記シャンクの外面において前記貫通孔に隣接する隣接部の表面上において、前記被加工物を加工するときの前記外面の摩耗を抑制する摩耗抑制部と、
を備えている、ダイヤモンド工具。
【請求項2】
前記シャンクは、複数個の前記貫通孔が周りに沿って相互に離隔して形成された円筒状を有しており、
前記セグメントは、円筒状の前記シャンクの端部に付着されており、
前記摩耗抑制部は、相互に隣接する前記貫通孔同士の間に形成されたことを特徴とする、
請求項1に記載のダイヤモンド工具。
【請求項3】
前記シャンクはディスク形状を有しており、
前記シャンクには、前記シャンクの円周方向に沿って相互に離隔しているとともに前記貫通孔に各々連結された複数のスロットが形成されており、
前記セグメントは、ディスク形状の前記シャンクの周辺部に付着されており、
前記摩耗抑制部は、前記円周方向に沿って形成された第1レーザー溶着部を備えていることを特徴とする、
請求項1に記載のダイヤモンド工具。
【請求項4】
前記摩耗抑制部はさらに、
前記シャンクの中心部に形成された第2レーザー溶着部と、
前記第1レーザー溶着部と第2レーザー溶着部との間に配列された複数の第3レーザー溶着部と、
を備えていることを特徴とする、
請求項3に記載のダイヤモンド工具。
【請求項5】
前記摩耗抑制部は、前記シャンクの外面を基準にして前記セグメントとで同一高さであるかまたは低い高さを有していることを特徴とする、
請求項3に記載のダイヤモンド工具。
【請求項6】
前記摩耗抑制部は、50~120HRB範囲の硬度を有していることを特徴とする、
請求項1に記載のダイヤモンド工具。
【請求項7】
前記摩耗抑制部は、
ダイヤモンドおよび金属粉末を有している切削材粒子を有している原料を用いるとともに、前記ダイヤモンドを透過して前記金属粉末を溶融させる波長帯を有しているレーザーを用いる、レーザープリント工程によって形成されることを特徴とする、
請求項1に記載のダイヤモンド工具。
【請求項8】
被加工物の加工を行なうときに発生する切粉を外部へ排出するように備えられた貫通孔を有しているシャンクを形成する段階と、
前記被加工物に接触して加工するセグメントを形成する段階と、
前記セグメントを前記シャンクに接合する段階と、
前記シャンクの外面において前記貫通孔に隣接する表面上において、前記被加工物を加工するときの前記外面の摩耗を抑制する摩耗抑制部を形成する段階と、
を備えていることを特徴とする、ダイヤモンド工具の製造方法。
【請求項9】
前記摩耗抑制部を形成する段階は、前記シャンクの外面上にレーザー光を照射しながら、切削材粒子と、前記切削材粒子よりも比重の大きい金属粉末と、を噴射するレーザープリント工程を行なうことを特徴とする、
請求項8に記載のダイヤモンド工具の製造方法。
【請求項10】
前記レーザープリント工程は、
レーザー発生部と、前記レーザー発生部を移動させる移送部と、および切削材粒子供給部と、を備えているレーザープリント装置を用いることを特徴とする、
請求項9に記載のダイヤモンド工具の製造方法。
【請求項11】
前記レーザー発生部は、500~2,000mm/分の移送速度、0.1~2.0mmのレーザーピッチ、および200~2,000Wのパワー、を有していることを特徴とする、
請求項10に記載のダイヤモンド工具の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、ダイヤモンド工具およびその製造方法に関する。より詳しくは、本発明の実施例は、被加工物に対して切断または穿孔のような加工処理を行ない得るダイヤモンド工具と、前記ダイヤモンド工具を製造するダイヤモンド工具の製造方法と、に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンド工具は、シャンク(shank;本体に該当)と、前記シャンクの端部に配列された複数のセグメントと、を備えている。
前記セグメントの表面には、ダイヤモンド粒子が分布している。そのため、前記ダイヤモンド工具を用いることで、作業者が被加工物に対して切削、研磨、または穿孔作業を行なうことが可能にされている。
【0003】
前記セグメントは、金属粉末からなるボンドと、直接的な切削を行なう工業用ダイヤモンドと、が分布された切削材を備えて構成される。
前記ダイヤモンド工具は、シャンクおよびセグメントの形態によって、ソーブレード型ダイヤモンド工具と、コアビット型ダイヤモンド工具と、に分類され得る。
【0004】
前記ソーブレード型ダイヤモンド工具は、ディスク形態の金属シャンクと、前記シャンクの周辺部に付着された複数のセグメント(Tip;チップ)と、を備えている。前記ソーブレード型ダイヤモンド工具は、被加工物の切削に用いられ得る。
【0005】
コアビット型ダイヤモンド工具は、円筒状の金属シャンクに固定されている複数のセグメント(Tip;チップ)を備えている。前記コアビット型ダイヤモンド工具は、被加工物に穿孔を形成する穿孔作業に用いられ得る。
【0006】
この際、前記セグメントでは、金属粉末(ボンドメタル)同士の間にダイヤモンド粒子が分布しているので、各々のセグメントに分布しているダイヤモンド粒子が切削/研磨を行なうようになる。
【0007】
このような切削/研磨セグメントを製作するべく、通常、粉末冶金法を用いる。具体的に説明すると、粉末形態の金属粉末とダイヤモンド結晶とを混合した混合物を形成した後、前記混合物をセグメント形状に成形する。成形体を高温で加熱することで焼結(sintering)またはホットプレス(hot_pressing)によって、緻密な組織を有している切削/研磨セグメントを形成するようになる。
【0008】
その後、切削/研磨セグメントをシャンクに接合するようになる。このような接合工程の例としては、レーザー溶接工程、銀ろうを用いたろう付け(brazing)工程、焼結による拡散接合(diffusion_bonding)工程、などが挙げられる。
【0009】
このように接合工程によって形成された製品が初期切削を円滑に行なうように、セグメントの表面を砥石などで研磨することでダイヤモンドが外部に露出するようにするドレッシング(dressing)工程を経ることによって、ダイヤモンド工具が最終的に製造され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-081699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、このような工具の製造方法は、切削/研磨セグメントの製作に必要な焼結などの複雑な工程が求められる。切削/研磨セグメントを工具の本体に固定するべく、溶接、溶着、または電着、などの接合工程が必要になるので、切削/研磨工具の製造に多くの工程および多くの設備を必要とするとともに、労動が多く必要であるという問題点がある。
【0012】
一方、前記ダイヤモンド工具に含まれたシャンクが薄い厚さを有しているほど、切削工程に有利となる。しかし、逆に耐久性が悪くなる問題が発生し得る。そこで、前記シャンクが相対的に薄い厚さを有しているにもかかわらず優秀な耐久性を確保できる、ダイヤモンド工具が求められる。
【0013】
さらに、前記ダイヤモンド工具が被加工物に対して加工工程を行なう間に発生する切粉が容易には排出されない場合、シャンクの摩耗が急速に進むという問題が発生し得る。
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するべく案出されたものである。本発明の実施例は、切粉の排出を容易にするだけでなく、優秀な耐久性を有しているシャンクを備えているダイヤモンド工具を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の実施例は、相対的に簡単な工程によって、優秀な耐久性を確保可能なシャンクを有しているダイヤモンド工具の製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の本発明の課題を達成するべく、本発明の実施例によって、被加工物を加工するための加工装置に結合されるダイヤモンド工具が提供される。前記ダイヤモンド工具は、前記加工装置が前記被加工物の加工を行なうときに発生する切粉を外部へ排出するように備えられた貫通孔を有しているシャンクと、前記シャンクの端部に付着されることで前記被加工物に接触して加工するセグメントと、前記シャンクの外面において前記貫通孔に隣接する隣接部の表面上において、前記被加工物を加工するときの前記外面の摩耗を抑制する摩耗抑制部と、を備えている。
【0016】
本発明の一実施例において、前記シャンクは、複数個の前記貫通孔が周りに沿って相互に離隔して形成された円筒状を有している。前記セグメントは、前記円筒状のシャンクの端部に付着されている。前記摩耗抑制部は、相互に隣接する前記貫通孔同士の間に形成される。
【0017】
本発明の一実施例において、前記シャンクはディスク形状を有している。前記シャンクには、前記シャンクの円周方向に沿って相互に離隔しているとともに前記貫通孔に各々連結された複数のスロットが形成されている。前記セグメントは、ディスク形状の前記シャンクの周辺部に付着されている。前記摩耗抑制部は、前記円周方向に沿って形成された第1レーザー溶着部を備えている。
【0018】
ここで、前記摩耗抑制部はさらに、前記シャンクの中心部に形成された第2レーザー溶着部と、前記第1レーザー溶着部と第2レーザー溶着部との間に配列された複数の第3レーザー溶着部と、を含み得る。
【0019】
また、前記摩耗抑制部は、前記シャンクの外面を基準にして、前記セグメントとで同一高さであるかまたは低い高さを有し得る。
本発明の一実施例において、前記摩耗抑制部は、50~120HRB範囲の硬度を有している。
【0020】
本発明の実施例によって、被加工物を加工するための加工装置に結合されるダイヤモンド工具の製造方法が提供される。ダイヤモンド工具の製造方法は、被加工物の加工を行なうときに発生する切粉を外部へ排出するように備えられた貫通孔を有しているシャンクを形成する。ダイヤモンド工具の製造方法は、前記被加工物に接触して加工するセグメントを形成した後、前記セグメントを前記シャンクに接合する。続いてダイヤモンド工具の製造方法は、前記シャンクの外面において前記貫通孔に隣接する表面上において、前記被加工物を加工するときの前記外面の摩耗を抑制する摩耗抑制部を形成する。
【0021】
本発明の一実施例において、前記摩耗抑制部を形成する段階は、前記シャンクの外面上にレーザー光を照射しながら、切削材粒子と、前記切削材粒子よりも比重の大きい金属粉末と、を噴射するレーザープリント工程を行ない得る。
【0022】
ここで、前記レーザープリント工程は、レーザー発生部と、前記レーザー発生部を移動させる移送部と、および切削材粒子供給部と、を備えているレーザープリント装置を用い得る。
【0023】
また、前記レーザー発生部は、500~2,000mm/分の移送速度、0.1~2.0mmのレーザーピッチ、および200~2,000Wのパワー、を有し得る。
【発明の効果】
【0024】
前述したように、本発明によるダイヤモンド工具は、シャンクの外面上において貫通孔同士の間に配列された摩耗抑制部を備えている。これによって、前記貫通孔から切粉が容易に排出されるだけでなく、優秀な耐久性を有しているシャンクを備えているダイヤモンド工具を具現することができる。
【0025】
さらに、本発明の実施例によれば、相対的に簡単なレーザープリント工程によって摩耗抑制部を形成することで、優秀な耐久性を容易に確保可能なシャンクを有しているダイヤモンド工具を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例によるダイヤモンド工具を説明するための斜視図である。
図2図1のダイヤモンド工具を説明するための断面図である。
図3】本発明の別の一実施例によるダイヤモンド工具を説明するための平面図である。
図4図3のダイヤモンド工具を説明するための断面図である。
図5図3に含まれたシャンクおよび摩耗抑制部の、他の例を説明するための正面図である。
図6】本発明の一実施例によるダイヤモンド工具の製造方法を説明するためのフロー図である。
図7】ダイヤモンド工具に含まれた摩耗抑制部を形成するための図6の工程の、一例を説明するための概略図である。
図8】ダイヤモンド工具に含まれた摩耗抑制部を形成するための図6の工程の、他の例を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例は、添付図面を参照して詳細に説明される。しかし、本発明は、以下にて説明される実施例に限定されたとおり構成されるべきものではなく、この他の多様な形で具体化することができる。下記の実施例は、本発明を完全に完成するべく提供されるというよりも、本発明の技術分野における熟練した当業者に、本発明の範囲を十分に伝達するべく提供される。
【0028】
本発明の実施例の一要素が、他の一要素上に配置されるかまたは接続されると説明される場合、上記要素は、前記他の一要素上に直接配置されるかまたは接続されることが可能にされているとともに、他の要素がこれらの間に介在されることも可能にされている。これとは異なり、一要素が他の一要素上に直接配置されるかまたは接続されると説明される場合、それらの間に更に他の要素が存在することはない。多様な要素、組成、領域、層、および/または部分、のような多様な項目を説明するべく、第1、第2、第3、などの用語を使用することができるが、上記の項目はこれらの用語によって限定されることはない。
【0029】
本発明の実施例で使用された専門用語は、単に特定の実施例を説明するための目的として使用されているので、本発明を限定するためのことではない。また、特別に限定しない以上、技術および科学用語を備えている全ての用語は、本発明の技術分野における通常の知識を有している当業者に理解され得る同一の意味を有している。通常の辞書において限定されるものとで同じ上記の用語は、関連技術と本発明の説明の文脈とからその意味に一致する意味を有しているものと解釈されるので、明確に限定されない限り、理想的にまたは過度に外形的な直感で解釈されない。
【0030】
本発明の実施例は、本発明の理想的な実施例の概略的な図解を参照して説明される。これによって、上記図解の形状からの変化、例えば、製造方法および/または許容誤差の変化は、十分予想できるものである。したがって、本発明の実施例は、図解として説明された領域の特定形状に限定されるとおりに説明されることはなく、形状においての偏差を備えている。図面に記載された要素は、全的に概略的なものであり、これらの形状は要素の正確な形状を説明するためのことではなく、また、本発明の範囲を限定することでもない。
【0031】
図1は、本発明の一実施例によるダイヤモンド工具を説明するための斜視図である。図2は、図1のダイヤモンド工具を説明するための断面図である。
図1および図2を参照すると、本発明の一実施例によるダイヤモンド工具50は、加工装置に結合されることで被加工物の加工に使用される。このような加工装置は、前記ダイヤモンド工具50の形状によって表面研磨用または穴加工用などで使用され得る。
【0032】
前記ダイヤモンド工具50は、コアドリルまたはホールカッターのような加工装置に結合可能になるように結合部51を備えている。
ダイヤモンド工具50は、一端に前記加工装置に結合されるための結合部51を有しているシャンク52、セグメント54、および摩耗抑制部59、を備えている。
【0033】
前記シャンク52の他端は、円筒状に形成される。前記シャンク52には、中空58が形成される。この際、前記シャンク52は、加工しようとする被加工物または穿孔形状に応じて多様なサイズが選択されて使用され得る。前記シャンク52の他端には、貫通孔53が形成される。前記貫通孔53は、円筒状のシャンク52の回転軸線方向に向かって貫通する。
【0034】
前記貫通孔53は、前記加工装置が前記被加工物の加工を行なうときに発生する切粉が外部へ排出されるように排出口として機能する。
また、前記貫通孔53は、前記加工装置の駆動中に発生する熱を冷却できるように冷却空間として提供され得る。さらに、前記貫通孔53は、前記加工装置の駆動中に印加される切削負荷に対して、前記シャンク52に柔軟性を提供し得る。
【0035】
セグメント54は、前記シャンク52の他端の周りに所定間隔で備えられる。前記セグメント54の先端部は被加工物に直接接触することで、被加工物を研磨または切削する。この際、前記シャンク52が前記加工装置によって高速で回転する場合、前記セグメント54は、被加工物の表面を研磨するか、または被加工物に穿孔を形成するか、し得る。
【0036】
前記摩耗抑制部59は、前記シャンク52の外面において前記貫通孔53に隣接する隣接部の表面上に形成される。例えば、前記摩耗抑制部59は、相互に隣接する貫通孔53同士の間に配列され得る。
【0037】
前記摩耗抑制部59は、ダイヤモンドおよび金属粉末を含む切削材粒子を原料として用いて形成され得る。前記摩耗抑制部59は、前記ダイヤモンドを透過するとともに前記金属粉末を溶融する波長帯を有しているレーザーを用いるレーザープリント工程によって形成される。
【0038】
前記摩耗抑制部59は、被加工物を加工するのに際し、前記シャンク52の外面の摩耗を抑制し得る。
前記摩耗抑制部59は、被加工物の加工時、ホール(孔)の外周面を追加的に加工することで、前記ダイヤモンド工具50の進入を容易にするとともに、加工寸法を一層精密に維持し得る。
【0039】
一方、コアビット型のダイヤモンド工具50は、摩耗抑制部59を備えていることで、シャンク52の摩耗を抑制し得る。また、前記摩耗抑制部59は、被加工物の穿孔時における前記工具の挟みこみを抑制するとともに、シャンク52の強度を増加させたり、加工時間を短縮したりし得る。
【0040】
図1および図2をさらに参照すると、前記シャンク52は円筒状であり、複数個の前記貫通孔53がシャンク52の周りに沿って相互に離隔して形成されている。この際、前記セグメント54は、前記円筒状のシャンク52の他端部に付着される。
【0041】
一方、前記摩耗抑制部59は、前記貫通孔53同士の間に形成され得る。これによって、前記コアビット型のダイヤモンド工具50が、貫通孔53同士の間に形成された摩耗抑制部59を備えていることで、加工時にセグメント54および摩耗抑制部59によって発生した切粉は、前記貫通孔53から外部へ排出され得る。そのため、残留する切粉による前記シャンク52の表面損傷は抑制されることが可能にされている。
【0042】
本発明の一実施例において、前記摩耗抑制部59は、50~120HRB(ロックウェル硬さの一つ)範囲の硬度を有し得る。例えば、前記金属粉末がコバルト(Co)である場合、前記摩耗抑制部59は、85~110HRB範囲の硬度を有している。前記金属粉末が鉄(Fe)である場合、摩耗抑制部59は、50~80HRB範囲の硬度を有している。一方、前記金属粉末がタングステン(W)である場合、摩耗抑制部59は、110~120HRB範囲の硬度を有している。
【0043】
図3は、本発明の一実施例によるダイヤモンド工具を説明するための平面図である。図4は、図3のダイヤモンド工具を説明するための断面図である。
図3および図4を参照すると、本発明の一実施例によるダイヤモンド工具100は、シャンク110、セグメント120、および摩耗抑制部130、を備えている。前記ダイヤモンド工具100は、ソーブレード型であり得る。前記ダイヤモンド工具100は、被加工物の一部を切断することに使用され得る。
【0044】
前記シャンク110は、ディスク形状を有している。シャンク110には、複数の貫通孔115が円周方向に沿って配列される。前記シャンク110には、複数のスロット116が前記シャンク110の円周方向に沿って相互に離隔して形成される。スロット116は、前記貫通孔115に各々連結される。
【0045】
一方、前記セグメント120は、前記ディスク形状を有しているシャンク110の周辺部に付着される。
前記摩耗抑制部130は、前記シャンク110の側部に形成される。前記摩耗抑制部130は、シャンク110の円周方向に沿って形成された第1レーザー溶着部を備えている。
【0046】
前記ソーブレード型のダイヤモンド工具100は、摩耗抑制部130を備えていることで、シャンク110の摩耗を抑制できる。特に、前記摩耗抑制部130は、前記シャンク110の剛性を補うとともに、シャンク110の側部に対する切削負荷を減少させることができる。さらに、前記摩耗抑制部130は、切断時に発生する発熱現象を減少させるとともに、被加工物の加工時間を短縮させることができる。
【0047】
前記摩耗抑制部130は、前記シャンク110の外面を基準にして前記セグメント120とで同一高さであるか、または低い高さを有し得る。これによって、セグメント120が被加工物を先に加工した状態で摩耗抑制部130が被加工物に接触することで、シャンク110の摩耗を効果的に抑制することが可能にされている。
【0048】
図5は、図3に含まれたシャンクおよび摩耗抑制部の他の例を説明するための正面図である。
図5を参照すると、前記摩耗抑制部230は、第1レーザー溶着部231と、前記シャンク210の中心部に形成された第2レーザー溶着部232と、および前記第1レーザー溶着部231と第2レーザー溶着部232との間に配列された複数の第3レーザー溶着部233と、を含み得る。
【0049】
前記第2レーザー溶着部232はドーナツ状であり得る。一方、前記第3レーザー溶着部233は半月状であり得る。
前記第2レーザー溶着部232および第3レーザー溶着部233は、シャンク210の外面に形成されているので、前記シャンク210の摩耗を追加的に抑制し得る。
【0050】
以下、前述した本発明によるダイヤモンド工具の製造工程およびその作用について説明する。
図6は、本発明の一実施例によるダイヤモンド工具の製造方法を説明するためのフロー図である。
【0051】
図7は、摩耗抑制部を形成するための工程を説明するための概略図である。
図6および図7を参考すると、シャンク110を形成する(S110)。一方、前記シャンク110の周りに備えられるセグメント120を別に形成する(S120)。この際、前記セグメント120は、ダイヤモンド材質の砥粒と、金属粉末である結合剤と、を備えている切削材を混合して成形した後、それを焼結する焼結工程によって形成される。
【0052】
その後、前記セグメント120を前記シャンク110に接合する(S130)。前記セグメント120をシャンク110の端部に接合するべく、レーザー溶接、銀ろうを用いたろう付け(brazing)、または焼結による拡散接合(diffusion_bonding)、などを用い得る。これによって、セグメント120が前記シャンク110に対して優秀な結合力を有していることで、セグメント120の前記シャンク110からの剥離を抑制することができる。
【0053】
続いて、前記シャンク110の外周面には、摩耗抑制部130を形成する(S140)。前記摩耗抑制部130は、下記のように形成され得る。
先ず、シャンク110に隣接して設けられた加熱装置21を用いてシャンク110の表面にレーザー光を照射しながら、切削材粒子と、前記切削材粒子よりも比重の大きい金属粉末と、を噴射するレーザープリント工程を備えている。前記レーザープリント工程によって、シャンク110の表面上に金属粉末が溶着されることで溶着層が形成される。この際、前記溶着層の内部に分布された切削材粒子が含まれる。このように形成された切削材粒子と金属粒子とが溶着した第1溶着層が、摩耗抑制部130として形成される。
【0054】
一方、切削材粒子供給部から供給された切削材粒子と、金属粉末と、は混合部23で混合された後、ノズル24から噴射される。この際、混合部23に供給される切削材粒子と金属粉末との噴射量は、個別的に制御され得る。
【0055】
前記金属粉末は、通常の金属粉末を使用し得る。一例として、Co、Niなどを含む非鉄系の金属グループから選択済みの一種または二種以上の金属を含み得る。
他の例として、前記金属グループから選択済みの一種または二種以上の金属が含まれている合金粉末(pre-alloyed_powder)を含み得る。また、切削材粒子としては、ダイヤモンド粒子を含んでもよく、一例として、ダイヤモンド粒子は最も優秀な硬度を有し得る。
【0056】
また、加熱装置21は、切削材粒子であるダイヤモンドを透過できる波長帯のレーザーを放出するレーザー発生装置からなり得る。このようなレーザー装置としては、CO2レーザー装置、Nd-YAGレーザー装置、ファイバー(fiber)レーザー装置、ダイオード(diode)レーザー装置、ディスク(disk)レーザー装置、のうちのいずれか1つが使用され得る。
【0057】
そして、ダイヤモンド粒子は熱に弱いので、金属粉末が溶融した溶融池の温度が、予め設定された温度を越えないように、加熱装置21の出力が調整されるように構成されることが望ましい。
【0058】
図8は、摩耗抑制部を形成するための工程の他の例を説明するための概略図である。
図6および図8を参考すると、切削材粒子供給部23aから供給された切削材粒子と、金属粉末供給部23bから供給された金属粉末と、がシャンク110に向かって個別的に噴射される。この際、加熱装置21は、切削材粒子であるダイヤモンドを透過できる波長帯のレーザーを放出するレーザー発生装置(21)であり得る。
【0059】
前記レーザープリント工程に用いられる前記レーザー発生装置(21)は、500~2,000mm/分の移送速度、0.1~2.0mmのレーザーピッチ、および200~2,000Wのパワー、を有し得る。
【0060】
図6および図8を参照すると、溶融池の温度を測定する非接触式の温度感知センサ(図示せず)を備えてもよい。制御部(図示せず)は、温度感知センサが感知した溶融池の温度が設定温度を超える場合、加熱装置の出力を低める。逆に、溶融池の温度が設定温度範囲よりも低い場合、溶着層が効果的に生成されるように加熱装置の出力を高め得る。
【0061】
特に、従来の溶着工程の場合、熱処理によるシャンクの変形が発生するという問題がある。一方、従来の電着工程の場合、その工程が複雑であるだけでなく、ダイヤモンドに対するグリップ力が相対的に低いという問題がある。
【0062】
これらとで比較すると、前記レーザープリント工程は、相対的に簡単な工程を有しているとともに、プログラムの細部内容を修正することで工程条件を容易に変更可能にされているだけでなく、さらには、工程自動化の面においても容易である。
【0063】
以上、本発明によるダイヤモンド工具を、例示された図面を参照して説明した。しかし本発明は、前述した実施例と図面とによって限定されず、本発明が属する技術分野における通常の知識を有している者によって特許請求の範囲内で多様な修正および変形が可能にされていることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
50、100…ダイヤモンド工具。
51…結合部。
52、110…シャンク。
【0065】
54、120…セグメント。
59、130…摩耗抑制部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8