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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151634
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電子機器及び電子機器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20241018BHJP
   G07F 7/08 20060101ALI20241018BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20241018BHJP
   G06Q 20/24 20120101ALI20241018BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20241018BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G07F7/08 Z
G06F3/044 120
G06Q20/24
G06Q20/06 300
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065135
(22)【出願日】2023-04-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】上井 修智
(72)【発明者】
【氏名】庄田 有作
(72)【発明者】
【氏名】狩野 大輝
【テーマコード(参考)】
3E044
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E044BA04
3E044BA05
3E044EB02
3E044FA20
5L020AA15
5L020AA52
5L055AA15
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの近傍に近距離無線通信アンテナが配置された場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、電気的に入力を検出するタッチパネルと、タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、タッチパネルにおける通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出感度を低下させるプロセッサと、を備える。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に入力を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、
前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出感度を低下させるプロセッサと、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記タッチパネルは、前記第1の検出領域と、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重ならない検出領域である第2の検出領域と、を含み、
前記プロセッサは、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は前記近距離無線通信可能状態である場合、第2の検出領域での検出を有効化し、前記第1の検出領域での検出を無効化する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信が完了した場合、前記第1の検出領域での検出の無効化を解除する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記近距離無線通信可能状態は、前記近距離無線通信アンテナによる近距離無線通信が可能な近距離無線通信モードに設定されている状態、又は前記近距離無線通信アンテナを制御するアンテナ制御回路の電源がオンである状態を含む、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記プロセッサは、
所定の決済処理を実行可能であり、
前記決済処理を行うための決済方式としてクレジットカード決済方式又は電子マネー決済方式が指定された場合、前記アンテナ制御回路の電源をオンにする、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
磁気カードを読取可能な磁気カードリーダと、
接触ICカードを読取可能な接触ICカードリーダと、を更に備え、
前記プロセッサは、クレジットカード決済方式が指定された場合、前記磁気カードリーダ、前記接触ICカードリーダ、及び前記アンテナ制御回路の電源をオンにする、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記タッチパネルにおける有効化された前記第2の検出領域内に、入力操作を受ける操作ボタンを再配置する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項8】
電気的に入力を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、を備える電子機器の制御方法であって、
前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出感度を低下させる、
電子機器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器及び電子機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の領域の感知領域が設定された車両搭載用のタッチパネルが知られている。このタッチパネルは、感知領域の面積を、通常状態より拡大した状態と、通常状態の2つの状態に切替制御する制御手段を備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-265544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のタッチパネルが近距離無線通信アンテナと近い位置に配置されている場合、近距離無線通信アンテナの動作時に通信電波などがタッチパネルの静電容量値に干渉し得る。そのため、タッチパネルに誤動作が生じる可能性がある。
【0005】
本開示は、タッチパネルの近傍に近距離無線通信アンテナが配置された場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる電子機器及び電子機器の制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、電気的に入力を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出感度を低下させるプロセッサと、を備える電子機器である。
【0007】
本開示の一態様は、電気的に入力を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、を備える電子機器の制御方法であって、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出感度を低下させる、電子機器の制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、コード決済時に、媒体に表示されたコードを撮像するカメラに対して媒体の位置を容易に案内できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態に係るタッチパネルを備えた電子機器の全体構成図
図2A】電子機器の一部の構成が省略された状態の全体構成図
図2B図2AにおけるA-A’線に沿った断面図
図2C図2AにおけるB-B’線に沿った断面図
図3】電子機器の構成例を示すブロック図
図4A】タッチパネルの有効化領域がタッチパネルの全域であることを示す電子機器の上面図
図4B図4AにおけるC-C’線に沿った断面図
図5A】タッチパネルの有効化領域がタッチパネルの一部の領域であることを示す電子機器の上面図
図5B図5AにおけるD-D’線に沿った断面図
図6】電子機器における操作ボタンの配置例を示す図
図7】電子機器の第1動作例を示すフローチャート
図8】電子機器の第2動作例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、本開示の実施形態に係るタッチパネルを備えた電子機器の全体構成図である。各図では、X方向はタッチパネル面に沿う一方向(例えば短手方向)であり、Y方向はタッチパネル面に沿いX方向と垂直な方向である。Z方向はタッチパネル面に垂直な方向である。
【0012】
電子機器100は、筐体10と、保護板20と、NFC(Near Field Communication)アンテナ120と、タッチパネル130と、LCD(Liquid Crystal Display)モジュール140と、を備える。また、電子機器100は、第1カードスロット16sと、第2カードスロット17sと、カメラ25と、を備える。電子機器100は、例えば決済処理を行う決済処理装置である。
【0013】
電子機器100は、商品等の購入者が複数の決済方式を選択することができる、複合タイプである。複数の決済方式は、例えば、クレジットカード決済、電子マネー決済、コード(例えばQRコード(登録商標))決済、及び現金決済を含む。クレジットカード決済は、例えば、磁気カード決済、接触ICカード決済、及び非接触ICカード決済を含む。電子マネーは、複数種類の電子マネーが存在してよい。電子マネー決済及び非接触ICカード決済は、非接触通信(例えば近距離無線通信:NFC(Near field communication))を用いて決済が行われるので、ここではまとめて非接触型決済とも称する。
【0014】
複数の決済方式は、対応する複数の決済インタフェースのそれぞれを用いて行われる。複数の決済インタフェースは、例えばクレジットカード、電子マネーカードC32、コード、及び現金を含む。クレジットカードは、例えば、磁気カードC1、接触ICカードC2、及び非接触ICクレジットカードC31を含む。
【0015】
磁気カードC1は、第1カードスロット16sに挿入されて決済に使用される。接触ICカードC2は、第2カードスロット17sに挿入されて決済に使用される。非接触ICクレジットカードC31及び電子マネーカードC32は、NFCアンテナ120に接近させて決済に使用される。非接触ICクレジットカードC31及び電子マネーカードC32を、まとめて「非接触ICカードC3」とも称する。
【0016】
筐体10は、電子機器100の外装を構成し、他の部品を収納する。なお、図2B及び図2Cでは、保護板20のみを図示し、筐体10の図示は省略している。保護板20はタッチパネル130の上面に配置され、タッチパネル130を保護する。
【0017】
NFCアンテナ120は、近距離無線通信用の通信アンテナ(近距離無線通信アンテナ)である。NFCアンテナ120は、近距離無線通信により、非接触型ICカード又は高周波識別装置タグ等の通信媒体を検出し、検出した通信媒体との間で無線通信する。NFCアンテナ120は、例えば、電子機器100に近接した通信媒体である非接触ICカードC3との間で近距離無線通信を行い、情報を送受する。電子機器100は、NFCアンテナ120を介して非接触ICカードC3の情報を読み取り、又は非接触ICカードC3に情報を書き込んでよい。本実施形態では、通信媒体として非接触ICカードC3を主に例示する。
【0018】
例えば、ユーザが、NFCアンテナ120と通信可能な非接触ICカードC3を把持し、電子機器100に近づける。これにより、非接触ICカードC3とNFCアンテナ120との間で非接触無線通信が行われ、決済に関する情報等が送受される。
【0019】
タッチパネル130は、ユーザの指又はスタイラスペン等の指示体による入力を電気的に検出するユーザーインターフェースを提供する。タッチパネル130は、抵抗膜方式又は静電容量方式等の種々の方式のものがあるが、特にその種類は限定されない。タッチパネル130は、例えば、店員等や顧客による決済処理に関する各種のデータや情報(例えば決済方法の選択、暗証番号、PIN(Personal Identification Number)、又は電子サイン等)の入力操作を受け付け、この入力を検出する。タッチパネル130は、NFCアンテナ120の近傍に配置される。例えば、タッチパネル130の検出領域DRの少なくとも一部とNFCアンテナ120の通信可能領域NRとが重なる(後述する図4A参照)。
【0020】
LCDモジュール140は、いわゆる液晶表示装置であり、液晶セル、偏光板など種々の部材を含むが、その種類は特に限定されない。また、LCDモジュール140の代わりに他の表示装置(例えば有機エレクトロルミネッセンス)を用いてもよい。LCDモジュール140は、例えば、決済処理に関する各種のデータや情報を表示する。
【0021】
電子機器100は、設置位置が固定された機器(据え置き型)であってもよいし、ユーザによって持ち運び可能な機器(可搬型、ハンドヘルド型)であってもよい。また、設置位置が固定された機器に非接触ICカードC3が埋め込まれ、ユーザが持ち運び可能な電子機器100を非接触ICカードC3の部分に近づけてもよい。電子機器100は、例えばスマートフォンと同様のサイズでよい。電子機器100は、例えば筐体10が平面視で矩形であるが、他の形状であってもよい。また、NFCアンテナ120は、例えば平面視で矩形であるが、他の形状であってもよい。
【0022】
図2Aは、電子機器100の一部の構成(例えば第1カードスロット16s、第2カードスロット17s、及びカメラ25)が省略された状態の全体構成図である。図2Bは、図2AにおけるA-A’線に沿った断面図である。図2Cは、図2AにおけるB-B’線に沿った断面図である。図2B及び図2Cに示すように、Z方向正側(上方)から順に、保護板20、タッチパネル130、LCDモジュール140、及びNFCアンテナ120が配置される。
【0023】
図3は、電子機器100の構成例を示すブロック図である。電子機器100は、プロセッサ110と、NFCアンテナ120と、タッチパネル130と、LCDモジュール140と、メモリ150と、を備える。また、電子機器100は、NFC_IC14と、第1カードリーダ16と、第2カードリーダ17と、カメラ25と、通信部28と、を備える。
【0024】
プロセッサ110は、メモリ150に保持されたプログラムを実行することで、各種機能を実現する。プロセッサ110は、MPU(Micro processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)等を含んでよい。プロセッサ110は、各種集積回路(例えばLSI(Large Scale Integration)又はFPGA(Field Programmable Gate Array))により構成されてもよい。プロセッサ110は、電子機器100の各部を統括的に制御し、各種処理を行う。
【0025】
プロセッサ110は、例えば、各種の決済方式に従った決済(例えばクレジットカード決済、電子マネー決済、コード決済、又は現金決済)に関する処理を行う。コード決済は、二次元コード等のコードを用いた決済である。また、プロセッサ110は、所定の条件に応じて、タッチパネル130の検出状態、検出範囲、又は検出感度等を制御する。
【0026】
メモリ150は、各種データ、情報、又はプログラム等を記憶する。メモリ150は、一次記憶装置(例えばRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory))を含み、例えばフラッシュメモリである。メモリ150は、一次記憶装置以外のメモリを備えてもよい。
【0027】
NFC_IC14は、NFCアンテナ120に対する処理を行う。例えば、NFC_IC14は、NFCアンテナ120への電力供給、NFCアンテナ120を介したデータ通信を制御する。つまり、NFC_IC14は、アンテナ制御回路の一例である。
【0028】
NFC_IC14は、NFCアンテナ120を介して、非接触ICクレジットカードC31が保持する情報を取得する(読み取る)。NFC_IC14は、この情報を非接触読取情報として、プロセッサ110に送る。非接触ICクレジットカードC31が保持する情報及び非接触読取情報は、例えば、クレジットカードの識別番号を含む。また、NFC_IC14は、NFCアンテナ120を介して、電子マネーカードC32が保持する情報を取得する(読み取る)。NFC_IC14は、この情報を電子マネー読取情報として、プロセッサ110に送る。電子マネーカードC32が保持する情報及び電子マネー読取情報は、例えば、電子マネーカードC32の識別番号を含む。
【0029】
NFCアンテナ120は、例えばループコイルで形成される。NFCアンテナ120は、NFC_IC14から電力供給を受け、電波を発生する。NFCアンテナ120から所定距離以内の領域は、NFCアンテナ120と非接触通信可能な通信可能領域である。この通信可能領域内に非接触ICカードC3が配置されると、NFCアンテナ120からの電波が非接触ICカードC3に到達し、NFCアンテナ120が非接触ICカードC3に起動電力を与える。これにより、NFCアンテナ120は、非接触ICカードC3との間でデータを通信する。
【0030】
第1カードリーダ16は、磁気カードリーダである。第1カードリーダ16は、磁気カードC1が保持する情報を読み取り、読み取った情報を磁気読取情報としてプロセッサ110に送る。磁気カードC1が保持する情報及び磁気読取情報は、例えば、クレジットカードの識別番号を含む。
【0031】
第2カードリーダ17は、接触ICカードリーダである。第2カードリーダ17は、接触ICカードC2が保持する情報を読み取り、読み取った情報を接触読取情報としてプロセッサ110に送る。接触ICカードC2が保持する情報及び接触読取情報は、例えば、クレジットカードの識別番号、を含む。
【0032】
カメラ25は、被写体を撮像し、撮像画像を得る。カメラ25は、例えば、購入者の携帯端末に表示されたコード(例えば二次元コード)を撮像し、撮像画像をプロセッサ110に送る。プロセッサ110は、この撮像画像を解析し、二次元コード等が示す決済に必要な識別情報を認識する。なお、携帯端末は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又はその他の携帯端末であり、コードを表示する表示面を有する。
【0033】
通信部28は、有線又は無線によって外部装置(例えばPOS(Point of Sale)、キャッシュドロワ)との間で通信する。通信部28は、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブルやLAN(Local Area Network)ケーブルを介して通信してもよいし、無線LANや無線WAN(Wide Area Network)や携帯電話網を介して通信してもよい。
【0034】
次に、タッチパネル130の具体的な構成及び入力検出について説明する。
【0035】
タッチパネル130は、タッチパネル面において、入力を検出する検出点が格子状に配置されている。例えば図1におけるX方向及びY方向に沿って各検出点が格子状に配置されている。各検出点は、それぞれ入力を検出可能である。なお、各検出点は、格子状以外の形状となるように配置されてもよい。
【0036】
タッチパネル130は、入力を検出する検出感度を調整可能である。この場合、タッチパネル130は、検出点毎に、検出感度を調整可能でよい。また、検出感度の調整では、検出可能な状態(有効化状態)と検出不能な状態(無効化状態)との2つの感度から選択されてもよく、つまりタッチパネル130による入力検出機能のオンオフが選択可能であってよい。また、検出感度の調整では、検出感度の強度が多段階で調整可能であってもよい。また、検出不能な無効化状態とは、検出自体行わないこと、又は、検出自体は行うが検出してもその検出結果を他の処理に用いないこと、を含んでもよい。
【0037】
また、タッチパネル130は、入力を検出可能な検出領域DRが複数の検出領域DRに分割され、複数の分割検出領域SDRを有してもよい。例えば、タッチパネル130は、分割検出領域SDR1と分割検出領域SDR2とを有してよい。なお、分割検出領域SDRの数は2つでなくてもよく、3つ以上であってもよい。
【0038】
分割検出領域SDR1は、タッチパネル130においてNFCアンテナ120の近傍の領域であってよい。分割検出領域SDR1内の各検出点は、NFCアンテナ120による近距離無線通信が可能な通信可能領域NR内にある。よって、分割検出領域SDR1での電気的な入力の検出と、NFCアンテナ120による近距離無線通信とは、同時に実施されると電気的に干渉し得る。
【0039】
一方、分割検出領域SDR2は、タッチパネル130においてNFCアンテナ120から離間した領域であってよい。分割検出領域SDR2内の各検出点は、NFCアンテナ120による近距離無線通信が可能な通信可能領域NRの外側にある。よって、分割検出領域SDR2での電気的な入力の検出と、NFCアンテナ120による近距離無線通信とは、同時に実施されても電気的に干渉しない。
【0040】
なお、後述する図4Aに示すように、分割検出領域SDR1は、X方向及びY方向において、NFCアンテナ120により包囲される領域の外周と一致してもしなくてもよい。例えば、NFCアンテナ120により包囲される矩形の領域よりも多少外側であってもNFCアンテナ120による近距離無線通信の電波が到達する可能性があるので、NFCアンテナ120が包囲する領域から所定距離以内の領域が分割検出領域SDR1に含まれるように、分割検出領域SDR1が定められてもよい。つまり、タッチパネル130は、所定のタイミングにおいて入力検出が可能な有効化範囲をNFCアンテナ120の配置位置に重ならないようにして、クリアランスを確保してよい。なお、タッチパネル130における各分割検出領域SDRの位置は、予め定められていてもよいし、例えばタッチパネル130への入力に基づいてユーザ所望の範囲を任意に指定可能であってもよい。
【0041】
また、タッチパネル130は、タイミングに応じて、各分割検出領域SDRが入力を検出可能な有効化領域である状態と、各分割検出領域SDRが入力を検出不能な無効化領域である状態と、を切り替えてもよい。有効化状態の検出点の集合が、タッチパネル130における入力を検出可能な有効化領域となる。例えば、分割検出領域SDR1内の各検出点が有効化状態である場合、分割検出領域SDR1は有効化領域である。分割検出領域SDR1内の各検出点が無効化状態である場合、分割検出領域SDR1は無効化領域である。電子機器100は、分割検出領域SDR1を有効化領域又は無効化領域で切り替えることで、NFCアンテナ120を用いた近距離無線通信及びタッチパネル130による入力検出と、NFCアンテナ120とタッチパネル130との電気的な干渉の発生の抑制と、を両立できる。
【0042】
なお、前述のように、分割検出領域SDR2におけるタッチパネル130の電気的な入力の検出は、NFCアンテナ120による近距離無線通信に電気的に干渉しない。そのため、タッチパネル130の動作時には分割検出領域SDR2内の各検出点は常に有効化状態でよく、つまり常に分割検出領域SDR2が有効化領域であってよい。このように、タッチパネル130は、所定の条件に応じて有効化領域が可変であってよい。
【0043】
次に、プロセッサ110の具体的な処理例について説明する。
【0044】
プロセッサ110は、NFCアンテナ120により近距離無線通信を実行中であるか否かに基づいて、タッチパネル130の検出状態を変更してよい。タッチパネル130の検出状態の変更は、タッチパネル130の有効化領域の変更や、タッチパネル130の検出感度の変更を含んでよい。
【0045】
例えば、プロセッサ110は、NFCアンテナ120により近距離無線通信を実行中である場合には、分割検出領域SDR1を無効化領域とし、分割検出領域SDR2を有効化領域とするように、タッチパネル130の有効化領域を決定してよい。例えば、プロセッサ110は、タッチパネル130において、分割検出領域SDR1では入力検出せず、分割検出領域SDR2では入力検出するよう制御してよい。
【0046】
例えば、プロセッサ110は、NFCアンテナ120により近距離無線通信を実行中でない場合には、分割検出領域SDR1を有効化領域とし、分割検出領域SDR2を有効化領域とするように、タッチパネル130の有効化領域を決定してよい。つまり、プロセッサ110は、タッチパネル130において、分割検出領域SDR1及び分割検出領域SDR2の双方を含む検出領域DRの全域で入力検出するよう制御してよい。
【0047】
なお、プロセッサ110は、NFCアンテナ120により近距離無線通信を実行中である場合には、分割検出領域SDR1での入力検出を無効化までするのではなく、分割検出領域SDR1での検出感度を低下させるだけでもよい。これによっても、電子機器100は、NFCアンテナ120による近距離無線通信とタッチパネル130による入力検出との電気的な干渉は低減でき、タッチパネル130の誤動作を改善できる。
【0048】
また、プロセッサ110は、電子機器100の動作モードを設定してよい。電子機器100の動作モードは、NFC通信が可能なNFCモードと、NFC通信が不可能な非NFCモードと、を少なくとも含む。NFCモードでは、NFCアンテナ120が、近距離無線通信用のポーリング(polling)を行い、電波を発信する。非NFCモードでは、NFCアンテナ120が、近距離無線通信用のポーリングを行わず、電波を発信しない。動作モードの設定情報は、メモリ150に保持される。
【0049】
プロセッサ110は、動作モードがNFCモードであるか非NFCモードであるか否かに基づいて、タッチパネル130の検出状態を変更してよい。例えば、プロセッサ110は、動作モードがNFCモードである場合には、分割検出領域SDR1を無効化領域とし、分割検出領域SDR2を有効化領域とするように、タッチパネル130の有効化領域を決定してよい。例えば、プロセッサ110は、動作モードが非NFCモードである場合には、分割検出領域SDR1を有効化領域とし、分割検出領域SDR2を有効化領域とするように、タッチパネル130の有効化領域を決定してよい。
【0050】
NFCモードに設定された場合には、NFCアンテナ120を用いた近距離無線通信が実行される可能性が高いので、電子機器100は、この段階でタッチパネル130の有効化領域を変更しておくことで、タッチパネル130の誤動作を予防できる
【0051】
また、プロセッサ110は、特定の決済方式が選択されたか否かに基づいて、タッチパネル130の検出状態を変更してよい。例えば、プロセッサ110は、NFCアンテナ120による近距離無線通信が使用される決済方式が選択された場合には、分割検出領域SDR1を無効化領域とし、分割検出領域SDR2を有効化領域とするように、タッチパネル130の有効化領域を決定してよい。例えば、プロセッサ110は、NFCアンテナ120による近距離無線通信が使用されない決済方式が選択された場合には、分割検出領域SDR1を有効化領域とし、分割検出領域SDR2を有効化領域とするように、タッチパネル130の有効化領域を決定してよい。NFCアンテナ120による近距離無線通信が使用される決済方式は、例えば、クレジットカード決済や電子マネー決済が含まれてよい。
【0052】
NFCアンテナ120による近距離無線通信が使用される決済方式が選択された場合には、NFCアンテナ120を用いた近距離無線通信が実行される可能性が高いので、電子機器100は、この段階でタッチパネル130の有効化領域を変更しておくことで、タッチパネル130の誤動作を予防できる。
【0053】
なお、タッチパネル130の誤動作は、例えば、タッチパネル130による入力の誤検出であり、入力されなかった情報を検出したり、入力された情報を検出しなかったりすることでよい。また、電子機器100は、プロセッサ110の決定によりユーザの操作を必要とせずにタッチパネル130による検出状態を自動的に変更できるので、ユーザの利便性が向上する。
【0054】
次に、タッチパネル130における有効化領域の一例について説明する。
【0055】
図4Aは、タッチパネル130の有効化領域ARがタッチパネル130の全域であることを示す上面図である。図4Bは、図4AにおけるC-C’線に沿った断面図である。
【0056】
図4A及び図4Bでは、タッチパネル130のY方向正側に位置する分割検出領域SDR1もタッチパネル130のX方向正側に位置する分割検出領域SDR2も有効化領域ARとなっている。この場合、分割検出領域SDR1及び分割検出領域SDR2への入力操作は検出され、入力として扱われる、つまり入力が有効化される。
【0057】
図5Aは、タッチパネル130の有効化領域ARがタッチパネル130の一部の領域であることを示す上面図である。図5Bは、図5AにおけるD-D’線に沿った断面図である。
【0058】
図5A及び図5Bでは、タッチパネル130のY方向負側に位置する分割検出領域SDR2が有効化領域ARとなっており、タッチパネル130のY方向正側つまりNFCアンテナ120の近傍に位置する分割検出領域SDR1が無効化領域IRとなっている。この場合、分割検出領域SDR1への入力操作は検出されず、又は、分割検出領域SDR1への入力操作は入力として扱われない、つまり入力が無効化される。一方、分割検出領域SDR2への入力操作は検出され、入力として扱われる、つまり入力が有効化される。
【0059】
なお、図5A及び図5Bでは、タッチパネル130の有効化領域ARの範囲は、Y方向における1/2或いは1/3程度の範囲であるが、他の割合の範囲であってもよい。
【0060】
図6は、電子機器100における操作ボタンの配置例を示す図である。
【0061】
図6では、電子機器100が決済処理を実行中であり、分割検出領域SDR1が無効化領域IRである状態を示している。図6では、分割検出領域SDR1には操作ボタンMBが配置されず、分割検出領域SDR2に操作ボタンMB(例えば取消ボタン)が配置されている。例えば、NFCアンテナ120の通信状態によらずに、つまり常に分割検出領域SDR1には操作ボタンMBが配置されず、分割検出領域SDR2に操作ボタンMBが配置されるようにしてもよい。また、NFCアンテナ120が通信していない際には分割検出領域SDR1に操作ボタンMBが配置されており、NFCアンテナ120の通信中には分割検出領域SDR1に操作ボタンMBが配置されるように変更されてもよい。操作ボタンMBの配置の変更は、プロセッサ110によって実施されてもよい。
【0062】
つまり、プロセッサ110は、NFCアンテナ120の通信状態に基づいて、操作ボタンMBの配置位置やレイアウトを変更してもよい。この場合、プロセッサ110は、有効化領域ARである分割検出領域SDR2内に操作ボタンMBが再配置されるように制御してよい。これにより、電子機器100は、有効化領域ARを変更した場合であっても、有効化領域AR内に操作ボタンMBが常時配置されることになり、操作ボタンMBの操作が可能な状態を確保できる。
【0063】
次に、電子機器100の動作例について説明する。
図7は、電子機器100の第1動作例を示すフローチャートである。
【0064】
まず、プロセッサ110は、非接触ICカードC3の通信状態を確認する(S11)。この場合、プロセッサ110は、NFCアンテナ120が非接触ICカードC3と通信中(近距離無線通信中)であるか否かを判定する(S12)。
【0065】
NFCアンテナ120が非接触ICカードC3と通信中であると判定された場合、プロセッサ110は、タッチパネル130の有効化領域ARを変更する(S13)。この場合、プロセッサ110は、分割検出領域SDR1を有効化領域ARから無効化領域IRに変更する。つまり、プロセッサ110は、分割検出領域SDR1及び分割検出領域SDR2の双方が有効化領域ARである状態から、分割検出領域SDR2のみが有効化領域ARである状態に変更する。
【0066】
プロセッサ110は、NFCアンテナ120が非接触ICカードC3との通信が完了したか否かを判定する(S14)。非接触ICカードC3との通信が完了したと判定された場合、プロセッサ110は、タッチパネル130の有効化領域ARの変更を解除する(S15)。この場合、プロセッサ110は、分割検出領域SDR1を無効化領域IRから有効化領域ARに変更する。つまり、プロセッサ110は、分割検出領域SDR2のみが有効化領域ARである状態から、分割検出領域SDR1及び分割検出領域SDR2の双方が有効化領域ARである状態に変更する。
【0067】
ステップS15の処理後、プロセッサ110は、ステップS11の処理に再び進み、図7の処理を繰り返す。
【0068】
このような電子機器100の第1動作例によれば、電子機器100は、例えばNFCアンテナ120の通信状態がNFC200との間での通信中に遷移したことを検出した場合、タッチパネル130の有効化領域ARを変更することで、タッチパネル130による入力検出とNFCアンテナ120による近距離無線通信とが電気的に干渉することを抑制できる。また、NFCアンテナ120の通信状態がNFC200との間での通信が完了した通信完了状態に遷移したことを検知した場合、タッチパネル130の有効化領域ARを元の状態に変更(つまり変更を解除)することで、タッチパネル130による検出感度や検出可能領域を制限せずに、好適に入力検出できる。
【0069】
なお、第1動作例では、プロセッサ110が、NFCアンテナ120を用いた近距離無線通信中であるか否かに基づいて、タッチパネル130の有効化領域を変更することを例示したが、これに限られない。例えば、プロセッサ110が、動作モードとしてNFCモードが設定されているか否かに基づいて、タッチパネル130の有効化領域を変更してもよい。
【0070】
図8は、電子機器100の第2動作例を示すフローチャートである。図8では、電子機器100が決済処理を行う際にタッチパネル130の有効化領域を制御することを例示している。
【0071】
まず、プロセッサ110は、決済方式を選択する(S21)。この場合、例えば、店員又は顧客(購入者)がタッチパネル130を操作し、タッチパネル130が入力操作を受け付け、プロセッサ110がこの入力操作に応じて決済方式を選択する。
【0072】
決済方式としてクレジットカード決済が選択された場合、プロセッサ110は、3面待ちを行うための各デバイスのオンオフを設定する。3面待ちとは、クレジットカード機能を有する3つのカード(磁気カードC1、接触ICカードC2及び非接触ICクレジットカードC31)のいずれについても、電子機器100が読み取り可能な状態にすることである。具体的には、プロセッサ110は、第1カードリーダ16の電源をオン(磁気:ON)にし、第2カードリーダ17の電源をオン(接触IC:ON)にし、NFC_IC14の電源をオン(非接触IC:ON)にする(S22)。これにより、NFCアンテナ120は、近距離無線通信可能となる。
【0073】
また、決済方式として電子マネー決済が選択された場合、プロセッサ110は、NFC_IC14の電源をオン(非接触IC:ON)にする(S22)。これにより、NFCアンテナ120は、近距離無線通信可能となる。
【0074】
続いて、プロセッサ110は、タッチパネル130の有効化領域ARを変更する(S23)。この場合、プロセッサ110は、分割検出領域SDR1を有効化領域ARから無効化領域IRに変更する。つまり、プロセッサ110は、分割検出領域SDR1及び分割検出領域SDR2の双方が有効化領域ARである状態から、分割検出領域SDR2のみが有効化領域ARである状態に変更する。
【0075】
続いて、プロセッサ110は、非接触ICカードC3が電子機器100に近づけられると、NFCアンテナ120と非接触ICカードC3とが近距離無線通信を行って非接触ICカードC3から情報を読み取り、この情報を非接触読取情報として取得する。プロセッサ110は、取得された非接触読取情報を用いて決済処理を実行する(S24)。決済処理は、電子機器100のプロセッサ110と決済センタの決済サーバにより、連携して実行される。
【0076】
この決済処理では、例えば以下の処理が行われる。プロセッサ110は、非接触読取情報を暗号化し、通信部28を介して暗号化された非接触読取情報を含む決済要求情報を決済サーバに送信する。この決済要求情報は、例えば、クレジットカードの識別番号、決済金額、等を含んでよい。決済サーバは、電子機器100から決済要求情報を受信し、決済サーバが保持する情報と照合し、決済を試みる非接触ICカードC3による決済の許否を判定する。この決済が許可された場合、決済サーバは、この非接触ICカードC3による決済を実行し、商品やサービスの購入の取引を完了する。決済サーバは、決済の完了通知を電子機器100に送信する。プロセッサ110は、通信部28を介して決済の完了通知を受信すると、決済処理を完了する。なお、決済処理の流れは、この例示に限られない。
【0077】
決済処理が完了すると、プロセッサ110は、タッチパネル130の有効化領域ARの変更を解除する(S25)。この場合、プロセッサ110は、分割検出領域SDR1を無効化領域IRから有効化領域ARに変更する。つまり、プロセッサ110は、分割検出領域SDR2のみが有効化領域ARである状態から、分割検出領域SDR1及び分割検出領域SDR2の双方が有効化領域ARである状態に変更する。
【0078】
一方、ステップS21において決済方式としてコード決済又は現金決済等が選択された場合、つまりNFCアンテナ120を用いない決済方式が選択された場合、プロセッサ110は、少なくともNFC_IC14をオフ(非接触IC:OFF)にする。これにより、NFCアンテナ120は、近距離無線通信不能となる。そして、プロセッサ110は、タッチパネル130の有効化領域ARを変更せず、タッチパネル130の全域が有効化された状態を維持して、コード決済又は現金決済等での決済処理を実行する(S26)。
【0079】
ステップS25又はステップS26の処理後、プロセッサ110は、ステップS21の処理に再び進み、図8の処理を繰り返す。
【0080】
このような電子機器100の第2動作例によれば、クレジットカード決済又は電子マネー決済の決済方式が選択された場合、電子機器100は、少なくともNFC_IC14をオンにし、タッチパネル130の有効化領域を変更する。第2動作例では、電子機器100は、非接触ICカードC3が電子機器100へ近づけられていない状態でも、NFCアンテナ120が発出する非接触ICカードC3の検出のためのポーリング信号に起因して、タッチパネル130が電気的な干渉を受けることを抑制できる。また、NFCアンテナ120による近距離無線通信を使用しない決済を行う際には、タッチパネル130による検出を特に制限せずに、タッチパネル130の検出感度を低下させずに使用可能である。
【0081】
なお、図7のステップS13や図8のステップS23のように、有効化領域が変更された場合には、プロセッサ110は、この有効化領域を表示してもよい。例えば、プロセッサ110は、タッチパネル130の全域とタッチパネル130における有効化領域とをタッチパネル130に表示させることで、ユーザは有効化領域を容易に把握できる。また、電子機器100がスピーカを備え、有効化領域の情報を音声等の音により出力してもよい。このような音出力によっても、ユーザは有効化領域を容易に把握できる。
【0082】
同様に、図7のステップS15や図8のステップS25のように、有効化領域の変更が解除された場合には、プロセッサ110は、解除後の有効化領域を表示してもよい。例えば、プロセッサ110は、タッチパネル130の全域とタッチパネル130における解除後の有効化領域とを区別可能に(例えば有効化領域を枠で囲んだり着色したりして)タッチパネル130に表示させることで、ユーザは解除後の有効化領域を容易に把握できる。また、電子機器100がスピーカを備え、解除後の有効化領域の情報を音声等の音により出力してもよい。このような音出力によっても、ユーザは解除後の有効化領域を容易に把握できる。
【0083】
このように、本実施形態の電子機器100は、タッチパネル130とノイズ源(例えばNFCアンテナ120)がより近い距離、例えばタッチパネル130とノイズ源とが重なる位置関係で配置されている場合でも、ノイズ源の動作時に通信電波などがタッチパネルの静電容量値に干渉して誤動作が発生することを抑制できる。よって、電子機器100は、NFCアンテナ120を用いた近距離無線通信を可能にしつつ、タッチパネル130による入力の誤検出を抑制できる。よって、また、タッチパネル130とノイズ源とを物理的に離した位置に配置することを不要にでき、電子機器100を小型化しつつ、タッチパネル130による入力の誤検出を抑制できる。
【0084】
(本開示の実施形態の概要)
以上により、本開示には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を例示しているが、これに限定されるものではない。
【0085】
(1)電気的に入力を検出するタッチパネル(タッチパネル130)と、
前記タッチパネルの検出領域(検出領域DR)の少なくとも一部と重なる通信可能領域(通信可能領域NR)を有する近距離無線通信アンテナ(NFCアンテナ120)と、
前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域(分割検出領域SDR1)での検出感度を低下させるプロセッサ(プロセッサ110)と、
を備える電子機器(電子機器100)。
【0086】
これにより、電子機器は、タッチパネルと電気的に干渉し得る部材とが近い位置に配置された場合でも、近距離無線通信中又は近距離無線通信可能状態である場合には、タッチパネルが入力を検出し難くなるので、タッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0087】
(2)前記タッチパネルは、前記第1の検出領域と、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重ならない検出領域である第2の検出領域(分割検出領域SDR2)と、を含み、
前記プロセッサは、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は前記近距離無線通信可能状態である場合、第2の検出領域での検出を有効化し、前記第1の検出領域での検出を無効化する、
(1)に記載の電子機器。
【0088】
これにより、電子機器は、第1の検出領域を無効化してタッチパネルの有効化領域を変更することで、近距離無線通信アンテナとの電気的な干渉が発生し難いタッチパネルの第2の検出領域の動作を検出可能な状態を確保しつつ、タッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0089】
(3)前記プロセッサは、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信が完了した場合、前記第1の検出領域での検出の無効化を解除する、
(2)に記載の電子機器。
【0090】
これにより、電子機器は、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信を行うタイミングではないので、第1の検出領域の無効化を解除してタッチパネルの有効化領域の変更を解除してタッチパネルの全域で検出可能な状態としても、タッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0091】
(4)前記近距離無線通信可能状態は、前記近距離無線通信アンテナによる近距離無線通信が可能な近距離無線通信モード(NFCモード)に設定されている状態、又は前記近距離無線通信アンテナを制御するアンテナ制御回路(NFC_IC14)の電源がオンである状態を含む、
(1)から(3)のいずれか1つに記載の電子機器。
【0092】
これにより、電子機器は、様々な近距離無線通信可能状態である場合に、近距離無線通信を実際に行う前にタッチパネルの誤動作の発生を予防できる。
【0093】
(5)前記プロセッサは、
所定の決済処理を実行可能であり、
前記決済処理を行うための決済方式としてクレジットカード決済方式又は電子マネー決済方式が指定された場合、前記アンテナ制御回路の電源をオンにする、
(4)に記載の電子機器。
【0094】
これにより、電子機器は、近距離無線通信アンテナを用いる決済方式が指定された場合には、タッチパネルの第1の検出領域での検出感度を低下させることで、決済処理を実行しつつ、タッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0095】
(6)磁気カード(磁気カードC1)を読取可能な磁気カードリーダ(第1カードリーダ16)と、
接触ICカード(接触ICカードC2)を読取可能な接触ICカードリーダ(第2カードリーダ17)と、を更に備え、
前記プロセッサは、クレジットカード決済方式が指定された場合、前記磁気カードリーダ、前記接触ICカードリーダ、及び前記アンテナ制御回路の電源をオンにする、
(5)に記載の電子機器。
【0096】
これにより、電子機器は、クレジットカード決済方式が指定された場合には、磁気カード、接触ICカード、及び非接触ICカードを使用可能な状態として3面待ちの状態としても、タッチパネルの第1の検出領域での検出感度を低下させる。よって、電子機器は、上記のカードのうちどのカードを用いても容易に決済でき、決済時のタッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0097】
(7)前記プロセッサは、前記タッチパネルにおける有効化された前記第2の検出領域内に、入力操作を受ける操作ボタン(操作ボタンMB)を再配置する、
(2)に記載の電子機器。
【0098】
これにより、電子機器は、無効化により入力の検出が不能である第1の検出領域内ではなく、入力の検出が可能な第2の検出領域内に操作ボタンを再配置することで、操作ボタンの操作が可能な状態を確保できる。
【0099】
(8)電気的に入力を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、を備える電子機器の制御方法であって、
前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出感度を低下させる、
電子機器の制御方法。
【0100】
これにより、電子機器は、タッチパネルと電気的に干渉し得る部材とが近い位置に配置された場合でも、タッチパネルが入力を検出し難くなるので、タッチパネルの誤動作を抑制できる。
【0101】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0102】
また、上記実施形態は、電子機器の制御方法の機能を実現するプログラムを、ネットワーク或いは各種記憶媒体を介してコンピュータである電子機器(例えば決済端末)に供給し、この電子機器のプロセッサが読み出して実行するプログラム、及びこのプログラムが記憶された記録媒体も適用範囲としてよい。
【0103】
また、上記実施形態では、プロセッサは、物理的にどのように構成してもよい。また、プログラム可能なプロセッサを用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサの設計の自由度を高めることができる。プロセッサは、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、上記実施形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサを構成すると考えることができる。また、プロセッサは、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサ等)で構成してもよい。また、プロセッサが有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。また、複数のプロセッサが1つのプロセッサで構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本開示は、タッチパネルの近傍に近距離無線通信アンテナが配置された場合でも、タッチパネルの誤動作を抑制できる電子機器及び電子機器の制御方法等に有用である。
【符号の説明】
【0105】
10 筐体
14 NFC_IC
16 第1カードリーダ
16s 第1カードスロット
17 第2カードリーダ
17s 第2カードスロット
20 保護板
25 カメラ
28 通信部
100 電子機器
110 プロセッサ
120 NFCアンテナ
130 タッチパネル
140 LCDモジュール
150 メモリ
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に入力を検出するタッチパネルと、
前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、
プロセッサと、を備え、
前記タッチパネルは、
記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域と、
前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重ならない検出領域である第2の検出領域と、を含み、
前記プロセッサは、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記第1の検出領域での検出を無効化し、前記タッチパネルにおける有効化された前記第2の検出領域内に入力操作を受ける操作ボタンを再配置する、
電子機器。
【請求項2】
前記操作ボタンが、取消ボタンである、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信が完了した場合、前記第1の検出領域での検出の無効化を解除する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記近距離無線通信可能状態は、前記近距離無線通信アンテナによる近距離無線通信が可能な近距離無線通信モードに設定されている状態、又は前記近距離無線通信アンテナを制御するアンテナ制御回路の電源がオンである状態を含む、
請求項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記プロセッサは、
所定の決済処理を実行可能であり、
前記決済処理を行うための決済方式としてクレジットカード決済方式又は電子マネー決済方式が指定された場合、前記アンテナ制御回路の電源をオンにする、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
磁気カードを読取可能な磁気カードリーダと、
接触ICカードを読取可能な接触ICカードリーダと、を更に備え、
前記プロセッサは、クレジットカード決済方式が指定された場合、前記磁気カードリーダ、前記接触ICカードリーダ、及び前記アンテナ制御回路の電源をオンにする、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
電気的に入力を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、を備える電子機器の制御方法であって、
前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、
前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出を無効化し、
前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と前記第1の検出領域と重ならない検出領域である第2の検出領域内に、入力操作を受ける操作ボタンを再配置する、
電子機器の制御方法。
【請求項8】
前記操作ボタンが、取消ボタンである、
請求項7に記載の電子機器の制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の一態様は、電気的に入力を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、プロセッサと、を備え、前記タッチパネルは、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域と、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重ならない検出領域である第2の検出領域と、を含み、前記プロセッサは、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記第1の検出領域での検出を無効化し、前記タッチパネルにおける有効化された前記第2の検出領域内に入力操作を受ける操作ボタンを再配置する、電子機器である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本開示の一態様は、電気的に入力を検出するタッチパネルと、前記タッチパネルの検出領域の少なくとも一部と重なる通信可能領域を有する近距離無線通信アンテナと、を備える電子機器の制御方法であって、前記近距離無線通信アンテナにより近距離無線通信中又は近距離無線通信が可能な近距離無線通信可能状態である場合、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と重なる検出領域である第1の検出領域での検出を無効化し、前記タッチパネルにおける前記通信可能領域と前記第1の検出領域と重ならない検出領域である第2の検出領域内に、入力操作を受ける操作ボタンを再配置する、電子機器の制御方法である。