(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151912
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】調理家電における発光ダイオード等の発光体の点灯方法及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F24C 15/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
F24C15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065729
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】518432610
【氏名又は名称】ライソン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】白倉俊也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤幹
(72)【発明者】
【氏名】山田真由子
(72)【発明者】
【氏名】木村希樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】調理家電は、調理中に取手、蓋等の筐体各所が熱くなり、使用者が誤って接触する事による火傷等の恐れがあり、温度表示を備えるためには駆動電源と制御装置が必要不可欠であり、信頼性の確保やメンテナンスを容易にする。
【解決手段】熱電変換素子が備えられた筐体各所において、表面温度が上昇した場合、熱電変換素子内の温度勾配による熱起電力により、熱電変換素子と接続される発光ダイオード等の警告灯が点灯することで、使用者に注意喚起を行う技術を提供することができ、制御装置や駆動電源を必要とせずに調理中の温度上昇を確認する事が可能となり、調理中の火傷等の事故を未然に防止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度勾配による熱起電力を生じる構造を有する熱電変換素子を備え、前記熱電変換素子の前記熱起電力により作動する発光体を有し、発熱箇所を目視で判別可能な構造を有する調理家電。
【請求項2】
使用者が接触する取手部や蓋等の筐体箇所に備えられた前記熱電変換素子を有し、前記使用者と前記筐体箇所との接触を警告する機能を有する前記発光体を備え、火傷等の怪我を軽減する装置を有する、請求項1に記載の前記調理家電。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
調理家電における発光ダイオード等の発光体の点灯方法及びその制御方法に関する技術
【背景技術】
【0002】
従来の調理家電において、機器の表面温度が上昇し高温となり、使用者が火傷等の怪我が懸念されていた。また、調理中の進捗状況を知るためには、目視による確認が必要であったが、従来の温度表示には駆動用の電源と制御装置が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の調理家電では、調理中に取手、蓋等の筐体各所が非常に高温となり、使用者が誤って接触し、火傷を負う事が危惧されており、また、前記筐体各部の異常発熱を示す従来の温度表示は駆動用の電源と制御装置が必要であった。本発明は、前記調理家電の容易に触れる恐れのある前記各所の発熱を使用者に知らせ、注意喚起を実施する技術を提供し、使用者が誤って火傷等の怪我を防止する事により、効率的な調理を支援し、安全性を向上させることが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記調理家電において、前記駆動電源と前記制御装置を必要としない熱電変換素子を利用し、前記筐体各部の表面温度から熱エネルギーを回収し、温度勾配により、これを電気エネルギーに変換することで、前記熱電変換素子に接続される発光ダイオード等の警告灯を点灯させ、容易に触れる恐れのある前記各所の発熱を使用者に警告し、前記火傷等の怪我を防止する手段を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、前記熱電変換素子が備えられた任意の前記筐体各所において、異常発熱した場合、前記発光ダイオード等の前記警告灯を利用し使用者に警告又は注意喚起を実施する技術を提供することができ、前記制御装置、前記駆動電源を必要とせずに調理中の温度上昇を確認する事が可能となり、調理中の火傷等の事故を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、前記熱電変換素子を利用した前記警告灯の作動手順を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、前記熱電変換素子を利用した前記警告灯の作動回路と、加熱制御装置との分立を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
調理中、熱によって筐体或いは、前記取手部、前記蓋を含む使用者が触れる恐れのある前記筐体各所が高温となる際、前記筐体各所に取り付けられた前記熱電変換素子1により、熱起電力が発生し、前記警告灯2を点灯させる。加えて、前記筐体や前記取手部、前記蓋等の温度が低下し、起電力が発生しない場合、前記警告灯は自動的に消灯する形態を有する。この形態によれば、前記駆動電源5や前記制御装置3を必要とせず、維持管理が容易であり、信頼性が高く、低電力消費であり、使用者の火傷の防止等の安全性の高い調理を支援する。
【実施例0009】
前記熱電変換素子1は、複数の異なる材料で構成されており、ゼーベック効果により熱エネルギーを電気エネルギーに変換する能力を有する。前記熱電変換素子1には、P型材料とN型材料等が含まれ、これらの材料を接合すると、熱勾配によってP型材料とN型材料の接合部分で起電力が発生する。この現象を利用することで、前記熱電変換素子1は熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能となる。
【0010】
前記熱電変換素子1による前記警告灯2の作動手順
図1によれば、加熱調理時、ステップS1にて加熱側となる前記熱電変換素子1片側が温度上昇し、ステップS2にて温度勾配による熱起電力が生じ、ステップS3にて前記発光ダイオード等の前記警告灯2が作動し点灯する手順となる。また、ステップS4にて加熱側となる前記熱電変換素子1片側が温度低下し、ステップS5にて前記熱電変換素子1内の温度勾配が減衰し、ステップS6にて前記警告灯2が消灯する。この作動手順によれば、前記制御装置3、前記駆動電源5を必要とせず、特定の条件下に応じた前記警告灯2を容易に実現でき、簡易構造であり信頼性が高く、メンテナンスも容易である。
【0011】
本発明に基づく調理家電の一実施例として、フライ鍋、フライパンの前記取手部に前記熱電変換素子1と前記発光ダイオード等の前記警告灯2が備えられ、調理時、前記フライパン又は前記フライ鍋の底部からの放射熱による前記取手部の異常発熱が生じ、前記取手部に備えた前記熱電変換素子1の熱起電力が発生し、前記取手部に取り付けられた前記警告灯2が点灯する。また、前記取手部の異常発熱温度が下がると同時に熱起電力も低下し、警告灯2が消灯する。調理中、使用者が触れる前記筐体各所の発熱程度を目視確認が可能となり、火傷等の怪我を防止する事に寄与する。