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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153241
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】真空チャンバ
(51)【国際特許分類】
   B29C 39/42 20060101AFI20241022BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20241022BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B29C39/42
B29C39/26
B01D19/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067007
(22)【出願日】2023-04-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和5年2月12日に、ワンダーフェスティバル2023冬に出展 (2)令和5年4月9日に、GWCオリオン10に出展
(71)【出願人】
【識別番号】518379360
【氏名又は名称】株式会社シロハチ
(74)【代理人】
【識別番号】100142114
【弁理士】
【氏名又は名称】小石川 由紀乃
(72)【発明者】
【氏名】八坂 頼史
【テーマコード(参考)】
4D011
4F202
4F204
【Fターム(参考)】
4D011AA16
4D011AC08
4D011AD03
4D011BA12
4F202AC05
4F202AR02
4F202AR07
4F202AR12
4F202CA01
4F202CB01
4F202CP06
4F204AA36
4F204AC05
4F204AJ08
4F204AM28
4F204EA03
4F204EB01
4F204EF27
4F204EF30
4F204EK09
4F204EK17
(57)【要約】
【課題】本体に入れることができる形状やサイズの自由度を高めると共に、利用者の都合に応じて開口部の向きや本体の高さを変更できるようにする。
【解決手段】外形が直方体状で一面に矩形状の開口部10が設けられた中空体1を真空チャンバ100の本体とする。この本体1には、開口部10の各辺からそれぞれ均一な幅をもって延び出て開口部10に対向しない関係にある4つの矩形部1A,1B,1C,1Dより外側に突出する縁枠10Wが含まれる。矩形部1Dには排気管と吸気管とが設けられ、排気管にホース18等を介して真空ポンプ200が連結される。矩形部1A,1B,1Cの表面のそれぞれには、当該矩形部に対する縁枠10Wの突出幅と同等の距離だけ外側になる位置まで当該矩形部から突出する脚部材20が連結される。開口部10は、縁枠10Wに載せるのに十分な大きさの蓋体2によって塞がれる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が直方体状で一面に矩形状の開口部が設けられた中空の本体と、当該開口部を塞ぐための蓋体とを備え、
前記本体には、前記開口部の各辺からそれぞれ均一な幅をもって延び出て、当該本体の開口部に対向しない関係にある4つの矩形部より外側に突出する縁片が含まれており、
前記4つの矩形部のうちのいずれか一つに排気管と吸気管とが設けられ、その他の3つの矩形部のうちの少なくとも互いの大きさが異なる2つの矩形部の表面のそれぞれに、当該矩形部に対する前記縁片の突出幅と同等の距離だけ外側になる位置まで当該矩形部から突出する脚部材が連結され、
前記蓋体は、前記本体から独立した部材であって、前記開口部の各辺の縁片に載せることが可能な大きさを有する、
真空チャンバ。
【請求項2】
前記開口部は前記4つの矩形部に囲まれる空間の間口に近い大きさおよび形状の矩形穴であって、当該開口部の各辺から延び出た縁片が互いに繋がって当該開口部を囲む矩形状の縁枠が形成される、請求項1に記載された真空チャンバ。
【請求項3】
前記脚部材の連結対象の矩形部の表面には、それぞれ複数の前記脚部材が所定の間隔をあけて、前記開口部が設けられた面を前記本体の上面とした場合に当該矩形部の幅方向となる方向に沿って並んだ状態で連結される、
請求項1に記載された真空チャンバ。
【請求項4】
前記脚部材の連結対象の矩形部の表面には、所定長さの前記脚部材が、前記開口部が設けられた面を前記本体の上面とした場合に当該矩形部の幅方向となる方向に長さ方向を沿わせて連結されており、
前記脚部材の長さは、上記の連結状態において、前記連結対象の矩形部の両側に連なる各矩形部の側にある縁片より外側に突出しない長さに設定される、請求項1に記載された真空チャンバ。
【請求項5】
前記脚部材は、連結対象の矩形部から最も離れた部分が当該矩形部の表面に平行な平坦面となる形態を有する、請求項1,3,4のいずれかに記載された真空チャンバ。
【請求項6】
外形が直方体状で一面に矩形状の開口部が設けられた中空体であって、
前記開口部の各辺からそれぞれ均一な幅をもって延び出て、当該開口部に対向しない関係にある4つの矩形部より外側に突出する縁片が含まれており、
前記4つの矩形部のうちのいずれか一つに排気管と給気管とが設けられ、その他の3つの矩形部のうちの少なくとも互いの大きさが異なる2つの矩形部の表面のそれぞれに、当該矩形部に対する前記縁片の突出幅と同等の距離だけ外側になる位置まで当該矩形部から突出する脚部材が連結される、
真空チャンバ用の本体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空注型法による成形加工や液体の脱泡処理などに用いられる真空チャンバに関する。
【背景技術】
【0002】
脱泡処理用の真空装置として、特許文献1には、開閉扉を設けた減圧室(真空チャンバに該当する。)と真空ポンプとを真空用ホースを介して連結した構成の装置が開示されている。また,特許文献1には、減圧室に被脱泡溶液を入れて開閉扉を閉じ、真空ポンプを駆動して減圧室の内部を減圧することによって、溶液中に含有されていた気体が放出されると共に溶液が激しく盛り上がって泡立つ状態になり、泡立ちが消えたところで真空ポンプを停止して減圧室を常圧に戻し、容器を減圧室から取り出すことによって、脱泡処理が終了する旨が記載されている(特許文献1の段落0002~0003,図2を参照。)。
【0003】
特許文献1は、開閉扉や吸気用の配管が示されていないなど、真空チャンバの構成が十分に表されていないが、近年、特許文献1の図2に近い構成の真空チャンバが実用化されている。その事例を示す2件の非特許文献(インターネット情報)をあげる。
【0004】
非特許文献1には、上面が開口され、外周面に排気や吸気のための配管や負圧計が取り付けられた本体と、この本体の開口面に着脱可能に取り付けられる蓋体とを備えた真空チャンバが開示されている。非特許文献2には、非特許文献1と同様の構成の本体の開口部を透明のアクリル板により塞ぐようにした形態の真空チャンバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】登録実用新案第3015384号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「BACOENG 3ガロン 強化ガラス蓋 ステンレススチール 真空室 木材の安定化、シリコン、エポキシ、エッセンシャルオイルの脱気に最適」,公開日(取り扱い開始日)2022年6月5日, https://www.amazon.co.jp/dp/B07GR5FTQJ/
【非特許文献2】「レジン複製で活躍する『真空脱泡機』を自作!低コスト・高品質なガレージキット複製が出来る設備を整えてみた」,モデラー 柚P著,(公開日は不明) https://yzphouse.com/sinkudappoki
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1,2に記載されている真空チャンバは、脱泡処理や模型部品などの小型部材を真空注型法により製作する目的に対応できる構成のものである。しかし、いずれの真空チャンバも本体が円筒形状であるため、本体の中央部に入る幅を有する物品でも、その全体を本体に入れることができない場合がある。この問題は角張った形状の成形用の型に生じやすく、真空チャンバの本体に入るように型のサイズを調整せざるを得ないという不便が生じている。また、向きを変えれば本体に入れることができるが、向きを変えることができない事情がある物品も、本体に入れることは不可能である。
【0008】
さらに非特許文献1,2に記載されている真空チャンバでは、処理対象の物品を本体に収容するには、当該物品を本体の上面の開口部の上まで持ち上げてから本体の内底面に降ろす必要があるが、物品の重量,形態,処理の目的等によっては、そのような作業がしづらい場合がある。
【0009】
本発明は上記の諸問題に着目してなされたもので、本体に入れることができるサイズや形状の自由度を高めると共に、利用者の都合に応じて開口部の向きや本体の高さを変更できるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の問題に鑑み、本発明に係る真空チャンバは、外形が直方体状で一面に矩形状の開口部が設けられた中空の本体と、当該開口部を塞ぐための蓋体とを備える。本体には、開口部の各辺からそれぞれ均一な幅をもって延び出て、当該本体の開口部に対向しない関係にある4つの矩形部より外側に突出する縁片が含まれる。蓋体は、本体から独立した部材であって、上記開口部の各辺の縁片に載せることが可能な大きさを有する。
なお、縁片の幅はすべて一定にする必要はなく、開口部の辺ごとに同じ幅をもって延び出るという条件を満たせば、辺ごとに、または対向関係にある辺の組み合わせごとに、縁片の幅を変更してもよい。また、各縁片の「均一な幅」には微差が生じる場合があるものとする(以後の記載についても同じ。)。
【0011】
上記本体の開口部に対向しない関係にある4つの矩形部のうちのいずれか一つには排気管と吸気管とが設けられ、その他の3つの矩形部のうちの少なくとも互いの大きさが異なる2つの矩形部の表面のそれぞれに、当該矩形部に対する縁片の突出幅と同等の距離だけ外側になる位置まで当該矩形部から突出する脚部材が連結される。
【0012】
上記構成によれば、排気管にバルブやホースなどを介して真空ポンプを連結し、吸気管にもバルブを取り付けてそのバルブを閉じた状態にし、蓋体を本体の開口部の各辺の縁片に載せた状態にして真空ポンプを動かして本体の内部空間を減圧することによって、蓋体は各縁片に強く吸いつけられて動かない状態となり、本体の内部空間を真空状態にすることができる。その後、真空ポンプを停止させて、吸気管のバルブを開くことによって、本体の内部を常圧に戻すと共に、蓋体を本体から離すことができる。
【0013】
本発明では、本体を直方体状にすることにより、内部空間も外形に近い大きさの直方体状にし、開口部も内部空間の間口に近い大きさおよび形状の矩形穴にすることができる。したがって、開口部から挿入できる幅,厚み,高さを有する物品であれば、その形状を問うことなく、本体の内部に収容することができる。
【0014】
さらに、本発明では、脚部材が設けられた矩形部が底部となるように本体を設置することによって、当該矩形部に対して突出する関係にある縁片と上記の脚部材とで本体を水平姿勢で支えることができる。また、脚部材が設けられた矩形部のいずれを底部にするかによって、本体の高さを変更することができる。
なお、上述した脚部材の要件の中の「縁片の突出幅と同等の距離」の突出幅と距離との間にも、微差が生じる場合があるものとする(以後の記載についても同じ。)。
【0015】
開口部の大きさや形状を上記4つの矩形部に囲まれる空間の間口に近い状態にすることは必須の要件ではないが、そのようにすることによって、開口部と本体の内面との間に殆ど段差がない状態となれば、内部空間に入る大きさの物品の殆どを、開口部から内部空間に入れることができる。また開口部の各辺から延び出た縁片が互いに繋がって開口部を囲む矩形状の縁枠が形成されるようにすれば、蓋体をより安定して支持することができ、本体の見栄えも良くなる。
【0016】
脚部材の大きさや連結対象の矩形部における脚部材の数も、様々な態様にすることができる。
たとえば、連結対象の矩形部の表面に、複数の脚部材を所定の間隔をあけて、前記開口部が設けられた面を本体の上面とした場合に当該矩形部の幅方向となる方向に沿って並んだ状態で連結することができる。
【0017】
連結対象の矩形部の表面には、開口部が設けられた面を本体の上面とした場合に当該矩形部の幅方向となる方向に長さ方向を沿わせた所定長さの連結部材を連結することもできる。ただし、この連結部材の長さは、上記の連結状態において、連結対象の矩形部の両側に連なる各矩形部の側にある縁片より外側に突出しない長さにする必要がある。
上記の長さの条件を持たすならば、1つの矩形部に対して1以上の任意の数の脚部材を連結することができる。
【0018】
脚部材は、本体を安定して支持できるという条件を満たすものであれば、特に形態を問わないが、連結対象の矩形部から最も離れた部分が当該矩形部の表面に平行な平坦面となるようにすることによって、当該脚部材と縁辺とにより本体を水平姿勢で支持する場合の支持の安定性を高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、本体を直方体状とし、開口部を矩形状にしたことによって、本体の内部空間に収容できる形状やサイズの自由度を高めることができる。
【0020】
さらに、脚部材が設けられた矩形部が底部になるように本体を設置することによって、利用者から見て正面または側面になる場所に開口部を配置して本体を安定した姿勢で支持することができる。これにより、開口部から本体の内部への直線的な移動によって処理対象の物品を本体に収容することが可能になり、開口部が上面にある場合よりも物品の出し入れが容易になる。また、収容する物品の高さや幅に応じて本体の向きを変更することによって当該物品の収容を可能にすることができ、排気管や吸気管の位置を利用者の都合に応じて変更できるなど、利便性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態にあたる真空チャンバを用いた真空装置の構成例を表した斜視図である。
図2】上記の真空装置を別の角度から表した斜視図である。
図3】上記真空チャンバの本体を、開口部を正面視して表した図である。
図4】上記の本体を、図1,2で底部となった矩形部1Eを正面視して表した図である。
図5】上記の本体を、図1中の矩形部1Aを正面視して表した図である。
図6】上記の本体を、図1中の矩形部1Bを正面視して表した図である。
図7】上記の本体を、図2中の矩形部1Dを正面視して表した図である。
図8(A)】矩形部1Aを底部として真空チャンバを設置した例を表した図である。
図8(B)】矩形部1Bを底部として真空チャンバを設置した例を表した図である。
図8(C)】矩形部1Cを底部として真空チャンバを設置した例を表した図である。
図9】真空注型法による加工に使用する型の構成例を表した図である。
図10図9に示した型を真空チャンバに収容した例を表した図である。
図11】ボルト穴が設けられた脚部材の利用例を表した図である。
図12】ボルト穴が設けられた脚部材の他の利用例を表した図である。
図13】本体の縁枠10Wの変形例を表した図である。
図14】本体に補強部材を追加した例を表した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および図2は、本発明の一実施形態にあたる真空チャンバ100と真空ポンプ200とにより構成される真空装置を、それぞれ異なる方向から表した斜視図である。
この真空装置は、シリコンゴム製の型と無発泡ウレタン樹脂等のレジン液を用いた真空注型によって模型部品などの小型の樹脂製部材を製作する処理や、上記のシリコンゴム製の型を製作する際の脱泡処理に使用されるが、これら以外の用途にも使用することができる。
なお、真空ポンプ200は市販品であるので、その構成については特に説明しない。
【0023】
この実施例の真空チャンバ100は、外形が直方体状で一面が開口された中空の本体1と、当該本体1の開口部を塞ぐための蓋体2とを備える。
図1,2では、本体1の開口部を符号10で表し、この開口部10に対向する矩形部(図1,2では底面を形成するもの)を符号1Eで表し、開口部10に対向しない関係にある4つの矩形部をそれぞれ1A,1B,1C,1Dの符号で表している。後述するように、この実施例の本体1は姿勢を複数とおりに変更することができるが、便宜上、しばらくは、図1,2に示す設置状態に基づき、矩形部1Eを底部とし、矩形部1Eから開口部10に向かう方向を高さ方向とし、矩形部1A~1Dの高さ方向に直交する方向を幅方向として説明する。
【0024】
本体1は、スチール,ステンレス,真鍮などによる金属板の曲げ加工と溶接加工とによって製作されたもので、内部空間も外形と同様の直方体状である。高さ部分を形成する矩形部1A~1Dの上端面には開口部10となる矩形穴を有する縁枠10Wが固定されている。開口部10は、その四辺が矩形部1A~1Dの内面よりやや内側にあるが、その大きさ・形状は本体1の内部空間の間口と大差のないものである。縁枠10Wの幅は、角部に若干の丸みをもたせている点を除けば概ね一定であって、また矩形部1A~1Dの表面に対しても概ね一定の長さをもって突出している。縁枠10Wの表面は平坦であり、その上面全体にゴムパッキン(符号省略)が装着されている。縁枠10Wの端面もほぼ平坦である。
【0025】
蓋体2は透明のアクリルパネルである。この実施例では、多少ずれても開口部10の全体を覆うことができるように、蓋体2の主面を縁枠10Wより十分に大きくしている。また強度を確保するため、蓋体2の厚みは20mm以上に設定される。
【0026】
図3~8は、上記の真空チャンバ100の本体1を、当該本体1の一面を正面視して表したものである。図3では、開口部10および縁枠10Wの上面と本体1の底部を構成する矩形部1Eの内面とが現れている。図4では、上記の矩形部1Eおよび縁枠10Wの各裏面が現れている。図5では矩形部1Aの表面が、図6では矩形部1Bの表面が、図7では矩形部1Dの表面が、それぞれ現れている。なお、矩形部1Cを正面視した図は、図6と概ね左右対称の関係になるため、省略する。
【0027】
以下、上記図1~7の7図を参照して、本体1の構成を詳細に説明する。
この実施例の本体1の高さ部分は、高さと幅との間に大きな差がない形状の矩形部1A,1Dと、高さより幅がかなり長い形状の矩形部1B,1Cとにより形成される。幅が短い矩形部の組のうちの一方の矩形部1Dには、内部空間に連通する3つの管体11,12,13が取り付けられている(図2図6を参照。)。各管体11,12,13は、矩形部1Dの高さ方向に沿う一辺に沿って並べられ、一番上の管体13に継手19を介して負圧計25が取り付けられている。
【0028】
残り2つの管体11,12には接続金具16を介してボールバルブ15が取り付けられている。管体11に連結されたボールバルブ15の管体11とは反対側の端部には、接続金具17やホース18等を介して真空ポンプ200が連結されている。管体12に連結されたボールバルブ15の管体12とは反対側の端部は大気の取り込み口となるように開放されている。この連結構造によって、一番下の管体11が排気管として機能し、中央の管体12が吸気管として機能するようになる。
なお、真空ポンプ200も連結金具201,202等を介して上記のホース18に接続される。
【0029】
上記3つの管体11,12,13を高さ方向に一列に並ぶように配置することは必須の要件ではなく、これらを幅方向に沿って並べてもよい。または、3つの管体11,12,13のそれぞれが三角形の頂点にあたる場所に配置されるように、各管体11,12,13の位置を定めてもよい。
【0030】
上記の矩形部1Dに対向する矩形部1Aや幅が広い方の矩形部1B,1Cの表面には、それぞれ所定長さの脚部材20が2個ずつ連結されている。矩形部1A,1B,1Cのいずれにおいても、2個の脚部材20は、対象の矩形部の底部側の辺に沿う高さ範囲の左端と右端とに、それぞれの長さ方向を対象の矩形部の幅方向に合わせて配備される。
【0031】
この実施例の脚部材20は、同じ方向に沿って同等の段差が生じるように両端部が曲げられた形態の段付き金具であって、各段差部分の外側の部分22,23(以下、「端部22,23」という。)が連結対象の矩形部に溶着により固定される。固定された端部22,23の面も、固定されなかった各段差部分の間の部分21(以下「主部21」という。)の面も平坦面であり、上記の固定によって、主部21は固定された矩形部の外側で当該矩形部に平行な姿勢をもって支持される。
【0032】
さらにこの実施例では、図4に示すように、各脚部材20の主部21の表面とそれらが連結された矩形部1A,1B,1Cとの間の距離が、矩形部1A,1B,1Cに対する縁枠10Wの突出幅dと等しくなるように、脚部材20の段差の量を調整している。
この構成によって、この実施例の真空チャンバ100の本体1は、矩形部1Eに限らず、脚部材20が設けられた矩形部1A,1B,1Cのいずれかを底部として設置することができる。
【0033】
図8(A)(B)(C)は、上記構成の真空チャンバ100を、脚部材20が設けられた面を底面として設置した例を表したものである。いずれの図でも、蓋体2に覆われた開口部10を正面視した図と、開口部10の右側または左側に位置する矩形部(1Cまたは1D)を正面視した図とを左右に並べている。
【0034】
図8(A)は矩形部1Aを底部として本体1を設置した例を表し、図8(B)は矩形部1Bを底部として本体1を設置した例を表し、図8(C)は矩形部1Cを底部として本体1を設置した例を表している。
【0035】
図8(A)(B)(C)に示したとおり、矩形部1A,1B,1Cのいずれを底部にした場合も、その矩形部1A,1B,1Cの脚部材20と開口部10の縁枠10Wとによって本体1を水平姿勢で支えることができる。蓋体2も一端面を本体1が置かれる支持面に接触させた状態にして、開口部10の全体に被せることができる。
【0036】
排気管11,吸気管12,負圧計25は、図8(A)の例では本体1の天面に配置され、図8(B)の例では利用者から見て右手側の側面に配置され、図8(C)の例では利用者から見て左手側の側面に配置される。いずれの配置でも、ボールバルブ15のコック15aの操作やホース18の接続に差し支えはない。
【0037】
図8(A)(B)(C)のいずれの設置例でも、開口部10を利用者の正面に配置することができるので、本体1の内部を確認しやすくなる。また、図1,2に示した設置状態では、本体1に収容する物品を開口部10の上方まで持ち上げて本体1の内底面に降ろす必要があり、当該物品を本体1から取り出す際にも同様の動作が必要であるため、重量がある物品や取り扱いに注意が必要な物品の出し入れが難しいことがあるが、正面が開口されることによって、これらの物品の出し入れも容易になる。ただし、開口部10を正面に配置する必要は必ずしもなく、利用者の作業の都合によっては、利用者の右手側または左手側に開口部10が配置されるようにしてもよい。
【0038】
図8(A)の設置状態によれば、幅が広い方の矩形部1B,1Cの幅方向が高さ方向になるように本体1が設置されるので、図1,2の例や図8(B)(C)の例より本体1を高くすることができる。図8(B)(C)の例でも、矩形部1A,1Dの幅方向が高さ方向になるが、これらの矩形部1A,1Dの幅は高さと大差がないので、本体1の高さも図1,2の例と大きくは変わらない。
【0039】
図8(B)の例と図8(C)の例とでは本体1の高さは同じであるが、真空ポンプ200のホース18が連結される排気管11や吸気管12の場所が変化する(図8(B)の例では利用者から見て右側、図8(C)の例では利用者から見て左側)。よって、操作が必要な各管11,12のコック15aを利用者の利き手に合う場所に配置することができる。また、電源コードの長さやコンセントの場所などの事情により真空ポンプ200を置くことができる場所が限定される場合に、その事情に応じて図8(B)または図8(C)の設置状態を選択して、真空ポンプ200に近い場所に排気管11を配置することもできる。
【0040】
上記図8(A)~(C)に示した設置例および図1,2に示した設置例のいずれにおいても、処理対象の物品を本体1に入れ、蓋体2を開口部10に被せた後に、排気管11の側のコック15aの操作によりボールバルブ15を開くと共に真空ポンプ200を作動させることによって、本体1の内部空間の空気を吸い出して当該空間を減圧することができる。
【0041】
蓋体2は内部空間の減圧に伴って縁枠10Wに強く吸いつけられて、開口部10を塞いだ状態のまま動かなくなる。これによって、蓋体2と縁枠10Wとの隙間から本体1へと空気が入ることがなくなり、本体1の内部空間を真空状態にすることができる。その後、処理が完了すると、真空ポンプ200を停止させて吸気管12のボールバルブ15を開くことによって、外部の空気が本体1へと入って本体1の内部空間は常圧に戻る。蓋体2も本体1から離すことが可能になる。
【0042】
この実施例では蓋体2を縁枠10Wよりも十分に大きくしているので、蓋体2を縁枠10Wに厳密に位置合わせしなくても、容易に蓋体2を縁枠10Wや開口部10の全体に被せて上記の方法により本体1の内部を真空状態にすることができる。
【0043】
図9は、上記の本体1に収容される物品の一例となる真空注型用の型3を例示したものである。この型3は2つの割型31,32を組み合わせることにより形成される。型3の内部の図示は省略するが、製作する部品に応じた形状を有する複数の空洞部や、レジン液の貯留部(湯口)や、貯留部から各空洞部に溶液を流すための流路(ゲート)などが形成されている。また型3の上面には、硬化剤が混ぜ合わせられたレジン液を貯留部に注ぎ入れるための注入口30が設けられている。また、この型3は一対の支持板34,35に挟まれることによって保護される。
【0044】
レジン液が入った上記の型3は、注入口30を上に向け、支持板34,35に挟まれた状態のまま、本体1の内部空間に入れられる。この後は、蓋体2が開口部10に被せられて上述した手順で減圧処理が開始されるが、真空状態を維持する時間は短時間に留められ、レジン液が固まらないうちに本体1の内部の空気圧は常圧に戻される。このとき、型3の中の空洞部でも型の周囲と同様の空気圧の変化が生じ、その変化によって貯留部のレジン液が各空洞部へと一気に吸い込まれる。その後、レジン液が固化することによって、各空洞部の面形状に応じた形の部品が出来上がる。
【0045】
硬化剤が混ぜ合わせられたレジン液は短時間で固化するため、硬化剤を混ぜ合わせた後の作業(レジン液を型に注ぎ入れて本体1の内部に型3を入れる作業、開口部10への蓋体2の装着、減圧を開始するためのコック15aの操作等)をできるだけ速やかに行う必要がある。
【0046】
図1,2の例のように、開口部10が上方に向けられている場合は、型3を収容する作業や蓋体2を装着する作業において、作業台等から型3や蓋体2を持ち上げて本体1の内底面や縁枠1へと降ろす、という動作が必要になるため、作業時間が比較的長くなると考えられる。これに対し、図8(A)(B)(C)の例のように開口部10を正面として本体1が設置されている場合は、本体1の手前に蓋体2を寝かせた状態で置いておき、正面から奥に向かう方向への直線的な移動で本体1の内部に型3を収容し、蓋体2を起立させて縁枠10Wにあてがうことで、型3の収容と蓋体2の装着とを終えることができ、減圧処理を開始するまでの時間を大きく短縮することができる。また本体1の内部空間が広いので、型3を本体1に入れてから本体1の中でレジン液の注入作業を行うこともできる。
【0047】
前述したとおり、真空注型用の型は注入口がある面を上に向けた状態で本体1に収容する必要があるが、型のサイズは製作する部品の大きさや部品の形状などによって変動するため、真空チャンバの本体1も型のサイズの変動に対応できるのが望ましい。しかし、従来の真空チャンバの本体は高さや幅が一定であったため、そのような対応は不可能であり、型の高さや幅を本体に合わせて設計する必要があった。
【0048】
これに対し、本実施例の真空チャンバ100では、縦長形状の型に対しては図8(A)に示した設置状態により対応することができ、横長形状の型に対しては図8(B)または図8(C)に示した設置状態により対応することができる。また、本体1の内部空間も外形と同様の直方体状で、開口部10も内部空間の間口に近い大きさと形状とを有する矩形穴であるので、開口部10を通る大きさであれば、形状を問わずに、対象の物品を収容することができる。
【0049】
真空チャンバの本体の向きを変更できるようにすることは、上記のような脚部材20を設けずとも、一面が開口された直方体状の本体の開口端面の内側に蓋体を載せるための段部を設けることによって実現することもできる。しかし、その場合は段部で囲まれた範囲が開口部となるため、開口部は、収容空間の間口より狭くなり、本体に入れることができるサイズの範囲も縮小されてしまう。また、蓋体も、開口端縁から段部までの範囲に嵌まるように形状やサイズを調整する必要があり、本実施例のように蓋体が多少ずれても支障のない造りにすることは不可能である。
【0050】
図10は、図9に示した型3および支持板34,35のセットを、図8(A)と同様の設置状態にした本体1に収容した例を示すものである。この例では、型3および支持板34,35のセットを本体1の内部空間の中央部に配置すると共に、その両側に、角型の樹脂製ブロック4を2つずつ入れている。
【0051】
上記のブロック4は、本体1の内部の空きスペースを縮小して減圧を速やかに進行させることを目的とするものである。従来の円筒形の本体1にはこのような角型のブロック4を入れることは不可能で、内部空間の形状に合わせてブロックを加工する必要があったが、この実施例では、その必要はなく、角型のブロック4を容易に出し入れすることができる。
【0052】
上記のブロック4に限らず、本体1には型3と支持板34,35とのセットを、複数組収容することもできる。
【0053】
上記の型3の2つの割型31,32の一方は、部品の原型モデルが埋め込まれた粘土の型が装填された型枠内に硬化剤が混合された液状シリコンゴムを流し込み、このシリコンゴムを固めて乾燥させ、その後に油粘土や原型モデルを除去する方法により製作される。他方の割型も上記の割型が装填された型枠内に硬化剤が混合された液状シリコンゴムを流し込み、このシリコンゴムを固めて乾燥させる方法によって製作される。
【0054】
これらの割型31,32の製作では、シリコンゴムが固まる前に、シリコンゴムに硬化剤を混ぜ合わせる際に混入した気泡(空気)を取り除く必要がある。この脱泡処理も、シリコンゴムと粘土型または割型の組み合わせを型枠などの保持部材と共に上記真空チャンバ100の本体1に入れ、開口部10を蓋体2により塞いで、所定時間、本体1の内部空間を真空状態または真空に近い状態で維持する方法により実施することができる。この場合には、減圧を開始するまでの時間を問う必要がなく、割型31,32となる部分を上に向ける(図9の姿勢から90度回転させた状態にする。)必要があるので、本体1が図1,2に示した設置状態で使用される場合もある。
【0055】
シリコンゴム製の型を製作する際の脱泡処理に限らず、他の溶液やオイルなどに対する脱泡処理にも、この実施例の真空チャンバを使用することができる。
【0056】
以上をもって、本発明の一実施形態(以下、「主実施例」という。)の説明を終了し、以下、この構成から考えられる変形例について説明する。
【0057】
<脚部材について>
本発明の脚部材は主実施例の形態に限るものではない。たとえば縁枠10Wの突出幅dと同等の厚みの金属板を脚部材として、その一面を矩形部1A~1Cに固定してもよい。または一方の片の幅が縁枠10Wの突出幅dに相当する形態のL字金具の他方の片の面を矩形部1A~1Cに固定することによって、前者の片が矩形部1A~1Cから突出するようにしてもよい。
【0058】
各矩形部1A~1Cに連結する脚部材の数も2個に限らず、3個以上の脚部材を互いの間に所定の間隔をあけて連結してもよい。
また、脚部材の長さを延ばし、各矩形部1A,1B,1Cに対し、開口部10を含む面を本体1の上面とした場合に当該矩形部の幅方向となる方向に脚部材の長さ方向を沿わせて連結してもよい。その場合の脚部材の長さは矩形部1A,1B,1Cの幅の範囲に留めても良いが、縁枠10Wの突出幅dと同じ長さまで矩形部1A,1B,1Cの両側から脚部材を突出させることもできる。
【0059】
脚部材の各矩形部1A~1Cから突出させる部分の面を上記実施例のように平坦面にすることは、必ずしも必要ではない。たとえば、V字状の金具をその中央の尖った部分が矩形部1A~1Cから突出するように当該矩形部1A~1Cに固定することとして、複数の当該金具を矩形部1A~1Cの幅方向に沿って所定の間隔おきに固定することによって、これらの金具を脚部材として機能させることができる。また、複数のV字状の金具を一列に連結した構成のものやV字型のフレーム部材を、同様に中央の尖った部分が矩形部1A~1Cから突出するようにして、各矩形部1A~1Cの幅方向に各金具の連結方向やフレームの長さ方向を沿わせて固定することもできる。
【0060】
脚部材に、ネジやボルトなどの棒状の係止部材を通すための穴を設ければ、本体1が図1,2に示した姿勢になる場合でも、脚部材を利用することができる。
【0061】
図11および図12は、前述した実施例の脚金具20の主部21にボルト穴hを設けた場合の脚金具20の活用例を表したものである。
図11の例では、矩形部1B,1Cの側の脚部材20の各々に、ボルト穴hに通されたボルト6を介してL字金具5の一方の片が連結され、L字金具5の他方の片が別のボルト6aを介して本体1の支持面Fに連結されている。矩形部1B,1Cのそれぞれにおける一対の脚部材20にこの連結構造を適用することによって、本体1は支持面F内の一定の場所に固定される。勿論、矩形部1Aの各脚部材20にも、同様の連結構造を適用することができる。
【0062】
上記の連結構造は、たとえば、重量物である本体1が地震などの際に落下するのを防ぐ目的で利用することができる。なお、図11では省略したが、ボルト6は脚部材20の主部の裏面側でナットにより固定される(図12の例でも同じ。)。ボルト6aも、ワッシャーやナット等によって支持面Fに強固に固定される。
【0063】
図12の例では、上下方向に面方向を合わせた取付板70が底面に一体に設けられたカゴ7の当該取付板70が、ボルト6を介して矩形部1Cの脚部材20に連結されている。この連結構造によって、カゴ7を本体1の一定の場所に保持して、作業に使用する用具などを入れる小物入れとして活用することができる。なお、このカゴ7は、矩形部1Cの2つの脚部材20,20に載る長さとして、双方の脚部材20に上記の連結構造を適用することができる。
【0064】
上記の各種変形例を含め,脚部材が設けられる矩形部は、排気管11等が設けられる矩形部1Dに対向する矩形部1Aと、矩形部1Bまたは1Cとの2つに留めてもよい。また脚部材が固定される場所は、矩形部1Eに近い場所に限らず、本体1の支持に支障が生じない範囲で縁枠10Wの側に近づけてもよい。たとえば、矩形部1Eから縁枠10Wまでの距離の2/3程度、縁枠10Wから離れた場所など、縁枠10Wに対する距離よりも矩形部1Eに対する距離の方が短くなる場所に脚部材を固定すればよい。矩形部1A~1Cに複数の脚部材を固定する場合に脚部材同士を位置合わせすることや、脚部材の間の間隔を統一することや、脚部材の長さ方向を矩形部1B,1C,1Dの幅方向に合わせることを、必須の要件にする必要もない。
矩形部1A~1Cに対する脚部材の突出幅を、当該矩形部1A~1Cの縁片の突出幅に完全に一致させる必要もなく、本体1を安定して支えるのに支障がない範囲であれば、両者の間に若干の誤差が生じることを許容してもよい。
【0065】
<縁枠について>
縁枠10Wも、蓋体2の支持や本体1の設置に差し支えのない範囲で変形することができる。
たとえば、開口部10の角部に対応する4箇所が切り欠かれたもの、言い換えれば、縁枠10Wを、開口部10の4つの辺ごとに独立した縁片に変更することができる。または、開口部10の4つの角部ごとに、その角部および当該角部を挟む2辺の各々の一部分から外側に延び出る縁片として形成する(各辺の中間部分が縁片のない状態になる。)こともできる。
【0066】
上記の変形例でも、各縁片を、蓋体2を支えるのに差し支えがない長さに設定すると共に、縁片の上面を平坦面にすれば、本体1の内部空間が減圧されるときに蓋体2を開口部10の端面や縁片に強く吸いつけて外部から本体1に空気が入るのを防ぐことができる。
【0067】
図13は、主実施例の縁枠10Wを、外端縁部を曲げて、外端面に矩形部1A~1Dに対向する立下り片10pを形成した例を表している。立下り片10pを含む外端面の矩形部1A~1Dに対する突出幅は、主実施例と同じ長さdに設定されており、各脚部材20の矩形部1A~1Cに対する突出幅も同じである。
上記の立下り片10pは、蓋体2が吸いつけられたときの縁枠10Wの抵抗力を高めて縁枠10Wの変形を防ぐことを目的とするもので、その他の変形例による縁片にも同様の構成を採用することができる。
【0068】
開口部10の四辺における縁片の幅を均等にすることも必須の要件ではなく、たとえば、矩形部1A,1Dに対する突出幅と矩形部1B,1Dに対する突出幅とが異なるようにしてもよい。ただし、その場合は、脚部材として上記2とおりの突出幅に対応する2種類の部材を準備し、矩形部1A,1B,1C毎に、その矩形部に対する縁片の突出幅と同等の距離だけ当該矩形部から突出させることができる脚部材を固定する必要がある。
【0069】
<本体について>
各実施例の真空チャンバ100には、さらに本体1の強度を高めるための補強部材を取り付けることができる。
図14は、主実施例の本体1に上記の補強部材を追加した例を表したもので、本体1の矩形部1Eを底面としたときに高さ方向となる方向の中間位置に、本体1の外周面を一周する形態の帯状の補強部材101が設けられている。
【0070】
上記の補強部材101は、矩形部1A,1B,1C,1Dの各々に、その幅と同じ長さのコの字型フレーム(符号省略)を、その長さ方向を対応する矩形部の幅方向に沿わせて当該矩形部に溶接し、さらにこれら4本のフレームを互いに溶接して一体化する方法により形成されたものである。
【0071】
補強部材101を形成するフレームはコの字型に限らず、V字型のフレームを使用することもできる。また、補強部材101の追加によって吸気管12のコック15aの操作がしづらくなる場合には、吸気管12を排気管11の横などの他の場所に移動させればよい。
【0072】
上記の補強部材101が連結されることにより、本体1の減圧時に矩形部1A~1Dに内側に引っ張られる力がかかっても、矩形部1A~1Dは容易には変形しない。よって、減圧処理と常圧に戻す処理とが繰り返される間に矩形部1A~1Dに生じる金属疲労を和らげ、矩形部1A~1Dに凹みが生じるのを防ぐことができる。
【0073】
上記の補強部材101の外表面の矩形部1A~1Dに対する突出幅は、縁枠10Wの突出幅dまでの範囲で自由に設定することができる。補強部材101の突出幅を縁枠10Wの突出幅dと同じ長さに設定すれば、この補強部材101も脚部材として機能させることができ、図8(A)(B)(C)に示した状態で本体1を設置する場合にも、本体1をより安定して支持することができる。
【0074】
補強部材を図14の例のような一体物にすることは必ずしも必要ではなく、矩形部1A~1Dの各々の表面に、その幅を超えない長さの補強部材を連結してもよい。その場合には、各補強部材の長さ方向が対応する矩形部の幅方向に対して斜めになるようにしてもよい。
各矩形部1A~1Dには、上記の長さの条件を満たす2本以上の補強部材を連結することもできる。たとえば、2本の補強部材をV字状または逆V字状に配置されるように連結してもよい。
【0075】
矩形部1Eにも、その表面から等しい幅をもって突出する2本以上の棒状の部材を取り付けることができる。これらの部材も、矩形部1Eが底部として本体1が設置されるときは脚部材として機能し、他の矩形部1A~1Cが底部として本体1が設置されるときは、矩形部1Eの強度を高めるための保護部材として機能する。
【0076】
立方体または立方体に近い形状の箱体で一面に矩形状の開口部が設けられ、この開口部の各辺からそれぞれ均一な幅をもって延び出て当該開口部に対向しない関係にある4つの矩形部より外側に突出する縁片が設けられた形態のものを、本体としてもよい。この場合も、上記の4つの矩形部のうちのいずれか一つに排気管と吸気管とを設け、その他の3つの矩形部のうちの少なくとも1つの表面に当該矩形部に対する縁片の突出幅と同等の距離だけ外側になる位置まで当該矩形部から突出する脚部材を設けることによって、開口部を利用者の正面や側面に向けた姿勢で本体を支持することができる。
【0077】
<蓋体について>
蓋体2は上記の実施例のような板体に限らず、一方の面のみを平坦面として、他方の面を曲面とし、前者の面を開口部10に合わせるようにしてもよい。開口部10に合わせられる面でも、縁枠10Wや開口部10に載ることがない中央部分は必ずしも平坦にする必要はない。
【0078】
蓋体2は透明に限らず、半透明または透光性を有さない部材に変更してもよい。また上記実施例では、アクリル板による蓋体2の厚みを20mm以上としたが、蓋体2の材質を強化ガラスや金属にする場合には、好ましい厚みも変動する可能性がある。
【符号の説明】
【0079】
100 真空チャンバ
1 本体
2 蓋体
10 開口部
10a 縁枠
11 吸気管
12 排気管
20 脚部材
21 主部
1A,1B,1C,1D 矩形部
101 補強部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9
図10
図11
図12
図13
図14