(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158581
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】神経核内封入体病の検出抗体及びそれを用いた検出方法
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20241031BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20241031BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
C07K16/18
G01N33/53 Y ZNA
G01N33/531 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073892
(22)【出願日】2023-04-28
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】506111240
【氏名又は名称】学校法人 愛知医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100202120
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 修
(74)【代理人】
【識別番号】100227385
【弁理士】
【氏名又は名称】樫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】曽根 淳
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】精度良く且つ簡便に神経核内封入体病を診断できる検査方法の提供を目的とする。
【解決手段】本発明者らは神経核内封入体病の原因遺伝子がNOTCH2NLC 遺伝子上のGGC リピート配列の延長であることに着目し、かかる延長によって発現する異常タンパク質に特異的に結合する抗体を開発した。本発明はかかる抗体、抗体を用いての神経核内封入体病における核内封入体の検出方法、抗体を用いた神経核内封入体病診断薬及び診断用キットを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体。
【請求項2】
以下の工程を含む神経核内封入体病における核内封入体の検出方法。
(A)生体試料に、請求項1に記載の抗体を接触させる工程。
(B)前記抗体に結合された核内封入体を免疫組織化学染色法により検出する工程。
【請求項3】
請求項1に記載の抗体を含む神経核内封入体病診断薬。
【請求項4】
請求項1に記載の抗体及び前記抗体を検出するための検出試薬を含む、神経核内封入体診断用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経核内封入体病の検出抗体及びそれを用いた検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経核内封入体病(Neuronal Intranuclear Inclusion Disease、「NIID」ということもある。)は、認知症機能障害や四肢の筋力低下などが認められる進行性の神経性疾患である。大脳や脊髄、末梢神経といった神経組織の細胞や一般臓器の細胞の中にある「細胞核」の中に、「封入体」と呼ばれる異物の存在が認められる難病である。「封入体」は、タンパク質などが集まって形成された沈着物であるがその詳細は不明である。
【0003】
NIIDは、「神経細胞が脱落する」といった、共通する病理学的特徴はあるものの、必ずしも顕著な神経細胞脱落を伴うとは限らず、神経細胞脱落の部位及び程度は症例ごとに異なっている。そのため、主となる臨床症候が多様であったことから生前診断は困難であった。
【0004】
本発明者らは、2011年に皮膚生検組織からNIIDの診断が可能であることを報告した(非特許文献1参照)。この研究において、神経核内封入体は、皮膚生検サンプルにおいてヘマトキシリン・エオジン染色を行った場合にエオジン好性に染色された。又は抗ユビキチン抗体又は抗p62抗体を用いて免疫蛍光染色を行った場合に、抗ユビキチン抗体又は抗p62抗体に陽性に染色された。
【0005】
本発明者らは、2019年に皮膚生検により診断した多くの家系例を用いてゲノム解析を行った結果、NIID の原因遺伝子がNOTCH2NLC 遺伝子(Notch 2 N-terminal like C)の5'非翻訳領域に存在するGGC リピート配列の延長であることを同定した(非特許文献2及び3参照)。NOTCH2NLC 遺伝子のGGCリピート配列に着目したNIID患者の検出方法も開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Sone J, et al., “Skin biopsy is useful for the antemortem diagnosis of neuronal intranuclear inclusion disease”, Neurology 2011;76:1372-1376
【非特許文献2】Sone J, et al., “Long-read sequencing identifies GGC repeat expansions in NOTCH2NLC associated with neuronal intranuclear inclusion disease”, Nature Genetics, 2019;51:1215-1221
【非特許文献3】Sone J, et al., “Long-read sequencing identifies GGC repeat expansion in human-specific NOTCH2NLC associated with neuronal intranuclear inclusion disease”, Biorxiv, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明者らが2011年に皮膚生検がNIIDの診断に有効であると報告した後は、NIIDの症例数が飛躍的に増加したが、それでもヘマトキシリン・エオジン染色のみでは偽陰性となることがあった。
【0009】
また、頭部MRI画像診断及び病状などの臨床診断並びに皮膚検体が抗p62抗体で染色された場合は、NIIDが強く疑われていたが、 NIIDと類似の病理像を呈するFXTAS(Fragile X-associated tremor/ataxia syndrome)の皮膚にも、NIID同様の核内封入体が認められたという報告がなされた。そのため、臨床診断や皮膚生検においてNIIDが強く疑われた場合に、NIID とFXTAS の識別ができる検査方法が求められていた。
【0010】
NIIDの原因遺伝子が同定されたことにより遺伝子診断も可能となったが、遺伝子診断をすると家族や血縁者の遺伝子異常や病気が明らかになってしまうことがあるため、倫理的な問題を内包していた。そのため遺伝子診断を行わずともNIIDを精度良く診断することができる方法が求められていた。
【0011】
特許文献1には、NOTCH2NLC 遺伝子のGGCリピート配列に着目したNIID検出方法が記載されているが、PCR法を用いた技術であるため、プライマーがハイブリダイゼーションする部分に変異があるような症例では、正しくPCR反応が起こらず、リピート配列の延長を検出できない場合がある。
【0012】
そのため、精度良く且つ簡便にNIID診断ができる検査方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、NIID の原因遺伝子がNOTCH2NLC 遺伝子上のGGC リピート配列の延長であることに着目し、前記GGCリピート配列の延長が異常なタンパク質の発現に寄与することを見出した。発明者らはこの異常タンパク質の凝集物が細胞核の中に沈着することによりNIIDを引き起こすと推測した。そこで、発明者らは、前記タンパク質に特異的に結合する抗体を作成し、その抗体を用いたNIIDにおける核内封入体の検出方法並びに前記抗体を用いたNIID診断薬及び診断用キットを開発し、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の実施形態は、以下に挙げる構成を含み得る。
(1)配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合する抗体。
(2)以下の工程を含む神経核内封入体病における核内封入体の検出方法。
(A)生体試料に、(1)に記載の抗体を接触させる工程。
(B)前記抗体に結合された核内封入体を免疫組織化学染色法により検出する工程。
(3)(1)に記載の抗体を含む神経核内封入体病診断薬。
(4)(1)に記載の抗体及び前記抗体を検出するための検出試薬を含む、神経核内封入体診断用キット。
【発明の効果】
【0014】
本発明の抗体は、NIIDの原因遺伝子であるNOTCH2NLC 遺伝子上のGGC リピート配列の延長により発現する異常なタンパク質に特異的に結合する。NIIDは、細胞核の中に「封入体」と呼ばれる、タンパク質などが集積された異常な構造物が認められる病気であるため、かかるタンパク質に結合する抗体を用いれば、NIIDにおける核内封入体を精度良く検出することができ、かかる抗体を用いた診断薬や診断用キットはNIID診断を精度良く行うことができる。特に皮膚生検により診断することが可能であるため簡便に検査できる。また、遺伝子診断は行わないため、遺伝子診断が内包する倫理的な問題もない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】NOTCH2NLCリピートコンセンサス配列の例。
【
図2】NIID患者2名(F1-16及びF1-14)及びNIID非罹患者2名(F1-7及びF1-18)の線維芽細胞におけるNOTCH2NLC遺伝子のRNAシークエンス解析。NOTCH2NLCのセンス鎖及びアンチセンス鎖由来のリード。順方向(F)及び逆方向(R)鎖のシークエンスを示す(左パネル)。GGCリピート近傍におけるNOTCH2NLC-ASリードのIGV画像(右パネル)。
【
図3】後根神経節神経細胞を用いた、免疫蛍光染色の図(NIID症例)。(a) DAPI染色画像、(b)抗p62抗体染色画像、 (c)S1抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【
図4】後根神経節神経細胞を用いた、免疫蛍光染色の図(NIID症例)。(a) DAPI染色画像、(b)抗p62抗体染色画像、(c)S2抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【
図5】後根神経節神経細胞を用いた、免疫蛍光染色の図(NIID症例)。(a) DAPI染色画像、(b) 抗p62抗体染色画像、 (c)S3抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【
図6】橋核神経細胞を用いた、免疫蛍光染色の図(DRPLA症例)。(a) DAPI染色画像、(b) 抗1C2抗体染色画像、 (c)S2抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【
図7】橋核神経細胞を用いた、免疫蛍光染色の図(SCA3症例)。(a) DAPI画像、(b) 抗1C2抗体染色画像 (c)S2抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【
図8】皮膚線維芽細胞を用いた免疫蛍光染色の図(FXTAS症例)。(a) DAPI画像、(b) 抗p62抗体染色画像 (c)S2抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【
図9】皮膚線維芽細胞を用いた免疫蛍光染色の図(FXTAS症例)。(a) DAPI画像、(b) 抗p62抗体染色画像 (c)抗ポリグリシン抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【
図10】皮膚線維芽細胞を用いた免疫蛍光染色の図(NIID症例)。(a) DAPI画像、(b) 抗p62抗体染色画像 (c)S2抗体染色画像、(d)微分干渉画像、(e)上記4枚の合成画像
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<NIIDとNOTCH2NLC 遺伝子上のGGC リピート配列の延長>
【0017】
NOTCH2NLA、NOTCH2NLB、NOTCH2NLC遺伝子は、ヒトに特異的な遺伝子で、NOTCH2エクソン1~5のパラログであり、脳の発達中にヒトの神経前駆細胞を拡大するNotchシグナルを制御するNotch 2 N-terminal like (N2L) proteinをコードしている。そして、本発明者らは、NIIDの原因遺伝子はNOTCH2NLC 遺伝子上のエクソン1に存在するGGC リピート配列の延長であることを報告した(非特許文献2参照)。具体的には、罹患者7名及び非罹患者7名の全エクソームシークエンス(WES)又はIllumina HiSeq全ゲノムシークエンシング(WGS)のデータを使用して、複数の罹患者を持つ大家族の連鎖地図を作成した。さらに、Oxford Nanopore 社のロングリード型次世代シークエンサー、MinION による解析が可能となったことで、NIID の原因遺伝子が第一染色体上のNOTCH2NLC 遺伝子上のGGCリピート配列の延長であることを同定した(
図1参照)。
【0018】
GGCリピート配列は、N2Cオープンリーディングフレーム(ORF)を開始するATG開始コドンの100 nt以上上流に位置するため、NIIDにおけるNOTCH2NLC(N2C)タンパク質機能の改変は考えられない。さらに、NOTCH2NLC mRNAレベルは、NIIDを有する患者個人において変化していないことから、非翻訳領域に埋め込まれたGGCリピートの拡張が、どのように核内封入体の形成につながるのかは不明であった。
【0019】
なお、GGCリピート配列中には、GGA配列が混在することもあるため、本明細書においてはGGCをGGN(NはC又はA)と表記することもある。
【0020】
ここで、Repeat Associated Non-AUG translation(「RAN Translation」ということもある。)について説明する。RAN Translationは真核細胞で起こりうる mRNA の不規則な翻訳様式である。真核生物のmRNAの翻訳は、通常7-メチルグアノシンでキャップされたmRNAの5’末端に最も近いAUGコドンで始まるが、特定の塩基配列のリピート配列が存在すると、正規のAUG開始コドンがなくても翻訳が生じることが発見された。リピート配列が複数の読み取り枠から凝集しやすいタンパク質に翻訳されるRNA Translationは遺伝性疾患(特に神経性疾患)に重要な役割を担っているのではないかとされる。AUG以外の翻訳開始はCUGやGUGのようなAUGと比較して1塩基少ない「ニアコグネート」開始コドンで起こるという説もあるが、周囲の配列状況も劇的な影響を与えると推測されるため、RAN Translationが生じるのに必要なリピート数やリピート配列のパターン、開始・終止点、従来の翻訳機構との異同などは、現状では不明である。
【0021】
<GGCリピート配列の延長によって翻訳されるアミノ酸>
以前、発明者らは、罹患者サンプルでのみ、伸長リピート領域の開始部又は内部より異常なアンチセンス転写物が見つかり、非罹患者サンプルでは見つからなかったとのデータを発表した(
図2参照)。このことから、発明者らはGGCリピート配列がRAN Translationを惹起すると推察した。
【0022】
GGCリピート配列によってコードされるアミノ酸にはグリシン、アラニン、プロリン、アルギニンがある。又は前記アミノ酸配列からなるポリペプチドがあるが、AUG開始コードを有さないため、どこからタンパク質翻訳が開始されるのかは不明である。本発明者らは、リピート病の中には、リピート配列によってコードされるアミノ酸を発現するのみでは、病態が発現しない疾患も報告されていることから、GGCリピート配列から5’方向に連続して存在する塩基配列に着目し、それによってコードされるアミノ酸について検討した。
【0023】
その結果、配列番号1のアミノ酸を含むポリペプチドが、NIIDの核内封入体に特異的に発現していることを見出し、本発明を完成するに至った。つまり、本発明の抗体は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを特異的に認識する。配列番号1のアミノ酸は、以下で表される連続した18個のアミノ酸である。これが免疫抗原となる。
【0024】
Arg Leu Gly Arg Ser Thr Trp Gly Gly Gly Pro Asp Arg Gly Ala Pro Leu Ser
【0025】
前記ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸を含めば、その他のアミノ酸配列に限定はない。例えば、後述するキャリアをSHを介して結合させるために、ペプチドのN末端又はC末端にシステインを挿入しても良い。
【0026】
ここでキャリアについて説明する。8~30アミノ酸残基のペプチドは分子量が小さいため、免疫原性を持たないことがある。この場合、キャリアと結合させて、又はMultiple Antigen Peptide(MAP)法を用いてMAPペプチドを調製して、免疫原とすることができる。
【0027】
なお、キャリアと結合させる際は、キャリアはSH基を介して結合するため、ペプチドのN末端又はC末端にシステインを挿入しても良い。好ましくはN末端に挿入する。キャリアとしては、キャリア蛋白、ポリマーが挙げられる。キャリア蛋白は牛血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、サイログロブリン又はオボアルブミン等の異種蛋白が挙げられる。ポリマーはマンナン又はキトサン等の糖類、ポリビニルピロリドン(PVA)が挙げられる。
【0028】
本発明におけるポリペプチドは、適宜修飾が施されていても良い。ビオチン修飾、蛍光色素修飾、糖鎖修飾、脂質修飾等がされていても良い。このような修飾箇所は、特に限定されるものではなく、ペプチド内部、ペプチドのC末端又はペプチドのN末端の何れであっても良い。
【0029】
本発明におけるポリペプチドの由来は特に限定されないが、例えば、ヒトや非ヒト哺乳動物の組織又は細胞に由来するペプチドであっても良く、合成ペプチドであっても良い。非ヒト哺乳動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ニワトリ、イヌ等が挙げられる。
【0030】
本発明におけるポリペプチドは、公知の方法によって合成することができる。ペプチド合成機などを用いた化学的な合成方法を採用しても良いし、生化学的な合成方法を採用しても良く、いずれの方法にも限定されない。ペプチドの化学的な合成方法は、Fmoc法やtBOC法などの固相合成法や液相合成法等が挙げられる。ペプチドの生化学的な合成方法は、ペプチドのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有する核酸を宿主細胞(例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、大腸菌など)に導入し、宿主細胞内でペプチドを発現させた後、このペプチドを抽出し、精製することにより、ペプチドを得る方法が挙げられる。合成により得られたペプチドは、公知の精製法、例えば、抽出、沈殿、電気泳動、クロマトグラフィー等により、単離精製することができる。上記方法で得られるペプチドが遊離体である場合には、公知の方法によって適当な塩に変換することができ、また塩で得られた場合には、公知の方法によって遊離体に変換することができる。
【0031】
<抗体及びその製造方法>
本発明の抗体は、配列番号1のアミノ酸を含むポリペプチドを特異的に認識して結合する。かかる抗体を用いることにより、生体試料中に含まれているGGCリピート配列による異常タンパク質を検出することができる。
【0032】
ここで生体試料とは、ヒトから採取されたものであって、NOTCH2NLC遺伝子のGGCリピート配列由来の核酸やタンパク質を含有することが期待できるサンプルであれば、特に限定されるものではない。各種臓器の生検あるいは手術摘出サンプル、剖検サンプルあるいは末梢血や口腔粘膜スワブ等から常法により容易に調製することができる。
【0033】
本発明の抗体は、本発明の配列番号1のアミノ酸を含むポリペプチドを特異的に認識して結合するのであれば、ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体、組換え遺伝子工学技術によって得られるリコンビナント抗体であっても良い。製造の簡便性の観点からポリクローナル抗体であることが好ましい。また、本発明の抗体はIgG、IgM、IgA、IgD、IgEのいずれのアイソタイプであっても良い。
【0034】
本発明の抗体(例えばポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)は、周知の方法で作成することができる。
【0035】
例えば、ポリクローナル抗体は、本発明の配列番号1のアミノ酸を含むポリペプチド(免疫抗原)を用いて哺乳動物を免疫感作し、該哺乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離・精製することにより製造することができる。用いる哺乳動物としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、ニワトリ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシが好ましい。抗原投与の方法は当業者に公知であり、投与経路も特に限定されない。皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等を適宜選択することができる。また、必要に応じてアジュバントを使用することもできる。免疫感作した哺乳動物を適当な期間飼育した後、該哺乳動物の血清を耳静脈等から少量サンプリングし、抗体価を測定する。抗体価が上昇してきたら、状況に応じて抗原を投与して追加免疫を行なってもよい。酸素結合免疫吸着測定法等(例えばELISA等)により検出できる程度に有用な力価の抗ペプチド抗体を得るためには、約2週間の間隔で抗原投与を行うことが好ましい。3回以上抗原投与を実施することが好ましい。最後の投与から1~2ケ月後に、公知の方法により、免疫動物の血液、腹水等、好ましくは血液を採取する。採取した血液などは、公知の方法により精製することにより、抗体の力価が向上する。精製法としては、遠心分離、硫酸アンモニウム又はポリエチレングリコールを用いた沈澱、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の方法が挙げられ、これらの方法を適宜選択して、又はこれらを組み合わせることによって、本発明の抗体を得ることができる。
【0036】
モノクローナル抗体は、例えば、先述した哺乳動物に対して本発明の配列番号1のアミノ酸を含むポリペプチドを免疫感作し、例えば脾臓、リンパ節を摘出し、それらに含まれる抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作成することにより得ることができる。得られたハイブリドーマ細胞は限界希釈法等によりクローニングする。回収した抗体の分離精製を行うことによりモノクローナル抗体を製造できる。
【0037】
<抗体を用いたNIIDの核内封入体の検出方法>
本発明の抗体は、NIIDにおける核内封入体の検出に用いることができる。本発明の抗体は、NIIDの主な原因遺伝子であるGGCリピート配列の延長によって核内封入体に発現する配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的に結合する。被験者の生体試料において前記ポリペプチドが検出された場合は、被験者はGGCリピート配列が延長していることが示唆され、その被験者がNIIDである蓋然性が高いと判定することができる。言い換えると、本発明の抗体陽性となった場合は、その被験者がNIIDである蓋然性が高いと判断することができる。
【0038】
本発明の検出方法は、以下の工程を含む。
(A)生体試料に、本発明の抗体を接触させる工程
(B)前記抗体に結合された核内封入体を免疫組織化学染色法により検出する工程
【0039】
免疫組織化学染色法とは、抗原-抗体間における特異的な反応を利用し、目的とするタンパク質等を可視化する方法である。組織標本の構造的情報を保持したまま解析できる点が特長である。本発明の検出方法では、公知の免疫組織化学染色方法を用いることができる。上記(A)及び(B)工程を含んでいれば他の工程を含んでいても構わない。例えば、(A)工程の前に、生体試料を固定する工程や、脱パラフィン工程、有機溶媒を取り除き、水になじませるための親水化工程や、免疫反応性を高めるための処理を行う抗原賦活化工程を含んでいても良い。
【0040】
固定化方法は、ホルムアルデヒド/ホルマリン固定し、パラフィンで包埋する方法が好ましいが、未固定凍結切片、固定後凍結切片等の方法を用いても良い。脱パラフィン工程としては、スライドガラス上に貼付したホルマリン溶液などを用いて固定した検体を包埋しているパラフィンを有機溶媒にて溶解する方法が挙げられる。有機溶媒としては、キシレンやトルエンが好ましい。親水化工程は、メタノールやエタノールなどの低級アルコール又はアセトンにより実施することが好ましい。濃度を減少させながら低級アルコール溶液を用いる連続的洗浄により親水化してもよい。抗原賦活化の方法としては、例えば、ペプシン、トリプシン、プロナーゼ又はプロテインキナーゼK等のタンパク質分解酵素処理;マイクロウェーブ、オートクレーブ又は煮沸等による加熱処理;アルカリや酸(例えば塩酸、ギ酸、クエン酸)による処理等が挙げられる。抗原賦活化処理は、室温で1分~30分間実施することが好ましい。
【0041】
また、一般的に抗体は、標的タンパク質以外とも非特異な吸着反応を起こすことから、非特異的吸着を防ぐため、ブロッキング剤を用いた前処理を行うことが好ましい。ブロッキング剤としては、例えば、ヤギ、ウマ、ウサギ等の正常血清、ウシ血清アルブミン、ゼラチン、スキムミルクのような生体由来のタンパク質、界面活性剤、ヒドロキシアルキルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これら2種以上を組み合わせて用いることもできる。中でもウシ血清アルブミン、正常血清、スキムミルクが好ましく、特に、非特異的吸着を防ぐためにウシ血清アルブミンがより好ましい。ブロッキング剤を用いた前処理は、室温で15分~60分間実施することが好ましい。
【0042】
(A)工程は、生体試料に、本発明の抗体を接触させる工程であるが、生体試料に存在する配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドと本発明の抗体とが結合できるように近接することができる状態にすることができれば方法は問わない。例えば、皮膚組織のような固形サンプルに対しては、抗体含有溶液を塗布したり、抗体含有溶液に固形サンプルを浸漬したりする方法が挙げられ、唾液のような液状サンプルに対しては、抗体含有溶液と混合する方法が挙げられる。
【0043】
(B)工程は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドに結合した抗体を検出する工程であるが、抗体を検出するための試薬や、検出試薬を可視化するための試薬を用いても良い。抗体を検出するための試薬としては、本発明の抗体に結合する二次抗体を用いることができる。二次抗体は標識化されているものが好ましい。
【0044】
二次抗体の可視化法としては、ペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼ等の酵素を二次抗体に結合させる方法や、二次抗体にビオチン等を付加して前記酵素を結合させたストレプトアビジン等と結合させ、それらの酵素に対応する発色基質を反応させる方法を使用することが好ましい。酵素を二次抗体に結合させる方法としては、デキストリンポリマーやアミノ酸ポリマーに前記酵素と二次抗体を多数結合させた試薬を用いる方法(ポリマー法)を例示することができる。ビオチン化二次抗体及びペルオキシダーゼ標識したストレプトアビジンを反応させる方法(LSAB法)では、発色基質としてDAB等を用いることができる。また、蛍光色素などで標識された二次抗体を使用することもできる。蛍光標識二次抗体で処理した場合、処理後に蛍光顕微鏡を用いて陽性細胞を検出する。電気エネルギーによる発光強度を測定する電気化学発光免疫測定法や、放射性同位元素による標識体を用いる放射免疫測定法を用いることもできる。
【0045】
操作簡便性と感度のバランスの良さから、蛍光標識二次抗体を用いた測定法が好ましい。
【0046】
具体的には、一次抗体として、本発明の抗体を生体試料に添加して、例えば、4℃~室温で15分~5時間反応させた後にPBS-T(10mMのリン酸緩衝液、0.1% Tween-20)で当該一次抗体を洗浄し、次いで、二次抗体として蛍光色素を標識化した標識抗体を添加して、例えば、4℃~室温で15分~5時間反応させた後に当該二次抗体を10mM PBSで洗浄する。その後自家蛍光抑制試薬を添加した後に、選択した二次抗体が発色するような励起波長を当てて蛍光発色させて蛍光顕微鏡で観察する方法が挙げられる。検出感度を高めるために、ABC法を利用しても良い。
【0047】
本発明の抗体はNIID診断薬として用いることができる。また、本発明の抗体はNIID診断用キットとして用いても良い。本発明の診断用キットは、本発明の抗体及び前記抗体を検出するための検出試薬を含む。検出試薬は、先述した抗体を検出するための試薬や、検出試薬を可視化するための試薬等が挙げられ、特に限定されない。必要に応じて、その他の試薬、濾紙、容器、取扱説明書、陽性及び陰性対照サンプル等を含むことができる。
【実施例0048】
以下に示す実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
<配列番号1~3のポリペプチドの合成>
本発明で使用されるポリペプチド(表1参照)の合成は、コスモ・バイオ株式会社に依頼した。配列番号1のアミノ酸を含むポリペプチドに結合する抗体をS2,配列番号2のアミノ酸を含むポリペプチドに結合する抗体をS1,配列番号3のアミノ酸を含むポリペプチドに結合する抗体をS3とした。
【表1】
【0050】
<抗体の作成>
抗体の作成は、コスモ・バイオ株式会社に依頼した。具体的な方法を以下に示す。合成した各ポリペプチドは分子量が小さく免疫反応を起こしにくいと考えたため、キャリアタンパク質に結合させた。まずは合成したポリペプチドのN末端にシステインを配置し、MBS法を用いてキャリアタンパク質とコンジュゲートした。キャリアタンパク質にはKLH(Keyhole limpet hemocyanin; スカシガイ由来ヘモシアニン)を用いた。これを抗原とし、ウサギ1羽(日本白色)に免疫作業を行った。Day49スケジュールにて4回免疫 (初回免疫量:400 ug/FCA、2回目以降:200 ug/FIA)を行い、Day49で全採血を行った。抗原を認識するポリクローナル抗体を含むウサギ抗血清について、ELISA(6点測定)にて力価の確認を行った。配列番号1~3のアミノ酸配列を含むポリペプチドを結合したアフィニティーカラムを用いて特異精製を行った。具体的には、カラムにウサギ抗血清を加え反応させたあと、溶出バッファーを用いて抗体を溶出した。溶出画分を透析膜にいれ、一晩透析を行ったのち、精製抗体を回収した。
【0051】
<免疫組織化学染色>
下記操作はいずれも室温で行った。
【0052】
生検により採取された組織又は細胞を、10%ホルムアルデヒド含有PBSで固定し、パラフィン包埋を行い、4μm厚の切片に薄切して病理標本を作製した。キシレンに5分3回浸漬し、脱パラフィンを行い、100%エタノール、95%エタノール、70%エタノール、脱イオン水に順に3分間ずつ浸漬して親水化した。病理標本をクエン酸Bufferで15分加熱処理をし、抗原賦活化処理を行った。その後抗体の非特異的な反応を防止するために、1%牛血清アルブミン溶液を室温で30分間インキュベートし、染色用サンプルを作成した。
【0053】
(1)抗p62抗体染色
NIIDはp62タンパク質の異常な蓄積・凝集化を伴うことが知られているため、抗p62抗体陽性となる。従来のNIID診断は抗p62抗体の免疫染色法により行われてきた。一方で、抗p62抗体陽性封入体は、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患でも確認されており、NIID特異的な検出方法とは言い難い。ここでは本発明の抗体のNIID特異性を確認するために、抗p62抗体を用いる従来法を使って実験した。
【0054】
染色用サンプルに抗p62抗体(1:200、Santa Cruz、Sc-28359)を添加し、1時間反応させた。10mM PBSで5分間3回洗浄し、二次抗体としては蛍光二次抗体(Thermo Fischer、anti mouse alexa fluor 568)を用いて1時間反応させた。その後10mM PBS洗浄し、自家蛍光低減試薬(Vector、Autofluorescence Quenching Kit(SP-8400-15))で処理し、10mM PBSで洗浄した。その後、後述するDAPI染色で核を染色し、蛍光顕微鏡で観察した。
【0055】
(2)抗1C2抗体染色
抗1C2抗体は、Monomethyl Histone H3抗体 1C2(マウスモノクローナルmouse IgG)であり、ポリグルタミンタンパクを染める。
【0056】
染色用サンプルに抗1C2抗体(1:3000、Milipore)を添加し、1時間反応させた。 PBS-T(10mMのリン酸緩衝液、0.1% Tween-20、以下同じ。)で5分間3回洗浄し、二次抗体としては蛍光二次抗体(Thermo Fischer、anti mouse alexa fluor 568)を用いて1時間反応させた。その後10mM PBS洗浄し、後述するDAPI染色で核を染色した。前記自家蛍光低減試薬で処理し、10mM PBSで洗浄し、蛍光顕微鏡で観察した。
【0057】
(3)S1~S3抗体染色
染色用サンプルに、S1~S3抗体(100倍希釈液)を1時間反応させた。PBS-Tで5分間3回洗浄し、二次抗体としては抗ウサギ蛍光二次抗体(Thermo Fischer、anti mouse alexa fluor 488)を用いて1時間反応させた。その後10mM PBSで洗浄し、前記自家蛍光低減試薬で処理し、10mM PBSで洗浄した。その後、後述するDAPI染色で核を染色し、蛍光顕微鏡で観察した。
【0058】
(4)DAPI染色
各種抗体で染色したサンプルに、細胞核を染色する色素DAPI(同仁堂)を添加し、5分間浸透させ、その後10mM PBSで洗浄した。蛍光退色防止剤入り封入剤を用いて封入し、スライドガラスに封入後のサンプルを乗せ、その後カバーガラスをかぶせ、5分間静置後、上から垂直に押し、カバーガラスの周囲をマニキュアでシールした。蛍光顕微鏡で観察した。
【0059】
<蛍光顕微鏡>
顕微鏡観察には、共焦点レーザースキャン顕微鏡 ・FV3000 (OLYMPUS)を用いた。接眼レンス゛は10倍、対物レンス゛は100倍を使用した(励起波長:405nm、488nm、561 nm)。
【0060】
<本発明の抗体のNIID特異性>
NIID患者の後根神経質細胞を用いて本発明の抗体の特異性を検討した。まず、
図3(a)、
図4(a)、
図5(a)において、DAPI染色により染色された細胞核が確認できる。
図3(b)、
図4(b)、
図5(b)において、NIID診断として従来使われていた抗p62抗体染色において、核内封入体を認める箇所が染まっていることが確認できる。
図3(c)はS1抗体を、
図4(c)はS2抗体を、
図5(c)はS3抗体を一次抗体として反応させた図であるが、
図4(c)のS2抗体を使った場合のみが染色を確認でき、染色された位置は抗p62抗体陽性が確認できた位置と同じであった(
図4(e)参照)。これにより、S2抗体がNIIDにおける核内封入体を特異的に検出できることが明らかとなり、本発明の抗体がNIIDの診断に用いることができることが分かった。
【0061】
また、
図10では、採取する細胞を変更しても、本発明の抗体はNIID診断に用いることができることを示す。
図10はNIID患者の皮膚線維芽細胞を用いた染色結果である。皮膚線維芽細胞は、耳介後部の皮膚など、少量の皮膚を採取すれば済むため容易である。
図10(b)及び(c)において、抗p62抗体陽性位置と同じ位置でS2抗体陽性が確認できた(
図10(e)参照)。
【0062】
NIIDと同様に核内封入体が認められるが、原因遺伝子や症状が異なる神経性疾患として、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症 (「DRPLA」ということもある。)とパーキンソニズムを主症状とする脊髄小脳変性症(「SCA3」ということもある。)がある。DRPLAは、脊髄小脳変性症の1種であり、ATN1遺伝子が原因遺伝子とされる。この遺伝子のCAGリピート配列が正常の2~3倍の長さに異常伸長しているため、ポリグルタミンが生成していると考えられおり、抗1C2 抗体免疫染色陽性の核内封入体を認める。
【0063】
SCA3はATXN3遺伝子が原因遺伝子であるとされ、この遺伝子のCAGリピート配列が、正常の2~3倍の長さに異常伸長しているため、ポリグルタミンが生成していると考えられている。こちらも、抗1C2 抗体免疫染色陽性の核内封入体を認める。
【0064】
図6はDRPLA患者の橋核神経細胞、
図7はSCA3患者の橋核神経細胞を用いて本発明の抗体の特異性を確認した。
図6(a)及び
図7(a)において、DAPI染色により染色された細胞核が確認できる。また、
図6(b)及び
図7(b)において、従来法である抗1C2抗体染色において核内封入体を認める箇所が染まっていることが確認できる。一方でS2抗体を反応させても染色されなかった(
図6(c)及び
図7(c)参照)。これにより、S2抗体は、NIID特異的に反応することが確認できた。
【0065】
NIIDと類似の病理像を呈するFragile X-associated tremor/ataxia syndrome(「FXTAS」ということもある。)が報告されている。FXTASはFMR1の5’非翻訳領域のGGCリピート配列の異常伸長が原因とされる。NIID同様、非翻訳領域のGGCリピート配列の異常伸長が原因であるため、現在においては、病理所見のみでは両者を区別することが難しく、遺伝子検査が必要とされる。
図8はFXTAS患者の皮膚線維芽細胞を用いた染色結果である。
図8(a)において、DAPI染色により染色された細胞核が確認できる。FXTASも核内にp62タンパク質の蓄積を認めるため、
図8(b)において抗p62抗体陽性となっていることが確認できる。また、一方で、FXTASでは、S2抗体を反応させても、抗p62抗体陽性位置と同じ位置で染色されなかった(
図8(c)参照)。なお、FXTASは核内のポリグリシンが蓄積することも知られているため、抗ポリグリシン抗体で染色したところ、抗ポリグリシン抗体陽性位置と同じ位置で陽性となったこと
図9(c)に示す。これにより、識別が難しいと言われているFXTASとNIIDを容易に識別可能であることがわかった。