(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158791
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】多方向入力装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/06 20060101AFI20241031BHJP
【FI】
H01H25/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074319
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】000194918
【氏名又は名称】ホシデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】井上 将徳
(72)【発明者】
【氏名】浅野 光宏
【テーマコード(参考)】
5G031
【Fターム(参考)】
5G031AS16K
5G031HU33
5G031KS16
(57)【要約】
【課題】寿命が短くなるのを抑えることができる多方向入力装置を提供する。
【解決手段】多方向入力装置100は、ハウジング1と、ハウジング1から突出して傾倒操作可能な操作部材5と、操作部材5の傾倒操作に応じて第1方向に回動可能にハウジング1に保持された第1回動部材2と、操作部材5の傾倒操作に応じて第1方向と直交する第2向に回動可能にハウジング1に保持された第2回動部材3と、第1回動部材2及び第2回動部材3の回動をそれぞれ検出する第1検出部及び第2検出部と、第1方向及び第2方向とは異なる第3方向に回動可能にハウジング1に保持された第3回動部材4とを備え、操作部材5は、第3方向と直交する第4方向に回動可能に第3回動部材4に保持されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングから突出して傾倒操作可能な操作部材と、
前記操作部材の傾倒操作に応じて第1方向に回動可能に前記ハウジングに保持された第1回動部材と、
前記操作部材の傾倒操作に応じて前記第1方向と直交する第2方向に回動可能に前記ハウジングに保持された第2回動部材と、
前記第1回動部材及び前記第2回動部材の回動をそれぞれ検出する第1検出部及び第2検出部と、
前記第1方向及び前記第2方向とは異なる第3方向に回動可能に前記ハウジングに保持された第3回動部材とを備え、
前記操作部材は、前記第3方向と直交する第4方向に回動可能に前記第3回動部材に保持されている
ことを特徴とする多方向入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周囲の任意の方向に操作可能な操作部材を備え、この操作部材に対する操作方向及び操作量に応じて信号出力を行うと共に、この操作部材に対する押圧操作に応じてスイッチ回路をオン/オフ可能な多方向入力装置が知られている。このような多方向入力装置として、例えば、操作部材が第1方向と直交する第2方向に回動可能に保持された第1連動部材であって、操作部材の傾倒操作に応じて第1方向に回動可能且つ操作部材の押圧操作に応じて下方側に移動可能にハウジングに保持された第1連動部材と、操作部材の傾倒操作に応じて第1方向と直交する第2方向に回動可能にハウジングに保持された第2連動部材と、第1連動部材及び第2連動部材の回動をそれぞれ検出する第1検出部及び第2検出部と、操作部材に対する押圧操作に応じた第1連動部材の下方側への移動により押圧されるプッシュスイッチとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の多方向入力装置では、操作部材の押圧荷重が第1連動部材に加わるため、例えば構成部品及び組み立ての精度によっては、操作部材の押圧荷重が第1検出部に伝わるおそれがあり、第1検出部の寿命が短くなり、多方向入力装置の寿命が短くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、寿命が短くなるのを抑えることができる多方向入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る多方向入力装置は、ハウジングと、前記ハウジングから突出して傾倒操作可能な操作部材と、前記操作部材の傾倒操作に応じて第1方向に回動可能に前記ハウジングに保持された第1回動部材と、前記操作部材の傾倒操作に応じて前記第1方向と直交する第2方向に回動可能に前記ハウジングに保持された第2回動部材と、前記第1回動部材及び前記第2回動部材の回動をそれぞれ検出する第1検出部及び第2検出部と、前記第1方向及び前記第2方向とは異なる第3方向に回動可能に前記ハウジングに保持された第3回動部材とを備え、前記操作部材は、前記第3方向と直交する第4方向に回動可能に前記第3回動部材に保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、操作部材の押圧荷重が検出部に伝わらないため、検出部の寿命が短くなるのを抑えることができ、寿命が短くなるのを抑えることができる多方向入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る多方向入力装置の外観斜視図である。
【
図4】
図1の多方向入力装置のハウジングを透明化した状態での平面図である。
【
図5】
図1の多方向入力装置のA-A線断面図である。
【
図6】
図1の多方向入力装置のB-B線断面図である。
【
図7】
図1の多方向入力装置のC-C線断面図である。
【
図8】
図1の多方向入力装置のD-D線断面図である。
【
図9】
図1の多方向入力装置のハウジング、第1回動部材及び第2回動部材を透明化した状態での平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る多方向入力装置について、
図1~
図9を参照して説明する。本実施形態に係る多方向入力装置100は、ハウジング1と、前記ハウジング1から突出して傾倒操作可能な操作部材5と、操作部材5の傾倒操作に応じて第1方向に回動可能にハウジング1に保持された第1回動部材2と、操作部材5の傾倒操作に応じて第1方向と直交する第2向に回動可能にハウジング1に保持された第2回動部材3と、第1回動部材2及び第2回動部材3の回動をそれぞれ検出する第1検出部及び第2検出部と、第1方向及び第2方向とは異なる第3方向に回動可能にハウジング1に保持された第3回動部材4とを備え、操作部材5は、第3方向と直交する第4方向に回動可能に第3回動部材4に保持されていることを特徴とするもので、操作部材5の押圧荷重が検出部に伝わらないため、検出部の寿命が短くなるのを抑えることができ、寿命が短くなるのを抑えることができる多方向入力装置である。なお、「回動」は、回転角度が所定範囲に限定された回転に相当する。この多方向入力装置1は、例えば、家庭用ゲーム機のコントローラに利用され得るものであるが、多方向入力装置の用途はこれに限られない。
【0010】
本実施形態に係る多方向入力装置100においては、第1検出部は、第1回動部材2に係合連結されて第1回動部材2と連動可能にハウジング1に保持された第1検出部材71の移動方向及び移動量を検出し、第2検出部は、第2回動部材3に係合連結されて第2回動部材3と連動可能にハウジング1に保持された第2検出部材72の移動方向及び移動量を検出する。
【0011】
本実施形態に係る多方向入力装置100においては、第3回動部材4は、操作部材5の押圧操作に応じて下方に移動可能にハウジング1に保持され、操作部材5に対する押圧操作に応じた第3回動部材4の下方への移動により押圧される第3検出部材73を備える。
【0012】
本実施形態に係る多方向入力装置100においては、操作部材5を操作前の初期状態に復帰させる復帰機構6を備える。
【0013】
本実施形態に係る多方向入力装置100においては、復帰機構6は、操作部材5の軸方向に延びる軸部611であって、操作部材5の軸方向に移動可能に操作部材5の内側に挿入された軸部611と、軸部611の一端に形成され、ハウジング1の底面側に当接する底部612とを有する作動部材61と、操作部材5と作動部材61との間に配置されて作動部材61をハウジング1の底面側に付勢する弾性部材62とを備える。
【0014】
図1は、本実施形態に係る多方向入力装置100の外観斜視図である。
図2は、
図1の多方向入力装置100の分解斜視図である。
図3は、
図1の多方向入力装置100の平面図である。
図4は、
図1の多方向入力装置100のハウジング1を透明化した状態での平面図である。
図5は、
図1の多方向入力装置100のA-A線断面図である。
図6は、
図1の多方向入力装置100のB-B線断面図である。
図7は、
図1の多方向入力装置100のC-C線断面図である。
図8は、
図1の多方向入力装置100のD-D線断面図である。
図9は、
図1の多方向入力装置100のハウジング1、第1回動部材2及び第2回動部材3を透明化した状態での平面図である。
【0015】
以下、図に示す(X1、X2、Y1、Y2、Z1、Z2、V1、V2、W1、W2)を基準として多方向入力装置100を説明する。X1、X2方向をX方向、Y1、Y2方向をY方向、Z1、Z2方向をZ方向、V1、V2方向をV方向、W1、W2方向をW方向と総称する。X、Y、Z方向は互いに直交する。X1方向及びX2方向をそれぞれ左方向及び右方向、X方向を左右方向、Y1方向及びY2方向をそれぞれ前方向及び後方向、Y方向を前後方向、Z1方向及びZ2方向をそれぞれ上方向及び下方向、Z方向を上下方向という場合がある。Z、V、W方向は互いに直交する。V、W方向はそれぞれX、Y方向とは異なる斜め方向(X、Y方向に対して任意の角度を成す方向)であって、X方向とY方向の間の斜め方向である。本実施形態においてV、W方向はそれぞれX、Y方向に対して45度を成す方向であるが、それに限定されず、それ以外の任意の角度(例えばX方向に対して30度、Y方向に対して60度)を成す方向であってもよい。
【0016】
図1~
図9に示すように、多方向入力装置100は、ハウジング1と、第1回動部材2と、第2回動部材3と、第3回動部材4と、操作部材5と、復帰機構6と、検出機構7と、基板8と、を備える。
【0017】
ハウジング1は、多方向入力装置100の各構成を収納する部材である。ハウジング1は、ケース11と、フレーム12と、により構成される。
【0018】
ケース11は、ハウジング1の上部を構成する部材である。ケース11は、樹脂により形成される。ケース11は、中空のドーム形状であり、下面をフレーム22の上面に固定される。ケース11は、開口111を有する。
図5~
図7に示すように、ケース11は、軸受部112~117を有する。
【0019】
開口111は、ケース11の頂部に形成され、操作部材5の後述する軸部51をケース11の内部から上方に突出する部分である。
【0020】
軸受部112は、第1回動部材2の後述する軸部22を保持する部分である。
図5に示すように、軸受部112は、ケース11のY1側の内周面に形成される。図の例では、軸受部112は貫通孔であるが、貫通していない凹部であってもよい。
【0021】
軸受部113は、第1回動部材2の後述する軸部23を収納する部分である。
図5に示すように、軸受部113は、ケース11のY2側の内周面に形成される。軸受部113は、軸受部112とは異なり、軸部を下方から支持する部分を有しない。
【0022】
軸受部114は、第2回動部材3の後述する軸部32を保持する部分である。
図6に示すように、軸受部114は、ケース11のX1側の内周面に形成される。図の例では、軸受部114は貫通孔であるが、貫通していない凹部であってもよい。
【0023】
軸受部115は、第2回動部材3の後述する軸部33を収納する部分である。
図6に示すように、軸受部115は、ケース11のX2側の内周面に形成される。軸受部115は、軸受部114とは異なり、軸部を下方から支持する部分を有しない。
【0024】
軸受部116は、第3回動部材4の後述する軸部42を収納する部分である。
図7に示すように、軸受部116は、ケース11のW1側の内周面に形成される。軸受部116は、軸受部113、115と同様に、軸部を下方から支持する部分を有しない。
【0025】
軸受部117は、第3回動部材4の後述する軸部43を収納する部分である。
図7に示すように、軸受部117は、ケース11のW2側の内周面に形成される。軸受部117は、軸受部116と同様に、軸部を下方から支持する部分を有しない。
【0026】
フレーム12は、ハウジング1の底面を構成する部材である。フレーム12は、例えば、金属板により形成される。フレーム12は、
図5、
図6に示すように、底面部121と、支持部122、123と、を有する。
【0027】
底面部121は、ハウジング1の底面を構成する部分である。底面部121は、矩形の平板状であり、上面にケース11を固定される。
【0028】
支持部122、123は、ケース11の側面を支持する部分である。支持部122は、
図5に示すように、底面部121のY1側から上方に延びるように形成される。支持部122と、ケース11のY1側の側面と、が当接することにより、ケース11のY1方向の位置ずれが規制される。支持部123は、
図6に示すように、底面部121のX1側及びX2側から上方に延びるように形成される。支持部123と、ケース11のX1側及びX2側の側面と、が当接することにより、ケース11のX方向に位置ずれが規制される。
【0029】
第1回動部材2は、操作部材5をX方向(第1方向)に傾倒操作可能に保持する部材である。第1回動部材2は、例えば、樹脂により形成される。第1回動部材2は、Y方向を回転軸として回動可能なように、ケース11に保持される。
図5に示すように、第1回動部材2は、挟持部21と、軸部22、23と、脚部24と、駆動部25と、を有する。
【0030】
挟持部21は、操作部材5を挟持する部分である。挟持部21は、操作部材5の後述する基部52の上面を覆う、中央が開口した球面状に形成され、開口部に操作部材5の後述する軸部51を軸方向に移動可能に挿入される。挟持部21は、操作部材5のX1側及びX2側に当接し、操作部材5のY1側及びY2側から離間するように形成される。
【0031】
軸部22は、挟持部21のY1側からY1方向に延びる、第1回動部材2の回転軸である。軸部22は、軸部23と同軸上に配置される。軸部32は、ケース11の軸受部112により回動可能に保持される。
【0032】
軸部23は、挟持部21のY2側からY2方向に延びる、第1回動部材2の回転軸である。軸部23は、軸部22と同軸上に配置される。軸部23は、ケース11の軸受部113により回動可能に保持される。
【0033】
脚部24は、軸部23をケース11の軸受部113に回動可能に保持する部分である。脚部24は、軸部23から下方に延び、下端部がフレーム12の底面部121に当接(摺接)した状態で、軸部23と一体に回動するように形成される。脚部24の下端部とフレーム12の底面部121が当接(摺接)することにより、軸部23の下方への移動が規制され、軸部23がケース11の軸受部113に回動可能に保持される。
【0034】
駆動部25は、後述する第1検出部材を駆動する部分である。駆動部25は、挟持部21のY1側から下方に延び、第1検出部材71の後述する凸部712をX1側及びX2側から挟持するように形成される。
【0035】
以上のような構成により、第1回動部材2は、ケース11によって、Y方向を回転軸として可動可能に保持される。また、第1回動部材2は、操作部材5をX1側及びX2側から挟持する。したがって、操作部材5がX方向に傾倒すると、第1回動部材2は、操作部材5と共にX方向に回動する。すなわち、第1回動部材2は、操作部材5をX方向に傾倒可能に保持する。また、操作部材5がY方向に傾倒した場合、操作部材5は、挟持部21の開口部の内側を移動する。したがって、第1回動部材2は、操作部材5のY方向の傾倒を妨げない。
【0036】
第2回動部材3は、操作部材5をX方向(第1方向)と直交するY方向(第2方向)に傾倒可能に保持する部材である。第2回動部材3は、例えば、樹脂により形成される。第2回動部材3は、第1回動部材2の下方側において、X方向を回転軸として可動可能なように、ケース11に保持される。
図6に示すように、第2回動部材3は、挟持部31と、軸部32、33と、脚部34と、駆動部35と、を有する。
【0037】
挟持部31は、操作部材5を挟持する部分である。挟持部31は、操作部材5の後述する基部52の上面を覆う、中央が開口した球面状に形成され、開口部に操作部材5の後述する軸部51を軸方向に移動可能に挿入される。挟持部31は、操作部材5のY1側及びY2側に当接し、操作部材5のX1側及びX2側から離間するように形成される。
【0038】
軸部32は、挟持部31のX1側からX1方向に延びる、第2回動部材3の回転軸である。軸部32は、軸部33と同軸上に配置される。軸部32は、ケース11の軸受部114により回動可能に保持される。
【0039】
軸部33は、挟持部31のX2側からX2方向に延びる、第2回動部材3の回転軸である。軸部33は、軸部32と同軸上に配置される。軸部33は、ケース11の軸受部115により可動可能に保持される。
【0040】
脚部34は、軸部33をケース11の軸受部115に回動可能に保持する部分である。脚部34は、軸部33から下方に延び、下端部がフレーム12の底面部121に当接(摺接)した状態で、軸部33と一体に回動するように形成される。脚部34の下端部とフレーム12の底面部121が当接(摺接)することにより、軸部33の下方への移動が規制され、軸部33がケース11の軸受部115に回動可能に保持される。
【0041】
駆動部35は、後述する第2検出部材72を駆動する部分である。駆動部35は、挟持部31のX1側から下方に延び、第2検出部材72の後述する凸部722をY1側及びY2側から挟持するように形成される。
【0042】
以上のような構成により、第2回動部材3は、ケース11によって、X方向を回転軸として可動可能に保持される。また、第2回動部材3は、操作部材5をY1側及びY2側から挟持する。したがって、操作部材5がY方向に傾倒すると、第2回動部材3は、操作部材5と共にY方向に回動する。すなわち、第2回動部材3は、操作部材5をY方向に傾倒可能に保持する。また、操作部材5がX方向に傾倒した場合、操作部材5は、挟持部31の開口部の内側を移動する。したがって、第2回動部材3は、操作部材5のX方向の傾倒を妨げない。
【0043】
第3回動部材4は、操作部材5をX方向(第1方向)及びY方向(第2方向)とは異なるV方向(第3方向)に傾倒可能に保持する部材である。第3回動部材4は、例えば、樹脂により形成される。第3回動部材4は、V方向と直交するW方向(第4方向)を回転軸として回動可能なように、ケース11に保持される。
図7に示すように、第3回動部材4は、挟持部41A、41Bと、軸部42、43と、脚部44と、を有する。
【0044】
挟持部41Aは、操作部材5を挟持する部分である。挟持部41Aは、操作部材5の後述する基部52のV1側の側面を覆う、中央が開口した球面状に形成され、開口部に操作部材5の後述する凸部を挿入される。
【0045】
挟持部41Bは、操作部材5を挟持する部分である。挟持部41Bは、操作部材5の後述する基部52のV2側の側面を覆う、中央が開口した球面状に形成され、開口部に操作部材5の後述する凸部を挿入される。
【0046】
挟持部41A、41Bは、一体に形成されており、W1側及びW2側が接続されている。以下、挟持部41A、41Bにより構成される球面状の部分を挟持部41という。挟持部41は、この内側に挿入された操作部材5の後述する基部52のV1側及びV2側に当接し、W1側及びW2側から離間するように形成される。
【0047】
軸部42は、挟持部41のW1側からW1方向に延びる、第3回動部材4の回転軸である。軸部42は、軸部43と同軸上に配置される。軸部42は、ケース11の軸受部116により回動可能に保持される。
【0048】
脚部44は、軸部42をケース11の軸受部116に回動可能に保持する部分である。脚部44は、軸部42から下方に延び、下端部がフレーム12の底面部121に当接(摺接)した状態で、軸部42と一体に回動するように形成される。脚部44の下端部とフレーム12の底面部121とが当接(摺接)することにより、軸部42の下方への移動が規制され、軸部42がケース11の軸受部116に回動可能に保持される。
【0049】
軸部43は、挟持部41のW2側からW2方向に延びる、第3回動部材4の回転軸である。軸部43は、軸部42と同軸上に配置される。軸部43は、ケース11の軸受部117により回動可能に保持される。軸部43は、下方から後述する第3検出部材73により支持される。これにより、軸部43は、ケース11の軸受部117に回動可能に保持される。
【0050】
以上のような構成により、第3回動部材4は、ケース11によって、W方向を回転軸として回動可能に保持される。また、第3回動部材4は、操作部材5をV1側及びV2側から挟持する。したがって、操作部材5がV方向に傾倒すると、第3回動部材4は、操作部材5と共にV方向に回動する。すなわち、第3回動部材4は、操作部材5をV方向に傾倒可能に保持する。また、操作部材5がW方向に傾倒した場合、操作部材5は、挟持部41の開口部(W1側とW2側との間)の内側を移動する。したがって、第3回動部材3は、操作部材5のW方向の傾倒を妨げない。
【0051】
操作部材5は、ユーザからの操作を受ける部材である。操作部材5は、例えば、樹脂により形成される。操作部材5は、筒状に形成され、内側に復帰機構6を収納する。操作部材5は、初期位置において、軸方向がZ方向になるように、第1回動部材2、第2回部材3及び第3回動部材4により保持される。操作部材5の初期位置とは、操作部材5の非操作時の位置である。以下、操作部材5の構成について、非操作時の状態を基準に説明する。操作部材5は、軸部51と、基部52と、凸部53、54と、を有する。
【0052】
軸部51は、軸方向に延びる筒状の部分である。軸部51は、基部52からZ1方向に延びるように形成され、第1回動部材2及び第2回動部材3の開口部に挿入され、ケース11の開口111を通して、ハウジング1の内部から上方に突出する。軸部51とケース11の開口111の縁部とが当接することにより、操作部材5の傾倒角度が所定範囲に規制される。軸部51の上端には、例えば、円盤状の操作ノブ(図示省略)が取り付けられる。操作ノブの形状は、ユーザが操作しやすい任意の形状とすることができる。操作ノブは、軸部51の上端に一体に形成されてもよい。軸部51の内周面には、軸方向と垂直な下向きの段面からなり、復帰機構6の後述する弾性部材62の上端を当接される上部ばね坐部55が形成される。
【0053】
基部52は、軸部51の下端部に形成された略球面状の部分である。基部52は、第3回動部材4の挟持部41の内側に挿入され、V1側及びV2側を挟持部41に当接され、W1側及びW2側を挟持部41から離間される。基部52の内周面には、復帰機構6の後述する作動部材61の雄スプライン611Bと嵌合される雌スプライン56が形成される。
【0054】
凸部53は、基部52のV1側からV1方向に突出した部分である。凸部53は、挟持部41Aの開口部に挿入される。凸部53は、挟持部41Aの開口部の内側で、W方向に回動可能なように形成される。
【0055】
凸部54は、基部52のV2側からV2方向に突出した部分である。凸部54は、挟持部41Bの開口部に挿入される。凸部54は、挟持部41Bの開口部の内側で、W方向に回動可能なように形成される。
【0056】
以上のような構成により、操作部材5は、凸部53、54によって、V方向を回転軸として回動可能に第3回動部材4に保持される。第3回動部材4は、軸部42、43によって、操作部材5をW方向を回転軸として回動可能にケース11に保持する。したがって、操作部材5は、V方向の回転軸及びW方向の回転軸を基準として、初期位置から周囲の任意の方向(360度全方向)に傾倒可能にケース11に保持される。
【0057】
復帰機構6は、傾倒操作された操作部材5を初期位置に向かって付勢し、操作部材5を自動で初期位置に復帰させる機構である。復帰機構6は、筒状の操作部材5の内側に配置される。復帰機構6は、作動部材61と、弾性部材62と、を備える。
【0058】
作動部材61は、軸部611と、底部612と、を有する。
【0059】
軸部611は、底部612の上面から操作部材5の軸方向(Z1方向)に延びる部分である。軸部611は、操作部材5の内側に軸方方向(Z方向)に移動可能に挿入される。軸部611は、下部611Aと、上部611Bと、雄スプライン611Cと、下部ばね坐部611Dと、を有する。
【0060】
下部611Aは、底部612の上面から操作部材5の軸方向(Z1方向)に延びる軸状の部分である。
【0061】
上部611Bは、下部611Aの上端からさらに操作部材5の軸方向(Z1方向)に延びる軸状の部分である。上部611Bは、下部611Aよりも細くなるように形成される。上部611Bは、弾性部材62に挿入される。
【0062】
雄スプライン611Cは、操作部材5の雌スプライン56と嵌合される部分である。雄スプライン611Cは、下部611Aの外周面に形成される。操作部材5の雌スプライン56と作動部材61の雄スプライン611Cとの嵌合(スプライン嵌合)によって、操作部材5に対する作動部材61の回り止めが行われる。
【0063】
下部ばね坐部611Dは、弾性部材62の下端に当接される部分である。下部ばね坐部611Dは、下部611Aと上部611Bの外周面の間に形成される、軸方向と垂直な上向きの段面からなり、上部ばね坐部55の下方に対向して位置する。
【0064】
底部612は、ハウジング1の底面(フレーム12の上面)に当接する円盤状の部分である。底部612は、軸部61の下端(一端)に形成される。作動部材61は、非操作時において、底部612がハウジング1の底面の中央部に位置するように配置される。操作部材5の傾倒によって作動部材61が傾倒すると、底部612は、作動部材61が傾倒に伴ってハウジング1の底面上を摺動する。
【0065】
なお、作動部材61は、軸部611の上部611B以外の部分が樹脂により形成され、軸部611の上部611Bは金属により形成される。ここで、軸部611の上部611Bは、例えば、金属棒63の上部により形成される。軸部611の下部611Aを筒状に形成し、この筒状の下部611Aの内側に金属棒63の下部が挿入固定され、下部611Aの上端から金属棒63の上部が操作部材5の軸方向(Z1方向)に突出される。また、金属棒63には、下部と上部の間の外周面にフランジ部631が形成される。フランジ部631は、樹脂の下部ばね坐部611Dに上方から当接し、下部ばね坐部611Dを金属で覆う。作動部材61は、これに限られず、全体を樹脂で形成されてもよい。
【0066】
弾性部材62は、作動部材61に対して下向きの付勢力を加える弾性部材である。弾性部材62は、例えば、金属製の圧縮コイルばねである。弾性部材62は、操作部材5と作動部材61との間に配置され、作動部材61の軸部611の上部611Bを挿入される。弾性部材62は、上端を操作部材5の上部ばね坐部55に支持され、下端を作動部材61の下部ばね坐部611Dに支持される。
【0067】
検出機構7は、ユーザによる操作部材5の操作を検出する機構である。検出機構7は、第1検出部材71と、第2検出部材72と、第3検出部材73と、を備える。
【0068】
第1検出部材71は、操作部材5のX方向(第1方向)への傾倒操作を検出するための部材である。第1検出部材71は、保持部711と、凸部712と、可動接点713と、を有する。
【0069】
保持部711は、可動接点713を保持する部分である。保持部711は、例えば、樹脂により形成される。保持部711は、X方向に延びるように形成され、下面に可動接点713を固定される。保持部711は、基板8上のY1側の端部に配置される。
【0070】
凸部712は、保持部711のY2側の側面からY2方向に突出した部分である。凸部712は、例えば、樹脂により形成される。凸部712は、第1回動部材2の駆動部25によりX1側及びX2側から挟持される。保持部711は、駆動部25が凸部712を挟持可能なように配置される。
【0071】
可動接点713は、保持部711に中央部を固定された弾性を有するばね接点である。可動接点713は、例えば、金属により形成される。可動接点713は、両端部が基板8の上面と当接可能なように形成される。
【0072】
操作部材5がX方向に傾倒操作されると、操作部材5の傾倒に伴って第1回動部材2がX方向に回動し、駆動部25がX方向に回動する。駆動部25がX方向に回動すると、駆動部25に挟持された凸部712がX方向に駆動され、保持部711がX方向に駆動される。保持部711がX方向に駆動されると、保持部711に保持された可動接点713が基板8上をX方向に摺動する。すなわち、可動接点713は、操作部材5のX方向の傾倒に伴って、X方向に摺動する。したがって、基板8の上面に設けられた回路、例えば、第1抵抗回路により、可動接点713の位置(抵抗値)を検出することにより、操作部材5のX方向の傾倒を検出することができる。第1検出部材71は、基板8の第1抵抗回路とで、第1可変抵抗器を構成し、第1回動部材2のX方向における回動方向(X1方向及びX2方向)及び回動量を検出することができる。すなわち、操作部材5のX方向における傾倒方向(X1方向及びX2方向)及び傾倒量を検出することができる。
【0073】
第2検出部材72は、操作部材5のY方向への傾倒操作を検出するための部材である。第2検出部材72は、保持部721と、凸部722と、可動接点723と、を有する。
【0074】
保持部721は、可動接点723を保持する部分である。保持部721は、例えば、樹脂により形成される。保持部721は、Y方向に延びるように形成され、下面に可動接点723を固定される。保持部721は、基板8上のX1側の端部に配置される。
【0075】
凸部722は、保持部721のX2側の側面からX2方向に突出した部分である。凸部722は、例えば、樹脂により形成される。凸部722は、駆動部35によりY1側及びY2側から挟持される。保持部721は、駆動部35が凸部722を挟持可能なように配置される。
【0076】
可動接点723は、保持部721の下面に中央部を固定された弾性を有するばね接点である。可動接点723は、例えば、金属により形成される。可動接点723は、両端部が基板8の上面と当接可能なように形成される。
【0077】
操作部材5がY方向に傾倒操作されると、操作部材5の傾倒に伴って第2回動部材3がY方向に回動し、駆動部35がY方向に回動する。駆動部35がY方向に回動すると、駆動部35に挟持された凸部722がY方向に駆動され、保持部721がY方向に駆動される。保持部721がY方向に駆動されると、保持部721に保持された可動接点723が基板8上をY方向に摺動する。すなわち、可動接点723は、操作部材5のY方向の傾倒に伴って、Y方向に摺動する。したがって、基板8の上面に設けられた回路、例えば、第2抵抗回路により、可動接点723の位置(抵抗値)を検出することにより、操作部材5のY方向の傾倒を検出することができる。第2検出部材72は、基板8の第2抵抗回路とで、第2可変抵抗器を構成し、第2回動部材3のY方向における回動方向(Y1方向及びY2方向)及び回動量を検出することができる。すなわち、操作部材5のY方向における傾倒方向(Y1方向及びY2方向)及び傾倒量を検出することができる。
【0078】
第3検出部材73は、操作部材5のZ方向(軸方向)への押圧操作を検出するための部材である。第3検出部材73は、例えば、樹脂により形成される。第3検出部材73は、支持部731と、押圧部732と、を有する。
【0079】
支持部731は、第3回動部材4の軸部43を下方から支持する部分である。支持部731は、第3回動部材4の軸部43の下に配置される。第3回動部材4の軸部43は、支持部731上で回動する。
【0080】
押圧部732は、後述する可動接点83を押圧する部分である。押圧部732は、可動接点83の上に配置される。操作部材5が軸方向に押圧操作されると、第3回動部材4の軸部43が下方に移動し、第3検出部材73が下方に移動し、可動接点83が押圧される。したがって、基板8の上面に設けられた回路、例えば、スイッチ回路により、可動接点83の押圧を検出することにより、操作部材5の押圧操作を検出することができる。
【0081】
基板8は、ユーザによる操作部材5の操作を検出する回路、例えば、第1抵抗回路、第2抵抗回路及びスイッチ回路を備えたプリント基板である。基板8は、例えば、フレキシブル基板である。基板8は、ハウジング1の底面(フレーム12の上面)上に配置され、端子がハウジング1の外部に露出する。
【0082】
基板8の上面には、ユーザによる操作部材5の操作を検出するための回路、例えば、第1抵抗回路、第2抵抗回路及びスイッチ回路が実装される。具体的には、基板8における可動接点713の摺動路上には、可動接点713のX方向の位置を検出するための固定接点81が実装される。また、基板8における可動接点723の摺動路上には、可動接点723のY方向の位置を検出するための固定接点82が実装される。また、基板8における押圧部732に対応する部分には、操作部材5の押圧操作を検出するための可動接点83と、可動接点83の押圧を検出するための固定接点84と、が実装される。可動接点83は、例えば、ドーム状金属板からなるスナッププレートであり、片面粘着テープ85により固定接点84上に固定される。
【0083】
次に、本実施形態に係る多方向入力装置100の動作について説明する。
【0084】
まず、操作部材5の傾倒操作時の多方向入力装置100の動作について説明する。
【0085】
図1、
図3~
図8に示すように、傾倒操作前には、操作部材5は初期位置に位置する。このとき、操作部材5の軸方向は、Z方向と一致している。また、作動部材61の底部612の下面は、全面がフレーム12の上面に当接している。
【0086】
ユーザが、操作ノブを介して、操作部材5を、V1方向に傾倒操作すると、操作部材5は、第3回動部材4のW方向の軸部42、43を回転軸として、第3回動部材4をV1方向に回動させながら、V1方向に傾倒する。この操作部材5の傾倒に伴って、第1回動部材2がY方向の軸部22、23を回転軸としてX2方向に回動すると共に、第2回動部材3がX方向の軸部32、33を回転軸としてY1方向に回動する。この結果、第1検出部材71によって、操作部材5のX2方向への傾倒方向及び傾倒量が検出され、第2検出部材72によって、操作部材5のY1方向への傾倒方向及び傾倒量が検出される。また、操作部材5の傾倒に伴って、復帰機構6がV1方向に傾倒する。
【0087】
操作部材5が傾倒し、復帰機構6が傾倒すると、作動部材61の底部612のV1側は、フレーム12の上面上をV2方向に摺動する。また、作動部材61の底部612のV2側は、フレーム12の上面から離間する。この結果、作動部材61は、操作部材5の内側に押し込まれ、弾性部材62をさらに圧縮する。
【0088】
操作部材5が傾倒した状態で、ユーザが操作ノブから指を離すと、操作部材5は、弾性部材62の付勢力により、第3回動部材4の軸部42、43を軸として、第3回動部材4をV2方向に回動させながら、V2方向に傾倒し、初期位置に復帰する。すなわち、操作部材5は、ユーザが操作ノブから指を離すと、自動的に初期位置に復帰する。この操作部材5の初期位置への復帰に伴って、第1回動部材2がY方向の軸部22、23を回転軸としてX1方向に回動すると共に、第2回動部材3がX方向の軸部32、33を回転軸としてY2方向に回動し、第1回動部材2及び第2回動部材3のそれぞれが
図1、
図3~
図8に示す初期位置に復帰する。また、操作部材5の初期位置への復帰に伴って、復帰機構6も
図1、
図3~
図8に示す初期位置に復帰する。
【0089】
なお、操作部材5を他の方向(V2、W1、W2、X1、X2、Y1、Y2も含む全方向)に傾倒操作した場合についても、上記と同様に、操作部材5が、操作部材5のV方向の回転軸(凸部53、54)及び第3回動部材4のW方向の回転軸(軸部42、43)を基準にして、操作方向に傾倒し、第1検出部材71によって、操作部材5のX方向における傾倒方向及び傾倒量が検出され、第2検出部材72によって、操作部材5のY方向における傾倒方向及び傾倒量が検出される。また、復帰機構6が操作方向に傾倒する。
【0090】
次に、操作部材5の押圧操作時の多方向入力装置100の動作について説明する。
【0091】
図1、
図3~
図8に示すように、押圧操作前には、操作部材5は初期位置に位置する。
【0092】
ユーザが、操作ノブを介して、操作部材5を、下方に押圧操作すると、凸部53、54で連結された第3回動部材4が下方に移動する。すなわち、第3回動部材4は、脚部44の下端部とフレーム12の底面部121との当接部を支点として回動(傾動)する。これに伴い、第3回動部材4の軸部43が下方に移動し、この軸部43を下方から支持する第3検出部材73も下方に移動し、第3検出部材73によって可動接点83が押圧される。この結果、可動接点83が駆動され、可動接点83によって基板8のスイッチ回路が閉じられることにより、操作部材5の押圧操作が検出される。
【0093】
操作部材5を軸方向に押圧操作すると、復帰機構6の作動部材61は、操作部材5の内側に押し込まれ、弾性部材62をさらに圧縮する。
【0094】
操作部材5を押圧した状態で、ユーザが操作ノブから指を離すと、操作部材5は、弾性部材62の付勢力により、凸部53、54で連結された第3回動部材4を上方に移動させながら、上方に移動し、初期位置に復帰する。すなわち、操作部材5は、ユーザが操作ノブから指を離すと、自動的に初期位置に復帰する。
【0095】
このように操作部材5に対して押圧操作が行われる場合において、操作部材5の押圧荷重が第1回動部材2及び第2回動部材3のいずれにも伝わることはない。このため、操作部材5の押圧荷重が第1検出部材71及び第2検出部材72のいずれにも伝わらない。この結果、第1検出部材71及び第2検出部材72の寿命が短くなるのを抑えることができ、多方向入力装置100の寿命が短くなるのを抑えることができる。
【符号の説明】
【0096】
1 ハウジング
2 第1回動部材
3 第2回動部材
4 第3回動部材
5 操作部材
100 多方向入力装置