(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024158970
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20241031BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28D9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074652
(22)【出願日】2023-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】奥村 拓也
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103AA11
3L103BB20
3L103BB42
3L103CC02
3L103CC22
3L103DD13
3L103DD15
3L103DD57
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プレートの歪みを低減することのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】熱交換器(1)は、第1プレート(11)と第2プレート(21)が積層されて構成され、第1プレート(11)の第1主面(11a)には、第1の溝(13)、第2の溝、第3の溝(15)が設けられ、第2プレート(21)の第2主面には、第1主面(11a)に設けられた第1の溝(13)と第3の溝(15)とを連通する第4の溝(23)と、第2の溝の一端に重なる位置から第3の溝(15)の他端に向かって延びて、第2の溝と第3の溝(15)とを連通する第5の溝が形成され、第1プレート(11)の第1主面(11a)と第2プレート(21)の第2主面(21a)とが接触して、複数の溝と複数の連通溝とにより冷媒の流路を画定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレートが積層されて構成される熱交換器であって、
複数の第1プレートと、
前記複数の第1プレートと交互に積層される第2プレートと、
を備え、
前記第1プレートは、第1主面を有し、
前記第1主面には、複数の溝が設けられ、
前記複数の溝は、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、直線状の第1の溝と、前記第1の溝に沿って配置された直線状の第2の溝と、前記第1の溝および前記第2の溝が延びる方向に前記第1の溝および前記第2の溝と離れて設けられた第3の溝と、を含み、
前記第2プレートは、前記第1主面に対向する第2主面を有し、
前記第2主面には、前記第1主面に形成された前記複数の溝を連通する複数の連通溝が形成され、
前記複数の連通溝は、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、前記第1の溝の一端に重なる位置から前記第3の溝の一端に向かって延びて、前記第1の溝と前記第3の溝とを連通する第4の溝と、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、前記第2の溝の一端に重なる位置から前記第3の溝の他端に向かって延びて、前記第2の溝と前記第3の溝とを連通する第5の溝と、を含み、
前記第1プレートの前記第1主面と前記第2プレートの前記第2主面とが接触して、前記複数の溝と前記複数の連通溝とにより冷媒の流路を画定する、
熱交換器。
【請求項2】
前記第3の溝は、曲線状に形成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記複数の連通溝の深さは、前記複数の溝の深さよりも小さい、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1の溝の一端を画定する面は前記第1主面に対して傾斜し、前記第2の溝の一端を画定する面は、前記第1主面に対して傾斜している、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第2プレートは、前記第2主面に設けられた複数の突出部を有し、
前記複数の突出部は、前記第1プレートの前記複数の溝に配置され、
前記複数の突出部の前記第2主面からの高さは、前記複数の溝の深さよりも小さい、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記複数の連通溝はそれぞれ、前記第1の溝または前期第2の溝が延びる方向に沿って直線状に形成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記第1プレートの厚さは、0.08mm以上0.25mm以下である、
請求項1に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
異なる熱エネルギーを有する流体間において熱エネルギーを交換するために、熱交換器が使用される。熱交換器は、空気調和気、コンピュータ、および各種電子機器などの様々な機器に使用される。
【0003】
特許文献1には、プレートフィン積層体の各層間に第2流体を流して、プレートフィン流路に流れる第1流体と第2流体との間で熱交換器を行う熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の熱交換器において、プレートに歪みが生じてしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、プレートの歪みを低減することのできる熱交換器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様にかかる熱交換器は、
複数のプレートが積層されて構成される熱交換器であって、
複数の第1プレートと、
前記複数の第1プレートと交互に積層される第2プレートと、
を備え、
前記第1プレートは、第1主面を有し、
前記第1主面には、複数の溝が設けられ、
前記複数の溝は、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、直線状の第1の溝と、前記第1の溝に沿って配置された直線状の第2の溝と、前記第1の溝および前記第2の溝が延びる方向に前記第1の溝および前記第2の溝と離れて設けられた第3の溝と、を含み、
前記第2プレートは、前記第1主面に対向する第2主面を有し、
前記第2主面には、前記第1主面に形成された前記複数の溝を連通する複数の連通溝が形成され、
前記複数の連通溝は、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、前記第1の溝の一端に重なる位置から前記第3の溝の一端に向かって延びて、前記第1の溝と前記第3の溝とを連通する第4の溝と、前記第1プレートと前記第2プレートとの積層方向から見たときに、前記第2の溝の一端に重なる位置から前記第3の溝の他端に向かって延びて、前記第2の溝と前記第3の溝とを連通する第5の溝と、を含み、
前記第1プレートの前記第1主面と前記第2プレートの前記第2主面とが接触して、前記複数の溝と前記複数の連通溝とにより冷媒の流路を画定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、プレートの歪みを低減することのできる熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】
図3の第1プレートを反対の方向から見た斜視図
【
図6】
図5の第2プレートを反対の方向から見た斜視図
【
図7】第1プレートと第2プレートとが積層されている状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至った経緯)
2種類のプレートが積層されて構成される熱交換器が知られている。2種類のプレートのうち、一方のプレートに冷媒の流路となる溝が形成されている。例えば、特許文献1には、プレートフィンのうち第1フィン部材にプレートフィン流路が形成された熱交換器が開示されている。特許文献1の熱交換器では、第1フィン部材において、凹みにより蛇行するプレートフィン流路が形成されている。
【0011】
このようなプレートフィン流路は、例えば、プレス加工により形成することができる。プレス加工によって、蛇行するプレートフィン流路を形成すると、プレス加工後のプレートに歪みが生じてしまうことがある。プレートに歪みが生じると、プレート同士を積層する際のロウ付けにおける密着性が低下したり、積層作業が困難になったりするといった不具合が生じやすくなってしまう。特に、プレートの厚さを薄くすると、プレートに歪みが生じやすくなる傾向にある。
【0012】
本発明者らは、プレートの歪みを低減することのできる熱交換器について検討し、以下の本開示に至った。
【0013】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、実施の形態1にかかる熱交換器1の全体斜視図である。
図2は、
図1の熱交換器1の分解斜視図である。なお、図に示すX-Y-Z直交座標系は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の実施の形態を限定するものではない。X軸方向は熱交換器1の短手方向、Y軸方向は熱交換器1の積層方向、Z軸方向は熱交換器1の長手方向を示す。
【0014】
図1および
図2に示すように、熱交換器1は、プレート積層体30と、プレート積層体30の両端に配置されたエンドプレート31、32と、を含む。プレート積層体30は、後述する第1プレート11および第2プレート21が交互に積層されて構成されている。
【0015】
プレート積層体30の積層方向における両端には、エンドプレート31、32が配置されている。エンドプレート31、32は、第1プレート11および第2プレート21と平面視において略同一形状である。なお、エンドプレート31、32は、本開示にかかる熱交換器1の必須の構成ではない。エンドプレート31には、給入孔33および排出孔34が設けられている。給入孔34と排出孔35とは、実質的に同じ構成を有しており、そのときの動作に対応する機能を名称として用いる。
【0016】
熱交換器1に給入孔33から流入した冷媒が、第1プレート11および第2プレート21により構成される冷媒の流路を通り、排出孔34から排出される。冷媒が第1プレート11および第2プレート21により構成される流路を通過している間、第1プレート11と第2プレートとの積層間に形成された隙間を空気が通過する。このとき、冷媒と空気との間で熱交換が行われる。
【0017】
図3は、
図1の熱交換器1の第1プレート11を示す斜視図である。
図4は、
図3の第1プレート11を反対の方向から見た斜視図である。
図3および
図4に示すように、第1プレート11は、積層方向(Y方向)から見たときに略矩形状の薄板に形成されている。第1プレート11は、第1主面11aを有する。
図4に示すように、第1主面11aには、複数の溝12が形成されている。
【0018】
複数の溝12は、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、熱交換器1の内部を流れる冷媒等の流体の流路を構成する。
【0019】
複数の溝12は、直線状の第1の溝13と、第1の溝13に沿って配置された直線状の第2の溝14と、第1の溝13および第2の溝14が伸びる方向に第1の溝13および第2の溝14と離れて設けられた第3の溝15と、を含む。言い換えると、本実施の形態では、複数の溝12は、長手方向(Z方向)に延びる第1の溝13および第2の溝14と、長手方向と異なる方向に延びる第3の溝15と、を含む。
【0020】
本実施の形態では、第3の溝15が曲線を含む形状に形成されている。本実施の形態では、第1プレート11の第1主面11aには、さらに直線状の溝16、曲線状の溝17が形成されており、複数の溝12は、合わせて5つの溝13~17を含む。
【0021】
複数の溝13~17は、第1プレート11の第1主面11aにおいて、それぞれ離れており独立して設けられている。したがって、第1プレート11の第1主面11aにおいて、複数の溝13~17は、それぞれ連通していない。
【0022】
本実施の形態では、
図4に示すように、複数の溝12は、プレス加工により、それぞれ第1プレート11の第1主面11aを凹ませて形成されている。したがって、
図3に示すように、第1主面11aと反対側の面においては、複数の溝12が設けられている部分は凸状に隆起している。
【0023】
図5は、
図1の熱交換器1の第2プレート21を示す斜視図である。
図6は、
図5の第2プレート21を反対の方向から見た斜視図である。
図5および
図6に示すように、第2プレート21は、第1プレート11と同様に、積層方向(Y方向)から見たときに略矩形状の薄板状に形成されている。第2プレート21は、第1プレート11の第1主面11aに対向する第2主面21aを有する。第2主面21aには、第1主面11aに形成された複数の溝12を連通する複数の連通溝22が形成されている。
【0024】
複数の連通溝22は、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、第1の溝13と第3の溝15および第2の溝14と第3の溝15とを連通する。言い換えると、第1プレート11の第1主面11aと第2プレート21の第2主面21aとが接触することにより、複数の溝12と複数の連通溝22により、冷媒の流路を画定する。複数の連通溝22は、第1の溝13と第3の溝15とを連通する第4の溝23と、第2の溝14と第3の溝15とを連通する第5の溝24と、を含む。本実施の形態では、複数の連通溝22は、さらに、第2の溝14と曲線状の溝17とを連通する連通溝25と、直線状の溝16と曲線状の溝17とを連通する連通溝26と、を含む。
【0025】
第4の溝23は、積層方向(Y方向)から見て、第1の溝13の一端13aに重なる位置から第3の溝15の一端15aに向かって延びる。第4の溝23は、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、第1の溝13と第3の溝15とを連通する。
【0026】
第5の溝24は、積層方向(Y方向)から見て、第2の溝14の一端14aに重なる位置から第3の溝15の他端15bに向かって延びる。第5の溝24は、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、第2の溝14と第3の溝15とを連通する。
【0027】
本実施の形態では、複数の連通溝22は、第2の溝14の他端14bと曲線状の溝17とを連通する連通溝25と、直線状の溝16と曲線状の溝17とを連通する連通溝26と、を含む。連通溝25は、積層方向(Y方向)から見て、第2の溝14の他端14bに重なる位置から曲線状の溝17の一端17aに向かって延びる。連通溝25は、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、第2の溝14と曲線状の溝17とを連通する。連通溝26は、積層方向(Y方向)から見て、直線状の溝16の一端16aに重なる位置から曲線状の溝17の一端に向かって延びる。連通溝26は、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、直線状の溝16と曲線状の溝17とを連通する。
【0028】
本実施の形態では、複数の連通溝22は、第1の溝13または第2の溝14が延びる方向に沿って直線状に形成されている。連通溝25、26も同様に、第1の溝13または第2の溝14が延びる方向に沿って直線状に形成されている。
【0029】
複数の連通溝22は、
図5に示すように、複数の溝12と同様に、それぞれ第2プレート21の第2主面21aを凹ませて形成されている。したがって、
図6に示すように、第2主面21aと反対側の面においては、複数の連通溝22が設けられている部分は凸状に隆起している。
【0030】
上述したように、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、第1の溝13と第3の溝15とが第4の溝23により連通され、第2の溝14と第3の溝15とが第5の溝24により連通される。本実施の形態では、第1プレート11の第1主面11aに設けられた複数の溝12が、第2プレート21の第2主面21aに設けられた複数の連通溝22により連通されることで、例えばS字状に蛇行した流路が形成される。
【0031】
本実施の形態では、第1プレート11および第2プレート21は、例えば、0.08mm以上0.25mm以下の厚さに形成されているとよい。第1プレート11および第2プレート21の厚さが0.25mm以下であると、通風抵抗を小さくすることができる。また、第1プレート11および第2プレート21の厚さが0.08mm以上であると、プレス加工を行いやすい。
【0032】
本実施の形態では、
図1および
図2に示すように、複数の第1プレート11と複数の第2プレート21とが交互に積層される。交互に積層されたそれぞれの第1プレート11の第1主面11aとそれぞれの第2プレート21の第2主面21aとが接触することにより、プレート積層体30の積層方向(Y方向)に複数の流路が形成される。
【0033】
図7は、第1プレート11と第2プレート21とが積層されている状態を示す斜視図である。
図8は、
図7のA-A断面の一部を示す図である。
図8では、
図7の破線で示す領域R1の部分の断面を示している。
【0034】
図7および
図8に示すように、第1プレート11と第2プレート21とが積層されたときに、第1の溝13と第3の溝15とが、第4の溝23により連通される。第2の溝14と第3の溝15とも、同様に第5の溝24により連通される。同様に、第2の溝14と曲線状の溝17とが連通溝25により連通され、直線状の溝16と曲線状の溝17とが連通溝26により連通される。
【0035】
図8に示すように、本実施の形態では、複数の連通溝22の深さd2は、複数の溝12の深さd1よりも小さく形成されている。深さd2を小さくすることで、例えば、第1の溝13と第4の溝23とが積層方向に重なる部分、および第3の溝15と第4の溝とが積層方向に重なる部分において、流路の断面積を小さくして流路を流れる冷媒の応力を小さくすることができる。また、深さd2を小さくすることで、第2プレート21に設けられた溝23~26の部分のプレス加工による減肉量を減らすことができ、熱交換器の耐圧性能を向上させることができる。
【0036】
また、
図8に示すように、本実施の形態では、第1の溝13の一端13aを画定する面は、第1主面11aに対して傾斜している。同様に、第2の溝14の一端14aを画定する面は、第1主面11aに対して傾斜している。第1の溝13の一端13aを画定する面、および第2の溝14の一端14aを画定する面は、それぞれ、溝13、14の外側に向かって傾斜しているとよい。さらに、第3の溝15の一端15aおよび他端15bを画定する面も、第1主面11aに対して傾斜していてもよい。第3の溝15の一端15aおよび他端15bを画定する面は、第3の溝15の外側に向かって傾斜しているとよい。また、複数の連通溝22の一端を画定する面が、第2主面21aに対して傾斜していてもよい。複数の連通溝22の一端を画定する面は、連通溝22の外側に向かって傾斜しているとよい。
【0037】
図5に戻って、第2プレート21は、第2主面21aに設けられた複数の突出部27を有していてもよい。複数の突出部27は、第1プレート11の複数の溝12に重なる位置に配置される。複数の突出部27の第2主面21aからの高さは、複数の溝12の深さd1よりも小さい。このため、
図8に示すように、第1プレート11の第1の溝13と、第2プレートの突出部27とが重なることにより、冷媒の流路の断面積を小さくすることができる。本実施の形態では、第1プレート11の複数の溝12のうち、第1の溝13、第2の溝14、および直線状の溝16に重なる位置に、第2プレート21の複数の突出部27が形成されている。
【0038】
複数の突出部27は、冷媒の流路の一部を形成しつつ、第1プレート11と第2プレート21とを積層するガイドとしての機能を有する。このため、複数の突出部27の第2主面21aからの高さは、複数の溝12の深さd1よりも小さく形成される。また、第2プレート21に複数の突出部27を形成することで、冷媒の流路の断面積を小さくすることができる。流路の断面積を小さくすることで、流路を流れる冷媒の圧力を低減し、プレートにかかる圧力負荷を低減することができる。また、第2プレート21に複数の突出部27を形成することで、第1プレート11と第2プレート21との隙間を大きくすることができるため、通風抵抗を小さくすることができる。
【0039】
[効果]
上述した実施の形態によると、以下の効果を奏することができる。
【0040】
熱交換器1は、複数のプレートが積層されて構成され、複数の第1プレート11と、複数の第1プレート11と交互に積層される第2プレート21と、を備える。第1プレート11は、第1主面11aを有する。第1主面11aには、複数の溝12が設けられる。複数の溝12は、第1の溝13と、第2の溝14と、第3の溝15と、を含む。第1の溝13は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向から見たときに、直線状に形成される。第2の溝14は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向から見たときに、第1の溝13に沿って配置され直線状に形成される。第3の溝は、第1の溝13および第2の溝14が延びる方向に、第1の溝13および第2の溝14と離れて設けられる。第2プレート21は、第1主面11aに対抗する第2主面21aを有する。第2主面21aには、複数の連通溝22が形成される。複数の連通溝22は、第4の溝23と、第5の溝24と、を含む。第4の溝23は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向から見たときに、第1の溝13の一端13aに重なる位置から第3の溝15の一端15aに向かって延びて、第1の溝13と第3の溝15とを連通する。第5の溝24は、第1プレート11と第2プレート21との積層方向から見たときに、第2の溝14の一端14aに重なる位置から第3の溝15の他端15bに向かって延びて、第2の溝14と第3の溝15とを連通する。第1プレート11の第1主面11aと第2プレート21の第2主面21aとが接触して、複数の溝12と複数の連通溝とにより、冷媒の流路を画定する。
【0041】
熱交換器を構成するプレートに蛇行する流路が形成される場合、プレス加工により、プレートに歪みが生じてしまうことがある。例えば、プレートの長手方向に延びる溝とプレートの短手方向に延びる溝とを組み合わせて蛇行した流路を画定する場合、異なる方向に延びる流路の存在により、プレス加工後のプレートに歪みが生じることがある。特にプレートの厚さが薄い場合には、プレートの歪みが生じやすい。本実施の形態では、例えば長手方向に延びる流路と、それと異なる方向に延びる流路とを、分離させて形成することにより、プレス加工後のプレートの歪みを低減することができる。
【0042】
第3の溝15は、曲線状に形成されてもよい。
【0043】
このような構成により、プレート内により長い流路を形成することができる。
【0044】
複数の連通溝22の深さは、複数の溝12の深さよりも小さくてもよい。
【0045】
このような構成により、連通溝22における流路の断面積を小さくすることができる。
【0046】
第1の溝13の一端13aを画定する面は第1主面11aに対して傾斜し、第2の溝14の一端14aを画定する面は第1主面11aに対して傾斜していてもよい。
【0047】
このような構成により、複数の溝12を複数の連通溝22で連通したときに画定される流路内で、冷媒をスムーズに流通させることができる。
【0048】
第2プレート21は、第2主面21aに設けられた複数の突出部27を有していてもよい。複数の突出部27は、第1プレート11の複数の溝12に配置されてもよい。複数の突出部27の第2主面21aからの高さは、複数の溝12の深さd1よりも小さくてもよい。
【0049】
このような構成により、複数の溝12により形成される流路の断面積を小さくすることができる。
【0050】
複数の連通溝22は、第1の溝13または第2の溝14が延びる方向に沿って直線状に形成されてもよい。
【0051】
このような構成により、複数の溝12と複数の連通溝22とをスムーズに連通させることができる。
【0052】
第1プレート11の厚さは、0.08mm以上0.25mm以下であってもよい。
【0053】
このような構成により、熱交換器を小型化することができる。
【0054】
なお、上述した実施の形態では、第3の溝15が曲線状に形成されている例について説明したが、これに限定されない。第3の溝15は、第1の溝13および第2の溝14と異なる方向に延びていれば、曲線状あるいは直線状に形成することができる。
【0055】
また、上述した実施の形態では、第2プレート21の第2主面21aに複数の突出部27が設けられている例について説明したが、これに限定されない。第2プレートの第2主面21aには、複数の突出部27が設けられていなくてもよい。
【0056】
また、上述した実施の形態では、複数の溝12の深さが複数の連通溝22の深さよりも大きい例について説明したが、これに限定されない。複数の溝12と複数の連通溝22とは同じ深さを有していてもよいし、複数の連通溝22の深さのほうが複数の溝12の深さよりも大きくてもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態では、第1の溝13の一端13aを画定する面が第1主面11aに対して傾斜している例について説明したが、これに限定されない。第1の溝13の一端13aを画定する面は、第1主面11aに対して傾斜していなくてもよい。第2の溝14の一端14aを画定する面についても同様に、第1主面11aに対して傾斜していなくてもよい。
【0058】
また、上述した実施の形態では、複数の連通溝22が、第1の溝13または第2の溝14の延びる方向に沿って直線状に形成される例について説明したが、これに限定されない。第1の溝13と第3の溝15と、あるいは、第2の溝と第3の溝と、を連通することができれば、複数の連通溝22の配置される向きおよび形状を任意に選択することができる。
【0059】
(実施の形態の概要)
(1)本開示の熱交換器は、複数のプレートが積層されて構成される熱交換器であって、複数の第1プレートと、複数の第1プレートと交互に積層される第2プレートと、を備え、第1プレートは、第1主面を有し、第1主面には、複数の溝が設けられ、複数の溝は、第1プレートと第2プレートとの積層方向から見たときに、直線状の第1の溝と、第1の溝に沿って配置された直線状の第2の溝と、第1の溝および第2の溝が延びる方向に第1の溝および第2の溝と離れて設けられた第3の溝と、を含み、第2プレートは、第1主面に対向する第2主面を有し、第2主面には、第1主面に形成された複数の溝を連通する複数の連通溝が形成され、複数の連通溝は、第1プレートと第2プレートとの積層方向から見たときに、第1の溝の一端に重なる位置から第3の溝の一端に向かって延びて、第1の溝と第3の溝とを連通する第4の溝と、第1プレートと第2プレートとの積層方向から見たときに、第2の溝の一端に重なる位置から第3の溝の他端に向かって延びて、第2の溝と第3の溝とを連通する第5の溝と、を含み、第1プレートの第1主面と第2プレートの第2主面とが接触して、複数の溝と複数の連通溝とにより冷媒の流路を画定する。
【0060】
(2)(1)の熱交換器において、第3の溝は、曲線状に形成されてもよい。
【0061】
(3)(1)または(2)の熱交換器において、複数の溝の深さは、複数の連通溝の深さよりも大きくてもよい。
【0062】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの熱交換器において、第1の溝の一端を画定する面は第1主面に対して傾斜し、第2の溝の一端を画定する面は、第1主面に対して傾斜していてもよい。
【0063】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの熱交換器において、第2プレートは、第2主面に設けられた複数の突出部を有し、複数の突出部は、第1プレートの複数の溝に配置され、複数の突出部の第2主面からの高さは、複数の溝の深さよりも小さくてもよい。
【0064】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの熱交換器において、複数の連通溝はそれぞれ、第1の溝または第2の溝が延びる方向に沿って直線状に形成されてもよい。
【0065】
(7)(1)から(6)のいずれか1つの熱交換器において、第1プレートの厚さは、0.08mm以上0.25mm以下であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本開示は、複数のプレートが積層されて構成される熱交換器に幅広くてきようすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 熱交換器
11 第1プレート
11a 第1主面
13 第1の溝
13a 一端
14 第2の溝
14a 一端
14b 他端
15 第3の溝
15a 一端
15b 他端
21 第2プレート
21a 第2主面
22 連通溝
23 第4の溝
24 第5の溝
25 連通溝
26 連通溝
27 突出部