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特開2024-159859制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置
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  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図1
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図2
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図3
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図4
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図5
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図6
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図7
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図8
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図9
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図10
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図11
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図12
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図13
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図14
  • 特開-制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置 図15
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024159859
(43)【公開日】2024-11-08
(54)【発明の名称】制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 13/02 20060101AFI20241031BHJP
   H02P 31/00 20060101ALI20241031BHJP
【FI】
G05B13/02 A
H02P31/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139256
(22)【出願日】2024-08-20
(62)【分割の表示】P 2023556182の分割
【原出願日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2021178000
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】利弘 俊策
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘
(57)【要約】
【課題】適正な制御パラメータを生成する。
【解決手段】サーボモータ23と、サーボモータ23を制御する制御回路22と、サーボモータ23を制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリ21と、サーボモータ23により駆動される駆動対象物24と、を備えた生産装置20に用いる制御パラメータの生成方法であって、駆動対象物24の位置を目標位置にするための指令に基づいて駆動対象物24が目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後の駆動対象物24の位置を測定するセンサ30から、位置を表す測定データを取得し、測定データに基づいて、到達した時刻後の駆動対象物24の振動を表す評価指標データを生成し、評価指標データに基づいて、評価指標データと制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデル14を用いて、制御パラメータを更新し、更新された制御パラメータを前記メモリに記憶させるために生産装置20に出力する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボモータと、前記サーボモータを制御する制御回路と、前記制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、を備え、前記サーボモータにより駆動対象物を駆動する生産装置に用いる制御パラメータの生成方法であって、
前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定するセンサから、前記位置を表す測定データを取得し、
前記測定データに基づいて、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを生成し、前記到達した時刻は前記時刻後において前記駆動対象物が再び前記許容位置から逸脱しなくなった時刻を表し、
前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記評価指標データが小さくなると予測される前記制御パラメータを出力するよう前記制御パラメータを更新する、
制御パラメータの生成方法。
【請求項2】
更新された前記制御パラメータを前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力する
請求項1記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項3】
前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形と基準軸とで囲まれる面積の総和を示す請求項1記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項4】
前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形のバラツキ度合いを示す請求項1記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項5】
前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形の実効値を示す請求項1記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項6】
前記生産装置は、実装装置、加工装置、または、工作装置のいずれか1つを含む請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の制御パラメータの生成方法を、前記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の制御パラメータの生成方法を、前記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【請求項9】
サーボモータと、前記サーボモータを制御する第1の制御回路と、前記第1の制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、を備え、前記サーボモータにより駆動対象物を駆動する生産装置に用いる制御パラメータの生成装置であって、
前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定するセンサから、前記位置を表す測定データを取得する入力部と、
前記測定データに基づいて、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを生成し、前記到達した時刻は前記時刻後において前記駆動対象物が再び前記許容位置から逸脱しなくなった時刻を表し、
前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を
学習する機械学習モデルを用いて、前記評価指標データが小さくなると予測される前記制御パラメータを出力するよう前記制御パラメータを更新する第2の制御回路と、
を備える制御パラメータの生成装置。
【請求項10】
更新された前記制御パラメータを前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力する出力部と、を備える
請求項9記載の制御パラメータの生成装置。
【請求項11】
サーボモータと、前記サーボモータを制御する制御回路と、前記制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、を備え、前記サーボモータにより駆動対象物を駆動する生産装置に用いる制御パラメータの生成方法であって、
前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定する処理装置付きセンサから、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを取得し、前記到達した時刻は前記時刻後において前記駆動対象物が再び前記許容位置から逸脱しなくなった時刻を表し、
前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記評価指標データが小さくなると予測される前記制御パラメータを出力するよう前記制御パラメータを更新する、
制御パラメータの生成方法。
【請求項12】
更新された前記制御パラメータを前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力する
請求項11記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項13】
前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形と基準軸とで囲まれる面積の総和を示す請求項11記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項14】
前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形のバラツキ度合いを示す請求項11記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項15】
前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形の実効値を示す請求項11記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項16】
前記生産装置は、実装装置、加工装置、または、工作装置のいずれか1つを含む請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の制御パラメータの生成方法。
【請求項17】
請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の制御パラメータの生成方法を、前記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項18】
請求項11から請求項15のいずれか1項に記載の制御パラメータの生成方法を、前記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体。
【請求項19】
サーボモータと、前記サーボモータを制御する第1の制御回路と、前記第1の制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、を備え、前記サーボモータにより駆動対象物を駆動する生産装置に用いる制御パラメータの生成装置であって、
前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後の前記駆動対象物の
位置を測定する処理装置付きセンサから、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを取得する入力部と、
前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記評価指標データが小さくなると予測される前記制御パラメータを出力するよう前記制御パラメータを更新する第2の制御回路と、を備え、
前記到達した時刻は前記時刻後において前記駆動対象物が再び前記許容位置から逸脱しなくなった時刻を表す、
制御パラメータの生成装置。
【請求項20】
更新された前記制御パラメータを前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力する出力部と、をさらに備える
請求項19記載の制御パラメータの生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置に関し、特に、生産装置に用いられる制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを用いた駆動機械について、機械学習モデルを用い、モータおよび駆動機械の制御パラメータを生成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/151215号
【発明の概要】
【0004】
従来、駆動機械や生産装置について、これらを制御する適正な制御パラメータの生成が望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、適正な制御パラメータを生成することができる制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置を提供することを目的とする。
【0006】
本開示の一態様に係る制御パラメータの生成方法は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する制御回路と、前記制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成方法であって、以下の行為を有する。すなわち、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定するセンサから、前記位置を表す測定データを取得する。前記測定データに基づいて、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを生成する。前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する。更新された前記制御パラメータを前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力する。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、上記制御パラメータの生成方法を、上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムである。
【0008】
本開示の他の一態様に係る記録媒体は、上記制御パラメータの生成方法を、上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体である。
【0009】
本開示の他の一態様に係る制御パラメータの生成装置は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する第1の制御回路と、前記第1の制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成装置である。この制御パラメータの生成装置は、入力部と、第2の制御回路と、を備える。前記入力部は、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標
位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定するセンサから、前記位置を表す測定データを取得する。前記第2の制御回路は、前記測定データに基づいて、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを生成し、前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する。前記出力部は、更新された前記制御パラメータを前記生産装置に出力する出力部と、を備える。
【0010】
本開示の他の一態様に係る制御パラメータの生成方法は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する制御回路と、前記制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成方法であって、以下の行為を有する。すなわち、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置にするための指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定する処理装置付きセンサから、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを取得する。前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する。
【0011】
本開示の他の一態様に係るプログラムは、上記制御パラメータの生成方法を、上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムである。
【0012】
本開示の他の一態様に係る記録媒体は、上記制御パラメータの生成方法を、上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体である。
【0013】
本開示の他の一態様に係る制御パラメータの生成装置は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する第1の制御回路と、前記第1の制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成装置である。前記制御パラメータの生成装置は、入力部と、第2の制御回路と、を備える。前記入力部は、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定する処理装置付きセンサから、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを取得する。前記第2の制御回路は、前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する第2の制御回路と、を備える。
【0014】
本開示の上記態様に係る制御パラメータの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置によれば、適正な制御パラメータを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施の形態1に係る制御パラメータ生成システムの概要を示す模式図である。
図2図2は、実施の形態1に係る制御パラメータ生成システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態1に係る制御パラメータの一例を示す模式図である。
図4図4は、目標位置に対する駆動対象物の位置偏差の推移の一例を示す模式図である。
図5図5は、実施の形態1に係る測定データの一例を示す模式図である。
図6図6は、実施の形態1に係る機械学習モデル14が、評価指標データと制御パラメータとの関係を学習した結果に基づいて制御パラメータを出力する様子を示す模式図である。
図7図7は、実施の形態1に係る画像生成部が生成する画像の一例を示す図である。
図8図8は、実施の形態1に係る画像生成部が生成する画像の一例を示す図である。
図9図9は、実施の形態1に係る第1の制御パラメータ調整処理のシーケンス図である。
図10図10は、実施の形態1に係る第1の制御パラメータ調整処理のフローチャートである。
図11図11は、実施の形態2に係る制御パラメータ生成システムの概要を示す模式図である。
図12図12は、実施の形態2に係る制御パラメータ生成システムの構成を示すブロック図である。
図13図13は、実施の形態2に係る第2の制御パラメータ調整処理のシーケンス図である。
図14図14は、実施の形態2に係る第2の制御パラメータ調整処理のフローチャートである。
図15図15は、変形例に係る生成装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
従来、駆動対象物を駆動するサーボモータを備える生産装置に用いる制御パラメータの調整は、人手によっている。しかしながら、このような生産装置に用いる制御パラメータは、80個に及ぶこともあり、実際に調整する必要があるパラメータは、30~60個に及ぶこともある。また、対象とする生産装置に実装する駆動対象物、用途等に応じて、調整対象とするパラメータが異なる。
【0017】
このような事情から、従来、制御パラメータの調整は、熟練技術者が個別に対応している。しかし、それでも、制御パラメータの調整に数日オーダの期間が必要になることがある。
【0018】
このような制御パラメータの調整は、振動による異音の発生の抑制、または、一旦動作を止め次の動作に入る際に前の動作の振動が次の動作に与える悪影響の抑制等のために必要である。
【0019】
例えば、特許文献1では、機械学習モデルを用いてこのような制御パラメータを調整することが提案されている。しかし、熟練技術者は、異音を聴覚で確認し、振動を視覚、触覚で確認する等、人間の五感を含めて制御パラメータを調整している。したがって、どのようなデータを機械学習モデルに入力すれば効果的に制御パラメータを調整することができるかについては、別途検討が必要である。
【0020】
このような背景の中、発明者らは、どのようなデータを機械学習モデルに入力すれば、効果的に制御パラメータを調整することができるかについて、鋭意、検討、実験を重ねた。その結果、発明者らは、駆動対象物が所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後の駆動対象物の振動を表す評価指標データと制御パラメータとの間に相関関係があることを見出した。そして、発明者らは、上記評価指標データを機械学習モデルに入力すれば効果的に制御パラメータを調整できるとの知見を得た。
【0021】
発明者らは、この知見を基に、更に、検討実験を重ね、下記本開示に係る制御パラメー
タの生成方法、プログラム、記録媒体、および、制御パラメータの生成装置に想到した。
【0022】
本開示の一態様に係る制御パラメータの生成方法は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する制御回路と、前記制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成方法であって、以下の行為を有する。すなわち、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定するセンサから、前記位置を表す測定データを取得する。前記測定データに基づいて、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを生成し、前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する。
【0023】
上記制御パラメータの生成方法によると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0024】
上記制御パラメータの生成方法において、更新された前記制御パラメータは、前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力されてもよい。
【0025】
また、前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形と基準軸とで囲まれる面積の総和を示すとしてよい。
【0026】
これにより、許容位置に到達した時刻後の駆動対象物の振動を示す偏差波形と基準軸とで囲まれる面積の総和に基づいて、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0027】
また、前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形のバラツキ度合いを示すとしてもよい。
【0028】
これにより、許容位置に達した時刻後の駆動対象物の振動を示す偏差波形のバラツキ度合いに基づいて、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0029】
また、前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形の実効値を示すとしてもよい。
【0030】
これにより、許容位置に達した時刻後の駆動対象物の振動を示す偏差波形の実効値に基づいて、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0031】
また、前記生産装置は、実装装置、加工装置、または、工作装置のいずれか1つを含むとしてよい。
【0032】
これにより、実装装置、加工装置、または、工作装置のいずれか1つである生産装置を対象として、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0033】
本開示の他の一態様に係るプログラムは、上記制御パラメータの生成方法を、上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムである。
【0034】
上記プログラムによると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0035】
本開示の他の一態様に係る記録媒体は、上記制御パラメータの生成方法を上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体である。
【0036】
上記記録媒体によると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0037】
本開示の他の一態様に係る制御パラメータの生成装置は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する第1の制御回路と、前記第1の制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成装置である。前記制御パラメータの生成装置は、入力部と、第2の制御回路と、を備える。前記入力部は、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定するセンサから、前記位置を表す測定データを取得する。前記第2の制御回路は、前記測定データに基づいて、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを生成し、前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する。
【0038】
上記制御パラメータの生成装置によると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。上記制御パラメータの生成装置において、更新された前記制御パラメータを前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力する出力部をさらに備えてもよい。
【0039】
本開示の他の一態様に係る制御パラメータの生成方法は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する制御回路と、前記制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成方法であって、以下の行為を有する。すなわち、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置に移動する指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定する処理装置付きセンサから、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを取得する。前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する。
【0040】
上記制御パラメータの生成方法によると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。上記制御パラメータの生成方法において、更新された前記制御パラメータを、前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力してもよい。
【0041】
また、前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形と基準軸とで囲まれる面積の総和を示すとしてよい。
【0042】
これにより、許容位置に到達した時刻後の駆動対象物の振動を示す偏差波形と基準軸とで囲まれる面積の総和に基づいて、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0043】
また、前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形のバラツキ度合いを示すとしてもよい。
【0044】
これにより、許容位置に達した時刻後の駆動対象物の振動を示す偏差波形のバラツキ度合いに基づいて、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0045】
また、前記評価指標データは、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を示す偏差波形の実効値を示すとしてもよい。
【0046】
これにより、許容位置に達した時刻後の駆動対象物の振動を示す偏差波形の実効値に基づいて、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0047】
また、前記生産装置は、実装装置、加工装置、または、工作装置のいずれか1つを含むとしてよい。
【0048】
これにより、実装装置、加工装置、または、工作装置のいずれか1つである生産装置を対象として、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0049】
本開示の他の一態様に係るプログラムは、上記制御パラメータの生成方法を、上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムである。
【0050】
上記プログラムによると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0051】
本開示の他の一態様に係る記録媒体は、上記制御パラメータの生成方法を、上記生産装置に接続された情報処理装置のコンピュータに実行させるプログラムを記録した記録媒体である。
【0052】
上記記録媒体によると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0053】
本開示の他の一態様に係る制御パラメータの生成装置は、サーボモータと、前記サーボモータを制御する第1の制御回路と、前記第1の制御回路が前記サーボモータを制御する際に用いる制御パラメータを記憶するメモリと、前記サーボモータにより駆動される駆動対象物と、を備えた生産装置に用いる制御パラメータの生成装置である。前記制御パラメータの生成装置は、入力部と、第2の制御回路と、を備える。前記入力部は、前記駆動対象物の位置を所定の目標位置にするための指令に基づいて前記駆動対象物が前記所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後、前記駆動対象物の位置を測定する処理装置付きセンサから、前記到達した時刻後の前記駆動対象物の振動を表す評価指標データを取得する。前記第2の制御回路は、前記評価指標データに基づいて、前記評価指標データと前記制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルを用いて、前記制御パラメータを更新する。
【0054】
上記制御パラメータの生成装置によると、許容位置に到達した時刻後の振動を示す評価指標データに基づき制御パラメータを更新することで、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。上記制御パラメータの生成装置において、更新された前記制御パラメータを前記メモリに記憶させるために前記生産装置に出力する出力部をさらに備えてもよい。
【0055】
以下、本開示の一態様に係る制御パラメータ生成システムの具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に他の図と同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0056】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1に係る制御パラメータ生成システム1について説明する。この制御パラメータ生成システムは、駆動対象物を駆動するサーボモータを備える生産装置に用いる制御パラメータを生成するシステムである。
【0057】
<構成>
図1は、実施の形態1に係る制御パラメータ生成システム1の概要を示す模式図である。
【0058】
図2は、制御パラメータ生成システム1の構成を示すブロック図である。
【0059】
図1に示すように、制御パラメータ生成システム1は、生成装置10と、生産装置20と、センサ30とを備える。
【0060】
生産装置20は、機器を生産するために利用される装置であって、機器の加工、実装、搬送等を行う。生産装置20は、例えば、工場の生産ラインに設置される。生産装置20は、具体的には、例えば、LED(Light Emitting Diode)ボンダ、実装機、加工機、取り出しロボット等である。
【0061】
図2に示すように、生産装置20は、メモリ21と、制御回路22と、サーボモータ23と、駆動対象物24とを備える。
【0062】
サーボモータ23は、制御回路22によりその動作を制御され、駆動対象物24を駆動する。サーボモータ23は、例えば、回転式モータであってもよいし、リニアモータであってもよい。
【0063】
駆動対象物24は、サーボモータ23により駆動される対象物である。駆動対象物24は、例えば、生産装置20において加工対象となる加工対象物、実装対象となる実装対象物、搬送対象となる搬送対象物等である。
【0064】
制御回路22は、サーボモータ23に対して、駆動対象物24の位置を所定の目標位置にするための指令を出力することで、サーボモータ23を制御する。制御回路22がサーボモータ23に出力する指令は、例えば、サーボモータ23または駆動対象物24の位置を指令する位置指令であってもよいし、例えば、サーボモータ23のトルクを指令するトルク指令であってもよい。
【0065】
制御回路22は、メモリ21に記憶される制御パラメータに基づいて、サーボモータ23を制御する。言い換えると、制御回路22は、サーボモータ23を制御する際に、メモリ21に記憶される制御パラメータを用いる。
【0066】
メモリ21は、制御回路22がサーボモータ23を制御する際に用いる制御パラメータ
を記憶する。メモリ21が記憶する制御パラメータは、生成装置10から出力された制御パラメータである。
【0067】
図3は、メモリ21が記憶する制御パラメータの一例を示す模式図である。
【0068】
図3に示すように、メモリ21が記憶する制御パラメータには、例えば、駆動対象物24の振動周波数を調整するパラメータa1、a2、駆動対象物24の高速化を調整するパラメータb1、b2、駆動対象物24の振動特性における特異点の深さを調整するパラメータc1、c2、駆動対象物24の振動振幅を調整するパラメータd1、d2等が含まれる。
【0069】
一般に、制御パラメータの中には、例えば、高速化を調整するパラメータb1、b2と、振動特性における特異点の深さを調整するパラメータc1、c2、および、振動振幅を調整するパラメータd1、d2とのように、互いにトレードオフの関係性があるパラメータが含まれる。
【0070】
再び、図1および図2に戻って、制御パラメータ生成システム1の説明を続ける。
【0071】
センサ30は、駆動対象物24の位置を測定する。そして、センサ30は、駆動対象物24が所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後の駆動対象物24の位置を表す測定データを、生成装置10に出力する。
【0072】
図4は、生産装置20が、駆動対象物24を目標位置に駆動する際における、目標位置に対する駆動対象物24の位置偏差の推移の一例を示す模式図である。
【0073】
図4において、横軸は時刻を示し、縦軸は、目標位置に対する駆動対象物24の位置偏差を示す。
【0074】
図4に示すように、本明細書において、許容位置とは、目標位置からの位置偏差が要求精度以内の位置のことをいう。また、図4に示すように、本明細書において、目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻(以下、「整定時刻」とも称する。)とは、駆動対象物24が許容位置に到達した後において再び許容位置から逸脱しなくなった場合における、最後に許容位置に到達した時刻(図4中の時刻sett_t)のことをいう。
【0075】
図5は、センサ30が出力する測定データの一例を示すデータ構成図である。
【0076】
図5に示すように、測定データは、一例として、許容位置に到達した時刻後の経過時間[ms]と、目標位置からの偏差量[mm]とを一対一に対応付けたデータである。
【0077】
再び、図1および図2に戻って、制御パラメータ生成システム1の説明を続ける。
【0078】
生成装置10は、メモリ21が記憶している制御パラメータ(以下、「記憶中制御パラメータ」とも称する)を更新するための制御パラメータ(以下、「更新用制御パラメータ」とも称する)を生成する。より具体的には、生成装置10は、生産装置20が記憶中制御パラメータを用いて駆動対象物24を目標位置に駆動した結果、センサ30から出力される測定データを逐次取得し、取得した測定データに基づいて更新用制御パラメータを逐次生成し、生成した更新用制御パラメータを生産装置20に逐次出力する。
【0079】
図2に示すように、生成装置10は、入力部11と、出力部12と、制御回路13と、
機械学習モデル14と、操作受け付け部15と、画像生成部16と、表示部17とを備える。
【0080】
生成装置10は、例えば、プロセッサと、メモリと、入出力インターフェースとを備えるコンピュータ装置において、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを実行することで実現される。このようなコンピュータ装置は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0081】
入力部11は、センサ30から出力された測定データを取得する。
【0082】
制御回路13は、入力部11により取得された測定データに基づいて、整定時刻後の駆動対象物24の振動を示す評価指標データを生成し、生成した評価指標データに基づいて、評価指標データと制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデル14を用いて、制御パラメータを更新する。
【0083】
制御回路13が生成する評価指標データは、以下の(1)~(3)のうちのいずれか1つ、または(4)を有する。すなわち、(1)整定時刻後の駆動対象物24の振動を示す偏差波形と基準軸とで囲まれる面積の総和(以下、「総和面積評価指標データ」とも称する)。(2)整定時刻後の駆動対象物24の振動を示す偏差波形のバラツキ度合い(以下、「バラツキ度合い評価指標データ」とも称する)。(3)整定時刻後の駆動対象物24の振動を示す偏差波形の実効値(以下、「実効値評価指標データ」とも称する)。(4)駆動対象物24が駆動され始めた時刻から整定時刻までの時間(以下、「整定時間評価指標データ」とも称する)である。
【0084】
制御回路13が生成する評価指標データは、制御パラメータ生成システム1を利用するユーザにより指定される。
【0085】
以下、制御回路13が生成する、総和面積評価指標データとバラツキ度合い評価指標データと実効値評価指標データとについて、図4を参照しながらより詳細に説明する。
【0086】
図4に示すように、制御回路13が生成する総和面積データは、より具体的には、目標位置に対する駆動対象物の位置偏差fを時刻tの変数として、f=E(t)で表した場合に、(式1)、(式2)、または、(式3)に示される数式により算出される。
【0087】
【数1】
【0088】
【数2】
【0089】
【数3】
ここで、積分区間の始点sett_tは、整定時刻であって、積分区間の終点cal_eはユーザにより設定された時刻である。なお、ここでは、積分区間の始点sett_tが整定時刻であるとして説明するが、積分区間の始点sett_tは、整定時刻であってもよいし、整定時刻後の任意の時刻であってもよい。
【0090】
cal_eは、例えば、目標位置に対する駆動対象物24の位置偏差が要求精度の1/10以内に到達した後において再び位置偏差が要求精度の1/10以内から逸脱しなくなった場合における、最後に位置偏差が要求精度の1/10以内に到達した時刻に設定されてもよい。また、cal_eは、例えば、入力部11が取得した測定データに含まれるデータ数が所定の数に達する時刻に設定されてもよいし、整定時刻から指定された時間経過した時刻に設定されてもよい。
【0091】
制御回路13が生成するバラツキ度合いデータは、より具体的には、def = cal_e - sett_tとした場合に、(式4)に示される数式により算出される。
【0092】
【数4】
制御回路13が生成する実効値は、より具体的には、(式5)に示される数式により算出される。
【0093】
【数5】
再び、図1および図2に戻って、制御パラメータ生成システム1の説明を続ける。
【0094】
機械学習モデル14は、評価指標データと制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデルであって、制御回路13から評価指標データが逐次入力される毎に、評価指標データと制御パラメータとの関係を学習し、学習結果に基づいて制御回路13に逐次制御パラメータを出力する。
【0095】
機械学習モデル14は、より具体的には、ベイズ最適化アルゴリズムを利用して、制御回路13から評価指標データが逐次入力される毎に、評価指標データと、その評価指標データに対応する制御パラメータ(以下、「対応制御パラメータ」とも称する)との関係を学習して、学習結果に基づいて、最も評価指標データが小さくなると予測される制御パラメータを、制御回路13に出力する。
【0096】
図6は、機械学習モデル14が、評価指標データと対応制御パラメータとの関係を学習し、学習した結果に基づいて、最も評価指標データが小さくなると予測される制御パラメータを出力する様子を示す模式図である。
【0097】
図6において、横軸は、制御パラメータの値であり、縦軸は、評価指標データの値である。また、図6において、丸でプロットされた点は、機械学習モデル14に過去に入力された評価指標データの値のそれぞれについての、その評価指標データの対応制御パラメータの値を示す点である。
【0098】
図6に示すように、機械学習モデル14は、ベイズ最適化アルゴリズムを利用して、評価指標データと対応制御パラメータとの関係を、ある程度の範囲を持って予測し、予測した関係を用いて、最も評価値データが小さくなると予測される制御パラメータを出力する。
【0099】
再び、図1および図2に戻って、制御パラメータ生成システム1の説明を続ける。
【0100】
出力部12は、制御回路13により更新された制御パラメータを、メモリ21に記憶させるために、生産装置20に出力する。
【0101】
操作受け付け部15は、制御パラメータ生成システム1を利用するユーザによる、生成装置10への入力操作を受け付ける。
【0102】
表示部17は、制御パラメータ生成システム1を利用するユーザに提供する画像を表示する。
【0103】
画像生成部16は、表示部17が表示する画像を生成する。
【0104】
図7は、画像生成部16が生成する画像の一例である。図7は、制御パラメータ生成システム1が、後述する第1の制御パラメータ調整処理を開始する際に、制御パラメータ生成システム1を利用するユーザに対して、制御回路13が生成する評価指標データをどの評価指標データとするかの指定を促す画像(以下、「評価指標データ指定画像」とも称する)の一例となっている。
【0105】
図7に示すように、生成装置10は、評価指標データ指定画像を表示部17に表示させることで、ユーザに対して、制御回路13が生成する評価指標データとして、総和面積評価指標データと、バラツキ度合い評価指標データと、実効値評価指標データと(以下、これら3つの評価指標データのことを「振動評価指標データ」とも称する)のうちのいずれか1つ、および整定時間評価値データ、の少なくとも一方の指定を促す。
【0106】
ユーザは、例えば、評価指標データ指定画像に対して、「整定時間」の横にチェックを入れることで、評価指標データとして、整定時間評価指標データを指定する。ユーザは、例えば、評価指標データ指定画像に対して、「振動」の横にチェックを入れ、かつ、「面積」の横に丸印を入れることで、評価指標データとして、面積総和評価指標データを指定する。ユーザは、例えば、評価指標データ指定画像に対して、「振動」の横にチェックを入れ、かつ、「分散」の横に丸印を入れることで、評価指標データとして、バラツキ度合い評価指標データを指定する。ユーザは、例えば、評価指標データ指定画像に対して、「振動」の横にチェックを入れ、かつ、「RMS(実効値)」の横に丸印を入れることで、評価指標データとして、実効値評価指標データを指定する。
【0107】
また、ユーザは、例えば、評価指標データ指定画像に対して、「整定時間」の横と「振動」の横との双方にチェックを入れることで、評価指標データとして、整定時間評価指標データ、および、振動評価指標データのうちのいずれか1つを指定する。この場合、制御回路13は、整定時間評価指標データの値と、振動評価指標データの値との和を評価指標データの値とする評価指標データとしてもよいし、整定時間評価指標データの値と、振動評価指標データの値とのそれぞれに対して、予め定められた重み付け係数を乗じた値の和を評価指標データの値とする評価指標データとしてもよい。
【0108】
図8は、画像生成部16が生成する画像の他の一例である。図8は、制御パラメータ生成システム1が、後述する第1の制御パラメータ調整処理を実行している最中に、制御パ
ラメータ生成システム1を利用するユーザに対して、パラメータ調整処理における評価指標データの値の状況を提示する画像(以下、「状況提示画像」とも称する)の一例となっている。
【0109】
図8中のグラフにおいて、横軸は、生成装置10が逐次出力した制御パラメータの回数であり、縦軸は、生成装置10が逐次出力した制御パラメータのそれぞれに対応する評価指標データの値である。また、図8中のグラフにおいて、実線の折れ線は、生成装置10が出力した制御パラメータに対応する評価指標データの値の最小値の推移を示す。
【0110】
図8に示すように、状況定時画像の右上に、「中断」と記されたアイコン(以下、「中断アイコン」とも称する)と、「再開」と記されたアイコン(以下、「再開アイコン」とも称する)とが配置されている。
【0111】
中断アイコンは、例えば、ユーザが状況提示画像を視認した結果、生成装置10が出力した制御パラメータに対応する評価指標値データの値が十分に小さくなっているために、これ以上第1の制御パラメータ調整処理を継続させる必要がないと判断した場合に、中断アイコンをクリックすることで、第1の制御パラメータ調整処理を中断させることができるアイコンである。
【0112】
再開アイコンは、例えば、ユーザが状況提示画像を視認した結果、生成装置10が出力した制御パラメータに対応する評価指標値データの値が十分に小さくなっていないために、第1の制御パラメータ調整処理を継続させる必要があると判断した場合に、再開アイコンをクリックすることで、第1の制御パラメータ調整処理を継続させることができるアイコンである。
【0113】
<動作>
以下、上記構成の制御パラメータ生成システム1が行う動作について説明する。
【0114】
制御パラメータ生成システム1は、メモリ21が記憶する制御パラメータを適正な値に調整する第1の制御パラメータ調整処理を実行する。第1の制御パラメータ調整処理は、例えば、制御パラメータ生成システム1を利用するユーザが、生成装置10に対して、第1の制御パラメータ調整処理を開始する旨の操作を行うことで開始される。
【0115】
図9は、第1の制御パラメータ調整処理のシーケンス図であり、図10は、第1の制御パラメータ調整処理のフローチャートである。
【0116】
図9図10に示すように、第1の制御パラメータ調整処理が開始されると、生成装置10は、第1の制御パラメータ制御処理を実行するための所定のプログラムを起動する(ステップS10)。
【0117】
所定のプログラムが起動されると、出力部12は、制御パラメータの初期値をメモリ21に出力する(ステップS15)。このとき、出力部12は、例えば、予め定められた値からなる制御パラメータの初期値を出力するとしてもよいし、例えば、ユーザにより指定された値からなる制御パラメータの初期値を出力するとしてもよいし、例えば、ユーザにより指定された算出方法により算出された値からなる制御パラメータの初期値を出力するとしてもよい。
【0118】
出力部12から制御パラメータが出力されると、メモリ21は、出力部12から出力された制御パラメータを記憶する(ステップS20)。すると、制御回路22は、メモリ21が記憶する制御パラメータに基づいて、駆動対象物24の位置を所定の目標位置にする
ための指令を生成してサーボモータ23に出力する。これにより、制御回路22は、サーボモータ23を制御する(ステップS25)。すると、サーボモータ23は、制御回路22から出力された指令に基づいて、駆動対象物24を駆動する(ステップS30)。
【0119】
駆動対象物24がサーボモータ23により駆動されると、センサ30は、駆動対象物24の位置を測定し(ステップS35)、駆動対象物24が所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後の駆動対象物24の位置を表す測定データを、入力部11に出力する。すると、入力部11は、センサ30から出力された測定データを取得する(ステップS40)。
【0120】
入力部11が測定データを取得すると、制御回路13は、測定データに基づいて、整定時刻後の駆動対象物24の振動を示す評価指標データを生成する(ステップS45)。そして、制御回路13は、評価指標データが、所定の条件を満たしているか否かを調べる(ステップS50)。ここで、所定の条件とは、例えば、評価指標データが、適切な制御パラメータが生成された旨を示す値となっているという条件である。
【0121】
ステップS50の処理において、生成した評価指標データが、所定の条件を満たしていない場合に(ステップS50:No)、制御回路13は、生成した評価指標データを、機械学習モデル14に出力する。すると、機械学習モデル14は、評価指標データと、対応制御パラメータとの関係を学習して(ステップS55)、最も評価指標データの値が小さくなると予測される制御パラメータを出力する。すると、制御回路13は、機械学習モデル14から新たに出力された制御パラメータで、前回出力部12が出力した制御パラメータを更新する(ステップS60)。すると、出力部12は、制御回路13により新たに更新された制御パラメータを、メモリ21に送信する(ステップS65)。
【0122】
ステップS65の処理が終了すると、制御パラメータ生成システム1は、ステップS20の処理に進んで、ステップS20以下の処理を繰り返す。
【0123】
ステップS50の処理において、生成した評価指標データが、所定の条件を満たしている場合に(ステップS50:Yes)、制御パラメータ生成システム1は、その第1の制御パラメータ調整処理を終了する。
【0124】
<考察>
上述したように、上記構成の制御パラメータ生成システム1は、第1の制御パラメータ調整処理を実行することにより、評価指標値データが所定の条件を満たすまで、繰り返し評価指標値データの調整を行う。
【0125】
このため、制御パラメータ生成システム1によると、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0126】
(実施の形態2)
以下、実施の形態1に係る制御パラメータ生成システム1から、一部の構成が変更されて構成される実施の形態2に係る制御パラメータ生成システムについて説明する。
【0127】
制御パラメータ生成システム1は、センサ30が、駆動対象物の位置を測定して測定データを出力し、測定データを生成装置10が、センサ30から出力された測定データを取得するシステムの一例であった。
【0128】
これに対して、実施の形態2に係る制御パラメータ生成システムは、実施の形態2に係る処理機能付きセンサが、駆動対象物の位置を測定して評価指標データを出力し、実施の
形態2に係る測定データを生成装置が、実施の形態2に係る処理機能付きセンサから出力された評価指標データを取得するシステムの一例となっている。
【0129】
ここでは、実施の形態2に係る制御パラメータ生成システムについて、制御パラメータ生成システム1と同様の構成要素については、既に説明済みであるとして同じ符号を振ってその詳細な説明を省略し、制御パラメータ生成システム1との相違点を中心に説明する。
【0130】
図11は、実施の形態2に係る制御パラメータ生成システム1Aの概要を示す模式図である。
【0131】
図12は、制御パラメータ生成システム1Aの構成を示すブロック図である。
【0132】
図11に示すように、制御パラメータ生成システム1Aは、実施の形態1に係る制御パラメータ生成システム1から、生成装置10が生成装置10Aに変更され、センサ30が処理機能付きセンサ30Aに変更されて構成される。また、図12に示すように、生成装置10Aは、生成装置10から、入力部11が入力部11Aに変更され、制御回路13が制御回路13Aに変更されて構成される。
【0133】
処理機能付きセンサ30Aは、駆動対象物24の位置を測定する。そして、処理機能付きセンサ30Aは、駆動対象物24が所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後の駆動対象物24の位置を表す測定データを生成する。さらに、処理機能付きセンサ30Aは、生成した測定データに基づいて、整定時刻後の駆動対象物24の振動を示す評価指標データを生成し、生成した評価指標データを、生成装置10Aに出力する。
【0134】
処理機能付きセンサ30Aは、例えば、駆動対象物24の位置を測定するセンシングデバイスと、プロセッサと、メモリと、入出力インターフェースとを備えるコンピュータ装置において、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを実行することで実現される。このようなコンピュータ装置は、例えばパーソナルコンピュータである。
【0135】
入力部11Aは、処理機能付きセンサ30Aから出力された評価指標データを取得する。
【0136】
制御回路13Aは、入力部11Aにより取得された評価指標データに基づいて、評価指標データと制御パラメータとの関係を学習する機械学習モデル14を用いて、制御パラメータを更新する。
【0137】
<動作>
以下、上記構成の制御パラメータ生成システム1Aが行う動作について説明する。
【0138】
制御パラメータ生成システム1Aは、実施の形態1に係る第1の制御パラメータ調整処理から、一部の処理が変更された第2の制御パラメータ調整処理を行う。
【0139】
図13は、第2の制御パラメータ調整処理のシーケンス図であり、図14は、第2の制御パラメータ調整処理のフローチャートである。
【0140】
図13図14に示すように、第2の制御パラメータ調整処理は、第1の制御パラメータ調整処理から、ステップS35の処理がステップS135の処理に変更され、ステップS40の処理がステップS140の処理に変更され、ステップS45の処理がステップS
145の処理に変更された処理となっている。
【0141】
ステップS30の処理が終了すると、処理機能付きセンサ30Aは、駆動対象物24の位置を測定し(ステップS135)、駆動対象物24が所定の目標位置に到達したと評価できる許容位置に到達した時刻後の駆動対象物24の位置を表す測定データを生成する。そして、処理機能付きセンサ30Aは、生成した測定データに基づいて、整定時刻後の駆動対象物24の振動を示す評価指標データを生成し(ステップS140)、生成した評価指標データを、入力部11Aに出力する。すると、入力部11はA、処理機能付きセンサ30Aから出力された評価指標データを取得する(ステップS145)。
【0142】
ステップS145の処理が終了すると、制御パラメータ生成システム1Aは、ステップS50の処理に進む。
【0143】
ステップS50の処理において、生成した評価指標データが、所定の条件を満たしている場合に(ステップS50:Yes)、制御パラメータ生成システム1Aは、その第2の制御パラメータ調整処理を終了する。
【0144】
<考察>
上述したように、上記構成の制御パラメータ生成システム1Aは、実施の形態1に係る制御パラメータ生成システム1と同様に、第2の制御パラメータ調整処理を実行することにより、評価指標値データが所定の条件を満たすまで、繰り返し評価指標値データの調整を行う。
【0145】
このため、制御パラメータ生成システム1Aによると、制御パラメータ生成システム1と同様に、熟練技術者によることなく、また、比較的短時間で、適正な制御パラメータを生成することができる。
【0146】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2に基づいて説明した。しかしながら、本開示は、これら実施の形態1および2に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態または本変形例に施したものや、異なる実施の形態または変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0147】
(1)実施の形態1において、一例として、生成装置10は1台のコンピュータ装置により実現されるとして説明した。しかしながら、生成装置10は、同様の機能を実現することができれば、必ずしも1台のコンピュータ装置により実現される例に限定される必要はない。生成装置10は、例えば、互いに通信可能な複数台のコンピュータ装置により実現されてもよい。
【0148】
図15は、生成装置10が、互いに通信可能な複数台のコンピュータ装置により実現される場合における、生成装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0149】
図15に示すように、生成装置10は、(1)入力部11と、出力部12と、操作受け付け部15と、画像生成部16と、表示部17と、通信部18とを備える第1のコンピュータ装置100と、(2)制御回路13と、機械学習モデル14と、通信部19とを備える第2のコンピュータ装置110と、(3)通信部18と通信部19とを通信可能に接続するネットワーク120とによって実現されるとしてもよい。
【0150】
この場合、第1のコンピュータ装置100は、例えば、パーソナルコンピュータであり
、第2のコンピュータ装置110は、サーバであってもよい。
【0151】
(2)本開示の包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、プログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、プログラムおよび非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本開示は、生成装置が行う処理をコンピュータ装置に実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本開示は、制御パラメータを生成するシステム等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0153】
1、1A 制御パラメータ生成システム
10、10A 生成装置
11、11A 入力部
12 出力部
13、13A 制御回路
14 機械学習モデル
15 操作受け付け部
16 画像生成部
17 表示部
18、19 通信部
20 生産装置
21 メモリ
22 制御回路
23 サーボモータ
24 駆動対象物
30 センサ
30A 処理機能付きセンサ
100 第1のコンピュータ装置
110 第2のコンピュータ装置
120 ネットワーク
図1
図2
図3
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図15