(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024160673
(43)【公開日】2024-11-14
(54)【発明の名称】通知システム、車両制御装置、通知方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241107BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190386
(22)【出願日】2023-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2023075862
(32)【優先日】2023-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間庭 佑太
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】遠山 淳
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井澤 夏美
(72)【発明者】
【氏名】澤井 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 健一郎
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB17
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE02
5H181EE12
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】車両の運転者が、車両に関する重要な通知に気づきにくくなってしまうことを抑制することができる通知システム、車両制御装置、通知方法及びプログラムを得る。
【解決手段】通知システムは、車両に関する通知情報を受信して通知することが可能な携帯端末と、車両の運転者に対する通知情報を生成して送信する車両制御装置と、を備える通知システムであって、通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて携帯端末に対して通知情報を通知する制御を行う通知制御部を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する通知情報を受信して通知することが可能な携帯端末と、前記車両の運転者に対する前記通知情報を生成して送信する車両制御装置と、を備える通知システムであって、
前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う通知制御部
を含む通知システム。
【請求項2】
前記緊急度は、前記通知情報が、前記運転者の対応が必要な情報であるか否かによって定められる
請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記緊急度は、イベントの危険度に応じて定められる
請求項1又は請求項2に記載の通知システム。
【請求項4】
前記緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、前記終了条件は、前記運転者による車両操作が行われるとの条件を含む
請求項1又は請求項2に記載の通知システム。
【請求項5】
前記緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、前記終了条件は、前記運転者により前記携帯端末の表示装置に表示された確認ボタンが押されるとの条件を含む
請求項1又は請求項2に記載の通知システム。
【請求項6】
前記通知制御部は、前記携帯端末で発生した第1の通知情報と前記車両に関する通知情報である第2の通知情報との優先順位に応じて前記携帯端末上での通知を行う
請求項1又は請求項2に記載の通知システム。
【請求項7】
前記通知制御部は、更に前記車両に搭載された通知装置に対して前記通知情報の通知を行い、かつ前記終了条件が満たされた場合、前記通知装置からの通知を終了させる
請求項1又は請求項2に記載の通知システム。
【請求項8】
車両の運転者が保持する携帯端末に向けて送信する通知情報であって、前記運転者に対して通知する前記通知情報を取得する取得部と、
前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う通知制御部と、
を含む車両制御装置。
【請求項9】
車両に関する通知情報を受信して通知することが可能な携帯端末と、前記車両の運転者に対する前記通知情報を生成して送信する車両制御装置と、を備える通知システムを構成するコンピュータが実行する通知方法であって、
前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う
処理をコンピュータが実行する通知方法。
【請求項10】
車両に関する通知情報を受信して通知することが可能な携帯端末と、前記車両の運転者に対する前記通知情報を生成して送信する車両制御装置と、を備える通知システムを構成するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う
処理をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通知システム、車両制御装置、通知方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携帯端末と車両の制御を行う車両制御装置との間で通信を行って、車両の運転者を監視する運転者の監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
条件付き自動運転によれば、車両の運転者は前方を注意する義務から一時的に解放され、スマートフォン等の携帯端末を操作する等、運転操作以外の作業を行うことができるようになることが想定される。この場合、車両側のシステムからの要請に応じて運転者はいつでも運転操作に戻ることが可能なことが求められる。この場合、携帯端末を用いて車両側のシステムからの通知及び要請を運転者に伝達することが効果的であると考えられる。しかしながら、すべての通知を同じように運転者に通知すると、運転者が通知を煩わしく感じて通知への関心が薄れ、車両に関する重要な通知に気づきにくくなってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、車両の運転者が、車両に関する重要な通知に気づきにくくなってしまうことを抑制することができる通知システム、車両制御装置、通知方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様の通知システムは、車両に関する通知情報を受信して通知することが可能な携帯端末と、前記車両の運転者に対する前記通知情報を生成して送信する車両制御装置と、を備える通知システムであって、前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う通知制御部を含む。
【0007】
第1の態様の通知システムによれば、通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて携帯端末に対して通知情報が通知される。従って、運転者は、通知情報の重要度を認識することができる結果、重要な通知に気づきにくくなってしまうことを抑制することができる。
【0008】
第2の態様の通知システムは、第1の態様の通知システムにおいて、前記緊急度は、前記通知情報が、前記運転者の対応が必要な情報であるか否かによって定められる。
【0009】
第2の態様の通知システムによれば、運転者が、運転者の対応が必要な通知に気づきにくくなってしまうことを抑制することができる。
【0010】
第3の態様の通知システムは、第1の態様又は第2の態様の通知システムにおいて、前記緊急度は、イベントの危険度に応じて定められる。
【0011】
第3の態様の通知システムによれば、運転者が、危険度が高いイベントに関する通知に気づきにくくなってしまうことを抑制することができる。
【0012】
第4の態様の通知システムは、第1の態様から第3の態様の何れか1態様の通知システムにおいて、前記緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、前記終了条件は、前記運転者による車両操作が行われるとの条件を含む。
【0013】
第4の態様の通知システムによれば、車両の運転者が、車両に関する重要な通知に気づきにくくなってしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0014】
第5の態様の通知システムは、第1の態様から第4の態様の何れか1態様の通知システムにおいて、前記緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、前記終了条件は、前記運転者により前記携帯端末の表示装置に表示された確認ボタンが押されるとの条件を含む。
【0015】
第5の態様の通知システムによれば、車両の運転者が、車両に関する重要な通知に気づきにくくなってしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0016】
第6の態様の通知システムは、第1の態様から第5の態様の何れか1態様の通知システムにおいて、前記通知制御部は、前記携帯端末で発生した第1の通知情報と前記車両に関する通知情報である第2の通知情報との優先順位に応じて前記携帯端末上での通知を行う。
【0017】
第6の態様の通知システムによれば、車両の運転者が、車両に関する重要な通知及び携帯端末で発生した重要な通知に気づきにくくなってしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0018】
第7の態様の通知システムは、第1の態様から第6の態様の何れか1態様の通知システムにおいて、前記通知制御部は、更に前記車両に搭載された通知装置に対して前記通知情報の通知を行い、かつ前記終了条件が満たされた場合、前記通知装置からの通知を終了させる。
【0019】
第7の態様の通知システムによれば、車両の運転者が、車両に関する重要な通知及び携帯端末で発生した重要な通知に気づきにくくなってしまうことをより効果的に抑制することができる。
【0020】
第8の態様の車両制御装置は、車両の運転者が保持する携帯端末に向けて送信する通知情報であって、前記運転者に対して通知する前記通知情報を取得する取得部と、前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う通知制御部と、を含む。
【0021】
第9の態様の通知方法は、車両に関する通知情報を受信して通知することが可能な携帯端末と、前記車両の運転者に対する前記通知情報を生成して送信する車両制御装置と、を備える通知システムを構成するコンピュータが実行する通知方法であって、前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う処理をコンピュータが実行するものである。
【0022】
第10の態様のプログラムは、車両に関する通知情報を受信して通知することが可能な携帯端末と、前記車両の運転者に対する前記通知情報を生成して送信する車両制御装置と、を備える通知システムを構成するコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記通知情報の緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて前記携帯端末に対して前記通知情報を通知する制御を行う処理をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、車両の運転者が、車両に関する重要な通知に気づきにくくなってしまうことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】通知システムの構成の一例を示す概略図である。
【
図2】車両制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】通知情報とイベントとユーザアクションと緊急度の一例を示す図である。
【
図7】携帯端末側の通知の緊急度の一例を示す図である。
【
図8】緊急度が6段階に分けられた場合の例を示す図である。
【
図9】携帯端末のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】車両制御装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図11】携帯端末から車両へ提供される情報の一例を示す。
【
図12】携帯端末の通知状態の一例を示す図である。
【
図13】携帯端末の通知状態の一例を示す図である。
【
図14】車載の表示装置の通知状態の一例を示す図である。
【
図15】携帯端末の通知状態の一例を示す図である。
【
図16】携帯端末の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】車両制御装置で実行される通知制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図18】携帯端末で実行される通知処理の一例を示すフローチャートである。
【
図19】通知システムで授受される通知情報の方向性の一例を示す図である。
【
図20】緊急度の層別についての第1の例を示す図である。
【
図21】
図20におけるA-1~A-5の各領域に応じた第1通知情報、当該第1通知情報が通知されるイベント例、及び通知された当該第1通知情報に対して求められるユーザのアクションの一例を示す図である。
【
図22】緊急度の層別についての第2の例を示す図である。
【
図23】
図22におけるB-1~B-3の各領域に応じた第2通知情報、当該第2通知情報が通知されるイベント例、及び当該第2通知情報を通知するに際してのユーザのアクションの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
まず、
図1を参照して、本実施形態に係る通知システム1の構成を説明する。
図1に示すように、通知システム1は、車両10の内部に設けられた車両制御装置12と、運転者によって車両10の内部に持ち込まれた運転者が所持する携帯端末14と、を含む。車両制御装置12の例としては、ECU(Electronic Control Unit)等のコンピュータが挙げられる。携帯端末14の例としては、スマートフォン、タブレット端末、又はスマートウォッチ等のコンピュータが挙げられる。本実施形態に係る車両制御装置12は、自動運転と手動運転との切り替えを可能とする自動運転車両に適用される。
【0027】
携帯端末14は、車両10に関する通知情報を受信して通知することが可能である。車両制御装置12は、車両10の運転者に対する通知情報を生成して携帯端末14に送信する。この通知情報は、自動運転の実行中に運転者に対して通知する情報である。
【0028】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る車両制御装置12のハードウェア構成を説明する。車両制御装置12は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、無線通信I/F(Interface)23、車内通信I/F24、及び通信ユニット25を含む。CPU20、ROM21、RAM22、無線通信I/F23、車内通信I/F24、及び通信ユニット25は、バス27を介して相互に通信可能に接続される。
【0029】
CPU20は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20は、ROM21からプログラムを読み出し、RAM22を作業領域としてプログラムを実行する。
【0030】
記憶部としてのROM21は、各種プログラム及び各種データを記憶する。本実施形態では、ROM21には、制御プログラム30及び緊急度データ32が記憶される。RAM22は、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。
【0031】
無線通信I/F23は、無線通信によって携帯端末14と接続するためのインタフェースである。なお、本実施形態では、車両制御装置12と携帯端末14とが直接的に通信を行う構成を例に説明するが、開示の技術はこの態様に限定されない。例えば、車両制御装置12と携帯端末14とがネットワーク上に設けられたサーバコンピュータ等を介して通信を行う形態としてもよい。
【0032】
車内通信I/F24は、表示装置15、外界センサ100、車室内センサ101、地図データ102、車外HMI(Human Machine Interface)装置103、ハプティック装置104、音響装置105、入力装置106、及び自動運転ECU107等の車載機器と接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、CAN(Controller Area Network)プロトコルによる通信規格が用いられる。
【0033】
通信ユニット25は、クラウドサーバ16等の外部サーバと通信する際のネットワークに接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、例えば、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格が用いられる。車両制御装置12は、クラウドサーバ16を介して携帯端末14と通信することも可能である。
【0034】
表示装置15は、車両制御装置12による制御によってメッセージを表示する。表示装置15の例としては、インストルメントパネルに設けられた液晶ディスプレイが挙げられる。
【0035】
外界センサ100は、カメラ、レーダー、及びミリ波レーダー等の車両10の周辺環境の各種情報を取得する各種センサを含む。車室内センサ101は、ドライバモニタリングカメラ等の車室内の各種情報を取得する各種センサを含む。地図データ102は、ナビゲーション装置等から提供される。車外HMI装置103は、歩行者及び自転車の乗員等の車外の人に対する各種信号を出力する。ハプティック装置104は、シートベルトを振動させる装置等の車両10の乗員に力、振動、及び動き等を与えることによって乗員の触覚にフィードバックする。音響装置105は、スピーカー等の音声出力装置を含む。入力装置106は、各種スイッチ及びタッチセンサ等の車両10の乗員が入力を行うための装置である。
【0036】
自動運転ECU107は、車両10の自動運転を制御する。なお、本実施形態における自動運転とは、一例として車両10が運転の主体である自動運転を意味し、SAE(Society of Automotive Engineers)の定める自動運転レベル3以上のレベルの自動運転を意味する。自動運転ECU107は、レベル3以上の自動運転処理が可能に構成されている。自動運転ECU107は、アクチュエータシステム108に接続される。アクチュエータシステム108は、パワートレインシステム110、ブレーキシステム111、及びステアリングシステム112を含む。自動運転ECU107は、パワートレインシステム110、ブレーキシステム111、及びステアリングシステム112を制御する。
【0037】
パワートレインシステム110は、車両10の駆動輪に駆動力を発生させることが可能なパワートレインと、パワートレインの動作を制御するECUとを含む。ブレーキシステム111は、車両10の各車輪に設けられる、複数の制動装置を含む。制動装置は、例えば、油圧を用いて制動力を発生させるディスクブレーキ等の油圧ブレーキを含む。ステアリングシステム112は、車両10の操舵輪の舵角を変化可能な操舵装置と、操舵装置の動作を制御するECUとを含む。
【0038】
図3に、緊急度データ32の一例を示す。
図3に示すように、緊急度データ32には、通知情報の緊急度(以下、単に「緊急度」という)が、運転者が対応を行うまでの時間の切迫度、及びイベントの危険度の組み合わせに対応付けられて格納される。この緊急度は、自動運転の実行中における運転者による対応の緊急度を表す。本実施形態では、時間の切迫度が高いほど緊急度は高くなり、イベントの危険度が高いほど緊急度は高くなる。
【0039】
例えば、
図3に示すように、時間の切迫度が低でイベントの危険度が低の場合は、緊急度は低となる。また、時間の切迫度が低でイベントの危険度が中の場合は、緊急度は低となる。また、時間の切迫度が低でイベントの危険度が高の場合は、緊急度は中となる。このように、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が低でイベントの危険度が低の場合は、時間の切迫度及びイベントの危険度と同様に緊急度は低となる。また、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が低でイベントの危険度が中の場合は、時間の切迫度の度合を適用して緊急度は低となる。また、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が低でイベントの危険度が高の場合は、時間の切迫度とイベントの危険度との間を取って緊急度は中となる。
【0040】
例えば、
図3に示すように、時間の切迫度が中でイベントの危険度が低の場合は、緊急度は低となる。また、時間の切迫度が中でイベントの危険度が中の場合は、緊急度は中となる。また、時間の切迫度が中でイベントの危険度が高の場合は、緊急度は高となる。このように、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が中でイベントの危険度が低の場合は、イベントの危険度の度合を適用して緊急度は低となる。また、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が中でイベントの危険度が中の場合は、時間の切迫度及びイベントの危険度と同様に緊急度は中となる。また、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が中でイベントの危険度が高の場合は、イベントの危険度の度合を適用して緊急度は高となる。
【0041】
例えば、
図3に示すように、時間の切迫度が高でイベントの危険度が低の場合は、緊急度は中となる。また、時間の切迫度が高でイベントの危険度が中の場合は、緊急度は高となる。また、時間の切迫度が高でイベントの危険度が高の場合は、緊急度は高となる。このように、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が高でイベントの危険度が低の場合は、時間の切迫度とイベントの危険度との間を取って緊急度は中となる。また、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が高でイベントの危険度が中の場合は、時間の切迫度の度合を適用して緊急度は高となる。また、本実施形態では、一例として、時間の切迫度が高でイベントの危険度が高の場合は、時間の切迫度及びイベントの危険度と同様に緊急度は高となる。
【0042】
なお、
図3の例では、緊急度が3段階に分けられているが、緊急度は2段階に分けられてもよいし、4段階以上に分けられてもよい。また、
図3の例では、時間の切迫度が3段階に分けられているが、時間の切迫度は2段階に分けられてもよいし、4段階以上に分けられてもよい。また、
図3の例では、イベントの危険度が3段階に分けられているが、イベントの危険度は2段階に分けられてもよいし、4段階以上に分けられてもよい。また、緊急度は、イベントの危険度のみに対応付けられていてもよい。また、緊急度は、車両に関する通知情報が、運転者の対応が必要な情報であるか否かによって定められてもよい。例えば、運転者の対応が必要な通知情報は、緊急度が「中」又は「高」とされ、運転者の対応が不要な通知情報は、緊急度が「低」とされる。
【0043】
一例として
図4に示すように、イベントの危険度は、天候の状態、障害物、車両10を構成する各部位の状態、及び走路に関する情報等に応じて定められる。
図4の縦軸はイベントの危険度を示し、
図4の横軸は時間の切迫度を示している。例えば、
図4では、車両10の走行に影響がないイベント、車両10の自動運転性能が悪化するイベント、車両10の自動運転が継続不可能となるイベント、及び車両10の事故イベントの順にイベントの危険度が高く設定されている。時間の切迫度は、車両10を構成する各部位の故障の場合、その故障の度合いに応じて定められる。また、時間の切迫度は、障害物との衝突、天候の変化、及び走路の分岐への到達等のイベントが発生するまでの時間に応じて切迫度が設定されるイベントも存在する。
【0044】
取得された車両状況及び周辺状況等によって、イベントの危険度及び時間の切迫度が決定され、緊急度は、一例として
図4に示すようなマップ上に対応付けられる。車両状況及び周辺状況の変化により、当該イベントについての緊急度も随時変化する。例えば、落下障害物、天候の変化、及び道路の分岐等は車両が走行して対象に近づくにつれて時間の切迫度は高くなっていく(すなわち、時間の余裕が無くなっていく)。例えば、車両制御装置12が、車両10の自動運転が継続不可能となるイベント(例:大雨又は濃霧)の発生を検出したとする。この場合、一例として、当該イベント発生まで10秒~20秒程度の時間の猶予があるか否かが、切迫度の中と高との境界の一つとして設定される。すなわち当該イベント発生までの10秒~20秒程度の値が、緊急度の中と高との境界の一つとなる。一例として、当該イベント発生までの60秒~180秒程度の時間の猶予があるか否かが、切迫度の低と中との境界の一つとして設定される。すなわち当該イベント発生までの60秒~180秒程度の値が、緊急度の低と中との境界の一つとなる。
【0045】
図5に、通知情報の分類とイベントとその通知情報へのユーザのアクションと緊急度の一例を示す。
【0046】
図5に示すように、種別1Aに応じた通知情報の分類は、運転交代の警告である。また、当該通知情報が通知されるイベントの項目は、運行設計領域(ODD:Operational Design Domain)外に出る又は危険な状況に遭遇するといった「差し迫ったイベント」である。例えば、車両制御装置12が運行設計領域外に出ることを検出した場合に、当該通知情報が通知される。そして、当該通知情報に対してユーザ、具体的には、運転者は、手動運転モードを再開するために即座に対応することが必要である。また、当該通知情報の緊急度は高である。
【0047】
図5に示すように、種別1Bに応じた通知情報の分類は、運転交代の通知である。また、当該通知情報が通知されるイベントの項目は、システム障害若しくは誤作動又は急な天候の変化といった「予測されるイベント」である。例えば、車両制御装置12がシステム障害を検出した場合に、当該通知情報が通知される。そして、当該通知情報に対して運転者は、TBD(to be determined)までに、具体的には、運転交代が決定されるまでに手動運転モードを再開する対応を取る必要がある。また、当該通知情報の緊急度は中~高である。
【0048】
図5に示すように、種別2Aに応じた通知情報の分類は、システム状態遷移(MRM(Minimal Risk Maneuver))である。また、当該通知情報が通知されるイベントの項目は、MRMへの移行である。例えば、車両制御装置12がMRMへの移行を決定した場合に、当該通知情報が通知される。そして、当該通知情報に対して求められる運転者のアクションは「無し」である。つまり、当該通知情報が通知された場合に運転者はアクションを取る必要がない。また、当該通知情報の緊急度は中~高である。なお、これに代えて、当該通知情報が通知された場合に運転者に対して何らかのアクションを求めてもよい。
【0049】
図5に示すように、種別2Bに応じた通知情報の分類は、システム状態遷移(MRC(Minimal Risk Condition))である。また、当該通知情報が通知されるイベントの項目は、MRCへの移行である。例えば、車両制御装置12がMRCへの移行を決定した場合に、当該通知情報が通知される。そして、当該通知情報に対して求められる運転者のアクションは「無し」である。つまり、当該通知情報が通知された場合に運転者はアクションを取る必要がない。また、当該通知情報の緊急度は中~高である。
【0050】
図5に示すように、種別3に応じた通知情報の分類は、システムからの機能提案である。また、当該通知情報が通知されるイベントの項目は、追越し又は追抜き(車線変更)等のシステムからの機能提案である。例えば、車両制御装置12が追越しの実行を提案する場合に、当該通知情報が通知される。そして、当該通知情報に対して運転者は、提案された機能の実行についての承認を行う必要がある。また、当該通知情報の緊急度は低~中である。
【0051】
図5に示すように、種別4に応じた通知情報の分類は、車両状態の通知である。また、当該通知情報が通知されるイベントの項目は、バッテリー又は燃料の残量である。例えば、車両制御装置12が所定のバッテリー残量を検出した場合に、当該通知情報が通知される。そして、当該通知情報は通知のみであり、当該通知情報に対して求められる運転者のアクションは「無し」である。つまり、当該通知情報が通知された場合に運転者はアクションを取る必要がない。また、当該通知情報の緊急度は低~中である。
【0052】
また、
図6に、イベント間の関連性の一例を示す。例えば、
図6に示すように、「システム故障通知」と「MRMへの移行通知」とは相互に関連している。具体的には、「MRMへの移行通知」は、「システム故障通知」から延びる矢印で接続されている。この場合、車両制御装置12は、通知情報として「システム故障通知」を通知した後、時間の切迫度が高となった場合、関連する通知情報として「MRMへの移行通知」を通知する。
【0053】
また、
図7に、
図4に対応する携帯端末14側の通知の緊急度の一例を示す。
図7において、携帯端末14側の通知の緊急度は、黒く塗りつぶされた矩形で表されている。
図7において、車両10側の通知の緊急度は、黒く塗りつぶされた丸で表されている。また、
図7における破線の直線は緊急度の境界を表している。
【0054】
一例として、
図7では、携帯端末14側の通知の緊急度として、低(対応不要)及び低が設けられている。当該緊急度は、低(対応不要)及び低の順に高くなっている。例えば、緊急度:低(対応不要)には、バッテリー残量低下及びスケジュール通知等の携帯端末14の通常の通知がある。緊急度:低(対応不要)に対する運転者の対応は不要である。例えば、緊急度:低には、携帯端末14への着信がある。この緊急度:低の携帯端末14への着信に対して、運転者は電話に出る又は電話を切る等の対応をすることが考えられる。
【0055】
一例として、
図7では、車両10側の通知の緊急度として、低、中、及び高が設けられている。当該緊急度は、低、中、及び高の順に高くなっている。例えば、緊急度:低には、車両10の走行ルート上の分岐の存在を通知する分岐ありがある。例えば、緊急度:中には、車両10のセンサの性能が低下したこと又は低下することを通知するセンサ性能低下がある。例えば、緊急度:高には、車両10との衝突が避けられない障害物の存在を通知する衝突不可避な障害物検知がある。
【0056】
また、
図7に対応する緊急度が6段階に分けられた場合の例を
図8に示す。
図8では、低→中3→中2→中1→高2→高1の順に緊急度が高くなっている。このように、緊急度の段階は特に限定されるものでなく、適宜設定することができる。
【0057】
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る携帯端末14のハードウェア構成を説明する。携帯端末14は、CPU40、ROM41、RAM42、無線通信I/F43、及びタッチパネル44を含む。CPU40、ROM41、RAM42、無線通信I/F43、及びタッチパネル44は、バス47を介して相互に通信可能に接続される。
【0058】
CPU40は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU40は、ROM41からプログラムを読み出し、RAM42を作業領域としてプログラムを実行する。
【0059】
記憶部としてのROM41は、各種プログラム及び各種データを記憶する。本実施形態では、ROM41には、出力プログラム50が記憶される。RAM42は、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。
【0060】
無線通信I/F43は、無線通信によって車両制御装置12と接続するためのインタフェースである。タッチパネル44は、表示装置としての液晶ディスプレイと、入力装置としてのタッチセンサとを含む。
【0061】
次に、
図10を参照して、本実施形態に係る車両制御装置12の機能的な構成について説明する。
図10に示すように、車両制御装置12は、取得部60、導出部62、及び通知制御部64を含む。CPU20がROM21に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部60、導出部62、及び通知制御部64として機能する。なお、通知制御部64は、携帯端末14又はクラウドサーバ16に設けられてもよい。通知制御部64は、車両制御装置12、携帯端末14、及びクラウドサーバ16のうち、複数に設けられてもよい。
【0062】
取得部60は、車両10に関する通知情報を取得する。例えば、取得部60は、外界センサ100からの情報、車室内センサ101からの情報、ナビゲーション装置や地図データ102からの周辺情報、及び通信ユニット25や携帯端末14を介して取得可能な情報等の各種情報を通知情報として取得する。もしくは、これらの情報を取得した自動運転ECU107等の他のECUが生成した通知情報を、車内通信I/F24を介して取得する。
【0063】
図11に、携帯端末14から車両10へ提供される情報の一例を示す。
図11に示すように、当該情報の分類は、乗員(運転者)の状態と、情報入力とがある。ここで、運転者の状態の項目には、運転者、車室内、及び車外の少なくとも1つの映像を示すカメラ情報、並びに、運転者の体温、血圧、心拍数、及び皮膚電気抵抗等の生体情報等がある。携帯端末14から提供された上記のカメラ情報に基づいて、車両10のADS(Advanced Drive System)、具体的には、車両制御装置12は、運転の権限を運転者に委譲できる又はできないといった運転者の運転状態を推定することができる。また、携帯端末14から提供された上記の生体情報に基づいて、車両制御装置12は、運転者の健康状態を推定し、「休憩を促す」又は「車両10を緊急停止させる」といったリアクションを取ることができる。なお、車両制御装置12による運転者の運転状態の推定及び健康状態の推定は、公知の処理を適宜用いて行われる。また、当該情報の分類のうち、情報入力の項目には、車両10の目的地検索及び目的地セット等がある。
【0064】
図10に戻って、導出部62は、取得部60により取得された通知情報に基づいて、自動運転の実行中における運転者が対応を行うまでの時間の切迫度を導出する。例えば、導出部62は、通知情報に「XXまであとYY秒です」というような制限時間が含まれる場合は、その制限時間を用いて時間の切迫度を導出する。本実施形態に係る導出部62は、制限時間と2つの閾値TH1、TH2(TH1<TH2)とに基づいて、時間の切迫度として低、中、及び高の何れかを導出する。導出部62は、制限時間が閾値TH1以下の場合は、時間の切迫度として「高」を導出し、制限時間が閾値TH1を超え、かつ閾値TH2以下の場合は、時間の切迫度として「中」を導出し、制限時間が閾値TH2を超える場合は、時間の切迫度として「低」を導出する。例えば、閾値TH1は10秒に設定され、閾値TH2は60秒に設定される。
【0065】
また、例えば、導出部62は、通知情報に「XXまであとYYkmです」というような距離が含まれる場合は、その距離を車速で除算することによって、到達予想時間を導出する。この場合、導出部62は、上記の制限時間と同様に、到達予想時間を用いて時間の切迫度を導出する。なお、導出部62は、カーナビゲーションシステムを制御するECUに距離を出力し、そのECUに到達予想時間を導出させてもよい。
【0066】
例えば、通知情報が「運行設計領域外まであと5秒です」という旨の情報である場合、時間の切迫度として「高」が導出される。また、例えば、通知情報が「運行設計領域外まであと15秒です」という旨の情報である場合、時間の切迫度として「中」が導出される。また、例えば、通知情報が「運行設計領域外まであと75秒です」という旨の情報である場合、時間の切迫度として「低」が導出される。車両10が運行設計領域外に進入するということは、車両10が自動運転から手動運転に切り替わることを意味する。
【0067】
また、導出部62は、取得部60により取得された通知情報に基づいて、イベントの危険度を導出する。本実施形態に係るイベントの危険度は、車両10の自動運転を継続することがどの程度困難であるかを表す。例えば、導出部62は、通知情報に対して自然言語処理を行うことにより単語を抽出し、その単語に対応付けられたイベントの危険度を導出する。なお、導出部62は、通知情報を機械学習によって予め得られた学習済みモデルに対して入力することによって、イベントの危険度を導出してもよい。この学習済みモデルは、例えば、通知情報を入力とし、イベントの危険度を出力とするニューラルネットワークモデルである。また、この学習済みモデルは、通知情報と、イベントの危険度の正解データとの組を学習用データとして用いた機械学習によって得られる。
【0068】
例えば、通知情報が「天候が曇りから雨へ変化します」というような自動運転の性能が低下する天候の変化を通知するものである場合、イベントの危険度として「低」が導出される。また、例えば、通知情報が「雨が急激に強くなります」というような自動運転の継続が困難な天候の変化を通知するものである場合、イベントの危険度として「中」が導出される。例えば、通知情報が「現在走行中のトンネルを出た地点の路面が凍っています」というような自動運転の継続が困難な走路の状態を通知するものである場合、イベントの危険度として「高」が導出される。
【0069】
また、イベントの危険度は、通知情報が車両10の故障を通知するものである場合、その故障の重さに応じて導出される。
【0070】
本実施形態において、緊急度が「低」である通知情報とは、例えば、前を走行する車両の追越し等の車両10側から運転者への情報の提示等、運転者が通知情報に対して対応しなくても自動運転が継続可能な情報である。また、本実施形態において、緊急度が「中」である通知情報とは、運転者が通常の注意力を有した状態で運転席に座っている場合に対応可能な情報である。また、本実施形態において、緊急度が「高」である通知情報とは、運転者が対応することが困難な情報である。
【0071】
通知情報の例としては、車両10が備えるバッテリー残量に関する情報、避けることが難しい障害物に関する情報、冗長化されたシステムの片系の故障に関する情報、及びセンサの性能低下に関する情報等も挙げられる。また、通知情報の例としては、落下物に関する情報、地震速報等の自然災害に関する情報、走路の分岐に関する情報、自動運転レベルの変更に関する情報、及び車両10の燃料の残量に関する情報等も挙げられる。
【0072】
そして、導出部62は、緊急度データ32を参照し、導出した時間の切迫度及びイベントの危険度の組み合わせに対応する緊急度を導出する。なお、導出部62は、時間の切迫度及びイベントの危険度のそれぞれをスコア化した値を合計することによって緊急度を導出してもよいし、いずれかを重みづけした上で合計することによって緊急度を導出してもよい。
【0073】
通知制御部64は、導出部62により導出された緊急度に応じて、所定条件が満たされるまで携帯端末14に対して運転者がコントロール可能な範囲を異ならせて通知情報を通知する制御を行う。また、通知制御部64は、通知情報の通知を、携帯端末14のタッチパネル44への表示、携帯端末14からの音の出力、及び携帯端末14の振動の少なくとも1つによって行う。
【0074】
通知制御部64は、導出部62により導出された緊急度が一定の度合い(本実施形態では「中」)以上の通知情報に関しては、運転者による車両操作が行われるまでは運転者により携帯端末14を操作できない状態に制御して通知情報を通知する制御を行う。また、通知制御部64は、導出部62により導出された緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、携帯端末14のタッチパネル44に確認ボタンが表示され、運転者により確認ボタンが押されるまでは確認ボタンを押す操作以外の携帯端末14の操作ができない状態に制御して通知情報を通知する制御を行う。
【0075】
また、通知制御部64は、緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、緊急度が一定の度合い未満の通知情報よりも携帯端末14のタッチパネル44における通知情報の占有率を大きくする。通知制御部64は、緊急度が一定の度合い未満の通知情報に関しては、運転者による車両操作が行われなくても携帯端末14の操作ができる状態に制御して通知情報を通知する制御を行う。通知制御部64は、緊急度が一定の度合い未満の通知情報に関しては、携帯端末14のタッチパネル44に確認ボタンが表示されず、運転者が携帯端末14の各種操作ができる状態に制御して通知情報を通知する制御を行う。
【0076】
すなわち、運転者による車両操作が行われるとの条件、又は運転者により確認ボタンが押されるとの条件が満たされるまでに携帯端末14に対して運転者がコントロール可能な範囲の例としては、携帯端末14の操作可能な範囲、及び携帯端末14のタッチパネル44における通知情報の占有率等が挙げられる。
【0077】
具体的には、一例として
図12に示すように、通知制御部64は、緊急度が「低」である通知情報は、通知情報が携帯端末14のタッチパネル44の一部に表示され、その通知情報を運転者が確認する前でも携帯端末14における通知情報の確認以外の操作が可能であるように通知情報を携帯端末14に通知する制御を行う。
図12では、携帯端末14のタッチパネル44の上部に通知情報が表示される例を示しているが、開示の技術はこの態様に限定されない。例えば、携帯端末14のタッチパネル44の中央部又は下部等に通知情報が表示されてもよい。
【0078】
また、一例として
図13に示すように、通知制御部64は、緊急度が「中」又は「高」である通知情報は、通知情報が携帯端末14のタッチパネル44の全面に表示され、運転者が確認ボタンを押すまでは、確認ボタンを押す操作以外の操作ができないように制御して通知情報を携帯端末14に通知する制御を行う。
図13では、運転者が確認ボタンを押すことによって通知情報を確認するまでは、携帯端末14において確認ボタンを押す操作以外の操作ができなくなる例を示している。
【0079】
なお、通知制御部64は、通知情報を表示装置15に通知する制御を行ってもよい。また、一例として
図14に示すように、通知制御部64は、通知内容を示す文字列に加えて、通知内容を示す画像を表示装置15に表示する制御を行ってもよい。また、通知制御部64は、通知画面における残り時間を時間の経過に伴ってカウントダウンしてもよい。また、携帯端末14のタッチパネル44の表示領域は表示装置15の表示領域よりも小さい場合が多いため、通知制御部64は、携帯端末14のタッチパネル44においては、表示装置15よりも通知量を減らしてもよい。この場合、一例として
図15に示すように、通知制御部64は、携帯端末14に対しては通知内容を示す文字列を通知せず、通知内容を示すアイコンを通知する制御を行ってもよい。また、この場合、通知制御部64は、緊急度に応じて通知画面の背景色を異ならせてもよい。例えば、通知制御部64は、緊急度が「中」の場合は背景色を黄色にし、緊急度が「高」の場合は背景色を赤色にしてもよい。
【0080】
また、通知制御部64は、緊急度が高くなるほど、通知量を多くして通知情報を通知する制御を行ってもよい。通知量の例としては、通知情報を出力する装置の数、通知情報を音で通知する際の音量、通知情報を音で通知する際の音の鳴動時間、振動により通知する際の振動量、振動により通知する際の振動時間等が挙げられる。
【0081】
例えば、通知制御部64は、緊急度が「中」以上の場合に、緊急度が高くなるほど、通知量を多くして通知情報を通知する制御を行ってもよい。具体的には、通知制御部64は、緊急度が「中」の場合、通知情報を携帯端末14のタッチパネル44の全面に表示する制御を行う。一方、通知制御部64は、緊急度が「高」の場合、通知情報を携帯端末14のタッチパネル44の全面に表示し、かつ携帯端末14のスピーカーから音声によって出力する制御を行う。
【0082】
携帯端末14の操作及び携帯端末14への通知は、ユーザが携帯端末14にインストールした特定のアプリケーションを介してアプリケーションの画面上で行われてもよい。レベル3以上の自動運転が開始される場合には、通知制御部64は、携帯端末14本体側設定のアプリケーションの通知不許可の設定を無視して、通知可能に携帯端末14本体を制御してもよい。または、当該アプリケーションの通知を不許可にできないように携帯端末14本体が制御されてもよい。
【0083】
また、アプリケーションの中に予め各状況に応じてタッチパネル44に表示する画面のデータを含んで携帯端末14にダウンロードさせておくことによって、携帯端末14の通信量を低減することができ、かつ携帯端末14への通知の際のタイムラグを小さくすることができる。
【0084】
また、携帯端末14において通知が許可されていても、携帯端末14がマナーモード(すなわち、携帯端末14に通知がされた際の報知音が出力されない状態)である場合が考えられる。このような場合には、通知制御部64は、緊急度が高、もしくは緊急度が中以上の場合には、携帯端末14側のマナーモードの設定有無に関わらず、携帯端末14本体を制御して報知音を出すように携帯端末14本体を制御してもよい。
【0085】
また、通知制御部64は、緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて運転者が所持する携帯端末14に対して通知情報を通知する制御を行う。例えば、通知制御部64は、緊急度が一定の度合い未満である通知情報に関しては、1回又は2回等の予め設定された回数だけ通知する制御を行う。一方、通知制御部64は、緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、運転者がステアリングホイールを手で握る操作等の車両操作が行われるまで通知情報を繰り返し通知する制御を行う。また、通知制御部64は、緊急度が一定の度合い以上の通知情報に関しては、運転者により携帯端末14のタッチパネル44に表示された確認ボタンが押されるまで通知情報を繰り返し通知する制御を行う。すなわち、本実施形態に係る通知の終了条件は、通知回数、運転者による車両操作が行われるとの条件、及び運転者により携帯端末14のタッチパネル44に表示された確認ボタンが押されるとの条件を含む。
【0086】
通知制御部64は、以上の運転者が携帯端末14をコントロール可能な範囲と、携帯端末14における表示、音、及び振動等の通知情報の出力方法と、終了条件とを含む通知制御情報を生成する。そして、通知制御部64は、通知情報及び通知制御情報を携帯端末14に対して、無線通信I/F23を介して送信することによって通知情報を通知する制御を行う。
【0087】
次に、
図16を参照して、本実施形態に係る携帯端末14の機能的な構成について説明する。
図16に示すように、携帯端末14は、受信部70及び出力部72を含む。CPU40がROM41に記憶されたプログラムを実行することにより、受信部70及び出力部72として機能する。
【0088】
受信部70は、車両制御装置12から送信された通知情報及び通知制御情報を、無線通信I/F43を介して受信する。
【0089】
出力部72は、受信部70により受信された通知制御情報に従って通知情報を出力することにより、通知情報を運転者に対して通知する。すなわち、通知制御情報に含まれる終了条件が満たされるまで、運転者に対して通知が行われる。
【0090】
次に、
図17を参照して、本実施形態に係る車両制御装置12の作用を説明する。CPU20がROM21に記憶されたプログラムを実行することによって、
図17に示す通知制御処理が実行される。
図17に示す通知制御処理は、例えば、自動運転の実行中に他のECUから車内通信I/F24を介して通知情報が車両制御装置12に入力された場合に実行される。
【0091】
図17のステップS10で、取得部60は、通知情報を、車内通信I/F24を介して取得する。ステップS12で、導出部62は、前述したように、ステップS10で取得された通知情報に基づいて、自動運転の実行中における運転者が対応を行うまでの時間の切迫度を導出する。また、導出部62は、前述したように、ステップS10で取得された通知情報に基づいて、イベントの危険度を導出する。
【0092】
ステップS14で、導出部62は、緊急度データ32を参照し、ステップS12で導出した時間の切迫度及びイベントの危険度の組み合わせに対応する緊急度を導出する。ステップS16で、前述したように、ステップS14で導出された緊急度に応じて、通知情報及び通知制御情報を携帯端末14に対して、無線通信I/F23を介して送信することによって通知情報を通知する制御を行う。これにより、通知制御部64は、導出部62により導出された緊急度に応じて、所定条件が満たされるまで携帯端末14に対して運転者がコントロール可能な範囲を異ならせて通知情報を通知する制御を行う。また、これにより、通知制御部64は、緊急度に応じて、通知の終了条件を異ならせて運転者が所持する携帯端末14に対して通知情報を通知する制御を行う。ステップS16の処理が終了すると、通知制御処理が終了する。例えば、ステップS16により緊急度が「高」の通知情報が通知された場合、自動運転ECU107等によってMRMが行われ、車両10の状態がMRCに移行される。
【0093】
次に、
図18を参照して、本実施形態に係る携帯端末14の作用を説明する。CPU40がROM41に記憶されたプログラムを実行することによって、
図18に示す通知処理が実行される。
図18に示す通知処理は、例えば、上記ステップS16で、車両制御装置12から携帯端末14に対して通知情報及び通知制御情報が送信された場合に実行される。
【0094】
図18のステップS20で、受信部70は、車両制御装置12から送信された通知情報及び通知制御情報を、無線通信I/F43を介して受信する。ステップS22で、出力部72は、前述したように、ステップS20で受信された通知制御情報に従って通知情報を出力する。ステップS24で、出力部72は、ステップS20で受信された通知制御情報に含まれる終了条件が満たされたか否かを判定する。この判定が否定判定となった場合は、処理はステップS22に戻り、肯定判定となった場合は、通知処理が終了する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態によれば、車両10の運転者が、車両10に関する重要な通知に気づきにくくなってしまうことを抑制することができる。
【0096】
(第2の実施形態)
次に、本実施形態に係る通知システム1の第2の実施形態について、上記第1の実施形態との重複部分を省略又は簡略しつつ説明する。
【0097】
図19は、通知システム1で授受される通知情報の方向性の一例を示す図である。
図19に示す矢印Aは、車両制御装置12から車両10の運転者に向かう通知情報を示している。ここで、運転者に向かう車両制御装置12からの通知情報は、第1の実施形態で説明した通知情報である。第2の実施形態では、車両制御装置12から運転者に向かう当該通知情報を「第1通知情報」と記載する。
【0098】
図19に示す矢印Bは、運転者から車両制御装置12に向かう通知情報を示している。ここで、第2の実施形態では、運転者から車両制御装置12に向かう当該通知情報を「第2通知情報」と記載する。例えば、第2通知情報は、携帯端末14及び車室内センサ101等を介して取得した運転者の生体情報を含む。生体情報は、例えば、運転者の体温、血圧、脈拍、皮膚電気抵抗、呼吸数、及び挙動等の運転者に関する情報である。また、第2通知情報は、携帯端末14及び入力装置106等に対する運転者の操作内容を示す操作情報を含む。さらに、第2通知情報は、運転の権限を運転者に委譲できること又は委譲できないこと等の運転者の状態を示す運転者情報を含む。例えば、車両制御装置12は、車室内センサ101に含まれるマイクが集音した運転者の発話内容を第2通知情報として取得したり、携帯端末14により送信された上記操作情報及び運転者情報を第2通知情報として取得したりする。これにより、車両制御装置12は、取得した第2通知情報に基づいて、運転者の状態を把握することができる。そして、車両制御装置12は、把握した運転者の状態に基づいて時間の切迫度及びイベントの危険度の少なくとも一方を設定することで、緊急度を変化させる。なお、車両制御装置12が把握する運転者の状態及び緊急度の変化の例については後述する。
【0099】
図20は、緊急度の層別についての第1の例を示す図である。ここで、第2の実施形態における緊急度は、自動運転の実行中における運転者又は車両制御装置12による対応の緊急度を表す。当該緊急度は、第1の実施形態と同様に、時間の切迫度が高いほど高くなり、イベントの危険度が高いほど高くなる。そして、
図20は、自動運転の実行中における運転者による対応の緊急度の層別を示している。
【0100】
図20に示す領域A-1の緊急度の層別は高である。当該領域A-1は、時間の切迫度とイベントの危険度との双方が高い。当該領域A-1において、運転者に対して通知される第1通知情報は、MRMを実行すること又はMRMを実行していること等のMRMに関する通知である。当該第1通知情報は、車両制御装置12が自動運転を制御するための前提となる走行環境条件を突然満たさなくなった、又は自動運転を制御するためのアクチュエータシステム108等の重大なシステムに誤動作が生じたことで運転者に通知される。当該領域A-1における運転者による対応の緊急度は高であるが、運転の主体を車両制御装置12から運転者に委譲する運転交代要求に運転者が対応する十分な時間がないため、車両制御装置12は、運転者による対応を求めない。この場合、車両制御装置12は、例えば、MRMを実行して路肩への車両10の駐車を試みつつ、MRMを実行していることを示すMRMに関する通知を第1通知情報として生成して携帯端末14に送信する。これにより、運転者は、MRMが実行されていることを把握できる。
【0101】
図20に示す領域A-2の緊急度の層別は中1である。当該領域A-2において、運転者に対して通知される第1通知情報は、運転交代要求又は所定のアクション要求である。当該第1通知情報は、走行環境条件を満たさなくなった車両10の手動運転が可能である場合に運転者に通知される。上記の「走行環境条件を満たさなくなった」とは、例えば、車両10が運行設計領域外に進入した場合、及び所定の車載機器の故障が検出された場合等である。また、上記の「車両10の手動運転が可能である場合」とは、運転交代要求に対して運転者が対応可能であるか否かに関わらず、手動運転に必要な車載機器に異常がない場合をいう。この場合、車両制御装置12は、例えば、運転交代要求を第1通知情報として生成して携帯端末14に送信する。これにより、運転交代要求に対応可能な運転者は、車両10を手動運転に切り替える必要があることを把握できる。
【0102】
上記のように、「走行環境条件を満たさなくなった」には、所定の車載機器の故障が検出された場合が含まれる。ここで、当該所定の車載機器の故障には、車両10の所定のシステム機能が無効となる車載機器の故障が含まれる。例えば、故障が検出された車載機器が車室内センサ101に含まれるドライバモニタリングカメラである場合は、携帯端末14に送信した運転交代要求に対して運転者が対応可能であるか否かを車両制御装置12が把握できないことも生じ得る。
【0103】
なお、上記領域A-2において、車両制御装置12は、運転交代要求に代えて、所定のアクション要求を第1通知情報として生成して携帯端末14に送信してもよい。所定のアクション要求は、例えば、ステアリングホイールを手で握る及び顔を上げる等の所定のアクションを運転者に要求するものである。
【0104】
図20に示す領域A-3の緊急度の層別は中3である。ここで、中3は、中1よりも緊急度が低い。また、当該領域A-3は、時間の切迫度が低い。当該領域A-3において、運転者に対して通知される第1通知情報は、自動運転機能の終了に関する事前通知である。自動運転機能は、車両制御装置12が運転の主体となって自動運転レベル3以上の自動運転を行うための車両10の機能である。当該第1通知情報は、一定時間(例えば、数分)後における自動運転機能の終了が検出されたことで運転者に通知される。当該第1通知情報が運転者に通知される状況は、予め設定された運行設計領域外に車両10が近付いた際であることがほとんどである。当該状況は、運転の主体を運転者に委譲するまでに十分な時間がある。そのため、車両制御装置12は、例えば、一定時間後に自動運転機能が終了することを示す事前通知を第1通知情報として生成して携帯端末14に送信する。これにより、運転者は、一定時間後に自動運転機能が終了することを把握できる。
【0105】
図20に示す領域A-4の緊急度の層別は中1である。当該領域A-4において、運転者に対して通知される第1通知情報は、運転者への承認依頼である。当該第1通知情報は、自動運転機能について予め定められた通知タイミングになることで運転者に通知される。この場合、車両制御装置12は、所定の自動運転機能を実行し始める前に、当該自動運転機能の実行についての承認を運転者に依頼する。例えば、車両制御装置12は、所定の自動運転機能の実行についての承認依頼を第1通知情報として生成して携帯端末14に送信する。これにより、運転者は、実行予定の自動運転機能を把握でき、必要な場合には当該自動運転機能の実行を承認することができる。
【0106】
なお、上記の所定の自動運転機能は、運転者の好み及び特性の少なくとも一方に応じて予め運転者により入力された一部の自動運転機能であってもよい。また、車両制御装置12は、当該領域A-4の状況において、運転者の承認を得ることなく所定の自動運転機能を実行し、当該自動運転機能を実行していることを示す通知を第1通知情報として生成して携帯端末14に送信してもよい。
【0107】
図20に示す領域A-5の緊急度の層別は低である。当該領域A-5は、時間の切迫度とイベントの危険度との双方が低い。当該領域A-5において、運転者に対して通知される第1通知情報は、残りの燃料レベル又は充電レベル、及び比較的離れたルーティング決定に関する情報等の、運転者にとって緊急ではないが有用な有用情報である。当該第1通知情報は、有用情報が取得されることで運転者に通知される。この場合、車両制御装置12は、例えば、残りの燃料レベルを示す有用情報を第1通知情報として生成して携帯端末14に送信する。これにより、運転者は、残りの燃料レベルを把握できる。
【0108】
図21は、
図20におけるA-1~A-5の各領域に応じた第1通知情報、当該第1通知情報が通知されるイベント例、及び通知された当該第1通知情報に対して求められるユーザ、具体的には、運転者のアクションの一例を示す。
【0109】
図21に示すように、領域A-1に応じた第1通知情報が通知されるイベント例は、例えば、「ブレーキシステム又はステアリングシステムが無効」である。例えば、車両制御装置12は、自動運転ECU107に接続されたアクチュエータシステム108に含まれるブレーキシステム111が無効になったことを検出したとする。この場合、車両制御装置12は、MRMに関する通知を第1通知情報として携帯端末14に送信する。そして、当該第1通知情報に対して求められる運転者のアクションは「なし」である。つまり、当該第1通知情報が通知された場合に運転者はアクションを取る必要がない。
【0110】
図21に示すように、領域A-2に応じた第1通知情報が通知されるイベント例は、例えば、「緊急車両の接近を検出」である。例えば、車両制御装置12は、外界センサ100からの情報に基づいて、緊急車両が車両10に接近していることを検出したとする。この場合、車両制御装置12は、運転交代要求又は所定のアクション要求を第1通知情報として携帯端末14に送信する。そして、当該第1通知情報に対して求められる運転者のアクションは、例えば、入力装置106に対して所定の操作を行うことで自動運転から手動運転に切り替えて、手動運転モードを再開することがある。また、この場合に運転者は、MRCに到達するために、再開した手動運転モードで車両10を路肩に停止させるといった縮退運転を実行してもよい。
【0111】
図21に示すように、領域A-3に応じた第1通知情報が通知されるイベント例は、例えば、10km離れた道路の障害物又は10分以内の激しい天候変化を検出といった「近い将来、走行環境条件を満たさなくなる」である。例えば、車両制御装置12は、クラウドサーバ16からの情報に基づいて、10分以内に激しく天候が変化することを検出したとする。この場合、車両制御装置12は、自動運転機能の終了に関する事前通知を第1通知情報として携帯端末14に送信する。そして、当該第1通知情報に対して求められる運転者のアクションは、例えば、ステアリングホイールを手で握る等して手動運転モードを再開する準備をすることである。
【0112】
図21に示すように、領域A-4に応じた第1通知情報が通知されるイベント例は、例えば、追越し又は通過といった「車両制御装置12からの提案」である。例えば、車両制御装置12は、所定の自動運転機能として先行車両の追越しを運転者に提案する。この場合、車両制御装置12は、先行車両の追越しを実行し始める前に、当該先行車両の追越しに係る自動運転機能の実行についての運転者への承認依頼を第1通知情報として携帯端末14に送信する。そして、当該第1通知情報に対して求められる運転者のアクションは、例えば、携帯端末14に対して所定の操作を行うといった車両制御装置12からの提案に対する応答である。
【0113】
図21に示すように、領域A-5に応じた第1通知情報が通知されるイベント例は、例えば、「10km先の分岐を検出」である。例えば、車両制御装置12は、ナビゲーション装置及び地図データ102等からの周辺情報に基づいて、10km先に分岐があることを検出したとする。この場合、車両制御装置12は、有用情報を第1通知情報として携帯端末14に送信する。そして、当該第1通知情報に対して求められる運転者のアクションは「なし」である。つまり、当該第1通知情報が通知された場合に運転者はアクションを取る必要がない。
【0114】
図22は、緊急度の層別についての第2の例を示す図である。
図22は、自動運転の実行中における車両制御装置12による対応の緊急度の層別を示している。
【0115】
図22に示す領域B-1の緊急度の層別は高1である。当該領域B-1における第2通知情報は、運転の権限を運転者に委譲できないことを車両制御装置12に対して通知するものである。換言すると、当該第2通知情報は、運転時に運転者が果たすべき「認知、判断、及び操作」の動的タスク(Dynamic Driving Task)を運転者が果たせないことを車両制御装置12に対して通知するものである。当該第2通知情報は、急性疾患又は意識障害等が生じた運転者が携帯端末14及び入力装置106等に対して所定の操作を行うことで車両制御装置12に通知される。ここで、当該領域B-1内における時間の切迫度及びイベントの危険度は、運転の権限を運転者に委譲できない原因、具体的には、運転者の状態によって変化する。例えば、車両制御装置12は、運転者の状態が心臓発作及び脳卒中等の急性疾患であると把握した場合、時間の切迫度及びイベントの危険度の双方を高に設定する。また、車両制御装置12は、運転者の状態が嗜眠、疲労、又は消化器発作等であると把握した場合、イベントの危険度を高に設定する。上記の場合、車両制御装置12は、運転者の状態が、嗜眠、疲労、又は消化器発作等である場合よりも急性疾患である場合の緊急度を高く設定する。なお、車両制御装置12が運転者の状態を把握する方法については後述する。
【0116】
図22に示す領域B-2の緊急度の層別は高2である。ここで、高2は、高1よりも緊急度が低い。当該領域B-2における第2通知情報は、運転の権限を運転者に委譲できないことを車両制御装置12に対して通知するものである。当該第2通知情報は、運転の権限を運転者に委譲できないと携帯端末14が推定することで車両制御装置12に通知される。例えば、携帯端末14は、運転者の生体情報及び操作情報等に基づいて運転の権限を運転者に委譲できないか否かを推定する。また、携帯端末14は、運転の権限を運転者に委譲できないと推定した後、運転者の生体情報及び操作情報等に基づいて運転の権限を運転者に委譲できるか否かを定期的に推定する。そして、携帯端末14は、運転の権限を運転者に委譲できると推定した場合、運転の権限を運転者に委譲できることを示す第2通知情報を車両制御装置12に対して通知する。
【0117】
図22に示す領域B-3の緊急度の層別は中である。当該領域B-3において、車両制御装置12に対して通知される第2通知情報は、車両制御装置12からの承認依頼に対する運転者による承認又は不承認である。当該第2通知情報は、運転者が携帯端末14及び入力装置106等に対して当該承認依頼に対する所定の応答操作を行うことで車両制御装置12に通知される。例えば、携帯端末14は、当該承認依頼に対する運転者による承認又は不承認を示す操作情報を当該第2通知情報として車両制御装置12に通知する。なお、これに限らず、車両制御装置12は、車室内センサ101に含まれるマイクが集音した当該承認依頼に対する承認又は不承認を示す運転者の発話内容を当該第2通知情報として取得してもよい。
【0118】
図23は、
図22におけるB-1~B-3の各領域に応じた第2通知情報、当該第2通知情報が通知されるイベント例、及び当該第2通知情報を通知するに際してのユーザ、具体的には、運転者のアクションの一例を示す。
【0119】
図23に示すように、領域B-1に応じた第2通知情報が通知されるイベント例は、例えば、脳卒中又は心臓発作等の「重度の身体疾患」が運転者に生じることである。例えば、運転者は、手足の麻痺及び手足の痺れ等の脳卒中の症状が起きた場合、入力装置106に含まれる緊急スイッチ(図示せず)に対する所定操作を行う。当該緊急スイッチは、所定操作が行われると、運転の権限を運転者に委譲できないことを第2通知情報として車両制御装置12に通知するスイッチである。これにより、車両制御装置12は、運転の権限を運転者に委譲できないことを把握できる。
【0120】
ここで、車両制御装置12は、上記緊急スイッチから第2通知情報を取得した場合、以下の情報に基づいて運転者の状態を把握する。まず、車両制御装置12は、携帯端末14及び車室内センサ101等を介して運転者の生体情報を取得し、携帯端末14及び入力装置106等を介して運転者の操作内容を示す操作情報を取得する。次に、車両制御装置12は、運転者の生体情報及び操作情報を入力すると、運転者の状態を出力するよう学習された学習済みモデルに、取得した運転者の生体情報及び操作情報を入力する。そして、車両制御装置12は、学習済みモデルから出力された運転者の状態を取得し、運転者の状態を把握する。当該学習済みモデルは、例えば、ROM21に記憶されている。
【0121】
上記の学習済みモデルは、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習アルゴリズムを利用して生成する。当該機械学習アルゴリズムに入力する教師データは、例えば、脳卒中又は心臓発作等の運転者の種々の状態に対応する生体情報及び操作情報の組み合わせを人の手によって紐付けることで作成することができる。
【0122】
図23に示すように、領域B-2に応じた第2通知情報が通知されるイベント例は、例えば、「携帯端末14及び車室内センサ101等が、体温、血圧、脈拍、皮膚電気抵抗、呼吸数、及び挙動等の運転者の所定の生体情報を検出」である。例えば、携帯端末14は、運転者の1分間の脈拍が100回以上又は50回未満であることを検出したとする。この場合、携帯端末14は、運転の権限を運転者に委譲できないことを示す第2通知情報を車両制御装置12に通知する。そして、当該第2通知情報を通知するに際しての運転者のアクションは「なし」である。つまり、当該第2通知情報を車両制御装置12に通知するために運転者はアクションを取る必要がない。
【0123】
図23に示すように、領域B-3に応じた第2通知情報が通知されるイベント例は、例えば、追越し又は通過等の「車両制御装置12からの提案への応答」である。例えば、携帯端末14は、先行車両の追越しに係る自動運転機能の実行についての承認依頼を示す第1通知情報を取得しているものとする。この場合、運転者は、当該承認依頼に対する承認又は不承認を示す所定の応答操作を行う。そして、携帯端末14は、運転者による承認又は不承認を示す操作情報を当該第2通知情報として車両制御装置12に通知する。これにより、車両制御装置12は、承認依頼に対する運転の応答内容を把握できる。
【0124】
なお、上記実施形態において、通知制御部64は、通知情報が、緊急度が一定の度合い以上の情報である場合、車両10からの通知専用の通知音が携帯端末14から出力されるように通知情報を通知する制御を行ってもよい。この場合、運転者は、その通知が車両10からの重要な通知であることを把握しやすくなる。
【0125】
また、上記実施形態において、通知制御部64は、通知情報が、緊急度が一定の度合い以上の情報である場合、音声によって運転者の名前を呼び掛けてから通知情報を通知する制御を行ってもよい。この場合の運転者の名前は、携帯端末14の登録者名を取得したり、予め運転者に入力させたりすることによって取得することができる。
【0126】
また、上記実施形態において、通知制御部64は、携帯端末14で発生した第1の通知情報と、車両10に関する通知情報である第2の通知情報との優先順位に応じて携帯端末14上での通知を行ってもよい(通知情報の調停)。例えば、通知制御部64は、緊急度が一定の度合い以上の通知情報、携帯端末14への電話の着信・地震速報等の自然災害に関する通知・特定の地域への警告の通知、緊急度が一定の度合い未満の通知、及び携帯端末14への上記の通知以外の通常の通知の順に優先度を高くしてもよい。さらに詳細には緊急度が中以上、もしくは緊急度が高の通知情報は乗員の安全に関わる部分であるので、携帯端末14への電話の着信、地震速報等の自然災害に関する通知、及び特定の地域への警告の通知よりも優先度を高くしてもよい。
【0127】
また、上記実施形態において、通知制御部64は、通知情報が、緊急度が一定の度合い未満の情報である場合、運転者の状態及び運転者による携帯端末14の操作状態に応じて、通知態様を異ならせて通知情報を通知する制御を行ってもよい。この場合、通知制御部64は、運転者が携帯端末14を使用してゲームをしている場合等、運転者が携帯端末14のタッチパネル44を見ている状態である場合、通知情報を携帯端末14のタッチパネル44に表示させる制御を行うことによって通知情報を通知する制御を行ってもよい。また、通知制御部64は、運転者が携帯端末14を使用して音楽を再生している場合等、運転者が携帯端末14から出力された音を聞いている状態である場合、通知情報を携帯端末14のスピーカーから音声出力させる制御を行うことによって通知情報を通知する制御を行ってもよい。また、通知制御部64は、運転者が寝ている場合等、運転者が携帯端末14を使用していない状態である場合、携帯端末14を振動させたり、運転席のシートベルトを振動させたりすることによって通知情報を通知する制御を行ってもよい。通知制御部64は、運転者の状態及び運転者による携帯端末14の操作状態を、携帯端末14からの情報取得、ドライバモニタリングカメラ等の運転者を撮影するカメラにより撮影された画像の解析、及びスマートウォッチ等の運転者が装着している運転者の生体情報を取得する装置等によって判別することができる。
【0128】
また、上記実施形態において、通知制御部64は、携帯端末14への通知と同じタイミングで、通知情報の通知を、車両10に搭載された通知装置に対して行ってもよい。この場合の通知装置の例としては、表示装置15、車両10に搭載されたスピーカー、及び運転席のシートベルト等が挙げられる。すなわち、通知制御部64は、携帯端末14への通知と同じタイミングで、通知情報の通知を、表示装置15への表示、車載のスピーカーからの音の出力、及び運転席のシートベルトの振動等によって行ってもよい。この場合、通知制御部64は、通知の終了条件が満たされた場合、車両10に搭載された通知装置からの通知を終了させてもよい。
【0129】
また、上記実施形態において、通知制御部64は、運転者が複数台の携帯端末14を所持している場合、その複数台の携帯端末14のうちの2台以上に通知情報を通知する制御を行ってもよい。
【0130】
また、上記実施形態において、車両制御装置12が備える機能部の少なくとも一部を携帯端末14が備えてもよい。
【0131】
また、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実施した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実施してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実施させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実施してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実施してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0132】
さらに、上記実施形態では、ROM又はストレージに種々のデータを記憶させる構成としたが、これに限定されない。例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体を記憶部としてもよい。この場合、これらの記録媒体に各種プログラム及びデータなどが格納されることとなる。
【0133】
以上、実施形態に係る通知システム1について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0134】
1 通知システム
10 車両
12 車両制御装置
14 携帯端末
30 制御プログラム
50 出力プログラム
60 取得部
62 導出部
64 通知制御部
70 受信部
72 出力部