(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024162083
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20241114BHJP
B60C 3/04 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
B60C13/00 D
B60C3/04 Z
B60C13/00 C
B60C13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023077270
(22)【出願日】2023-05-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】助吉 拓哉
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB03
3D131BC47
3D131CA03
3D131GA01
3D131GA03
3D131GA13
3D131GA19
(57)【要約】
【課題】標章表示部を形成する色ゴムの意図しない露出を抑制する空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】ビード10と、サイドウォール20と、トレッド30と、を備えた空気入りタイヤであって、サイドウォール20は、タイヤ子午線面Gの断面視においてサイドウォール20のプロファイルライン24からタイヤ軸方向外側に突出する突出部を含む標章表示部22Aを備え、標章表示部22Aは、カバーゴム22bと、カバーゴム22bに覆われているうちの少なくとも一部が表面に露出する色ゴム22aと、を備え、標章表示部22Aは、タイヤ子午線面Gの断面視において凹みを有し、凹みの凹み幅(A)と凹み深さ(B)との関係は、凹み幅(A)÷(凹み幅(A)+凹み深さ(B)×2)≧35%である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビードコアを有する一対のビードと、
前記一対のビードのそれぞれからタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォールと、
前記一対のサイドウォールの間に配置されているトレッドと、を備えた空気入りタイヤであって、
前記サイドウォールは、タイヤ子午線面の断面視において前記サイドウォールのプロファイルラインからタイヤ軸方向外側に突出する突出部を含む標章表示部を備え、
前記標章表示部は、
カバーゴムと、
前記カバーゴムに覆われているうちの少なくとも一部が表面に露出する色ゴムと、を備え、
前記標章表示部は、前記タイヤ子午線面の断面視において凹み有し、
前記凹みの凹み幅(A)と凹み深さ(B)との関係は、
凹み幅(A)÷(凹み幅(A)+凹み深さ(B)×2)≧35%
である、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記凹みは、前記タイヤ子午線面の断面視において前記標章表示部の複数の突出部の間に配置されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記カバーゴムは、厚さが0.08mm以上0.20mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記凹みの凹み深さ(B)の長さは、前記サイドウォールのプロファイルラインから突出した、標章表示部の突出高さ(C)の50%を超える長さである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記サイドウォールのプロファイルラインから突出した、前記標章表示部の突出高さ(C)は、1.0mm以上3.0mm以下の高さである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】
前記標章表示部の、タイヤ径方向の長さは、15mm以上25mm以下の長さである、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】
タイヤ断面高さは、155mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】
タイヤ断面高さは、130mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】
前記凹みの凹み幅(A)は、5.5mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項10】
前記凹みは、溝である、請求項1~9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項11】
前記凹みは、窪みである、請求項1~9のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気入りタイヤの見栄えを向上させるため、サイドウォール部に表示される標章表示部を、色ゴムによって表示することが知られている。色ゴムは、表面が薄肉のカバーゴムによって覆われた状態でサイドウォール部に加硫成形された後、標章表示部に対応する部分のカバーゴムを研削除去することによって、サイドウォール部の表面に露出するようになっている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、タイヤ断面高さが小さい空気入りタイヤに、標章表示部を表示する要望が増えている。タイヤ断面高さが小さい空気入りタイヤは、タイヤ径方向の標章表示部の長さが短くなり、標章表示部のサイズが小さくなる。
例えば空気入りタイヤの標章表示部のサイズが小さくなると、タイヤを加硫成型した後の標章表示部を形成する突出部側面の色ゴムを覆っているカバーゴムが引き裂かれ、色ゴムが意図しない位置において露出し、標章表示部の意匠性を悪化させることがある。
【0005】
本発明は上述事情に鑑みてなされたものであり、標章表示部を形成する色ゴムの意図しない露出を抑制する空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の空気入りタイヤは、ビードコアを有する一対のビードと、前記一対のビードのそれぞれからタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォールと、前記一対のサイドウォールの間に配置されているトレッドと、を備えた空気入りタイヤであって、前記サイドウォールは、タイヤ子午線面の断面視において前記サイドウォールのプロファイルラインからタイヤ軸方向外側に突出する突出部を含む標章表示部を備え、前記標章表示部は、カバーゴムと、前記カバーゴムに覆われているうちの少なくとも一部が表面に露出する色ゴムと、を備え、前記標章表示部は、前記タイヤ子午線面の断面視において凹み有し、凹みの凹み幅(A)と凹み深さ(B)との関係は、凹み幅(A)÷(凹み幅(A)+凹み深さ(B)×2)≧35%である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、標章表示部を形成する色ゴムの意図しない露出を抑制する空気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤにおけるタイヤ軸方向(タイヤ子午線面)の半断面を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係るタイヤにおけるサイドウォールの拡大断面図である。
【
図3】第1実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、標章表示部の例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、別の標章表示部の例を示す図である。
【
図5】第2実施形態に係るタイヤにおけるサイドウォールの拡大断面図である。
【
図6】第2実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、標章表示部の例を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、別の標章表示部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気入りタイヤであるタイヤのタイヤ軸方向(タイヤ子午線面)の断面を示している。
図2は、第1実施形態に係るタイヤにおけるサイドウォールの拡大断面図を示している。
図3は、第1実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、標章表示部の例を示す図である。
図4は、第1実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、別の標章表示部の例を示す図である。
【0010】
図1の断面図は、タイヤ1を図示しない正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷状態のタイヤ軸方向断面図(タイヤ子午線断面図)である。正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRA、及びETRTOであれば”Measuring Rim”である。正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、トラックバス用タイヤ、ライトトラック用タイヤの場合は、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば”INFLATION PRESSURE”である。乗用車用タイヤの場合は通常180kPaとするが、タイヤに、Extra Load、又は、Reinforcedと記載されたタイヤの場合は220kPaとする。
【0011】
タイヤ1の基本的な構造は、タイヤ軸方向(タイヤ子午線面)の断面において左右対称となっている。
図1は、タイヤ1の右半分の半断面を示しており、不図示の左半分も同じ構造である。
図1中、符号S1は、タイヤ赤道面である。タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸(タイヤ子午線)に直交する面で、かつタイヤ軸方向中心に位置する面である。
【0012】
ここで、タイヤ軸方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向であり、
図1における紙面左右方向である。
図1においては、タイヤ軸方向Xとして図示している。タイヤ軸方向内側とは、タイヤ赤道面S1に近づく方向であり、
図1においては紙面左側である。タイヤ軸方向外側とは、タイヤ赤道面S1から離れる方向であり、
図1においては紙面右側である。
【0013】
また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向であり、
図1における紙面上下方向である。
図1においては、タイヤ径方向Yとして図示している。タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸から離れる方向であり、
図1においては紙面上側である。タイヤ径方向内側とは、タイヤ回転軸に近づく方向であり、
図1においては紙面下側である。
【0014】
また、タイヤ周方向とは、
図3においては、円弧線Z方向であり、円弧線Zはタイヤ回転軸を中心とした円弧線である。
【0015】
図1に示すように、タイヤ1は、一対のビード10と、一対のビード10のそれぞれからタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール20と、一対のサイドウォール20の間に配置されたトレッド30と、一対のビード10の間に架け渡されて配置されたカーカスプライ60と、カーカスプライ60のタイヤ内腔側に配置されたインナーライナー70と、を備えている。
【0016】
一対のビード10は、タイヤ軸方向両側、かつ、タイヤ径方向内側の端部に配置されている。ビード10は、ビードコア11と、ビードコア11からタイヤ径方向外側に延びるビードフィラー12と、チェーハー13と、リムストリップゴム14と、を有している。
【0017】
ビードコア11は、ゴムが被覆された金属製のビードワイヤがタイヤ周方向に複数回巻かれた環状の部材である。ビードコア11は、空気が充填されたタイヤ1を、リムに固定する役目を果たす部材である。
【0018】
ビードフィラー12は、タイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に延びるにつれて厚みが減じる先細り形状となっている。ビードフィラー12は、ビード10の周辺部分の剛性を高め、高い操縦性及び安定性を確保するために設けられる。ビードフィラー12は、例えば、周囲のゴム部材よりも硬度の高いゴムにより構成される。ビードコア11のタイヤ径方向外側の面に、ビードフィラー12のタイヤ径方向内側の面が接合されている。
【0019】
チェーハー13は、ビードコア11及びビードフィラー12を囲むカーカスプライ60の外側をさらに囲んでいる。
【0020】
リムストリップゴム14は、チェーハー13及びカーカスプライ60のタイヤ軸方向外側に配置されている。リムストリップゴム14は、タイヤ1が装着されるリムと接触する部材である。
【0021】
サイドウォール20は、カーカスプライ60のタイヤ軸方向外側に配置されたサイドウォールゴム21と、標章表示部22Aと、を含む。サイドウォールゴム21及び標章表示部22Aは、タイヤ1の外壁面を構成する。サイドウォール20は、タイヤ1がクッション作用をする際に最もたわむ部分である。そのため、通常、サイドウォール20のサイドウォールゴム21は、耐疲労性を有する柔軟なゴムが採用される。
標章表示部22Aについての詳細は、後述する。
【0022】
トレッド30は、無端状のベルト31及びキャッププライ32と、トレッドゴム33と、を備えている。
【0023】
ベルト31は、カーカスプライ60のタイヤ径方向外側に配置されている。キャッププライ32は、ベルト31のタイヤ径方向外側に配置されている。
【0024】
ベルト31は、トレッド30を補強する部材である。本実施形態のベルト31は、外側のベルト311と内側のベルト312とを備えた2層構造である。外側のベルト311及び内側のベルト312は、いずれも複数のスチールコード等のコードがゴムで覆われた構造を有している。なお、ベルト31は2層構造に限らず、1層、あるいは3層以上の構造を有していてもよい。
【0025】
キャッププライ32は、ベルト31とともにトレッド30を補強する部材である。キャッププライ32は、例えばポリアミド繊維等の絶縁性を有する複数の有機繊維コードがゴムで覆われた構造を有している。キャッププライ32を設けることにより、耐久性の向上、走行時のロードノイズの低減を図ることができる。
【0026】
トレッドゴム33は、キャッププライ32のタイヤ径方向外側に配置されている。トレッドゴム33は、トレッド30の外表面であるトレッド面34を構成する部材である。
【0027】
カーカスプライ60は、タイヤ1の骨格となるプライを構成している。カーカスプライ60は、一対のビード10間を、一対のサイドウォール20及びトレッド30を通過する態様で、タイヤ1内に埋設されている。カーカスプライ60は、タイヤ1の骨格となる不図示の複数のカーカスコードを含んでいる。複数のカーカスコードは、例えばタイヤ軸方向に延びており、タイヤ周方向に並んで配列されている。そのカーカスコードは、ポリエステルやポリアミド等の絶縁性の有機繊維コード等により構成されている。複数のカーカスコードがゴムにより被覆されて、カーカスプライ60が構成されている。
【0028】
カーカスプライ60は、一方のビードコア11から他方のビードコア11に延び、トレッド30とビード10との間に延在するプライ本体部601と、プライ本体部601からビードコア11で折り返される一対の屈曲部602と、屈曲部602のそれぞれからタイヤ径方向外側に延びる一対の折り返し部603と、を有する。プライ本体部601、屈曲部602及び折り返し部603は、ビードフィラー12及びビードコア11を囲んでいる。ビードフィラー12よりもタイヤ径方向外側の部分の折り返し部603は、プライ本体部601に重ね合わされている。
【0029】
実施形態のカーカスプライ60は2層構造であるが、カーカスプライ60は2層構造に限らず、1層、あるいは3層以上の構造を有していてもよい。
【0030】
上述したビード10のチェーハー13は、屈曲部602を含むカーカスプライ60のタイヤ径方向内側の端部を取り囲むように設けられている。また、リムストリップゴム14は、チェーハー13及びカーカスプライ60の折り返し部603の、タイヤ軸方向外側に配置されている。リムストリップゴム14のタイヤ径方向外側の端部は、上述したサイドウォールゴム21で覆われている。
【0031】
インナーライナー70は、カーカスプライ60のプライ本体部601の内面及び一対のビード10のチェーハー13の内面を覆っている。インナーライナー70は、耐空気透過性ゴムにより構成されており、タイヤ内腔内の空気が外部に漏れるのを防ぐ。インナーライナー70の内面は、一対のビード10間のタイヤ内面701を構成する。本実施形態のタイヤ1のインナーライナー70は、内側インナーライナー702と外側インナーライナー703の2層により構成されている。
【0032】
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤであるタイヤ1のタイヤ軸方向(タイヤ子午線面)の断面を示している。
図1に示すように、サイドウォール20は、サイドウォールゴム21と、標章表示部22Aと、を有する。
標章表示部22Aは、色ゴム22aと、カバーゴム22bと、を有する。色ゴム22aは、カーカスプライ60のタイヤ軸方向外側に配置される。また、色ゴム22aは環状にサイドウォール20に設けられる。
【0033】
図2は、第1実施形態に係るタイヤにおけるサイドウォールの拡大断面図である。
図2に示すように、カバーゴム22bは、色ゴム22aのタイヤ外表面側に配置される。また、カバーゴム22bは、色ゴム22aを覆うように配置される。
【0034】
標章表示部22Aは、タイヤ1の加硫成型をする際に、タイヤ1のサイドウォール20のタイヤ周方向の一部に、サイドウォール20のプロファイルライン24よりもタイヤ軸方向外側に突出するように形成される。タイヤ1の加硫成型後に、標章として視認される部分Fに対応する部分のカバーゴム22bを研削除去することにより、色ゴム22aが露出する。これにより、標章表示部22Aの標章として視認される部分Fがサイドウォール20の表面に露出する。
【0035】
図2に示すように、標章表示部22Aは、タイヤ子午線面の断面視において溝23を有する。タイヤ1を加硫成型するための金型は、標章表示部22Aを形成するための窪みを有する。その金型の、窪みの一部に配置された隆起部により、タイヤ1の加硫成型時に、標章表示部22Aのタイヤ子午線面の断面視における溝23が形成される。なお、標章表示部22Aのタイヤ周方向において、後述する溝23の溝幅(A)mmが最大の溝幅となるように、タイヤ子午線面は選択される。
なお、溝23は、タイヤ子午線面の断面視において凹み形状であり、標章表示部22Aの正面視において一方に向かって延びて開放されているものである。
【0036】
図2に示すように、凹みの凹み幅(A)mmとしての溝23の溝幅(A)mmは、標章表示部22Aに対応した色ゴム22aの露出後の溝23の溝上端において対向するカバーゴム22bの表面同士の距離により定義される。凹みの凹み深さ(B)mmとしての溝23の溝深さ(B)mmは、溝23の溝上端から溝底までの溝深さ(B)mmの距離により定義される。
【0037】
カバーゴム22bは、溝23の表面に配置されている。つまり、カバーゴム22bは、タイヤ1の加硫成型中に、金型に配置された隆起部によって押されることとなる。このとき、溝23は、金型に配置された隆起部の形状に沿って形成される。金型に配置された薄い形状の隆起部に押されたカバーゴム22bは、タイヤ1の加硫成型中に強い引っ張りの力が加えられると想定されるため、標章表示部22Aの近傍でカバーゴム22bの破れが発生すると考えられる。
近年、タイヤ断面高さが小さい空気入りタイヤに、標章表示部22Aを表示することが増えている。タイヤ断面高さが小さい空気入りタイヤは、タイヤ径方向の標章表示部22Aの長さが短くなる。タイヤ径方向の長さが短い標章表示部22Aは、薄い形状の隆起部を有する金型により成型されるため、標章表示部22Aの近傍でカバーゴム22bの破れの発生を抑制することが求められる。
【0038】
図3は、第1実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、標章表示部の例を示す図である。
図3においては、標章表示部22Aにおける標章として視認される部分Fの一例として、アルファベットの「E」の文字が例示されている。タイヤ1の側面視である、
図1のE方向から見た矢視図では、標章表示部22Aにおける標章として視認される部分Fは、サイドウォール20の表面から突出した文字や図形、記号を含む標章表示に対応した色ゴム22aと、色ゴム22aの外周を囲むように配置されているカバーゴム22bによる外枠26と、によって形成されている。標章表示部22Aにおける標章として視認される部分Fの輪郭は、タイヤ軸方向における後述する突出高さ(C)の位置の色ゴム22aの露出面であって、色ゴム22aの外周を囲むように配置されているカバーゴム22bによる外枠26の外周によって形成される。なお、
図1のE方向から見た矢視図は、タイヤ1の側面視である、標章表示部22Aの正面視となる。
【0039】
例えば、
図3に示すように、標章表示部22Aとしてアルファベットの「E」の文字が、文字の下側をタイヤ回転軸に向け、文字の上側をタイヤ径方向外側に向けて配置されたとき、タイヤ子午線面Gの断面視において、「E」の文字を構成する横方向の線の3本が、サイドウォール20のプロファイルライン24よりもタイヤ軸方向外側に3個の突出部として突出することとなる。また、タイヤ子午線面Gの断面視において、タイヤ軸方向外側に突出された3個のそれぞれの突出部の間には、溝23が2個備えられることとなる。つまり、標章表示部22Aは、タイヤ子午線面Gの断面視において、複数の突出部の間に凹みとしての溝23を備えることとなる。
【0040】
図4は、第1実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、別の標章表示部の例を示す図である。
図4においては、標章表示部22Aにおける標章として視認される部分Fの一例として、アルファベットの「O」の文字が例示されている。例えば、
図4に示すように、標章表示部22Aとしてアルファベットの「O」の文字が、文字の下側をタイヤ回転軸に向け、文字の上側をタイヤ径方向外側に向けて配置されたとき、タイヤ子午線面Gの断面視において、「O」の文字を構成する横方向の線の2本が、サイドウォール20のプロファイルライン24よりもタイヤ軸方向外側に2個の突出部として突出することとなる。また、タイヤ子午線面Gの断面視において、タイヤ軸方向外側に突出された複数の突出部に囲まれるように配置されている凹みとしての窪み25が備えられることとなる。なおこの場合、凹みの凹み幅(A)としての窪み幅(A)は、溝幅(A)に相当し、凹みの凹み深さ(B)としての窪み深さ(B)は、溝深さ(B)に相当する。
なお、窪み25は、タイヤ子午線面の断面視において凹み形状であり、標章表示部22Aの正面視において閉じられた開口である。
【実施例0041】
以下、実施例について説明する。表1に示すように、下記の(式1)に示される溝幅(A)と溝深さ(B)との関係を、所定の範囲で変化させたときに、実施例1~3と比較例1のタイヤでカバーゴム22bの破れが発生したかどうかを評価した。なお、破れが発生しなかった場合は、評価結果を「〇」とし、破れが発生した場合は、評価結果「×」とした。
溝幅(A)÷(溝幅(A)+溝深さ(B)×2)=X ・・・(式1)
【0042】
【0043】
表1に示されるように、Xの値が35%を下回る比較例1については、カバーゴム22bの破れが発生した。一方、Xの値が35%以上である実施例1~3については、いずれもカバーゴム22bの破れが発生しなかった。
表1の結果から、溝幅(A)mmと溝深さ(B)mmの関係は、下記(式2)の関係であることが好ましい。
溝幅(A)÷(溝幅(A)+溝深さ(B)×2)≧35% ・・・(式2)
これにより、タイヤ1を加硫成型した後の標章表示部22Aを形成する溝23の色ゴム22aを覆っているカバーゴム22bの破れを、好適に抑制することができる。
【0044】
また、凹み幅(A)としての溝幅(A)は、5.5mm以下であることが好ましい。溝幅(A)が5.5mm以下となるような金型を用いて、タイヤ1を加硫成型すると、カバーゴム22bは、金型の隆起部に押されることによって特に強い引っ張りの力を加えられる。つまり、溝幅(A)が5.5mm以下となるような金型の隆起部によって押されたカバーゴム22bでは、カバーゴム22bに発生する引っ張りの力を分散させにくいことが想定され、カバーゴム22bの破れが発生しやすくなる。しかしながら、この場合であっても、(式2)の関係であれば、タイヤ1を加硫成型した後の標章表示部22Aを形成する溝23の色ゴム22aを覆っているカバーゴム22bの破れを、好適に抑制することができる。
なお、凹み幅(A)としての溝幅(A)が5.5mmを超えるような金型を用いて、タイヤ1を加硫成型すると、カバーゴム22bは金型の隆起部に押されたとしても、カバーゴム22bに発生する引っ張りの力を分散させやすくなるので、カバーゴム22bの破れが発生する問題は生じにくい。
【0045】
カバーゴム22bの厚みは、0.08mm以上0.20mm以下の厚みであることが好ましい。(式2)又は(式3)の条件において、例えば0.08mm以上0.20mm以下のカバーゴム22bであれば、金型の隆起部に押されたとしても、カバーゴム22bに発生する引っ張りの力による破れを好適に抑制することができる。
【0046】
カバーゴム22bに発生する引っ張りの力による破れを抑制するために、溝23の溝底を浅くすることも考えられる。しかしながら、溝23の溝底と、標章表示部22Aに対応した色ゴム22aの露出面との距離が近い場合は、標章表示部22Aの輪郭の視認性が悪くなり、意匠性が悪化する。そのため、引っ張りの力による破れの抑制と意匠性との関係を考慮すると、溝深さ(B)は、サイドウォール20のプロファイルライン24と、色ゴム22aの露出面との距離である標章表示部22Aの突出高さ(C)(
図2)の、50%以上の長さであることが好ましい。
これにより、標章表示部22Aの輪郭を綺麗に見せて意匠性を向上させつつ、カバーゴム22bの破れによる意図しない色ゴム22aの露出を抑制することができる。
【0047】
標章表示部22Aの突出高さ(C)は、サイドウォール20のプロファイルライン24から大きく突出していても見栄えが悪く、金型の窪みと隆起部の距離が大きくなるため、カバーゴム22bに発生する引っ張りの力が大きくなり、破れの可能性が高くなる。また、突出量が極端に小さい場合には、標章表示部22Aの輪郭が綺麗に見えにくくなるため、標章表示部22Aの突出高さ(C)は、1mm以上3mm以下が好ましい。
【0048】
タイヤ断面高さが小さい空気入りタイヤに、標章表示部22Aを表示することが増えている。タイヤ断面高さが小さい空気入りタイヤは、タイヤ径方向の標章表示部22Aの長さが短くなり、標章表示部22Aのサイズも小さくなる。この場合に、タイヤ径方向の標章表示部22Aの長さが小さくなりすぎると、意匠性が悪化する。そこで、タイヤ径方向の標章表示部22Aの長さは、標章表示部22Aの正面視において15mm以上25mm以下であることが好ましい。
【0049】
標章表示部22Aの正面視における、タイヤ径方向の標章表示部22Aの長さが15mm以上25mm以下であるときに、タイヤ断面高さは、155mm以下であることが好ましい。さらに好ましくは、タイヤ断面高さは、130mm以下である。
【0050】
上述した第1実施形態に係るタイヤ1によれば、以下の効果を奏する。
【0051】
(1)第1実施形態に係るタイヤ1は、ビードコア11を有する一対のビード10と、一対のビード10のそれぞれからタイヤ径方向外側に延びる一対のサイドウォール20と、一対のサイドウォール20の間に配置されているトレッド30と、を備えた空気入りタイヤであって、サイドウォール20は、タイヤ子午線面Gの断面視においてサイドウォール20のプロファイルライン24からタイヤ軸方向外側に突出する突出部を含む標章表示部22Aを備え、標章表示部22Aは、カバーゴム22bと、カバーゴム22bに覆われているうちの少なくとも一部が表面に露出する色ゴム22aと、を備え、標章表示部22Aは、タイヤ子午線面Gの断面視において凹みを有し、凹みの凹み幅(A)と凹み深さ(B)との関係は、凹み幅(A)÷(凹み幅(A)+凹み深さ(B)×2)≧35%である。
【0052】
これにより、標章表示部22Aでの色ゴム22aの意図しない露出を抑制することができる。
【0053】
(2)(1)に記載のタイヤ1において、凹みは、タイヤ子午線面Gの断面視において標章表示部22Aの複数の突出部の間に配置されている。
【0054】
このようなタイヤ1においても、標章表示部22Aでの色ゴム22aの意図しない露出を抑制するという効果が得られる。
【0055】
(3)(1)又は(2)に記載のタイヤ1において、カバーゴム22bは、厚さが0.08mm以上0.20mm以下である。
【0056】
これにより、タイヤ1は標章表示部22Aでの意図しない色ゴム22aの露出をさらに効果的に抑制することができる。また、標章表示部22Aにおいて、カバーゴム22bの厚みよりも、色ゴム22aの露出部を十分に広く視認できることにより、標章表示部22Aの意匠性が向上する。
【0057】
(4)(1)から(3)に記載のタイヤ1において、凹みの凹み深さ(B)の長さは、サイドウォール20のプロファイルライン24から突出した、標章表示部22Aの突出高さ(C)の50%を超える長さである。
【0058】
これにより、標章表示部22Aの輪郭を綺麗に見せて意匠性を確保しつつ、カバーゴム22bの破れによる意図しない色ゴム22aの露出を抑制することができる。
【0059】
(5)(1)から(4)に記載のタイヤ1において、サイドウォール20のプロファイルライン24から突出した、標章表示部22Aの突出高さ(C)は、1.0mm以上3.0mm以下の高さである。
【0060】
これにより、タイヤ1はカバーゴム22bに発生する引っ張りの力が小さくなり、破れの可能性が低くなり、また、標章表示部22Aの色ゴム22aの表面とプロファイルライン24の明暗が明確となり意匠性が向上する。
【0061】
(6)(1)から(5)に記載のタイヤ1において、標章表示部22Aの、タイヤ径方向の長さは、15mm以上25mm以下の長さである。
【0062】
このようなタイヤ1においても、意匠性を確保しつつ、色ゴム22aの意図しない露出を抑制することができる。
【0063】
(7)(1)から(6)に記載のタイヤ1において、タイヤ断面高さは、155mm以下である。
【0064】
このようなタイヤ1においても、意匠性を確保しつつ、色ゴム22aの意図しない露出を抑制することができる。
【0065】
(8)(1)から(7)に記載のタイヤ1において、タイヤ断面高さは、130mm以下である。
【0066】
このようなタイヤ1においても、意匠性を確保しつつ、色ゴム22aの意図しない露出を抑制することができる。
【0067】
(9)(1)から(8)に記載のタイヤ1において、凹みの凹み幅(A)は、5.5mm以下である。
【0068】
このようなタイヤ1においても、色ゴム22aの意図しない露出を抑制することができる。
【0069】
(10)(1)から(9)に記載のタイヤ1において、凹みは、溝23である。
【0070】
このようなタイヤ1においても、(1)から(9)の効果が奏される。
【0071】
(11)(1)から(9)に記載のタイヤ1において、凹みは、窪み25である。
【0072】
このようなタイヤ1においても、(1)から(9)の効果が奏される。
【0073】
(第2実施形態)
次いで、
図5~
図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、本発明に係る標章表示部22Bの形態が、上記第1実施形態の標章表示部22Aと相違しており、他の構成は同一又は近似している。したがって、以下の説明においては、上記第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略又は簡略にし、主に相違点について説明する。
【0074】
図5は、第2実施形態に係るタイヤのサイドウォールの拡大断面図である。
図6は、第2実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、標章表示部の例を示す図である。
図7は、第2実施形態に係るタイヤのE方向から見た矢視図であり、別の標章表示部の例を示す図である。
【0075】
図5に示すように、標章表示部22Bは、タイヤ子午線面の断面視において、大きさの異なる凹みとしての溝23を有する。
【0076】
図6は、第2実施形態に係るタイヤ1のE方向から見た矢視図であり、標章表示部22Bの例を示す図である。
図6においては、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの一例として、アルファベットの「E」の文字が例示されている。タイヤ1の側面視である、
図5のE方向から見た矢視図では、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fは、サイドウォール20の表面から突出した文字や図形、記号を含む標章表示に対応した色ゴム22aと、色ゴム22aを囲むように配置されているカバーゴム22bによる外枠26及び内枠27と、によって形成されている。標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外周は、部分Fの外縁Hを形成する。
【0077】
例えば、
図6に示すように、標章表示部22Bとしてアルファベットの「E」の文字が、文字の下側をタイヤ回転軸に向け、文字の上側をタイヤ径方向外側に向けて配置されたとき、タイヤ子午線面Gの断面視において、「E」の文字を構成する横方向の線の3本が、サイドウォール20のプロファイルライン24よりもタイヤ軸方向外側に、横方向の線の3本に対応する6個の突出部として突出することとなる。
また、タイヤ子午線面Gの断面視において、タイヤ軸方向外側に突出された6個のそれぞれの突出部の間には、凹みとしての溝23が5個、備えられることとなる。つまり、標章表示部22Bは、タイヤ子午線面Gの断面視において、複数の突出部の間に凹みとしての溝23を備えることとなる。
【0078】
ここで、標章表示部22Bの正面視において、5個の溝23のうち、上から1番目の溝23と、3番目の溝23と、5番目の溝23とは、内枠27のカバーゴム22bの対向する表面同士によって形成されている。言い換えると、標章表示部22Bの正面視において、5個の溝23のうち、上から1番目の溝23と、3番目の溝23と、5番目の溝23とは、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの内側に存在する。
【0079】
また、標章表示部22Bの正面視において、5個の溝23のうち、上から2番目の溝23と、4番目の溝23とは、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁H同士によって形成されている。言い換えると、標章表示部22Bの正面視において、5個の溝23のうち、上から2番目の溝23と、4番目の溝23とは、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの外側に存在する。
【0080】
標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの外側に存在する溝23の、溝幅(A)mmと溝深さ(B)mmの関係は、下記(式4)の関係であることが好ましい。
溝幅(A)÷(溝幅(A)+溝深さ(B)×2)≧35% ・・・(式4)
【0081】
これにより、タイヤ1を加硫成型した後の標章表示部22Bを形成する突出部側面である溝23の色ゴム22aを覆っているカバーゴム22bの破れを、好適に抑制することができる。また、標章表示部22Bの外縁Hを明瞭に見せることができる。
【0082】
また、好ましくは、内枠27のカバーゴム22bの対向する表面同士によって形成される溝23は、(式4)の関係である。
言い換えると、好ましくは、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの内側に存在する溝23は、(式4)の関係である。
【0083】
これにより、標章表示部22Bタイヤ1を加硫成型した後の標章表示部22Bを形成する突出部側面である溝23の色ゴム22aを覆っているカバーゴム22bの破れを、好適に抑制することができる。また、標章表示部22Bの内枠27により形成される内周を明瞭に見せることができる。
【0084】
図7は、第2実施形態に係るタイヤ1のE方向から見た矢視図であり、別の標章表示部22Bの例を示す図である。
図7においては、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの一例として、アルファベットの「O」の文字が例示されている。タイヤ1の側面視である、
図5のE方向から見た矢視図では、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fは、サイドウォール20の表面から突出した文字や図形、記号を含む標章表示に対応した色ゴム22aと、色ゴム22aを囲むように配置されているカバーゴム22bによる外枠26及び内枠27と、によって形成されている。標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外周は、部分Fの外縁Hを形成する。
【0085】
例えば、
図7に示すように、標章表示部22Bとしてアルファベットの「O」の文字が、文字の下側をタイヤ回転軸に向け、文字の上側をタイヤ径方向外側に向けて配置されたとき、タイヤ子午線面Gの断面視において、「O」の文字を構成する横方向の線の2本が、サイドウォール20のプロファイルライン24よりもタイヤ軸方向外側に4個の突出部として突出することとなる。
また、タイヤ子午線面Gの断面視において、タイヤ軸方向外側に突出された複数の突出部に囲まれるように配置されている凹みとしての窪み25が1個、凹みとしての溝23が2個、備えられることとなる。
【0086】
ここで、標章表示部22Bの正面視において、2個の溝23は、内枠27のカバーゴム22bの対向する表面同士によって形成されている。言い換えると、標章表示部22Bの正面視において、2個の溝23は、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの内側に存在する。
【0087】
また、標章表示部22Bの正面視において、1個の窪みは、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁H同士によって形成されている。言い換えると、標章表示部22Bの正面視において、1個の窪みは、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの外側に存在する。
【0088】
標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの外側に存在する窪み25の、窪み幅(A)mmと窪み深さ(B)mmの関係は、下記(式5)の関係であることが好ましい。
溝幅(A)÷(溝幅(A)+溝深さ(B)×2)≧35% ・・・(式5)
【0089】
これにより、タイヤ1を加硫成型した後の標章表示部22Bを形成する突出部側面である窪み25の色ゴム22aを覆っているカバーゴム22bの破れを、好適に抑制することができる。また、標章表示部22Bの外縁Hを明瞭に見せることができる。
【0090】
また、好ましくは、内枠27のカバーゴム22bの対向する表面同士によって形成される溝23は、(式6)の関係である。
溝幅(A)÷(溝幅(A)+溝深さ(B)×2)≧35% ・・・(式6)
言い換えると、好ましくは、標章表示部22Bにおける標章として視認される部分Fの外縁Hの内側に存在する溝23は、(式6)の関係である。
【0091】
これにより、標章表示部22Bタイヤ1を加硫成型した後の標章表示部22Bを形成する突出部側面である溝23の色ゴム22aを覆っているカバーゴム22bの破れを、好適に抑制することができる。また、標章表示部22Bの内枠27により形成される内周を明瞭に見せることができる。
【0092】
上述した第2実施形態に係るタイヤ1によれば、第1実施形態で述べた(1)から(9)と同様の効果が奏される。
【0093】
以上、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良等を行っても、本発明の範囲に含まれる。
【0094】
実施形態に係る構成は、軽自動車やSUV等を含む乗用車用の空気入りタイヤの他に、ライトトラック、トラック、バス等の各種車両用の空気入りタイヤに適用できる。