(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024163306
(43)【公開日】2024-11-21
(54)【発明の名称】空調浄化システム
(51)【国際特許分類】
F24F 7/003 20210101AFI20241114BHJP
F24F 8/24 20210101ALI20241114BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20241114BHJP
【FI】
F24F7/003
F24F8/24
F24F7/08 101B
F24F7/08 101N
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024158700
(22)【出願日】2024-09-13
(62)【分割の表示】P 2020149566の分割
【原出願日】2020-09-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】嶋山 慶信
(72)【発明者】
【氏名】吉田 真司
(72)【発明者】
【氏名】重森 正宏
(57)【要約】
【課題】空間内の空気の空調を行う空調機器の運転風量が変化した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の変動を抑制可能な空気浄化装置を提供する。
【解決手段】空気浄化装置20は、屋内空間6内の空気に対して、空気浄化成分を供給する加湿器23と、屋内空間6内の空気の空調を行う空調機器8の運転風量に関する情報を取得する入力部41aと、加湿器23の動作を制御する制御部とを備える。そして、制御部41は、入力部41aが取得した空調機器8の運転風量に関する情報に基づき、加湿器23による空気への空気浄化成分の供給量を変化させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浄化運転動作を実行し、空気浄化成分である次亜塩素酸を供給して屋内空間内の空気の浄化を行う空気浄化装置と、
前記屋内空間内に配置され、前記空気の空調を行う空調機器と、
前記空気浄化装置の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記空調機器から送信される前記空調機器の動作情報に基づき、前記空気浄化装置による前記空気への前記次亜塩素酸の供給量を変化させる、
空調浄化システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記空気浄化装置が前記空気浄化運転動作を実行している状況において、前記空調機器から送信される前記動作情報が運転風量であり、前記運転風量が第一風量から第二風量に減少した場合には、前記空気浄化装置による前記屋内空間の前記空気への前記次亜塩素酸の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させることを特徴とする請求項1に記載の空調浄化システム。
【請求項3】
前記第一風量は、前記空調機器の起動直後に設定される風量であり、
前記第二風量は、前記空調機器による空調が安定した状態で設定される風量である、
ことを特徴とする請求項2に記載の空調浄化システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記動作情報が、運転動作中の前記空調機器が停止を示す場合には、前記屋内空間の前記空気への前記次亜塩素酸の供給量を、前記第二供給量よりも少ない第三供給量に減少させることを特徴とする請求項3に記載の空調浄化システム。
【請求項5】
前記第三供給量は、利用者が入力設定した前記次亜塩素酸の目標供給量レベルに対応する量である、請求項4に記載の空調浄化システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記動作情報が前記空調機器の起動を示す場合には、前記空気浄化装置による前記屋内空間の前記空気への前記次亜塩素酸の供給量を、前記第三供給量から前記第一供給量に増加させることを特徴とする、請求項4または5に記載の空調浄化システム。
【請求項7】
前記制御部は、運転動作中の前記空調機器の前記運転風量が増加した場合には、前記空気浄化装置による前記屋内空間の前記空気への前記次亜塩素酸の供給量を増加させる、請求項1~6のいずれか一項に記載の空調浄化システム。
【請求項8】
前記空気浄化装置は、前記屋内空間内の前記空気を屋外に排出するための排気風路を流通する排気流と、前記屋外の空気を前記屋内空間内へ給気するための給気風路を流通する給気流との間で熱交換する熱交換形換気装置からの前記給気流に対して、前記次亜塩素酸を付加することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の空調浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住空間などにおいて、空調機器と併用される状況下で、除菌・脱臭を行う空気浄化装置を備える空調浄化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の空気浄化装置として、対象の室内空間の空気に対して、空調機器によって空気の湿度を所定の範囲に調整しながら、屋内空間の隅々まで噴霧した薬剤(空気浄化成分)を行き渡らせることで、効率的かつ的確に屋内空間を除菌する除菌装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の空気浄化装置は、上述したように、屋内空間内において空調機器とともに併用される場合が多い。しかしながら、空調機器は、除菌・脱臭効果のある空気浄化成分を含んだ空気が内部を通過する際、構成部品であるファンあるいは熱交換器などへの衝突損失または冷房運転(除湿運転も含む)の際に発生する結露水への吸着損失などにより、空気浄化成分を多量に消費してしまう性質がある。そのため、空調機器の設置された屋内空間で空気浄化装置を使用する場合には、除菌・脱臭効果が低減されてしまうという課題を有していた。
【0005】
そこで本発明は、上記従来課題を解決するものであり、空間内の空気の空調を行う空調機器の運転風量が変化した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の変動を抑制可能な空気浄化装置を備える空調浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係る空調浄化システムは、空気浄化運転動作を実行し、空気浄化成分である次亜塩素酸を供給して屋内空間内の空気の浄化を行う空気浄化装置と、屋内空間内に配置され、空気の空調を行う空調機器と、空気浄化装置の動作を制御する制御部と、を備える。そして、制御部は、空調機器から送信される空調機器の動作情報に基づき、空気浄化装置による空気への次亜塩素酸の供給量を変化させるものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、空間内の空気の空調を行う空調機器の運転風量が変化した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の変動を抑制可能な空気浄化装置を備える空調浄化システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置の住宅における設置状態を示す模式図である。
【
図2】
図2は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置の機器構成を表す概略図である。
【
図3】
図3は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置における制御部の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置による空気浄化処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る空気浄化装置は、対象空間内の空気に対して、空気浄化を行う成分を供給する空気浄化部と、対象空間内の空気の空調を行う空調機器の運転風量に関する情報を取得する取得部と、空気浄化部の動作を制御する制御部とを備える。そして、制御部は、取得部が取得した空調機器の運転風量に関する情報に基づき、空気浄化部による空気への空気浄化を行う成分の供給量を変化させる。
【0010】
こうした構成によれば、対象空間内の空気に対して、空調機器によって消費される空気浄化を行う成分の量を補って供給する際に、空調機器の運転風量が変化しても対象空間内に供給する空気浄化を行う成分の供給量を増減させるなどして変化させるので、空調機器の運転風量の変化に起因した対象空間内での空気浄化を行う成分の変動を抑制することができる。つまり、対称空間内の空気の空調を行う空調機器の運転風量が変化した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の変動を抑制可能な空気浄化装置とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る空気浄化装置では、制御部は、空調機器の風量が第一風量から第二風量に減少した場合、空気への空気浄化を行う成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させるようにした。ここで、第一供給量は、空調機器が第一風量で運転動作を行う際に生じる空気浄化成分の消費量を補填した供給量であり、第二供給量は、空調機器が第二風量で運転動作を行う際に生じる空気浄化成分の消費量を補填した供給量である。こうした構成によれば、空気浄化部による空気への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させることによって、対象空間内の空気に対して不必要な空気浄化成分の補填を抑制することができる。つまり、空気浄化装置は、対称空間内の空気の空調を行う空調機器の運転風量に応じて、空気浄化部による空気への空気浄化成分の供給をより適切な供給量で実行することができる。
【0012】
また、本発明に係る空気浄化装置では、第一風量は、空調機器の起動直後に設定される風量であり、第二風量は、空調機器による空調が安定した状態で設定される風量である。こうした場合には、空気浄化装置は、空調機器の風量が第一風量と第二風量との間で大きく異なる状況下において、空気浄化部による空気への空気浄化成分の供給をそれぞれ適切な供給量で実行することができる。
【0013】
また、本発明に係る空気浄化装置では、制御部は、空調機器が停止した場合に、空気への空気浄化を行う成分の供給量を、第一供給量及び第二供給量よりも少ない第三供給量に減少させることが好ましい。このようにすることで、空気浄化装置は、空調機器が運転動作を停止した場合に、対象空間内に対して空気浄化を行う成分が過剰供給となるのを抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係る空気浄化装置では、空気浄化部は、対象空間内の空気を屋外に排出するための排気風路を流通する排気流と、屋外の空気を対象空間内へ給気するための給気風路を流通する給気流との間で熱交換する熱交換形換気装置からの給気流に対して、空気浄化を行う成分を付加するようにしてもよい。このようにすることで、空気浄化装置は、熱交換形換気装置によって熱交換換気される対象空間において、熱交換された給気流を用いて、空調機器の運転風量が変化した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の変動を抑制することができる。
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して説明を省略している。さらに、本発明に直接には関係しない各部の詳細については重複を避けるために、図面ごとの説明は省略している。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】
(実施の形態1)
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施の形態1に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置40について説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置40の住宅における設置状態を示す模式図である。
図2は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40の機器構成を表す概略図である。なお、以下の説明では、熱交換形換気装置10による熱交換後の気流(排気流2、給気流3)または風路(排気風路4、給気風路5)は、熱交換形換気装置10における熱交換素子12を通過した後の気流または風路を示すものとする。
【0018】
空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、
図1に示すように、家屋1の屋内(天井裏等)に設置される。そして、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、屋内空間6(以下、単に「屋内」ともいう)の空気(排気流2)と屋外空間7(以下、単に「屋外」ともいう)の空気(給気流3)とを熱交換しながら換気するとともに、熱交換した空気(熱交換後の給気流3)に対して空気浄化成分を付加して屋内空間6に供給する。ここで、空気浄化成分には、例えば、殺菌性あるいは消臭性を備えた次亜塩素酸が用いられる。なお、空気浄化成分は、請求項の「空気浄化を行う成分」に相当する。
【0019】
排気流2は、
図1に示すように、黒色矢印のごとく、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40を介して屋外に放出される。排気流2は、屋内から屋外に排出される空気の流れである。また、給気流3は、白色矢印のごとく、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40を介して屋内に取り入れられる。給気流3は、屋外から屋内に取り込まれる空気の流れである。例えば、日本の冬季を挙げると、排気流2は20℃~25℃であるのに対して、給気流3は氷点下に達することもある。空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、換気を行うとともに、この換気時に、排気流2の熱を給気流3へと伝達し、不用な熱の放出を抑制している。そして、この際、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、後述する空気浄化装置20によって、屋内空間6に導入する空気(熱交換後の給気流3)に対して、空気浄化成分の付加を行う。
【0020】
具体的には、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、
図2に示すように、熱交換形換気装置10と、空気浄化装置20と、分岐ボックス30とを有して構成される。より詳細には、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、熱交換形換気装置10と、熱交換形換気装置10にて熱交換された空気に対して、空気浄化成分を付与する手段としての空気浄化装置20と、空気浄化装置20にて空気浄化成分が付加された空気を、各部屋に送風する割合を変動させることが可能な分岐ボックス30とをこの順に連結して構成される。
【0021】
熱交換形換気装置10は、換気を行うとともに、この換気時に、排気流2の熱を給気流3へと伝達し、不用な熱の放出を抑制する装置である。より詳細には、熱交換形換気装置10は、本体ケース11、熱交換素子12、排気ファン13、内気口14、排気口15、給気ファン16、外気口17、給気口18、排気風路4、及び給気風路5を備えている。本体ケース11は、熱交換形換気装置10の外枠である。本体ケース11の外周には、内気口14、排気口15、外気口17、及び給気口18が形成されている。内気口14は、排気流2を熱交換形換気装置10に吸い込む吸込口であり、ダクト等を介して屋内排気口
4a(
図1参照)と連通している。排気口15は、排気流2を熱交換形換気装置10から屋外に吐き出す吐出口であり、ダクト等を介して屋外排気口4b(
図1参照)と連通している。外気口17は、給気流3を熱交換形換気装置10に吸い込む吸込口であり、ダクト等を介して屋外給気口5b(
図1参照)と連通している。給気口18は、給気流3を熱交換形換気装置10から屋内に吐き出す吐出口であり、ダクト等を介して屋内給気口5a(
図1参照)と連通している。
【0022】
本体ケース11の内部には、熱交換素子12、排気ファン13、及び給気ファン16が取り付けられている。また、本体ケース11の内部には、排気風路4及び給気風路5が構成されている。熱交換素子12は、全熱型の熱交換素子であり、排気風路4を流通する排気流2と、給気風路5を流通する給気流3との間で熱交換(顕熱と潜熱)を行うための部材である。排気ファン13は、排気口15の近傍に設置され、排気流2を内気口14から吸い込み、排気口15から吐出するための送風機である。給気ファン16は、給気口18の近傍に設置され、給気流3を外気口17から吸い込み、給気口18から吐出するための送風機である。排気風路4は、内気口14と排気口15とを連通する風路を含んで構成される。給気風路5は、外気口17と給気口18とを連通する風路を含んで構成される。排気ファン13が駆動することにより内気口14から吸い込まれた排気流2は、排気風路4内の熱交換素子12、排気ファン13を経由し、排気口15から屋外へと排出される。また、給気ファン16が駆動することにより外気口17から吸い込まれた給気流3は、給気風路5内の熱交換素子12、給気ファン16を経由し、給気口18から空気浄化装置20及び分岐ボックス30を介して屋内へと供給される。
【0023】
熱交換形換気装置10は、熱交換換気を行う場合には、排気ファン13及び給気ファン16を動作させ、熱交換素子12において排気風路4を流通する排気流2と、給気風路5を流通する給気流3との間で熱交換を行う。これにより、熱交換形換気装置10は、換気を行う際に、屋外に放出する排気流2の熱を屋内に取り入れる給気流3へと伝達し、不要な熱の放出を抑制し、屋内に熱を回収する。この結果、日本の冬季においては、換気を行う際に、屋外の温度が低い空気によって屋内の温度低下を抑制することができる。一方、日本の夏季においては、換気を行う際に、屋外の温度が高い空気によって屋内の温度上昇を抑制することができる。
【0024】
空気浄化装置20は、熱交換形換気装置10からの熱交換後の給気流3に対して必要に応じて冷却処理(除湿処理)または加熱処理を行うとともに、装置内を流通する給気流3に対して微細化された水とともに空気浄化成分を含ませる装置である。より詳細には、空気浄化装置20は、給気流入口21、給気流出口22、及び加湿器23を備えている。ここで、冷却処理(除湿処理)または加熱処理を行う構成部材に関しては、一般的に手法を採用すればよいので、図示及びその説明を省略する。なお、加湿器23は、請求項の「空気浄化部」に相当する。
【0025】
給気流入口21は、熱交換形換気装置10からの給気流3を空気浄化装置20に取り入れる取入口である。給気流入口21は、熱交換形換気装置10の給気口18との間で給気風路5の一部を構成するダクト9aを介して連通されている。
【0026】
給気流出口22は、水とともに空気浄化成分を付加した給気流3(あるいは空気浄化成分を付加していない給気流3)を吐き出す吐出口である。給気流出口22は、分岐ボックス30との間で給気風路5の一部を構成するダクト9bを介して連通されている。
【0027】
加湿器23は、内部に取り入れた空気(給気流3)を加湿するユニットであり、加湿の際に、空気に対して微細化された水とともに空気浄化成分を含ませる。より詳細には、加湿器23は、加湿モータ24と加湿ノズル25とを有している。加湿器23は、加湿モー
タ24を用いて加湿ノズル25を回転させ、加湿器23の貯水部に貯水されている水(空気浄化成分を含む水)を遠心力で吸い上げて周囲(遠心方向)に飛散・衝突・破砕させ、通過する空気に水分を含ませる遠心破砕式の構成をとる。そして、加湿器23は、後述する制御部41からの出力信号に応じて加湿モータ24の回転数(回転出力値)を変化させ、加湿能力(加湿量)を調整する。なお、加湿量は、流通する空気に対して空気浄化成分を付加する付加量(供給量)とも言える。
【0028】
なお、加湿器23の貯水部への空気浄化成分を含む水の供給は、水道等の給水管から給水される水に対して空気浄化成分を電気分解等により添加して空気浄化成分を含む水を生成する浄化成分供給部(図示せず)により行われる。ここで、空気浄化成分には、例えば、殺菌性あるいは消臭性を備えた次亜塩素酸が用いられる。これにより、次亜塩素酸水を給気流3に含ませて屋内に供給することになるので、屋内の殺菌あるいは消臭を行うことができる。
【0029】
家屋1において、給気流3が供給される部屋(屋内空間6)のそれぞれには、空調機器8が設置されている(
図1参照)。詳細は後述するが、加湿器23は、空調機器8が稼働した場合には、給気流3への加湿量を増加させることで、空調機器8が稼働した部屋に供給する空気浄化成分の供給量を調整するように制御される。また、加湿器23は、空調機器8の運転風量が減少または増加した場合には、給気流3への加湿量を減少または増加させることで、空調機器8が稼働している部屋に供給する空気浄化成分の供給量を調整するように制御される。
【0030】
分岐ボックス30は、空気浄化装置20を流通した給気流3を、家屋1の各部屋(それぞれの屋内空間6)へと供給する風量を調整するための部材である。より詳細には、分岐ボックス30は、分岐ボックス30の内部で各部屋へと続く給気風路5が複数のダクト9cに分岐するように構成されている。そして、ダクト9cのそれぞれには、切替ダンパ31が設けられている。切替ダンパ31は、分岐ボックス30からダクト9cへと流通させる給気流3の風量を、ダンパ開閉度を調整することで増減させるダンパである。つまり、分岐ボックス30は、各部屋へ供給される給気流3の風量、つまり空気浄化成分の供給量を調整することができる。なお、切替ダンパ31は、加湿器23と異なる部材であるが、請求項の「空気浄化部」に含まれると見なしてもよい。
【0031】
以上のように、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は構成される。
【0032】
次に、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40によって屋内空間6に供給する空気浄化成分の供給量について説明する。なお、屋内空間6は、請求項の「対象空間」に相当する。
【0033】
空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、上述したように、ある一つの屋内空間6への空気浄化成分の供給量は、空気浄化装置20(加湿器23)における給気流3に対する加湿量と、分岐ボックス30におけるある一つの屋内空間6に連通する切替ダンパ31のダンパ開閉度とによって調整することができる。そして、本実施の形態では、ある一つの屋内空間6への空気浄化成分の供給量は、例えば、第一供給量、第二供給量、及び第三供給量のいずれかに切り替えられる。空気浄化成分の供給量の大小関係は、第三供給量<第二供給量<第一供給量となっている。
【0034】
第三供給量は、空気浄化成分の供給対象となる屋内空間6内の空調機器8が停止して稼働していない状態(停止状態)において、利用者が入力設定する空気浄化成分の目標供給量レベル(例えば、「少」、「標準」、「多」の三段階)に対応する量である。ここで、目標供給量レベル「標準」では、例えば、屋内空間6内で除菌・脱臭効果を得るために必
要な量に設定される。また、第三供給量は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40が通常24時間稼働している際に供給する空気浄化成分の量である。
【0035】
第一供給量は、空気浄化成分の供給対象となる屋内空間6内の空調機器8が、例えば、冷房運転となる運転モードにて運転動作を行う際、冷房運転の開始直後(空調機器8の起動直後とも言える)に設定される風量(以下、第一風量)において空調機器8により消費される空気浄化成分の量(以下、第一消費量)を補い、利用者が入力設定した目標供給量レベルに対応する量を維持するために設定される量である。つまり、第一供給量は、第三供給量よりも多い供給量に設定される。より詳細には、第一供給量は、第三供給量に対して第一消費量を加算した供給量に設定される。なお、第一風量は、空調機器8が設置された屋内空間6内の空気の温度と、空調機器8に入力設定された目標温度との間の温度差が最も大きい状態で設定される風量である。第一消費量は、空調機器8の冷房運転の開始直後に相当する状態で予め実験的に見積もられる量である。
【0036】
第二供給量は、空調機器8による屋内空間6の空気への冷房(空調)が比較的安定した状態で設定される風量(以下、第二風量)において空調機器8により消費される空気浄化成分の量(第二消費量)を補い、利用者が入力設定した目標供給量レベルに対応する量を維持するために設定される量である。つまり、第二供給量は、第三供給量に対して第二消費量を加算した供給量に設定される。なお、第二風量は、空調機器8が設置された屋内空間6内の空気の温度と、空調機器8に入力設定された目標温度との間の温度差が比較的小さい状態で設定される風量である。第二消費量は、空調機器8の冷房運転が比較的安定した状態で予め実験的に見積もられる量である。
【0037】
なお、本実施の形態では、第一風量は、冷房運転の開始直後から、冷房が比較的安定した状態となるまでの期間で維持されるものとする。第二風量は、冷房が比較的安定した状態から、機器が停止するまでの期間で維持されるものとする。
【0038】
ここで、空調機器8の冷房運転では、空調機器8の起動直後よりも、空調機器8による冷房(空調)が安定した状態での方が空気浄化成分の消失量が少なくなるため、第二消費量は、第一消費量よりも少ない消費量となる。つまり、第二供給量は、第三供給量よりも多く、且つ、第一供給量よりも少ない供給量に設定される。
【0039】
そして、本実施の形態では、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、冷房運転となる運転モードにおいて、空気浄化成分の供給対象となる屋内空間6内の空調機器8の運転風量が第一風量から第二風量となった場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させる。そして、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、空気浄化成分の供給対象となる屋内空間6内の空調機器8が第二風量(または第一風量)から風量「0」に相当する停止状態となった場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第二供給量(または第一供給量)から第三供給量に減少させる。
【0040】
ここで、空調機器8の運転モードとしては、冷房運転の他に、除湿運転または暖房運転があり、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、それぞれの運転モードにおいても同様に、屋内空間6への空気浄化成分の供給量の調整がなされる。ここでは、その説明を省略する。
【0041】
以上のように、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、空調機器8の風量が変化した場合、例えば、空調機器8の風量が第一風量から第二風量に減少した場合、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させるように構成されている。
【0042】
次に、
図1及び
図3を参照して、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40による空気浄化の運転動作の際に、空調機器8の運転動作に起因して行う連動制御(空気浄化成分の供給量切替制御)について詳細に説明する。
図3は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40における制御部41の構成を示すブロック図である。
【0043】
空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、上述したように、家屋1の屋内(天井裏等)に設置される。また、空調機器8は、
図1に示すように、家屋1における複数の屋内空間6のうち、給気流3が供給される屋内空間6のそれぞれに設置される。
【0044】
空調機器8は、屋内空間6の天井、壁もしくは床置きされる形で設置され、冷たい空気を送風する冷房運転、除湿された空気を送風する除湿運転、暖かい空気を送風する暖房運転によって、屋内空間6内の空気の温湿度調整を行う機器である。空調機器8は、室外機8a及び冷媒回路8bを有して構成される。空調機器8には、例えば、屋内空間6の壁面に取り付けられるエアコンディショナーが用いられるので、詳細な動作説明は省略する。
【0045】
本実施の形態では、空調機器8は、通信ユニットを内蔵して構成され、無線または有線により空気浄化機能付き熱交換形換気装置40の制御部41(
図3参照)との間で通信可能に接続されている。そして、空調機器8は、機器の起動情報と、運転モード(冷房運転、除湿運転、暖房運転)及び運転風量(第一風量、第二風量)といった運転動作に関する情報とを含む信号を、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40の制御部41へと出力する。具体的には、空調機器8は、電源スイッチがオンとなって運転動作を開始した場合に、空調機器8の動作情報(起動情報、運転モード情報、運転風量情報)を制御部41に継続して出力する。一方、空調機器8は、電源スイッチがオフとなって運転動作を停止した場合に、空調機器8の動作情報として停止情報を制御部41に出力する。そして、制御部41は、空調機器8の運転情報に基づいて、給気流3で供給する空気浄化成分の供給量の切り替えを制御する。
【0046】
次に、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40の制御部41について詳細に説明する。本実施の形態における制御部41は、各機器(熱交換形換気装置10、空気浄化装置20、分岐ボックス30)の制御部を統合制御する機能を有するが、各機器とは独立した制御部で構成してもよいし、各機器の制御部のうちの一つがその機能を担ってもよい。以下では、空気浄化装置20の制御部が、他機器の制御も行うものとして説明する。
【0047】
制御部41は、
図3に示すように、入力部41a、記憶部41b、計時部41c、処理部41d、及び出力部41eを備える。
【0048】
入力部41aは、操作パネル42からのユーザ入力情報と、温湿度検知部19からの屋内空間6の空気の温湿度情報と、空調機器8からの動作情報(起動または停止情報、運転モード情報、運転風量情報)を受け付ける。入力部41aは、受け付けた各情報を処理部41dに出力する。ここで、起動情報には、空調機器8の起動後の運転動作状態に関する情報も含まれる。なお、入力部41aは、請求項の「取得部」に相当する。
【0049】
ここで、操作パネル42は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(熱交換形換気装置10、空気浄化装置20、分岐ボックス30)に関するユーザ入力情報(例えば、風量、目標温度、目標湿度、空気浄化成分の添加の有無、空気浄化成分の目標供給量レベル、等)を入力する端末であり、無線または有線により制御部41と通信可能に接続されている。
【0050】
また、温湿度検知部19は、熱交換形換気装置10内に設けられ、屋内排気口4aから取り込まれた屋内の空気RA(排気流2)の温湿度を感知するセンサである。なお、温湿
度検知部19は、空調機器8との連携の対象となる屋内空間6に設置してもよい。
【0051】
記憶部41bは、入力部41aが受け付けたユーザ入力情報と、空気浄化装置20を流通する給気流3に対する空気浄化成分の供給動作における供給設定情報と、分岐ボックス30の給気量変動運転動作(切替ダンパ31のダンパ開閉度)における分岐設定情報とを記憶する。記憶部41bは、記憶した供給設定情報及び分岐設定情報を処理部41dに出力する。なお、空気浄化成分の供給動作における供給設定情報は、空気浄化装置20の加湿動作における加湿設定情報とも言える。
【0052】
計時部41cは、現在時刻に関する時刻情報を処理部41dに出力する。
【0053】
処理部41dは、入力部41aからのユーザ入力情報と、温湿度検知部19からの温湿度情報と、空調機器8からの動作情報とを受け付ける。処理部41dは、受け付けたユーザ入力情報及び動作情報を用いて、空気浄化運転動作に関する制御情報を特定する。本実施の形態では、空調機器8からの動作情報に基づいて、空気浄化運転動作における空気浄化成分の供給量を調整する。また、処理部41dは、受け付けたユーザ入力情報及び温湿度情報を用いて、熱交換形換気装置10の換気運転動作に関する制御情報(熱交制御情報)も特定する。
【0054】
具体的には、処理部41dは、空調機器8の運転動作に関する情報に、空調機器8の停止情報が含まれる場合、空気浄化装置20を流通する給気流3への空気浄化成分の供給量と、分岐ボックス30による分岐風量とを組み合わせて、屋内空間6に給気する給気流3への供給量を第三供給量とする制御情報(第三制御情報)を特定する。
【0055】
また、処理部41dは、空調機器8の運転動作に関する情報に、空調機器8の起動情報と、冷房運転(除湿運転、暖房運転)となる運手モード情報と、第一風量とする運転風量情報とが含まれる場合、空気浄化装置20を流通する給気流3への空気浄化成分の供給量と、分岐ボックス30による分岐風量とを組み合わせて、屋内空間6に給気する給気流3への供給量を第一供給量とする制御情報(第一制御情報)を特定する。
【0056】
また、空調機器8の起動後において、処理部41dは、空調機器8の運転動作に関する情報に、第二風量とする運転風量情報が含まれる場合、空気浄化装置20を流通する給気流3への空気浄化成分の供給量と、分岐ボックス30による分岐風量とを組み合わせて、屋内空間6に給気する給気流3への供給量を第二供給量とする制御情報(第二制御情報)を特定する。
【0057】
そして、処理部41dは、特定した制御情報(熱交制御情報、第一制御情報、第二制御情報、第三制御情報)を出力部41eに出力する。
【0058】
出力部41eは、処理部41dからの制御情報を受け付ける。出力部41eは、熱交換形換気装置10と、空気浄化装置20と、分岐ボックス30と電気的に接続される。そして、出力部41eは、受け付けた制御情報に基づいて、熱交換形換気装置10の換気運転動作と、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と、分岐ボックス30の給気量変動運転動作とを制御する信号(制御信号)を出力する。
【0059】
そして、熱交換形換気装置10は、出力部41eからの信号を受け付け、受け付けた信号に基づいて換気運転動作の制御を実行する。また、空気浄化装置20と分岐ボックス30とは、出力部41eからの信号をそれぞれ受け付け、受け付けた信号に基づいてそれぞれの運転動作の制御を実行する。
【0060】
繰り返しの説明になるが、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、各機器が第一制御信号に基づいて屋内空間6内に第一供給量にて空気浄化成分を供給している状態において、第二制御信号を受け付けた場合、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させる。一方、各機器が第二制御信号(または第一制御信号)に基づいて屋内空間6内に第二供給量(または第一供給量)にて空気浄化成分を供給している状態において、第三制御信号を受け付けた場合、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第二供給量(または第一供給量)から第三供給量に減少させる。
【0061】
以上のようにして、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、空気浄化成分の供給量は、空調機器8の運転風量が変化した場合、例えば、空調機器8の風量が第一風量から第二風量に減少した場合でも、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させることによって適切な空気浄化成分の供給量に制御された給気流3を屋内空間6に給気する。
【0062】
次に、
図4を参照して、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40による空気浄化動作における空気浄化処理手順について説明する。
図4は、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40による空気浄化処理手順を示すフローチャートである。以下では、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40が、ある一つの屋内空間6に対して、この屋内空間6に設置された空調機器8が停止した状態で空気浄化処理を行っているものとして説明する。
【0063】
まず、空気浄化処理では、
図4に示すように、制御部41は、操作パネル42からのユーザ入力情報と空調機器8からの動作情報(空調機器の運転動作に関する情報)とに基づいて、屋内空間6へと供給する空気浄化成分の供給量が第三供給量となるように、熱交換形換気装置10の換気運転動作と、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と、分岐ボックス30の給気量変動運転動作とをそれぞれ実行する(ステップS11)。ここで、第三供給量は、利用者が入力設定した空気浄化成分の目標供給量レベルに対応する量である。
【0064】
次に、制御部41は、空調機器8からの動作情報に、空調機器8の起動情報が含まれるか否かを判定する(ステップS12)。そして、判定の結果、空調機器8の起動情報が含まれていない場合(ステップS12のNo)には、制御部41は、屋内空間6へと供給する空気浄化成分の量が第三供給量を維持するように、熱交換形換気装置10の換気運転動作と、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と、分岐ボックス30の給気量変動運転動作とをそれぞれ継続させる(ステップS11に戻る)。一方、判定の結果、空調機器8の起動情報が含まれている場合(ステップS12のYes)、制御部41は、空調機器8からの動作情報に含まれる空調機器8の運転モード情報(冷房運転、除湿運転、暖房運転)及び運転風量情報(第一風量、第二風量)に基づいて、空調機器8による空気浄化成分の消費量(第一消費量、第二消費量)を特定する(ステップS13)。
【0065】
より詳細には、ステップS13において、空調機器8が起動直後の場合には、運転風量情報として第一風量に関する情報が含まれているので、第一風量において空調機器8により消費される空気浄化成分の量である第一消費量が特定される。一方、空調機器8による冷房(空調)が安定した場合には、運転風量情報として第二風量に関する情報が含まれているので、第二風量において空調機器8により消費される空気浄化成分の量である第二消費量が特定される。
【0066】
そして、制御部41は、第三供給量に対して、特定した空調機器8による消費量分を加えた第一供給量または第二供給量となるように、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と分岐ボックス30の給気量変動運転動作とをそれぞれ実行する(ステップS14)。
【0067】
より詳細には、ステップS14において、空調機器8が起動直後の場合には、第三供給
量に対して、起動直後の空調機器8による第一消費量分を加えた第一供給量となるように、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と分岐ボックス30の給気量変動運転動作とをそれぞれ実行する。つまり、空調機器8が起動直後の場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第三供給量から第一供給量に増加させることになる。一方、空調機器8による冷房(空調)が安定した場合には、第三供給量に対して、冷房(空調)が安定した状態での空調機器8による第二消費量分を加えた第二供給量となるように、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と分岐ボックス30の給気量変動運転動作とをそれぞれ実行する。つまり、空調機器8による冷房(空調)が安定した場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第三供給量から第二供給量に増加させることになるが、空調機器8の運転風量の変化に着目すると、第一供給量から第二供給量に減少させることになる。
【0068】
次に、制御部41は、空調機器8からの動作情報に、空調機器8の停止情報が含まれるか否かを判定する(ステップS15)。判定の結果、空調機器8の停止情報が含まれていない場合(ステップS15のNo)には、制御部41は、屋内空間6へと供給する空気浄化成分の量が第一供給量または第二供給量を維持するように、熱交換形換気装置10の換気運転動作と、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と、分岐ボックス30の給気量変動運転動作とをそれぞれ継続させる(ステップS13に戻る)。一方、判定の結果、空調機器8の停止情報が含まれている場合(ステップS15のYes)、制御部41は、屋内空間6へと供給する空気浄化成分の供給量が第三供給量となるように、熱交換形換気装置10の換気運転動作と、空気浄化装置20の空気浄化運転動作と、分岐ボックス30の給気量変動運転動作とをそれぞれ実行する(ステップS11に戻る)。
【0069】
つまり、制御部41は、空調機器8が起動した場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第三供給量から第一供給量に増加させる。また、制御部41は、空調機器8による冷房(空調)が安定した場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させる。そして、制御部41は、空調機器8が停止した場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量を、第二供給量から第三供給量に減少させる。なお、屋内空間6への空気浄化成分の供給量が第一供給量の状態で空調機器8が停止した場合には、屋内空間6への空気浄化成分の供給量は、第一供給量から第三供給量に減少することになる。
【0070】
そして、制御部41は、ステップ11以降を繰り返して実行させる。
【0071】
以上のようにして、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、熱交換形換気装置10における換気運転動作の制御、空気浄化装置20における空気浄化運転動作の制御、及び分岐ボックス30における給気量変動運転動作の制御により空気浄化処理が実行される。
【0072】
以上、本実施の形態1に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)によれば、以下の効果を享受することができる。
【0073】
(1)空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、屋内空間6内の空気に対して、空気浄化成分を供給する空気浄化装置20と、屋内空間6内の空気の空調を行う空調機器8の運転風量に関する情報を取得する入力部41aと、空気浄化装置20の動作を制御する制御部とを備える。以上の構成は、空気浄化装置20は、屋内空間6内の空気に対して、空気浄化成分を供給する加湿器23と、屋内空間6内の空気の空調を行う空調機器8の運転風量に関する情報を取得する入力部41aと、加湿器23の動作を制御する制御部とを備えるとも言える。そして、制御部41は、入力部41aが取得した空調機器8の運転風量に関する情報に基づき、空気浄化装置20(加湿器23)による空気への空気浄化成分の供給量を変化させるようにした。
【0074】
こうした構成によれば、屋内空間6内の空気に対して、空調機器8によって消費される空気浄化成分の量を補って供給する際に、空調機器8の運転風量が変化しても屋内空間6内に供給する空気浄化成分の供給量を増減させるなどして変化させるので、空調機器8の運転風量の変化に起因した屋内空間6内での空気浄化成分の変動を抑制することができる。つまり、屋内空間6内の空気の空調を行う空調機器8の運転風量が変化した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の変動を抑制可能な空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)とすることができる。
【0075】
(2)空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)では、制御部41は、空調機器8の風量が第一風量から第二風量に減少した場合、空気への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させるようにした。ここで、第一供給量は、空調機器8が第一風量で運転動作を行う際に生じる空気浄化成分の消費量(第一消費量)を補填した供給量であり、第二供給量は、空調機器8が第二風量で運転動作を行う際に生じる空気浄化成分の消費量(第二消費量)を補填した供給量である。こうした構成によれば、空気浄化装置20(加湿器23)による空気への空気浄化成分の供給量を、第一供給量から第二供給量に減少させることによって、屋内空間6内の空気に対して不必要な空気浄化成分の補填を抑制することができる。つまり、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)は、屋内空間6内の空気の空調を行う空調機器8の運転風量に応じて、空気浄化装置20(加湿器23)による空気への空気浄化成分の供給をより適切な供給量で実行することができる。
【0076】
(3)空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)では、第一風量は、空調機器8の起動直後に設定される風量であり、第二風量は、空調機器8による空調が安定した状態で設定される風量とした。こうした場合には、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)は、空調機器8の風量が第一風量と第二風量との間で大きく異なる状況下において、空気浄化装置20(加湿器23)による空気への空気浄化成分の供給をそれぞれ適切な供給量で実行することができる。
【0077】
(4)空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)では、制御部41は、空調機器8が停止した場合に、空気への空気浄化を行う成分の供給量を、第一供給量及び第二供給量よりも少ない第三供給量に減少させるようにした。これにより、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)は、空調機器8が運転動作を停止した場合に、屋内空間6内に対して空気浄化成分が過剰供給となるのを抑制することができる。
【0078】
(5)空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)は、屋内空間6内の空気に対して、空気浄化成分を第三供給量にて供給する空気浄化装置20(加湿器23)と、屋内空間6内の空気の空調を行う空調機器8の運転動作に関する情報を取得する入力部41aと、空気浄化装置20(加湿器23)の動作を制御する制御部41とを備える。そして、制御部41は、空調機器8の運転動作に関する情報に空調機器8の起動情報が含まれる場合、空気への空気浄化成分の供給量を、第三供給量から第一供給量(または第二供給量)に増加させるようにした。これにより、空調機器8が運転動作を行う場合に、空気浄化装置20(加湿器23)によって屋内空間6内に供給する空気浄化成分の供給量を増加させるので、空調機器8に起因した屋内空間6内での空気浄化成分の減少を抑制することができる。つまり、屋内空間6内の空気の空調を行う空調機器8が稼働した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の減少を抑制可能な空気浄化機能付き熱交換形換気装置40(空気浄化装置20)とすることができる。
【0079】
(6)空気浄化機能付き熱交換形換気装置40は、空気浄化装置20と、屋内空間6内
の空気を屋外に排出するための排気風路4を流通する排気流2と、屋外の空気を屋内空間6内へ給気するための給気風路5を流通する給気流3との間で熱交換する熱交換形換気装置10とを有して構成した。そして、空気浄化装置20は、熱交換形換気装置10からの給気流3に対して、空気浄化成分を付加するようにした。以上の構成は、空気浄化装置20では、加湿器23は、屋内空間6内の空気を屋外に排出するための排気風路4を流通する排気流2と、屋外の空気を屋内空間6内へ給気するための給気風路5を流通する給気流3との間で熱交換する熱交換形換気装置10からの給気流に対して、空気浄化成分を付加するように構成したとも言える。このようにすることで、空気浄化装置20は、熱交換形換気装置10によって熱交換換気される屋内空間6において、熱交換された給気流3を用いて、空調機器8の運転風量が変化した場合に生じる、空気に含まれる空気浄化成分の含有量の変動を抑制することができる。
【0080】
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せに種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0081】
本実施の形態に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、空調機器8の風量が変化する例として、空調機器8の風量が第一風量(起動時)から第二風量(安定時)に減少する場合について説明したが、これに限られない。例えば、空調機器8の風量が増加する場合でも、その風量の増加に対応して空気浄化成分の供給量を増加させるように制御してもよい。これにより、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、空気浄化部による空気への空気浄化成分の供給をより適切な供給量で実行することができる。
【0082】
また、本実施の形態に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、空調機器8の風量の変化を、第一風量(起動時)と第二風量(安定時)の二つの運転風量の例で説明したが、これに限られない。例えば、空調機器8の運転風量の変化を多段階あるいは線型として、それぞれの運転風量に対応して空気浄化成分の供給量を変化させるように制御してもよい。これにより、空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、空気浄化部による空気への空気浄化成分の供給をさらに適切な供給量で実行することができる。
【0083】
また、本実施の形態に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置40では、ある一つの屋内空間6に対して空気浄化成分を供給することを説明したが、空調機器8が設置された複数の屋内空間6のそれぞれに対して、分岐ボックス30の切替ダンパ31によって独立して制御するようにしてもよい。なお、空調機器8が稼働する屋内空間6と空調機器8が稼働していない屋内空間6とがある場合には、分岐ボックス30給気量変動運転動作によって、それぞれの空気浄化成分の供給量を制御すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る空気浄化機能付き熱交換形換気装置(または空気浄化装置)は、空調機器が併用され稼働した場合に生じる空気に含まれる浄化成分の含有量の減少を抑制可能とするものであるので、空調機器が併用された屋内で使用される装置として有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 家屋
2 排気流
3 給気流
4 排気風路
4a 屋内排気口
4b 屋外排気口
5 給気風路
5a 屋内給気口
5b 屋外給気口
6 屋内空間
7 屋外空間
8 空調機器
8a 室外機
8b 冷媒回路
10 熱交換形換気装置
11 本体ケース
12 熱交換素子
13 排気ファン
14 内気口
15 排気口
16 給気ファン
17 外気口
18 給気口
19 温湿度検知部
20 空気浄化装置
21 給気流入口
22 給気流出口
23 加湿器
24 加湿モータ
25 加湿ノズル
30 分岐ボックス
31 切替ダンパ
40 空気浄化機能付き熱交換形換気装置
41 制御部
41a 入力部
41b 記憶部
41c 計時部
41d 処理部
41e 出力部
42 操作パネル