(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024174831
(43)【公開日】2024-12-17
(54)【発明の名称】自動車用アンテナ及びそのようなアンテナを備える自動車
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20241210BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20241210BHJP
H01Q 9/36 20060101ALI20241210BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 B
H01Q9/36
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024086994
(22)【出願日】2024-05-29
(31)【優先権主張番号】102023000011067
(32)【優先日】2023-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】522063815
【氏名又は名称】アエッセカッパ インドゥストリエス ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ チェルレーテッリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア ノターリ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ カゾーリ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】自動車用アンテナ及びそのようなアンテナを備える自動車を提供する。
【解決手段】自動車用アンテナ100であって、自動車の取付面に接続するのに適した取付板1と、取付板に実質的に水平な位置で接続されるように適合された第1のプリント回路基板5と、アンテナ100の外部の環境と、第1の信号及び第2の信号をそれぞれ送受信するための第1の放射素子10及び第2の放射素子20と、を備える。両放射素子はそれぞれ、プリント回路基板12、22を備え、同プリント回路基板に沿って第1の導電性トラック14及び第2の導電性トラック24がそれぞれ配置される。第1の放射素子10は、第1のプリント回路基板5の上面から実質的に垂直な方向に沿って測定された最大高さHを有し、第1の導電性トラック14の第1の高さH1は、第1の放射素子10の最大高さHの半分以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用のアンテナ(100)であって、少なくとも、
-前記自動車の取付面に接続するのに適した取付板(1)と、
-前記取付板(1)に実質的に水平な位置で接続されるように適合された少なくとも第1のプリント回路基板(5)と、
-前記アンテナ(100)の外部の環境と第1の信号を送受信するための少なくとも1つの第1の放射素子(10)であって、前記第1の放射素子(10)は、その第1の端部(13)にて前記第1のプリント回路基板(5)に接続され、前記第1のプリント回路基板(5)から実質的に垂直な方向に沿って立ち上がる第2のプリント回路基板(12)を備え、前記第2のプリント回路基板(12)に沿って、第1の導電性トラック(14)が配置され、前記第1の導電性トラック(14)は、前記第1のプリント回路基板(5)に接続された端部(16)を有し、実質的に螺旋状又は蛇行状の経路に沿って前記第2のプリント回路基板(12)上を、前記実質的に垂直な方向に沿って前記第1のプリント回路基板(5)の上面から測定された第1の高さ(H1)まで延びる、少なくとも1つの第1の放射素子(10)と、
-前記アンテナ(100)の外部の環境と第2の信号を送受信するための少なくとも1つの第2の放射素子(20)であって、前記第2の放射素子(20)は、その第1の端部(23)にて前記第1のプリント回路基板(5)に接続され、前記第1のプリント回路基板(5)から実質的に垂直な方向に沿って立ち上がる第3のプリント回路基板(22)を備え、前記第3のプリント回路基板(22)に沿って、第2の導電性トラック(24)が配置され、前記第2の導電性トラック(24)は、前記第1のプリント回路基板(5)に接続された端部(26)を有し、実質的に螺旋状又は蛇行状の経路に沿って前記第3のプリント回路基板(22)上を、前記実質的に垂直な方向に沿って前記第1のプリント回路基板(5)の上面から測定された第2の高さ(H2)まで延びる、少なくとも1つの第2の放射素子(20)と、を備えることを特徴とする、アンテナ(100)において、
前記第1の放射素子(10)は、前記第1のプリント回路基板(5)の上面から前記実質的に垂直な方向に沿って測定された最大高さ(H)を有し、前記第1の導電性トラック(14)の前記第1の高さ(H1)は、前記第1の放射素子(10)の前記最大高さ(H)の半分以下である、アンテナ(100)。
【請求項2】
前記第1の導電性トラック(14)の前記第1の高さ(H1)は、前記第2の導電性トラック(24)の前記第2の高さ(H2)を下回る、請求項1に記載のアンテナ(100)。
【請求項3】
側面図を参照すると、前記取付板(1)は、前縁(2)及び後縁(3)を有し、前記第1の放射素子(10)及び前記第2の放射素子(20)は、前記前縁及び後縁(2、3)を接合する方向に沿って、互いに実質的に一列に並んで配置される、請求項1から2のいずれか1項に記載のアンテナ(100)。
【請求項4】
前記第1の放射素子(10)は、前記第2のプリント回路基板(12)の前記第1の端部(13)の反対側の第2の端部(15)にて前記第2のプリント回路基板(12)に接続された容量性キャップ(30)をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のアンテナ(100)。
【請求項5】
前記容量性キャップ(30)は、少なくとも中央セクション(31)と、前記中央セクション(31)の向き合う部分から互いに分岐して延びる第1のアーム(32)及び第2のアーム(33)と、前記中央セクション(31)並びに第1及び第2のアーム(32、33)のうちの少なくとも1つから延び、前記容量性キャップ(30)を前記第2のプリント回路基板(12)に機械的に接続することができるように構成された1つ又は複数の結合部分と、を備える、請求項4に記載のアンテナ(100)。
【請求項6】
前記容量性キャップ(30)は、単一の金属材料から作成される、請求項4に記載のアンテナ(100)。
【請求項7】
前記1つ又は複数の結合部分は、前記第1のアーム(32)の一端(35)から前記第2のプリント回路基板(12)に向かって横方向に突出する第1のセクション(36)と、前記第1のセクション(36)の一端から前記中央セクション(31)に向かって横方向に突出する第2のセクション(37)と、前記第2のセクション(37)の一端から横方向に突出し、それぞれが前記第2のプリント回路基板(12)上に画定された対応する挿入口(18)に挿入するのに適した1つ又は複数の歯(38)と、を備える、請求項5に記載のアンテナ(100)。
【請求項8】
前記第2のプリント回路基板(12)は、その上部に凹部(19)を有し、前記容量性キャップ(30)は、前記中央セクション(31)を前記凹部(19)内に少なくとも部分的に位置決めすることにより、前記第2のプリント回路基板に結合され、前記第1及び第2のアーム(32、33)は、前記第2のプリント回路基板(12)の両側に沿って前記第1のプリント回路基板(5)に向かって前記中央セクション(31)から延びる、請求項5に記載のアンテナ(100)。
【請求項9】
前記1つ又は複数の結合部分は、前記中央セクション(31)から延びる1つ又は複数の歯(39)を備え、それぞれが前記第2のプリント回路基板(12)に機械的に接続されるように構成される、請求項8に記載のアンテナ(100)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のアンテナ(100)を少なくとも1つを備えることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用アンテナ及びそのようなアンテナを備える自動車に関する。
【0002】
本発明のアンテナは、自動車に使用される、例えば、自動車の屋根に取り付けられるのに特に適しており、本明細書ではそのような用途について言及しながら説明するが、その適用可能性を、例えば、バス、トラック、商用車などの他の種類の自動車に限定する意図は一切ない。
【背景技術】
【0003】
周知のように、自動車の屋根又は別の外部表面に取り付けることを意図したアンテナには、基本的に、アンテナの取り付け及び動作を実現するように適合された複数の適切に構成された部品及び組立部品からなる機能部分と、機能部分に結合されるように適合され、アンテナが設置された時点で自動車の適切な美観の維持を確実なものにすることを目的とする部分、典型的には、サメのひれの形状に構成されたカバー又はキャノピーである純粋に美観的な部分と、が含まれる。
【0004】
通常、機能部分は、LTE(ロングタームエボリューション)、DAB(デジタルオーディオ放送)、RF、GPS、FMなど、長年にわたって導入されてきたさまざまな周波数の規格及び関連分野に従って、他の車両、歩行者、固定装置、通信構造とさまざまなタイプのデータ及び信号を送受信することができる複数のアンテナ又は放射素子を備える。
【0005】
現在市販されているアンテナでは、設計された機能を果たすことができるが、改善する価値のある側面がいくつかある。
【0006】
特に、カバーが提供する狭い空間に、不可避的に互いに近接して配置された複数の放射素子が存在すると、2つ以上の放射素子に入力される信号が結合して互いに干渉する可能性があるため、送受信された信号の有効品質に関連する問題が生じる。
【発明の概要】
【0007】
このため、本発明の範囲は、少なくとも部分的にそのような問題を軽減することができる自動車用アンテナを提供することである。
【0008】
この範囲をはじめ、以下の説明から最終的に明らかになる範囲は、請求項1に特徴が定義されている自動車用アンテナによって達成される。
【0009】
この範囲はこのほか、請求項10に記載の自動車によって達成される。
【0010】
本発明の特定の実施形態では、従属請求項の主題が形成され、その内容は本明細書の不可欠な部分として考えられることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の追加の特徴及び利点が、添付の図面を参照して、純粋に非限定的な例として提供される以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【
図1】
図1は、本発明によるアンテナの可能な実施形態を示す分解図である。
【
図2】
図2は、本発明によるアンテナの別の可能な実施形態を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明によるアンテナの追加の可能な実施形態を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3のアンテナの放射素子の構成要素が互いに結合している状態を概略的に示す斜視図であり、本発明によるアンテナの追加の可能な実施形態である。
【
図5】
図5は、
図4の放射素子の構成要素が互いに結合している状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細な説明では、構造的観点及び/又は機能的観点から、同一又は類似の構成要素を、本開示の異なる実施形態に示しているか、別個の部分に示しているかに関係なく、同構成要素が同一の参照番号又は異なる参照番号を有する場合があることに留意されたい。
【0013】
このほか、本開示を明確かつ簡潔に説明するために、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、本開示の特定の特徴を幾分概略的な形で示している場合があることに留意されたい。
【0014】
さらに、本明細書では、任意の構成要素の全体、構成要素の任意の一部、あるいは構成要素の組み合わせに言及する際に「適合された」又は「組織化された」又は「構成された」又は「成形された」という用語を使用する場合、その用語は、構造及び/又は構成及び/又は形状及び/又は配置のいずれかを意味し、それに対応するものを包含することを理解されたい。
【0015】
さらに、本明細書では「実質的な」又は「実質的に」という用語を使用する場合、基準値、方向又は位置として示したものに対してプラス又はマイナス5%の実際の変動を包含することを理解されたい。また、本明細書では「横方向の」又は「横方向に」という用語を使用する場合、参照する基準部分又は方向/軸に平行でない方向を包含することを理解されたい。また、垂直を、横方向の特別な場合と考える必要がある。
【0016】
最後に、以下の説明及び請求項では、第1、第2などの序数は、説明を明確にするためにのみ使用し、いかなる理由でも限定的であると理解するべきではなく、順序は、図示した例示的な実施形態で説明している順序とまったく同じである必要はない。
【0017】
図1から
図3は、本発明によるアンテナのいくつかの可能な実施形態を示しており、全体を参照番号100で示している。
【0018】
本発明によるアンテナ100は、少なくとも、
-アンテナ100の設置段階にて、自動車の取付面、例えば、屋根に接続するのに適した基板又は取付板1(以下、簡単にするため取付板と表記)と、
-取付板1に、例えば、実質的に水平の位置で接続するように適合された少なくとも第1のプリント回路基板PCB5と、
-少なくとも、アンテナ100の外部の装置と第1及び第2の信号をそれぞれ送受信するための全体参照番号10で示す第1の放射素子及び全体参照番号20で示す第2の放射素子と、を備える。
【0019】
特に、可能な実施形態によれば、第1のプリント回路基板5に動作的に接続された第1の放射素子10は、アナログタイプ、例えば、FM(周波数変調)モードで信号を受信/送信するように構成される。
【0020】
この実施形態によれば、第1のプリント回路基板5に動作的に接続された第2の放射素子20は、例えば、DAB(デジタルオーディオ放送)モード又は技術に従ってデジタル式信号を受信/送信するように構成される。
【0021】
取付板1は、金属材料、例えば、ザマック合金から作成され、前縁2と、後縁3と、後縁3から延びて互いに収束し、例えば、尖った形状を有する前縁2を形成する2つの側縁4と、を有する。
【0022】
実際には、そのような実施形態では、取付板1は、上又は下から平面図で見ると、全体として鉄の基板のように構成された形状を有する。
【0023】
1つの可能な実施形態では、取付板1の本体は、例えば、実質的に中央の領域、即ち、第1のプリント回路基板5が設置される領域に、上部が第1のプリント回路基板5によって区切られ、他の側面に沿って取付板1自体の輪郭壁によって区切られた区画又は収容空間を有し、その中にケーブル、さまざまな電子部品などを収容することができる。
【0024】
図1の例示的な実施形態に示すように、アンテナ100はこのほか、例えば、プラスチック材料から作成された内部が中空の成形体によって形成されたカバー40を備えており、カバー40は、組み立て中に取付板1に機械的に結合され、その空洞内に少なくとも第1のプリント回路基板5のほか、2つの放射素子10及び20を収容する。
【0025】
カバー40はこのほか、
図2及び
図3の実施形態にて使用されるが、
図2及び
図3には示していない。
【0026】
明らかに、用途に応じて、他の部品、例えば、ガスケット、信号の送受信に適した他の素子などを、カバー40の空洞によって提供される空間内に収容してもよい。例えば、GPS信号を送受信するように構成された追加の構成要素7を
図1~
図3の実施形態に示す。
【0027】
自動車の屋根又は適切な取付面への取付板1の取り付け及びカバー40の同じ取付板1への接続は、当業者に知られているか、当業者が容易に実施する方法で実施され、いずれの場合も本発明とは関連がないため、本明細書では詳細に説明しない。
【0028】
本発明のアンテナ100では、第1の放射素子10は、その第1の端部13、即ち、その下端部にて第1のプリント回路基板5に接続され、第1のプリント回路基板5自体から、第1のプリント回路基板5に実質的に直交する方向、例えば、
図1~
図3にて矢印Xで示す実質的に垂直な方向に沿って立ち上がるプリント回路基板12(以下、説明の明確化のため第2のプリント回路基板12と呼ぶ)を備えるのが有用である。
【0029】
第2のプリント回路基板12は、第1のプリント回路基板5に接続された端部16を有し、この端部16から第2のプリント回路基板12上で実質的に螺旋状又は蛇行状の経路に沿って第1の高さH1まで延びる導電性材料で作成された第1のトラック14を備える。
【0030】
そのような高さH1は、第1のプリント回路基板5の上面から、第1のプリント回路基板に実質的に直交する方向(実質的に垂直な方向X)に沿って測定される。
【0031】
例えば、第2の回路基板12と第1の回路基板5との間の接続は、1つ又は複数の脚、例えば、
図4に示すように2つの脚13A及び13Bによって実現され、この2つの脚は、第2の回路基板12自体の下部13に配置され、第1の回路基板5上に配置された(図示しない)対応する挿入口に挿入され、はんだ付けされる傾向にある。
【0032】
次に、第2の放射素子20は、プリント回路基板22(以下、説明を明確にするために第3のプリント回路基板22と呼ぶ)を備え、プリント回路基板22は、その端部23、即ち、その下端が第1のプリント回路基板5に接続され、第1のプリント回路基板5自体から、第1のプリント回路基板5に対して実質的に直交する方向、例えば、実質的に垂直な方向Xに沿って立ち上がっている。
【0033】
第3のプリント回路基板22は、第2のトラック24を備える。第2のトラック24は、導電性トラック材料で実現され、第1のプリント回路基板5に接続された端部26を有し、端部26から始まって、実質的に螺旋状又は蛇行状の経路に沿って第3のプリント回路基板22上で第2の高さH2まで延びる。
【0034】
例えば、第3の回路基板22と第1の回路基板5との間の接続は、第2の回路基板12の場合とほぼ同じ方法で実現され、例えば、第3の回路基板22自体の下部23に配置され、第1の回路基板5上に配置された(図示しない)対応する挿入口に挿入され、はんだ付けされるように適合された1つ又は複数(例えば、2つ)の脚によって実現される。
【0035】
第2の高さH2はこのほか、第1のプリント回路基板5の上面から、第1のプリント回路基板に実質的に直交する方向(実質的に垂直な方向X)に沿って測定される。
【0036】
トラック14及び24は、実質的に、それぞれの基板12及び22周りに巻かれた導電性コイルであるかのように動作する。
【0037】
特に、導電性トラック14及び24は両方とも、実質的に垂直な軸(即ち、垂直方向Xで示す軸)の周りを実質的に螺旋状又は蛇行状の経路に沿って延伸する。
【0038】
本発明のアンテナ100では、第1の放射素子10は、第1のプリント回路基板5の上面から第1のプリント回路基板に実質的に直交する方向(実質的に垂直な方向X)に測定された最大高さHを有し、第1の導電性トラック14の第1の高さH1は、第1の放射素子10の上記最大高さHの半分以下であるのが有用である。
【0039】
このようにして、第1の放射素子10に関連する信号を、第2の放射素子20に関連する信号からさらに効果的に分離することができる。
【0040】
可能な実施形態では、第1の導電性トラック14の第1の高さH1は、第2の導電性トラック24の第2の高さH2よりも低い。
【0041】
このようにして、2つの放射素子10と20との間の分離がさらに改善される。
【0042】
例えば、1つの可能な実施形態では、両方の導電性トラック14及び24は、それぞれのプリント回路基板12及び22の2つの対向する平行な面(表面積が大きい方の面)に沿って配置される、例えば、銅などの導電性材料のストリップによって作成される。
【0043】
図1~
図3にて基板12の参照番号17及び基板22の参照番号27で示す一連の適切に金属化された貫通孔は、それぞれの基板10及び20の2つの対向する面上に配置された導体ストリップのさまざまなセクションを互いに電気的に接続する。
【0044】
このように、金属化された孔17及び27とさまざまなストリップは、対応する高さH1及びH2までそれぞれの螺旋状又は蛇行状の経路に沿って連続的に延びる導電性トラック14及び24を集合的に形成する。
【0045】
都合のよいことに、可能な実施形態によれば、第1の放射素子10及び第2の放射素子20、特に、それぞれの回路基板12及び22は、取付板1の前縁2と後縁3とを結ぶ方向に沿って、実質的に互いに一列に並んで順番に配置される。
【0046】
このように、2つの異なる放射素子10及び20に入力される信号間の効果的な分離に加えて、キャップ40内の利用可能な空間も最適に利用される。
【0047】
1つの可能な実施形態では、例えば、
図2及び
図3に示すように、第1の放射素子10は、例えば、金属材料、例えば、錫メッキ鋼で作成された容量性キャップ30をさらに備え、この容量性キャップ30は、第2のプリント回路基板12の第1の端部13の反対側の第2の端部15にて第2のプリント回路基板12に接続される。
【0048】
容量性キャップ30は、導電性ストリップ14と協働し、第1の放射素子10の放射能力を最適化することができる。
【0049】
1つの可能な実施形態では、容量性キャップ30は、少なくとも中央セクション31と、中央セクション31の互いに分岐して互いに向き合う部分から延びる第1のアーム32及び第2のアーム33と、中央セクション31及び第1及び第2のアーム32、33のうちの少なくとも1つから突出する1つ又は複数の結合部分と、を備える。
【0050】
1つ又は複数の結合部分は、容量性キャップ30を第2のプリント回路基板12に機械的に接続することができるように構成され、この接続は、典型的には、溶接によって安定する。
【0051】
特に、可能な実施形態によれば、容量性キャップ30は、例えば、中央セクション31と、第1及び第2のアーム32及び33と、1つ又は複数の結合部分と、を形成するように適切に折り曲げられた、単一の金属材料から作成される。
【0052】
例えば、
図4及び
図5に示す1つの可能な実施形態では、1つ又は複数の結合部分は、第1のアーム32の一端35から第2のプリント回路基板12に向かって横方向に突出する第1のセクション36と、第1のセクション36の一端から中央セクション31に向かって横方向に突出する第2のセクション37と、第2のセクション37の一端から横方向に突出する1つ又は複数の歯38と、を備える。
【0053】
1つ又は複数の歯38、例えば、
図2の例では2つの歯38は、第2のプリント回路基板12上に画定された対応する挿入口18にそれぞれ挿入され、例えば、その中にはんだ付けされるのに適している。
【0054】
このように、例えば、
図3及び
図5に示すように、中央セクション31は、第2の回路基板12の上部15の上に間隔をあけて設置され、第1及び第2のアーム32及び33は、第2の回路基板12の両側から第1の回路基板5に向かって中央セクション31から延びる。
【0055】
別の可能な実施形態では、例えば、
図2に示すように、第2のプリント回路基板12は、その上部に凹部19を有し、この場合、容量性キャップ30は、中央セクション31を凹部19内に少なくとも部分的に位置決めすることによって、第2のプリント回路基板12に結合される。このとき、第1及び第2のアーム32、33は、中央セクション31から第2のプリント回路基板12の両側に沿って第1のプリント回路基板5に向かって延びている。
【0056】
この実施形態では、1つ又は複数の結合部分は、
図2に参照番号39で概略的に示す1つ又は複数の突起又は歯を備え、突起又は歯は、中央セクション31から突出し、それぞれが第2のプリント回路基板12に機械的に接続され、例えば、はんだ付けされるように構成される。
【0057】
実際には、図示したさまざまな実施形態では、例えば、
図1の実施形態に示すように、容量性キャップ30が使用されていない場合、第1の放射素子10の最大高さHは、プリント回路基板12によって達成される高さである。
【0058】
代わりに容量性キャップ30を使用する場合、第1の放射素子10の最大高さHは、これとは別に、例えば、
図2に示す実施形態の場合のように、容量性キャップ30がプリント回路基板12より上方に延びる部分を有していない場合には、プリント回路基板12によって達成される高さであっても、例えば、
図3に示す実施形態の場合のように、容量性キャップ30の少なくとも一部がプリント回路基板12より上方に突出している場合には、容量性キャップ30によって達成される高さであってもよい。
【0059】
さらに、例えば、スポンジ又は粘着発泡体によって形成された少なくとも1つの保護素子9を、第3の回路基板22の上部周りに設置することができる。
【0060】
このほか、そのような保護素子9を、第2のプリント回路基板12周りに直接設置すること(
図1参照)もでき、容量性キャップ30が使用される場合には、容量性キャップ30周りに設置することもできる(
図2参照)。
【0061】
明らかに、そのような保護素子9を、
図3の実施形態でも使用することができる。
【0062】
本発明によるアンテナ100は、既知の解決策と比較して、カバー40内の限られた空間を最適な方法で利用しながら、2つの放射素子10及び20に入力される信号をさらに効果的に分離することができる構造を備えているため、その意図された範囲を充分に満たすことがわかった。
【0063】
さらに、アンテナ100は、新たな車両で使用するのにも、使用中の車両に既に取り付けられているアンテナを交換するのにも適した構造を有する。
【0064】
明らかに、本発明の原理を損なうことなく、実施形態及び実施の詳細は、限定的ではない例としてのみ説明し図示したものに関して幅広く変更することができ、それによって、添付の請求項によって定義される本発明の保護範囲から逸脱することはなく、前述の実施形態の(部分的な組み合わせも含む)あらゆる可能性のある組み合わせが可能である。例えば、少なくとも1つの第1のプリント回路基板5は、2つの別個の基板を含んでもよく、そのような場合、第1の放射素子10は、2つの基板のうちの一方と動作可能に関連付けられ、第2の放射素子20は、他方の基板と動作可能に関連付けられてもよい。容量性キャップの結合部分の形状及び/又は位置決めは、変更されてもよい。
【外国語明細書】