(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024175151
(43)【公開日】2024-12-18
(54)【発明の名称】マスタ・スレーブシステム、制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/37 20160101AFI20241211BHJP
B25J 3/00 20060101ALI20241211BHJP
【FI】
A61B34/37
B25J3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178387
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】慶應義塾
(71)【出願人】
【識別番号】516331889
【氏名又は名称】モーションリブ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】大西 公平
(72)【発明者】
【氏名】溝口 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】牧 伸
(72)【発明者】
【氏名】羽生 能行
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊弘
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS35
3C707HT04
3C707JT02
3C707KS02
3C707KS03
3C707KS33
3C707KV01
3C707LV19
3C707MT01
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】マスタ・スレーブシステムにおいてスレーブの動作形態をより適切なものとする。
【解決手段】マスタ・スレーブシステム1は、マスタ装置10と、スレーブ装置20と、制御装置30と、を備える。また、制御装置30は、操作制御部353と、力触覚伝達部354と、を備える。力触覚伝達部354は、マスタ装置10に入力された操作と当該操作に応じて動作する操作対象となる機器(カテーテル)に入力された外力とに基づいて、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達制御を実行する。操作制御部353は、マスタ装置10に入力された操作に応じて、操作対象となる機器の設定された動作をスレーブ装置20に実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて操作対象となる機器を遠隔的に動作させるスレーブ装置と、を含むマスタ・スレーブシステムであって、
前記マスタ装置に入力された操作と当該操作に応じて動作する前記操作対象となる機器に入力された外力とに基づいて、前記マスタ装置と前記スレーブ装置との間で力触覚の伝達制御を実行する力触覚制御手段と、
前記マスタ装置に入力された操作に応じて、前記操作対象となる機器の設定された動作を前記スレーブ装置に実行させる操作制御手段と、
を備えることを特徴とするマスタ・スレーブシステム。
【請求項2】
前記マスタ装置に入力された操作に対して前記力触覚の伝達制御を実行する第1のモードと、前記マスタ装置に入力された操作に対して前記力触覚の伝達制御を実行することなく、前記設定された動作を実行する第2のモードと、を切り替える切り替え手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のマスタ・スレーブシステム。
【請求項3】
前記操作対象となる機器は、線状に構成された部分を有し、
前記力触覚制御手段は、前記第1のモードにおいて、前記操作対象となる機器の軸方向への進退動作及び軸周りの回転動作それぞれについて、前記力触覚の伝達制御を実行することを特徴とする請求項1または2に記載のマスタ・スレーブシステム。
【請求項4】
前記操作対象となる機器は、被検体に挿入されるカテーテルまたはガイドワイヤを備え、前記マスタ装置におけるカテーテルまたはガイドワイヤの操作に応じて、前記スレーブ装置が当該カテーテルまたはガイドワイヤを軸方向に進退または軸周りに回転させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマスタ・スレーブシステム。
【請求項5】
前記第1のモードにおいて、前記力触覚の伝達制御を実行しながら前記操作対象となる機器を軸周りに回転させる回転用アクチュエータと、
前記第2のモードにおいて、前記力触覚の伝達制御を実行することなく、前記設定された動作として前記操作対象となる機器を軸周りに回転させる回転機構と、
を備えることを特徴とする請求項3または4に記載のマスタ・スレーブシステム。
【請求項6】
前記回転機構は、前記操作対象となる機器を第1の把持部材及び第2の把持部材で挟み、前記第1の把持部材と前記第2の把持部材とを擦り合わせる動作を行うことにより、把持された前記操作対象となる機器を軸周りに回転させることを特徴とする請求項5に記載のマスタ・スレーブシステム。
【請求項7】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて操作対象となる機器を遠隔的に動作させるスレーブ装置と、を含むマスタ・スレーブシステムにおける前記マスタ装置及びスレーブ装置を制御する制御装置であって、
前記スレーブ装置が前記操作対象となる機器を把持した状態で、前記マスタ装置と前記スレーブ装置との間で力触覚の伝達制御を実行する力触覚制御手段と、
前記マスタ装置における操作に応じて、前記スレーブ装置が前記操作対象となる機器の設定された動作を実行する操作制御手段と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項8】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて操作対象となる機器を遠隔的に動作させるスレーブ装置と、を含むマスタ・スレーブシステムが実行する制御方法であって、
前記マスタ装置に入力された操作と当該操作に応じて動作する前記操作対象となる機器に入力された外力とに基づいて、前記マスタ装置と前記スレーブ装置との間で力触覚の伝達制御を実行する力触覚制御ステップと、
前記マスタ装置に入力された操作に応じて、前記操作対象となる機器の設定された動作を前記スレーブ装置に実行させる操作制御ステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて操作対象となる機器を遠隔的に動作させるスレーブ装置と、を含むマスタ・スレーブシステムにおける前記マスタ装置及びスレーブ装置を制御するコンピュータに、
前記マスタ装置に入力された操作と当該操作に応じて動作する前記操作対象となる機器に入力された外力とに基づいて、前記マスタ装置と前記スレーブ装置との間で力触覚の伝達制御を実行する力触覚制御機能と、
前記マスタ装置に入力された操作に応じて、前記操作対象となる機器の設定された動作を前記スレーブ装置に実行させる操作制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスタ・スレーブシステム、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスタスレーブマニピュレータにおいて、スレーブ装置側の動作負荷に応じた操作反力をマスタ装置側の操作具に付与する力帰還制御等のバイラテラル制御を実行する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マスタ・スレーブシステムをカテーテル等として実現した場合、スレーブを動作させる上で種々の動作形態が求められる場合がある。例えば、スレーブがカテーテルを移動させる構成とし、病変付近に到達するまで高速に長い距離を移動させたり、病変付近において正確に短い距離を移動させたりする等のケースである。
しかしながら、バイラテラル制御を実行する従来のマスタ・スレーブシステムは、マスタとスレーブとの間で正確に位置あるいは力の伝達を行うことに主眼が置かれており、スレーブを動作させる上で種々の動作形態が求められるという要求に適切に応えるものとはなっていなかった。
即ち、従来のマスタ・スレーブシステムは、スレーブの動作形態において改善の余地があった。
本発明の課題は、マスタ・スレーブシステムにおいてスレーブの動作形態をより適切なものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るマスタ・スレーブシステムは、
操作者の操作が入力されるマスタ装置と、前記マスタ装置に入力された操作に応じて操作対象となる機器を遠隔的に動作させるスレーブ装置と、を含むマスタ・スレーブシステムであって、
前記マスタ装置に入力された操作と当該操作に応じて動作する前記操作対象となる機器に入力された外力とに基づいて、前記マスタ装置と前記スレーブ装置との間で力触覚の伝達制御を実行する力触覚制御手段と、
前記マスタ装置に入力された操作に応じて、前記操作対象となる機器の設定された動作を前記スレーブ装置に実行させる操作制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、マスタ・スレーブシステムにおいてスレーブの動作形態をより適切なものとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1の全体構成を示す模式図である。
【
図2】スレーブ装置20の構成を示す模式図(斜視図)である。
【
図3】スレーブ装置20の構成を示す模式図(側面図)である。
【
図4】ロック機構22eの構成例を示す模式図である。
【
図5】ローラ間隔切替機構の構成例を示す模式図である。
【
図6】微動モードにおいて制御装置30で実行される力触覚伝達制御の基本的原理を示す模式図である。
【
図7】マスタ・スレーブシステム1における制御系統のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】制御装置30を構成する情報処理装置のハードウェア構成を示す模式図である。
【
図9】マスタ・スレーブシステム1の機能的構成を示すブロック図である。
【
図10】制御装置30が実行する操作制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図11】制御装置30が実行する力触覚伝達処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1の全体構成を示す模式図である。
【
図13】スレーブ装置20の構成を示す模式図(斜視図)である。
【
図14】スレーブ装置20の構成を示す模式図(側面図)である。
【
図15】把持・擦り合わせ部23dの構成例を示す模式図である。
【
図16】第2実施形態のマスタ・スレーブシステム1における制御系統のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図17】制御装置30が実行する操作制御処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図18】制御装置30が実行する力触覚伝達処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図19】微動実行部22の他の構成例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
[第1実施形態]
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1は、機械的に分離したマスタ装置10とスレーブ装置20とを含んで構成される。一例として、本実施形態におけるマスタ・スレーブシステム1は、マスタ装置10がユーザにより操作されるマニピュレータ(操作部)の機能を備え、スレーブ装置20が被検体に挿入されるエンドエフェクタを備えたカテーテルシステムを構成するものとする。
【0010】
図1において、マスタ・スレーブシステム1は、マスタ装置10と、スレーブ装置20と、制御装置30と、を含んで構成され、マスタ装置10及びスレーブ装置20と、制御装置30とは、ネットワーク40を介して有線または無線通信可能に構成されている。なお、マスタ・スレーブシステム1は、ディスプレイLと、複数のカメラCとを適宜備えることが可能である。カメラCとして、スレーブ装置20が挿入される被検体の外観を撮影するビデオカメラ、あるいは、X線により被検体の内部を撮影するX線カメラ等の種々の撮影装置を用いることができる。また、複数のカメラCによって各種画像を撮影し、これらの画像を表示する複数のディスプレイLを備えることもできる。
また、マスタ・スレーブシステム1は、エンドエフェクタ及びカテーテルシースを備えるカテーテルTを高速に長い距離移動させるための粗動モードと、エンドエフェクタ及びカテーテルシース(カテーテルT)を正確に短い距離移動させるための微動モードとを実行可能であり、微動モードにおいて、マスタ・スレーブ間で力触覚の伝達を行う。
【0011】
マスタ装置10は、粗動モードと微動モードとを切り替える粗動・微動スイッチ11と、粗動モードにおいて直進動作の操作を行うための操作レバー12と、微動モード及び粗動モードにおける回転動作の操作と微動モードにおける直進動作の操作とを行うためのマニピュレータ13と、を備えている。なお、本実施形態において、粗動モードではカテーテルTの直進動作が実行され、微動モードではカテーテルTの直進動作及び回転動作が実行される。
粗動・微動スイッチ11において設定された信号は、制御装置30に送信される。
即ち、粗動・微動スイッチ11切り替えにより、マスタ・スレーブシステム1は、カテーテルTの回転動作、粗動時の直進動作、微動時の直進動作のいずれかを行う状態に設定される。
【0012】
操作レバー12は、粗動モードにおいて、スレーブ装置20を制御するための操作を受け付ける。本実施形態において、操作レバー12を奥に移動させるとカテーテルTを直進(挿入)させる動作、操作レバー12を手前に移動させるとカテーテルTを後退(引き戻し)させる動作がスレーブ装置20において実行される。なお、操作レバー12に入力された操作の内容(操作レバー12の位置)はセンサによって検出され、検出された操作の内容を示す信号は、制御装置30に送信される。
【0013】
マニピュレータ13は、機械的に構成された従来のカテーテルの操作部と同様の形態を有し、微動モードにおいて、機械的に構成された従来のカテーテルに対する操作と同様の操作を受け付ける。マニピュレータ13に対する操作が行われると、マニピュレータ13の操作により移動する可動部(マニピュレータ13の可動部材等)の位置がセンサによって検出され、検出された位置を示す信号は、制御装置30に送信される。また、マニピュレータ13に入力される操作に対して、制御装置30の指示に従って、アクチュエータにより反力が出力される。
【0014】
具体的には、マニピュレータ13は、カテーテルTを正確に短い距離移動させる操作(例えば、病変付近で力触覚を伝達する操作等)、カテーテルTを軸回りに回転させる操作(例えば、エンドエフェクタの向きを変化させる操作等)、及び、エンドエフェクタを動作させる操作(例えば、エンドエフェクタがバルーンである場合、これを拡張、収縮させる操作、またエンドエフェクタが鉗子等の場合、これを開閉する操作等)を受け付け、これらの操作に対する反力を付与すると共に、それぞれの操作により移動される可動部の位置を表す情報を検出して制御装置30に送信する。
【0015】
スレーブ装置20は、制御装置30の指示に従って、アクチュエータを駆動することにより、マスタ装置10に入力された操作に対応する動作を行い、動作により移動する可動部(アクチュエータの可動子あるいはアクチュエータによって移動されるカテーテルT等)の位置を検出する。スレーブ装置20が動作することにより、スレーブ装置20に対して環境から各種外力が入力する。この結果、スレーブ装置20における可動部の位置は、アクチュエータの出力に対して各種外力が作用した結果を示すものとなる。そして、スレーブ装置20は、検出した可動部の位置を表す情報を制御装置30に送信する。
【0016】
図2及び
図3は、スレーブ装置20の構成を示す模式図であり、
図2は、スレーブ装置20の構成を示す斜視図、
図3は、スレーブ装置20の構成を示す側面図である。
図2及び
図3に示すように、スレーブ装置20は、支持体21と、微動実行部22と、粗動実行部23と、を備えている。
支持体21は、スレーブ装置20全体を支持する部材であり、スレーブ装置20の各部が配置される底部21aと、カテーテルTが患者に向けて送出される側の一端(前端)に形成された側壁21bと、側壁21bと反対側の一端(後端)に形成された収容部21cと、を備えている。なお、側壁21bには、カテーテルTを挿通する貫通穴が形成されている。また、収容部21cは、内部に部品を収容可能な空間を有し、後述する粗動時直進用アクチュエータ23a及びローラ間隔切替用アクチュエータ23cを収容している。
【0017】
微動実行部22は、微動モードにおいて、カテーテルTの力触覚を伝達しながらカテーテルTを移動させる機構を構成している。具体的には、微動実行部22は、直動軸22aと、微動時直進用アクチュエータ22bと、支持板22cと、ロック用アクチュエータ22dと、ロック機構22eと、ケース22fと、微動時回転用アクチュエータ22gと、を備えている。
【0018】
直動軸22aは、微動時直進用アクチュエータ22bの直動を案内する部材であり、支持体21の側壁21bと収容部21cとの間に設置される。本実施形態において、直動軸22aは、シャフトモータとして構成される微動時直進用アクチュエータ22bのシャフトとして機能し、直動軸22a内部には、円筒型の永久磁石が、N極同士、S極同士を接合された状態で連続的に配置されている。なお、本実施形態において、直動軸22aは、底部21aに固定されたフレーム内に設置されている。
微動時直進用アクチュエータ22bは、例えばシャフトモータによって構成され、制御装置30の指示に従って、直動軸22a(シャフト)に沿って、可動コイルを備えた移動子(スライダ)を移動させる。なお、微動時直進用アクチュエータ22bの可動部の位置は、リニアエンコーダ207によって検出され、検出された位置を示す信号は、制御装置30に送信される。
【0019】
支持板22cは、微動時直進用アクチュエータ22bの移動子の上面に起立して固定された板状部材であり、ロック用アクチュエータ22d及びロック機構22eが収容されたケース22fの一端を回転可能に支持する。
ロック用アクチュエータ22dは、例えば直動型モータによって構成され、微動モードに設定された場合に、制御装置30の指示に従って、カテーテルTがロックされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持した状態)となるようにロック機構22eを切り替える。また、ロック用アクチュエータ22dは、粗動モードに設定された場合、制御装置30の指示に従って、カテーテルTがリリースされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持していない状態)となるようにロック機構22eを切り替える。
【0020】
ロック機構22eは、ロック用アクチュエータ22dの動作に従って、カテーテルTをロックした状態と、カテーテルTをリリースした状態とを切り替える。
図4は、ロック機構22eの構成例を示す模式図である。
図4に示すように、ロック機構22eは、楔状部材Wと、受け部材Rとを備えている。
楔状部材Wは、ロッドW1の先端に円錐部W2を備えており、円錐部W2は、半径方向に形成された空隙によって複数の部分に分割されている。また、楔状部材Wは、ロッドW1及び円錐部W2の中心にカテーテルTを挿通する貫通穴を有している。また、受け部材Rは、楔状部材Wの円錐部W2に対応する形状の凹部を有し、凹部の中央には貫通穴が形成されている。ロック用アクチュエータ22dがカテーテルTをロックした状態とする場合、楔状部材Wが受け部材Rに押し付けられた状態となる。すると、楔状部材Wの円錐部W2が受け部材Rの凹部の内周面に押圧され、空隙の間隔が狭まることにより径が縮小する方向に変形し、挿通されているカテーテルTを挟み込む作用が生じる。カテーテルTを挟み込む作用により、ロック機構22eにおいてカテーテルTがロックされた状態(微動実行部22がカテーテルTを把持した状態)となる。
なお、ロック用アクチュエータ22dがカテーテルTをリリースした状態とする場合、楔状部材Wを受け部材Rから離間させ、円錐部W2がカテーテルTを挟み込む作用を与えない状態とされる。
【0021】
ケース22fは、ロック用アクチュエータ22d及びロック機構22eが内部に設置されるケースである。ケース22fは、微動時回転用アクチュエータ22gの出力軸に連結され、微動時の回転動作が行われる場合、ケース22f全体がカテーテルTを把持した状態で、微動時回転用アクチュエータ22gの出力軸と共に回転する。
微動時回転用アクチュエータ22gは、例えば回転型モータによって構成され、微動モードにおいて、制御装置30の指示に従って、出力軸を回転させる。なお、微動時回転用アクチュエータ22gの可動部の位置(回転角度)は、ロータリーエンコーダ204によって検出され、検出された位置(回転角度)を示す信号は、制御装置30に送信される。
【0022】
図2及び
図3に戻り、粗動実行部23は、粗動時直進用アクチュエータ23aと、1対のローラ23bと、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cと、を備えている。
粗動時直進用アクチュエータ23aは、例えば回転型モータによって構成され、粗動モードにおいて、制御装置30の指示に従って、1対のローラ23bを回転させる。これにより、粗動モードにおいて、カテーテルTが力触覚の伝達を伴わない動作で、高速に長い距離を移動することが可能となる。
【0023】
1対のローラ23bは、互いの外周面を接触させた状態または微小な間隔(カテーテルTの直径より小さい間隔)を空けた状態(カテーテルTを挟持した状態)と、互いの外周面をカテーテルTの直径よりも大きく離間した状態(カテーテルTをリリースした状態)とを切り替え可能に構成されている。また、1対のローラ23bは、カテーテルTを挟持した状態に切り替えられた場合に、各ローラ23bそれぞれの回転軸に設置されたギアG2が粗動時直進用アクチュエータ23aの回転軸に設置されたギアG1と噛み合う位置に配置される(
図5参照)。即ち、1対のローラ23bは、カテーテルTを挟持した状態において、粗動時直進用アクチュエータ23aの回転軸が一方向に回転するとカテーテルTを送出し、粗動時直進用アクチュエータ23aの回転軸が逆方向に回転するとカテーテルTを引き戻す動作を実行する。なお、1対のローラ23bの回転軸間の間隔を切り替える機構(以下、「ローラ間隔切替機構」と称する。)の具体例については後述する。
【0024】
ローラ間隔切替用アクチュエータ23cは、例えば直動型モータによって構成され、ローラ間隔切替機構を動作させることにより、1対のローラ23bの回転軸間の距離を変化させて、カテーテルTを挟持した状態とカテーテルTをリリースした状態とを切り替える。
図5は、ローラ間隔切替機構の構成例を示す模式図である。
図5に示すように、ローラ間隔切替機構は、等長の4つのリンクからなる平行リンクPを有し、平行リンクPの対角に位置する節に1対のローラ23bの回転軸がそれぞれ保持されている。また、平行リンクPの他の1つの節には、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cの出力軸が連結されている。なお、各ローラ23bの回転軸は、収容部21cの上面に形成された直動を案内する貫通穴に沿って移動可能となっている。
【0025】
このような構成により、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cが出力軸を進退させると、平行リンクPの連結角度が変化し、各ローラ23bの回転軸を保持する節が互いに近接する方向または互いに離間する方向に移動する。即ち、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cが1対のローラ23bの回転軸を近接させ、各ローラ23bそれぞれの回転軸に設置されたギアG2が粗動時直進用アクチュエータ23aの回転軸に設置されたギアG1と噛み合う状態とすることで、1対のローラ23bがカテーテルTを挟持し、粗動時の直進動作を実行することが可能となる。また、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cが1対のローラ23bの回転軸を離間させ、1対のローラ23bの外周面をカテーテルTの直径よりも大きく離間させた状態とすることで、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースし、微動モードあるいは粗動時の回転動作を実行することが可能となる。
【0026】
図1に戻り、制御装置30は、例えば、パーソナルコンピュータあるいはサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、マスタ装置10、スレーブ装置20、ディスプレイL及びカメラCを制御する。例えば、制御装置30は、微動モードにおいて、マスタ装置10及びスレーブ装置20の可動部の位置(ロータリーエンコーダによって検出されるアクチュエータの回転角度あるいはリニアエンコーダによって検出される可動部の進退位置等)を取得し、マスタ装置10及びスレーブ装置20の間で力触覚を伝達するための制御を実行する。また、制御装置30は、粗動モードにおいて、マスタ装置10における操作レバー12の操作の内容を取得し、操作レバー12の操作の内容に応じた動作をスレーブ装置20の粗動実行部23に実行させる。
【0027】
本実施形態における制御装置30は、微動モードにおいて、マスタ装置10とスレーブ装置20とをマスタ・スレーブシステムとして動作させる際に、可動部の位置を表す情報(アクチュエータの可動子の位置あるいはアクチュエータによって移動される部材の位置等を表す情報)を基に算出した実空間のパラメータ(入力ベクトル)を、位置と力とを独立して取り扱うことが可能な仮想空間に座標変換(変換行列によって変換)する。即ち、入力ベクトルが、位置と力とが互いに関連する斜交座標系の実空間から、位置と力とが互いに独立した直交座標系の仮想空間に座標変換される。座標変換によって算出されたパラメータは、仮想空間において、入力ベクトルに対応する位置及び力の状態値を表すものとなる。そして、制御装置30は、座標変換後の仮想空間において、入力ベクトルから算出された位置及び力の状態値を、位置及び力の制御(ここでは力触覚の伝達)を行うための位置及び力それぞれの目標値に追従させる演算を行い、演算結果を実空間に戻すための逆変換(変換行列の逆行列による変換)を行う。さらに、制御装置30は、逆変換によって取得された実空間のパラメータ(電流指令値等)に基づいて、各アクチュエータを駆動することにより、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚を伝達するマスタ・スレーブシステムを実現する。
【0028】
なお、位置と速度(または加速度)あるいは角度と角速度(または角加速度)は、微積分演算により置換可能なパラメータであるため、位置あるいは角度に関する処理を行う場合、適宜、速度あるいは角速度等に置換することが可能である。
【0029】
図6は、微動モードにおいて制御装置30で実行される力触覚伝達制御の基本的原理を示す模式図である。
図6に示す基本的原理は、可動部の位置を表す情報(可動部の現在位置)を入力として、速度あるいは力の少なくとも一方の領域における演算を行うことにより、アクチュエータの動作を決定するものである。
即ち、本発明の基本的原理は、制御対象システムSと、機能別力・速度割当変換ブロックFTと、理想力源ブロックFCあるいは理想速度源ブロックPCの少なくとも1つと、逆変換ブロックIFTとを含む制御則として表される。
【0030】
制御対象システムSは、アクチュエータを備えるマスタ装置10あるいはスレーブ装置20であり、加速度等に基づいてアクチュエータの制御を行う。ここで、上述したように、加速度、速度及び位置(あるいは角加速度、角速度及び角度)は、微積分によって相互に換算可能な物理量であるため、加速度、速度及び位置(あるいは角加速度、角速度及び角度)のいずれを用いて制御することとしてもよい。ここでは、主として、位置から算出される速度を用いて制御則を表現するものとする。
【0031】
機能別力・速度割当変換ブロックFTは、制御対象システムSの機能に応じて設定される速度及び力の領域への制御エネルギーの変換を定義するブロックである。具体的には、機能別力・速度割当変換ブロックFTでは、制御対象システムSの機能の基準となる値(基準値)と、可動部の現在位置とを入力とする座標変換が定義されている。この座標変換は、一般に、基準値及び現在速度を要素とする入力ベクトルを速度の制御目標値を算出するための速度からなる出力ベクトルに変換すると共に、基準値及び現在の力を要素とする入力ベクトルを力の制御目標値を算出するための力からなる出力ベクトルに変換するものである。具体的には、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、次式(1)及び(2)のように一般化して表される。
【0032】
【0033】
ただし、式(1)において、x’1~x’n(nは1以上の整数)は速度の状態値を導出するための速度ベクトルであり、x’a~x’m(mは1以上の整数)は、基準値及びアクチュエータの作用に基づく速度(アクチュエータの可動子の速度またはアクチュエータが移動させる部材の速度)を要素とするベクトル、h1a~hnmは機能を表す変換行列の要素である。また、式(2)において、f’’1~f’’n(nは1以上の整数)は力の状態値を導出するための力ベクトルであり、f’’a~f’’m(mは1以上の整数)は、基準値及びアクチュエータの作用に基づく力(アクチュエータの可動子の力またはアクチュエータが移動させる部材の力)を要素とするベクトルである。
【0034】
機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換を、実現する機能に応じて設定することにより、各種動作を実現したり、スケーリングを行ったりすることができる。
即ち、本発明の基本的原理では、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて、アクチュエータ単体の変数(実空間上の変数)を、実現する機能を表現するシステム全体の変数群(仮想空間上の変数)に“変換”し、速度の制御エネルギーと力の制御エネルギーとに制御エネルギーを割り当てる。換言すると、本発明の基本的原理では、速度と力とが互いに関連する座標空間から、速度と力とが互いに独立した座標空間に変換した上で、速度及び力の制御に関する演算を行う。そのため、アクチュエータ単体の変数(実空間上の変数)のまま制御を行う場合と比較して、速度の制御エネルギーと力の制御エネルギーとを独立に与えることが可能となっている。
【0035】
理想力源ブロックFCは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に従って、力の領域における演算を行うブロックである。理想力源ブロックFCにおいては、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に基づく演算を行う際の力に関する目標値が設定されている。この目標値は、実現される機能に応じて固定値または可変値として設定される。例えば、基準値が示す機能と同様の機能を実現する場合には、目標値としてゼロを設定したり、スケーリングを行う場合には、実現する機能を示す情報を拡大・縮小した値を設定したりできる。
【0036】
理想速度源ブロックPCは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に従って、速度の領域における演算を行うブロックである。理想速度源ブロックPCにおいては、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された座標変換に基づく演算を行う際の速度に関する目標値が設定されている。この目標値は、実現される機能に応じて固定値または可変値として設定される。例えば、基準値が示す機能と同様の機能を実現する場合には、目標値としてゼロを設定したり、スケーリングを行う場合には、実現する機能を示す情報を拡大・縮小した値を設定したりできる。
【0037】
逆変換ブロックIFTは、速度及び力の領域の値を制御対象システムSへの入力の領域の値(例えば電圧値または電流値等)に変換するブロックである。
このような基本的原理により、制御対象システムSのアクチュエータにおける位置の情報が機能別力・速度割当変換ブロックFTに入力されると、位置の情報に基づいて得られる速度及び力の情報を用いて、機能別力・速度割当変換ブロックFTにおいて、機能に応じた位置及び力の領域それぞれの制御則が適用される。そして、理想力源ブロックFCにおいて、機能に応じた力の演算が行われ、理想速度源ブロックPCにおいて、機能に応じた速度の演算が行われ、力及び速度それぞれに制御エネルギーが分配される。
【0038】
理想力源ブロックFC及び理想速度源ブロックPCにおける演算結果は、制御対象システムSの制御目標を示す情報となり、これらの演算結果が逆変換ブロックIFTにおいてアクチュエータの入力値とされて、制御対象システムSに入力される。
その結果、制御対象システムSのアクチュエータは、機能別力・速度割当変換ブロックFTによって定義された機能に従う動作を実行し、目的とする装置の動作が実現される。
【0039】
また、スケーリング(力あるいは位置の増幅)を伴う力触覚伝達機能が実現される場合、
図6における機能別力・速度割当変換ブロックFTにおける座標変換は、次式(3)及び(4)として表される。
【0040】
【0041】
ただし、式(3)において、x’pは速度の状態値を導出するための速度、x’fは力の状態値に関する速度である。また、x’mは基準値(マスタ装置10からの入力)の速度(マスタ装置10の現在位置の微分値)、x’sはスレーブ装置20の現在の速度(現在位置の微分値)である。また、式(4)において、fpは速度の状態値に関する力、ffは力の状態値を導出するための力である。また、fmは基準値(マスタ装置10からの入力)の力、fsはスレーブ装置20の現在の力である。
【0042】
式(3)及び式(4)に示す座標変換とした場合、スレーブ装置20の位置がα倍(αは正数)、スレーブ装置20の力がβ倍(βは正数)されて、マスタ装置10に伝達されることとなる。スレーブ装置20からマスタ装置10に伝達される力のみを増幅する場合には、α=1とすると共に、βの値を目的に応じて設定すればよい。
【0043】
[ハードウェア構成]
次に、マスタ・スレーブシステム1における制御系統のハードウェア構成について説明する。
図7は、マスタ・スレーブシステム1における制御系統のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0044】
図7に示すように、マスタ・スレーブシステム1は、制御系統のハードウェア構成として、パーソナルコンピュータあるいはサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成される制御装置30と、マスタ装置10の制御ユニット101と、通信ユニット102と、粗動・微動スイッチ11と、操作レバーセンサ103と、回転用アクチュエータ104と、直進用アクチュエータ105と、リニアエンコーダ106と、ロータリーエンコーダ107と、ドライバ108,109と、スレーブ装置20の制御ユニット201と、通信ユニット202と、微動時直進用アクチュエータ22bと、ロック用アクチュエータ22dと、微動時回転用アクチュエータ22gと、粗動時直進用アクチュエータ23aと、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cと、リニアエンコーダ203と、ロータリーエンコーダ204,205と、ドライバ206~210と、ディスプレイLと、カメラCと、を備えている。
【0045】
マスタ装置10の制御ユニット101は、プロセッサ及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータによって構成され、マスタ装置10の動作を制御する。例えば、制御ユニット101は、制御装置30から送信される制御パラメータに従って、マスタ装置10の粗動・微動スイッチ11、直進・回転スイッチ14、回転用アクチュエータ104及び直進用アクチュエータ105の駆動を制御する。
通信ユニット102は、ネットワーク40を介してマスタ装置10が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0046】
粗動・微動スイッチ11は、粗動モードと微動モードとを切り替えるスイッチであり、設定された粗動モード及び微動モードのいずれかを示す信号は制御ユニット101に入力される。
操作レバーセンサ103は、操作レバー12に入力された操作の内容(操作レバー12の位置)を検出し、検出した操作の内容を示す信号を制御ユニット101に出力する。
【0047】
回転用アクチュエータ104は、例えば回転型モータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がマスタ装置10を進退方向に沿う回転軸周りに回転させる操作に対して、反力を付与する。
直進用アクチュエータ105は、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がエンドエフェクタを動作させるためのレバー(把持部)等に入力した操作に対して、反力を付与する。
【0048】
リニアエンコーダ106は、直進用アクチュエータの可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
ロータリーエンコーダ109は、回転用アクチュエータ104の可動子の位置(回転角度)を検出する。
【0049】
ドライバ108は、制御ユニット101の指示に従って、回転用アクチュエータ104に駆動電流を出力する。
ドライバ109は、制御ユニット101の指示に従って、直進用アクチュエータ105に駆動電流を出力する。
【0050】
スレーブ装置20の制御ユニット201は、プロセッサ及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータによって構成され、スレーブ装置20の動作を制御する。例えば、制御ユニット201は、制御装置30から送信される制御パラメータに従って、スレーブ装置20の微動時直進用アクチュエータ22b、ロック用アクチュエータ22d、微動時回転用アクチュエータ22g、粗動時直進用アクチュエータ23a、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cの駆動を制御する。
通信ユニット202は、ネットワーク40を介してスレーブ装置20が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0051】
微動時直進用アクチュエータ22bは、例えば直動型モータによって構成され、微動モードにおいて、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した、カテーテルTを血管内に挿入していくために進退させる操作に応じて、スレーブ装置20のカテーテルTを進退させる。
ロック用アクチュエータ22dは、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、微動モードにおいては、カテーテルTがロックされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持した状態)となるようにロック機構22eを切り替える。また、ロック用アクチュエータ22dは、制御ユニット201の指示に従って、粗動モードにおいては、カテーテルTがリリースされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持していない状態)となるようにロック機構22eを切り替える。
微動時回転用アクチュエータ22gは、例えば回転型モータによって構成され、微動モードにおいて、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した操作に応じて、スレーブ装置20のカテーテルTを進退方向に沿う回転軸周りに回転させる。
【0052】
粗動時直進用アクチュエータ23aは、例えば回転型モータによって構成され、粗動モードにおいて、制御ユニット201の指示に従って、操作者が操作レバー12に入力した操作に応じて、1対のローラ23bを回転させる。これにより、粗動モードにおいて、カテーテルTが力触覚の伝達を伴わない動作で、高速に長い距離を移動することが可能となる。
【0053】
ローラ間隔切替用アクチュエータ23cは、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、粗動モードにおいて直進動作が行われる場合に、1対のローラ22bが、互いの外周面を接触させた状態または微小な間隔(カテーテルTの直径より小さい間隔)を空けた状態(カテーテルTを挟持した状態)となるようにローラ間隔切替機構を制御する。また、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cは、粗動モードにおいて回転動作が行われる場合、及び、微動モードにおいて、1対のローラ22bが、互いの外周面をカテーテルTの直径よりも大きく離間した状態(カテーテルTをリリースした状態)となるようにローラ間隔切替機構を制御する。即ち、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cは、粗動モードにおいて直進動作が行われる場合にのみ、1対のローラ23bがカテーテルTを挟持する状態とし、それ以外においてはカテーテルTをリリースした状態とする。
【0054】
リニアエンコーダ203は、微動時直進用アクチュエータ22bの可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
ロータリーエンコーダ204は、微動時回転用アクチュエータ22gの可動子の位置(回転角度)を検出する。
ロータリーエンコーダ205は、粗動時直進用アクチュエータ23aの可動子の位置(回転角度)を検出する。
ロータリーエンコーダ212は、昇降用アクチュエータ234dの可動子の位置(回転角度)を検出する。
【0055】
ドライバ206は、制御ユニット201の指示に従って、微動時直進用アクチュエータ22bに駆動電流を出力する。
ドライバ207は、制御ユニット201の指示に従って、ロック用アクチュエータ22dに駆動電流を出力する。
ドライバ208は、制御ユニット201の指示に従って、微動時回転用アクチュエータ22gに駆動電流を出力する。
【0056】
ドライバ209は、制御ユニット201の指示に従って、粗動時直進用アクチュエータ23aに駆動電流を出力する。
ドライバ210は、制御ユニット201の指示に従って、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cに駆動電流を出力する。
【0057】
ディスプレイLは、マスタ装置10の操作者が画面を視認できる場所に設置され、制御装置30によって表示を指示された画像(カメラCによって撮影された被検体の可視光画像あるいはX線画像等)を表示する。
カメラCは、スレーブ装置20がカテーテルTを挿入する被検体を撮影可能な場所に設置され、被検体の画像(可視光画像あるいはX線画像等)を撮影し、撮影した画像を制御装置30に送信する。
【0058】
図8は、制御装置30を構成する情報処理装置のハードウェア構成を示す模式図である。
図8に示すように、制御装置30は、プロセッサ311と、ROM(Read Only Memory)312と、RAM(Random Access Memory)313と、バス314と、入力部315と、出力部316と、記憶部317と、通信部318と、ドライブ319と、を備えている。
【0059】
プロセッサ311は、ROM312に記録されているプログラム、または、記憶部317からRAM313にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM313には、プロセッサ311が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0060】
プロセッサ311、ROM312及びRAM313は、バス314を介して相互に接続されている。バス314には、入力部315、出力部316、記憶部317、通信部318及びドライブ319が接続されている。
【0061】
入力部315は、各種ボタン等で構成され、指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部316は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
なお、制御装置30がスマートフォンやタブレット端末として構成される場合には、入力部315と出力部316のディスプレイとを重ねて配置し、タッチパネルを構成することとしてもよい。
記憶部317は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部318は、ネットワークを介して制御装置30が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0062】
ドライブ319には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア331が適宜装着される。ドライブ319によってリムーバブルメディア331から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部317にインストールされる。
【0063】
[機能的構成]
次に、マスタ・スレーブシステム1の機能的構成について説明する。
図9は、マスタ・スレーブシステム1の機能的構成を示すブロック図である。
図9に示すように、マスタ・スレーブシステム1では、制御装置30が各種処理を実行することにより、プロセッサ311において、モード設定部351と、センサ情報取得部352と、操作制御部353と、力触覚伝達部354と、が機能する。また、記憶部317には、制御パラメータ記憶部371が形成される。
制御パラメータ記憶部371は、制御装置30がマスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚を伝達する制御(微動モードの制御)またはマスタ装置10からスレーブ装置20を操作レバー12で操作する制御(粗動モードの制御)において取得された制御パラメータを時系列に記憶する。即ち、制御パラメータ記憶部371には、マスタ・スレーブシステム1の動作の履歴データが記憶される。
【0064】
モード設定部351は、操作者の操作に応じて、粗動モードと微動モードとを切り替える。具体的には、モード設定部351は、粗動・微動スイッチ11が微動モードに設定されている場合、マスタ・スレーブシステム1を微動モードに切り替え、粗動・微動スイッチ11が粗動モードに設定されている場合、マスタ・スレーブシステム1を粗動モードに切り替える。
【0065】
センサ情報取得部352は、マスタ装置10及びスレーブ装置20に設置された各種センサによって検出された情報(センサ情報)を取得する。例えば、センサ情報取得部302は、リニアエンコーダ106,203及びロータリーエンコーダ107,204,205によって検出された各アクチュエータの可動子の位置(進退位置または回転角度)を示す情報を取得する。また、センサ情報取得部352は、取得したセンサ情報を時系列のデータとして、制御パラメータ記憶部371に記憶する。
【0066】
操作制御部353は、マスタ装置10における粗動・微動スイッチ11及び操作レバー12に入力された操作に応じて、スレーブ装置20を制御する。
具体的には、操作制御部353は、粗動・微動スイッチ11が粗動モードに設定されている場合、ロック用アクチュエータ22dを非ロック状態(カテーテルTをリリースした状態)に制御すると共に、1対のローラ23bがカテーテルTを挟持する状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
【0067】
また、操作制御部353は、粗動・微動スイッチ11が微動モードに設定されている場合、ロック用アクチュエータ22dをロック状態(カテーテルTを把持した状態)に制御すると共に、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
【0068】
また、操作制御部353は、粗動モードにおいて、マスタ装置10の操作レバー12に入力された操作の内容に応じて、スレーブ装置20のアクチュエータを制御する。
具体的には、操作制御部353は、操作レバー12が奥に移動された場合、粗動時直進用アクチュエータ23aを一方向に回転させてカテーテルTを直進(挿入)させ、操作レバー12が手前に移動された場合、粗動時直進用アクチュエータ23aを逆方向に回転させてカテーテルTを後退(引き戻し)させる。
【0069】
力触覚伝達部354は、微動モードにおいて、
図6に示す制御アルゴリズムに従って、マスタ装置10及びスレーブ装置20における力触覚の伝達を制御する。例えば、力触覚伝達部354は、力触覚伝達処理において、マスタ装置10及びスレーブ装置20の対応する動作のためのアクチュエータ間で力触覚を伝達する制御を実行する。このとき、力触覚伝達部354は、増幅率の設定を受け付け、設定された増幅率で、スレーブ装置20において検出された外力あるいは位置等を増幅してマスタ装置10に伝達することとしてもよい。
【0070】
[動作]
次に、マスタ・スレーブシステム1の動作を説明する。
【0071】
[操作制御処理]
図10は、制御装置30が実行する操作制御処理の流れを説明するフローチャートである。
操作制御処理は、入力部315あるいは通信部318を介して操作制御処理の実行が指示されることに対応して開始される。
【0072】
ステップS1において、操作制御部353は、粗動モードまたは微動モードのいずれに設定されているかの判定を行う。
粗動モードに設定されていると判定された場合、ステップS1の後、処理はステップS2に移行する。
一方、微動モードに設定されていると判定された場合、ステップS1の後、処理はステップS5に移行する。
【0073】
ステップS2において、操作制御部353は、ロック機構22eが非ロック状態(カテーテルTをリリースした状態)となるようにロック用アクチュエータ22dを制御する。
ステップS3において、操作制御部353は、1対のローラ23bがカテーテルTを挟持した状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
ステップS4において、操作制御部353は、マスタ装置10に対する操作の内容に応じてカテーテルTを進退させる。
ステップS5において、後述する力触覚伝達処理が実行される。
ステップS4及びステップS5の後、操作制御処理が繰り返される。
【0074】
[力触覚伝達処理]
次に、操作制御処理のステップS5において実行される力触覚伝達処理について説明する。
図11は、制御装置30が実行する力触覚伝達処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS11において、操作制御部353は、直進動作または回転動作のいずれに設定されているかの判定を行う。
直進動作に設定されていると判定された場合、ステップS11の後、処理はステップS12に移行する。
一方、回転動作に設定されていると判定された場合、ステップS11の後、処理はステップS15に移行する。
【0075】
ステップS12において、操作制御部353は、ロック機構22eがロック状態(カテーテルTを把持した状態)となるようにロック用アクチュエータ22dを制御する。
ステップS13において、操作制御部353は、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
ステップS14において、力触覚伝達部354は、微動時直進用アクチュエータ22bの制御を開始する。
ステップS14の後、処理はステップS18に移行する。
【0076】
ステップS15において、操作制御部353は、ロック機構22eがロック状態(カテーテルTを把持した状態)となるようにロック用アクチュエータ22dを制御する。
ステップS16において、操作制御部353は、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
ステップS17において、力触覚伝達部354は、微動時回転用アクチュエータ22bの制御を開始する。
ステップS18において、センサ情報取得部352は、マスタ装置10及びスレーブ装置20に設置された各種センサによって検出された情報(センサ情報)を取得する。ステップS18において取得されたセンサ情報は、時系列のデータとして制御パラメータ記憶部371に記憶される。
ステップS19において、力触覚伝達部354は、取得されたセンサ情報を入力として座標変換(例えば、式(1)及び(2)参照)を行い、力触覚の伝達制御(直進または回転)を実行する。
【0077】
ステップS20において、操作制御部353は、直進動作及び回転動作の切り替えが行われたか否かの判定を行う。
直進動作及び回転動作の切り替えが行われていない場合、ステップS20においてNOと判定されて、処理はステップS21に移行する。
一方、直進動作及び回転動作の切り替えが行われた場合、ステップS20においてYESと判定されて、処理はステップS11に移行する。
【0078】
ステップS21において、操作制御部353は、微動モードの終了が指示されたか否か(即ち、粗動モードへの切り替え操作が行われたか否か)の判定を行う。
微動モードの終了が指示されていない場合、ステップS21において、NOと判定されて、処理はステップS18に移行する。
一方、微動モードの終了が指示された場合、ステップS21において、YESと判定されて、処理は操作制御処理に戻る。
【0079】
以上のように、本実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1は、カテーテルTとマスタ装置10との間で力触覚を伝達しながら、カテーテルTを正確に短い距離移動させる微動モードと、カテーテルTとマスタ装置10との間で力触覚を伝達することなく、カテーテルTを高速に長い距離移動させる粗動モードとを実行可能である。そして、マスタ・スレーブシステム1が粗動モードに設定された場合、マスタ装置10の操作レバー12に対する操作に応じて、スレーブ装置20は、カテーテルTを高速に長い距離移動させる。また、マスタ・スレーブシステム1が微動モードに設定された場合、マスタ装置10のマニピュレータ13に対する操作に応じて、スレーブ装置20は、マスタ装置10に入力された操作の力触覚をカテーテルTに伝達すると共に、カテーテルTに入力した力触覚をマスタ装置10に伝達して、カテーテルTを正確に短い距離移動させる。
これにより、マスタ・スレーブシステム1においてスレーブ装置20を移動させる動作形態をより適切なものとすることができる。
【0080】
また、マスタ・スレーブシステム1は、カテーテルTを軸周りに回転させる微動時回転用アクチュエータ22gを備えている。
これにより、カテーテルTの微動時において、力触覚の伝達を行いながら、カテーテルTを回転させることができる。
したがって、カテーテルTを被検体の体内に挿入する際に、カテーテルTをより柔軟に動かしながら、適切な動作を行うことが可能となる。
【0081】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第1実施形態においては、カテーテルTを進退方向に沿う回転軸周りに回転させる場合、カテーテルTがロックされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持した状態)とし、微動実行部22の微動時回転用アクチュエータ22gによって回転させるものとした。
これに対し、粗動時における回転動作と、微動時における回転動作とを異なる機構によって実行することが可能である。
【0082】
[構成]
図12は、本発明の第2実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1の全体構成を示す模式図である。
図12において、本実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1は、
図1に示す第1実施形態のマスタ・スレーブシステム1に対し、マスタ装置10及びスレーブ装置20の構成が異なっている。
【0083】
マスタ装置10は、粗動モードと微動モードとを切り替える粗動・微動スイッチ11と、粗動モードにおいて直進動作の操作を行うための操作レバー12と、微動モード及び粗動モードにおける回転動作の操作と微動モードにおける直進動作の操作を行うためのマニピュレータ13と、カテーテルTの直進動作(挿入及び引き戻し動作)と回転動作(軸周りの回転動作)とを切り替える直進・回転スイッチ14と、を備えている。
粗動・微動スイッチ11及び直進・回転スイッチ14において設定された信号は、制御装置30に送信される。
即ち、粗動・微動スイッチ11及び直進・回転スイッチ14の切り替えにより、マスタ・スレーブシステム1は、粗動時の直進動作、粗動時の回転動作、微動時の直進動作及び微動時の回転動作のいずれかを行う状態に設定される。
【0084】
操作レバー12は、粗動モードにおいて、スレーブ装置20を制御するための操作を受け付ける。本実施形態において、操作レバー12を奥に移動させるとカテーテルTを直進(挿入)させる動作、操作レバー12を手前に移動させるとカテーテルTを後退(引き戻し)させる動作、操作レバー12を右に移動させるとカテーテルTを軸周りに右回転させる動作、操作レバー12を左に移動させるとカテーテルTを軸周りに左回転させる動作がスレーブ装置20において実行される。なお、操作レバー12に入力された操作の内容(操作レバー12の位置)はセンサによって検出され、検出された操作の内容を示す信号は、制御装置30に送信される。
マニピュレータ13の構成は、
図1に示す第1実施形態のマニピュレータ13と同様である。
【0085】
スレーブ装置20は、制御装置30の指示に従って、アクチュエータを駆動することにより、マスタ装置10に入力された操作に対応する動作を行い、動作により移動する可動部(アクチュエータの可動子あるいはアクチュエータによって移動されるカテーテルT等)の位置を検出する。スレーブ装置20が動作することにより、スレーブ装置20に対して環境から各種外力が入力する。この結果、スレーブ装置20における可動部の位置は、アクチュエータの出力に対して各種外力が作用した結果を示すものとなる。そして、スレーブ装置20は、検出した可動部の位置を表す情報を制御装置30に送信する。
【0086】
図13及び
図14は、スレーブ装置20の構成を示す模式図であり、
図13は、スレーブ装置20の構成を示す斜視図、
図14は、スレーブ装置20の構成を示す側面図である。
図13及び
図14に示すように、スレーブ装置20は、支持体21と、微動実行部22と、粗動実行部23と、を備えている。
支持体21は、スレーブ装置20全体を支持する部材であり、スレーブ装置20の各部が配置される底部21aと、カテーテルTが患者に向けて送出される側の一端(前端)に形成された側壁21bと、側壁21bと反対側の一端(後端)に形成された収容部21cと、を備えている。なお、側壁21bには、カテーテルTを挿通する貫通穴が形成されている。また、収容部21cは、内部に部品を収容可能な空間を有し、後述する粗動時直進用アクチュエータ23a及びローラ間隔切替用アクチュエータ23cを収容している。
【0087】
微動実行部22は、微動モードにおいて、カテーテルTの力触覚を伝達しながらカテーテルTを移動させる機構を構成している。具体的には、微動実行部22は、直動軸22aと、微動時直進用アクチュエータ22bと、支持板22cと、ロック用アクチュエータ22dと、ロック機構22eと、ケース22fと、微動時回転用アクチュエータ22gと、を備えている。
【0088】
直動軸22aは、微動時直進用アクチュエータ22bの直動を案内する部材であり、支持体21の側壁21bと収容部21cとの間に設置される。本実施形態において、直動軸22aは、シャフトモータとして構成される微動時直進用アクチュエータ22bのシャフトとして機能し、直動軸22a内部には、円筒型の永久磁石が、N極同士、S極同士を接合された状態で連続的に配置されている。
微動時直進用アクチュエータ22bは、例えばシャフトモータによって構成され、制御装置30の指示に従って、直動軸22a(シャフト)に沿って、可動コイルを備えた移動子(スライダ)を移動させる。なお、微動時直進用アクチュエータ22bの可動部の位置は、リニアエンコーダ203によって検出され、検出された位置を示す信号は、制御装置30に送信される。
【0089】
支持板22cは、微動時直進用アクチュエータ22bの移動子の上面に起立して固定された板状部材であり、ロック用アクチュエータ22d及びロック機構22eが収容されたケース22fの一端を回転可能に支持する。
ロック用アクチュエータ22dは、例えば直動型モータによって構成され、微動モードに設定された場合に、制御装置30の指示に従って、カテーテルTがロックされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持した状態)となるようにロック機構22eを切り替える。また、ロック用アクチュエータ22dは、粗動モードに設定された場合、制御装置30の指示に従って、カテーテルTがリリースされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持していない状態)となるようにロック機構22eを切り替える。
【0090】
ロック機構22eは、ロック用アクチュエータ22dの動作に従って、カテーテルTをロックした状態と、カテーテルTをリリースした状態とを切り替える。
なお、本実施形態のロック機構22eにおいても、
図4に示す構成例とすることができる。
【0091】
ケース22fは、ロック用アクチュエータ22d及びロック機構22eが内部に設置されるケースである。ケース22fは、微動時回転用アクチュエータ22gの出力軸に連結され、微動時の回転動作が行われる場合、ケース22f全体がカテーテルTを把持した状態で、微動時回転用アクチュエータ22gの出力軸と共に回転する。
微動時回転用アクチュエータ22gは、例えば回転型モータによって構成され、微動モードにおいて、制御装置30の指示に従って、出力軸を回転させる。なお、微動時回転用アクチュエータ22gの可動部の位置(回転角度)は、ロータリーエンコーダ204によって検出され、検出された位置(回転角度)を示す信号は、制御装置30に送信される。
【0092】
粗動実行部23は、粗動時直進用アクチュエータ23aと、1対のローラ23bと、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cと、把持・擦り合わせ部23dと、を備えている。
これらのうち、粗動時直進用アクチュエータ23a、1対のローラ23b及びローラ間隔切替用アクチュエータ23cの構成は、
図2及び
図3に示す第1実施形態の構成と同様である。
【0093】
把持・擦り合わせ部23dは、粗動モードにおいて、カテーテルTを把持して軸周りに回転させたり、進退されるカテーテルTの乱雑な動きを抑制するようカテーテルT周囲の空間(主として上下方向の空間)を制限したりする。
図15は、把持・擦り合わせ部23dの構成例を示す模式図である。
図15に示すように、把持・擦り合わせ部23dは、下側把持部材231dと、昇降部材232dと、ラックギア233dと、昇降用アクチュエータ234dと、ピニオンギア235dと、擦り合わせ用アクチュエータ236dと、ガイド237dと、上側把持部材238dと、ケース239dと、を備えている。なお、
図15においては、説明の便宜のため、ケース239dを透視して把持・擦り合わせ部23dの内部構造を示している。
【0094】
下側把持部材231dは、収容部21cの側面に固定された板状の支持部231d-1と、支持部231d-1の上端からケース239dの外側に向かって収容部21cの上面に平行(水平)に延びる天板部231d-2と、を備えている。天板部231d-2は、粗動モードにおいてカテーテルTが軸周りに回転される際に、上側把持部材238dとの間でカテーテルTを把持し、カテーテルTを擦り合わせる動作の基台となる。そのため、天板部231d-2の上面は、カテーテルTに対して一定の摩擦を与える形状(微小な凹凸が形成された形状等)となっている。なお、天板部231d-2の上面の形状によってカテーテルTに摩擦を与えることの他、天板部231d-2の上面にカテーテルTを擦り合わせるための摩擦を与える素材(ゴムまたはシリコーン等)からなる部材を設置することとしてもよい。
【0095】
昇降部材232dは、下側把持部材231dの支持部231d-1に接触して上下方向に摺動する板状の摺動部232d-1と、摺動部232d-1の上端からケース239dの内側に向かって水平に延びる天板部232d-2と、を備えている。摺動部232d-1は、下側把持部材231dの支持部231d-1と接触する面の裏面側に、ラックギア233dを備えている。また、天板部232d-2の上面には、後述するように、擦り合わせ用アクチュエータ236d、ガイド237d及び上側把持部材238dが設置される。
【0096】
ラックギア233dは、昇降部材232dの摺動部232d-1において、下側把持部材231dの支持部231d-1と接触する面の裏面側に上下方向に平歯が配列された状態で設置されている。また、ラックギア233dには、昇降用アクチュエータ234dによって回転されるピニオンギア235dが噛み合っている。
昇降用アクチュエータ234dは、例えば回転型モータによって構成される。昇降用アクチュエータ234dは、出力軸に設置されたピニオンギア235dを回転させ、ピニオンギア235dと噛み合うラックギア233dを上下方向に移動させることにより、昇降部材232dを昇降させる。
【0097】
ピニオンギア235dは、ラックギア233dと噛み合い、昇降用アクチュエータ234dの出力軸と一体に回転する。即ち、ピニオンギア235dは、昇降用アクチュエータ234dの駆動力を昇降部材232dに伝達する。
擦り合わせ用アクチュエータ236dは、例えば直動型モータによって構成され、昇降部材232dの天板部232d-2の上面に設置される。擦り合わせ用アクチュエータ236dは、粗動モードにおいてカテーテルTが軸周りに回転される際に、出力軸に連結された上側把持部材238dを下側把持部材231dの天板部231d-2に平行に進退させる。
【0098】
ガイド237dは、擦り合わせ用アクチュエータ236dの動きを案内する部材であり、昇降部材232dの天板部232d-2の上面に設置される。具体的には、ガイド237dは、上側把持部材238dが擦り合わせ用アクチュエータ236dによって移動される際に、上側把持部材238dが下側把持部材231dの天板部231d-2と平行に移動するように案内する。
【0099】
上側把持部材238dは、擦り合わせ用アクチュエータ236dの出力軸に連結され、下側把持部材231dの天板部231d-2と対向するように設置されている。また、上側把持部材238dは、擦り合わせ用アクチュエータ236dによって、下側把持部材231dの天板部231d-2と平行に進退される。擦り合わせ用アクチュエータ236dは、昇降部材232dの天板部232d-2に設置されていることから、上側把持部材238dは、昇降用アクチュエータ234dによって昇降可能であると共に、擦り合わせ用アクチュエータ236dによって下側把持部材231dの天板部231d-2と平行に進退可能となっている。
【0100】
ケース239dは、把持・擦り合わせ部23dの各構成部を収容するケースであり、収容部21cの側面に設置されていると共に、収容部21cの上面よりも上方に延びる側面(即ち、収容部21cの上面を臨む側面)に、下側把持部材231dの天板部231d-2及び上側把持部材238dがケース239dから突出する開口部239d-1を備えている。なお、上側把持部材238dは、昇降用アクチュエータ234dによって昇降されると、開口部239d-1内を上下方向に移動する。
【0101】
図12に戻り、制御装置30は、例えば、パーソナルコンピュータあるいはサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、マスタ装置10、スレーブ装置20、ディスプレイL及びカメラCを制御する。例えば、制御装置30は、微動モードにおいて、マスタ装置10及びスレーブ装置20の可動部の位置(ロータリーエンコーダによって検出されるアクチュエータの回転角度あるいはリニアエンコーダによって検出される可動部の進退位置等)を取得し、マスタ装置10及びスレーブ装置20の間で力触覚を伝達するための制御を実行する。また、制御装置30は、粗動モードにおいて、マスタ装置10における操作レバー12の操作の内容を取得し、操作レバー12の操作の内容に応じた動作をスレーブ装置20の粗動実行部23に実行させる。
【0102】
微動モードにおいて、本実施形態における制御装置30が実行する力触覚伝達制御の基本的原理は、
図6に示す第1実施形態の基本的原理と同様である。
【0103】
[ハードウェア構成]
次に、本実施形態のマスタ・スレーブシステム1における制御系統のハードウェア構成について説明する。
図16は、本実施形態のマスタ・スレーブシステム1における制御系統のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0104】
図16に示すように、マスタ・スレーブシステム1は、制御系統のハードウェア構成として、パーソナルコンピュータあるいはサーバコンピュータ等の情報処理装置によって構成される制御装置30と、マスタ装置10の制御ユニット101と、通信ユニット102と、粗動・微動スイッチ11と、操作レバーセンサ103と、回転用アクチュエータ104と、直進用アクチュエータ105と、リニアエンコーダ106と、ロータリーエンコーダ107と、ドライバ108,109と、直進・回転スイッチ14と、スレーブ装置20の制御ユニット201と、通信ユニット202と、微動時直進用アクチュエータ22bと、ロック用アクチュエータ22dと、微動時回転用アクチュエータ22gと、粗動時直進用アクチュエータ23aと、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cと、昇降用アクチュエータ234dと、擦り合わせ用アクチュエータ236dと、リニアエンコーダ203,211と、ロータリーエンコーダ204,205,212と、ドライバ206~210,213,214と、ディスプレイLと、カメラCと、を備えている。
【0105】
マスタ装置10の制御ユニット101は、プロセッサ及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータによって構成され、マスタ装置10の動作を制御する。例えば、制御ユニット101は、制御装置30から送信される制御パラメータに従って、マスタ装置10の粗動・微動スイッチ11、直進・回転スイッチ14、回転用アクチュエータ104及び直進用アクチュエータ105の駆動を制御する。
通信ユニット102は、ネットワーク40を介してマスタ装置10が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0106】
粗動・微動スイッチ11は、粗動モードと微動モードとを切り替えるスイッチであり、設定された粗動モード及び微動モードのいずれかを示す信号は制御ユニット101に入力される。
操作レバーセンサ103は、操作レバー12に入力された操作の内容(操作レバー12の位置)を検出し、検出した操作の内容を示す信号を制御ユニット101に出力する。
【0107】
回転用アクチュエータ104は、例えば回転型モータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がマスタ装置10を進退方向に沿う回転軸周りに回転させる操作に対して、反力を付与する。
直進用アクチュエータ105は、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット101の指示に従って、操作者がエンドエフェクタを動作させるためのレバー(把持部)等に入力した操作に対して、反力を付与する。
【0108】
リニアエンコーダ106は、直進用アクチュエータの可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
ロータリーエンコーダ107は、回転用アクチュエータ104の可動子の位置(回転角度)を検出する。
【0109】
ドライバ108は、制御ユニット101の指示に従って、回転用アクチュエータ104に駆動電流を出力する。
ドライバ109は、制御ユニット101の指示に従って、直進用アクチュエータ105に駆動電流を出力する。
直進・回転スイッチ14は、カテーテルTの直進動作と回転動作とを切り替えるスイッチであり、設定された直進動作及び回転動作のいずれかを示す信号は制御ユニット101に入力される。
【0110】
スレーブ装置20の制御ユニット201は、プロセッサ及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータによって構成され、スレーブ装置20の動作を制御する。例えば、制御ユニット201は、制御装置30から送信される制御パラメータに従って、スレーブ装置20の微動時直進用アクチュエータ22b、ロック用アクチュエータ22d、微動時回転用アクチュエータ22g、粗動時直進用アクチュエータ23a、ローラ間隔切替用アクチュエータ23c、昇降用アクチュエータ234d及び擦り合わせ用アクチュエータ236dの駆動を制御する。
通信ユニット202は、ネットワーク40を介してスレーブ装置20が他の装置との間で行う通信を制御する。
【0111】
微動時直進用アクチュエータ22bは、例えば直動型モータによって構成され、微動モードにおいて、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した、カテーテルTを血管内に挿入していくために進退させる操作に応じて、スレーブ装置20のカテーテルTを進退させる。
ロック用アクチュエータ22dは、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、微動モードにおいては、カテーテルTがロックされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持した状態)となるようにロック機構22eを切り替える。また、ロック用アクチュエータ22dは、制御ユニット201の指示に従って、粗動モードにおいては、カテーテルTがリリースされた状態(即ち、微動実行部22がカテーテルTを把持していない状態)となるようにロック機構22eを切り替える。
微動時回転用アクチュエータ22gは、例えば回転型モータによって構成され、微動モードにおいて、制御ユニット201の指示に従って、操作者がマスタ装置10に入力した操作に応じて、スレーブ装置20のカテーテルTを進退方向に沿う回転軸周りに回転させる。
【0112】
粗動時直進用アクチュエータ23aは、例えば回転型モータによって構成され、粗動モードにおいて、制御ユニット201の指示に従って、操作者が操作レバー12に入力した操作に応じて、1対のローラ23bを回転させる。これにより、粗動モードにおいて、カテーテルTが力触覚の伝達を伴わない動作で、高速に長い距離を移動することが可能となる。
【0113】
ローラ間隔切替用アクチュエータ23cは、例えば直動型モータによって構成され、制御ユニット201の指示に従って、粗動モードにおいて直進動作が行われる場合に、1対のローラ22bが、互いの外周面を接触させた状態または微小な間隔(カテーテルTの直径より小さい間隔)を空けた状態(カテーテルTを挟持した状態)となるようにローラ間隔切替機構を制御する。また、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cは、粗動モードにおいて回転動作が行われる場合、及び、微動モードにおいて、1対のローラ22bが、互いの外周面をカテーテルTの直径よりも大きく離間した状態(カテーテルTをリリースした状態)となるようにローラ間隔切替機構を制御する。即ち、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cは、粗動モードにおいて直進動作が行われる場合にのみ、1対のローラ23bがカテーテルTを挟持する状態とし、それ以外においてはカテーテルTをリリースした状態とする。
【0114】
昇降用アクチュエータ234dは、例えば回転型モータによって構成される。昇降用アクチュエータ234dは、出力軸に設置されたピニオンギア235dを回転させ、ピニオンギア235dと噛み合うラックギア233dを上下方向に移動させることにより、昇降部材232dを昇降させる。このような機構により、昇降用アクチュエータ234dは、微動モードにおいては、昇降部材232dを上方に移動させ、カテーテルTがリリースされた状態とする。ただし、微動モードにおいて、昇降用アクチュエータ234dは、下側把持部材231dの天板部231d-2と上側把持部材238dとの距離が、カテーテルTの直径より長く、進退されるカテーテルTの乱雑な動きを抑制する程度となるように、昇降部材232dを移動させる。また、粗動モードにおいて、昇降用アクチュエータ234dは、下側把持部材231dの天板部231d-2と上側把持部材238dとがカテーテルTを把持するように、昇降部材232dを下方に移動させる。
【0115】
擦り合わせ用アクチュエータ236dは、例えば直動型モータによって構成され、粗動モードにおいて、制御ユニット201の指示に従って、操作者が操作レバー12に入力した操作に応じて、出力軸に連結された上側把持部材238dを下側把持部材231dの天板部231d-2に平行に進退させる。
【0116】
リニアエンコーダ203は、微動時直進用アクチュエータ22bの可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
リニアエンコーダ211は、擦り合わせ用アクチュエータ236dの可動子の位置(直動軸における進退位置)を検出する。
ロータリーエンコーダ204は、微動時回転用アクチュエータ22gの可動子の位置(回転角度)を検出する。
ロータリーエンコーダ205は、粗動時直進用アクチュエータ23aの可動子の位置(回転角度)を検出する。
ロータリーエンコーダ212は、昇降用アクチュエータ234dの可動子の位置(回転角度)を検出する。
【0117】
ドライバ206は、制御ユニット201の指示に従って、微動時直進用アクチュエータ22bに駆動電流を出力する。
ドライバ207は、制御ユニット201の指示に従って、ロック用アクチュエータ22dに駆動電流を出力する。
ドライバ208は、制御ユニット201の指示に従って、微動時回転用アクチュエータ22gに駆動電流を出力する。
【0118】
ドライバ209は、制御ユニット201の指示に従って、粗動時直進用アクチュエータ23aに駆動電流を出力する。
ドライバ210は、制御ユニット201の指示に従って、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cに駆動電流を出力する。
ドライバ213は、制御ユニット201の指示に従って、昇降用アクチュエータ234dに駆動電流を出力する。
ドライバ214は、制御ユニット201の指示に従って、擦り合わせ用アクチュエータ236dに駆動電流を出力する。
【0119】
ディスプレイLは、マスタ装置10の操作者が画面を視認できる場所に設置され、制御装置30によって表示を指示された画像(カメラCによって撮影された被検体の可視光画像あるいはX線画像等)を表示する。
カメラCは、スレーブ装置20がカテーテルTを挿入する被検体を撮影可能な場所に設置され、被検体の画像(可視光画像あるいはX線画像等)を撮影し、撮影した画像を制御装置30に送信する。
【0120】
[機能的構成]
次に、マスタ・スレーブシステム1の機能的構成について説明する。
本実施形態におけるマスタ・スレーブシステム1の機能的構成は、
図9に示す第1実施形態の機能的構成と同様である。
ただし、本実施形態におけるマスタ・スレーブシステム1の機能的構成では、センサ情報取得部352及び操作制御部353の具体的な構成が第1実施形態と異なっている。
【0121】
センサ情報取得部352は、マスタ装置10及びスレーブ装置20に設置された各種センサによって検出された情報(センサ情報)を取得する。例えば、センサ情報取得部302は、リニアエンコーダ106,203,211及びロータリーエンコーダ107,204,205,212によって検出された各アクチュエータの可動子の位置(進退位置または回転角度)を示す情報を取得する。また、センサ情報取得部352は、取得したセンサ情報を時系列のデータとして、制御パラメータ記憶部371に記憶する。
【0122】
操作制御部353は、マスタ装置10における粗動・微動スイッチ11、直進・回転スイッチ14及び操作レバー12に入力された操作に応じて、スレーブ装置20を制御する。
具体的には、操作制御部353は、粗動・微動スイッチ11が粗動モードに設定され、直進・回転スイッチ14が直進動作に設定されている場合、ロック用アクチュエータ22dを非ロック状態(カテーテルTをリリースした状態)に制御すると共に、1対のローラ23bがカテーテルTを挟持する状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御し、把持・擦り合わせ部23dにおいて、下側把持部材231dの天板部231d-2と上側把持部材238dとの距離が、カテーテルTの直径より長く、進退されるカテーテルTの乱雑な動きを抑制する程度となるように、昇降用アクチュエータ234dによって昇降部材232dを移動させる(即ち、カテーテルTをリリースした状態とする)。
【0123】
また、操作制御部353は、粗動・微動スイッチ11が粗動モードに設定され、直進・回転スイッチ14が回転動作に設定されている場合、ロック用アクチュエータ22dを非ロック状態(カテーテルTをリリースした状態)に制御すると共に、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御し、把持・擦り合わせ部23dにおいて、下側把持部材231dの天板部231d-2と上側把持部材238dとがカテーテルTを把持する状態となるように、昇降用アクチュエータ234dによって昇降部材232dを移動させる。
【0124】
また、操作制御部353は、粗動・微動スイッチ11が微動モードに設定され、直進・回転スイッチ14が直進動作に設定されている場合、ロック用アクチュエータ22dをロック状態(カテーテルTを把持した状態)に制御すると共に、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御し、把持・擦り合わせ部23dにおいて、下側把持部材231dの天板部231d-2と上側把持部材238dとの距離が、カテーテルTの直径より長く、進退されるカテーテルTの乱雑な動きを抑制する程度となるように、昇降用アクチュエータ234dによって昇降部材232dを移動させる(即ち、カテーテルTをリリースした状態とする)。
【0125】
また、操作制御部353は、粗動・微動スイッチ11が微動モードに設定され、直進・回転スイッチ14が回転動作に設定されている場合、ロック用アクチュエータ22dをロック状態(カテーテルTを把持した状態)に制御すると共に、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御し、把持・擦り合わせ部23dにおいて、下側把持部材231dの天板部231d-2と上側把持部材238dとの距離が、カテーテルTの直径より長く、進退されるカテーテルTの乱雑な動きを抑制する程度となるように、昇降用アクチュエータ234dによって昇降部材232dを移動させる(即ち、カテーテルTをリリースした状態とする)。
【0126】
また、操作制御部353は、粗動モードにおいて、マスタ装置10の操作レバー12に入力された操作の内容に応じて、スレーブ装置20のアクチュエータを制御する。
具体的には、操作制御部353は、操作レバー12が奥に移動された場合、粗動時直進用アクチュエータ23aを一方向に回転させてカテーテルTを直進(挿入)させ、操作レバー12が手前に移動された場合、粗動時直進用アクチュエータ23aを逆方向に回転させてカテーテルTを後退(引き戻し)させる。また、操作制御部353は、粗動モードにおいて、操作レバー12が右に移動された場合、擦り合わせ用アクチュエータ236dを一方向に移動させてカテーテルTを軸周りに右回転させ、操作レバー12が左に移動された場合、擦り合わせ用アクチュエータ236dを逆方向に移動させてカテーテルTを軸周りに左回転させる。
【0127】
[動作]
次に、マスタ・スレーブシステム1の動作を説明する。
【0128】
[操作制御処理]
図17は、制御装置30が実行する操作制御処理の流れを説明するフローチャートである。
操作制御処理は、入力部315あるいは通信部318を介して操作制御処理の実行が指示されることに対応して開始される。
【0129】
ステップS21において、操作制御部353は、粗動モードまたは微動モードのいずれに設定されているかの判定を行う。
粗動モードに設定されていると判定された場合、ステップS21の後、処理はステップS22に移行する。
一方、微動モードに設定されていると判定された場合、ステップS21の後、処理はステップS31に移行する。
【0130】
ステップS22において、操作制御部353は、直進動作または回転動作のいずれに設定されているかの判定を行う。
直進動作に設定されていると判定された場合、ステップS22の後、処理はステップS23に移行する。
一方、回転動作に設定されていると判定された場合、ステップS22の後、処理はステップS27に移行する。
【0131】
ステップS23において、操作制御部353は、ロック機構22eが非ロック状態(カテーテルTをリリースした状態)となるようにロック用アクチュエータ22dを制御する。
ステップS24において、操作制御部353は、1対のローラ23bがカテーテルTを挟持した状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
ステップS25において、操作制御部353は、把持・擦り合わせ部23dがカテーテルTをリリースした状態となるよう昇降用アクチュエータ234dを制御する。
ステップS26において、操作制御部353は、マスタ装置10に対する操作の内容に応じてカテーテルTを進退させる。
【0132】
ステップS27において、操作制御部353は、ロック機構22eが非ロック状態(カテーテルTをリリースした状態)となるようにロック用アクチュエータ22dを制御する。
ステップS28において、操作制御部353は、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
ステップS29において、操作制御部353は、把持・擦り合わせ部23dがカテーテルTを把持した状態となるよう昇降用アクチュエータ234dを制御する。
ステップS30において、操作制御部353は、マスタ装置10に対する操作の内容に応じてカテーテルTを軸周りに回転させる。
ステップS31において、後述する力触覚伝達処理が実行される。
ステップS26、ステップS30及びステップS31の後、操作制御処理が繰り返される。
【0133】
[力触覚伝達処理]
次に、操作制御処理のステップS31において実行される力触覚伝達処理について説明する。
図18は、制御装置30が実行する力触覚伝達処理の流れを説明するフローチャートである。
ステップS41において、操作制御部353は、直進動作または回転動作のいずれに設定されているかの判定を行う。
直進動作に設定されていると判定された場合、ステップS41の後、処理はステップS42に移行する。
一方、回転動作に設定されていると判定された場合、ステップS41の後、処理はステップS46に移行する。
【0134】
ステップS42において、操作制御部353は、ロック機構22eがロック状態(カテーテルTを把持した状態)となるようにロック用アクチュエータ22dを制御する。
ステップS43において、操作制御部353は、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
ステップS44において、操作制御部353は、把持・擦り合わせ部23dがカテーテルTをリリースした状態となるよう昇降用アクチュエータ234dを制御する。
ステップS45において、力触覚伝達部354は、微動時直進用アクチュエータ22bの制御を開始する。
ステップS45の後、処理はステップS50に移行する。
【0135】
ステップS46において、操作制御部353は、ロック機構22eがロック状態(カテーテルTを把持した状態)となるようにロック用アクチュエータ22dを制御する。
ステップS47において、操作制御部353は、1対のローラ23bがカテーテルTをリリースした状態となるようにローラ間隔切替用アクチュエータ23cを制御する。
ステップS48において、操作制御部353は、把持・擦り合わせ部23dがカテーテルTをリリースした状態となるよう昇降用アクチュエータ234dを制御する。
ステップS49において、力触覚伝達部354は、微動時回転用アクチュエータ22bの制御を開始する。
ステップS50において、センサ情報取得部352は、マスタ装置10及びスレーブ装置20に設置された各種センサによって検出された情報(センサ情報)を取得する。ステップS50において取得されたセンサ情報は、時系列のデータとして制御パラメータ記憶部371に記憶される。
ステップS51において、力触覚伝達部354は、取得されたセンサ情報を入力として座標変換(例えば、式(1)及び(2)参照)を行い、力触覚の伝達制御(直進または回転)を実行する。
【0136】
ステップS52において、操作制御部353は、直進動作及び回転動作の切り替えが行われたか否かの判定を行う。
直進動作及び回転動作の切り替えが行われていない場合、ステップS52においてNOと判定されて、処理はステップS53に移行する。
一方、直進動作及び回転動作の切り替えが行われた場合、ステップS52においてYESと判定されて、処理はステップS41に移行する。
【0137】
ステップS53において、操作制御部353は、微動モードの終了が指示されたか否か(即ち、粗動モードへの切り替え操作が行われたか否か)の判定を行う。
微動モードの終了が指示されていない場合、ステップS53において、NOと判定されて、処理はステップS50に移行する。
一方、微動モードの終了が指示された場合、ステップS53において、YESと判定されて、処理は操作制御処理に戻る。
【0138】
以上のように、本実施形態に係るマスタ・スレーブシステム1は、カテーテルTとマスタ装置10との間で力触覚を伝達しながら、カテーテルTを正確に短い距離移動させる微動モードと、カテーテルTとマスタ装置10との間で力触覚を伝達することなく、カテーテルTを高速に長い距離移動させる粗動モードとを実行可能である。そして、マスタ・スレーブシステム1が粗動モードに設定された場合、マスタ装置10の操作レバー12に対する操作に応じて、スレーブ装置20は、カテーテルTを高速に長い距離移動させる。また、マスタ・スレーブシステム1が微動モードに設定された場合、マスタ装置10のマニピュレータ13に対する操作に応じて、スレーブ装置20は、マスタ装置10に入力された操作の力触覚をカテーテルTに伝達すると共に、カテーテルTに入力した力触覚をマスタ装置10に伝達して、カテーテルTを正確に短い距離移動させる。
これにより、マスタ・スレーブシステム1においてスレーブ装置20を移動させる動作形態をより適切なものとすることができる。
【0139】
また、マスタ・スレーブシステム1は、粗動モードにおいてカテーテルTを軸周りに回転させる把持・擦り合わせ部23dと、微動モードにおいてカテーテルTを軸周りに回転させる微動時回転用アクチュエータ22gとを備えている。
これにより、カテーテルTの粗動時において、操作レバー12に対する操作に応じてカテーテルTを回転させることができると共に、カテーテルTの微動時において、力触覚の伝達を行いながら、カテーテルTを回転させることができる。
したがって、カテーテルTを被検体の体内に挿入する際に、カテーテルTをより柔軟に動かしながら、適切な動作を行うことが可能となる。
【0140】
[変形例1]
第1実施形態において、微動実行部22は、
図1~
図4に示すように、微動時回転用アクチュエータ22gの回転軸が中空となっており、中空の回転軸をカテーテルTが挿通する構成例であるものとしたが、これに限られない。
図19は、微動実行部22の他の構成例を示す模式図である。
図19に示すように、微動時回転用アクチュエータ22gとロック機構22eとをオフセットさせて配置(軸をずらして配置)し、微動時回転用アクチュエータ22gの回転を、ギアを介してロック機構22eに伝達する構成としてもよい。
この場合、微動時回転用アクチュエータ22gの設置形態に自由度を持たせることができると共に、ギアを介することによって、より小型のアクチュエータで必要な回転トルクを得ることが可能となる。また、アクチュエータを小型化できることから、スレーブ装置20全体の小型化・軽量化を図ることができる。
【0141】
[変形例2]
第2実施形態において、粗動時にカテーテルTを回転させるために、把持・擦り合わせ部23dを備えるものとして説明したが、これに限られない。例えば、粗動実行部23において、粗動時直進用アクチュエータ23aと、1対のローラ23bと、ローラ間隔切替用アクチュエータ23cと、を内部に設置するケースを備え、粗動時にカテーテルTを回転させるためのアクチュエータによって、このケースを回転させることにより、1対のローラ23bに把持されたカテーテルTを回転させることとしてもよい。
これにより、粗動時において、カテーテルTの直進動作及び回転動作を同時に実行することが可能となる。
【0142】
[変形例3]
上述の実施形態及び変形例において、微動モードが実行される場合に、直進動作または回転動作のいずれかに設定して力触覚伝達制御を実行するものとしたが、これに限られない。
即ち、微動モードにおいては、直進動作及び回転動作における力触覚伝達制御を並列に実行することとしてもよい。
微動モードにおいて、直進動作または回転動作のいずれかに設定して力触覚伝達制御を実行するか、直進動作及び回転動作における力触覚伝達制御を並列に実行するかについては、マスタ・スレーブシステム1が用いられる状況に応じて、より適切な動作が行われる制御形態を選択することができる。
【0143】
以上のように、本実施形態に係る構成されるマスタ・スレーブシステム1は、マスタ装置10と、スレーブ装置20と、制御装置30と、を備える。また、制御装置30は、操作制御部353と、力触覚伝達部354と、を備える。
力触覚伝達部354は、マスタ装置10に入力された操作と当該操作に応じて動作する操作対象となる機器(カテーテルまたはガイドワイヤ)に入力された外力とに基づいて、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達制御を実行する。
操作制御部353は、マスタ装置10に入力された操作に応じて、操作対象となる機器の設定された動作をスレーブ装置20に実行させる。
これにより、マスタ・スレーブシステム1において、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達制御による動作を実行する機能と、マスタ装置10からの操作に応じてスレーブ装置20が設定された動作を実行する機能との両方を備えることが可能となる。
したがって、マスタ・スレーブシステム1においてスレーブ装置20を移動させる動作形態をより適切なものとすることができる。
【0144】
マスタ・スレーブシステム1は、ロック機構22e、1対のローラ23b及び把持・擦り合わせ部23dを備える。
ロック機構22e、1対のローラ23b及び把持・擦り合わせ部23dは、マスタ装置10に入力された操作に対して力触覚の伝達制御を実行する第1のモード(微動モード)と、マスタ装置10に入力された操作に対して力触覚の伝達制御を実行することなく、設定された動作を実行する第2のモード(粗動モード)と、を切り替える。
これにより、マスタ装置10とスレーブ装置20との間で力触覚の伝達制御による動作を実行する機能と、マスタ装置10からの操作に応じてスレーブ装置20が設定された動作を実行する機能とを目的に応じて切り替えて実行することが可能となる。
【0145】
操作対象となる機器(カテーテルやガイドワイヤ等)は、線状に構成された部分(カテーテルシースやガイドワイヤ本体等)を有する。
力触覚伝達部354は、第1のモードにおいて、操作対象となる機器の軸方向への進退動作及び軸周りの回転動作それぞれについて、力触覚の伝達制御を実行する。
これにより、例えば、操作対象となる機器を対象物に挿入する過程及び対象物に挿入された操作対象となる機器を回転させる過程のそれぞれにおいて、機械的な機器を用いている場合と同様の力触覚を操作者に与えることができる。
【0146】
操作対象となる機器は、被検体に挿入されるカテーテルまたはガイドワイヤを備え、マスタ装置10におけるカテーテルまたはガイドワイヤの操作に応じて、スレーブ装置20が当該カテーテルまたはガイドワイヤを軸方向に進退または軸周りに回転させる。
これにより、被検体に対して、カテーテルまたはガイドワイヤを高速に長い距離移動させる動作と力触覚を伝達しながら正確に短い距離移動させる動作を実行可能なシステムであって、カテーテルまたはガイドワイヤの進退動作及び回転動作を実行可能なマスタ・スレーブシステム1を実現することができる。
【0147】
マスタ・スレーブシステム1は、微動時回転用アクチュエータ22gと、把持・擦り合わせ部23dと、を備える。
微動時回転用アクチュエータ22gは、第1のモードにおいて、力触覚の伝達制御を実行しながら操作対象となる機器を軸周りに回転させる。
把持・擦り合わせ部23dは、第2のモードにおいて、力触覚の伝達制御を実行することなく、設定された動作として操作対象となる機器を軸周りに回転させる。
これにより、力触覚の伝達制御を伴うカテーテル等の回転動作と、力触覚の伝達制御を伴うことなく、操作に応じてカテーテル等を回転させる回転動作とを切り替えて実行することが可能となる。
【0148】
把持・擦り合わせ部23dは、操作対象となる機器を下側把持部材231d及び上側把持部材238dで挟み、下側把持部材231dと上側把持部材238dとを擦り合わせる動作を行うことにより、把持された操作対象となる機器を軸周りに回転させる。
これにより、力触覚の伝達制御を行わない第2のモードにおいても、カテーテル等の軸周りの回転動作を実現することができる。
【0149】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態では、マスタ・スレーブシステム1によってカテーテルを遠隔的に操作する場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。即ち、マスタ・スレーブシステム1によって遠隔的に操作される機器として、種々のものを対象とすることが可能であり、例えば、線状に構成された部分を有する各種機器、一例として、鉗子あるいは内視鏡等の医療機器を対象とすることができる。
【0150】
また、本発明は、上述の実施形態におけるマスタ・スレーブシステム1として実現することの他、マスタ・スレーブシステム1を制御する制御装置、マスタ・スレーブシステム1において実行される各ステップによって構成される制御方法、あるいは、マスタ・スレーブシステム1の機能を実現するためにプロセッサによって実行されるプログラムとして実現することができる。
また、上述の実施形態では、制御装置30を独立した装置として実現する構成を例に挙げて説明したが、制御装置30の機能をマスタ装置10の制御ユニット101及びスレーブ装置20の制御ユニット201の一方に実装したり、これらの両方に分散して実装したりすることができる。
【0151】
また、上述の実施形態及び変形例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
例えば、第1実施形態の構成において、粗動時におけるカテーテルTの回転動作を行う場合、マスタ装置10の操作レバー12を左右に移動させることに対応して、力触覚伝達を行うことなく、カテーテルTを左右に回転動作させることとしてもよい。
また、上述の実施形態における制御のための処理は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれにより実行させることも可能である。
即ち、上述の処理を実行できる機能がマスタ・スレーブシステム1に備えられていればよく、この機能を実現するためにどのような機能構成及びハードウェア構成とするかは上述の例に限定されない。
上述の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにネットワークや記憶媒体からインストールされる。
【0152】
プログラムを記憶する記憶媒体は、装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア、あるいは、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray Disc(登録商標)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体は、例えば、プログラムが記憶されているROM(Read Only Memory)やハードディスク、あるいは、半導体メモリ等で構成される。
【0153】
なお、上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。即ち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることができる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
1 マスタ・スレーブシステム、10 マスタ装置、20 スレーブ装置、30 制御装置、40 ネットワーク、L ディスプレイ、C カメラ、T カテーテル、FT 機能別力・速度割当変換ブロック、FC 理想力源ブロック、PC 理想速度(位置)源ブロック、IFT 逆変換ブロック、S 制御対象システム、11 粗動・微動スイッチ、12 操作レバー、13 マニピュレータ、14 直進・回転スイッチ、21 支持体、21a 底部、21b 側壁、21c 収容部、22 微動実行部、22a 直動軸、22b 微動時直進用アクチュエータ、22c 支持板、22d ロック用アクチュエータ、22e ロック機構、W 楔状部材、W1 ロッド、W2 円錐部、R 受け部材、22f ケース、22g 微動時回転用アクチュエータ、23 粗動実行部、23a 粗動時直進用アクチュエータ、23b ローラ、23c ローラ間隔切替用アクチュエータ、P 平行リンク、G1,G2 ギア、23d 把持・擦り合わせ部、231d 下側把持部材、231d-1 支持部、231d-2,232d-2 天板部、232d 昇降部材、232d-1 摺動部、233d ラックギア、234d 昇降用アクチュエータ、235d ピニオンギア、236d 擦り合わせ用アクチュエータ、237d ガイド、238d 上側把持部材、239d ケース、W 楔状部材、R 受け部材、101,201 制御ユニット、102,202 通信ユニット、103 操作レバーセンサ、104 回転用アクチュエータ、105 直進用アクチュエータ、106,203,211 リニアエンコーダ、107,204,205,212 ロータリーエンコーダ、108,109,206~210,213,214 ドライバ、311 プロセッサ、312 ROM、313 RAM、314 バス、315 入力部、316 出力部、317 記憶部、318 通信部、319 ドライブ、331 リムーバブルメディア、351 モード設定部、352 センサ情報取得部、353 操作制御部、354 力触覚伝達部、371 制御パラメータ記憶部