(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024019485
(43)【公開日】2024-02-09
(54)【発明の名称】ブロワ装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/62 20060101AFI20240201BHJP
F04D 29/42 20060101ALI20240201BHJP
F04D 25/08 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F04D29/62 B
F04D29/42 M
F04D25/08 302E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023208595
(22)【出願日】2023-12-11
(62)【分割の表示】P 2022143617の分割
【原出願日】2019-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2018029523
(32)【優先日】2018-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和彦
(57)【要約】
【課題】多様な形状を有する対象への取り付けが低コストで
実現可能なブロワ装置を提供する。
【解決手段】
ブロワ装置は、吹出口12と吸込口8を有するブロワケース2と、ブロワケース2に収容されるインペラと、ブロワケース2の外周面に設けられた、ブロワケース2の取り付け対象に固定される固定部材とを備える。ブロワケースの外周面には、軸方向に延在する複数の突起部13が形成され、固定部材は、貫通孔を有する固定取付脚4を備え、固定部材は、複数の突起部13のうち2つの突起部に選択的に取り付け可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吹出口と吸込口を有するブロワケースと、
前記ブロワケースに収容されるインペラと、
前記ブロワケースの外周面に設けられた、ブロワケースの取り付け対象に固定される固定部材と、
を備え、
前記ブロワケースの外周面には、軸方向に延在する複数の突起部が形成され、
前記固定部材は、貫通孔を有する固定取付脚を備え、
前記固定部材は、前記複数の突起部のうち2つの突起部に選択的に取り付け可能である、ブロワ装置。
【請求項2】
前記固定部材は、前記ブロワケースに接着されている、請求項1に記載のブロワ装置。
【請求項3】
周方向において、前記ブロワケースに対する前記固定取付脚の取付角度が選択可能である、請求項1または2に記載のブロワ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はブロワ装置に関し、特に取り付け対象への固定構造に特徴があるブロワ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心ファンを用いたブロワ装置は、家電機器、OA機器、産業用・車両用機器の冷却、換気、空調等に広く用いられている。上記のブロワ装置は従来、電動機と、電動機と回転軸を介して連結されたファンと、電動機を固定するブロワ下ケースと、ブロワ下ケースに設けられ、それぞれがねじ止め用の貫通孔を有する複数の固定脚を備える。そして、ブロワ下ケースが備える複数の固定取付脚によって、取り付け面に固定される構造となっている。
【0003】
したがって、上記のブロワ装置は、ブロワ下ケースに設けられた固定取付脚のみによって、取り付け面にねじ止め固定されることから、筐体強度の確保や部品点数および組立工数の削除が可能となる。さらに、ブロワ下ケースとブロワ上ケースをフックのみで結合するので、ねじなどの部分が不要となるとともに、組み立てが簡単となるブロワ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたブロワ装置は、取り付け対象に固定する固定取付脚がブロワ下ケースと一体に形成されている。この構造では、例えば、取り付け対象である台に固定する位置を変更する場合、固定取付脚の位置を変更したブロワ下ケースを成形する必要がある。この場合、ブロワ下ケースを成形するための金型を新たに用意する必要がある。しかしながら、金型の変更は、製造コストが増大するので好ましくない。
【0006】
以上のような背景において、本発明は、設備、装置、機器、および構造物等の様々な形状を有する対象への取り付けが低コストで実現可能なブロワ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、吹出口と吸込口を有するブロワケースと、前記ブロワケースに収容されるインペラと、前記ブロワケースの外周面に設けられた、ブロワケースの取り付け対象に固定される固定部材と、を備え、前記ブロワケースの外周面には、軸方向に延在する複数の突起部が形成され、前記固定部材は、貫通孔を有する固定取付脚を備え、前記固定部材は、前記複数の突起部のうち2つの突起部に選択的に取り付け可能であるブロワ装置である。
【0008】
本発明において、前記固定部材は、前記ブロワケースに接着されている態様が挙げられる。
【0009】
本発明において、周方向において、前記ブロワケースに対する前記固定取付脚の取付角度が選択可能である態様が挙げられる。
【0010】
本発明によれば、多様な形状を有する対象への取り付けが低コストで実現可能なブロワ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1に示すブロワ装置の分解斜視図を組み立てた場合の斜視図である。
【
図3】
図1に示す実施形態のブロワ装置の分解斜視図をY軸を回転軸として180°回転させた図である。
【
図4】
図3に示すブロワ装置の分解斜視図を組み立てた場合の斜視図である。
【
図5】他の実施形態のブロワ装置の分解斜視図である。
【
図6】他の実施形態のブロワ装置へフランジを取り付ける前の状態の斜視図である。
【
図8】
図6に示すブロワ装置へフランジを取り付けた状態の斜視図である。
【
図10】
図9に示すブロワ装置へフランジを取り付けた状態の断面図である。
【
図11】
図9に示すフランジの抜け止めブロックの斜視図である。
【
図12】
図9に示すブロワ装置におけるブロワ下ケースとフランジの結合状態を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1の実施形態
(1)ブロワ装置の構造
図1は、本実施形態のブロワ装置の分解斜視図である。
図2は、
図1に示すブロワ装置の分解斜視図を組み立てた場合の斜視図である。
図3は、
図1に示す本実施形態のブロワ装置の分解斜視図をY軸を回転軸として180°回転させた図である。
図4は、
図3に示すブロワ装置の分解斜視図を組み立てた場合の斜視図である。
図1乃至4には、本実施形態の遠心ファンを用いたブロワ装置1が示されている。ブロワ装置1の基本構造は、特許文献1に記載された構造と略同じで、ブロワケース2と、ブロワケース2を取り付け対象に固定するための固定部材であるフランジ3を備えている。フランジ3には
、貫通孔を有する固定取付脚4が複数形成されている。フランジ3は、ブロワケース2に対して着脱可能である。この例では、フランジ3に固定取付脚4が3か所配置されている。固定取付脚4の数は少なくとも一つあれば、その本数は限定されない。また、固定取付脚4のデザインも図示するのは一例であり、取り付け対象の形状等に応じて変更可能である。
【0013】
ブロワケース2は、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6から構成されている。ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6の間に遠心ファンの羽根の部分であって、空気の吸い込みおよび吹き出しを促すインペラ7が収納される。ブロワ上ケース5は吸込口8を備え、ブロワ下ケース6には、インペラ7を回転させるための電動機であるモータ9が固定されている。そして、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6は、ブロワ下ケース6に形成される抜き止めボス10をブロワ上ケース5に形成される抜き止めボス挿通孔11に挿通させることで結合されている。この結合状態において、ブロワ上ケース5およびブロワ下ケース6は嵌め合わせ面で嵌合されている。なお、吹出口12(
図2参照)は、ブロワ上ケース5およびブロワ下ケース6を嵌合させることで形成されている。
【0014】
ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6とが結合した状態において、抜き止めボス挿通孔11を貫通した抜き止めボス10の先端が、抜き止めボス挿通孔11から突出する。この突出部分が熱カシメにより潰されることで、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6の結合強度が確保されている。ここで、熱カシメとは、孔に挿通されたボスの先端を加熱と加圧により潰し、ボスを孔が設けられた部分に固定する作業およびその結果の構造のことをいう。この例において、抜き止めボス10と抜き止めボス挿通孔11の数は、それぞれ4個であるが、その数は限定されない。
【0015】
ブロワ下ケース6の外周部分には、軸方向でフランジ3をスライドさせて嵌合させるための突起部13が複数形成されている。ここで、軸方向は、インペラ7の回転軸の延在方向であり、図のY軸の方向に一致する。突起部13は、軸方向に延在する軌条構造を有し、フランジ3に形成された後述するスライド用の溝15と軸方向でスライド可能な状態で噛み合い嵌合する断面形状を有している。この例では、軸方向から見て、突起部13が凸型(略T型)、スライド用の溝15が凹型の形状(略T型を収容する形状)を有し、両者が噛み合うことで、軸方向にスライドが可能で、それ以外の方向への相対移動ができない構造とされている。また、突起部13の上部には、後述するボス16が収容される軸方向に延在する凹部が設けられている。
【0016】
突起部13のブロワ上ケース5との嵌め合わせ面側の先端には、フランジボス挿通孔14が形成されている。一方で、フランジ3には、内周部分(ブロワケース2の側の面)にスライド用の溝15が形成され、スライド用の溝15が形成された箇所にはボス16が一体形成されている。前述したように、スライド用の溝15が突起部13に軸方向でスライド可能な状態で嵌合し、この状態でボス16が突起部13上部の凹部に収容される。フランジ3の内周に形成されるスライド用の溝15は、少なくとも1つあればよいが、強度を確保する観点から2つ以上が好ましい。スライド用の溝15の形成数は、多ければ多いほど、ブロワケース2との固定が強固となる。
【0017】
上記のブロワ下ケース6およびフランジ3の構造によって、ブロワ下ケース6の外周に形成した突起部13と、スライド用の溝15とを係合させてスライドさせ、ブロワ下ケース6にフランジ3を固定する。この際、フランジ3に形成したボス16を、ブロワ下ケース6に形成したフランジボス挿通孔14およびブロワ上ケース5に形成したフランジボス挿通孔17に嵌合・挿通させる。この結果、フランジボス挿通孔17からボス16の先端が突出する。また、ブロワ上ケース5の抜止めボス挿通孔11からブロワ下ケース6に設けられた抜き止めボス10の先端が突出する。
【0018】
そして、ブロワ上ケース5の抜止めボス挿通孔11から突出した抜き止めボス10の先端、及びブロワ上ケース5のフランジボス挿通孔17から突出したボス16の先端を、それぞれ熱カシメし、抜き止めボス10とボス16をブロワ上ケース5に固定する。ここで、ブロワ下ケース6に形成されている抜き止めボス10およびフランジ3に形成されているボス16は、フランジボス挿通孔17を挿通後に、先端が二つに割れ、挿通孔11および17に引っかかることで固定される構造としてもよい。また、接着等の熱カシメ以外の方法で、挿通孔11および17への抜き止めボス10およびボス16の固定を行ってもよい。
【0019】
上記のように、フランジ3をブロワ下ケース6に装着すると同時に、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6が結合、固定される。
【0020】
モータ9は、シャフト18を備える。シャフト18は、モータ9の回転軸であって、インペラ7とモータ9を連結している軸である。この構造により、シャフト18は、モータ9の回転に合わせて、インペラ7を回転させる。そして、ブロワ装置1は、インペラ7の回転により、吸込口8から吸入した空気を吹出口12から吹き出す。
【0021】
突起部13は、ブロワ下ケース6の外周に形成されるものであるが、フランジ3のブロワ下ケース6への取り付け位置が複数選べるように、フランジ3に形成されたスライド用の溝15の数よりも多くが形成されている。例えば、フランジ3は、
図1に示す位置関係でブロワ下ケース6に固定される形態以外に、
図1の符号19の部分の固定する形態も可能である。この場合、符号19の部分の突起部13にスライド用の溝15を嵌合させる。ただしこの場合、フランジ3の形状を吹出口12部分のブロワ下ケース6と干渉しない形状に変更する必要がある。
【0022】
突起部13の数は可能な限り多い程よい。これは、突起部13がブロワ下ケース6の外周に多く形成されていれば、フランジ3の取り付け位置のバリエーションが増えるためである。例えば、フランジ3の内周に形成されるスライド用の溝15が2以上である場合に、突起部13の形成される間隔をスライド用の溝15が形成される間隔と同じとし、突起部13を3以上設ける。こうすることで、ブロワ下ケース6に対して、フランジ3を2以上の箇所で固定することができる。すなわち、フランジ3のブロワ下ケース6への固定位置の候補が、ブロワ下ケース6の周方向における複数の箇所で用意される。そして、フランジ3のブロワ下ケース6の軸回りにおける取付角度位置が複数の候補の中から選択できる。
【0023】
なお、ブロワ下ケース6に形成したフランジボス挿通孔14およびブロワ上ケース5に形成したフランジボス挿通孔17は、ブロワ上ケース5およびブロワ下ケース6の嵌合時に、それぞれ対応した箇所に位置するように形成される。特に、ブロワ上ケース5に形成したフランジボス挿通孔17は、ブロワ下ケース6の突起部13の数(または、突起部13の先端に形成されるフランジボス挿通孔14の数)と必ずしも同数を形成させることに限定されないが、同数であった方がフランジ3の取り付け時の汎用性が増す。
【0024】
(2)装置製作における特徴
フランジ3を後付けとし、その固定位置のバリエーションを複数用意することで、ブロワケース2(ファンモータ9を含む)の標準化が図ることができる。標準化により、ブロワケース2を製作するための金型の作成は一度の作成でよくなり、作成コストを大幅に抑制できる。そして、金型の作成回数を削減できることにより、金型に起因するブロワ装置の特性のバラツキも抑制される。
【0025】
固定取付脚4を有するフランジ3のみは、取り付け面の形状に応じて、その都度再製作する。すなわち、本発明はフランジ3のみを再製作することで、多形状な取り付け面に対応できるブロワ装置1を提供する。本発明は、従来、取り付け面の形状に応じて、ブロワケース2(ブロワ下ケース6)およびフランジ3を再製作する方法と比較して、ブロワ装置1の製作コストの削減と、制作時間の短縮を実現できる。
【0026】
(3)装置固定における特徴
ブロワ下ケース6の外周に形成した複数の突起13を適切に選択することによって、固定取付脚4の取付角度(軸回りの角度位置)を任意に設定することが可能となる。また、ブロワケース2とフランジ3の嵌合において、嵌め合い箇所が複数設定されているため、嵌合した状態がより強固なものとなる。
【0027】
すなわちこの構造では、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6との結合が、抜き止めボス10の抜き止めボス挿通孔11への挿通および熱カシメにより行われる。更に加えて、ブロワ下ケース6に突起13とスライド用の溝15の係合によりフランジ3が結合し、フランジ3はボス16のフランジボス挿通孔17への挿通および熱カシメによりブロワ上ケース5に固定される。すなわち、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6との結合が、両者の直接的な結合の他に、フランジ3を介して行われる。このため、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6とが高い締結強度で相互に結合される。
【0028】
(変形例)
突起13とスライド用の溝15の役割を逆にしてもよい。すなわち、フランジ3の側に軸方向に延在する突起を設け、ブロワ下ケース6の側に上記突起と軸方向で嵌合する溝を設けた構造も可能である。
【0029】
また、抜き止めボス10と抜け止めボス挿通孔11の役割を逆にしてもよい。すなわち、ブロワ下ケース6の側に孔を設け、ブロワ上ケース5の側に上記孔に挿通するボスを設ける構造も可能である。
【0030】
図示省略されているが、モータ9から配線が引き出され、この配線は図示しないモータ駆動回路に接続される。ブロワ装置1の実装にあたっては、上記の配線の引き回しに注意を払う必要がある。突起13をこの配線を固定する配線固定具の取り付けに利用してもよい。この場合、フランジ3の固定に利用されていない突起13に上記の配線固定具が固定され、この配線固定具に配線が固定される。配線固定具の突起13への取り付けは、スライド用の溝15と同様な溝を配線固定具に設け、この溝と突起13を軸方向で嵌合させることで行われる。なお、この例においても、上記の突起と溝の関係を逆にした態様が可能である。
【0031】
2.第2の実施形態
(1)ブロワ装置の構造および特徴
図5は、本実施形態のブロワ装置の分解斜視図である。
図3に示す第1の実施形態のブロワ装置1では、ブロワ下ケース6にフランジ3を固定する構造として、フランジ3に設けたフランジ固定用のボス16をブロワ下ケース6のフランジボス挿通孔14とブロワ上ケース5のフランジボス挿通孔17に挿通し、ボス16の先端を熱カシメにて潰して固定している。これに対して、
図5に示す実施形態のブロワ装置1では、ボス16の代わりに、締結部材として、タッピングネジ20を用いる。このため、ブロワ下ケース6は、フランジボス挿通孔14を備えていても、備えていなくともよいことになる。なお、ブロワ下ケース6にフランジボス挿通孔14または同様の孔部を備える場合は、タッピングネジ20を挿通できる構造とすることで、より強固な結合となる。そして、フランジ3は、ボス16を備えず、タッピングネジ20の先端をねじ込んで締結するための締結部21(または締結箇所)を備える。例えば、締結部21には、タッピングネジ20が捩じ込まれる下孔が形成され、そこにフランジボス挿通孔17に挿通されたタッピングネジ20が捩じ込まれることで、ブロワ上ケース5、ブロワ下ケース6およびフランジ3が一体化される。
【0032】
したがって、本実施形態におけるブロワ下ケース6のフランジ3への固定は、タッピングネジ20をブロワ上ケース5のフランジボス挿通孔17に挿通し、フランジ3の固定取付脚4の端面の締結部21に締結する。本実施形態の場合、タッピングネジ20で締結するため、ボス16によって固定する第1の実施形態の場合と比べて結合強度を増すことができる。なお、他の箇所に関しては、
図3に示すブロワ装置1と同様である。なお、締結部材として、タッピングネジに代えて、一般的なボルト、ねじ、割ピン、等を用いた構成であってもよい。
【0033】
3.第1実施形態および第2実施形態の変更例
第1の実施形態と第2の実施形態で示したブロワ装置1では、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6は、ブロワ下ケース6に形成される抜き止めボス10をブロワ上ケース5に形成される抜き止めボス挿通孔11に挿通し、ブロワ上ケース5の抜止めボス挿通孔11から突出した抜き止めボス10の先端を熱カシメで潰すこと等によって結合しているが、抜き止めボス10に代えて、例えば、スナップフィットのような係止爪を備えた係止機構をブロワ上ケース5に一体に形成し、係止爪にてブロワ下ケース6に係止して結合する構成であってもよい。
【0034】
また、上記に代えて、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6を結合はスナップフィットのような係止機構で結合し、固定取付脚4を有するフランジ3は、ブロワ下ケース6の外周に形成した突起13に、抜き止めボス16、又はタッピングネジ20で固定した構成であってもよい。具体的には、スナップフィットのような凸部となる係止爪を備えた係止機構をブロワ上ケース5に一体に形成し、係止爪と係合する凹部を備えた係止機構をブロワ下ケース6に一体に形成し、係止爪と凹部を係合してブロワ上ケース5とブロワ下ケース6を結合させる。固定取付脚4を有するフランジ3には抜き止めボス10を形成し、ブロワ下ケース6の外周に形成した突起13に形成した貫通孔に抜き止めボス10を挿通し、貫通孔から突出した抜き止めボス10の先端を潰すことで固定しても良く、又は抜き止めボス10に代えて、固定取付脚4を有するフランジ3に貫通孔を形成し、ブロワ下ケース6の外周に形成した突起13に形成した貫通孔と、フランジ3に形成した貫通孔にタッピングネジ20を挿通して締結し、固定した構成であってもよい。なお、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6の互いの合わせ面は凹凸の嵌合となっている。
【0035】
また、タッピンネジ20によるケースとフランジ3の固定に代えて、
図6~8のような構造にしてもよい。
図6~8の構造では、固定取付脚4を有するフランジ3の先端には一体に形成された係止爪30を備え、フランジ3の下面にはブロワ下ケース6に形成した突起が嵌る凹部31が形成され、凹部31の間に形成された突起部の先端には係止爪30が形成されている。ブロワ下ケース6には突起23が形成され、突起23の間には凹部(溝)22が形成され、凹部(溝)22の一方端側(ブロワ上ケース5側)には2つの突起23を連結する架橋部24が形成されている。そして、ブロワ下ケース6に形成された突起の間の凹部(溝)22に係止爪30を入れ、フランジ3の下面に形成した凹部31に、ブロワ下ケース6に形成された突起23を嵌めてスライドさせ、係止爪30が架橋部24の下を通過した後、係止爪30が架橋部24に係合することで、固定取付脚4を有するフランジ3がブロワ下ケース6に取り付け、固定される。ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6の結合は、
スナップフィット25のような凸部となる係止爪を備えた係止機構26をブロワ上ケース5に一体に形成し、係止機構26の係止爪と係合する凹部を備えた係止機構27をブロワ下ケース6に一体に形成し、係止爪と凹部を係合することで結合する。
【0036】
4.第3の実施形態
(1)ブロワ装置の構造および特徴
図9は、本実施形態のブロワ装置の斜視図である。
図9に示す第3実施形態のブロワ装置1では、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6の締結部材として、上述のスナップフィット25を用いる。スナップフィット25の数は限定されないが、ブロワケースの円周上に複数個配置することが好ましい。その数は締結強度やコストを勘案して適宜選択される。なお、ブロワ上ケース5とブロワ下ケース6は、
図10に示すように、互いの合わせ面は凹凸の嵌合となっている。
【0037】
ブロワ下ケース6の外周面上には、2列のレール状の突起28が複数組形成されている。これらの突起28のうち、必要に応じて所定の位置に該当する突起28を選択し、フランジ3の溝32内に突起28をスライドさせて装着する。
図9では、フランジ3aとフランジ3bの2個をブロワ下ケース6に装着する場合を例示しているが、これらのみに限定されず、ブロワ装置の取り付け条件に応じてフランジ3の位置と個数は選択可能である。
【0038】
このとき、
図12の断面図に示すように、ブロワ下ケース6側の1本の突起28は断面が略T字状の凸部であり、また、フランジ3側のスライド用の溝24は、突起28を受容するように略T字状に凹部が形成されている。これにより、フランジ3のブロワ下ケース6から
図10の太い矢方向への動きが規制され、フランジ3がブロワ下ケース6から脱落することが抑制される。
【0039】
突起28と溝32は、互いに密着するように形成されているが、樹脂成型による部材の寸法精度によって突起28と溝32との間でガタが生じる場合、突起28の外周面、又は溝32の内周面の何れか一方に、軸方向(Y方向)に沿って延在する微小なリブ(突起)を複数個所、設けてもよい。この場合、フランジ3をスライドさせるとき、リブ(突起)を塑性変形させながら装着するため、突起28と溝32をより密着させることができ、フランジ3の装着時のガタを防止できる。
【0040】
図10は、
図9の2個のフランジ3のうちフランジ3bの取り付け状態を示す断面図である。フランジ3bが、ブロワ下ケースの突起28の後端面33に当接することで、フランジ3bのY軸方向(ブロワ上ケース5側)への移動が規制され、ストッパとして機能する。
【0041】
ブロワ下ケース6の突起28にスライドして装着されたフランジ3は、抜け止めブロック50によって、軸方向と直交する方向で固定される。
図11に示すように、抜け止めブロック50は、2本の係止爪51と2本の足部52を備える。また、それぞれの足部52の側面には、半円状の突起部53を有する。
図9に示すように、抜け止めブロック50は、係止爪51および足部52がそれぞれフランジ3に形成された係止爪挿通孔40および足部挿通孔41に挿入される。
【0042】
半円状の突起部53が形成された足部52をフランジ3の2箇所の足部挿通孔41に挿入すると、突起部53が挿通孔41の内周面と、ブロワ下ケース6の段差部に圧接した状態で装着される。また、係止爪51を2箇所の係止爪挿通孔40に挿入すると、係止爪51が挿通孔40の端部に係止する。これによってフランジ3がブロワ下ケース6から抜けることを防止できる。さらに、足部52の突起部53が、ブロワ下ケース6の突起28の前端面34に当接するため、フランジ3のY軸と反対方向(ブロワ下ケース6側)への移動を規制したストッパとなる。
【0043】
このように、第1、2の実施形態では、固定部材であるフランジは、ブロワ下ケースの外周に形成された突起に、抜き止めボス10、又はタッピングネジ20によって軸方向で固定されるが、第3の実施形態では、固定部材であるフランジは、ブロワ下ケースの外周に形成された突起に、抜け止めブロック50によって、軸方向と直交する方向で固定される。なお、固定部材であるフランジが軸方向と直交する方向で固定される構成であれば、抜け止めブロック50の構造は実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0044】
1…ブロワ装置、2…ブロワケース、3…フランジ、4…固定取付脚、5…ブロワ上ケース、6…ブロワ下ケース、7…インペラ、8…吸込口、9…モータ、10…(ブロワケース結合用)抜き止めボス、11…抜き止めボス挿通孔、12…吹出口、13…突起、14…(ブロワ下ケースに形成される)フランジボス挿通孔、15…スライド用の溝、16…(フランジ固定用)ボス、17…(ブロワ上ケースに形成される)フランジボス挿通孔、18…シャフト、19…固定箇所、20…タッピングネジ、21…締結部、22…凹部(溝)、23…突起、24…架橋部、25…スナップフィット、26…スナップフィットの係止機構、27…スナップフィットの係止機構、28…突起、30…係止爪、31…凹部、32…スライド用の溝、33…突起部の後端面、34…突起部の前端面、40…係止爪挿通孔、41…足部挿通孔、50…抜け止めブロック、51…係止爪、52…足部、53…突起部。