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特開2024-24146ゲート案内システムおよびゲート案内プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024024146
(43)【公開日】2024-02-22
(54)【発明の名称】ゲート案内システムおよびゲート案内プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20240215BHJP
   G08G 1/01 20060101ALI20240215BHJP
【FI】
G08G1/09 C
G08G1/01 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126753
(22)【出願日】2022-08-09
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】石橋 徳保
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA03
5H181AA06
5H181AA07
5H181AA26
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181DD04
5H181EE12
5H181EE13
5H181FF05
5H181FF12
5H181FF13
5H181MC16
(57)【要約】
【課題】一部の車両に対して使用できるゲートが規制されている場合であっても、適正なゲートを案内可能にする。
【解決手段】施設Pに複数のゲートG1、G2が設けられ、使用許可されたゲートG1、G2が限られている車両である規制車両C2と、どのゲートG1、G2も使用許可されている車両であるフリー車両C1とが施設Pを入退出する場合において、フリー車両C1に対してゲートG1、G2を案内するゲート案内システム1であって、施設P周辺の交通状態を監視するドローン2のカメラ21と、規制車両C2の使用許可されたゲートG1、G2と施設Pへの入場予定日時とを含む規制車両情報を記憶する車両情報データベースと、フリー車両C1の位置を取得するGPSと、施設P周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の位置とに基づいて、フリー車両C1が施設Pに円滑に入退出できるゲートG1、G2を選出するゲート選出タスクと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に複数のゲートが設けられ、使用許可されたゲートが限られている車両である規制車両と、どのゲートも使用許可されている車両であるフリー車両とが前記施設を入退出する場合において、前記フリー車両に対してゲートを案内するゲート案内システムであって、
前記施設周辺の交通状態を監視する交通監視手段と、
前記規制車両の使用許可されたゲートと前記施設への入場予定日時とを含む規制車両情報を記憶する車両情報記憶手段と、
前記フリー車両の位置を取得する位置取得手段と、
前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置とに基づいて、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートを選出するゲート選出手段と、
を備えることを特徴とするゲート案内システム。
【請求項2】
前記規制車両情報として、前記規制車両からの物品の搬出入に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲート案内システム。
【請求項3】
過去の前記施設周辺の交通状態を含む過去情報を記憶する過去情報記憶手段を備え、
前記ゲート選出手段は、前記過去情報に基づいて前記ゲートを選出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のゲート案内システム。
【請求項4】
前記過去情報として、前記交通状態における気象情報を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のゲート案内システム。
【請求項5】
前記交通監視手段は、飛行体に配設されたカメラで構成され、前記カメラによる撮影画像に基づいて前記交通状態を監視する、
ことを特徴とする請求項1項に記載のゲート案内システム。
【請求項6】
前記ゲート選出手段は、前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置が入力されると、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習されたゲート選出用学習モデルを用いる、
ことを特徴とする請求項1項に記載のゲート案内システム。
【請求項7】
施設に複数のゲートが設けられ、使用許可されたゲートが限られている車両である規制車両と、どのゲートも使用許可されている車両であるフリー車両とが前記施設を入退出する場合において、前記フリー車両に対してゲートを案内するためのゲート案内プログラムであって、コンピュータを、
前記規制車両の使用許可されたゲートと前記施設への入場予定日時とを含む規制車両情報を記憶する車両情報記憶手段と、
前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置とに基づいて、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートを選出するゲート選出手段、
として機能させることを特徴とするゲート案内プログラム。
【請求項8】
前記規制車両情報として、前記規制車両からの物品の搬出入に関する情報を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載のゲート案内プログラム。
【請求項9】
コンピュータを、過去の前記施設周辺の交通状態を含む過去情報を記憶する過去情報記憶手段として機能させ、
前記ゲート選出手段は、前記過去情報に基づいて前記ゲートを選出する、
ことを特徴とする請求項7に記載のゲート案内プログラム。
【請求項10】
前記過去情報として、前記交通状態における気象情報を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載のゲート案内プログラム。
【請求項11】
前記ゲート選出手段は、前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置が入力されると、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習されたゲート選出用学習モデルを用いる、
ことを特徴とする請求項7項に記載のゲート案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のゲートのなかからどのゲートを使用したらよいかを案内する、ゲート案内システムおよびゲート案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所には複数のゲートが設けられており、原子力発電所に車両で入構する場合、車両によって入構できるゲートが定められている。例えば、通勤バスや日常的に入構する工事用車両、あるいは一時的に入構する車両は、入構するゲートが定められているが、電力会社の社有車や日常的に入構する普通車両などは、どのゲートからも入構が許可されている。
【0003】
そして、どのゲートからも入構が許可されている車両(フリー車両)の運転者は、従来、周囲の交通状況やゲートの混雑具合などに関わらず、自分でゲートを決めて入構していた。このため、朝の通勤時間帯や特定のゲートで警備員による本人確認や搬入物品確認などが行われている場合には、渋滞が発生して円滑な入構ができなかった。
【0004】
一方、複数の入場ゲートを有する駐車場において、車両をスムーズに入場ゲートまで誘導できる、という駐車場案内装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置は、到着予定時刻または所定の範囲内に入った時間によってグループ分けした上で入場ゲートを決め、駐車場周辺のノードに対して渋滞基準を設けて渋滞ノードの発生を予測する。そして、渋滞ノードを迂回させたい利用者端末に対してだけ渋滞予測情報を送るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-64719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置では、すべての車両がどのゲートからも入場できることを前提にするのに対して、原子力発電所では、上記のように、一部の車両に対して入構できるゲートが規制されているため、特許文献1の装置を原子力発電所に適用することができない。また、特許文献1の装置では、到着予定時刻または所定の範囲内に入った時間によって入場ゲートを決めるだけであり、周囲の交通状況やゲートの混雑具合などに基づいた適正なゲートを案内することはできない。
【0007】
そこで本発明は、一部の車両に対して使用できるゲートが規制されている場合であっても、適正なゲートを案内可能なゲート案内システムおよびゲート案内プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、施設に複数のゲートが設けられ、使用許可されたゲートが限られている車両である規制車両と、どのゲートも使用許可されている車両であるフリー車両とが前記施設を入退出する場合において、前記フリー車両に対してゲートを案内するゲート案内システムであって、前記施設周辺の交通状態を監視する交通監視手段と、前記規制車両の使用許可されたゲートと前記施設への入場予定日時とを含む規制車両情報を記憶する車両情報記憶手段と、前記フリー車両の位置を取得する位置取得手段と、前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置とに基づいて、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートを選出するゲート選出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲート案内システムにおいて、前記規制車両情報として、前記規制車両からの物品の搬出入に関する情報を含む、ことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1に記載のゲート案内システムにおいて、過去の前記施設周辺の交通状態を含む過去情報を記憶する過去情報記憶手段を備え、前記ゲート選出手段は、前記過去情報に基づいて前記ゲートを選出する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載のゲート案内システムにおいて、前記過去情報として、前記交通状態における気象情報を含む、ことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1に記載のゲート案内システムにおいて、前記交通監視手段は、飛行体に配設されたカメラで構成され、前記カメラによる撮影画像に基づいて前記交通状態を監視する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1に記載のゲート案内システムにおいて、前記ゲート選出手段は、前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置が入力されると、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習されたゲート選出用学習モデルを用いる、ことを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、施設に複数のゲートが設けられ、使用許可されたゲートが限られている車両である規制車両と、どのゲートも使用許可されている車両であるフリー車両とが前記施設を入退出する場合において、前記フリー車両に対してゲートを案内するためのゲート案内プログラムであって、コンピュータを、前記規制車両の使用許可されたゲートと前記施設への入場予定日時とを含む規制車両情報を記憶する車両情報記憶手段と、前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置とに基づいて、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートを選出するゲート選出手段、として機能させることを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項7に記載のゲート案内システムにおいて、前記規制車両情報として、前記規制車両からの物品の搬出入に関する情報を含む、ことを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項7に記載のゲート案内システムにおいて、コンピュータを、過去の前記施設周辺の交通状態を含む過去情報を記憶する過去情報記憶手段として機能させ、前記ゲート選出手段は、前記過去情報に基づいて前記ゲートを選出する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項9に記載のゲート案内システムにおいて、前記過去情報として、前記交通状態における気象情報を含む、ことを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項7に記載のゲート案内システムにおいて、前記ゲート選出手段は、前記施設周辺の交通状態と前記規制車両情報と前記フリー車両の位置が入力されると、前記フリー車両が前記施設に円滑に入退出できるゲートが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習されたゲート選出用学習モデルを用いる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1および請求項7に記載の発明によれば、施設周辺のどこで渋滞が生じているか、どのゲートで混雑しているかなどの交通状態と、規制車両がどのゲートを使用でき、いつ施設へ入場するかなどの規制車両情報と、フリー車両の位置とに基づいて、フリー車両が施設に円滑に入退出できるゲートが選出される。このため、規制車両とフリー車両とが施設を入退出する場合、つまり、一部の車両に対して使用できるゲートが規制されている場合であっても、適正なゲートを案内することが可能となる。
【0020】
請求項2および請求項8に記載の発明によれば、規制車両情報として、規制車両からの物品の搬出入に関する情報が含まれるため、物品の搬出入に要する時間を加味して施設からの退出時間を予測することが可能となる。この結果、予測した退出時間において、フリー車両に対して適正なゲートを案内することが可能となる。
【0021】
請求項3および請求項9に記載の発明によれば、過去に施設周辺のどこで渋滞が生じたか、どのゲートで混雑したかなどの交通状態を含む過去情報に基づいて、ゲートが選出されるため、過去の交通状態などを考慮した適正なゲートを案内することが可能となる。
【0022】
請求項4および請求項10に記載の発明によれば、過去情報として、交通状態における気象情報が含まれるため、どのような気象状況で、いつどこで渋滞するかなどを把握して、気象状況に基づいて適正なゲートを案内することが可能となる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、飛行体に配設されたカメラによる撮影画像に基づいて交通状態が監視されるため、渋滞状況などを上空から適正に監視・把握できるとともに、道路の積雪や凍結などを監視して、安全、適正なゲートを案内することが可能となる。
【0024】
請求項6および請求項11に記載の発明によれば、機械学習されたゲート選出用学習モデルを用いて、フリー車両が施設に円滑に入退出できるゲートが出力されるため、より適正なゲートを案内することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】この発明の実施の形態に係るゲート案内システムを示す概略構成図である。
図2図1のゲート案内システムの案内コンピュータを示す概略構成ブロック図である。
図3図2の案内コンピュータの車両情報データベースのデータ構成を示す図である。
図4図2の案内コンピュータのゲート選出用学習モデルの概略構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0027】
図1は、この発明の実施の形態に係るゲート案内システム1を示す概略構成図である。このゲート案内システム1は、施設に複数のゲートが設けられ、使用許可されたゲートが限られている車両である規制車両と、どのゲートも使用許可されている車両であるフリー車両とが施設を入退出する場合において、フリー車両に対してゲートを案内するシステムである。この実施の形態では、施設が原子力発電所Pで、原子力発電所Pを運用する電力会社がゲート案内システム1を運用する場合について、主として説明する。
【0028】
すなわち、原子力発電所Pに2つのゲートG1、G2が設けられ、通勤バスや日常的に入構・入場する工事用車両、あるいは一時的に入構する車両などは、規制車両C2として使用できるゲートが第2のゲートG2に限られている。一方、電力会社の社有車や日常的に入構する普通車両(通勤車両等)などは、フリー車両C1としてどちらのゲートG1、G2も使用許可されている。また、規制車両C2のうち通勤バスや日常的に入構する工事用車両は、原子力発電所Pに入退出する時間帯が予め決まっており、一時的に入構する車両が原子力発電所Pに入構する場合には、入場予定日時や物品の搬出入の有無などを事前に原子力発電所Pに申請する必要があるものとする。
【0029】
このように、この実施の形態では、原子力発電所Pに2つのゲートG1、G2が設けられている場合について説明するが、3つ以上のゲートを有する場合であってもよい。また、すべての規制車両C2が第2のゲートG2のみを使用できる場合について説明するが、規制車両C2のそれぞれに対して異なるゲートを使用できるようにしてもよい。
【0030】
ゲート案内システム1は、主として、カメラ(交通監視手段)21を搭載したドローン(飛行体)2と、原子力発電所Pに設けられた案内コンピュータ3とを備え、ドローン2と案内コンピュータ3とが通信自在に接続されている。さらに、案内コンピュータ3は、各フリー車両C1と通信自在となっている。
【0031】
すなわち、各フリー車両C1には、通信装置とGPS(Global Positioning System、位置取得手段)が搭載され、各フリー車両C1の現在位置を案内コンピュータ3でリアルタイムに取得・知得できるようになっている。また、後述するようにして案内コンピュータ3で選出されたゲートG1、G2が各フリー車両C1に送信され、各フリー車両C1に搭載されたディスプレイに選出されたゲートG1、G2が表示されたり、スピーカーから音声出力されたりして案内されるようになっている。なお、このような通信装置やGPS、ディスプレイなどを既存・既設のカーナビゲーション装置で構成してもよい。
【0032】
ドローン2は、原子力発電所Pの周辺上空を飛行する無人航空機で、この実施の形態では、所定の飛行ルート・航路を繰り返し自動飛行するが、人が遠隔操縦するようにしてもよい。また、搭載したカメラ21で常時原子力発電所Pの周辺を撮影し、撮影画像をリアルタイムに案内コンピュータ3に送信することで、案内コンピュータ3において原子力発電所P周辺の交通状態を取得・監視できるようになっている。このように、ドローン2に搭載されたカメラ21によって交通監視手段が構成されている。ここで、原子力発電所Pの規模やゲートの数などに応じて、複数のドローン2を飛行させてもよい。
【0033】
案内コンピュータ3は、各フリー車両C1に対してどのゲートG1、G2を使用したらよいかを選出、案内したりするコンピュータであり、図2に示すように、主として、入力部31と、表示部32と、通信部33と、記憶部34と、ゲート選出タスク(ゲート選出手段)35と、学習タスク36と、これらを制御などする中央処理部37と、を備える。
【0034】
入力部31は、各種情報や指令などを入力するためのインターフェイスであり、具体的には、後述する車両情報データベース341に規制車両情報を入力したり、ゲート選出タスク35の起動指令を入力したりする。表示部32は、各種データや情報などを表示するディスプレイであり、具体的には、ドローン2からの撮影画像を表示したり、入力部31で指定された規制車両C2の規制車両情報を表示したりする。通信部33は、インターネット網や電話通信網などを介して外部と通信するためのインターフェイスであり、具体的には、ドローン2から撮影画像を受信したり、各フリー車両C1から位置情報を受信したり、後述するようにして選出したゲートG1、G2を各フリー車両C1に送信したりする。また、通信部33は、外部(気象情報システムなど)から気象情報を取得するようになっている。
【0035】
記憶部34は、主として、車両情報データベース(車両情報記憶手段)341と、過去情報データベース(過去情報記憶手段)342と、ゲート選出用学習モデル343と、ゲート選出用実績データベース344と、を備える。ここでは、車両情報データベース341と過去情報データベース342について説明し、ゲート選出用学習モデル343とゲート選出用実績データベース344については後述する。
【0036】
車両情報データベース341は、規制車両C2の使用許可されたゲートG1、G2と、原子力発電所Pへの入場予定日時とを含む規制車両情報を記憶するデータベースである。すなわち、規制車両C2に関する情報が記憶され、この実施の形態では、上記のように、通勤バスや日常的に入構する工事用車両は、原子力発電所Pに入退出する時間帯(入場予定日時)や使用許可されたゲートG1、G2が予め決まっており、この入場予定日時やゲートG1、G2が車両の識別情報(ナンバープレート等)などとともに記憶されている。一方、一時的に入構する車両は、上記のように、事前に原子力発電所Pの入退出管理システムに申請するため、この申請時の情報に基づいて規制車両情報が記憶される。
【0037】
具体的には、図3に示すように、車両ID3411ごとに、車種3412、所属3413、入場予定3414、ゲート3415、その他3416が記憶されている。車両ID3411には、車両の識別情報、つまり、ナンバープレート・自動車登録番号などが記憶され、車種3412には、車両の種類、例えば、普通乗用車、重機車両などが記憶されている。所属3413には、車両を所有、使用する事業者名、団体名などが記憶され、入場予定3414には、原子力発電所Pへの入場予定日時が記憶されている。ゲート3415には、この車両に対して使用が許可されたゲートの識別情報、つまり、第1のゲートG1か第2のゲートG2かが記憶されている。その他3416には、この車両からの物品の搬出入に関する情報、例えば、どのような物品を搬入、搬出するか、搬入、搬出にどのくらいの時間を要するか、などが記憶されている。
【0038】
過去情報データベース342は、過去の原子力発電所P周辺の交通状態を含む過去情報、つまり、過去に原子力発電所P周辺のどこでいつ渋滞が生じたか、どのゲートG1、G2でいつ混雑したか、などを記憶するデータベースである。すなわち、月ごとや曜日ごと、天候・気象情報などに応じて、原子力発電所P周辺の交通状態・渋滞状況や各ゲートG1、G2の混雑状況などが過去どうであったかが記憶されている。例えば、週初めには日常的に入構する工事用車両や一時的に入構する工事用車両が特に多くなる、雨天や降雪時には作業用の規制車両C2が少なく、フリー車両C1が多く晴天時での通勤時間帯よりも早い時間に通勤する、協力会社の車両は定時(例えば、17時)に帰ることが多いが、通勤車両は帰る時間がまちまちである、重機車両が通る場合には渋滞が生じる場合が多い、などの過去情報が過去の実績に基づいて記憶されている。
【0039】
ゲート選出タスク35は、原子力発電所P周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の現在位置とに基づいて、フリー車両C1が原子力発電所Pに円滑に入場または退出できるゲートG1、G2を選出するタスク・プログラムであり、過去情報を参考にしてゲートG1、G2を選出する。すなわち、原子力発電所P周辺のどこで渋滞が生じているか、あるいは渋滞が生じるか、どのゲートで混雑しているか、あるいは混雑するか、などの交通状態と、どんな規制車両C2がどのゲートG1、G2を使用でき、いつ原子力発電所Pに入場するかなどの規制車両情報と、フリー車両C1の現在位置と、過去に原子力発電所P周辺のどこでいつ渋滞が生じたか、どのゲートG1、G2でいつ混雑したか、どんな天候のときにどこで渋滞が生じたか、などの過去情報とに基づいて、フリー車両C1が原子力発電所Pに円滑に入退出できるゲートG1、G2を選出する。
【0040】
このゲート選出タスク35は、常に起動されてもよいし、毎日所定の時間帯(例えば、通勤および退所時間帯)に起動されてもよいし、入力部31で起動指令が入力された際に起動されてもよい。また、すべてのフリー車両C1をゲートG1、G2の選出、案内対象としてもよいし、一部のフリー車両C1のみ、例えば、ゲート案内システム1によるゲート案内サービスを受けることを申し出たフリー車両C1のみを選出、案内対象としてもよい。
【0041】
ゲート選出タスク35は、まず、ドローン2から受信した原子力発電所P周辺の撮影画像を画像解析して、原子力発電所P周辺の交通状態を取得・監視する。例えば、原子力発電所P周辺のどこで渋滞が生じているか、どのゲートG1、G2で混雑しているか、どんな車両が走行しているか、道路が凍結しているか積雪があるかなどを把握する。また、各フリー車両C1から受信した位置情報に基づいて、各フリー車両C1の現在位置を把握する。
【0042】
そして、取得した交通状態や各フリー車両C1の現在位置と、規制車両C2に関する情報とに基づいて、各フリー車両C1に案内すべきゲートG1、G2を選出する。例えば、次のように選出する。
【0043】
a)あるフリー車両C1の現在位置が第2のゲートG2に近いが、第2のゲートG2に向かう車両C1、C2が多い場合や、規制車両情報の入場予定日時によるとこの時間帯で原子力発電所Pに入場する規制車両C2が多くなる場合、過去情報によると当該曜日のこの時間帯で第2のゲートG2で混雑する場合などには、このフリー車両C1に対して第1のゲートG1を選出する。
【0044】
b)雨天の場合には、作業用の規制車両C2が少なく、フリー車両C1が多くいつもより早い時間に通勤する、という過去情報に基づいて、多くのフリー車両C1が両ゲートG1、G2に均等に割り付けられるように、ゲートG1、G2を選出する。この際、過去情報によると駐車場に近い第1のゲートG1を使用するフリー車両C1が多い場合、できるだけ多くのフリー車両C1に対して第2のゲートG2を選出する。
【0045】
c)現在第2のゲートG2に向かう車両C1、C2が少ないが、規制車両情報によるとこの後重機車両の規制車両C2が複数入場する場合、重機車両が通る場合には渋滞が生じる場合が多い、という過去情報に基づいて、フリー車両C1に対して第1のゲートG1を選出する。
【0046】
d)第2のゲートG2に向かう規制車両C2のなかにコンクリートミキサー車がある場合には、第2のゲートG2での混雑を避けるために、たとえ現在第2のゲートG2が混雑していなくても、できるだけ多くのフリー車両C1に対して第1のゲートG1を選出する。
【0047】
e)交通状態から緊急車両が第1のゲートG1に向かっている場合には、できるだけ多くのフリー車両C1に対して第2のゲートG2を選出する。
【0048】
f)第1のゲートG1に向かう道路に坂道があり、道路が凍結、積雪している場合には、たとえ現在第1のゲートG1に向かうフリー車両C1が少なくとも、スリップ事故などを防止するために、できるだけ多くのフリー車両C1に対して第2のゲートG2を選出する。
【0049】
g)退出時においては、多くの協力会社の規制車両C2が入場している場合には、協力会社の車両は定時に帰ることが多い、という過去情報に基づいて、定時時間帯に退出するフリー車両C1に対して第1のゲートG1を選出する。
【0050】
h)規制車両情報における物品の搬出入に関する情報に基づいて、物品の搬出入に要する時間を加味して退出時間帯を予測し、その退出時間帯に退出するフリー車両C1に対しては、第1のゲートG1を選出し、その退出時間帯以外に退出するフリー車両C1に対しては、両ゲートG1、G2に均等に割り付ける。
【0051】
このようなゲート選出タスク35は、原子力発電所P周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の現在位置が入力されると、フリー車両C1が原子力発電所Pに円滑に入退出できるゲートG1、G2が出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習されたゲート選出用学習モデル343を用いる。このゲート選出用学習モデル343は、学習タスク36によって作成される。
【0052】
すなわち、学習タスク36は、ゲート選出用実績データベース344に記録・蓄積されている過去の実績データを用いて、ニューラルネットワーク等の公知の機械学習アルゴリズムによりゲート選出用学習モデル343を作成する。このゲート選出用実績データベース344は、入力情報としての原子力発電所P周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の現在位置と、実際に生じた渋滞やゲートG1、G2の混雑具合に基づいてフリー車両C1が原子力発電所Pに円滑に入退出できたと検証(事後確認)されたゲートG1、G2である結果と、を含む実績データが記録・蓄積されているデータベースである。なお、過去の実績データには、実際の交通状態や規制車両情報などと、実際に生じた渋滞などから検証されたゲートG1、G2に基づいて作成されたデータの他、事前訓練などで作成されたデータ(原子力発電所Pのベテラン所員や渋滞予測の有識者・専門家などが、円滑に入退出できると割り出したゲートG1、G2)などが含まれる。
【0053】
この学習タスク36は、図4に示すように、ニューラルネットワークを利用した機械学習・深層学習を用い、ゲート選出用実績データベース344に記録されている実績データに基づいて、例えば、原子力発電所P周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の現在位置を入力層、フリー車両C1が円滑に入退出できたと検証されたゲートG1、G2を出力層、入力層から出力層への解析処理を中間層とするニューラルネットワークを作成する。そして、学習タスク36は、ゲート選出用学習モデル343の実績データを学習データとして用いて、中間層における各種パラメータについて学習を行う。すなわち、学習タスク36は、原子力発電所P周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の現在位置とに基づいて、円滑に入退出できるゲートG1、G2が適正に出力されるように、中間層における各種パラメータの学習を行う。
【0054】
以上のように、このゲート案内システム1によれば、原子力発電所Pに入場しようとするフリー車両C1や、原子力発電所Pから退出しようとするフリー車両C1に対して、どのゲートG1、G2を使用したらよいかが選出され、フリー車両C1に送信、案内される。この際、原子力発電所P周辺のどこで渋滞が生じているか、どのゲートG1、G2で混雑しているかなどの交通状態と、規制車両C2がどのゲートG1、G2を使用でき、いつ原子力発電所Pへ入場するかなどの規制車両情報と、フリー車両C1の位置とに基づいて、フリー車両C1が原子力発電所Pに円滑に入退出できるゲートG1、G2が選出される。このため、規制車両C2とフリー車両C1とが原子力発電所Pを入退出する場合、つまり、一部の車両に対して使用できるゲートG1、G2が規制されている場合であっても、適正なゲートG1、G2を案内することが可能となる。
【0055】
また、規制車両情報として、規制車両C2からの物品の搬出入に関する情報が含まれるため、物品の搬出入に要する時間を加味して原子力発電所Pからの退出時間を予測することが可能となる。この結果、予測した退出時間において、フリー車両C1に対して適正なゲートG1、G2を案内することが可能となる。
【0056】
また、過去に原子力発電所P周辺のどこで渋滞が生じたか、どのゲートG1、G2で混雑したかなどの交通状態を含む過去情報に基づいて、ゲートG1、G2が選出されるため、過去の交通状態などを考慮した適正なゲートG1、G2を案内することが可能となる。
【0057】
また、過去情報として、交通状態における気象情報が含まれるため、どのような気象状況で、いつどこで渋滞するかなどを把握して、気象状況に基づいて適正なゲートG1、G2を案内することが可能となる。
【0058】
また、ドローン2に配設されたカメラ21による撮影画像に基づいて交通状態が監視されるため、渋滞状況などを上空から適正に監視・把握できるとともに、道路の積雪や凍結などを監視して、安全、適正なゲートG1、G2を案内することが可能となる。
【0059】
また、機械学習されたゲート選出用学習モデル343を用いて、フリー車両C1が原子力発電所Pに円滑に入退出できるゲートG1、G2が出力されるため、より適正なゲートG1、G2を案内することが可能となる。
【0060】
以上、この発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、ドローン2に搭載されたカメラ21によって交通監視手段が構成されているが、道路に設置された交通量計測装置・カメラなどで交通監視手段を構成してもよい。また、施設が原子力発電所Pの場合について説明したが、その他の施設にも適用できることは勿論である。
【0061】
一方、次のようなゲート案内プログラムを汎用のコンピュータにインストールすることで、上記のようなゲート案内システム1や案内コンピュータ3を構成してもよい。すなわち、コンピュータを、施設に複数のゲートが設けられ、使用許可されたゲートが限られている車両である規制車両C2と、どのゲートも使用許可されている車両であるフリー車両C1とが施設を入退出する場合において、フリー車両C1に対してゲートを案内するためのゲート案内プログラムであって、コンピュータを、規制車両C2の使用許可されたゲートと施設への入場予定日時とを含む規制車両情報を記憶する車両情報記憶手段(車両情報データベース341)と、過去の施設周辺の交通状態を含む過去情報を記憶する過去情報記憶手段(過去情報データベース342)と、施設周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の位置とに基づいて、フリー車両C1が施設に円滑に入退出できるゲートを選出するゲート選出手段(ゲート選出タスク35)、として機能させ、規制車両情報として、規制車両C2からの物品の搬出入に関する情報を含み、過去情報として、過去の交通状態における気象情報を含み、ゲート選出手段は、過去情報に基づいてゲートを選出するとともに、施設周辺の交通状態と規制車両情報とフリー車両C1の位置が入力されると、フリー車両C1が施設に円滑に入退出できるゲートが出力されるように、過去の実績データに基づいて機械学習されたゲート選出用学習モデル343を用いる。
【符号の説明】
【0062】
1 ゲート案内システム
2 ドローン(飛行体)
21 カメラ(交通監視手段)
3 案内コンピュータ
341 車両情報データベース(車両情報記憶手段)
342 過去情報データベース(過去情報記憶手段)
343 ゲート選出用学習モデル
344 ゲート選出用実績データベース
35 ゲート選出タスク(ゲート選出手段)
P 原子力発電所(施設)
C1 フリー車両
C2 規制車両
G1 第1のゲート
G2 第2のゲート
図1
図2
図3
図4