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▶ 衛藤 武志の特許一覧

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  • 特開-繊維強化プラスチック配筋材 図1
  • 特開-繊維強化プラスチック配筋材 図2
  • 特開-繊維強化プラスチック配筋材 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024030235
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】繊維強化プラスチック配筋材
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/07 20060101AFI20240229BHJP
   B29C 70/20 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
E04C5/07
B29C70/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022132945
(22)【出願日】2022-08-24
(71)【出願人】
【識別番号】515179358
【氏名又は名称】衛藤 武志
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 武志
【テーマコード(参考)】
2E164
4F205
【Fターム(参考)】
2E164AA05
2E164BA06
2E164CB11
4F205AC05
4F205AD16
4F205AG01
4F205AH47
4F205HA06
4F205HA37
4F205HC02
4F205HC03
4F205HF05
4F205HM02
(57)【要約】
【課題】繊維強化プラスチック配筋材に屈曲性を付与することができ繊維束の本数で耐力の調整ができることと耐力の異なる格子状パネルを編成できる、繊維強化プラスチック配筋材。
【解決手段】高ヤング率の繊維と可撓性樹脂とで長繊維束を形成して帯状の配筋材を編成することで配筋材に屈曲性を付与できる。また、前記長繊維束を拘束する緯糸を切断することにより繊維束の本数を変えて前記配筋材の耐力の調整ができる。また、前記配筋材を格子状に接合する過程で前記配筋材の間隔を変えることで異なる耐力のパネルを編成できる、小断面の繊維強化プラスチック配筋材。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高ヤング率の繊維からなる長繊維束と可撓性樹脂で形成された一軸方向の帯状の配筋材であることを特徴とする、繊維強化プラスチック配筋材
【請求項2】
前記配筋材はフィラメントを所定の本数に束ねた無撚または有撚の長繊維束を緯糸で連結しており、長繊維束は一定量の可撓性樹脂を含侵して形成される、請求項1に記載の繊維強化プラスチック配筋材。
【請求項3】
前記配筋材は長繊維束を拘束している緯糸を切断することで長繊維束の本数を変えて帯状の配筋材の耐力を調整することができる、請求項1に記載の繊維強化プラスチック配筋材。
【請求項4】
前記配筋材は互いにタテ方向とヨコ方向に交差させることで格子状のパネルに編成することができ、タテ方向とヨコ方向の配筋材の互いの間隔を変えることで耐力の異なるパネルを編成することができる、請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維強化プラスチック配筋材
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する発明は、繊維強化プラスチック配筋材に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄筋コンクリートの補強に於いて、その躯体の体積や自重の増加に制限がある場合は補強が困難となる。
【0003】
鉄筋や繊維強化プラスチックロッドは棒状の補強材を格子状に組み立てるので厚みが生じるから、コンクリート量も多くなり躯体の体積や重量が増加する。
【0004】
繊維強化プラスチックロッドや格子状に形成した繊維強化プラスチックの補強材は現場での補強材の折り曲げ加工やフック加工の屈曲加工ができないので付設が困難となる。
【0005】
メッシュ状の金網や繊維ネットは扱いが容易であるが、線径が小径であるから耐力の大きい鉄筋の代替には使えない。
【0006】
特許文献1には、鉄筋補強構造及び鉄筋補強方法の実施形態2に既存の鉄筋コンクリートのかぶり厚の部位をハツリ、その空間に鉄筋補強材を配設する方法が開示されている。しかし、かぶり厚さは薄いので鉄筋補強材では、その空間に内封することは困難である。繊維強化プラスチック配筋材であれば小容量で高い耐力を発現するからハツリ空間内での適用が可能となる。
【0007】
特許文献2には、構造物にスリット穴を設け、その中に格子状部材を配設して、充填材をスリット空間に充填する方法が開示されている。格子状部材の厚みは10ミリ程なので小容量化が可能である。しかし、格子状部材は現場での曲げ加工やフック加工などの屈曲加工ができないので適用範囲が限られる。しかし、繊維強化プラスチック配筋材であれば現場で屈曲加工ができるから広範囲に付設できると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2020-26652
【特許文献2】特開2014-70389
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上の背景に鑑みて本発明は、高ヤング率の繊維強化プラスチックで編成された帯状の配筋材に屈曲性を付与することと繊維束の本数で耐力の調整ができる構成と耐力の異なる格子状パネルを容易に生産可能な小断面の繊維強化プラスチック配筋材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材は、高ヤング率の繊維からなる帯状の配筋材であり一軸方向繊維と可撓性樹脂で編成されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材は、フィラメントを所定の本数に束ねた無撚または有撚の長繊維束を緯糸で連結した帯状の配筋材である。好ましくは長繊維束の引張強度は3000N以上5000N以下がよく、緯糸の引張強度は300N以上500N以下がよく、緯糸が繊維束を拘束する間隔は3ミリ以上10ミリ以下がよい。
【0012】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材の長繊維束は一定量の可撓性樹脂を含侵して形成されている。
【0013】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材は、長繊維束を拘束している緯糸を切断することで長繊維束の本数をもって帯状の配筋材の耐力を調整することができる。
【0014】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材は、帯状の配筋材を互いにタテ方向とヨコ方向に交差させることで格子状のパネルに編成することができる。その交点は接着または金属ピン、あるいは非金属ピン、あるいは縫製、あるいはその両方で互いに接合されている。
【0015】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材は、配筋材のタテ方向とヨコ方向の配筋材の互いの間隔の距離を変えることで耐力の異なるパネルを生産することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材は、高ヤング率の繊維強化プラスチックで編成された帯状の配筋材に屈曲性を付与することと繊維束の本数で耐力の調整ができる構成と耐力の異なる格子状パネルを容易に生産可能な小断面の繊維強化プラスチック配筋材を編成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る繊維強化プラスチック配筋材の部分詳細図。
図2】実施形態に係る繊維強化プラスチック配筋材の格子状パネルの平面図
図3】実施形態に係る繊維強化プラスチック配筋材を鉄筋コンクリートのかぶり厚の部位をハツリ、その空間に配筋材を配設している図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材の実施形態について、図1に配筋材を詳細図で示している。所定の本数に束ねた繊維と可撓性樹脂で形成されている長繊維束1、を互いに緯糸2、で連結した帯状の配筋材3、4、である。帯状の配筋材は緯糸2、を切断することで長繊維束1、の本数を調整できる。帯状の配筋材3、4、はタテ方向およびヨコ方向に配設して接合5、することができる。
【0019】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材の実施形態について、図2に格子状パネルを平面図で示している。帯状の配筋材3、4、を互いにタテ方向とヨコ方向に交差させることで格子状のパネルに編成することができる。その交点は接着または金属ピン、あるいは非金属ピン、あるいは縫製、あるいはその両方で互いに接合5、されており、配筋材のタテ方向とヨコ方向の間隔を変えることで耐力の異なるパネルを編成することができる。
【0020】
本発明に係る繊維強化プラスチック配筋材の実施形態について、図3に繊維強化プラスチック配筋材を鉄筋コンクリートに配設している形態を断面図で示している。鉄筋コンクリートのコンクリート部を鉄筋材6、7、の直下までハツリ、その空隙に格子状パネルに加工された帯状の配筋材3、4、を鉄筋材の上に配設する。屈曲加工有の配筋材4bは定着力を持たせるために鉄筋材6、にフック状に屈曲加工して組まれる。流動性硬化材9、を打設することで繊維強化コンクリートを編成する。
【符号の説明】
【0021】
1 長繊維束
2 緯糸
3 帯状の配筋材(タテ方向)
4 帯状の配筋材(ヨコ方向)
4a 屈曲加工無の配筋材
4b 屈曲加工有の配筋材
5 接合部
6 鉄筋材(タテ方向)
7 鉄筋材(ヨコ方向)
8 コンクリート
9 流動性硬化材
図1
図2
図3