(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024031969
(43)【公開日】2024-03-07
(54)【発明の名称】内部コリメート及び外部コリメートを用いるX線システム
(51)【国際特許分類】
H01J 35/14 20060101AFI20240229BHJP
H01J 35/16 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01J35/14
H01J35/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023137387
(22)【出願日】2023-08-25
(31)【優先権主張番号】63/401,271
(32)【優先日】2022-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517023736
【氏名又は名称】ヴァレックス イメージング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイヴ カーカム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】X線ビームが真空外囲器内で重なり合う場合でもFOVの制御を可能にする内部コリメート及び外部コリメートを実現する。
【解決手段】真空外囲器と、真空外囲器内に配置された複数の電子源と、真空外囲器内で平面アレイ状に配置された複数の焦点を有する少なくとも1つのターゲットを含むアノードであって、各焦点が、電子源の対応する1つからの電子ビームを受けてX線ビームを発生させるように構成される、アノードと、真空外囲器内に配置された複数の第1のコリメータであって、各第1のコリメータが、焦点の対応する1つに関連付けられ、対応する焦点のX線ビームをコリメートするように構成される、複数の第1のコリメータと、真空外囲器の外被と一体化された、または真空外囲器の外部にある第2のコリメータであって、X線ビームのそれぞれをコリメートするように構成される、第2のコリメータと、を備える、X線システムを含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空外囲器と、
前記真空外囲器内に配置された複数の電子源と、
前記真空外囲器内で平面アレイの形状に配置された複数の焦点を有する少なくとも1つのターゲットを含むアノードであって、各焦点が、前記複数の電子源の対応する1つからの電子ビームを受けてX線ビームを発生させるように構成される、前記アノードと、
前記真空外囲器内に配置された複数の第1のコリメータであって、各第1のコリメータが、前記複数の焦点の対応する1つに関連付けられ、前記対応する焦点のX線ビームをコリメートするように構成される、前記複数の第1のコリメータと、
前記真空外囲器の外被と一体化された、または前記真空外囲器の外部にある第2のコリメータであって、前記第2のコリメータが、前記X線ビームのそれぞれをコリメートするように構成される、前記第2のコリメータと、
を備える、X線システム。
【請求項2】
前記第2のコリメータは、前記平面アレイの平面に対して実質的に垂直な第1の平面内のみで実質的にコリメートするように構成される、請求項1に記載のX線システム。
【請求項3】
少なくとも1つの前記X線ビームの視野(FOV)は、前記複数の第1のコリメータによってコリメートされた後に、前記真空外囲器内で、別の1つの前記X線ビームのFOVと重なる、請求項1に記載のX線システム。
【請求項4】
前記第2のコリメータは、前記真空外囲器の前記外被と一体化される、請求項1に記載のX線システム。
【請求項5】
前記第2のコリメータは、前記真空外囲器の外部にある、請求項1に記載のX線システム。
【請求項6】
前記第2のコリメータは、第1のストリップ及び第2のストリップを備え、
前記第1のストリップは、前記第2のストリップからオフセットされて、開口部を画定し、
前記第1のストリップ及び前記第2のストリップのそれぞれが、
前記コリメートを実行するように構成された材料を含み、
前記平面アレイの平面に対して実質的に平行である、請求項1に記載のX線システム。
【請求項7】
前記複数の第1のコリメータは、前記アノードと一体化される、請求項1に記載のX線システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つのターゲットの前記焦点は、非直線アークに沿って配置される、請求項1に記載のX線システム。
【請求項9】
X線検出器をさらに備えており、
前記第2のコリメータ及び前記対応する第1のコリメータによるコリメート後の前記X線ビームの大部分の視野が、前記X線検出器の検出器エリアと実質的に一致する、請求項1に記載のX線システム。
【請求項10】
前記複数の電子源と前記アノードとの間に配置された囲い板をさらに備える、請求項1に記載のX線システム。
【請求項11】
前記真空外囲器は、前記X線ビームのそれぞれが連続窓を通過するように配置された前記連続窓を備える、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のX線システム。
【請求項12】
前記第2のコリメータは、前記連続窓の下流に配置され、及び/または
前記第2のコリメータは、前記連続窓を支持するように構成される、請求項11に記載のX線システム。
【請求項13】
前記アノードは、コリメート材料の連続ストリップを含み、
前記複数の第1のコリメータのそれぞれは、前記連続ストリップ内に形成される、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のX線システム。
【請求項14】
前記連続ストリップが、各X線ビームのために、
前記平面アレイの平面に実質的に平行である第1の表面と、
前記第1の表面に実質的に垂直である第2の表面と、
前記第1の表面に実質的に垂直である第3の表面と、
を備える、請求項13に記載のX線システム。
【請求項15】
前記第1の表面、前記第2の表面、及び前記第3の表面は、前記複数の電子源に向かう方向に向かって開かれているチャネルを形成する、請求項14に記載のX線システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのターゲットは複数のターゲットを含み、各ターゲットが前記焦点の1つに対応しており、
前記アノードは複数の開口部を含み、各開口部が、前記ターゲットの1つ及び前記対応する焦点に対応しているとともに、前記複数の電子源の前記対応する1つから前記焦点に前記電子ビームを入れるように構成されており、
前記チャネルのそれぞれは、前記アノードの対応する開口部と連続している、請求項15に記載のX線システム。
【請求項17】
真空外囲器内で複数のX線ビームを発生させることと、
前記真空外囲器内で複数の第1のコリメータを用いて前記複数のX線ビームをコリメートすることと、
前記コリメートされたX線ビームのそれぞれを、前記真空外囲器の外被と一体化された、または前記真空外囲器の外部にある第2のコリメータを用いてコリメートすることと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記真空外囲器内で前記複数の第1のコリメータを用いて前記複数のX線ビームをコリメートすることは、少なくとも1つの前記コリメートされたX線ビームの視野(FOV)が、前記真空外囲器内で、別の1つの前記コリメートされたX線ビームのFOVと重なるように、前記真空外囲器内で前記複数の第1のコリメータを用いて前記複数のX線ビームをコリメートすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
真空外囲器内で複数のX線ビームを発生させる手段と、
前記真空外囲器内で前記複数のX線ビームのそれぞれをコリメートする手段と、
前記真空外囲器で、または前記真空外囲器の外部で、前記複数のX線ビームのそれぞれをコリメートする手段と、
を備える、X線システム。
【請求項20】
前記真空外囲器内で前記複数のX線ビームのそれぞれをコリメートする前記手段が、さらに、
少なくとも1つの前記コリメートされたX線ビームの視野(FOV)が、前記真空外囲器内で、別の1つの前記コリメートされたX線ビームのFOVと重なるように、前記X線ビームのそれぞれをコリメートする手段
を備える、請求項19に記載のX線システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
X線システム内で使用されるX線管は、複数のターゲットまたはターゲット上の複数の焦点を有するアノードを含み得る。複数のX線ビームは、ターゲット上または別個のターゲット上の複数の焦点から生成され得る。X線ビームは、X線ビームの視野(FOV)を制御するためにコリメートされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1A】いくつかの実施形態によるX線システムのブロック図である。
【
図1B】いくつかの実施形態によるX線システムのブロック図である。
【
図1C】いくつかの実施形態によるX線システムのブロック図である。
【
図1D】いくつかの実施形態によるX線システムのブロック図である。
【
図2】いくつかの実施形態によるX線システムのX線窓及びコリメータのブロック図である。
【
図3A】いくつかの実施形態によるX線管のアノードの様々な図である。
【
図3B】いくつかの実施形態によるX線管のアノードの様々な図である。
【
図3C】いくつかの実施形態によるX線管のアノードの様々な図である。
【
図4】いくつかの実施形態による非直線アノードを備えるX線システムのブロック図である。
【
図5】いくつかの実施形態によるX線システムの動作のフローチャートである。
【
図6】いくつかの実施形態によるX線撮影システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
いくつかの実施形態は、内部コリメート及び外部コリメートを用いるX線システムに関する。X線システムは、複数のX線源を含み得る。複数のX線源からのX線ビームは、X線検出器などの単一の場所に向けられ得る。X線源の間隔が減少するにつれて、X線ビームは、よりX線源の近くで重なり始める。X線源が十分に近接している場合、X線ビームは、真空外囲器内で重なり合うことがある。本来、各X線ビームをコリメートするのに十分であり得た外部コリメートが、X線検出器上のX線ビームの視野(FOV)に様々に影響を与えることなく行うことができなくなる可能性がある。本明細書で説明される実施形態は、X線ビームが真空外囲器内で重なり合う場合でもFOVの制御を可能にする内部コリメート及び外部コリメートの両方を含む。
【0004】
図1Aから
図1Dは、いくつかの実施形態によるX線システムのブロック図である。
図1Aから
図1Cを参照すると、X線システム100は、アノード101、複数の第1のコリメータ106、第2のコリメータ114、複数の電子源116、及び真空外囲器110を含む。
【0005】
アノード101は、入射電子に応答して複数のX線ビーム108を発生させるように構成されている。アノード101は、複数の焦点104を有する少なくとも1つのターゲット102を含む。各ターゲット102は、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、タングステン(W)、プラチナ(Pt)、炭化ニオブ(NbCまたはNb2C)、炭化タンタル(TaCx)、他のX線発生材料、または入射電子に応答してX線を発生させるように構成されたそれらの組み合わせなどの材料を含む。実施形態では、アノード101は直線アノードであり、アノードの(X軸に沿った)長さがアノードの(Z軸に沿った)幅の5倍、10倍、20倍、または50倍であり、長さ及び幅は(例えば、X-Z平面における)ターゲット側面の寸法に対応する。別の実施形態では、アノード101は湾曲したアノード(非直線)であり、アノードアーク長がアノードアーク幅の5倍、10倍、20倍、または50倍であり、アーク長及びアーク幅は(例えば、X-Z平面における)ターゲット側面の寸法に対応する。焦点104は、電子ビーム116'がターゲット102に当たる、または衝突する領域またはエリアである。ターゲット102は、
図1Aに示すように、複数の焦点104を有する上述の材料を含む連続構造であり得る。いくつかの実施形態では、ターゲット102は、平面及び直線であってもよく、または連続曲線、区分的に線形な曲線、そのような曲線の組み合わせ、または同様の曲線などの曲線であってもよい直線状ターゲットである。連続ターゲットを用いる実施形態では、湾曲ターゲットのアーク長(または直線ターゲットの長さ)は、アーク幅(または幅)の5倍、10倍、20倍、または50倍であり、ここで、アーク長(または長さ)及びアーク幅(または幅)は、電子ビーム116'の大部分を受け取る(例えば、X-Z平面における)側面の寸法に対応する。区分的線形曲線または異なる種類の曲線の組み合わせを用いるいくつかの実施形態では、上述の連続ターゲットと同様の寸法を有することができる。あるいは、ターゲット102は、関連する焦点104より大きくてもよい、それぞれが上述の材料を含む、複数の個別のターゲット要素であってもよい。
【0006】
複数の電子源116のそれぞれは、焦点104のうちの対応する1つに向けられる電子ビーム116'を生成するように構成されている。電子源116は、熱電子エミッタ、低仕事関数(LWF)エミッタ、電界エミッタ、ディスペンサカソード、光エミッタなどを含むことができる。
【0007】
電子源116及びアノード101は、真空外囲器110内に配置される。真空外囲器110は、外部110bから分離された内部110aを真空に維持する構造体である。この例では、電子源116は、電子ビーム116'を概して負のY方向に放出するように配置されている。ターゲット102及び焦点104は、X線ビーム108を概してZ方向に放出するように配置されている。
【0008】
焦点104は、平面アレイ状に配置される。この例では、焦点104は、概してX-Z平面内に配置される。焦点104のそれぞれは、Y-Z平面に対して傾斜していてもよく、すなわち、(
図1Bに示すように)X軸を中心に回転していてもよい。しかし、焦点104は、(例えば、放出されたX線が同じ対象物体及び/またはX線検出器に当たることができるように)X-Z平面内などで、焦点104が互いに平行移動し、場合によっては互いに対して回転するように配置される。
【0009】
各焦点104は、電子源116からの入射電子ビーム116'に応答してX線を生成するように構成されている。X線窓112に向けられたX線部分が、X線ビーム108を構成する。X線ビーム108は、Zが増加するにつれてX方向及びY方向に広がる特定のFOVを有し得る。X線ビーム108が2次元(2D)X線検出器(図示せず)上に投影されるならば、X線ビーム108のFOVは、X線検出器エリアよりも大きくなり得る。したがって、X線ビーム108の一部は患者、物体などを通過し得るが、それらのX線はX線検出器エリアの外側にあるため、X線検出器によって検出することができない。こうした検出されないX線は、X線検出器の画像に対応するより大きな画像または値を失って、より大きな線量になる。
【0010】
X線ビーム108のFOVを制御するために、X線ビーム108はコリメートされ得る。コリメートは、X線ビーム108のFOVがX線検出器のエリアと一致するように狭められるように実行されてもよい。コリメートは、多段式コリメート構造によって実行されてもよい。ある1つのステージは、X線ビーム108をX-Z平面内またはファン角内でコリメートするように構成することができ、また別のステージは、X線ビーム108をY-Z平面内またはコーン角内でコリメートするように構成することができる。
【0011】
第1のコリメータ106は、真空外囲器110内に配置される。各第1のコリメータ106は、焦点104のうちの対応する1つに関連付けられ、対応する焦点104のX線ビーム108をコリメートするように構成される。その結果、焦点104のそれぞれに関連付けられた第1のコリメートX線ビーム108'が得られる。第2のコリメータ114は、ストリップ114a及び114bでもって示され、X線ビーム108'のそれぞれをコリメートするように構成される。すなわち、第2のコリメータ114は、第1のコリメータ106の下流にある。下流はX線ビーム108、108'、108''及び/または電子ビーム116'の方向に従い、上流はX線ビーム108、108'、108''及び/または電子ビーム116'の反対の方向に従う。
【0012】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、真空外囲器110の外被と一体化される。他の実施形態では、第2のコリメータ114は、真空外囲器110の外部にある。
図1Bに示すように、真空外囲器110には、真空を維持するために窓112が組み込まれている。いくつかの実施形態では、窓112はX線に対して実質的に透明である。ここで、実質的にとは、放出される全てのX線の約90パーセンタイルにおけるX線ビームの減衰が、エネルギーで、2%未満、5%未満、または20%未満であることを意味する。例えば、140kVpで動作するX線源の窓112は、140keVから126keVの間などの特定の範囲のエネルギーを有するX線の2%未満、5%未満、または20%未満を減衰させることになる。他の実施形態では、窓112には、真空外囲器110の外被、第2のコリメータ114などよりも2倍、10倍、またはそれ以上に小さいX線ビームの減衰があるなど、窓112が比較的透明であり得る。第2のコリメータ114は、真空外囲器110の外部110b面上にある。第2のコリメータの有無は、真空外囲器110の完全性に影響を及ぼさない。したがって、第2のコリメータ114は、真空外囲器110の外部にあってもよい。第2のコリメータ114が真空外囲器110の外部にあり得る場合の例では、第2のコリメータは、真空に対応しない材料を使用することもできる。いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、真空外囲器110内に(破線で示すように)配置され得るが、第1のコリメータ106からのオフセットが設けられて、引き離されてもよい。ここで、オフセットとは、第1のコリメータ106と(Z方向で)下流の第2のコリメータ114との間の空間を意味する。
【0013】
第1のコリメータ106及び第2のコリメータ114は、様々な材料から形成され得る。例えば、十分な量のX線を阻止できる(X線エネルギーに対して)十分な厚さを有する任意の材料を、第1のコリメータ106及び第2のコリメータ114の一部として使用することができる。そのような材料(コリメート材料)の例としては、鉛(Pb)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ステンレス鋼などが挙げられる。いくつかの実施形態では、第1のコリメータ106及び第2のコリメータ114の材料は同じであってもよいが、他の実施形態では、第1のコリメータ106の材料は第2のコリメータ114の材料と異なっていてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、第1のコリメータ106は、アノード101の近くに配置され、アノード101と一体化され、及び/またはアノード101と同じ電位に配置され得る。第1のコリメータ106がアノード101及び焦点104に近づくほど、X線ビーム108をコリメートするために必要な第1のコリメータ106は小さくなる。その結果、必要な材料が減り、X線システム100の軽量化につながる。より軽いX線システム100は、移動式X線システムに、より適用可能であり得、設置がより容易であり得る。しかしながら、真空外囲器110内のコリメータは、X線システム100が動作中に経験することになる真空レベル及び温度範囲にわたって真空に対応していなければならない。さらに、真空外囲器110内に真空が確立された後に、第1のコリメータ106を変更するか、または修正することは、より困難であるか、または非現実的である場合がある。
【0015】
X線ビーム108のそれぞれは、コリメートを必要とし得る。コリメートは、X-Z平面及びY-Z平面の両方で必要になり得る。第1のコリメータ106は、X-Z平面内でコリメートするように構成することができ、第2のコリメータ114は、Y-Z平面内でコリメートするように構成することができる。しかしながら、焦点104及び関連するX線ビーム108は、コリメート後のX線ビーム108の所望のFOVが真空外囲器110内で重なり合うことができるように、互いに対して配置され得る。真空外囲器110内の第1のコリメータ106により、X線ビーム108の所望のFOVが真空外囲器110内で重なり合うことが可能になる。具体的には、X線ビーム108は、コリメート後に、関連するX線ビーム108''のFOVとなる部分を有し得る。FOV115及びFOV115'は、それぞれ、真空外囲器110内の、FOVが重ならない位置、及びFOVが重なる位置の例を表す。ここで、FOV115は、X方向における関連するX線ビーム108''のFOVを表す。真空外囲器110内の位置では、異なるX線ビーム108'のFOV115は重ならない。しかしながら、真空外囲器110内のFOV115'の位置では、FOV115'は重なる。FOV115'は、重なりを示すために、Z方向にわずかにオフセットされて示されている。異なる焦点104からの所望のFOVを有するX線ビーム108の部分が重なる場合、1つのX線ビーム108を、隣接するX線ビーム108のFOVに影響を与えることなく、コリメートすることはできない。そのために、各第1のコリメータ106が、関連するX線ビーム108をコリメートして、第1のコリメートX線ビーム108'を、隣接する第1のコリメートX線ビーム108'のFOVに影響を与えることなく、生成するように、構成され得るように、第1のコリメータ106は配置される。すなわち、第1のコリメータ106からのコリメートは、FOV115が重なる前の位置で、X線ビーム108に対して実行される。
図1Dは、X線ビーム108'のFOVが真空外囲器110内で重なり合わないX線システム100'を示す。システム100'は、システム100と同様であってもよい。しかしながら、第1のコリメータ106'は、FOV115''が真空外囲器110の外側で重なるように、X線ビーム108をコリメートするように構成されている。例えば、第1のコリメータ106'は、第1のコリメータ106よりも相対的に狭くてもよく、これにより重なりの位置を真空外囲器110の外側に移動させる。他の実施形態では、焦点104の位置は、第1のコリメータ106'が、第1のコリメータ106と同一であるか、または第1のコリメータ106よりも広い場合でも、FOV115''が依然として真空外囲器110の外側で重なるように、十分な距離だけ離すことがある。真空外囲器110に対するアノード101の距離など、他の寸法を変更し、その結果、真空外囲器110の外側でFOV115''が重なることになってもよい。
【0016】
図1Aから
図1Cを参照すると、第1のコリメートX線ビーム108'及び関連するFOVは、真空外囲器110内でX-Z平面において重なり合い得る。しかしながら、第2のコリメータ114は、実質的にY-Z平面内でのみコリメートすることができ、X-Z平面内ではコリメートすることができないため、ここで実質的にとは、第2のコリメータ114からのX-Z平面内での任意のコリメートが、第1のコリメータ106及び第2のコリメータ114を位置合わせする製造公差、第2のコリメータ114の製造公差などによるものであり得ることを意味する。X-Z平面では(窓またはその他の機構による)追加のコリメートが行われない場合がある。X-Z平面における第1のコリメートX線ビーム108'のFOVは同じままである。つまり、FOVが重なった後は、X-Z平面内でさらなるコリメートが行われない場合がある。第2のコリメータ114によるコリメートは、コリメートのY-Z平面内に重なりがないため、FOVが重なり合った後に実行されてもよい。
【0017】
コリメートを第1のコリメータ106と第2のコリメータ114とに分離することには、さらなる利点がある。真空外囲器110内に配置されるコリメータの機械加工は困難な場合がある。具体的には、タングステン及びモリブデンなどの高温材料、またはコリメータに使用できる上記の他の材料は、X-Z平面及びY-Z平面の両方においてなど、特に3次元(3D)でのコリメートでは、微細な機械加工が難しい場合がある。コリメータが焦点104に近づくほど、同じFOVを達成するためのコリメータの寸法は小さくなる。
【0018】
さらに、コリメータの幾何学的形状が複雑になり、したがって機械加工の難易度が高くなる場合がある。例えば、X-Z平面及びY-Z平面の両方でコリメートを行うコリメータの開口部を機械加工するには、比較的薄い厚さ内で2軸の穴に、制御されたテーパを機械加工する必要があり得る。さらに、個々のコリメータの位置及び向きは、各焦点104の位置または回転の相対的なシフトと、ターゲットが非直線のアーク上に配置される可能性とに起因して、変化し得る。加えて、X線システム100は、数十から数百の焦点104を含む場合があり、数十から数百のそのような複雑な構造を機械加工する必要がある。
【0019】
しかしながら、第1のコリメータ106の規定のコリメートを、X-Z平面においてコリメートするように制限することにより、第1のコリメータ106の幾何学的形状の複雑さは、はるかに小さくなる。第1のコリメータ106用の開口部を形成するために、一度に一方向のみの機械加工を実行することができる。第1のコリメータ106の一部は、
図1Bの破線の第1のコリメータ106によって示されるように、Y-Z平面内でコリメートを実行することができる。しかしながら、いずれかのそのようなコリメートは、第2のコリメータ114のコリメートが第1のコリメータ106の任意のコリメートよりも狭くなり得るため、重要でない場合がある。したがって、X-Z平面内のコリメートは第1のコリメータ106によって規定することができ、Y-Z平面内のコリメートは第2のコリメータ114によって規定することができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、平面アレイのX-Z平面に垂直なY-Z平面内のみで実質的にコリメートするように構成されており、ここで実質的にとは、第2のコリメータ114からのX-Z平面内での任意のコリメートが、第1のコリメータ106及び第2のコリメータ114を位置合わせする製造公差、第2のコリメータ114の製造公差などによるものであり得ることを意味する。いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114のストリップ114a及び114bのそれぞれは、焦点104の平面アレイの平面であるX-Z平面に対して実質的に平行にのみ延在することができ、ここで、実質的に平行にとは、平行から2°もしくは5°以内、またはストリップ114a及び114bならびに真空外囲器110の製造公差内で平行であることを意味する。第2のコリメータ114は、X線を遮断するためにY方向にある程度の厚みを有していてもよい。しかしながら、ストリップ114a及び114bの長軸はX-Z平面に平行である。図示されるように、ストリップ114a及び114bは、実質的にX方向のみに延在し、ここで、実質的にとは、特定の方向の2°または5°以内、またはストリップ114a及び114bならびに真空外囲器110の製造公差内を意味する。しかしながら、以下でさらに詳細に説明するように、他の実施形態では、焦点104、したがってストリップ114a及び114bは、非直線アークに沿って配置され得る。すなわち、ストリップ114a及び114bのアークは、実質的にX-Z平面内にのみ延在することができ、ここで実質的にとは、ストリップ114a及び114bの長さ(または長寸法)が、ストリップ114a及び114bならびに真空外囲器110の製造公差内でX-Z平面内にのみ存在することを意味する。
【0021】
ストリップ114a及び114bは、Y方向に互いにオフセットされて、開口部を画定する。開口部は窓112を露出させ、X線ビーム108''のFOVの少なくとも一部を画定する。
【0022】
いくつかの実施形態では、真空外囲器110の窓112は連続窓112であり、これは、X線ビーム108'のそれぞれが連続窓112を通過するように配置される。X線ビーム108'が連続窓112に到達すると、X線ビーム108'のFOVが重なり得るので、窓112とは異なる形でX線に影響を与える壁、支持体、または他の構造物などのいずれかの障害物がX線ビーム108'に異なる影響を与え得る。例えば、障害物は、1つのX線ビーム108'のFOVの1つの位置に影響をもたらし、別の1つのX線ビーム108'のFOVの異なる位置に影響をもたらすことがある。したがって、窓112内に障害物が現れないように、窓112は連続していてよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、窓112の下流に配置される。第2のコリメータ114は、窓112上に直接配置されてもよい。他の実施形態では、第2のコリメータ114は、窓112のさらに下流側で窓112からオフセットされることがある。
【0024】
上記のように、いくつかの実施形態では、X線ビーム108'のFOVは、真空外囲器110内で重なり合う場合がある。具体的には、少なくとも1つのX線ビーム108'のFOVは、第1のコリメータ106によってコリメートされた後に、真空外囲器110内で、別の1つのX線ビーム108'のFOVと重なる。しかしながら、他の実施形態では、X線ビーム108'のFOVは、真空外囲器110の外側で重なり合う場合がある。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、窓112に構造的支持を提供することがある。窓112は、原子番号の低い安定した軽量材料から形成することができ、約400Cまでの真空中に対応することができる。例えば、窓112は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ベリリウム(Be)、高密度炭素(ダイヤモンドまたはグラファイトのようなC)、または銅(Cu)などの材料から形成することができる。さらに、窓112、及び/または窓112に隣接する真空外囲器110の外被は、比較的薄くてもよい。したがって、窓は、撓み、反り、または他の歪みの影響を受けやすい比較的薄い構造であり得る。そのような薄い構造の影響されやすさは、窓112が連続窓112である場合に悪化する可能性がある。第2のコリメータ114によって、追加の構造的支持が提供され得る。第2のコリメータ114は、窓112の周囲に沿って延在し得る。いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、窓112及び真空外囲器110の両方に取り付けられてもよい。さらに、第2のコリメータ114は、窓112または真空外囲器110に対して追加の材料または厚さを含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、窓112に直接取り付けられるのではなく、窓112の近傍で真空外囲器110に取り付けられるので、第2のコリメータ114が、真空外囲器110を介して間接的に窓112に構造的支持をなおも提供する。
【0026】
図2は、いくつかの実施形態によるX線システムのX線窓及びコリメータのブロック図である。真空外囲器110、窓112、及び第2のコリメータ114のみが示されているが、この構造は
図1Aから
図1CのX線システム100に使用することができる。いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、真空外囲器110の外被と一体化されている。これは、組み合わされた110/114の参照番号を用いて示されている。例えば、真空外囲器110の外被はステンレス鋼で形成されてもよい。X線ビーム108'を十分にコリメートするために、窓112に隣接して、窓112からY方向に十分な距離だけ延在する十分な量のステンレス鋼を設けることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、X方向に延在する窓112に隣接する真空外囲器110の縁110cは、傾斜を有してもよい。この傾斜は、第2のコリメートX線ビーム108''を形成するために、Y-Z平面内の所望のコリメートによって画定され得る。
【0028】
図3Aから
図3Cは、いくつかの実施形態によるX線管のアノードの様々な図である。
図3Aは、負のY方向の上面図である。
図3Bは、負のZ方向の側面図である。
図3Cは、等角図である。いくつかの実施形態では、第1のコリメータ106は、アノード101と一体化されてもよい。例えば、アノード101は、コリメート材料の連続ストリップ101'を含むことができる。第1のコリメータ106のそれぞれは、連続ストリップ101'内に形成される。したがって、アノード101を製造するときに、コリメート材料のブロックを所望の形状に機械加工して、第1のコリメータ106をアノード101と一体化させることができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、各第1のコリメータ106は複数の表面を含む。第1の表面306は、焦点104の平面アレイのX-Z平面に実質的に平行である。各第1のコリメータ106の第2の表面302及び第3の表面304のそれぞれは、第1の表面306に対して実質的に垂直である。ここで、実質的に垂直とは、第1の表面306の88°から92°の間、85°から95°の間、もしくは80°から90°の間であるか、またはアノード101の製造公差内で垂直であることを意味する。各第1のコリメータ106の第2の表面302及び第3の表面304は、X線ビーム108のコリメートを実行して第1のコリメートX線ビーム108'を形成する表面を形成し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、各第1のコリメータ106の第2の表面302及び第3の表面304は、X線ビーム108'のFOVと、第1のコリメータ106によってコリメートされた後に、隣接するX線ビーム108'のFOVの重なりが、真空外囲器110内または真空外囲器110外で生じるかどうかとを規定し得る。例えば、第1のコリメータ106の第2の表面302によって形成される平面が、隣接する任意の第1のコリメータ106について(
図1Aに示すように)窓112の前で、隣接する第1のコリメータ106の第3の表面304によって形成される平面と下流で交差する場合に、第1のコリメータ106によってコリメートされた後に、真空外囲器110内で、少なくとも1つのX線ビーム108'のFOVが、別の1つのX線ビーム108'のFOVと重なる。あるX線ビーム108'のFOVと別のX線ビーム108'のFOVとの重なりは、X線システム100及び電子源116を作動させることなく、窓112に対する第1のコリメータ106の幾何学的形状及び間隔によって決定することができる。ある例では、第1のコリメータ106の第2の表面302によって形成される平面が、隣接する第1のコリメータ106ごとに(
図1Aに示すように)窓112の後で、隣接する第1のコリメータ106の第3の表面304によって形成される平面と下流で交差する場合に、第1のコリメータによってコリメートされた後に、真空外囲器内で、少なくとも1つのX線ビーム108'のFOVが、別の1つのX線ビームのFOVと重ならない。他の実施形態では、X線ビーム108'のFOVの重なりは、焦点104の幅、ターゲット102の幅によって決まり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1の表面306、第2の表面302、及び第3の表面304は、電子源116に向かう方向に向かって開かれているチャネル308を形成する。例えば、
図1Bに示すように、Y方向は電子源116の方向を向き得る。したがって、チャネル308はY方向に開かれ得る。
【0032】
チャネル308は、連続ストリップ101'の機械加工を簡略化することができる。例えば、焦点104は、連続ストリップ101'の開口部310内に配置され得る。開口部310は、電子源116からの電子ビーム116'が焦点104に到達できるように、Y方向に開かれ得る。チャネル308及び開口部310の機械加工は、同じ作業の一部であってもよい。チャネル308及び開口部310は、連続していてもよい。
【0033】
さらに、より単純な機械加工プロセスにより、上述の垂直な表面302及び304が得られる場合がある。コンピュータ数値制御(CNC)機械のビットをX-Z平面内で平行移動させて、チャネル308及び開口部310の両方を削り出すことができる。
【0034】
一例では、第1のコリメータ106はアノード101と一体化されるものとして説明されているが、第1のコリメータ106は他の方法でアノード101と一体化されてもよい。例えば、第1のコリメータ106は、後方散乱電子を閉じ込めるように構成された囲い板330と一体化されてもよい。囲い板330は、アノード101の上、及び焦点104と電子源116との間に延在してもよい。囲い板は、電子ビーム116'が通過する開口部332を含むことができる。
【0035】
実質的に全てのコリメート材料から形成されるアノード101が、一例として使用されているが、第1のコリメータ106は他の方法でアノード101と一体化されてもよい。ここで、実質的に全てとは、90%、95%、または98%のコリメート材料を意味する。例えば、第1のコリメータ106は、基板上に取り付けられた連続ストリップ101'内に形成されてもよい。焦点104は、その基板上に別々に取り付けられてもよい。
【0036】
第1の表面306は、一例としてX-Z平面に平行であると説明されているが、他の実施形態では、第1の表面306がX-Z平面に平行でない場合がある。しかしながら、第1の表面306は、第2の表面302及び第3の表面304に対して依然として垂直であり得る。
【0037】
図4は、いくつかの実施形態による非直線アノードを備えるX線システムのブロック図である。X線システム100''は、
図1Aから
図1Cに示される様々な構造を含む上述のX線システム100と同様のものであり得る。しかしながら、焦点104は、非直線アークに沿って配置されている。アークはX-Z平面に実質的に平行であり得るので、焦点104は依然として実質的にX-Z平面内に配置され得る。しかしながら、焦点104は、X方向及びZ方向の両方において互いにオフセットされ得る。さらに、焦点104は、Y方向を中心に互いに対して回転され得る。第1のコリメータ106も同様に平行移動させ、場合によっては、関連する焦点104に対応するように回転させて、X線ビーム108をX線ビーム108'にコリメートすることができる。X-Z平面内のFOV115'は、上述のシステム100と同様に、真空外囲器110内で重なる。
【0038】
いくつかの実施形態では、X線システム100''はX線検出器420を含む。X線検出器420は、入射X線108''を検出するように構成された検出器エリア420'を含む。第2のコリメータ114及び対応する第1のコリメータ106によるコリメート後の各X線ビーム108''のFOVは、X線検出器420の検出器エリア420'と実質的に一致する。ここで、実質的に一致するとは、X線ビーム108''と検出器エリア420'との重なりが、80%以上、90%以上、95%以上、または98%以上であることを意味する。X線検出器420の好ましい位置は、第1のコリメータ106のコリメートによって、X方向及びZ方向に確立され得る。X線検出器420の位置は、
図1Bのものと同様である第2のコリメータ114に基づいて、Y方向に確立され得る。
【0039】
図5は、いくつかの実施形態によるX線システムの動作のフローチャートである。
図1Aから
図1CのX線システム100が、一例として使用されることになる。しかしながら、この動作は、X線システム100''または同種のものなどの他のX線システムを使用して実行されてもよい。
【0040】
500では、真空外囲器110内で複数のX線ビーム108を発生させる。例えば、電子源116は、ターゲット102の焦点104に向けられる複数の電子ビーム116'を生成することができる。電子ビーム116'を受けて、焦点104では、複数のX線ビーム108が発生し得る。
【0041】
502では、X線ビーム108が、真空外囲器110内で第1のコリメータ106を用いてコリメートされる。いくつかの実施形態では、X線ビーム108は、真空外囲器110内で、少なくとも1つのコリメートX線ビーム108'のFOVが別のコリメートX線ビーム108'のFOVと重なるようにコリメートされる。504では、コリメートされたX線ビーム108'のそれぞれが、真空外囲器110の外被と一体化された、または真空外囲器110の外部にある第2のコリメータ114を用いてコリメートされる。
【0042】
図6は、いくつかの実施形態によるX線撮影システムのブロック図である。X線撮影システム600は、X線源602及び検出器610を含む。X線源602は、上記のようにX線システム100などを含み得る。いくつかの実施形態では、X線源602は、複数の電界エミッタ(FE)624を含む。電界エミッタ624からの電子ビームは、X線620を発生させるためにアノード626に向けられ得る。X線源602は、X線620が検体622を通過するように発生して、検出器610によって検出され得るように、検出器610に相対して配置される。いくつかの実施形態では、検出器610は医療用イメージングシステムの一部である。他の実施形態では、X線撮影システム600は、貨物走査システムの一部として可搬式車両走査システムを含み得る。システム600は、X線検出器を含み得る任意のシステムであり得る。
【0043】
いくつかの実施形態は、真空外囲器110と、真空外囲器110内に配置された複数の電子源116と、真空外囲器110内で平面アレイ状に配置された複数の焦点104を有する少なくとも1つのターゲット102を含むアノード101であって、各焦点104が、電子源116の対応する1つからの電子ビームを受けてX線ビームを発生させるように構成される、アノード101と、真空外囲器110内に配置された複数の第1のコリメータ106であって、各第1のコリメータ106が、焦点104の対応する1つに関連付けられ、対応する焦点104のX線ビームをコリメートするように構成される、複数の第1のコリメータ106と、真空外囲器110の外被と一体化された、または真空外囲器110の外部にある第2のコリメータ114であって、第2のコリメータ114が、X線ビームのそれぞれをコリメートするように構成される、第2のコリメータ114と、を備える、X線システムを含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、平面アレイの平面に対して実質的に垂直な第1の平面内のみで実質的にコリメートするように構成される。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのX線ビームの視野(FOV)は、第1のコリメータ106によってコリメートされた後に、真空外囲器110内で、別の1つのX線ビームのFOVと重なる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、真空外囲器110の外被と一体化される。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、真空外囲器110の外部にある。
【0048】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、第1のストリップ114a及び第2のストリップ114bを備え、第1のストリップ114aは、第2のストリップ114bからオフセットされて、開口部を画定し、第1のストリップ114a及び第2のストリップ114bのそれぞれが、コリメートを実行するように構成された材料を含み、平面アレイの平面に対して実質的に平行である。
【0049】
いくつかの実施形態では、真空外囲器110は、X線ビームのそれぞれが連続窓112を通過するように配置された連続窓112を備える。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、連続窓112の下流に配置される。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2のコリメータ114は、連続窓112を支持するように構成される。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1のコリメータ106は、アノード101と一体化される。
【0053】
いくつかの実施形態では、アノード101は、コリメート材料の連続ストリップ101'を含み、第1のコリメータ106のそれぞれは、連続ストリップ101'内に形成される。
【0054】
いくつかの実施形態では、連続ストリップ101'が、各X線ビームのために、平面アレイの平面に実質的に平行である第1の表面306と、第1の表面306に実質的に垂直である第2の表面302と、第1の表面306に実質的に垂直である第3の表面304と、を備える。第3の表面304は、第2の表面302に面し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の表面206、第2の表面302、及び第3の表面304は、電子源116に向かう方向に向かって開かれているチャネル308を形成する。
【0056】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのターゲット102は複数のターゲット102を含み、各ターゲット102が焦点104の1つに対応しており、アノード101は複数の開口部を含み、各開口部が、ターゲット102の1つ及び対応する焦点104に対応しているとともに、電子源116の対応する1つから焦点104に電子ビームを入れるように構成されており、チャネルのそれぞれは、アノード101の対応する開口部と連続している。
【0057】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのターゲット102の焦点104は、非直線アークに沿って配置される。
【0058】
いくつかの実施形態では、X線システムは、X線検出器をさらに備えており、第2のコリメータ114及び対応する第1のコリメータ106によるコリメート後のX線ビームの大部分の視野が、X線検出器の検出器エリアと実質的に一致する。このX線ビームの大部分は、いくつかの実施形態における各X線ビームを含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、X線システムは、電子源116とアノード101との間に配置された囲い板330をさらに備える。
【0060】
いくつかの実施形態は、真空外囲器110内で複数のX線ビームを発生させることと、真空外囲器110内で複数の第1のコリメータ106を用いてX線ビームをコリメートすることと、コリメートされたX線ビームのそれぞれを、真空外囲器110の外被と一体化された、または真空外囲器110の外部にある第2のコリメータ114を用いてコリメートすることと、を含む方法を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、真空外囲器110内で第1のコリメータ106を用いてX線ビームをコリメートすることは、少なくとも1つのコリメートX線ビームの視野(FOV)が、真空外囲器110内で、別の1つのコリメートX線ビームのFOVと重なるように、真空外囲器110内で第1のコリメータ106を用いてX線ビームをコリメートすることを含む。
【0062】
いくつかの実施形態は、真空外囲器110と、真空外囲器110内に配置された複数の電子源116と、真空外囲器110内で平面アレイ状に配置された複数のターゲット102を含むアノード101であって、各ターゲット102が、電子源116の対応する1つからの電子ビームを受けてX線ビームを発生させるように構成される、アノード101と、真空外囲器110内に配置された複数の第1のコリメータ106であって、各第1のコリメータ106が、ターゲット102の対応する1つに関連付けられ、対応するターゲット102のX線ビームをコリメートするように構成される、複数の第1のコリメータ106と、真空外囲器110内に配置され、第1のコリメータ106からオフセットされた第2のコリメータ114であって、第2のコリメータ114が、X線ビームのそれぞれをコリメートするように構成される、第2のコリメータ114と、を備える、X線システムを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、X線システムは、真空外囲器110の外被と一体化された、または真空外囲器110の外部にある第3のコリメータ114をさらに備え、第3のコリメータは、X線ビームのそれぞれをコリメートするように構成されている。第3のコリメータ114は、真空外囲器110の外被と一体化されるか、または真空外囲器110の外部にある、上述の第2のコリメータ114と同様であってもよい。
【0064】
いくつかの実施形態は、真空外囲器内で複数のX線ビームを発生させる手段と、真空外囲器内でX線ビームのそれぞれをコリメートする手段と、真空外囲器で、または真空外囲器の外部で、X線ビームのそれぞれをコリメートする手段と、を備える、X線システムを含む。
【0065】
真空外囲器内で複数のX線ビームを発生させる手段の例には、電子源116、アノード101、ターゲット102、焦点104などが含まれる。真空外囲器内でX線ビームのそれぞれをコリメートする手段の例には、第1のコリメータ106などが含まれる。真空外囲器で、または真空外囲器の外部で、X線ビームのそれぞれをコリメートする手段の例には、第2のコリメータ114が含まれる。
【0066】
いくつかの実施形態では、真空外囲器内でX線ビームのそれぞれをコリメートする手段が、さらに、少なくとも1つのコリメートX線ビームの視野(FOV)が、真空外囲器内で、別の1つのコリメートX線ビームのFOVと重なるように、X線ビームのそれぞれをコリメートする手段を備える。少なくとも1つのコリメートX線ビームの視野(FOV)が、真空外囲器内で、別の1つのコリメートX線ビームのFOVと重なるように、X線ビームのそれぞれをコリメートする手段の例には、第1のコリメータ106などが含まれる。
【0067】
構造、デバイス、方法、及びシステムを特定の実施形態に従って説明しているが、当業者は、特定の実施形態に対する多くの変形が可能であることを容易に認識し、したがって、任意の変形は、本明細書で開示した趣旨及び範囲内にあると考えられるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって多くの変更が行われ得る。
【0068】
この書面での開示に続く特許請求の範囲は、ここで本書面での開示に明確に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態としてそれ自体で成立する。この開示には、従属クレームを伴う独立クレームの全ての変形が含まれる。さらに、以下の独立請求項及び従属請求項から派生することが可能である追加の実施形態も、本書面での説明に明示的に組み込まれる。これらの追加の実施形態は、所与の従属請求項の依存関係を語句「請求項[x]で始まり、この請求項の直前の請求項で終わる請求項のいずれか」に置き換えることによって決定され、ここで、括弧付きの用語「[x]」は、直近に記載した独立請求項の番号に置き換えられる。例えば、独立請求項1で始まる第一請求項の組について、請求項4は請求項1及び3のいずれかに従属し、これらの別々の従属関係によって2つの異なる実施形態を得ることができ、請求項5は請求項1、3または4のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって3つの異なる実施形態を得ることができ、請求項6は請求項1、3、4または5のいずれか1項に従属し、これらの別々の従属関係によって4つの異なる実施形態を得ることができる、などである。
【0069】
特徴または要素に関する用語「第1」の請求項における記載は、第2の、または追加のそのような特徴または要素の存在を必ずしも示唆するものではない。存在する場合、ミ-ンズ・プラス・ファンクション形式で具体的に記載された要素は、米国特許法第112条(f)項に従って、本明細書で説明された対応する構造、材料または動作及びそれらの均等物を網羅するように解釈されることが意図される。排他的な所有または特権が請求される本発明の実施形態は、以下のように定められる。
【外国語明細書】