(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024032064
(43)【公開日】2024-03-12
(54)【発明の名称】監視システム及び監視方法
(51)【国際特許分類】
H02B 3/00 20060101AFI20240305BHJP
H02B 13/065 20060101ALI20240305BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240305BHJP
H02B 1/32 20060101ALI20240305BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20240305BHJP
【FI】
H02B3/00 M
H02B3/00 Z
H02B13/065 Z
G01R31/00
H02B1/32 A
H02B1/40 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022135501
(22)【出願日】2022-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩久
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
【テーマコード(参考)】
2G036
5G016
5G017
5G211
【Fターム(参考)】
2G036AA13
2G036AA18
2G036AA20
2G036AA23
2G036AA24
2G036BA03
2G036BA04
2G036BA08
2G036BA30
2G036BA35
5G016CD27
5G017EE01
5G211AA04
5G211AA12
5G211BB11
5G211DD13
5G211DD36
5G211GG05
(57)【要約】
【課題】監視装置の数を抑制しつつ電気電子機器収納用箱に関連する事象を広範囲で確認可能とするとともに、事象の確認の遅れを抑制できるようにすること。
【解決手段】筐体の内部に電気電子機器を備えた電気電子機器収納用箱に設置され、電気電子機器、筐体、筐体の周囲の何れかを含む監視対象に生じる事象を監視可能とする監視システムであって、筐体の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置2と、筐体の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置3と、を備える構成とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の内部に電気電子機器を備えた電気電子機器収納用箱の、電気電子機器、筐体の内部空間、筐体の内面、筐体の外面、筐体の周囲の何れかを含む監視対象に生じる事象を監視可能とする監視システムであって、
筐体の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置と、
筐体の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置と、
を備える監視システム。
【請求項2】
第一監視装置及び第二監視装置で監視可能な監視対象について、第一監視装置と第二監視装置のいずれか一方の監視装置で異常が確認された場合に、
もう一方の監視装置に情報を送り、前記情報を受けた監視装置が異常が確認された監視対象に関する情報を得るための動作を開始するように制御可能な請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
第一監視装置が監視対象の異常を確認した場合に、
第二監視装置が、該監視対象に接近して、該監視対象を監視するように制御可能な請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
筐体の内部及び/又は筐体の外にレールが設置され、
第一監視装置が監視対象の異常を確認した場合に、
第二監視装置が、レールを使用して該監視対象に接近して、該監視対象を監視するように制御可能な請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
電気電子機器収納用箱の筐体に、筐体外部の機器と通信可能な外部通信装置が設置され、
第一監視装置及び第二監視装置の各々は、監視対象に生じる事象に関する事象データと、位置に関する位置データを外部通信装置に通信可能であり、
外部通信装置は、第一監視装置から通信された位置データ及び第二監視装置から通信された位置データを用いて、それぞれの事象データの紐づけを行うことが可能な請求項1から4の何れかの記載の監視システム。
【請求項6】
筐体の内部に電気電子機器を備えた電気電子機器収納用箱の監視システムを用いて、電気電子機器、筐体の内部空間、筐体の内面、筐体の外面、筐体の周囲の何れかを含む監視対象に生じる事象を監視する監視方法であって、
筐体の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置が該監視対象を監視するステップと、
筐体の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置が移動して該監視対象に接近するステップと、
第二監視装置が該監視対象を監視するステップと
を含む監視方法。
【請求項7】
第一監視装置が監視した該監視対象の異常の有無を判定するステップと、
第一監視装置の監視により該監視対象に異常があると判定された場合に、第二監視装置が該監視対象を監視するステップと、
を含む請求項6に記載の監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム及び監視方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、電気電子機器収納用箱にセンサやカメラなどを設け、電気電子機器収納用箱を監視する技術は知られている。電気電子機器収納用箱の筐体内に設置されるセンサは、筐体内の特定の位置に固定されているため、比較的狭い範囲の事象のみを把握するものとなっている。例えば、温度センサの場合には、温度センサが設置された周囲の温度を把握するものとなっている。そのため、電気電子機器収納用箱内の事象を広範囲で把握するためには、多くのセンサを設置する必要があり、コスト高となってしまう。このようなことから、固定設置されたセンサやカメラを用いるだけでは、電気電子機器収納用箱内の事象を広範囲で把握することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
電気電子機器収納用箱にセンサを移動可能に設置することで、少数のセンサでも電気電子機器収納用箱内の広範囲の事象を把握することできるようになるが、移動可能な監視装置のみを設置した場合、監視装置が移動する時間分だけ、事象の把握が遅れてしまうおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、監視装置の数を抑制しつつ電気電子機器収納用箱に関連する事象を広範囲で確認可能とするとともに、事象の確認の遅れを抑制できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、筐体の内部に電気電子機器を備えた電気電子機器収納用箱の、電気電子機器、筐体の内部空間、筐体の内面、筐体の外面、筐体の周囲の何れかを含む監視対象に生じる事象を監視可能とする監視システムであって、筐体の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置と、筐体の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置と、を備える監視システムとする。
【0007】
また、第一監視装置及び第二監視装置で監視可能な監視対象について、第一監視装置と第二監視装置のいずれか一方の監視装置で異常が確認された場合に、もう一方の監視装置に情報を送り、前記情報を受けた監視装置が異常が確認された監視対象に関する情報を得るための動作を開始するように制御可能な構成とすることが好ましい。
【0008】
また、第一監視装置が監視対象の異常を確認した場合に、第二監視装置が、該監視対象に接近して、該監視対象を監視するように制御可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、筐体の内部及び/又は筐体の外にレールが設置され、第一監視装置が監視対象の異常を確認した場合に、第二監視装置が、レールを使用して該監視対象に接近して、該監視対象を監視するように制御可能な構成とすることが好ましい。
【0010】
また、電気電子機器収納用箱の筐体に、筐体外部の機器と通信可能な外部通信装置が設置され、第一監視装置及び第二監視装置の各々は、監視対象に生じる事象に関する事象データと、位置に関する位置データを外部通信装置に通信可能であり、外部通信装置は、第一監視装置から通信された位置データ及び第二監視装置から通信された位置データを用いて、それぞれの事象データの紐づけを行うことが可能な構成とすることが好ましい。
【0011】
また、筐体の内部に電気電子機器を備えた電気電子機器収納用箱の監視システムを用いて、電気電子機器、筐体の内部空間、筐体の内面、筐体の外面、筐体の周囲の何れかを含む監視対象に生じる事象を監視する監視方法であって、筐体の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置が該監視対象を監視するステップと、筐体の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置が移動して該監視対象に接近するステップと、第二監視装置が該監視対象を監視するステップと、を含む監視方法とすることが好ましい。
【0012】
また、第一監視装置が監視した該監視対象の異常の有無を判定するステップと、第一監視装置の監視により該監視対象に異常があると判定された場合に、第二監視装置が該監視対象を監視するステップと、を含むようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、監視装置の数を抑制しつつ電気電子機器収納用箱に関連する事象を広範囲で確認可能とするとともに、事象の確認の遅れを抑制できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の電気電子機器収納用箱の扉が開放された状態における斜視図である。ただし、一部の扉を省略している。
【
図2】実施形態における電気電子機器収納用箱の一部分を表した図である。ただし、扉や側面は省略している。
【
図5】実施形態における第二監視装置の斜視図である。
【
図6】レールを走行する第二監視装置の例を示す図である。
【
図7】
図6に示す状態における第二監視装置の第一車輪と第二車輪の位置関係を示す図である。
【
図8】第一監視装置と第二監視装置の情報のやり取りに通信装置が介在している例を示す図である。
【
図9】トンネル状の構造物により第二監視装置の充電を可能とした例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1乃至
図6に示されていることから理解されるように、本実施形態の監視システムは、筐体11の内部に電気電子機器を備えた電気電子機器収納用箱1の、電気電子機器、筐体11の内部空間、筐体11の内面、筐体11の外面、筐体11の周囲の何れかを含む監視対象に生じる事象を監視可能とする。また、この監視システムは、筐体11の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置2と、筐体11の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置3と、を備えている。このため、監視装置の数を抑制しつつ電気電子機器収納用箱1に関連する事象を広範囲で確認可能とするとともに、事象の確認の遅れを抑制することが可能となる。
【0016】
監視システムが設置される電気電子機器収納用箱1は、筐体11と筐体11の内部に収納される電気電子機器を備えている。電気電子機器収納用箱1の筐体11に収納される電気電子機器は、断路器61、変圧器62、遮断器63、開閉器、継電器、通信装置、計測装置、制御装置、センサ機器、空調機器、サーバなどが例示できる。また、電気電子機器収納用箱1は、例えば、分電盤、配電盤、制御盤、高圧受電設備(キュービクル式高圧受電設備を含む)、システムラックなどが例示できる。なお、電気電子機器収納用箱1は、通信装置や照明機器、机、椅子などを備え、内部で人が作業するための作業用ボックスであってもよい。
【0017】
第一監視装置2や第二監視装置3などの監視装置が監視する監視対象には、電気電子機器、筐体11の内部空間、筐体11の内面、筐体11の外面、筐体11の周囲の何れかを少なくとも含む。この監視対象が電気電子機器収納用箱1に分散しているため、複数の監視装置を備えることになるが、本発明においては、筐体11の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置2と、筐体11の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置3と、を備えるようにしている。
【0018】
図2から
図4に示す例では、筐体11の内部の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置2と、筐体11の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置3と、を備えている。
【0019】
第一監視装置2は、監視対象に生じる事象を監視するための第一監視部を備えていればよいが、外部通信装置に通信するための通信部を備えるようにしてもよい。また、第二監視装置3は、監視対象に生じる事象を監視するための第二監視部32を備えるとともに、筐体11の内部若しくは外面を移動するための駆動部33を備えるようにするのが好ましい。また、第二監視装置3は駆動部33を動かすための動力を供給する動力部を備えるようにしても良い。ただし、駆動部33や動力部は、第二監視装置3とは別に設けても良い。また、第二監視装置3は外部通信装置に通信するための通信部を備えるようにしてもよい。
【0020】
第二監視装置3は、筐体11の内部若しくは外面に設置されたレール7を用いて移動するものであることが好ましい。レール7上を移動することにより、筐体11の内部若しくは外面を立体的に移動可能となる。
【0021】
第二監視装置3の駆動部33は、タイヤ、車輪、ギアなどと、モータなどの動力部により作り出された動力をそれらに伝達するシャフトなどの駆動軸の組み合わせを例示できる。
図5から
図7に示す例の駆動部33は、監視装置の本体31の外側に位置する第一車輪33a1と、本体31内部に位置する第二車輪33a2を備えている。なお、動力部は、電力エネルギーを動力エネルギーに変えるものであり、電動機やモータなどが例示できる。動力部により作り出される動力を、駆動軸を介して車輪などに伝達することで、本体31を移動可能とする構成が典型的ではあるが、駆動軸の有無に関わらず、動力部により作り出される動力は、少なくとも筐体11を構成する面若しくはレール7上の走行面に接触する車輪などに伝達されるようにするのが好ましい。
【0022】
なお、
図5に示す例の第二監視装置3は、本体31の一方側に第二監視部32、本体31の他方側に第一車輪33a1を備えている。また、本体31の内部に一部の第二車輪33a2などの駆動部33や動力部、通信部などを備えている。ただし、第二監視装置3はこのような構成である必要はない。例えば、その一部を備えていなかったり、他の構成であったりしてもよい。
【0023】
第一監視部や第二監視部32などの監視部は、監視対象に生じる事象を監視することができるものであり、センサやカメラなどが例示できる。例えば監視部にセンサを用いる場合、監視対象に生じる事象を監視する際には、少なくとも、監視対象に生じる事象に関する事象データを計測すること、若しくは、監視対象に生じる事象の有無の情報を検知することがなされる。監視部は、事象データ若しくは事象の有無の情報に基づいて監視対象の異常を判定する機能を備えるものであってもよいし、監視部とは別に設ける判定部に監視対象の異常を判定する機能を備えるようにしても良い。
【0024】
また、監視部にカメラを用いる場合、監視対象に生じる事象を監視する際には、少なくとも、監視対象を静止画若しくは動画により撮影することがなされる。監視部は、撮影した静止画若しくは動画に基づいて監視対象の異常を判定する機能を備えるものであってもよいし、監視部とは別に設ける判定部に監視対象の異常を判定する機能を備えるようにしても良い。
【0025】
監視部に用いるセンサは、例えば以下のものが例示できる。筐体11の内部の環境を監視するセンサ(温度センサ、湿度センサ、CO2センサ、気圧センサなど)、電気電子機器に流れる電気の状態を監視するセンサ(電流センサ、電圧センサ、電力センサ、放電事故検出センサ、絶縁劣化検出センサなど)、筐体11や電気電子機器の振動や強度、故障、損傷を監視するセンサ(加速度センサ、圧力センサ、音センサなど)、筐体11内の火災を監視するセンサ(炎センサ、煙センサ、光センサ、臭いセンサ、埃センサなど)、筐体11や電気電子機器への自然災害を監視するセンサ(加速度センサ、雷センサ、浸水センサ、水位センサ、積雪センサなど)、その他のセンサ(紫外線センサ、赤外線センサなど)。
【0026】
上記した例に限る必要はなく、監視部に用いるセンサは、監視対象に生じる事象データを計測するセンサ若しくは監視対象に生じる事象の有無の情報を検知するセンサであるなら如何なるものであってもよい。またセンサのグループ分けは上記した例に限られない。
【0027】
監視部に用いるカメラは、静止画や動画により、監視対象を撮影するものである。カメラは、可視光のカメラであっても、赤外線カメラや紫外線カメラなどの非可視光のカメラであってもよい。また、カメラは、既知の機能である、角度を変更する機能や、ズーム機能、所定の事象を検知した際に撮影を行う機能などを備えるものであってもよい。なお、ズーム機能を用いれば、遠隔位置にある監視対象物に対応できるし、小さな監視対象についての監視の性能を高めることができるため、第二監視装置3の移動範囲を抑制しつつ、監視能力を確保することができる。
【0028】
監視部にカメラを用い、監視対象を撮影する場合、例えば、以下に記すように利用することができる。カメラで監視対象を撮影すれば、電気電子機器や筐体11を構成する面(天井面、左右側面、前後側面、底面など)や扉12、柱、フレームなどに対して、変色や変形の有無を判定するための情報を得ることができる。なお変色は、電気電子機器の炭化や錆や、筐体11の錆や塗装の剥がれなどによりもたらされ得る。また、変形の典型例は、電気電子機器や筐体11の穴や凹みなどである。
【0029】
また、カメラで監視対象を撮影すれば、筐体11の周辺から筐体11の内部へ小動物や虫が侵入したという異常を判定するための情報が得られることもある。また、雨水や洪水により筐体11の内部へ水が侵入したという異常を判定するための情報が得られることもある。これらは、赤外線センサや水位センサなどを用いて監視することも可能であるが、第一監視装置2の第一監視部として赤外線センサや水位センサなどを用い、第二監視装置3の第二監視部32としてカメラを用いれば、筐体11の内部への小動物や虫の侵入や、水の侵入という異常に関して精度よく判定することができる。
【0030】
カメラによって監視対象に生じた異常や危険を判定する方法はどのようなものであっても良いが、例えば、撮影された時間や場所が異なる複数の画像データを比較することで、異常や危険を判定するようにすればよい。より詳しくは、筐体11の特定の場所若しくは特定の電気電子機器を、時間を違えて撮影し、それらの画像データを比較することで異常や危険を検知する方法や、筐体11の特定の場所若しくは特定の電気電子機器に関し、異なる角度から撮影することで得られた複数の画像データを比較することで異常や危険を検知する方法などである。
【0031】
なお、第一監視装置2は固定設置されるものであり、第二監視装置3は移動可能に配置されるものであるが、第一監視装置2の第一監視部及び第二監視装置3の第二監視部32は、センサ及びカメラのいずれで構成されるものであってもよい。ただし、第一監視部及び第二監視部32は異なる種類のものであることが好ましい。特に、第一監視部及び第二監視部32のいずれか一方がセンサであり、他方がカメラであるように構成されることが好ましい。例えば、第一監視部を監視対象の事象を計測若しくは検知するセンサとし、第二監視部32を監視対象の事象を撮影するカメラとすることで、同一の事象に対して異なる情報を得たり、異なる点から監視対象の状態を判定したりすることができる。
【0032】
第一監視部及び第二監視部32が共にセンサで構成されてもよいが、その場合には、異なる事象を監視するセンサであることが好ましい。例えば、第一監視部を電気電子機器の温度異常や電気的な異常を監視するための温度センサ又は電流センサとし、第二監視部32を電気電子機器に火災等が発生しているか否かを検知する炎センサ、煙センサ又は光センサとする。このように、第一監視部及び第二監視部32をそれぞれ異なる事象を監視するセンサとすることで、異なる観点から監視対象の状態を判定することなどができる。
【0033】
また、第一監視部及び第二監視部32が共にカメラで構成されてもよいが、その場合には、異なる種類の記録ができるカメラであることが好ましい。例えば、一方は可視光のカメラであり、他方は非可視光のカメラとすることが好ましい。
【0034】
異なる観点から監視対象の状態を判定する場合、第一監視部と第二監視部32のうちの一方の監視部で監視された事象により異常と判定された監視対象に対して、もう一方の監視部がその判定の真偽を確認するために利用できる。そのため、監視対象の状態を高い精度で判定することができる。なお、記載が複雑になることを避けるため、以降で具体的な例を挙げる場合は、第一監視部がセンサ、第二監視部32がカメラの例を用いて説明するが、上記例から理解されるように、発明としては、そのような例に限るわけではない。
【0035】
第一監視装置2と第二監視装置3の連携を適切に行わせるためにも、監視システムは、第一監視装置2で監視可能な監視対象について、第一監視装置2と第二監視装置3のいずれか一方の監視装置で異常が確認された場合に、もう一方の監視装置に情報を送り、前記情報を受けた監視装置が異常が確認された監視対象に関する情報を得るための動作を開始するように制御可能な構成とすることが好ましい。
【0036】
また、第一監視装置2は所定の位置に固定設置されるものであり、第二監視装置3は移動可能に配置されるものであるため、第一監視装置2が監視対象の異常を確認した場合に、第二監視装置3が、該監視対象に接近して、該監視対象を監視するように制御可能な構成とすることが好ましい。
【0037】
例えば、第一監視装置2の第一監視部が電気電子機器の温度や電流などの事象を監視するための温度センサや電流センサなどであり、それにより計測された事象データに基づいて、電気電子機器が異常であると判定された場合に、第二監視装置3に情報を送る。第二監視装置3は、その情報をもとに異常と判定された電気電子機器付近に移動し、第二監視部32のカメラで電気電子機器を撮影する。その撮影結果などを基に電気電子機器の状態を確認することで、その判定の真偽を確認するようなことができる。
【0038】
また、第二監視装置3が巡回した際に、異常が確認された場合に、監視対象を監視することができる第一監視装置2を起動させたり、第一監視装置2の反応の精度を高めたり、第一監視装置2の監視内容を定めたりするように制御しても良い。
【0039】
第二監視装置3が移動する経路を確保できるように、筐体11の内部及び/又は筐体11の外にレール7が設置される構成とすることが好ましい。この場合、第一監視装置2が監視対象の異常を確認した場合に、第二監視装置3が、レール7を使用して該監視対象に接近して、該監視対象を監視するように制御可能な構成とするのが好ましい。
【0040】
電気電子機器収納用箱1は、筐体11の外部の機器と通信可能な外部通信装置が筐体11の内部に設けられるようにするのが好ましい。また、外部通信装置は、第一監視装置2及び第二監視装置3と直接的若しくは間接的に通信するものであることが好ましい(
図8参照)。
【0041】
第一監視装置2により計測された事象データや検知された事象の有無の情報は、全て外部通信装置に通信され、外部通信装置で異常の判定が行われるものであってもよいが、通信するデータ容量の観点から、それら事象データ若しくは事象の有無の情報が第一監視装置2の判定部若しくは監視部により異常であると判定された判定データのみを外部通信装置に通信する構成であることが好ましい。
【0042】
第二監視装置3により撮影された画像データは、第二監視装置3の判定部若しくは監視部により異常であると判定された判定データのみを外部通信装置に通信するものであってもよいが、第二監視装置3の判定部若しくは監視部により判定を行うためには、第二監視装置3に大容量の画像データを記憶させておく必要がある。このため、記憶するデータ容量の観点から、画像データを全て外部通信装置に通信し、外部通信装置若しくは筐体11の外部に設けられる外部機器により異常の判定が行われる構成とする方が好ましい。
【0043】
第一監視装置2及び第二監視装置3から外部通信装置に通信される各種データや情報(事象データ、事象の有無の情報、画像データ、判定データ)には、位置に関する位置データを付随させるのが好ましい。このようにすれば、外部通信装置などによって、位置データに基づいて各監視部の各種データや情報同士を紐づけることが可能となる。
【0044】
位置データとは、電気電子機器や第一監視装置2、第二監視装置3の位置に関するデータや、第一監視装置2、第二監視装置3が監視している範囲(平面的、立体的な範囲)に関するデータなどであり、位置データの基準点は、電気電子機器収納用箱1の任意の点とすればよい。また、各種データや情報に、電気電子機器や第一監視装置2、第二監視装置3のID情報などを付随させ、ID情報などから位置データを獲得するものであってもよい。
【0045】
外部通信装置は、第一監視装置2から通信された各種データや情報を記憶するとともに、それに付随する位置データを第二監視装置3に通信するようにするのが好ましい。また、位置データを通信された第二監視装置3が、位置データに記される位置若しくは、近接する位置まで移動して監視対象を含めた周辺の状況を監視する場合、複数回撮影を行うように制御するのが好ましい。このとき、移動した位置で撮影を行った後、さらに移動した位置で撮影を行うなど、監視対象を含めた周辺の状況を複数の角度から撮影を行うように制御することが好ましい。
【0046】
撮影を完了した第二監視装置3は、画像データを外部通信装置に通信すればよい。その画像データにも監視対象の位置データが付随されているのが好ましい。
【0047】
第一監視部及び第二監視部32から集められた各種データや情報にもとづいて、外部通信装置において、監視対象の異常の有無について最終的な判定がされるようにするのが好ましい。また、その後、判定結果及び/又は判定結果に基づいて生成される警報情報が外部機器へ通信されるようにするのが好ましい。
【0048】
ただし、最終的な判定を外部通信装置ではなく、外部機器などで行うようにしてもよい。例えば、外部通信装置で、第一監視部及び第二監視部32から集められた各種データや情報の紐づけを行い、その紐づけ情報を外部機器へ通信する。その後、外部機器で監視対象の異常の有無について最終的な判定をすればよい。また、外部機器は、出力装置であってもよく、出力装置により出力された紐づけ情報を人が確認することで、監視対象の異常の有無について最終的な判定がされるものであってもよい。
【0049】
紐づけた情報の扱い方は、上記した例に限るわけではないが、外部通信装置が情報を紐づけることで、外部通信装置の通信先に整理したデータを送ることができる。また、第一監視装置2や第二監視装置3の負荷を減らすことができる。このため、電気電子機器収納用箱1の筐体11に、筐体11外部の機器と通信可能な外部通信装置が設置され、第一監視装置2及び第二監視装置3の各々は、監視対象に生じる事象に関する事象データと、位置に関する位置データを外部通信装置に通信可能であり、外部通信装置は、第一監視装置2から通信された位置データ及び第二監視装置3から通信された位置データを用いて、それぞれの事象データの紐づけを行うことが可能である構成とすることが好ましい。
【0050】
ここで、監視システムの利用例について説明をする。例えば、第一監視装置2が監視対象を監視する。そして、第一監視装置2が監視により獲得した事象データ若しくは事象の有無の情報に基づいて、異常の有無を判定する。監視対象に異常があると判定した場合、判定データを外部通信装置に通信する(
図8参照)。外部通信装置は、通信された判定データに付随する位置データを第二監視装置3へ通信する。そして、第二監視装置3が位置データに基づいて移動する。第二監視装置3は移動後に監視を行う。第二監視装置3は、監視により獲得した画像データを外部通信装置に通信する。外部通信装置は、判定データと画像データを紐づける。外部通信装置は、紐づけたデータに基づいて監視対象の異常の有無を判定する。そして、外部通信装置は、判定結果を外部機器へ通信する。もちろん、このような例に完全に従う必要はなく。その他の方法で利用しても良いのは勿論のことである。
【0051】
筐体11の内部に電気電子機器を備えた電気電子機器収納用箱1の監視システムを用いて、電気電子機器、筐体11の内部空間、筐体11の内面、筐体11の外面、筐体11の周囲の何れかを含む監視対象に生じる事象を監視する監視方法としては、上記した例に限る必要はないが、筐体11の内部若しくは外面の所定の位置に固定設置され、所定の監視対象に生じる事象を監視可能な第一監視装置2が該監視対象を監視するステップと、筐体11の内部若しくは外面を移動可能に配置され、複数の監視対象に生じる事象を監視可能な第二監視装置3が移動して該監視対象に接近するステップと、第二監視装置3が該監視対象を監視するステップと、を含むようにするのが好ましい。
【0052】
また、第一監視装置2が監視した該監視対象の異常の有無を判定するステップと、第一監視装置2の監視により該監視対象に異常があると判定された場合に、第二監視装置3が該監視対象を監視するステップと、を更に含む監視方法とするのが好ましい。
【0053】
ところで、ここまでは第一監視装置2及び第二監視装置3が1つずつの場合を想定して説明をしたが、第一監視装置2及び第二監視装置3の何れか若しくはそれぞれを複数設置したり複数配置したりするものであってもよい。
【0054】
例えば、第一監視部を温度センサとする第一監視装置2を、筐体11の内部若しくは外面の複数の位置に設置することで、電気電子機器収納用箱1の全体の温度を把握するようにしてもよい。また、筐体11の内部を移動可能とする第二監視装置3と、筐体11の外面を移動可能とする第二監視装置3を配置するなど、複数の第二監視装置3を配置するようにすれば、各第二監視装置3の移動範囲を狭くすることができる。この場合、例えば、第一監視装置2により異常判定された監視対象の元へ迅速に移動し、監視対象の状況を早期に把握することができる。
【0055】
第一監視装置2や第二監視装置3を複数設置若しくは配置する場合には、1つの外部通信装置に全ての監視装置を直接的若しく間接的に接続するものであってもよいが、外部通信装置を複数設置するものであってもよい。例えば、第一監視装置2、第二監視装置3、外部通信装置を1つのグループとして、複数のグループを構成し、筐体11のエリアごとに担当するグループを割り振れば、監視対象に異常が生じた場合等に監視対象を把握するのが容易となる。
【0056】
第一監視装置2が複数設置される場合、温度や音や炎などの事象に対しては、複数の第一監視装置2が異常の判定を行う可能性がある。この場合、それら複数の第一監視装置2から外部通信装置へ各種データや情報が通信され、それらに付随する位置データを第二監視装置3へ通信することとなるが、第二監視装置3へ通信される位置データは、複数の位置データから算出された1つ若しくは2つ程度の位置データであることが好ましい。
【0057】
第二監視装置3へ通信される位置データの算出方法としては、複数の位置データの中間地点の位置データとしてもよいし、外部通信装置へ最も早く通信された位置データとしてもよい。また、各種データや情報から危険性が高い(例えば、測定値が非常に大きい、測定値の上昇率が大きいなど)と判断した位置データとしてもよい。
【0058】
ところで、第二監視装置3は、バッテリを備え、バッテリに蓄えられた電力により、移動可能となるようにするのが好ましい。バッテリが充電可能な場合には、レール7やレール7の付近にバッテリへ充電する充電手段を設ける構成とするのが好ましい。例えば、レール7の端部にバッテリへ充電する充電手段を設ける構成とするのが好ましい。また、
図9に示すことから理解されるように、レール7の途中にトンネル状の構造物91を設け、そのトンネル状の構造物91を充電手段として利用するようにしても良い。
【0059】
カメラを第二監視部32とする第二監視装置3が画像データを外部通信装置に通信する構成とする場合、第二監視部32に通信部を設け、通信部から外部通信装置へ直接的に通信するようにすればよい。また、レール7若しくはレール7の端部付近に第二監視装置3と外部通信装置間の通信を補助する通信手段を設け、第二監視装置3が、通信手段を介して、間接的に外部通信装置へ通信するようにしてもよい。
【0060】
監視装置の移動は、プログラムにより制御されるものであってもよい。プログラムにより、所定の時間に所定の位置まで移動して監視し、監視終了後に帰還ポイントまで戻るようにプログラムを組むことなどが例示できる。また、バッテリ残量の低下により、充電手段まで移動するようにプログラムを組むようにしても良い。また、プログラムによる制御の有無に関わらず、遠隔操作により、筐体11の外部から監視装置を操作できるように構成することが好ましい。
【0061】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、監視方法としては、発明の要旨を変更しない程度に、いくつかのステップを省略したり、順番を入れ替えたり、他のステップを加えたりすることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 電気電子機器収納用箱
2 第一監視装置
3 第二監視装置
7 レール
11 筐体