(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033110
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/18 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H02K33/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136504
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】土橋 将生
【テーマコード(参考)】
5H633
【Fターム(参考)】
5H633BB08
5H633GG02
5H633HH02
5H633HH05
(57)【要約】
【課題】アクチュエータの磁気駆動機構に用いられる磁石のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構の推力低下を抑制する。
【解決手段】アクチュエータ1は、筒状のケース20の内側に配置される可動体3を振動させる磁気駆動機構6を備える。可動体3は、支軸30と、支軸30に固定される磁石61と、磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32を備える。磁石61は、軸線方向の厚さが第1ヨーク31よりも小さい。磁石61および第1ヨーク31の外周側には、コイルホルダ4の胴部42に巻かれたコイル62が配置される。第2ヨーク32は、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する端板部321、および、端板部321の外縁から軸線方向の一方側L1へ延びてコイル62の外周側を囲む円筒部322を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支軸を備える可動体と、
前記可動体の外周側を囲む筒状のケースを備える支持体と、
前記支持体および前記可動体に接続される接続体と、
前記可動体に配置される磁石および前記支持体に配置されるコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、
前記可動体は、前記磁石に前記軸線方向の一方側から当接する第1ヨークと、前記磁石に前記軸線方向の他方側から当接する第2ヨークと、を備え、前記支軸は、前記第1ヨーク、前記磁石、および前記第2ヨークを貫通しており、
前記支持体は、前記ケースの内側に配置されるコイルホルダを備え、前記コイルホルダは、前記第1ヨークおよび前記磁石の外周側を囲む胴部を備え、前記胴部に前記コイルが巻かれており、
前記第1ヨークの前記軸線方向の厚さよりも、前記磁石の前記軸線方向の厚さの方が小さく、
前記第2ヨークは、前記磁石に前記軸線方向の他方側から当接する端板部、および、前記端板部の外縁から前記軸線方向の一方側へ延びて前記コイルの外周側を囲む円筒部を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記端板部の中央には、前記軸線方向の一方側へ向けて突出する突出部が設けられ、
前記突出部の先端面が前記磁石に当接することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第2ヨークは、
前記磁石に前記軸線方向の他方側から当接する第1磁性部材と、
前記第1磁性部材に前記軸線方向の他方側から当接する第2磁性部材と、を備え、
前記第2磁性部材は、
前記第1磁性部材に前記軸線方向の他方側から当接して前記第1磁性部材とともに前記端板部を構成する円板部と、前記円板部の外縁に設けられた曲げ部と、前記曲げ部から前記軸線方向の一方側へ延びる前記円筒部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記円筒部は、前記第1ヨークの外周側まで延びていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1ヨークは、前記軸線方向から見た外形が前記磁石よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第2ヨークは、前記端板部に前記軸線方向の他方側から当接する重量調整部材を備え、
前記重量調整部材は、厚さ方向の一部または全部が欠損した重量調整部を備えることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記可動体は、
前記支軸の軸線方向の一方側の端部に固定される筒状の第1内枠部材と、
前記支軸の軸線方向の他方側の端部に固定される筒状の第2内枠部材と、を備え、
前記支持体は、前記第1内枠部材に径方向外側で対向する第1外枠部材と、前記第2内枠部材に径方向外側で対向する第2外枠部材を備え、
前記接続体は、前記第1内枠部材と前記第1外枠部材との間に配置される環状の第1接続体と、前記第2内枠部材と前記第2外枠部材との間に配置される環状の第2接続体と、
を備えることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を支持体に対して相対移動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、可動体および支持体に接続される接続体と、支持体に対して可動体を移動させる磁気駆動機構とを備えたアクチュエータが記載される。特許文献1のアクチュエータでは、支持体は、筒状のケースと、ケースの両端を塞ぐ蓋部材と、ケースの内側に配置されるコイルホルダを備える。可動体は、ケースの径方向の中心に配置される支軸と、支軸に固定されるヨークおよび磁石を備える。磁気駆動機構は、磁石と、磁石の外周側に配置されるコイルホルダに巻かれたコイルを備える。
【0003】
特許文献1では、接続体として、支軸の両端を囲む位置に配置される環状の第1接続体および第2接続体を備える。第1接続体および第2接続体は、それぞれ、ケースの内側に設けられた外枠部材と、支軸の端部に固定された内枠部材とを接続する。これにより、可動体がケースの内側で軸線方向に移動可能に支持される。第1接続体および第2接続体は、シリコーンゲルなどのゲル状部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
磁気駆動機構を備えたアクチュエータでは、可動体の振動特性は、コイルと磁石とヨークで構成される磁気駆動機構から生じる推力(磁気駆動力)と、可動体の重量と、接続体であるゲル状部材のばね定数によって規定される。
【0006】
アクチュエータのコスト削減を図るという課題に対して、磁石の部品コストが高いため、磁石を小型化することが提案されている。しかしながら、磁石のサイズを小さくすると、磁気駆動機構の推力も減少するため、目標とする振動特性を得られないおそれがある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、磁石のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構の推力低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るアクチュエータは、支軸を備える可動体と、前記可動体の外周側を囲む筒状のケースを備える支持体と、前記支持体および前記可動体に接続される接続体と、前記可動体に配置される磁石および前記支持体に配置されるコイルを備え、前記可動体を前記支持体に対して前記支軸の軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構と、を有し、前記可動体は、前記磁石に前記軸線方向の一方側から当接する第1ヨークと、前記磁石に前記軸線方向の他方側から当接する第2ヨークと、を備え、前記支軸は、前記第1ヨーク、前記磁石、および前記第2ヨークを貫通しており、前記支持体は、前記ケースの内側に配置されるコイルホルダを備え、前記コイルホルダは、前記第1ヨークおよび前記磁石の外周側を囲む胴部を備え、前記胴部に前記コイルが巻かれており、前記第1ヨークの前記軸線方向の厚さよりも、前記磁石の前記軸線方向の厚さの方が小さく、前記第2ヨークは、前記磁石に前記軸線方向の他方側から当接する端板部、および、前記端板部の外縁から前記軸線方向の一方側へ延びて前記コイルの外周側を囲む円筒部を備
えることを特徴とする。
【0009】
本発明では、可動体が磁石に軸線方向の一方側から当接する第1ヨークと、磁石に軸線方向の他方側から当接する第2ヨークを備えている。第2ヨークは、磁石に当接する端板部の外縁から第1ヨークの側へ延びる円筒部を備えており、カップ状に形成されている。このような構成では、第1ヨークと第2ヨークによって磁石を軸線方向の両側から支持できる。磁石は、可動体を軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構を構成しており、軸線方向に2極着磁される。従って、第1ヨークと第2ヨークによって磁束密度が高い位置に磁路を形成できるので、磁気効率が高い。また、第2ヨークは、磁石に当接する端板部と、端板部の外縁から第1ヨークの側へ延びる円筒部を備えているため、第1ヨークから第2ヨークの円筒部へ向かう磁束がコイルと交差する。従って、磁気効率が高い。さらに、磁石の軸線方向の厚さを第1ヨークよりも小さくしたので、磁石の体積を削減でき、磁石のコスト削減を図ることができる。本発明者は、磁石の体積を小さくするにあたって、軸線方向から見た外形を小さくした場合と、厚さを小さくした場合とでは、厚さを小さくした方が、磁気駆動機構における磁石の単位体積当たりの推力(駆動力)を大きくできるという知見を得ている。従って、本発明により、磁気駆動機構を備えるアクチュエータにおいて、磁石のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構の推力低下を抑制することができる。
【0010】
本発明において、前記端板部の中央には、前記軸線方向の一方側へ向けて突出する突出部が設けられ、前記突出部の先端面が前記磁石に当接することが好ましい。このように、磁石が薄くなった分だけ端板部の厚さを部分的に厚くすることにより、磁石とコイル、および、磁路を形成する部材の位置関係が変わることを回避できる。また、円筒部の板厚は変わらないので、可動体の径方向の寸法が大型化することを回避できる。あるいは、コイルが配置される空間の径方向の幅が狭くなることを回避できる。
【0011】
本発明において、前記第2ヨークは、前記磁石に前記軸線方向の他方側から当接する第1磁性部材と、前記第1磁性部材に前記軸線方向の他方側から当接する第2磁性部材と、を備え、前記第2磁性部材は、前記第1磁性部材に前記軸線方向の他方側から当接して前記第1磁性部材とともに前記端板部を構成する円板部と、前記円板部の外縁に設けられた曲げ部と、前記曲げ部から前記軸線方向の一方側へ延びる前記円筒部と、を備えることが好ましい。このようにすると、第1磁性部材の板厚の分だけ端板部の厚さを部分的に厚くすることができる。従って、磁石とコイル、および、磁路を形成する部材の位置関係が変わることを回避できる。また、円筒部の板厚は変わらないので、可動体の径方向の寸法が大型化することを回避できる。あるいは、コイルが配置される空間の径方向の幅が狭くなることを回避できる。
【0012】
本発明において、前記円筒部は、前記第1ヨークの外周側まで延びていることが好ましい。このようにすると、第1ヨークから第2ヨークの円筒部へ向かう磁束がコイルと交差する。従って、磁気効率を高めることができる。
【0013】
本発明において、前記第1ヨークは、前記軸線方向から見た外形が前記磁石よりも大きいことが好ましい。このようにすると、落下等による衝撃が加わったとき、第1ヨークおよび磁石の外周側を囲むコイルホルダの胴部に対して磁石ではなく第1ヨークが衝突する。従って、磁石が他部品と衝突することを回避できるので、磁石の損傷を抑制でき、耐衝撃性を高めることができる。
【0014】
本発明において、前記第2ヨークは、前記端板部に前記軸線方向の他方側から当接する重量調整部材を備え、前記重量調整部材は、厚さ方向の一部または全部が欠損した重量調整部を備えることが好ましい。このようにすると、円筒部の厚さを変えずに可動体の重量を変更できる。従って、可動体の径方向の寸法が大型化することを回避できる。
【0015】
本発明において、前記可動体は、前記支軸の軸線方向の一方側の端部に固定される筒状の第1内枠部材と、前記支軸の軸線方向の他方側の端部に固定される筒状の第2内枠部材と、を備え、前記支持体は、前記第1内枠部材に径方向外側で対向する第1外枠部材と、前記第2内枠部材に径方向外側で対向する第2外枠部材を備え、前記接続体は、前記第1内枠部材と前記第1外枠部材との間に配置される環状の第1接続体と、前記第2内枠部材と前記第2外枠部材との間に配置される環状の第2接続体と、を備えることが好ましい。このようにすると、可動体の振動方向の両端が接続体によって支持される。従って、可動体を安定して支持できる。また、接続体は環状であるため、可動体が振動方向と異なる方向に移動するときは、接続体が圧縮されることになり、バネ定数が大きい。従って、可動体が傾くことを抑制でき、可動体と支持体との衝突を抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1ヨークと第2ヨークによって磁石を軸線方向の両側から支持できる。また、磁石を囲む磁路を形成でき、第1ヨークから第2ヨークの円筒部へ向かう磁束がコイルと交差するため、磁気効率が高い。さらに、磁石の軸線方向の厚さを第1ヨークよりも小さくしているので、磁石の体積を削減して磁石のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構の推力低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
【
図2】
図1に示すアクチュエータの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示すアクチュエータの断面図(
図1のA-A断面図)である。
【
図4】
図1に示すアクチュエータの断面図(
図1のB-B断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(全体構成)
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すアクチュエータ1の分解斜視図である。
図3、
図4は、
図1に示すアクチュエータ1の断面図である。
図3は、
図1のA-A位置で切断した断面図である。
図4は、
図1のB-B位置で切断した断面図であり、
図3と直交する方向で切断した断面図である。以下の説明において、可動体3の中心軸線Lが延在する方向を軸線方向とし、軸線方向の一方側をL1とし、軸線方向の他方側をL2とする。
【0019】
図1~
図4に示すように、アクチュエータ1は、支持体2と、可動体3と、支持体2および可動体3に接続される接続体10と、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動機構6とを備える。接続体10は、弾性および粘弾性のうちの少なくとも一方を備える。磁気駆動機構6は、可動体3に配置される磁石61と、支持体2に配置されるコイル62とを備えており、支持体2に対して可動体3を軸線方向に相対移動させる。
図3、
図4に示すように、可動体3は、軸線方向の一方側L1の端部、および軸線方向の他方側L2の端部の各位置において、接続体10を介して支持体2と接続される。
【0020】
(支持体)
図2~
図4に示すように、支持体2は、筒状のケース20と、ケース20の軸線方向の一方側L1の開口を塞ぐ第1蓋部材21と、ケース20の軸線方向の他方側L2の開口を塞ぐ第2蓋部材22と、ケース20の内周側で第1蓋部材21と第2蓋部材22との間に
配置されるコイルホルダ4を有する。本形態では、ケース20、第1蓋部材21、第2蓋部材22、およびコイルホルダ4は樹脂製である。また、支持体2は、コイルホルダ4の内周側に嵌まる第1外枠部材51と、第1外枠部材51に対して軸線方向の他方側L2に離間した位置でケース20の内周側に嵌まる第2外枠部材52を有する。
【0021】
(接続体)
接続体10は、第1外枠部材51の内周面に接合された環状の第1接続体11と、第2外枠部材52の内周面に接合された環状の第2接続体12を備える。本形態では、後述するように、第1接続体11および第2接続体12はゲル材料を成形したゲル状部材であり、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1外枠部材51および第2外枠部材52に接合されている。
【0022】
(コイルホルダ)
図2に示すように、コイルホルダ4は、環状の第1外枠部材固定部41と、第1外枠部材固定部41から軸線方向の他方側L2へ突出する胴部42とを備えており、胴部42の周りにコイル62が配置される。コイル62から引き出されたコイル線63の端部は、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41から径方向外側へ突出する2本の端子ピン64に絡げられている。
図1に示すように、端子ピン64はケース20の外部へ突出しており、配線基板7に接続される。
【0023】
第1外枠部材固定部41は第1外枠部材51の外周側を囲んでいる。
図4に示すように、第1外枠部材固定部41の内周面には、軸線方向の他方側L2に凹む第1凹部43が設けられ、第1外枠部材51は、第1凹部43に圧入される。本形態では、第1外枠部材51の外周面に形成された環状段部511が、第1凹部43の軸線方向の他方側L2の端部に設けられた第1段部44に対して軸線方向に当接する。
【0024】
(ケース)
ケース20は、円筒状のケース本体24と、ケース本体24の内周側に配置される第2外枠部材固定部25を備える。第2外枠部材固定部25は、コイルホルダ4に対して軸線方向の他方側L2に離間した位置に配置される。
図2、
図4に示すように、第2外枠部材固定部25は、ケース本体24の内周面から内周側に突出しており、ケース本体24と一体に成形される。
【0025】
第2外枠部材固定部25の内周面には、軸線方向の一方側L1に凹む第2凹部46が設けられ、第2外枠部材52は、第2凹部46に圧入される。本形態では、第2外枠部材52の外周面に形成された環状段部521が、第2凹部46の軸線方向の一方側L1の端部に設けられた第2段部45に対して軸線方向に当接する。
【0026】
図1、
図4に示すように、コイルホルダ4が嵌まるケース本体24の内周面には、軸線方向に延びる複数の溝部29が形成されている。
図2に示すように、コイルホルダ4は、第1外枠部材固定部41の外周面から突出する複数の凸部49を備える。支持体2を組み立てる際、コイルホルダ4の各凸部49は、ケース本体24の各溝部29に軸線方向の一方側L1から嵌め込まれる。これにより、コイルホルダ4がケース本体24に圧入されて固定される。
【0027】
(蓋部材)
図3、
図4に示すように、第1蓋部材21は、コイルホルダ4に設けられた第1外枠部材固定部41の軸線方向の一方側L1からケース本体24に固定される。また、第2蓋部材22は、第2外枠部材固定部25の軸線方向の他方側L2からケース本体24に固定される。
図2に示すように、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、軸線方向
から見て円形の蓋部26と、蓋部26の外周縁に周方向で等間隔で配置された複数の係止部27を備える。本形態では、第1蓋部材21および第2蓋部材22は、それぞれ、3個所の係止部27を備える。係止部27は、蓋部26から外周側へ拡がる方向に傾斜して延びる爪部である。
【0028】
係止部27は、径方向に弾性変形して蓋部26と共にケース本体24の内周側に押し込まれる。ケース20は、係止部27がケース20の内側から外れることを規制する規制部28を備える。規制部28は、ケース本体24の端部から内周側に突出する凸部である。
図1、
図2に示すように、規制部28は、ケース本体24の軸線方向の一方側L1および他方側L2の端部に、それぞれ、3個所ずつ等間隔で配置される。規制部28は、係止部27の先端に対して軸線方向に当接する。第1蓋部材21および第2蓋部材22は、係止部27および規制部28による係止構造と、接着剤による固定と併用してケース20に固定される。第1外枠部材固定部41は、ケース本体24に設けられた3個所の規制部28と軸線方向で重なる部分が切り欠かれている。従って、コイルホルダ4をケース本体24の内部に挿入する際に、第1外枠部材固定部41と規制部28とが干渉することが回避される。
【0029】
(配線基板)
図2に示すように、ケース20は、軸線方向の一方側L1の縁を軸線方向の他方側L2に切り欠いた切欠き部65と、切欠き部65の他方側L2に形成された基板固定部69を備える。
図1に示すように、配線基板7は、基板固定部69の軸線方向の一方側L1の端部に設けられた爪部691、および、基板固定部69の軸線方向の他方側L2の端部に設けられた係止溝692による係止構造と、接着剤による固定とを併用して基板固定部69に固定される。配線基板7には、コイル62に対する給電用のリード線8が接続される。基板固定部69には、配線基板7に対して周方向に隣接する位置でリード線8を保持するリード線保持部80が設けられている。
【0030】
切欠き部65の内周側には、コイルホルダ4の第1外枠部材固定部41が配置される。
図2に示すように、第1外枠部材固定部41から突出する2本の端子ピン64の根本には、コイル62から引き出されたコイル線63が絡げられている。2本の端子ピン64は、第1蓋部材21の外周縁の周方向の一部から軸線方向の他方側L2に延びるカバー66と、ケース20の切欠き部65との隙間からケース20の外周側に突出し、配線基板7に設けられた2箇所の穴71(
図2参照)に通されて、穴71の縁に設けられたランドと電気的に接続される。
【0031】
(可動体)
図2、
図3、
図4に示すように、可動体3は、支持体2の径方向の中心において軸線方向に延びる支軸30を有する。支軸30には、筒状の第1内枠部材36、および筒状の第2内枠部材37によって、磁石61およびヨーク35が固定される。支軸30は金属製の丸棒である。第1内枠部材36および第2内枠部材37は、金属製の円筒体であり、円形の貫通穴が設けられている。
【0032】
第1内枠部材36の内周面には、軸線方向の他方側L2の端部に径方向内側に突出した環状突部361が形成されている。従って、第1内枠部材36を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部361に圧入される。また、第2内枠部材37の内周面には、軸線方向の一方側L1の端部に径方向内側に突出した環状突部371が形成されている。従って、第2内枠部材37を支軸30に圧入した際、支軸30は環状突部371に圧入される。
【0033】
磁石61は、軸線方向から見て円形である。磁石61の径方向の中央には、支軸30が貫通する軸穴610が設けられており、支軸30の軸線方向の略中央に磁石61が固定さ
れる。ヨーク35は、磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32を備える。
【0034】
第1ヨーク31の中央には、支軸30が貫通する軸穴310が設けられている。第1ヨーク31は、外径寸法が磁石61の外径寸法よりわずかに大きい磁性板であり、第1ヨーク31の外周面は、磁石61の外周面より径方向外側に張り出している。第1ヨーク31は、磁石61の一方側L1の端面に接着等の方法で固定される。
【0035】
第2ヨーク32は、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する端板部321と、端板部321の外縁から軸線方向の一方側L1へ延びる円筒部322を備える。本形態では、第2ヨーク32は、円板状の第1磁性部材33と、カップ状の第2磁性部材34と、円板状の第3磁性部材38の3つの磁性部材からなる(
図2参照)。
図3、
図4に示すように、第1磁性部材33の板厚、第2磁性部材34の板厚、および第3磁性部材38の板厚は、いずれも第1ヨーク31の板厚よりも薄い。
【0036】
第1磁性部材33は、支軸30が貫通する軸穴330が設けられており、磁石61の他方側L2の端面に固定される。第2磁性部材34は、支軸30が貫通する軸穴340が設けられた円板部341と、円板部341の外縁に設けられた曲げ部342と、曲げ部342から軸線方向の一方側L1へ延びる円筒部322を備える。すなわち、第2ヨーク32の円筒部322は、第2磁性部材34によって構成される。第2ヨーク32の端板部321は、第2磁性部材34の円板部341と第1磁性部材33によって構成される。円板部341には、支軸30が貫通する軸穴340が設けられている。
【0037】
第3磁性部材38には、支軸30が貫通する軸穴380が設けられており、第2磁性部材34の円板部341に対して軸線方向の他方側L2から固定される。第2ヨーク32を構成する複数の磁性部材のうち、第3磁性部材38は、可動体3の重量を調整する重量調整部材として機能する。第3磁性部材38は、重量調整部39を備える。本形態では、重量調整部39は円形の貫通孔である。重量調整部39の数やサイズは、第3磁性部材38の外形を変更することなく、第3磁性部材38の重量を設計値に一致させるように設定されている。本形態では、
図2に示すように、4箇所の重量調整部39が90度の角度間隔で周方向に並んでいる。4箇所の重量調整部39は、可動体3の重心を中心として周方向に均等配置される。
【0038】
可動体3を製造する際、磁石61およびヨーク35を構成する各部材の軸穴310、610、330、340、380に支軸30を貫通させる。この状態で、磁石61およびヨーク35の軸線方向の両側で第1内枠部材36および第2内枠部材37を支軸30に固定する。これにより、第1内枠部材36は、軸線方向の一方側L1から磁石61およびヨーク35を支持し、第2内枠部材37が軸線方向の他方側L2から磁石61およびヨーク35を支持する。よって、磁石61およびヨーク35は、支軸30に固定される。
【0039】
第1磁性部材33は、外径寸法が磁石61の外径寸法と略同一であり、円板部341よりも小さい。従って、第1磁性部材33は、端板部321の径方向の中央から軸線方向の一方側L1へ突出する突出部323を形成しており、突出部323の先端面に磁石61が当接する。第2ヨーク32は、円筒部322の内径が磁石61および第1ヨーク31の外径より大きい。従って、磁石61および第1ヨーク31を第1磁性部材33に対して軸線方向の一方側L1から積層すると、円筒部322は、磁石61の外周面および第1ヨーク31の外周面から径方向外側に離間した位置で磁石61の外周面および第1ヨーク31の外周面に対向する。
【0040】
図3、
図4に示すように、コイルホルダ4の胴部42は、第2ヨーク32の円筒部32
2と、第1ヨーク31および磁石61との径方向の隙間に挿入される。従って、胴部42に巻かれたコイル62は、円筒部322と磁石61の外周面との間、および、円筒部322と第1ヨーク31の外周面との間に配置される。
【0041】
(接続体の製造方法)
第1接続体11および第2接続体12は粘弾性体からなる。例えば、第1接続体11および第2接続体12として、シリコーンゲル等からなるゲル状部材、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いることができる。また、接続体10として用いることが可能な粘弾性体は、ゲル状部材、ゴム、あるいはその変性材料と、バネなどの弾性体とを組み合わせた複合部材であってもよい。
【0042】
本形態では、第1接続体11および第2接続体12は、針入度が90度から110度のシリコーンゲルからなる。第1接続体11および第2接続体12は、ゲル材料を型に充填して硬化させる方法(注型)により製造される。第1接続体11を成形するときは、治具によって第1外枠部材51および第1内枠部材36を同軸に位置決めして第1外枠部材51と第1内枠部材36との間に環状の隙間を形成し、この隙間にゲル材料を充填して熱硬化させる。これにより、ゲル状部材自身の粘着性によって、第1接続体11が第1外枠部材51の内周面、および、第1内枠部材36の外周面に接合される。
【0043】
なお、ゲル材料を充填する前に、第1外枠部材51の内周面、および第1内枠部材36の外周面にプライマー等の接合促進剤を塗布することによって接合強度を高めることができる。第2接続体12についても、同様に、第2外枠部材52と第2内枠部材37との間に環状の隙間を形成し、この隙間にゲル材料を充填して熱硬化させることにより成形される。従って、アクチュエータ1を組み立てる際には、ゲル状部材を接着する工程を行わずに、支持体2と可動体3とを接続することができる。
【0044】
(アクチュエータの動作)
アクチュエータ1は、コイル62に通電することにより、磁気駆動機構6が、可動体3を軸線方向に駆動する駆動力を発生させる。コイル62への通電を切ると、可動体3は、接続体10の復帰力によって原点位置へ戻る。従って、コイル62への通電を断続的に行うことにより、可動体3は、軸線方向で振動する。また、コイル62に印加する交流波形を調整することで、可動体3が軸線方向の一方側L1に移動する加速度と、可動体3が軸線方向の他方側L2に移動する加速度を異なるものとすることができる。それ故、アクチュエータ1を触覚デバイスとして取り付けた機器を手にした者は、軸線方向において方向性を有する振動を体感することができる。また、アクチュエータ1を利用してスピーカを構成することもできる。
【0045】
本形態では、接続体10は、支持体2と可動体3が第1方向(径方向)で対向する位置に配置され、可動体3は第1方向(径方向)に対して交差する第2方向(軸線方向)に振動する。可動体3が支持体2に対して第2方向(軸線方向)に振動する際、第1接続体11および第2接続体12は、可動体3の振動に追従してせん断方向に変形する。シリコーンゲル等のゲル状部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。ゲル状部材がせん断方向に変形する際は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。従って、可動体3が支持体2に対して軸線方向に振動する際、第1接続体11および第2接続体12は、線形性が高い範囲で変形するので、リニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0046】
なお、可動体3が径方向に移動する場合には、第1接続体11および第2接続体12が潰れる方向に変形する。ここで、ゲル状部材が潰れる方向に変形する場合のバネ定数は、ゲル状部材がせん断方向に変形する場合のバネ定数の3倍程度である。このため、可動体3が振動方向(軸線方向)とは異なる方向に移動することを抑制でき、可動体3と支持体2との衝突を抑制できる。
【0047】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のアクチュエータ1は、軸線方向に延びる支軸30を備える可動体3と、可動体3の外周側を囲む筒状のケース20を備える支持体2と、支持体2および可動体3に接続される接続体10と、可動体3に配置される磁石61および支持体2に配置されるコイル62を備え、可動体3を支持体2に対して軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構6を有する。可動体3は、磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32を備えており、支軸30は、第1ヨーク31、磁石61、および第2ヨーク32を貫通する。支持体2は、ケース20の内側に配置されるコイルホルダ4を備える。コイルホルダ4は、第1ヨーク31および磁石61の外周側を囲む胴部42を備え、胴部42にコイル62が巻かれている。本形態では、磁石61の厚さが従来よりも薄くなっており、第1ヨーク31の軸線方向の厚さよりも、磁石61の軸線方向の厚さの方が小さい。第2ヨーク32は、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する端板部321、および、端板部321の外縁から軸線方向の一方側L1へ延びてコイル62の外周側を囲む円筒部322を備える。
【0048】
本形態では、このように、可動体3が磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32を備えているので、第1ヨーク31と第2ヨーク32によって磁石61を軸線方向の両側から支持できる。磁石61は、可動体3を軸線方向に相対移動させる磁気駆動機構6を構成しており、軸線方向に2極着磁される。従って、第1ヨーク31と第2ヨーク32によって磁束密度が高い位置に磁路を形成できるので、磁気効率が高い。また、第2ヨーク32は、磁石61に当接する端板部321と、端板部321の外縁から第1ヨーク31の側へ延びる円筒部322を備えているため、第1ヨーク31から第2ヨーク32の円筒部322へ向かう磁束がコイル62と交差する。従って、磁気効率が高い。さらに、本形態では、磁石61の軸線方向の厚さが第1ヨーク31よりも小さく、磁石61の体積が小さい。従って、磁石61の体積を削減でき、磁石61のコスト削減を図ることができる。
【0049】
本発明者は、本形態のような構成のアクチュエータ1において、磁石61の体積を小さくするにあたって、軸線方向から見た磁石61の外形を小さくした場合(すなわち、磁石61の直径を小さくした場合)と、磁石61の厚さを小さくした場合とでは、磁石61の厚さを小さくした方が、磁気駆動機構6における磁石61の単位体積当たりの推力(駆動力)を大きくできるという知見を得ている。より詳細には、本発明者は、磁石61の直径を小さくして磁石61の体積を減少させた場合は、体積の減少割合とアクチュエータ1の加速度の減少割合とが同程度になるが、磁石61の厚さを小さくして磁石61の体積を減少させた場合は、加速度の減少割合が体積の減少割合の半分程度の減少量で済むことを試作により確認した。従って、本形態の構成により、磁石61のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構6の推力低下を抑制できる。
【0050】
本形態では、第2ヨーク32における端板部321の中央には、軸線方向の一方側L1へ向けて突出する突出部323が設けられており、突出部323の先端面が磁石61に当接する。このように、磁石61が薄くなった分だけ端板部321の厚さを部分的に厚くすることにより、磁石61とコイル62、および、磁路を形成する部材(第1ヨーク31お
よび第2ヨーク32)の位置関係が変わることを回避できる。また、円筒部322の板厚は変わらないので、可動体3の径方向の寸法が大型化することを回避できる。あるいは、コイル62が配置される空間の径方向の幅が狭くなることを回避できる。また、コイルホルダ4の胴部42と第2磁性部材34の円板部341との軸線方向の隙間が狭くならないので、可動体3が軸線方向に振動するためのスペースを確保できる。
【0051】
本形態では、第2ヨーク32は、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第1磁性部材33と、第1磁性部材33に軸線方向の他方側L2から当接する第2磁性部材34を備える。第2磁性部材34は、第1磁性部材33に軸線方向の他方側L2から当接する円板部341と、円板部341の外縁に設けられた曲げ部342と、曲げ部342から軸線方向の一方側L1(すなわち、磁石61の側)へ延びる円筒部322を備える。円板部341は、第1磁性部材33とともに第2ヨーク32の端板部321を構成する。このように、本形態では、第1磁性部材33を固定することにより端板部321の厚さを部分的に厚くしているので、磁石61とコイル62の配置、および、磁路を形成する部材の配置を変えずに、磁石61の軸線方向の厚さを薄くしてコスト削減を図ることができる。また、円筒部322の板厚は変わらないので、可動体3の径方向の寸法が大型化することを回避できる。あるいは、コイル62が配置される空間の径方向の幅が狭くなることを回避できる。さらに、コイルホルダ4の胴部42と第2磁性部材34の円板部341との軸線方向の隙間が狭くならないので、可動体3が軸線方向に振動するためのスペースを確保できる。
【0052】
本形態では、第2ヨーク32の円筒部322は、第1ヨーク31の外周側まで延びているため、第1ヨーク31から円筒部322へ向かう磁束がコイル62と交差する。従って、磁気効率が高い。
【0053】
本形態では、第1ヨーク31は、軸線方向から見た外形が磁石61よりも大きい。第1ヨーク31が磁石61よりも大きい場合、落下等による衝撃が加わったとき、第1ヨーク31および磁石61の外周側を囲むコイルホルダ4の胴部42に対して、磁石61でなく第1ヨーク31が衝突する。従って、衝撃が加わった際に磁石61が他部品と衝突することを回避できるので、磁石61の損傷を抑制できる。よって、耐衝撃性が高い。
【0054】
本形態では、第2ヨーク32は、端板部321に軸線方向の他方側L2から当接する第3磁性部材38を備えており、第3磁性部材38は、可動体3の重量を調整するための重量調整部材として機能する。そのため、第3磁性部材38(重量調整部材)は、厚さ方向の一部または全部が欠損した重量調整部39を備える。このように、端板部321に対して別部材の重量調整部材を固定することにより、円筒部322の厚さを変えずに可動体3の重量を変更できる。従って、可動体3の径方向の寸法が大型化することを回避できる。本形態では、第3磁性部材38は、重量調整部39として貫通孔を備えているので、第3磁性部材38の外形を変更せずに重量を変更できる。
【0055】
第2ヨーク32の磁束密度は、軸線方向から見て磁石61の外周縁と重なる位置で最も大きい。本形態では、重量調整部39は、軸線方向から見て磁石61の外周縁よりも内周側に配置されており、磁束密度が最も大きい位置からずらした位置に設けられている。重量調整部39は磁性部材が欠損した部位である。従って、重量調整部39の位置を軸線方向から見て磁石61の外周縁と重なる位置からずらすことにより、磁気抵抗の増大を抑制でき、磁気効率の低下を抑制できる。
【0056】
第2ヨーク32は、カップ状の第2磁性部材34が絞り加工によって製造されており、円板部341と円筒部322とを接続する曲げ部342の磁束密度が高い。本形態では、第3磁性部材38の外径と円筒部322の外径は同一寸法である。従って、第2ヨーク3
2は、第3磁性部材38の外周端部によって磁束密度が高い部分の厚さが確保されている。従って、磁気抵抗の増大を抑制でき、磁気効率の低下を抑制できる。
【0057】
なお、重量調整部39は、貫通孔でなくてもよく、半抜き部であってもよい。すなわち、重量調整部39は、厚さ方向の一部または全部が欠損した部分であればよいので、厚さ方向の全部が欠損した貫通孔でなくてもよく、厚さ方向の一部が欠損した半抜き部であってもよい。
【0058】
本形態では、重量調整部39は、可動体3の重心を中心として周方向に均等配置されるため、重量調整部39を設けたことによる可動体3の重心ずれを防止できる。
【0059】
本形態では、第2ヨーク32が3枚の磁性部材によって構成されており、第1磁性部材33、第2磁性部材34の円板部341、および第3磁性部材38を重ねて磁石61の端面に固定する。これにより、第2ヨーク32において磁束密度が高い部分を厚くする一方で、磁石61の外周側を囲む円筒部322の板厚は必要以上に厚くならないようにすることができる。従って、磁気効率を向上させることができるととともに、可動体3の外径が大型化することを抑制でき、アクチュエータ1の大型化を抑制できる。
【0060】
本形態では、可動体3は、支軸30の軸線方向の一方側L1の端部に固定される筒状の第1内枠部材36と、支軸30の軸線方向の他方側L2の端部に固定される筒状の第2内枠部材37を備える。支持体2は、第1内枠部材36に径方向外側で対向する第1外枠部材51と、第2内枠部材37に径方向外側で対向する第2外枠部材52を備える。接続体10は、第1内枠部材36と第1外枠部材51との間に配置される環状の第1接続体11と、第2内枠部材37と第2外枠部材52との間に配置される環状の第2接続体12と、を備える。従って、可動体3の振動方向の両端が接続体10によって支持されているので、可動体3を安定して支持できる。また、接続体10は環状であるため、可動体3が振動方向と異なる方向に移動するときは、接続体10が圧縮されることになり、バネ定数が大きい。従って、可動体3が傾くことを抑制でき、可動体3と支持体2との衝突を抑制できる。
【0061】
(変形例)
上記形態は、第2ヨーク32を3枚の磁性部材により構成しているが、第2ヨーク32の構成は上記形態と異なっていてもよい。
図5は、変形例1の可動体3Aの断面図である。
図6は、変形例2の可動体3Bの断面図である。
図7は、変形例3の可動体3Cの断面図である。以下、上記形態と同一の構成は同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成は異なる符号を付して説明する。
【0062】
図5に示すように、変形例1の可動体3Aは、磁石61と、磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32Aを備える。第2ヨーク32Aは、第2磁性部材34Aおよび第3磁性部材38を備える。第2磁性部材34Aは、上記形態の第1磁性部材33と第2磁性部材34とを一体化させた形状の磁性部材である。従って、第2磁性部材34Aは、端板部321A、曲げ部342、および円筒部322を備えており、端板部321Aは、径方向の中央から軸線方向の一方側L1へ突出する突出部323を備える。突出部323は、上記形態の第1磁性部材33と同一形状である。
【0063】
変形例1では、第1磁性部材33を用いる代わりに、第2磁性部材34Aの板厚を部分的に厚くしている。これにより、上記形態と同様に、磁石61とコイル62、および、磁路を形成する部材の配置を変えずに、磁石61の体積を小さくしてコスト削減を図ることができる。その際、磁石61の厚さを小さくすることにより磁石61の体積を小さくする
ので、磁石61のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構6の推力低下を抑制することができる。また、コイルホルダ4の胴部42と第2磁性部材34との軸線方向の隙間が狭くならないので、可動体3が軸線方向に振動するスペースを確保できる。
【0064】
図6に示すように、変形例2の可動体3Bは、磁石61と、磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32Bを備える。第2ヨーク32Bは、上記形態と同一形状の第2磁性部材34および第3磁性部材38の2部品により構成され、第1磁性部材33は備えていない。従って、第2ヨーク32Bの端板部321Bは、第2磁性部材34の円板部341のみからなる。円板部341(端板部321B)は、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する。
【0065】
変形例2の可動体3Bは、第1磁性部材33を省略しているので、磁石61の板厚を薄くした分、第2磁性部材34および第3磁性部材38の軸線方向の位置が軸線方向の一方側L1へシフトする。そのため、コイルホルダ4の胴部42と第2磁性部材34の円板部341(端板部321B)との間に、可動体3の振幅よりも大きな軸線方向の隙間が確保されるように、可動体3の振幅およびコイルホルダ4の配置を設定する。変形例2では、上記形態と同様に、磁石61の厚さを小さくすることにより磁石61の体積を小さくしているので、磁石61のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構6の推力低下を抑制することができる。
【0066】
図7に示すように、変形例3の可動体3Cは、磁石61と、磁石61に軸線方向の一方側L1から当接する第1ヨーク31と、磁石61に軸線方向の他方側L2から当接する第2ヨーク32Cを備える。第2ヨーク32Cは、上記形態と同一形状の第1磁性部材33および第2磁性部材34の2部品により構成され、第3磁性部材38は備えていない。第2ヨーク32Cは、第1磁性部材33が磁石61に軸線方向の他方側L2から当接するとともに、第2磁性部材34の円板部341が第1磁性部材33に軸線方向の他方側L2から当接する。第2ヨーク32の端板部321は、円板部341および第1磁性部材33によって構成される
【0067】
変形例3の可動体3Cは、重量調整部材として機能する第3磁性部材38を備えていないものの、第1磁性部材33および第2磁性部材34の形状および配置は上記形態と同一であるため、上記形態と同様に、磁石61の厚さを小さくすることにより磁石61の体積を小さくできる。従って、磁石61のコスト削減を図り、且つ、磁気駆動機構6の推力低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0068】
1…アクチュエータ、2…支持体、3、3A、3B、3C…可動体、4…コイルホルダ、6…磁気駆動機構、7…配線基板、8…リード線、10…接続体、11…第1接続体、12…第2接続体、20…ケース、21…第1蓋部材、22…第1蓋部材、24…ケース本体、25…第2外枠部材固定部、26…蓋部、27…係止部、28…規制部、29…溝部、30…支軸、31…第1ヨーク、32、32A、32B、32C…第2ヨーク、33…第1磁性部材、34、34A…第2磁性部材、35…ヨーク、36…第1内枠部材、37…第2内枠部材、38…第3磁性部材、39…重量調整部、41…第1外枠部材固定部、42…胴部、43…第1凹部、44…第1段部、45…第2段部、46…第2凹部、48…溝部、49…凸部、51…第1外枠部材、52…第2外枠部材、61…磁石、62…コイル、63…コイル線、64…端子ピン、65…切欠き部、66…カバー、69…基板固定部、71…穴、80…リード線保持部、310…軸穴、321、321A、321B…端板部、322…円筒部、323…突出部、330…軸穴、340…軸穴、341…円板部、342…曲げ部、361…環状突部、371…環状突部、380…軸穴、511…環
状段部、521…環状段部、610…軸穴、691…爪部、692…係止溝、L…中心軸線、L1…軸線方向の一方側、L2…軸線方向の他方側