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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033942
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】充電装置及び電力需給調整システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20240306BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240306BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240306BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20240306BHJP
   B60L 55/00 20190101ALI20240306BHJP
【FI】
H02J7/34 B
H02J7/02 F
H02J7/00 301A
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/38 110
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
B60L53/80
B60L55/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137872
(22)【出願日】2022-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑 潔
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB10
5G064DA03
5G066HB06
5G066HB09
5G066JB03
5G066KA06
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA04
5G503BB02
5G503DA18
5G503FA01
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC13
5H125BC26
5H125BE02
5H125CD10
5H125EE27
(57)【要約】
【課題】電力系統の安定化を図るとともに、良好に電気自動車用の蓄電池を交換することが可能な充電装置及び電力需給調整システムを提供する。
【解決手段】充電装置は、配電線を介して上位系統と接続された充電装置であって、複数の蓄電池と、蓄電池がそれぞれに格納され、上位系統から系統電力を受けて蓄電池を充電するための複数のスロットと、複数の蓄電池の充電を制御する充電制御回路と、を有し、複数のスロットに格納された複数の蓄電池のうち一部の蓄電池は、配電線に接続された電力機器を含む電力系統の電力需給調整用の蓄電池として用いられ、充電制御回路は、電力系統の電力需給調整用の蓄電池の取り出しを規制し、他の複数のスロットで蓄電池の取り出し及び格納を可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電線を介して上位系統と接続された充電装置であって、
複数の蓄電池と、
前記蓄電池がそれぞれに格納され、前記上位系統から系統電力を受けて前記蓄電池を充電するための複数のスロットと、
複数の前記蓄電池の充電を制御する充電制御回路と、を有し、
複数の前記スロットに格納された複数の前記蓄電池のうち一部の前記蓄電池は、前記配電線に接続された電力機器を含む電力系統の電力需給調整用の蓄電池として用いられ、
前記充電制御回路は、前記電力系統の電力需給調整用の蓄電池の取り出しを規制し、他の複数の前記スロットで前記蓄電池の取り出し及び格納を可能とする
充電装置。
【請求項2】
前記充電制御回路は、格納された前記蓄電池が不良の場合、不良の前記蓄電池の取り出しを規制する
請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記充電制御回路は、使用者からの前記蓄電池の取り出し指令を受けて、前記蓄電池の満充電の容量に対する充電済みの容量の割合で料金を算出する
請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
複数の前記スロットのそれぞれに開閉可能に設けられた蓋部を有し、
前記充電制御回路は、前記電力系統の電力需給調整用の蓄電池が格納された複数の前記スロットの前記蓋部をロックし、他の複数の前記スロットの前記蓋部を開閉可能とする
請求項1に記載の充電装置。
【請求項5】
前記充電装置に接続された前記配電線の電力系統が単独になった場合、
前記充電制御回路は、全ての前記スロット及び全ての前記蓄電池の取り出し及び格納を規制する
請求項1に記載の充電装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の充電装置と、
前記配電線に接続される変圧器と、
所定の施設に設置され、電力を消費する負荷及び発電を行う分散型電源を含み、前記変圧器に接続される電力機器と、
前記変圧器及び前記電力機器を含む電力系統における電力の需給を制御する統合制御装置と、を有し、
前記統合制御装置は、前記系統電力及び前記電力機器の電力情報と、前記充電装置の複数の蓄電池の電力情報と、に基づいて、複数の前記蓄電池のうち、前記電力系統の電力需給調整用に使用される複数の前記蓄電池の割り当てを決定する
電力需給調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置及び電力需給調整システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、負荷及び分散型電源を含む電力系統における電力の需給を調整する電力需給調整システムについて記載されている。電力需給調整システムは、変電所に付設された蓄電池を有する。系統電力が不足する場合に、変電所に付設された蓄電池は配電線に放電し、分散型電源の余剰電力が発生する場合に、余剰電力は変電所に付設された蓄電池に充電される。
【0003】
特許文献2、3には、蓄電池(二次電池)を交換する方式の電気自動車(特許文献3では自動二輪車)について開示されている。使用者は、電池ステーション(特許文献3では交換ステーション)で容量が少なくなった蓄電池(二次電池)を充電済みの蓄電池に交換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-19598号公報
【特許文献2】特開2011-34260号公報
【特許文献3】特開2021-34126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、電池ステーションの蓄電池を電力系統の電力需給調整用の蓄電池として用いる構成について記載されていない。特許文献1の電力需給調整システムに特許文献2、3の電池ステーションの蓄電池を用いた場合に、電気自動車の使用者が電池ステーションの蓄電池を使用できなくなる可能性がある。あるいは、電力系統の電力需給調整用に用いられている蓄電池が電気自動車用に用いられると、電力系統の安定化が困難になる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決して、電力系統の安定化を図るとともに、良好に電気自動車用の蓄電池を交換することが可能な充電装置及び電力需給調整システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による充電装置は、配電線を介して上位系統と接続された充電装置であって、複数の蓄電池と、前記蓄電池がそれぞれに格納され、前記上位系統から系統電力を受けて前記蓄電池を充電するための複数のスロットと、複数の前記蓄電池の充電を制御する充電制御回路と、を有し、複数の前記スロットに格納された複数の前記蓄電池のうち一部の前記蓄電池は、前記配電線に接続された電力機器を含む電力系統の電力需給調整用の蓄電池として用いられ、前記充電制御回路は、前記電力系統の電力需給調整用の蓄電池の取り出しを規制し、他の複数の前記スロットで前記蓄電池の取り出し及び格納を可能とする。
【0008】
これによれば、充電装置は、複数のスロットに格納された蓄電池のうち一部の蓄電池を電力系統の電力需給調整用に用い、他のスロットの蓄電池を電気自動車の交換用の蓄電池として使用できる。使用者は、電力系統の電力需給調整用の蓄電池を、電気自動車の交換用の蓄電池として取り出すことができないので、電力系統の安定化を図ることができる。また、複数の蓄電池のうち、電力系統の電力需給調整用の蓄電池とは別の蓄電池は、電気自動車の交換用の蓄電池として使用可能である。したがって、充電装置は、電力系統の安定化を図るとともに、良好に蓄電池を交換することが可能である。
【0009】
本発明の望ましい態様として、充電装置において、前記充電制御回路は、格納された前記蓄電池が不良の場合、不良の前記蓄電池の取り出しを規制する。これによれば、充電装置は、不良の蓄電池が電気自動車に用いられることを抑制できる。
【0010】
本発明の望ましい態様として、充電装置において、前記充電制御回路は、使用者からの前記蓄電池の取り出し指令を受けて、前記蓄電池の満充電の容量に対する充電済みの容量の割合で料金を算出する。これによれば、使用者は、蓄電池が満充電でない状態であっても、充電量に応じた料金で電気自動車の交換用の蓄電池として使用することができる。したがって、充電装置は、蓄電池の利便性を向上させることができる。
【0011】
本発明の望ましい態様として、充電装置は、複数の前記スロットのそれぞれに開閉可能に設けられた蓋部を有し、前記充電制御回路は、前記電力系統の電力需給調整用の蓄電池が格納された複数の前記スロットの前記蓋部をロックし、他の複数の前記スロットの前記蓋部を開閉可能とする。これによれば、使用者は、蓋部がロックされることで電力系統の電力需給調整用の蓄電池をスロットから取り出すことができなくなり、他のスロットの蓄電池を電気自動車の交換用の蓄電池として使用できる。
【0012】
本発明の望ましい態様として、充電装置は、前記充電装置に接続された前記配電線の電力系統が単独になった場合、前記充電制御回路は、全ての前記スロット及び全ての前記蓄電池の取り出し及び格納を規制する。これによれば、充電装置は、非常時における電力系統の電力を確保することができる。
【0013】
本発明の一態様による電力需給調整システムは、上記の複数の充電装置と、前記配電線に接続される変圧器と、所定の施設に設置され、電力を消費する負荷及び発電を行う分散型電源を含み、前記変圧器に接続される電力機器と、前記変圧器及び前記電力機器を含む電力系統における電力の需給を制御する統合制御装置と、を有し、前記統合制御装置は、前記系統電力及び前記電力機器の電力情報と、前記充電装置の複数の蓄電池の電力情報と、に基づいて、複数の前記蓄電池のうち、前記電力系統の電力需給調整用に使用される複数の前記蓄電池の割り当てを決定する。
【0014】
これによれば、電力需給調整システムは、充電装置の複数の蓄電池のうち一部の蓄電池を電力系統の電力需給調整用に用いることができる。したがって、電力系統で余剰電力が発生した場合には充電装置の複数の蓄電池に充電し、あるいは電力系統で電力不足が発生した場合には充電装置の複数の蓄電池を放電させることができる。また、充電装置の複数の蓄電池のうち、電力系統の電力需給調整用の蓄電池とは別の蓄電池は、電気自動車の交換用の蓄電池として使用可能である。したがって、電力需給調整システムは、電力系統の安定化を図るとともに、良好に電気自動車用の蓄電池を交換することが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の充電装置及び電力需給調整システムによれば、電力系統の安定化を図るとともに、良好に電気自動車用の蓄電池を交換することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態に係る充電装置を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る充電装置の、充電制御回路の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、充電装置を含む電力需給調整システムの構成を説明するための説明図である。
図4図4は、統合制御装置を含む電力需給調整システムの構成例を説明するためのブロック図である。
図5図5は、統合制御装置の記憶部に記憶される電力系統に関する電力情報の構成例を示す模式図である。
図6図6は、統合制御装置の記憶部に記憶される充電装置に関する電力情報の構成例を示す模式図である。
図7図7は、充電装置の充電処理の一例を示すフローチャート図である。
図8図8は、充電装置を含む電力需給調整システムの動作例を示すフローチャート図である。
図9図9は、非常時における電力需給調整システム及び充電装置の動作例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る充電装置及び電力需給調整システムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、実施形態の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。また、実施形態に記載された方法、装置及び変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。
【0018】
図1は、実施形態に係る充電装置を模式的に示す斜視図である。図1に示す充電装置10は、電気自動車に用いられる蓄電池20を充電する装置であり、充電ステーションあるいは充電ボックスとも呼ばれる。また、充電装置10は、配電線5及び制御信号線6を介して、負荷Lや太陽光発電装置PV等の電力機器(図3参照)を含む電力系統と電気的に接続される。
【0019】
図1に示すように、充電装置10は、複数の蓄電池20と、本体11と、複数のスロット12と、複数の蓋部13と、複数のロック機構14と、複数のインジケータ15と、表示部16と、決済部17と、コンセント18と、充電制御回路30と、を備える。
【0020】
複数のスロット12は、それぞれに蓄電池20が格納され、上位系統の変電所(図示しない)から系統電力Psを受けて蓄電池20を充電する。複数のスロット12は、それぞれ蓄電池20の電極と電気的に接続される端子を備える。また、複数のスロット12は、それぞれ蓄電池20の電流、電圧、温度等を検出する各種センサを備える。蓄電池20の充電量、充電時間等の情報は、各スロット12から充電制御回路30に送信される。図1に示す例では、スロット12は、3行4列、合計12個設けられている。ただし、スロット12の数はあくまで一例であり、適宜変更できる。
【0021】
ここで、蓄電池20は、電気自動車に用いられる交換式の蓄電池20である。蓄電池20は、例えばリチウム二次電池である。ただし、蓄電池20は、全固体電池等、他の種類の二次電池であってもよい。例えば、電気自動車は、5kWhの容量を有する蓄電池20を6本搭載し、合計30kWh程度の蓄電池20が搭載できる。なお、蓄電池20は、電気自動車に限定されず、ハイブリッドカーや自動二輪車の交換用の蓄電池20として用いてもよい。また、充電装置10が有する複数の蓄電池20は、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20としても用いられる。電力系統の電力需給調整用の蓄電池20については、図3にて後述する。
【0022】
使用者は、容量が少なくなった蓄電池20を電気自動車から取り外し、空いているスロット12bに格納する。そして、使用者は、他のスロット12(例えばスロット12a)から充電済みの蓄電池20を取り出し、電気自動車に取り付けて使用する。充電装置10は、スロット12bに格納された蓄電池20の充電を開始する。これにより、使用者は、使用済みの蓄電池20の充電が完了するまで待つ必要がなく、別の蓄電池20に交換して使用できる。したがって、充電装置10は、交換式の蓄電池20を備えた電気自動車の利便性を向上させることができる。
【0023】
複数の蓋部13は、複数のスロット12のそれぞれに開閉可能に設けられる。複数の蓋部13は、閉状態で複数のスロット12の開口を覆い、蓄電池20の取り出し及び格納を規制するように設けられる。複数の蓋部13は、開状態で複数のスロット12の開口を解放し、蓄電池20の取り出し及び格納を可能とするように設けられる。
【0024】
複数のロック機構14は、充電制御回路30からの制御信号に基づいて複数の蓋部13をロック(締結)する。ロック機構14は、蓋部13をロックできればどのような構成であってもよく、機械的に蓋部13をロックする機構であってもよいし、電磁的に蓋部13をロックする機構であってもよい。
【0025】
複数のインジケータ15は、複数のスロット12のそれぞれに設けられ、複数のスロット12に格納された蓄電池20の取り出し及び格納が可能かどうかを表示する。すなわち、複数のインジケータ15は、蓋部13がロック機構14によりロックされている状態か解除されている状態かを表示する。一例として、複数のインジケータ15は、異なる色のランプの点灯と非点灯とを切り替えて、ロック機構14の状態を示す。赤色のランプが点灯する場合は、蓋部13がロックされ蓄電池20の取り出し及び格納ができない状態であることを示し、青色のランプが点灯する場合は、蓋部13が解放され蓄電池20の取り出し及び格納が可能であることを示す。
【0026】
表示部16は、蓄電池20の容量等の電力情報や、蓄電池20の交換に要する料金等の各種情報を表示する。使用者は、表示部16で蓄電池20の情報を確認し、複数のスロット12に格納された蓄電池20から、取り出す蓄電池20を選択することができる。また、表示部16は、タッチパネル等の入力装置を備え、使用者はタッチパネルを操作して取り出す蓄電池20を選択することができる。
【0027】
決済部17は、クレジットカード、電子マネーや現金で決済可能な装置である。決済部17は、クレジットカード、各種電子マネーに対応した読み取り装置や、投入された紙幣、硬貨を検知する検知装置等を備える。
【0028】
コンセント18は、非交換式の蓄電池を備えた電気自動車の充電用に設けられている。使用者は、ケーブルをコンセント18に接続することで、電気自動車に搭載された蓄電池を充電装置10に接続する。これにより、電気自動車に搭載された蓄電池は、系統電力Psを受けて充電される。なお、コンセント18は無くてもよい。
【0029】
充電制御回路30は、複数の蓄電池20の充電を制御する回路である。充電制御回路30は、複数のスロット12から複数の蓄電池20の情報を受け取って、複数のロック機構14、複数のインジケータ15、表示部16、決済部17等に制御信号を供給して、蓄電池20の取り出し及び格納を制御する。また、充電制御回路30は、電力系統の統合制御装置50(図4参照)からの制御信号SCを受けて、複数の蓄電池20を制御し、あるいは、複数のスロット12及び複数の蓄電池20の各種情報を含む電力情報55Bを統合制御装置50(図4参照)に出力する。
【0030】
図2は、実施形態に係る充電装置の、充電制御回路の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、充電制御回路30は、通信部31、入力部32、出力部33、処理部34及び記憶部35を備える。通信部31は、制御信号線6を介して統合制御装置50と通信を行う装置である。通信部31は、例えばNIC(Network Interface Card)等によって実現される。
【0031】
入力部32は、処理部34からの指示により、複数の蓄電池20の容量(充電量)等の各種情報を取得する回路である。また、入力部32は、制御信号線6を介して統合制御装置50からの制御信号SCを取得する回路である。
【0032】
出力部33は、処理部34からの指示により、複数のロック機構14、複数のインジケータ15、表示部16、決済部17等に各種指令を出力する回路である。一例として出力部33は、複数のロック機構14のロック及び解放を制御する指令を出力する。また、出力部33は、制御信号線6を介して統合制御装置50に複数の蓄電池20の各種情報を含む電力情報55Bを出力する回路である。
【0033】
処理部34は、各部間のデータの受け渡しを行って複数の蓄電池20の充電を制御する装置である。処理部34は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む演算装置である。処理部34は、所定のメモリに格納されたプログラムをCPUが実行することで、各種制御を実現する。
【0034】
記憶部35は、処理部34からのデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、複数の蓄電池20の容量(充電量)等の各種情報を記憶する。記憶部35は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0035】
次に、上述した充電装置10を含む電力需給調整システム1について説明する。図3は、充電装置を含む電力需給調整システムの構成を説明するための説明図である。図3に示す電力需給調整システム1は、分散型電源の余剰電力を電力系統の蓄電池bあるいは充電装置10の蓄電池20に充電し、負荷の電力不足に対して電力系統内外の蓄電池bあるいは充電装置10の蓄電池20から電力を融通し、電力の融通ができないときには負荷の抑制又は遮断を行う。
【0036】
図3に示すように、電力需給調整システム1は、配電系統において、配電用変電所に変圧器TRが設置され、変圧器TRの2次側から配電線5が延設される。配電線5には連系点において顧客用の変圧器trが接続される。変圧器trには顧客宅(所定の施設)に設置された電力機器が接続される。変圧器trに接続される電力機器は、単独の負荷L、又は、負荷L、インバータIV、蓄電池b及び太陽光発電装置PV(分散型電源)の組合せである。なお、変圧器trは、例えば、1台で10世帯以上20世帯以下程度を賄う。また、配電用変電所は、例えば、1箇所で数百程度の世帯を賄う。また、複数の蓄電池20を含む充電装置10は配電線5に接続される。
【0037】
負荷Lは、変圧器tr又は蓄電池bから電力を供給され、供給された電力を消費する。インバータIVは、太陽光発電装置PVで発電された直流電力及び蓄電池bに蓄電された直流電力を交流電力に変換し、変換後の交流電力を負荷Lに供給する。蓄電池bは、太陽光発電装置PVで発電された電力を蓄電する。太陽光発電装置PVは、太陽光により発電する装置である。また、充電装置10は、必要に応じてインバータIVが接続されていてもよい。
【0038】
負荷L、インバータIV、蓄電池b及び太陽光発電装置PV等の電力機器は、必ずしも個人の顧客宅に限ることなく、企業や公共の施設に設置されていてもよい。また、1以上の電力機器が、設置場所に限ることなく、グループとして管理されていてもよい。
【0039】
配電系統には、通信装置として子局2、中継局3及び親局であるPCS(Power Control Server)4が設けられる。子局2、中継局3及び親局であるPCS4は、上述した特許文献1に開示された構成を採用することができる。
【0040】
図3に示す系統電力Psは、上位系統の変電所(図示しない)から配電用変電所に送電される電力である。総合負荷電力PLは、変圧器trの1次側における負荷電力の合計である。顧客子局総合負荷電力PXは、顧客宅における負荷電力の合計である。顧客負荷電力PLLは、顧客宅の負荷Lの消費電力である。顧客電力PPVは、顧客宅の太陽光発電装置PVの発電電力である。顧客設置蓄電池電力PBBは、顧客宅の蓄電池bにおける蓄電電力である。
【0041】
ここで、顧客子局総合負荷電力PXは、次の式(1)により計算される。
PX=PLL-PPV-PBB ・・・ (1)
【0042】
電力系統において、系統電力Psが総合負荷電力PLの合計(ΣPL)よりも大きい場合には余剰電力が発生している状態である。余剰電力は、電力の差分Ps-ΣPLで表される。また、電力系統において、系統電力Psが総合負荷電力PLの合計(ΣPL)よりも小さい場合には、電力不足が発生している状態である。電力不足分(不足電力)は、電力の差分ΣPL-Psで表される。
【0043】
電力系統における余剰電力又は不足電力が発生した場合に、充電装置10の複数の蓄電池20の一部は、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20として用いられる。電力系統で余剰電力が発生した場合に、余剰電力の一部は電力系統の電力需給調整用の蓄電池20に充電される。また、電力系統で電力不足が発生した場合に、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20は放電し、電力系統の電力機器の電力の一部を補う。
【0044】
図4は、統合制御装置を含む電力需給調整システムの構成例を説明するためのブロック図である。図4に示すように、電力需給調整システム1は、変圧器tr及び各電力機器を含む電力系統における電力の需給を制御する統合制御装置50を有する。より詳細には、統合制御装置50は、充電装置10から取得した複数の蓄電池20の電力に関する情報と、PCS4(親局)から取得した電力系統における電力に関する情報とに基づいて、充電装置10及びPCS4(親局)の電力の需給を統合して制御する。
【0045】
なお、図4では、説明を分かりやすくするために、統合制御装置50に1つの充電装置10及び1つのPCS4、及び、PCS4に接続された中継局3及び子局2を示しているが、実際には図3に示すように、複数の充電装置10及び複数のPCS4、中継局3及び子局2が接続される。
【0046】
図4に示す子局2は、顧客負荷電力PLL等の電力情報を中継局3に送信する。中継局3は、変圧器trの配下にある複数の子局2と通信可能であり、各子局2から受信した電力情報を集約し、集約した電力情報をPCS4に送信する。PCS4は、配電線5に接続された複数の中継局3と通信可能であり、各中継局3から受信した電力情報を集約し統合制御装置50に送信する。また、充電装置10は、複数の蓄電池20の電力情報を統合制御装置50に送信する。
【0047】
統合制御装置50は、通信部51、入力部52、出力部53、処理部54及び記憶部55を備える。通信部51は、制御信号線6を介して充電装置10と通信を行うとともに、通信線を介してPCS4と通信を行う装置である。通信部31は、例えばNIC等によって実現される。
【0048】
入力部52は、処理部54からの指示により、充電装置10から複数の蓄電池20の充電量等の電力情報を取得し、かつ、PCS4から配電線5に接続された電力機器の電力情報を取得する回路である。
【0049】
出力部53は、処理部54からの指示により、制御信号線6を介して充電装置10に制御信号SCを出力し、かつ、PCS4に制御信号を出力する回路である。
【0050】
処理部54は、各部間のデータの受け渡しを行って処理部54全体の制御を行う装置である。処理部54は、例えばCPUを含む演算装置である。処理部54は、所定のメモリに格納されたプログラムをCPUが実行することで、各種制御を実現する。
【0051】
記憶部55は、処理部54からのデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、充電装置10から取得した複数の蓄電池20の電力情報55B(図6参照)、及び、PCS4から取得した配電線5に接続された電力機器の電力情報55A(図5参照)を記憶する。記憶部35は、HDDやSSD等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0052】
図5は、統合制御装置の記憶部に記憶される電力系統に関する電力情報の構成例を示す模式図である。図5に示すように、PCS4から送信された電力情報55Aは、系統電力データ55A1、総合負荷電力データ55A2、不足分電力データ55A3及び余剰電力データ55A4を含む。
【0053】
系統電力データ55A1は、上位系統の変電所から供給された系統電力Psに相当する。総合負荷電力データ55A2は、配電線5に接続された全ての電力機器の負荷の合計であり、総合負荷電力PL(図3参照)に相当する。
【0054】
不足分電力データ55A3は、電力不足の場合での、系統電力Psと総合負荷電力PLの合計(ΣPL)との差分の電力に相当し、上述した電力の差分ΣPL-Psに相当する。余剰電力データ55A4は、電力余剰の場合での、系統電力Psと総合負荷電力PLの合計(ΣPL)との差分の電力に相当し、上述したPs-ΣPLに相当する。
【0055】
図6は、統合制御装置の記憶部に記憶される充電装置に関する電力情報の構成例を示す模式図である。図6に示すように、充電装置10から送信された電力情報55Bは、蓄電池データ55B1、合計電力データ55B2及び合計充電可能容量55B3を含む。
【0056】
蓄電池データ55B1は、充電装置10に格納された複数の蓄電池20の数、電池状態(良、不良)、履歴(使用回数)等の各種データに相当する。合計電力データ55B2は、充電装置10に格納された複数の蓄電池20のうち、充電済みの容量の合計、すなわち放電可能な電力に相当する。合計充電可能容量55B3は、充電装置10に格納された複数の蓄電池20のうち、未充電の容量(空き容量)の合計、すなわち充電可能な容量に相当する。
【0057】
統合制御装置50は、PCS4から取得した系統電力Ps及び電力機器の総合負荷電力PLを含む電力情報55A及び充電装置10から取得した複数の蓄電池20の電力情報55Bと、に基づいて、複数の蓄電池20のうち、電力系統の電力需給調整用として使用される複数の蓄電池20の割り当てを決定する。
【0058】
次に、電力需給調整システム1の調整方法について説明する。はじめに、充電装置10が電気自動車の交換用の蓄電池の充電、交換に使用される場合のフローについて説明する。図7は、充電装置の充電処理の一例を示すフローチャート図である。
【0059】
図7に示すように、使用者により使用済みの蓄電池20がスロット12内に挿入される(ステップST11)。この際、使用者は、インジケータ15を確認して利用可能なスロット12、すなわち蓄電池20が格納されていないスロット12を選択する。
【0060】
充電制御回路30の処理部34は、スロット12からの蓄電池20の情報に基づいて、蓄電池20が不良かどうかを判定する(ステップST12)。処理部34は、スロット12が有するセンサからの蓄電池20の電流、電圧、温度等の情報を取得する。また、充電制御回路30の記憶部35には、蓄電池20の電流、電圧、温度等の閾値(良、不良の基準値)があらかじめ記憶されている。処理部34は、スロット12から取得した蓄電池20の電流、電圧、温度等の情報と、記憶部35の閾値とを比較して蓄電池20が不良かどうかを判定する。処理部34は、蓄電池20の不良として、例えば短絡の有無や劣化状態を判定する。
【0061】
蓄電池20が不良の場合(ステップST12、Yes)、充電制御回路30は、ロック機構14に制御信号を出力して、不良の蓄電池20が格納されたスロット12の蓋部13をロックする(ステップST13)。
【0062】
そして、充電制御回路30は、インジケータ15に制御信号を出力して、不良の蓄電池20が格納されたスロット12について使用禁止であることを表示させる(ステップST14)。そして、充電制御回路30は、必要に応じて不良の蓄電池20に関する情報を管理者に連絡する(ステップST15)。
【0063】
ステップST12からステップST15に示すように、充電制御回路30は、蓄電池20が不良の場合に、不良の蓄電池20の取り出しを規制する。これにより、充電装置10は、不良の蓄電池20がスロット12に格納された場合に、不良の蓄電池20が再度、電気自動車に用いられることを抑制できる。
【0064】
蓄電池20が不良ではない場合(ステップST12、No)、充電制御回路30は、格納された蓄電池20の充電を開始する(ステップST16)。
【0065】
使用者は、インジケータ15及び表示部16で、他の使用可能な蓄電池20の電力情報を確認して、表示部16のタッチパネルを操作して取り出す蓄電池20を選択する。これにより、充電制御回路30の入力部32には、表示部16のタッチパネルから蓄電池20の取り出し指令が入力される(ステップST17)。
【0066】
充電制御回路30の処理部34は、使用者からの蓄電池20の取り出し指令を受けて、取り出し指令の対象となる蓄電池20の電力情報を取得し、蓄電池20が満充電かどうかを判定する(ステップST18)。蓄電池20が満充電の場合(ステップST18、Yes)、処理部34は、満充電の蓄電池20の交換に要する料金(以下、「満充電金額」と表す)を表示部16に表示させる。使用者は、表示部16の金額を確認し、決済部17で満充電金額を精算する(ステップST19)。なお、満充電金額は、蓄電池20の満充電容量(例えば5kWh)に応じてあらかじめ設定された金額であり、記憶部35に記憶されている。
【0067】
充電制御回路30は、満充電金額が精算されたことを確認した後、ロック機構14に制御信号を出力し、取り出し指令の対象となる蓄電池20が格納されたスロット12のロック機構14を解除する。これにより、蓋部13がオープンし(ステップST20)、使用者は、選択した蓄電池20を取り出すことができる。
【0068】
蓄電池20が満充電でない場合(ステップST18、No)、充電制御回路30の処理部34は、スロット12から取得した蓄電池20の電力情報に基づいて充電済みの容量(以下、「充電容量」と表す)を計算する(ステップST21)。
【0069】
処理部34は、満充電容量に対する充電容量の割合で、蓄電池20の交換に要する料金を算出する。この場合の料金は、A×(y/x)(円)で表される。ただし、満充電金額をA(円)、満充電容量をx(kWh)、充電容量をy(kWh)とする。処理部34は、蓄電池20の交換に要する料金を表示部16に表示させる。使用者は、表示部16の金額を確認し、決済部17で料金を精算する(ステップST22)。
【0070】
充電制御回路30は、料金が精算されたことを確認した後、上述したステップST20を実行し、使用者は、選択した蓄電池20を取り出すことができる。
【0071】
これによれば、使用者は、使用済みの蓄電池20の充電が完了するまで待つ必要がなく、別の充電済みの蓄電池20を電気自動車の交換用の蓄電池20に使用できる。また、使用者は、電気自動車の使用状況に応じて、蓄電池20が満充電でない状態であってもスロット12から取り出して電気自動車に用いることができる。したがって、充電装置10は、蓄電池20の利便性を向上させることができる。
【0072】
次に、充電装置10を含む電力需給調整システム1の電力需給調整方法について説明する。図8は、充電装置を含む電力需給調整システムの動作例を示すフローチャート図である。図8に示すように、統合制御装置50の入力部52は、PCS4から電力系統内の総合負荷電力PL等の電力情報55A、及び、充電装置10から蓄電池20の合計電力等の電力情報55Bを取得する(ステップST31)。
【0073】
統合制御装置50の処理部54は、PCS4から取得した電力系統内の系統電力データ55A1と総合負荷電力データ55A2とに基づいて、充電装置10の蓄電池20を充放電で使用するか(ステップST32)、放電で使用するか(ステップST33)、充電で使用するか(ステップST34)を判定する。
【0074】
蓄電池20を充放電で使用する場合(ステップST32、Yes)、充電装置10の蓄電池20は、電力系統が電力不足の場合、電力余剰の場合の両方に対応するように、不足分の電力が充電装置10の蓄電池20で補われ(放電)、また、余剰電力が充電装置10の蓄電池20に充電される。
【0075】
蓄電池20を充放電で使用しない場合(ステップST32、No)、かつ、蓄電池20を放電で使用する場合(ステップST33、Yes)、変圧器tr及び電力機器を含む電力系統が電力不足であり、不足分の電力が充電装置10の蓄電池20で補われる。
【0076】
蓄電池20を放電で使用しない場合(ステップST33、No)、蓄電池20は充電で使用される(ステップST34)。この場合、変圧器tr及び電力機器を含む電力系統の電力が余剰であり、余剰電力が充電装置10の蓄電池20に充電される。なお、ステップST32、ST33、ST34の順番はあくまで一例であり、どのような順番であってもよい。
【0077】
統合制御装置50の処理部54は、電力系統の電力情報55Aと、充電装置10の蓄電池20の電力情報とに基づいて、電力系統の電力需給調整に必要な蓄電池20を選定する(ステップST35)。処理部54は、上述したステップST32からステップST34で決定された蓄電池20の使用態様に応じたものを選定する。
【0078】
例えば、電力不足の場合(ステップST33、Yes)、処理部54は、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20として満充電あるいは充電容量が大きい蓄電池20を選定する。あるいは、電力余剰の場合(ステップST34)、処理部54は、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20として空き容量が大きい(充電容量が小さい)蓄電池20を選定する。蓄電池20を充放電で使用する場合(ステップST32、Yes)、上述した満充電あるいは充電容量が大きい蓄電池20と空き容量が大きい(充電容量が小さい)蓄電池20とを組み合わせて選定する。
【0079】
充電制御回路30は、統合制御装置50からの制御信号SCに基づいて、ロック機構14に制御信号を出力する。これにより、充電制御回路30は、選定された蓄電池20が格納されたスロット12の蓋部13をロックする(ステップST36)。
【0080】
充電制御回路30は、その他のスロット12の蓋部13はロックせず、電気自動車用の蓄電池として使用可能とする(ステップST37)。言い換えると、充電制御回路30は、複数の蓄電池20のうち、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20の取り出しを規制し、他の複数のスロット12で蓄電池20の取り出し及び格納を可能とする。
【0081】
また、充電制御回路30は、各スロット12のインジケータ15及び表示部16に制御信号を出力して、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20が格納されたスロット12は使用禁止であることを表示させ、その他のスロット12は使用可能であることを表示させる。
【0082】
これにより、充電装置10及び電力需給調整システム1は、複数のスロットに格納された蓄電池20のうち一部の蓄電池20を電力系統の電力需給調整用に用いることができる。このとき使用者は、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20を、電気自動車の交換用の蓄電池20として取り出すことができなくなる。また、使用者は、電力系統の電力需給調整用とは別の、他のスロットの蓄電池20を電気自動車用の交換式の蓄電池20として使用できる。したがって、充電装置10及び電力需給調整システム1は、電力系統の安定化を図るとともに、良好に蓄電池20を交換することが可能である。
【0083】
所定の期間経過後、統合制御装置50は、PCS4から取得した電力系統の電力情報55A、及び、充電装置10から取得した蓄電池20の電力情報55Bに基づいて、追加で電力系統の電力需給調整用の蓄電池20が必要かどうかを判定する(ステップST38)。
【0084】
追加の蓄電池20が不要の場合(ステップST38、No)、充電装置10及び電力需給調整システム1は、現状の蓄電池20の割り当てを維持して、電力系統の電力需給調整、及び、電気自動車用の蓄電池20の充電、交換を行う。
【0085】
追加の蓄電池20が必要の場合(ステップST38、Yes)、統合制御装置50は、充電装置10から取得した電力情報55Bに基づいて、必要な蓄電池20が充電装置10に有るかどうか判定する(ステップST39)。
【0086】
必要な蓄電池20が充電装置10に無い場合(ステップST39、No)、統合制御装置50は、現状の蓄電池20の割り当てを維持して、電力系統の電力需給調整を行う。ここで、必要な蓄電池20が充電装置10に無い場合とは、例えば、充電装置10内の全ての蓄電池20が電力系統の電力需給調整用の蓄電池20として選定されている場合である。
【0087】
必要な蓄電池20が充電装置10に有る場合(ステップST39、Yes)、統合制御装置50は、ステップST35からステップST37を実行し、追加の蓄電池20を選定する。
【0088】
なお、ステップST38では、追加で電力系統の電力需給調整用の蓄電池20が必要な例を示したが、これに限定されない。現状、電力系統の電力需給調整用の蓄電池20として選定された蓄電池20のうち、不要な蓄電池20が有る場合も同様に、ステップST35を実行し、適切な蓄電池20を選定してもよい。このように、充電装置10及び電力需給調整システム1は、系統電力の総合負荷電力PLの変動や、電気自動車の交換用の蓄電池20の利用状況に応じて、充電装置10が有する複数の蓄電池20の割り当てを適切に変更することができる。また、図3に示すように、電力系統には複数の充電装置10が接続されているので、充電装置10間で複数の蓄電池20の割り当てを調整してもよい。
【0089】
図9は、非常時における電力需給調整システム及び充電装置の動作例を示すフローチャート図である。なお、非常時とは、事故や災害等により、充電装置10に接続された配電線5の系統が単独になった場合であり、他の配電線5の系統とは切断された場合をいう。
【0090】
充電装置10の充電制御回路30は、非常時であることを感知すると(ステップST51)、図7図8にて説明した通常の充電フロー及び電力需給調整フローを停止して単独運転を開始する(ステップST52)。非常時には、充電装置10は、統合制御装置50及び他の充電装置10と非接続となっている場合があり、以下のフローは充電制御回路30により単独で実行される。
【0091】
充電制御回路30は、ロック機構14に制御信号を出力して、全てのスロット12の蓋部13をロックする(ステップST53)。また、充電制御回路30は、インジケータ15及び表示部16に制御信号を出力して、全てのスロット12及び蓄電池20が使用禁止であることを表示させる(ステップST54)。
【0092】
これにより、充電制御回路30は、全てのスロット12及び全ての蓄電池20の取り出し及び格納を規制し、充電装置10内の全ての蓄電池20の容量を、電力系統の電力として使用する(ステップST55)。言い換えると、充電制御回路30内の全ての蓄電池20が電気自動車用の蓄電池20として使用できなくなる。これにより、充電装置10及び電力需給調整システム1は、非常時における電力系統の電力を確保することができる。
【0093】
なお、充電装置10の充電制御回路30は、通常の状態に戻ったことを感知すると、すなわち、他の電力系統及び統合制御装置50との接続が回復すると、図7図8にて説明した充電フロー及び電力需給調整フローに戻る。
【符号の説明】
【0094】
1 電力需給調整システム
4 PCS
5 配電線
6 制御信号線
10 充電装置
11 本体
12、12a、12b スロット
13 蓋部
14 ロック機構
15 インジケータ
20 蓄電池
30 充電制御回路
31、51 通信部
32、52 入力部
33、53 出力部
34、54 処理部
35、55 記憶部
50 統合制御装置
55A、55B 電力情報
tr、TR 変圧器
Ps 系統電力
PL 総合負荷電力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9