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  • 特開-蓋装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024035953
(43)【公開日】2024-03-15
(54)【発明の名称】蓋装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240308BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022140608
(22)【出願日】2022-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 誠哉
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA03
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD03
(57)【要約】
【課題】車両の給油口、又は充電口を開閉する蓋装置の車体への取り付け剛性を高める。
【解決手段】蓋板10と、蓋板10の内側に取り付けられて先端部27が蓋板10の外側に向かって突出するインナアーム20と、一端部41が車体に取り付けられ、他端部45に回転軸50が配置されたヒンジアーム40と、備え、インナアーム20の先端部27が回転軸50の周りに回転可能に接続された蓋装置100であって、インナアーム20は、先端部27の上端から蓋板10に向かって斜め下方に延びる上傾斜ビード28と、先端部27の下端から上傾斜ビード28と交差して蓋板10に向かって斜め上方向に延びる下傾斜ビード29とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋板と、
前記蓋板の内側に取り付けられて先端部が前記蓋板の外側に向かって突出するインナアームと、
一端が車体に取り付けられ、他端に回転軸が配置されたヒンジアームと、備え、
前記インナアームの前記先端部が前記回転軸の周りに回転可能に接続されて、車両の給油口、又は充電口を開閉する蓋装置であって、
前記インナアームは、前記先端部の上端から前記蓋板に向かって斜め下方に延びる上傾斜ビードと、前記先端部の下端から前記上傾斜ビードと交差して前記蓋板に向かって斜め上方向に延びる下傾斜ビードと、を備えること、
を特徴とする蓋装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋装置であって、
前記インナアームは、前記蓋板の内側に取り付けられる補強部と、前記補強部から前記蓋板の外側に向かって延びる延出部と、前記延出部から前記ヒンジアームに向かって折れ曲がって前記回転軸に回転自在に接続する前記先端部を含む折板部と、を備え、
前記上傾斜ビードと前記下傾斜ビードとは、前記折板部から前記延出部に向かって延び、前記延出部と前記折板部との接続部において交差すること、
を特徴とする蓋装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蓋装置であって、
前記延出部は、前記補強部から前記折板部に向かって延びる上ビードと、前記上ビードの下側で前記上ビードと平行に延びる下ビードとを備え、
前記上傾斜ビードは前記下ビードに接続され、
前記下傾斜ビードは前記上ビードに接続されていること、
を特徴とする蓋装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の給油口、又は充電口を開閉する蓋装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フューエルリッドの過開き等の場合に荷重が集中する領域にインナパネルを取りつけることにより、フューエルリッド全体を効率よく補強してフューエルリッドの軽量化を図る構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2には、1本の締結ボルトで車体に固定される軽量タイプのフューエルリッドにおいて、フューエルリッドの閉状態における閉方向の移動を規制する閉方向規制部と、閉方向と直交する面に沿った移動とを規制する面方向規制部とを設け、フューエルリッドの閉状態の剛性感を高める構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-64446号公報
【特許文献2】特開2005-75112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給油の際に作業者が誤って給油ガンをフューエルリッドにぶつける場合がある。この場合、フューエルリッドには斜め下向きの力が加わり、フューエルリッドの車体への取り付け部分が変形し、ボデーの意匠面に傷がついたり、フューエルリッドに塑性変形が残ったりすることがある。
【0006】
このため、フューエルリッドの車体への取り付け構造の剛性を上げることが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、車両の給油口、又は充電口を開閉する蓋装置の車体への取り付け剛性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の蓋装置は、蓋板と、前記蓋板の内側に取り付けられて先端部が前記蓋板の外側に向かって突出するインナアームと、一端が車体に取り付けられ、他端に回転軸が配置されたヒンジアームと、備え、前記インナアームの前記先端部が前記回転軸の周りに回転可能に接続されて、車両の給油口、又は充電口を開閉する蓋装置であって、前記インナアームは、前記先端部の上端から前記蓋板に向かって斜め下方に延びる上傾斜ビードと、前記先端部の下端から前記上傾斜ビードと交差して前記蓋板に向かって斜め上方向に延びる下傾斜ビードと、を備えること、を特徴とする。
【0009】
この構成により、蓋板に斜め下向きの力が加わった際に、斜め下向きの力は、上傾斜ビードが延びる方向に加わる引っ張りと、下傾斜ビードが延びる方向に加わる圧縮力で受け止められる。上傾斜ビード、下傾斜ビードは、引張力、圧縮力に対しては曲げモーメントに対するよりも大きな剛性を有する。このため、上傾斜ビード、下傾斜ビードは、蓋板に斜め下方向に向かう力が加わった際のインナアームの変形を抑制し、蓋装置の車体への取り付け剛性を高めることができる。
【0010】
本発明の蓋装置において、前記インナアームは、前記蓋板の内側に取り付けられる補強部と、前記補強部から前記蓋板の外側に向かって延びる延出部と、前記延出部から前記ヒンジアームに向かって折れ曲がって前記回転軸に回転自在に接続する前記先端部を含む折板部と、を備え、前記上傾斜ビードと前記下傾斜ビードとは、前記折板部から前記延出部に向かって延び、前記延出部と前記折板部との接続部において交差してもよい。
【0011】
本発明の蓋装置において、前記延出部は、前記補強部から前記折板部に向かって延びる上ビードと、前記上ビードの下側で前記上ビードと平行に延びる下ビードとを備え、前記上傾斜ビードは前記下ビードに接続され、前記下傾斜ビードは前記上ビードに接続されてもよい。
【0012】
これにより、折板部と平板部に設けられた上傾斜ビード、下傾斜ビードの力の流れをスムーズにしてインナアームの変形を抑制し、蓋装置の車体への取り付け剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、車両の給油口、又は充電口を開閉する蓋装置の車体への取り付け剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の蓋装置を車両内側から見た立面図である。
図2】実施形態の蓋装置を車両内側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら実施形態の蓋装置100について説明する。以下の説明では、蓋装置100は、車両(図示せず)の右側面に配置されているとして説明する。図1、2に示す矢印FR、矢印UP、矢印RHは、蓋装置100の前側、上側、右側をそれぞれ示している。また、各矢印FR、UP、RHの反対方向は、後側、下側、左側を示す。以下、単に前後、左右、上下の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、蓋装置100の前後方向の前後、左右方向の左右、上下方向の上下を示すものとする。また、蓋装置100は、前側が車両前方(進行方向)、上側が車両上方、右側が車両右方となるように車両に取り付けられる。従って、蓋装置100が車両に取り付けられた場合には、蓋装置100の前側、上側、右側は、車両前方、車両上方、車両右方となる。
【0016】
図1、2に示すように、蓋装置100は、蓋板10と、インナアーム20と、ヒンジアーム40と回転軸50とで構成され、車両の給油口、又は充電口を開閉する。
【0017】
蓋板10は、円板部11と、円板部11の周縁で左側(車両内側)に向かって突出した外周フランジ12とを備えている。
【0018】
図1に示すように、インナアーム20は、補強部21と、延出部25と、折板部26とで構成されている。補強部21は、中央に開口21aが設けられ、断面が上に凸のハット型の略四角環状部材である。補強部21の四隅には、蓋板10の外周フランジ12に向かって延びる脚部22が設けられている。脚部22の外周端は蓋板10の外周フランジ12の内周面に接するように車両内側に向かって折れ曲がったフランジ22fが設けられている。フランジ22fは蓋板10の外周フランジ12とスポット溶接される。これによりインナアーム20が蓋板10の内側に固定される。また、補強部21の前方には、蓋板10が車両の給油口、又は充電口を閉止した際に車体に設けられたロック機構と係合して蓋板10を閉止状態に保つフック21cが設けられている。
【0019】
図2に示すように、延出部25は、補強部21の後部21bから蓋板10の後方に向かって外側に延びる板部材である。延出部25は、補強部21の後部21bから斜め左後方に向かって延びる前方部23と、前方部23の後端から折れ曲がって後方に向かって延びる後方部24とで構成されている。
【0020】
折板部26は、延出部25の後方部24の後端から右側(車両外側)に折れ曲がって車体に取り付けられたヒンジアーム40に向かって延びる板部材である。折板部26の右端の先端部27の上端と下端とは後で説明する回転軸50に回転自在に接続されている。
【0021】
折板部26と延出部25の後方部24とには、上傾斜ビード28と下傾斜ビード29とが形成されている。上傾斜ビード28と下傾斜ビード29とは、断面が略半円形で板状の折板部26、延出部25の各表面から突出するように延びる突条部である。上傾斜ビード28は、折板部26の先端部27の上端から斜め下方向に延びる後上傾斜ビード28aと、後上傾斜ビード28aに接続して斜め下方向に延びる前上傾斜ビード28bとで構成されている。また、下傾斜ビード29は、折板部26の先端部27の下端から斜め上方向に延びる後下傾斜ビード29aと、後下傾斜ビード29aに接続して斜め下方向に延びる前下傾斜ビード29bとで構成されている。前上傾斜ビード28bと前下傾斜ビード29bとは、延出部25の後方部24に形成されている。上傾斜ビード28と下傾斜ビード29とは、折板部26と延出部25の後方部24との接続部で交差する。交差部分には交差部30が構成される。
【0022】
図1に示すよう、延出部25の前方部23には、補強部21から後方部24に向かって後方に延びる上ビード31と上ビード31の下側で上ビード31と平行に後方に延びる下ビード32とが形成されている。上ビード31と下ビード32とは、断面が略半円形で板状の前方部23の各表面から突出するように延びる突条部である。
【0023】
上ビード31と下ビード32の前端は補強部21に接続されている。また、上ビード31の後端は前下傾斜ビード29bの前端に接続されており、下ビード32の後端は、前上傾斜ビード28bの前端に接続されている。
【0024】
図2に示すように、ヒンジアーム40は、車体に取付けられる一端部41と、一端部41の前側に接続される溝形部43と、溝形部43の左端(車体内側端)の他端部45とを備える折板部材である。一端部41にはヒンジアーム40を車体に固定するためのボルト穴42が設けられている。他端部45には、回転軸50が取り付けられている。溝形部43には、溝形部43の底板から他端部45に延びるビード46が設けられている。
【0025】
折板部26の先端部27の上端と下端とは円環状に成形されており、その中に回転軸50が挿通されている。回転軸50はヒンジアーム40の他端部45に取り付けられている。これにより、折板部26の先端部27は、ヒンジアーム40に取り付けられた回転軸50の周りに回転可能となる。そして、蓋板10とインナアーム20とは、図2中に示す矢印91のように、回転軸50の周りに回転し、車両の給油口、又は充電口を開閉する。
【0026】
次に、以上のように構成された蓋装置100に図1中に示すような斜め下向きの力Fが加わった場合の力の伝達について説明する。蓋板10に加わった斜め下向きの力Fはインナアーム20の補強部21の後部21bに接続されている上ビード31、下ビード32を通って下傾斜ビード29の前端と上傾斜ビード28の前端に伝達される。そして、上傾斜ビード28に加わる引張力Tと、下傾斜ビード29に加わる圧縮力Cとして受け止められる。
【0027】
一方、上傾斜ビード28と下傾斜ビード29とを備えず、上ビード31と下ビード32により補強部21の後部21bと延出部25の先端部27とを接続した場合には、蓋板10に加わった斜め下向きの力Fは、上ビード31と下ビード32に加わる曲げモーメントとして受け止められる。
【0028】
ここで、上傾斜ビード28、下傾斜ビード29、上ビード31、下ビード32は、引張力T、圧縮力Cに対しては曲げモーメントに対するよりも大きな剛性を有する。このため、蓋装置100は、上傾斜ビード28と下傾斜ビード29とを備えず、上ビード31と下ビード32により補強部21の後部21bと延出部25の先端部27とを接続した構造の場合より、蓋装置100の車体への取り付け剛性を高めることができる。これにより、蓋板10に斜め下方向に向かう力Fが加わった際のインナアーム20の延出部25と折板部26との変形を抑制し、ボデーの意匠面に傷がつくことを抑制できる。
【0029】
以上の説明では、延出部25の前方部23には、下傾斜ビード29、上傾斜ビード28とそれぞれ接続される上ビード31と下ビード32とを形成することとして説明したがこれに限らない。例えば、上傾斜ビード28と下傾斜ビード29の傾斜角度を浅くして上傾斜ビード28、下傾斜ビード29の前端が補強部21の後部21bに直接接続されるように構成してもよい。この場合、交差部30は、折板部26と延出部25の後方部24との接続部よりも前方に形成される。
【符号の説明】
【0030】
10 蓋板、11 円板部、12 外周フランジ、20 インナアーム、21 補強部、21a 開口、21b 後部、21c フック、22 脚部、22f フランジ、23 前方部、24 後方部、25 延出部、26 折板部、27 先端部、28 上傾斜ビード、28a 後上傾斜ビード、28b 前上傾斜ビード、29 下傾斜ビード、29a 後下傾斜ビード、29b 前下傾斜ビード、30 交差部、31 上ビード、32 下ビード、40 ヒンジアーム、41 一端部、42 ボルト穴、43 溝形部、45 他端部、46 ビード、50 回転軸、100 蓋装置。
図1
図2