(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024038923
(43)【公開日】2024-03-21
(54)【発明の名称】フレキシブル表示装置用金属支持体及びその製造方法、並びにフレキシブル表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240313BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240313BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20240313BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20240313BHJP
H10K 71/00 20230101ALI20240313BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20240313BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/30 308A
H10K59/10
H10K77/10
H10K71/00
H10K59/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143298
(22)【出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 雅生
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅允
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸一郎
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107DD15
3K107DD16
3K107DD17
3K107DD18
3K107FF15
3K107GG28
5C094AA36
5C094AA37
5C094BA23
5C094BA27
5C094DA06
5C094HA08
5G435AA06
5G435AA14
5G435BB04
5G435BB05
5G435EE04
5G435EE13
5G435EE14
5G435GG42
5G435LL07
5G435LL08
(57)【要約】
【課題】フレキシブル表示装置の屈曲部分の強度を高めることが可能な、フレキシブル表示装置用金属支持体及びその製造方法、並びにフレキシブル表示装置を提供する。
【解決手段】フレキシブル表示装置用金属支持体10は、第1面21と第2面22とを有するベース材20と、ベース材20の第2面22上に配置された金属突起30と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル表示装置用金属支持体において、
第1面と第2面とを有するベース材と、
前記ベース材の前記第2面上に配置された金属突起と、を備えた、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項2】
前記金属突起は、島状、ライン状又はメッシュ状に形成される、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項3】
前記金属突起は、めっき層である、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項4】
前記ベース材の前記第1面に第1金属層が形成されている、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項5】
前記ベース材の前記第2面であって、少なくとも前記金属突起の周囲に、第2金属層が形成されている、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項6】
前記ベース材の前記第1面に第1保護層が形成されている、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項7】
前記ベース材の前記第2面であって前記金属突起の周囲に、第2保護層が形成されている、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項8】
前記金属突起の厚みは前記第2保護層の厚みよりも厚く、前記金属突起は、前記第2保護層の表面上に延びる側方突出部を有する、請求項7に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項9】
前記金属突起は、前記第2面に向かうに従って幅が狭くなる形状である、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項10】
表示部材と、
前記表示部材を支持する、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体と、を備えた、フレキシブル表示装置。
【請求項11】
表示部材を備え、
前記表示部材は、
第1面と第2面とを有する支持基材と、
前記支持基材の前記第1面側に配置された発光部と、
前記支持基材の前記第2面上に配置された金属突起と、を有する、フレキシブル表示装置。
【請求項12】
フレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法において、
第1面と第2面とを有するベース材を準備する工程と、
前記ベース材の前記第1面上に第1保護層を設け、前記ベース材の前記第2面上に開口部を有する第2保護層を設ける工程と、
前記ベース材の前記第2面上であって、前記第2保護層の前記開口部内に金属突起を設ける工程と、を備えた、フレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【請求項13】
前記ベース材の前記第1面上から前記第1保護層を除去する工程と、
前記ベース材の前記第1面に第1金属層を形成する工程と、を更に備えた、請求項12に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【請求項14】
前記ベース材の前記第2面上から前記第2保護層を除去する工程と、
前記ベース材の前記第2面であって前記金属突起の周囲に、第2金属層を形成する工程と、を更に備えた、請求項12に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【請求項15】
前記ベース材の前記第1面に形成された前記第1保護層を除去しない、請求項12に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【請求項16】
前記ベース材の前記第2面に形成された前記第2保護層を除去しない、請求項12に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブル表示装置用金属支持体及びその製造方法、並びにフレキシブル表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばスマートフォン、タブレット等の表示装置において、折り畳み可能なものが知られている。このような表示装置としては、その一部分に屈曲可能な屈曲部分を有する、フレキシブル表示装置が存在する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、フレキシブル表示装置を折り畳んだときの屈曲部分の形状をより小さくすることが求められている。すなわち、屈曲部分の曲率半径をより小さくすることが求められている。しかしながら、屈曲部分の形状をより小さくすると、屈曲部分の強度を維持することが難しくなる。
【0005】
本開示は、フレキシブル表示装置の屈曲部分の強度を高めることが可能な、フレキシブル表示装置用金属支持体及びその製造方法、並びにフレキシブル表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[16]に関する。
【0007】
[1]フレキシブル表示装置用金属支持体において、第1面と第2面とを有するベース材と、前記ベース材の前記第2面上に配置された金属突起と、を備えた、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【0008】
[2]前記金属突起は、島状、ライン状又はメッシュ状に形成される、[1]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0009】
[3]前記金属突起は、めっき層である、[1]又は[2]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0010】
[4]前記ベース材の前記第1面に第1金属層が形成されている、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0011】
[5]前記ベース材の前記第2面であって、少なくとも前記金属突起の周囲に、第2金属層が形成されている、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0012】
[6]前記ベース材の前記第1面に第1保護層が形成されている、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0013】
[7]前記ベース材の前記第2面であって前記金属突起の周囲に、第2保護層が形成されている、[1]乃至[3]、[6]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0014】
[8]前記金属突起の厚みは前記第2保護層の厚みよりも厚く、前記金属突起は、前記第2保護層の表面上に延びる側方突出部を有する、[7]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0015】
[9]前記金属突起は、前記第2面に向かうに従って幅が狭くなる形状である、[1]乃至[8]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0016】
[10]表示部材と、前記表示部材を支持する、[1]乃至[9]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体と、を備えた、フレキシブル表示装置。
【0017】
[11]表示部材を備え、前記表示部材は、第1面と第2面とを有する支持基材と、前記支持基材の前記第1面側に配置された発光部と、前記支持基材の前記第2面上に配置された金属突起と、を有する、フレキシブル表示装置。
【0018】
[12]フレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法において、第1面と第2面とを有するベース材を準備する工程と、前記ベース材の前記第1面上に第1保護層を設け、前記ベース材の前記第2面上に開口部を有する第2保護層を設ける工程と、前記ベース材の前記第2面上であって、前記第2保護層の前記開口部内に金属突起を設ける工程と、を備えた、フレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【0019】
[13]前記ベース材の前記第1面上から前記第1保護層を除去する工程と、前記ベース材の前記第1面に第1金属層を形成する工程と、を更に備えた、[12]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【0020】
[14]前記ベース材の前記第2面上から前記第2保護層を除去する工程と、前記ベース材の前記第2面であって前記金属突起の周囲に、第2金属層を形成する工程と、を更に備えた、[12]又は[13]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【0021】
[15]前記ベース材の前記第1面に形成された前記第1保護層を除去しない、[12]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【0022】
[16]前記ベース材の前記第2面に形成された前記第2保護層を除去しない、[12]又は[15]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、フレキシブル表示装置の屈曲部分の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す斜視図。
【
図2】
図2は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す平面図。
【
図3】
図3は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置(展開状態)を示す断面図(
図2のIII-III線断面図)。
【
図4】
図4は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置(折畳状態)を示す断面図。
【
図5】
図5は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す平面図。
【
図6】
図6は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分断面図(
図5のVI-VI線断面図)。
【
図7】
図7(a)-(c)は、変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体の金属突起を示す平面図。
【
図8】
図8は、変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体の金属突起を示す断面図。
【
図9】
図9(a)-(d)は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法を示す断面図。
【
図10】
図10は、第1変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分断面図。
【
図11】
図11は、第2変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分断面図。
【
図12】
図12は、第2変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分断面図。
【
図13】
図13は、第3変形例によるフレキシブル表示装置用を示す断面図。
【
図14】
図14は、第4変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施の形態について、
図1乃至
図9を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0026】
本明細書中、第1方向D1とは、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の主たる面に平行な平面上に位置し、かつ折り曲げ中心線FLに対して垂直な方向をいう。第2方向D2とは、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の主たる面に平行な平面上に位置し、かつ折り曲げ中心線FLに対して平行な方向をいう。なお、第1方向D1及び第2方向D2は、それぞれフレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の各辺に平行な方向であっても良い。また第1方向D1と第2方向D2とは互いに直交する。また、第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に対して垂直な方向であり、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の厚み方向に平行な方向をいう。
【0027】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の構成)
まず、
図1乃至
図4により、本実施の形態によるフレキシブル表示装置の概略について説明する。
図1乃至
図4は、本実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す図である。
【0028】
図1及び
図2に示すフレキシブル表示装置70は、例えば有機EL表示装置であっても良い。フレキシブル表示装置70は、フレキシブルであり、折り曲げ可能な構造となっている。すなわちフレキシブル表示装置70は、折り曲げた状態の折曲状態(
図4参照)と、開いた状態の展開状態(
図2及び
図3参照)とをとることができる。折曲状態とは、フレキシブル表示装置70を、折り曲げ中心線FLを中心に折り曲げた状態である。折曲状態において、表示部材71の外面同士が接近する方向に折り曲げられる。なお、これに限らず、筐体78の外面同士が接近する方向に折り曲げられても良い。展開状態とは、フレキシブル表示装置70を、折り曲げることなく、開いた状態である。展開状態において、表示部材71の面は、その全体が実質的に同一平面上に位置する。このようなフレキシブル表示装置70は、画像を表示する部分を有する薄型の電子機器であっても良い。このような電子機器は、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器であっても良い。
【0029】
図3に示すように、フレキシブル表示装置70は、表示部材71と、表示部材71を支持するフレキシブル表示装置用金属支持体10(以下、単に金属支持体10ともいう)と、を備える。表示部材71と金属支持体10との間には、クッションシート等の緩衝層76が設けられる。また金属支持体10の、表示部材71の反対側の面には、放熱層77が配置される。さらに、表示部材71、緩衝層76、金属支持体10及び放熱層77は、筐体78に支持される。
【0030】
表示部材71は、支持基材72と、薄膜トランジスタ(TFT)73と、有機EL素子74と、封止樹脂75とを有する。薄膜トランジスタ73は、支持基材72上に配置される。有機EL素子74は、薄膜トランジスタ73上に配置される。封止樹脂75は、有機EL素子74上に配置される。
【0031】
支持基材72は、表示部材71の全体を支持するものであり、可撓性を有するフィルムであっても良い。支持基材72としては、例えばポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料を用いても良い。薄膜トランジスタ73は、有機EL素子74を駆動するためのものであり、有機EL素子74の電極に印加される電圧を制御する。有機EL素子74は、それ自体が発光することにより画像等を表示する。有機EL素子74は、薄膜トランジスタ73に電気的に接続されている。有機EL素子74は、発光部と称しても良い。有機EL素子74は、図示しない反射電極と、有機発光層と、透明電極とを有していても良い。封止樹脂75は、有機EL素子74を封止し、有機EL素子74を保護するためのものである。表示部材71は、有機EL表示装置に限られるものではない。例えば、表示部材71は、それ自体が発光する機能をもつ他の表示装置であっても良い。表示部材71は、マイクロLED素子(発光体)を含むマイクロLED表示装置であっても良い。
【0032】
緩衝層76は、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに表示部材71へ加わる応力を緩和する層である。緩衝層76は、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂等の弾力性をもつ樹脂材料の層であっても良い。金属支持体10は、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高める部材である。なお、金属支持体10の構成については後述する。
【0033】
放熱層77は、表示部材71からの熱を外部へ放出するための層である。放熱層77は、銅、ニッケル等の金属層であっても良い。また放熱層77は、電解めっきにより作製されためっき層であっても良い。筐体78は、表示部材71、緩衝層76、金属支持体10及び放熱層77を収容して保護する。筐体78は、折り曲げ中心線FLを中心に折り曲げ可能な構造を有する。
【0034】
フレキシブル表示装置70には、屈曲領域BAと、非屈曲領域NAとが存在する。屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、物理的に変形する領域である。折り曲げ中心線FLは、屈曲領域BAの略中心に位置する。非屈曲領域NAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、実質的に変形しない領域である。第1方向D1において、屈曲領域BAの両側にそれぞれ非屈曲領域NAが存在する。2つの非屈曲領域NAの、第1方向D1に沿う長さは互いに略同一であっても良い。これに限らず、2つの非屈曲領域NAの、第1方向D1に沿う長さは互いに異なっても良い。また屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70の第1方向D1の中央に存在する。これに限らず、屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70の第1方向D1の中央以外の位置にあっても良い。
【0035】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の構成)
次に、
図5及び
図6により、本実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体の概略について説明する。
図5及び
図6は、本実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す図である。
【0036】
図5及び
図6に示すように、金属支持体10は、ベース材20と、ベース材20上に配置された金属突起30とを備える。ベース材20は、第1面21と第2面22とを有する。第1面21は、フレキシブル表示装置70の表示部材71側を向く面である。第2面22は、フレキシブル表示装置70の放熱層77側を向く面である。第1面21及び第2面22は、それぞれ第1方向D1軸と第2方向D2軸とによって形成される平面に平行である。金属突起30は、ベース材20の第2面22上に配置されている。
【0037】
金属支持体10には、屈曲領域BAと、非屈曲領域NAとが存在する。屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに物理的に変形する領域である。折り曲げ中心線FLは、屈曲領域BAの略中心に位置する。非屈曲領域NAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、実質的に変形しない領域である。屈曲領域BA及び非屈曲領域NAは、それぞれ上述したフレキシブル表示装置70の屈曲領域BA及び非屈曲領域NAに対応する。
【0038】
ベース材20は、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高める部材である。またベース材20は、金属突起30を保持する。ベース材20は、平面視で長方形形状を有している。この長方形は、一対の長辺が第1方向D1に平行であり、一対の短辺が第2方向D2に平行である。なお、これに限らず、一対の短辺が第1方向D1に平行であり、一対の長辺が第2方向D2に平行であっても良い。長方形の各角部は丸みを帯びていても良い。またベース材20は、平面視で正方形、多角形、又は円形であっても良い。ベース材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状に対応していても良い。この場合、ベース材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状と同一であっても良い。あるいは、ベース材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状よりも小さくても良い。
【0039】
ベース材20は、フレキシブルで屈曲可能な薄板又はフィルム状の形状を有する。なお、本明細書中、「フレキシブル」とは、「曲率半径を少なくとも5.0mm以下、好ましくは3.0mm以下に曲げることが可能であること」をいう。
【0040】
ベース材20の厚みT1は、10μm以上としても良く、15μm以上としても良い。ベース材20の厚みT1を10μm以上とすることにより、ベース材20の屈曲強度を保持できる。ベース材20の厚みT1は、40μm以下としても良く、30μm以下としても良い。ベース材20の厚みT1を40μm以下とするにより、金属支持体10を組み込んだフレキシブル表示装置70が過度に厚くなることを抑制できる。
【0041】
ベース材20の材料は、金属、樹脂フィルム又はガラスであっても良い。ベース材20が金属を含む場合、金属材料としては、ステンレス等の鉄合金を用いても良い。あるいは、金属材料としては、ニッケル、銅、チタン等の金属又はこのような金属の合金を用いてもよい。ベース材20が樹脂フィルムである場合、樹脂材料としては、耐熱性が高い熱可塑性樹脂が用いられても良い。このような樹脂材料としては、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)等が挙げられる。ベース材20がガラスを含む場合、ガラスとしては、フレキシブルガラス等の可撓性を有するものを用いてもよい。ベース材20は透明であっても良く、不透明であっても良い。
【0042】
金属突起30は、ベース材20の第2面22から第2面22の法線方向に突出する部材である。金属突起30は、ベース材20の屈曲領域BAの強度を高めるものである。金属突起30は、ベース材20の少なくとも屈曲領域BAに設けられる。金属突起30は、屈曲領域BAのみに設けられても良く、非屈曲領域NAの一部と屈曲領域BAとに設けられても良い。また金属突起30は、屈曲領域BAの全体にわたって配置されても良く、屈曲領域BAの一部のみに配置されても良い。
【0043】
図5において、金属突起30は、複数設けられている。複数の金属突起30は、島状に形成されている。金属突起30同士は、第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに間隔を空けて配置されている。複数の金属突起30は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に整列されている。すなわち複数の金属突起30は、第1方向D1に沿って互いに間隔を空けて配置され、かつ第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置されている。金属突起30同士の第1方向D1の間隔P1は、5μm以上としても良く、10μm以上としても良い。金属突起30同士の第1方向D1の間隔P1は、500μm以下としても良く、100μm以下としても良い。金属突起30同士の第2方向D2の間隔P2は、5μm以上としても良く、10μm以上としても良い。金属突起30同士の第2方向D2の間隔P2は、500μm以下としても良く、100μm以下としても良い。
【0044】
各金属突起30は、平面視で略正方形形状を有している。これに限らず、各金属突起30は、平面視で例えば多角形形状又は円形形状を有していても良い。金属突起30の第1方向D1に沿う長さL1は、5μm以上としても良く、10μm以上としても良い。金属突起30の第1方向D1に沿う長さL1は、500μm以下としても良く、100μm以下としても良い。金属突起30の第2方向D2に沿う長さL2は、5μm以上としても良く、10μm以上としても良い。金属突起30の第2方向D2に沿う長さL2は、500μm以下としても良く、100μm以下としても良い。金属突起30の厚みT2は、10μm以上としても良く、20μm以上としても良い。金属突起30の厚みT2は、100μm以下としても良く、70μm以下としても良い。金属突起30の厚みT2は、ベース材20の厚みT1よりも厚くても良い。
【0045】
図6に示すように、金属突起30は、外面31と、側面32とを有する。外面31は、ベース材20の第2面22に平行な平坦面であっても良い。外面31は、金属突起30のうち、ベース材20の第2面22から最も離れた位置に存在する。側面32は、外面31とベース材20の第2面22との間に延びる。側面32は、外面31とベース材20の第2面22とに直交する面であっても良い。
【0046】
金属突起30は、後述するように例えば電解めっきにより形成されためっき層であっても良い。金属突起30は、ベース材20に直接形成されていても良い。あるいは、金属突起30は、図示しないシード層を介してベース材20に形成されていても良い。金属突起30は、例えばニッケル(Ni)又は銅(Cu)等の金属を含んでも良い。また金属突起30は、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の焼結材であっても良い。
【0047】
図7(a)-(c)は、それぞれ金属突起30の変形例を示す平面図である。
図7(a)に示すように、複数の金属突起30が島状に形成され、かつ、複数の金属突起30が互い違い(千鳥状)に配置されても良い。この場合、複数の金属突起30は、第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置された第1列R1の金属突起30と、第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置された第2列R2の金属突起30とを含む。第1列R1の金属突起30と第2列R2の金属突起30とは第2方向D2にずれて配置されている。この場合、複数の金属突起30が互い違いに配置されるので、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに特定の箇所に応力が集中することを抑制できる。
【0048】
図7(b)に示すように、複数の金属突起30がライン状に形成されていても良い。この場合、複数の金属突起30は、
図7(b)の仮想線で取り囲まれる領域において第1方向D1に互いに間隔を空けて配置される。各金属突起30は、それぞれ第2方向D2に沿ってライン状に延びている。この場合、複数の金属突起30がベース材20を覆う面積が増えるので、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高められる。なお、各金属突起30は、それぞれ第1方向D1に沿ってライン状に延びても良い。
【0049】
図7(c)に示すように、金属突起30がメッシュ状に形成されていても良い。この場合、金属突起30は、1つの部材から構成されても良い。金属突起30は、第1方向に延びる第1方向部分36と、第2方向に延びる第2方向部分37とを含む。第1方向部分36と第2方向部分37とに取り囲まれるように貫通孔38が形成される。複数の貫通孔38は、第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置された第1列R1の貫通孔38と、第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置された第2列R2の貫通孔38とを含む。第1列R1の貫通孔38と第2列R2の貫通孔38とは第2方向D2にずれて配置されている。すなわち、各貫通孔38の中心点は、斜方格子状に配置される。この場合、金属突起30がベース材20を覆う面積が増えるので、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高められる。また複数の貫通孔38が互い違いに配置されるので、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに特定の箇所に応力が集中することを緩和できる。なお、各貫通孔38の中心点は、正方格子状又は矩形格子状に配置されても良い。
【0050】
図8は、金属突起30の断面の変形例を示す断面図である。
図8に示すように、各金属突起30の断面がテーパー状に形成されていても良い。各金属突起30は、第2面22に向かうに従って幅が狭くなる形状を有している。言い換えれば、断面において、金属突起30の一対の側面32は、第2面に向かうに従って互いに接近する。
【0051】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法)
次に、
図5及び
図6に示す金属支持体10の製造方法について、
図9(a)-(d)を用いて説明する。
【0052】
まず
図9(a)に示すように、フレキシブルなベース材20を準備する。ベース材20は、第1面21と第2面22とを有する。ベース材20としては、ステンレス等の金属材料を含む金属基板を用いても良い。なお、ベース材20が樹脂フィルム又はガラス等の非導電性材料から構成される場合、ベース材20の第2面22に図示しないシード層を形成する。このシード層は、例えばスパッタリング装置を使用したスパッタリング法等によって形成できる。シード層を構成する金属としては、例えばニッケル、銅ニッケル、銅、チタン ITO、IZOなどが挙げられる。
【0053】
次に、
図9(b)に示すように、ベース材20の第1面21上に第1保護層41を設け、ベース材20の第2面22上に開口部42aを有する第2保護層42を設ける。第1保護層41及び第2保護層42は、それぞれレジスト層であっても良い。この場合、まずベース材20の第1面21及び第2面22の全体にそれぞれ感光性レジストを塗布し、乾燥する。続いて、ベース材20の第2面22上の感光性レジストに対してフォトマスクを介して露光し、現像する。これにより、ベース材20の第1面21上に第1保護層41を形成し、第2面22上に所望の開口部42aを有する第2保護層42を形成する。開口部42aの平面形状は、金属突起30の平面形状に対応する。なお、ベース材20の第1面21に位置する第1保護層41は、開口部を有しない。
【0054】
次いで、
図9(c)に示すように、ベース材20の第2面22上であって、第2保護層42の開口部42a内に金属突起30を設ける。この間、まずベース材20上の第1保護層41及び第2保護層42に覆われていない領域(開口部42a)に、例えば電解めっき法によりニッケル等の金属を被着する。これにより、ベース材20の第2面22上に金属が析出し、金属突起30が形成される。この電解めっき処理を行う際、ベース材20又はシード層を介して電解めっき用の電流を供給する。金属突起30がニッケルからなる場合、ニッケルめっき浴としては、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル等のニッケル金属塩を含むものを用いることができる。金属突起30が銅からなる場合、銅めっき浴としては、例えば、硫酸銅、ピロリン酸銅、スルファミン酸銅、シアン化銅等を含むものを用いることができる。このとき、金属突起30の厚みは、第2保護層42の厚み以下とする。
【0055】
その後、
図9(d)に示すように、ベース材20の第1面21上の第1保護層41と、ベース材20の第2面22上の第2保護層42とをそれぞれ剥離除去する。このようにして、
図5及び
図6に示す金属支持体10が得られる。
【0056】
このように本実施の形態によれば、ベース材20の第2面22上に金属突起30が配置されている。これにより、金属支持体10をフレキシブル表示装置70に組み込んだ際、フレキシブル表示装置70の屈曲領域BAの強度を高めることができる。また、ベース材20に金属突起30を設けたことにより、ベース材20の厚みT1を例えば10μm以上40μm以下程度まで薄くした場合でも、ベース材20の屈曲領域BAの強度の低下を抑制できる。この結果、フレキシブル表示装置70を折り畳んだときの屈曲領域BAの形状をより小さくできる。すなわち、ベース材20を薄くしたことにより、屈曲領域BAの曲率半径をより小さくできる。
【0057】
また、本実施の形態によれば、金属突起30は、島状、ライン状又はメッシュ状に形成されても良い。この場合、金属突起30同士の間又は金属突起30の周囲に空間が形成される。これにより、金属支持体10の屈曲領域BAの全体が金属で覆われている場合と比較して、屈曲領域BAにおける金属支持体10の屈曲性の低下を抑制できる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、金属突起30は、めっき層であっても良い。これにより、金属突起30を薄くかつ平坦に形成できる。またベース材20上に、所定の平面形状を有する金属突起30を容易に形成できる。
【0059】
(変形例)
次に、
図10乃至
図14を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図10乃至
図14は、それぞれ本実施の形態の変形例を示す図である。
図10乃至
図14において、
図1乃至
図9に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0060】
(第1変形例)
図10は、第1変形例による金属支持体10を示す部分断面図である。
【0061】
図10に示すように、本変形例による金属支持体10において、ベース材20の第1面21に第1金属層26が形成されている。またベース材20の第2面22であって、少なくとも金属突起30の周囲に、第2金属層27が形成されている。第2金属層27は、第2面22上だけでなく、金属突起30の外面31及び側面32を覆うように設けられていても良い。
【0062】
第1金属層26は、ベース材20の第1面21の全体に形成されていても良く、第1面21の一部のみに形成されていても良い。なお、第1金属層26は、フレキシブル表示装置70の表示部材71を含む位置に形成されることが好ましい。この場合、第1金属層26により、金属支持体10の表面を平坦化でき、表示部材71をより平坦な金属支持体10の表面に取り付けることができる。第1金属層26の厚みT3は、3μm以上としても良く、10μm以上としても良い。第1金属層26の厚みT3は、100μm以下としても良く、50μm以下としても良い。
【0063】
第2金属層27は、ベース材20の第2面22のうち、金属突起30が存在しない部分の全体に形成されていても良く、一部のみに形成されていても良い。また第2金属層27は、上述したように金属突起30の外面31及び側面32にも形成されることが好ましい。第2金属層27の厚みT4は、3μm以上としても良く、10μm以上としても良い。第2金属層27の厚みT4は、50μm以下としても良く、100μm以下としても良い。
【0064】
第1金属層26及び第2金属層27は、互いに同一の金属から構成されていても良い。第1金属層26及び第2金属層27は、それぞれめっき層であっても良い。第1金属層26及び第2金属層27は、例えばニッケル(Ni)又は銅(Cu)等の金属を含んでも良い。また第1金属層26及び第2金属層27は、金属突起30と同一の金属から構成されていても良い。なお、第1金属層26及び第2金属層27は、互いに異なる金属から構成されていても良い。また、第1金属層26及び/又は第2金属層27は、金属突起30と異なる金属から構成されていても良い。また、ベース材20の第1面21に第1金属層26が形成され、ベース材20の第2面22に第2金属層27が形成されていなくても良い。あるいは、ベース材20の第2面22に第2金属層27が形成され、ベース材20の第1面21に第1金属層26が形成されていなくても良い。
【0065】
図10に示す金属支持体10を作製する場合、ベース材20から第1保護層41及び第2保護層42をそれぞれ剥離除去した後(
図9(d)参照)、ベース材20の第1面21及び第2面22にそれぞれ第1金属層26及び第2金属層27を形成する。このとき、ベース材20及び金属突起30の全体に電解めっきを施すことにより、第1金属層26及び第2金属層27を同時に形成しても良い。
【0066】
本変形例によれば、ベース材20の第1面21に第1金属層26が形成され、ベース材20の第2面22に第2金属層27が形成されている。これにより、金属支持体10の平坦性を高め、フレキシブル表示装置70の表示部材71を金属支持体10に高い平坦度で取り付けることができる。また金属支持体10の表面の硬度を高くすることにより、金属支持体10がフレキシブル表示装置70を使用しているときの衝撃を吸収できる。
【0067】
(第2変形例)
図11は、第2変形例による金属支持体10を示す断面図である。
【0068】
図11に示すように、本変形例による金属支持体10において、ベース材20の第1面21に第1保護層41が形成されている。またベース材20の第2面22であって金属突起30の周囲に、第2保護層42が形成されている。
【0069】
第1保護層41は、ベース材20の第1面21の全体に形成されていても良く、第1面21の一部のみに形成されていても良い。第1保護層41の厚みT5は、3μm以上としても良く、10μm以上としても良い。第1保護層41の厚みT5は、110μm以下としても良く、60μm以下としても良い。
【0070】
第2保護層42は、ベース材20の第2面22のうち、金属突起30が存在しない部分の全体に形成されていても良く、一部のみに形成されていても良い。また、第2保護層42は、屈曲領域BAのうち、金属突起30と金属突起30との間の空間に設けられていることが好ましい。これにより、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高められる。第2保護層42は、金属突起30の側面32の全体を覆うように形成されている。第2保護層42の厚みT6は、3μm以上としても良く、10μm以上としても良い。第2保護層42の厚みT6は、110μm以下としても良く、60μm以下としても良い。
【0071】
第2保護層42の厚みT6は、金属突起30の厚みT2よりも厚い。すなわち金属突起30の外面31は、第2保護層42の表面42bよりも第2面22側に位置する。これにより、金属突起30の厚みがばらついた場合でも、金属突起30が第2保護層42の表面42bよりも突出することがない。なお、これに限らず、第2保護層42の厚みT6は、金属突起30の厚みT2と同一としても良い。
【0072】
第1保護層41及び第2保護層42は、互いに同一の樹脂材料から構成されていても良い。第1保護層41及び第2保護層42は、それぞれレジスト層であっても良い。第1保護層41及び第2保護層42は、それぞれ永久レジスト層と称しても良い。第1保護層41及び第2保護層42は、例えばフェノール系樹脂等の樹脂材料を含んでも良い。第1保護層41及び第2保護層42は、互いに異なる樹脂材料から構成されていても良い。また、ベース材20の第1面21に第1保護層41が形成され、ベース材20の第2面22に第2保護層42が形成されていなくても良い。あるいは、ベース材20の第2面22に第2保護層42が形成され、ベース材20の第1面21に第1保護層41が形成されていなくても良い。
【0073】
図11に示すように、各金属突起30の断面がテーパー状に形成されている(
図8参照)。各金属突起30は、第2面22に向かうに従って幅が狭くなる形状を有している。この場合、金属突起30の周囲に位置する第2保護層42が金属突起30の側面32に引っ掛かる。これにより、第2保護層42が第2面22から脱落することを抑制できる。なお、これに限らず、金属突起30の一対の側面32は、第2面22に対して垂直であっても良い。
【0074】
図11に示す金属支持体10を作製する場合、ベース材20から第1保護層41及び第2保護層42をそれぞれ剥離除去しない(
図9(d)参照)。すなわち第1保護層41及び第2保護層42を、それぞれベース材20の第1面21及び第2面22上に残存させる。なお、第1保護層41及び第2保護層42は、レジストでなくても良い。第1保護層41及び第2保護層42は、例えば熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、2液重合型樹脂、あるいは3液重合型樹脂であっても良い。この場合、第1保護層41及び第2保護層42は、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂、2液重合型樹脂、あるいは3液重合型樹脂をベース材20に塗布し、これらの樹脂を型を用いて賦形し、硬化することにより形成されても良い。第1保護層41及び第2保護層42として、2液重合型樹脂又は3液重合型樹脂を用いた場合、これらの樹脂が溶媒及びモノマーを含まないため、外部要因による体積減少を抑制できる。
【0075】
本変形例によれば、ベース材20の第1面21に第1保護層41が形成され、ベース材20の第2面22に第2保護層42が形成されている。これにより、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度をより高められる。
【0076】
図12に示すように、本変形例による金属支持体10において、金属突起30の厚みT2を第2保護層42の厚みT6よりも厚くしても良い。この場合、金属突起30は、第2保護層42の表面42b上に延びる側方突出部39を有する。金属突起30は、断面がキノコ形状を有する。
【0077】
図12に示す金属支持体10を作製する場合、ベース材20の第2面22上に金属突起30を形成する際(
図9(c)参照)、第2保護層42よりも厚く金属を析出させる。これにより、側方突出部39を有する金属突起30を形成できる。その後、ベース材20から第1保護層41及び第2保護層42をそれぞれ剥離除去しないことにより(
図9(d)参照)、
図12に示す金属支持体10が得られる。
【0078】
図12に示す例によれば、金属突起30の周囲に位置する第2保護層42が金属突起30の側方突出部39に引っ掛かる。これにより、第2保護層42が第2面22から脱落することを抑制できる。
【0079】
(第3変形例)
図13は、第3変形例によるフレキシブル表示装置70を示す断面図である。
【0080】
図13に示すように、本変形例によるフレキシブル表示装置70は、表示部材71と、緩衝層76と、放熱層77と、筐体78とを備える。このうち表示部材71は、支持基材72と、薄膜トランジスタ(TFT)73と、有機EL素子(発光部)74と、封止樹脂75とを有する。
【0081】
支持基材72は、第1面72aと第2面72bとを有する。支持基材72の第1面72a側には、薄膜トランジスタ73と、有機EL素子74と、封止樹脂75とが順次配置されている。支持基材72の第2面72b上には、金属突起30が配置されている。金属突起30の構成は、上述した金属支持体10の金属突起30の構成と同様としても良い。
【0082】
本変形例によれば、支持基材72の第2面72b上に金属突起30が配置されている。これにより、フレキシブル表示装置70の屈曲領域BAの強度を高めることができる。また、支持基材72を薄くした場合でも、支持基材72の強度の低下を抑制できる。この結果、フレキシブル表示装置70を折り畳んだときの屈曲領域BAの形状をより小さくでき、屈曲領域BAの曲率半径をより小さくできる。また、フレキシブル表示装置70は、金属支持体を有していないので、フレキシブル表示装置70の全体の厚みを薄くできる。なお、これに限らず、
図13に示すフレキシブル表示装置70が金属支持体を有していても良い。
【0083】
(第4変形例)
図14は、第4変形例による金属支持体10を示す断面図である。
【0084】
図14に示すように、本変形例による金属支持体10において、ベース材20の第2面22に一対の周辺部30Aが設けられている。周辺部30Aは、それぞれ非屈曲領域NAに対応する位置に設けられている。一対の周辺部30Aの間には、金属突起30が位置する。周辺部30Aには開口部は設けられておらず、周辺部30Aを構成する金属層が隙間なく広がっている。なお周辺部30Aに開口部が存在しても良い。周辺部30Aは、非屈曲領域NAの一部に設けられていても良く、非屈曲領域NAの全体に設けられていても良い。また周辺部30Aは、屈曲領域BAの一部に存在していても良い。
【0085】
周辺部30Aは、金属突起30と同一の金属から構成されても良い。周辺部30Aは、電解めっき法により形成されためっき層であっても良い。周辺部30Aは、例えばニッケル(Ni)又は銅(Cu)等の金属を含んでも良い。また周辺部30Aは、ステンレス鋼(SUS)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の焼結材であっても良い。
【0086】
図14に示す金属支持体10を作製する場合、第2保護層42のうち、金属突起30に対応する部分とともに、周辺部30Aに対応する部分にも、開口部42aを設ける(
図9(b)参照)。その後、例えば電解めっき法により金属突起30を形成する際、あわせて周辺部30Aを形成する(
図9(c)参照)。
【0087】
本変形例によれば、ベース材20の厚みが薄いために金属支持体10の硬度が不足する場合でも、非屈曲領域NAに周辺部30Aを設けることにより、金属支持体10の硬度を高められる。
【0088】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 フレキシブル表示装置用金属支持体
20 ベース材
21 第1面
22 第2面
26 第1金属層
27 第2金属層
30 金属突起
31 外面
32 側面
41 第1保護層
42 第2保護層
70 フレキシブル表示装置
71 表示部材
72 支持基材
72a 第1面
72b 第2面
73 薄膜トランジスタ
74 有機EL素子
75 封止樹脂
76 緩衝層
77 放熱層
78 筐体