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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003933
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】貯玉管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A63F7/02 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103300
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】592104450
【氏名又は名称】J-NET株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】若林 準
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA88
2C088BB26
2C088CA31
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】遊技場の維持管理に要するコスト軽減を含む貯玉再プレイサービスの運用の健全化を図ることができる貯玉管理システムを提供する。
【解決手段】遊技客が、遊技台16の遊技により獲得し、遊技台16の運営者に預けた貯玉を用いた貯玉再プレイを可能にするシステムであって、運営者により設置された遊技システム10と、第三者管理機関により設置された監視装置20とを有する。遊技システム10は、遊技客からの貯玉再プレイの要求受付を契機に当該遊技客の貯玉総数のデータを監視装置20へ移動させ、監視装置20は、貯玉総数から貯玉再プレイ用に消費される消費貯玉数と管理手数料相当の賦課貯玉数とを差し引いた貯玉残数のデータを遊技システム10へ戻す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技客が、遊技台の遊技により獲得し前記遊技台の運営者に預けた貯玉を用いた貯玉再プレイを可能にする貯玉管理システムであって、
前記運営者により設置された遊技管理装置と、第三者管理機関により設置された監視装置とを有し、
前記遊技管理装置は、前記遊技客からの貯玉再プレイの要求受付を契機に当該遊技客の貯玉総数のデータを前記監視装置へ移動させ、前記監視装置は、前記貯玉総数から前記貯玉再プレイ用の消費貯玉数と管理手数料相当の賦課貯玉数とを差し引いた貯玉残数のデータを前記遊技管理装置へ戻す、貯玉管理システム。
【請求項2】
前記遊技管理装置は、前記遊技客が遊技日当日に消費可能な貯玉総数のデータを前記監視装置に移動させる、請求項1に記載の貯玉管理システム。
【請求項3】
前記遊技管理装置は、前記貯玉残数のデータが戻された後に前記遊技台に対して前記消費貯玉数の遊技媒体の貸出しを行う、請求項2に記載の貯玉管理システム。
【請求項4】
前記監視装置は、1回の貯玉再プレイの要求毎の消費貯玉数及び遊技レートに応じて前記賦課貯玉数を決定する賦課貯玉数決定手段を備え、前記決定した賦課貯玉数を前記貯玉総数から差し引く、請求項1に記載の貯玉管理システム。
【請求項5】
前記監視装置は、前記貯玉総数の受領履歴、前記消費貯玉数及び前記賦課貯玉数の差引履歴を所定のストレージに保持する履歴管理手段と、前記履歴管理手段が保持している情報を外部装置宛に出力する出力手段と、をさらに備えて成る、請求項4に記載の貯玉管理システム。
【請求項6】
前記監視装置は、所定期間における前記賦課貯玉数を集計する賦課貯玉数集計手段をさらに備えて成り、
前記賦課貯玉数集計手段による集計値が所定の上限値以上になると前記賦課貯玉数を前記差し引きの対象から除外する、請求項5に記載の貯玉管理システム。
【請求項7】
前記遊技管理装置と前記監視装置とがいずれも前記遊技場に設置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の貯玉管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパチンコ遊技台やパチスロ遊技台などを設置した遊技場において運用される貯玉管理システムに関する。より詳しくは貯玉再プレイの新たな仕組みに関する。
【背景技術】
【0002】
貯玉再プレイとは、遊技場に会員登録した遊技客が遊技開始の際に貸し出された遊技玉や遊技により獲得した遊技玉などの遊技媒体(メダルを含む。以下これらを総称して「持玉」という。)を当該遊技場に設置される情報処理装置に貯めておき(貯めた持ち玉を「貯玉」という。)、遊技客が再びその遊技場に来場したときに自分の貯玉を遊技台の遊技に用いることを許容するサービス形態をいう。
【0003】
貯玉再プレイは、近年、多くの遊技場において採用されているサービス形態であるが、遊技場の運営者側からすると、貯玉の維持管理、特に貯玉の第三者管理に多大なコストがかかる。そのため、手数料をどのように徴収したら遊技客が納得してくれるかが運営者側にとって大きな課題となる。
【0004】
このような課題に対応して、特許文献1に開示された発明では、特殊景品交換時に徴収される交換手数料相当数を差し引いた貸玉遊技可能数と、貯玉再プレイの手数料相当数を差し引いた再プレイ可能数とを表示し、貯玉再プレイの有利性を遊技客にアピールする。特許文献2に開示された発明では、当日貯玉が再プレイ単位玉数未満となった場合に、当日貯玉の端数を前日貯玉に変換し、前日貯玉と合算した上で再プレイ玉として返却できるようにすることで、少しでも多くの再プレイ玉を望む遊技客に対する満足感を高めている。特許文献3に開示された発明では、遊技客IDに関連付けて遊技種別毎の貯玉口座を管理し、日次処理、月次処理の定期処理及び遊技客の来店検出時の処理において、貯玉数や貯玉を預け入れた期間等に応じて貯玉管理手数料を自動的に徴収することで、遊技客による貯玉再プレイの繰り返しの利用を促す。特許文献4に開示された発明では、貯玉再プレイの手数料を無料にする回数を変えることによるホール側の損失等を管理可能とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-148024号公報
【特許文献2】特開2013-244181号公報
【特許文献3】特開2014-131534号公報
【特許文献4】特開2011-110330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~4に開示された発明は、貯玉再プレイのための維持管理の手数料に相当する数の貯玉を遊技場の運営者が遊技客から何らかの形で徴収するものである。しかも、手数料の差し引きの料率や差し引きの仕方などは、遊技場によって異なる。不適切なサービス行為を行った遊技場は営業制限を受けることがあり、この場合、貯玉を預けた遊技客に不測の不利益を与えかねず、ひいては貯玉自体の利用促進も図れなくなるおそれがある。
【0007】
本発明の主たる目的は、遊技場の維持管理に要するコスト軽減を含む貯玉再プレイサービスにおける運用の健全化を図ることができる貯玉管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、遊技客が、遊技台の遊技により獲得し前記遊技台の運営者に預けた貯玉を用いた貯玉再プレイを可能にする貯玉管理システムであって、前記運営者により設置された遊技管理装置と、第三者管理機関により設置された監視装置とを有し、前記遊技管理装置は、前記遊技客からの貯玉再プレイの要求受付を契機に当該遊技客の貯玉総数のデータを前記監視装置へ移動させ、前記監視装置は、前記貯玉総数から前記貯玉再プレイ用に消費される消費貯玉数と管理手数料相当の賦課貯玉数とを差し引いた貯玉残数のデータを前記管理装置へ戻すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本態様の貯玉管理システムによれば、遊技場の維持管理に要するコスト軽減を含む貯玉再プレイサービスにおける運用の健全化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の遊技場システムの全体構成図。
図2】台間処理機の機能構成図。
図3】遊技管理装置の機能構成図。
図4】遊技場会員DBの説明図。
図5】貯玉口座DBの説明図。
図6】監視装置の機能構成図。
図7】遊技客端末の機能構成図。
図8】遊技場システムの運用形態例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を遊技場システムに適用した場合の実施の形態例を説明する。図1は、遊技場システムの全体構成図である。この遊技場システム1は、遊技管理装置の一例となる遊技システム10と、監視装置20とを有する。遊技システム10は、遊技場の運営者により設置される。監視装置20は、遊技場の運営者とは異なる第三者管理機関、例えば貯玉のバックアップ機関により設置される。遊技システム10と監視装置20は、遊技場内に設置されるが、実質的に同一遊技場内とみなされる場所に設置されてもよい。遊技システム10は、カード管理装置11、会員管理装置12、遊技管理装置13、通信管理装置14及びカードR/W111を主要な電子機器として備える。これらの電子機器は、遊技場内に敷設されるLAN(Local Area Network)を通じて相互に接続される。
【0012】
まず、遊技システム10について説明する。カード管理装置11は、カードR/W111に装着された会員カード40への情報の書込及び読出しを行う。すなわち、カード管理装置11は、カード発行時に、会員カード40の会員領域に、カードID、会員ID及び遊技場IDを記録する。カード管理装置11は、また、カードR/W111を通じて会員カード40の会員領域、プリペイド領域、持玉領域の記録情報を読み取る。
【0013】
会員管理装置12は、カード管理装置11と協働で、会員の個人情報、会員が設定したパスワード等の権限情報、遊技場運営者及び第三者管理機関との間の契約情報、適宜会員に提供可能な会員の特典情報等を管理(アクセス可能なストレージへの記録、更新、削除、読出し等)する。
【0014】
遊技管理装置13には、複数の遊技台16及び各遊技台16に1対1に対応する台間処理機17と、監視装置20との間に双方向の通信路が設定される。遊技管理装置13は、後述する監視装置20と協働で、各遊技台16及び各台間処理機17の動作制御を行う。
【0015】
通信管理装置14は、会員が所持する会員端末30、第三者管理機関に設置される管理端末60のほか、通信ネットワークNに接続されている外部情報サイト、例えば金融機関システム、クレジットカード提供システムとの間の通信を可能にする。金融機関システム、クレジットカード提供システムは、会員の求めに応じて現金に代わる有価価値を取得する際に、所定の権限情報をもとにアクセスする。管理端末60は、遊技場システム1と同一内容の貯玉関連データをバックアップとして保管するサーバである。
【0016】
台間処理機17について説明する。図2は、台間処理機17の構造説明図である。台間処理機17は、状態表示部171、紙幣挿入口172、表示操作部173、カード挿入口174、コード読取センサ175、ノズルユニット176、計数ユニット177及び制御ユニット178を備える。制御ユニット178は、各種データを保持するためのストレージを備え、制御用プログラムがインストールされたコンピュータの一種であり、会員管理装置12や遊技管理装置13との通信を可能にする制御のほか、台間処理機17の動作を統括的に制御する。
【0017】
状態表示部171は、台間処理機17の稼働状態を表示する。正常稼働中は例えば緑色に点灯しており、何らかのトラブルが発生した場合は、自動又は手動で赤色の点灯に変化し、トラブルが一定時間継続すると赤色の点滅に変化する。紙幣挿入口172は、会員が投入した紙幣を受け付けるための孔部である。制御ユニット178は、投入された紙幣の財的価値を認識し、認識した財的価値をストレージにチャージ残額として記録する。
【0018】
表示操作部173は、会員との間のユーザインタフェースであり、テンキー173a及び表示部173bを備える。テンキー173aは、持玉数の範囲での貸玉供給、会員認証、貯玉再プレイによる貯玉払い出しその他の機能選択、カード離脱その他の指示入力に用いられる。表示部173bは、ストレージに記録されているチャージ残額、持玉数、貯玉総数などの表示を行う。カード挿入口174には、会員カード40が挿入され、カード離脱の指示入力を契機に、会員カード40を排出させる。その際、チャージ残額や持玉数が会員カード40に記録される。コード読取センサ175は、会員端末30のディスプレイに表示される画像コード301を読み取り、その結果を制御ユニット178に伝達する。画像コード301で読み取った結果は、例えば、現在、遊技台16とその隣の台間処理機17を操作している遊技客が、会員であること、貯玉総数又は貯玉残数の確認を要求していること、貯玉再プレイを要求していること、金融機関システム又はクレジットカード提供システムからの現金相当額の入力などを示す情報である。
【0019】
ノズルユニット176は、制御ユニット178の制御の下で、遊技台16の背後に設けられた遊技玉循環機構(図示省略)から遊技玉(貸玉、持玉)を遊技台16の上皿に供給する。計数ユニット177は、手動操作によって遊技台16の下皿から遊技玉循環機構へ排出される遊技玉(持玉)を計数し、計数結果を制御ユニット178のストレージに持玉数として記録する。持玉数は、表示操作部173の表示部173bに逐次表示される。
【0020】
図3を参照して、遊技管理装置13について説明する。遊技管理装置13は、ディスプレイ、プリンタ、キーボード、記憶装置などの周辺機器が接続された管理コンピュータである。遊技管理装置13は、遊技管理用プログラムを実行することにより、データ入力部101、個人認証部102、遊技媒体管理部103、遊技場会員管理部106、データ送受信部107、データ出力部108、及び主制御部100の機能を実現する。また、図示しないストレージ(記憶装置)に、遊技場会員データベース(以下、データベースを「DB」と略す)104、貯玉口座DB105を構築する。
【0021】
データ入力部101は、例えば中継器15を介して接続された複数の台間処理機17などから入力される各種データを受け付ける。受け付ける各種データは、例えば台間処理機17で読み取った会員カード40の記録情報、台間処理機17で作成した貯玉再プレイの条件充足情報、1回当たりの貯玉再プレイのための消費貯玉数の指示などである。
【0022】
個人認証部102は、遊技を開始しあるいは遊技中の遊技客が会員であることの認証が要求される場合に、当該会員の個人認証を行い、認証結果を要求元に返信する。個人認証は、データ入力部101を通じて入力された会員IDや権限情報と登録時に遊技場会員DB104に格納された個人情報とを照合することにより行う。
【0023】
遊技媒体管理部103は、上記の遊技玉循環機構の稼働状況の監視処理、台間処理機17の稼働状況の監視処理、会員毎の貯玉総数のデータを監視装置20へ移動する処理、会員毎に監視装置20から戻された貯玉残数のデータを復元する処理、貯玉残数の増減処理、貯玉総数(現在の貯玉残数)の閲覧要求に対する応答処理などを行う。遊技場会員DB104は、会員管理装置12が管理する会員の個人情報をファイルベースで格納する。貯玉口座DB105は、会員毎の貯玉口座を格納する。貯玉口座には、貯玉総数がその増減日時(移動又は復元による増減を含む)と共に記録される。貯玉口座には、貯玉再プレイのための貯玉使用を制限するための制限フラグ及び制限を解除するための制限解除フラグが関連付けられていてもよい。制限フラグは、例えば1日当たりの消費貯玉数が上限値(例えば2750個)を超えた場合などに付加される。制限解除フラグは、例えば制限フラグが付加された翌遊技日に更新される。制限フラグは例えば「1」の数値であり、制限解除フラグは例えば「0」の数値であるが、これらの数値は逆であってもよい。また、両者を区別できればよいので、数値以外の文字又は記号であってもよい。
【0024】
遊技場会員管理部106は、会員に関する情報を管理する。すなわち、会員の会員登録の際に会員IDを割り当て、遊技場会員DB104に会員ID毎のレコード領域を作成する。また、会員の会員登録の際に当該会員専用の貯玉口座を開設し、この貯玉口座を会員IDと関連付けて貯玉口座DB105に登録する。さらに、会員管理装置12、遊技場会員DB104及び貯玉口座DB105との間で会員に関する情報の受け渡しを行う。
【0025】
データ送受信部107は、管理端末60との間の通信を可能にする通信手段の一つとして機能する。データ出力部108は、中継器15を介して各台間処理機173などに各種データを表示する。
【0026】
主制御部100は、遊技管理装置13の各種動作を統括的に制御する。また、中継器15を介して接続される台間処理機17の制御ユニット178との協働により、会員に対する貯玉再プレイの際の貯玉の使用に関する制御を行う。例えば制御部100は、各台間処理機17の制御ユニット178に対して、特徴的な貯玉再プレイに関する制御を自律的に実施するための情報と指示とを与え、その結果を受領するとともに、受領した結果に対応する制御を行う。貯玉の使用に関する制御の一態様は、台間処理機17のカード挿入口174に会員カード40を挿入して行われる貯玉再プレイの受付を、所定の条件に基づいて制限し、あるいは解除させることである。
【0027】
遊技場会員DB104と貯玉口座DB105について説明する。図4は、遊技場会員DB104の説明図である。遊技場会員DB104には、会員となった会員の個人情報、個人認証に用いる権限情報(パスワード等)、遊技履歴などのレコードが会員IDと関連付けて記録される。遊技場会員DB104の記録内容は適宜更新される。
【0028】
貯玉口座DB105は、会員の貯玉口座が会員IDと関連付けて登録される。図5は、各会員の貯玉口座の例示図である。貯玉口座には、会員ID毎に、貯玉総数(現在の貯玉残数)、当日貯玉残数(1日の集計値)、当日消費貯玉数(1日の集計値)、当日賦課貯玉数(1日の集計値)が関連付けて記録される。当日貯玉残数は、貯玉再プレイの開始前は、前日までの貯玉総数と同じ値となる。
【0029】
監視装置20について説明する。図6は、監視装置20の機能構成図である。監視装置20は、ストレージ機能を有するサーバであり、図示しないストレージにインストールされた貯玉監視用プログラムを実行することにより、サーバを、データ送受信部21、賦課貯玉数決定部22、履歴管理部23、賦課貯玉数集計部24,データ出力部25、制御部26として動作させる。データ送受信部21は、遊技システム10との間、管理端末60との間、会員端末30との間で、それぞれ各種データの受け渡しを行う。
【0030】
遊技管理装置10から監視装置20へは、会員IDと貯玉再プレイの要求のデータが送信され、かつ、会員IDで識別される会員の遊技日当日に使用(消費)可能な貯玉総数のデータが移動する。一方、監視装置20から遊技管理装置10へは、会員IDで識別される会員の貯玉残数のデータが移動する。貯玉残数は、その会員の貯玉総数から貯玉再プレイ用の消費貯玉数と管理手数料相当の賦課貯玉数とを差し引いた貯玉数のデータである。
【0031】
賦課貯玉数決定部22は、1回の貯玉再プレイの要求毎の消費貯玉数及び遊技レートに応じて管理手数料相当の上記賦課貯玉数を決定する。賦課貯玉数は、例えば管理端末60から送信された料率データにより決定することができる。消費貯玉数は、ある遊技レートでは、例えば250個/回であり、賦課貯玉数は、例えば25個である。ただし、上記数値以外の数値であってもよい。
【0032】
履歴管理部23は、貯玉総数の受領履歴、消費貯玉数及び賦課貯玉数の差引履歴を会員毎に所定のストレージに更新自在に保持し、保持されている情報を外部装置、例えば管理端末60又は会員端末30からの求めに応じて出力可能にする。
【0033】
賦課貯玉数集計部24は、所定期間、例えば1日当たりの賦課貯玉数を集計し、集計結果が、所定の上限値、例えば2500個(10回分の貯玉再プレイのための消費貯玉数)以上になると、上記所定期間内の集計を停止する。この場合、その後の貯玉再プレイの要求による賦課貯玉数は、貯玉総数から差し引く対象から除外される。これにより、できるだけ多くの消費貯玉数を確保したい会員の満足度を高めることが期待される。
【0034】
会員端末30について説明する。図7は、会員端末30の機能構成図である。会員端末30は、内蔵ストレージにインストールされた貯玉会員用プログラムを実行することにより、当該会員に対して自己の貯玉の扱いに関する種々のサービスを会員に提供するものである。本実施形態では、会員端末30を、データ送受信部31、データ入力部32、データ出力部33、制御部34として動作させる。
【0035】
データ送受信部31は、遊技管理装置13にアクセスして双方向の通信を行う。データ入力部32は、キーボタン、タッチパネル等の入力インタフェースである。データ出力部33は、ディスプレイや音出力デバイス等の出力インタフェースである。ディスプレイは、各種データやメッセージ等を会員に視認可能な形態で提示するものであり、音出力デバイスはメッセージを合成音声によって会員に提示するものである。
【0036】
制御部34は、会員端末30の動作を統括的に制御する。制御部34は、また、遊技システム10又は管理端末60へ送信する各種情報を作成するとともに、遊技システム10又は管理端末60から受信した情報に応じた処理を該当する機能ブロック(例えばデータ出力部33)に実行させる。遊技システム10に送信する情報は、例えば自己の貯玉口座の照会、当該貯玉口座の凍結要求などであり、受信した情報に応じた処理の一つは上記の画像コード301の表示などである。
【0037】
<運用形態例>
次に、会員が貯玉再プレイを行うときの遊技場システム1の運用形態例について説明する。図8は、遊技場システム1において実行される処理の概要説明図である。貯玉再プレイのための処理は、遊技場システム1において、会員ID777の会員が、台間処理機17に会員カード40を挿入し、かつ、貯玉再プレイの要求を入力することにより開始される(S1)。
【0038】
遊技システム10は、会員による貯玉再プレイの要求受付を契機にその会員の会員IDに関連付けられた貯玉口座105を参照する。図示の例では、その会員の当日使用可能な貯玉総数が5000個であり、制限フラグは付加されていないとする。遊技システム10は、この5000個の貯玉総数のデータ(会員IDを含む)を監視装置20へ移動させる(S2)。その結果、その会員の貯玉口座のうち貯玉総数は、5000個から0個に更新される。
【0039】
監視装置20は、遊技システム10から受け取った貯玉総数のデータをストレージに一時的に保存するとともに、貯玉総数(5000個)から1回当たりの貯玉再プレイ用の消費貯玉数(250個)と管理手数料相当の賦課貯玉数(25個)とを差し引き(S3)、これにより得られた当該会員の貯玉残数(4725個)のデータを遊技管理装置10へ戻す(S4)。その結果、遊技管理装置10における当該会員の貯玉口座105における貯玉総数(貯玉残数)は、0個から4725個に更新される。
【0040】
遊技システム10は、その後、消費貯玉数(250個)の貸玉を台間処理機17から遊技台16の上皿に供給させる(S5)。これにより、会員は、貯玉再プレイが可能となる。消費貯玉数(250個)が無くなると、S1~S5の手順を繰り返す。このとき、遊技台16で1回も入賞しないと、貯玉総数は毎回減少していくが、賦課貯玉数の差し引きは10回の貯玉再プレイ用に制限され、11回目以降の貯玉再プレイの要求に際しては、消費貯玉数だけの差し引きとなるようにしてもよい。あるいは、賦課貯玉数の差し引きは最初の1回だけにしてもよい。また、遊技台16で入賞して持玉を獲得した場合、これを会員の申し出により当日の貯玉総数(当日貯玉残数)に加算することができる。
【0041】
遊技場の営業が終了すると、遊技システム10は、その会員のその日の貯玉残数(2250個)と消費貯玉数(2750個:本例では上限値)とを管理端末60へ送信する(S6)。また、監視装置20は、その会員のその日の賦課貯玉数(250個:本例では上限値)とを管理端末60へ送信する(S7)。これにより、管理端末20は、その会員の貯玉再プレイのために行った遊技システム10の処理内容と、その会員の賦課貯玉数とを正しく把握することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、遊技台16がパチンコ遊技台(機)である場合の例を説明したが、遊技台はパススロ遊技台であってもよい。この場合、上記開示における貸玉は貸メダル、貯玉は貯メダル、持玉は持メダルと読み替えればよい。
【0043】
本実施形態による開示は、以下の各態様の発明を含んでいる。
[態様1]
態様1の発明は、遊技客が、遊技台の遊技により獲得し前記遊技台の運営者に預けた貯玉を用いた貯玉再プレイを可能にする貯玉管理システムであって、前記運営者により設置された遊技管理装置と、第三者管理機関により設置された監視装置とを有し、前記遊技管理装置は、前記遊技客からの貯玉再プレイの要求受付を契機に当該遊技客の貯玉総数のデータを前記監視装置へ移動させ、前記監視装置は、前記貯玉総数から前記貯玉再プレイ用の消費貯玉数と管理手数料相当の賦課貯玉数とを差し引いた貯玉残数のデータを前記遊技管理装置へ戻す、貯玉管理システムである。
態様1の発明によれば、遊技場の維持管理に要するコスト軽減を含む貯玉再プレイサービスの運用の健全化を図ることができる。特に、貯玉総数、消費貯玉数、賦課貯玉数、貯玉残数のデータについては、監視装置だけが操作することになり、遊技場が不適切なサービス行為を行う機会が減少することが期待される。
【0044】
[態様2]
態様2の発明は、態様1の発明において、前記遊技管理装置は、前記遊技客が遊技日当日に消費可能な貯玉総数のデータを前記監視装置に移動させる。
態様2の発明によれば、貯玉に関する遊技日当日のデータだけを操作するだけとなり、貯玉再プレイのために実行する遊技管理装置の処理が軽減される。
【0045】
[態様3]
態様3の発明は、態様2の発明において、前記遊技管理装置は、前記貯玉残数のデータが戻された後に前記遊技台に対して前記消費貯玉数の遊技媒体の貸出しを行う。
態様3の発明によれば、健全な貯玉再プレイの運用が可能になるだけでなく、遊技管理装置における処理がさらに軽減される。
【0046】
[態様4]
態様4の発明は、態様1の発明において、前記監視装置は、1回の貯玉再プレイの要求毎の消費貯玉数及び遊技レートに応じて前記賦課貯玉数を決定する賦課貯玉数決定手段を備え、前記決定した賦課貯玉数を前記貯玉総数から差し引く。
態様4の発明によれば、賦課貯玉数の決定態様に幅を持たせることができ、遊技場の実情に合わせた貯玉再プレイの運用が可能となる。
【0047】
[態様5]
態様5の発明は、態様4の発明において、前記監視装置は、前記貯玉総数の受領履歴、前記消費貯玉数及び前記賦課貯玉数の差引履歴を所定のストレージに保持する履歴管理手段と、前記履歴管理手段が保持している情報を外部装置宛に出力する出力手段と、をさらに備えて成る。
態様5の発明によれば、貯玉数の変化要因をいつでも確認することができ、より健全な貯玉再プレイの運用が可能となる。
【0048】
[態様6]
態様6の発明は、態様5の発明において、前記監視装置は、所定期間における前記賦課貯玉数を集計する賦課貯玉数集計手段をさらに備えて成り、前記賦課貯玉数集計手段による集計値が所定の上限値以上になると前記賦課貯玉数を前記差し引きの対象から除外する。
態様6の発明によれば、少しでも多くの消費貯玉数を望む遊技客に対する満足感を高め、貯玉管理サービスの利用を促進することが期待される。
【0049】
[態様7]
態様7の発明は、態様1から態様6のいずれか一つの発明において、前記遊技管理装置と前記監視装置とがいずれも前記遊技場に設置される。
態様7の発明によれば、貯玉管理システムの一体性をより高めることができる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・遊技場システム、10・・・遊技システム、16・・・遊技台、17・・・台間処理機、20・・・監視装置、22・・・賦課貯玉数決定部、23・・・履歴管理部、24・・・賦課貯玉数集計部、30・・・会員端末、40・・・会員カード、60・・・管理端末。
図1
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図8