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特開2024-39564超広域対応の電流センサ計測機、盤、及び、電力プラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024039564
(43)【公開日】2024-03-22
(54)【発明の名称】超広域対応の電流センサ計測機、盤、及び、電力プラント
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/30 20060101AFI20240314BHJP
   G01R 15/18 20060101ALI20240314BHJP
【FI】
H01F38/30
G01R15/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144216
(22)【出願日】2022-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】522095610
【氏名又は名称】株式会社力電
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】本家 正雄
【テーマコード(参考)】
2G025
5E081
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AB14
5E081AA05
5E081AA11
5E081BB03
5E081CC03
5E081DD11
5E081EE03
5E081GG10
(57)【要約】
【課題】電流センサ部が略矩形状コイルを備えて、「検出誤差の低減」や「巻回数の増加」等を実現する。
【解決手段】電流センサ計測機1は、所定の電路における電流に応じた電流を出力する電流センサ部2と、電流センサ部2からの出力電流に基づき、所定の電路における電流の値等を計測する計測部3を有し、電流センサ部2が略矩形状コイル4を備える。又、略矩形状コイル4は、2つの略コ字状のコア部材5の端面同士を突合せ形成され、対向辺に巻線が巻回されたり、電流定格範囲が15A以上1800A以下であったり、計測部3が計測した電流値を補正する補正部6を備えたり、計測した電流値等に応じて継電動作を行う継電部7と計測部3が同一の筐体8に内蔵されたり、電流センサ計測機1を有した盤でも良い。系統Kに接続された系統盤21に、負荷Fや発電システム22が接続された電力プラント20は、電流センサ部2が略矩形状コイル4を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電路に取り付けられる電流センサ計測機であって、
前記所定の電路における電流に応じた電流を出力する電流センサ部(2)と、前記電流センサ部(2)から出力される電流に基づいて、前記所定の電路における電流の値を少なくとも計測する計測部(3)を有し、
前記電流センサ部(2)は、略矩形状コイル(4)を備えていることを特徴とする電流センサ計測機。
【請求項2】
前記略矩形状コイル(4)は、2つの略コ字状のコア部材(5)の端面同士を、突き合わせて形成され、
前記略矩形状コイル(4)における対向した1組の辺の部分それぞれに、巻線が巻回されていることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ計測機。
【請求項3】
当該電流センサ計測機における電流の定格範囲は、15A以上1800A以下であることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ計測機。
【請求項4】
前記計測部(3)は、前記電流センサ部(2)から出力される電流に基づいて、当該計測部(3)が計測した前記所定の電路における電流の値を補正する補正部(6)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ計測機。
【請求項5】
前記計測部(3)が計測した前記所定の電路における値に応じて継電動作を行う継電部(7)も有し、
前記計測部(3)と前記継電部(7)は、同一の筐体(8)に内蔵されていることを特徴とする請求項1に記載の電流センサ計測機。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の電流センサ計測機(1)が設けられた盤支持体を有していることを特徴とする盤。
【請求項7】
系統(K)に対して系統盤(21)が接続され、前記系統盤(21)に対して負荷(F)及び/又は発電システム(22)が接続された電力プラントであって、
前記系統(K)から系統盤(21)を介して前記負荷(F)及び/又は発電システム(22)までの電路における電流に応じた電流を出力する電流センサ部(2)と、前記電流センサ部(2)から出力される電流に基づいて、前記電路における電流を少なくとも計測する計測部(3)を有し、
前記電流センサ部(2)は、略矩形状コイル(4)を備えていることを特徴とする電力プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の電路に取り付けられる電流センサ計測機や、この電流センサ計測機を有した盤、電力プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、変流器が知られている(特許文献1参照)。
この変流器は、環状のコア部の外周に巻線をトロイダル状に巻回して形成したコイルと、環状の第1シールド板及び環状の第2シールド板と、環状ケースとを備え、前記環状ケースは、内側円筒壁と、この内側円筒壁の外側に位置する外側円筒壁と、これら内側円筒壁及び外側円筒壁の間を連結する環状連結板とを備えた断面H型の部材であり、前記環状連結板の一方の面、前記内側円筒壁及び前記外側円筒壁で囲んだ環状の第1収納空間に、前記コイル及び前記第1シールド板を重ねて収納し、前記環状連結板の他方の面、前記内側円筒壁及び前記外側円筒壁で囲んだ環状の第2収納空間に、前記第2シールド板を収納し、前記環状ケースに形成した押圧保持部で、前記コイル及び前記第1シールド板を前記環状連結板の一方の面に押圧して保持し、前記第2シールド板を前記環状連結板の他方の面に押圧して保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-201512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された変流器は、その図1(a)等に示されたように、コイルが環状(円形状)であることを必須とするところ、環状のコイルは内周より外周の方が長いため、当該コイルに巻線を巻回した際に、内周側で隣接する巻線間の隙間より、外周側で隣接する巻線間の隙間の方が大きくなるため、当該コイルには一定の巻線間隔で巻線を巻回し難く(巻線密度が一様になり難く)、変流器としての検出誤差が大きくなる。
又、特許文献1に記載の変流器において、その図1(b)に示されたように、環状のコイルへの巻線間隔を一定にしようとしても、その分、隣接する巻線間の隙間が大きくなるため、結果的に巻回する数が減少して、変流器としての検出範囲が狭くなる問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑み、電流センサ部が略矩形状コイルを備えることによって、「検出誤差の低減」や「巻回数の増加」等を実現する電流センサ計測機や、盤、電力プラントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電流センサ計測機1は、所定の電路に取り付けられる電流センサ計測機であって、前記所定の電路における電流に応じた電流を出力する電流センサ部2と、前記電流センサ部2から出力される電流に基づいて、前記所定の電路における電流の値を少なくとも計測する計測部3を有し、前記電流センサ部2は、略矩形状コイル4を備えていることを第1の特徴とする。
【0007】
本発明に係る電流センサ計測機1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記略矩形状コイル4は、2つの略コ字状のコア部材5の端面同士を、突き合わせて形成され、前記略矩形状コイル4における対向した1組の辺の部分それぞれに、巻線が巻回されている点にある。
【0008】
本発明に係る電流センサ計測機1の第3の特徴は、上記第1の特徴に加えて、当該電流センサ計測機における電流の定格範囲は、15A以上1800A以下である点にある。
【0009】
本発明に係る電流センサ計測機1の第4の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記計測部3は、前記電流センサ部2から出力される電流に基づいて、当該計測部3が計測した前記所定の電路における電流の値を補正する補正部6を備えている点にある。
【0010】
本発明に係る電流センサ計測機1の第5の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記計測部3が計測した前記所定の電路における値に応じて継電動作を行う継電部7も有し、前記計測部3と前記継電部7は、同一の筐体8に内蔵されている点にある。
【0011】
これらの特徴により、電流センサ部2が略矩形状コイル4を備えることによって、特許文献1とは異なり、略矩形状コイル4では、各辺の部分は内周と外周の長さが略同じであるため、当該各辺の部分に巻線を巻回すれば、内周側で隣接する巻線間の隙間と、外周側で隣接する巻線間の隙間も略同じとなり、当該略矩形状コイル4に一定の巻線間隔で巻線を巻回し易くなって(巻線密度が一様になり易くなって)、電流センサ部2としての検出誤差を低減できる(「検出誤差の低減」)。
その結果、当該略矩形状コイル4に対しては、一定の巻線間隔で巻回できる数が増え(「巻回数の増加」)、電流センサ計測機1における電流の定格範囲をより広くできるとも言える。
従って、このような電流センサ計測機1は、電流の定格範囲がより広がる(つまり、超広域に対応できる)ことから、「超広域対応の電流センサ計測機」であるとも言える。
【0012】
又、略矩形状コイル4を、2つの略コ字状のコア部材5の端面同士を突合わせて形成し、略矩形状コイル4における対向した1組の各辺の部分に巻線を巻回することによって、特許文献1のように、一体である環状のコイルに巻線を巻回し難い(巻回する特殊な機器などが必要である)場合と比べて、より巻線を巻回し易くなって、更なる「検出誤差の低減」や「巻回数の増加」が図れ、より「超広域対応」な電流センサ計測機1が実現できるとも言える。
尚、電流定格範囲を15A以上1800A以下としても良い。
【0013】
更に、計測部3に、電流センサ部2からの出力電流に基づいて、当該計測部3が計測した電流値を補正する補正部6を設けることによって、より「検出誤差の低減」が図れる。
【0014】
そして、計測部3が計測した値に応じて継電動作を行う継電部7を、計測部3と共に、同一の筐体8に内蔵することによって、同一の筐体8に内蔵した分だけ「省スペース化」が図られると共に、継電動作を行うか否かの基準となる電流等の閾値が非常に小さい値の場合、継電器とデジタル電流計を別々の機器で行うと、継電器とデジタル電流計ごとで発生する微小な誤差が異なるため、誤動作が生じるが、本発明においては、計測部3で計測した電流値等に基づいて、継電動作をするか否かを判断するため、誤動作は生じないと言える。
【0015】
本発明に係る盤は、上述した電流センサ計測機1が設けられた盤支持体を有していることを第1の特徴とする。
尚、本発明における「盤支持体」とは、盤が備える電流センサ計測機1等の機器を内蔵する盤筐体(箱形の容器やケーシングなど)以外に、盤を支える盤フレーム(frame)体(盤枠体)も含まれ、この場合、盤が備える電流センサ計測機1等の機器は、盤フレーム体に設けられる(取り付けられる)とも言える。
従って、本発明に係る「盤」とは、備える電流センサ計測機1等の機器を盤筐体に内蔵して、当該機器が露出しない所謂「盤」だけでなく、備える電流センサ計測機1等の機器を盤フレーム体に取り付けて、機器が露出しているシステム(謂わば、「盤システム」)も含む。
【0016】
この特徴により、盤(後述する配電盤31や系統盤21、発電接続盤41など)の盤支持体(配電盤支持体31’や系統盤支持体21’、発電接続盤支持体41’など)に電流センサ計測機1を設けることによって、既存の系統盤21等における電路に対して、電流センサ部2と計測部3等を後付けする際に、当該盤支持体を有した盤を付け足すだけで済み、後付け作業の効率が上がる(「後付け作業の効率向上」)。
【0017】
本発明に係る電力プラント20は、系統Kに対して系統盤21が接続され、前記系統盤21に対して負荷F及び/又は発電システム22が接続された電力プラントであって、前記系統Kから系統盤21を介して前記負荷F及び/又は発電システム22までの電路における電流に応じた電流を出力する電流センサ部2と、前記電流センサ部2から出力される電流に基づいて、前記電路における電流を少なくとも計測する計測部3を有し、前記電流センサ部2は、略矩形状コイル4を備えていることを第1の特徴とする。
【0018】
この特徴により、電力プラント20においても、電流センサ部2が略矩形状コイル4を備えることによって、特許文献1とは異なり、略矩形状コイル4では、各辺の部分は内周と外周の長さが略同じであるため、当該各辺の部分に巻線を巻回すれば、内周側で隣接する巻線間の隙間と、外周側で隣接する巻線間の隙間も略同じとなり、当該略矩形状コイル4に一定の巻線間隔で巻線を巻回し易くなって、電流センサ部2としての検出誤差を低減できる(「検出誤差の低減」)と共に、その結果、当該略矩形状コイル4に対しては、一定の巻線間隔で巻回できる数が増え(「巻回数の増加」)、電流センサ計測機1における電流の定格範囲をより広くできるとも言える。
従って、このような電力プラント20は、電流の定格範囲がより広がる(つまり、超広域に対応できる)ことから、「超広域対応の電力プラント」であるとも言える。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る電流センサ計測機や、盤、及び、電力プラントによると、電流センサ部が略矩形状コイルを備えることによって、「検出誤差の低減」や「巻回数の増加」等を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る電流センサ計測機(電流センサ部、計測部等)を示す概要図である。
図2】電流センサ部を示す底面斜視図である。
図3】電流センサ部を示す一部透視平面図である。
図4】電流センサ部を示す正面図である。
図5】電流センサ部を示す側面図である。
図6】電流センサ部における略矩形状コイルの斜視を示す図面代用写真である。
図7】電流センサ部における略矩形状コイルの平面視を示す図面代用写真である。
図8】電流センサ部における略矩形状コイルの正面視を示す図面代用写真である。
図9】電流センサ部における略矩形状コイルの背面視を示す図面代用写真である。
図10】電流センサ部における略矩形状コイルの側面視を示す図面代用写真である。
図11】電流センサ部の検出結果を示すグラフであって、(a)は交流電流の周波数が50Hzの場合を示し、(b)は交流電流の周波数が60Hzの場合を示す。
図12】電流センサ部の位相角特性の結果を示すグラフであって、(a)は交流電流の周波数が50Hzの場合を示し、(b)は交流電流の周波数が60Hzの場合を示す。
図13】本発明の第1実施形態に係る電力プラントや、盤(配電盤など)を例示する概要図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る電力プラントや、盤(配電盤など)を例示する概要図である。
図15】本発明の第3実施形態に係る電力プラントや、盤(配電盤など)を例示する概要図である。
図16】本発明の第4実施形態に係る電力プラントや、盤(配電盤など)を例示する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<電流センサ計測機1の全体構成>
図1~16には、本発明に係る電流センサ計測機1が示されている。
この電流センサ計測機1は、所定の電路Sに取り付けられる機器であって、後述する電流センサ部2と計測部3を備えている。
【0022】
電流センサ計測機1は、計測部3が後述する補正部6を備えていたり、その他、継電部7や筐体8を有していても良い。
ここで、本発明における「所定の電路Sに取り付けられる」とは、後述する電流センサ部2の略矩形状コイル4における開口部に、後述する主電路Mや分岐電路24、計器用変流器21fの2次側の電路21f’などの電路を通して取り付ける場合を含むと共に、変圧器(例えば、後述する計器用変成器21bの低圧側や、柱上変圧器K’の低圧側など)に接続されること場合なども含む。
【0023】
電流センサ計測機1は、後述する電流センサ部2からの出力電流をデジタル化等して、後述する計測部3や、後述する電力プラント20の制御部28へ、通信ケーブル1A等による有線か、無線によって出力する出力部(図示せず)を有していても良い。
電流センサ計測機1は、電流センサ部2による検出間隔や、上述した出力部の出力間隔(通信スピード)について、何れの値でも良いが、例えば、出力間隔等は、0.1秒以下であったり、0.05秒以上2.00秒以下や、0.75秒以上1.50秒以下、0.10秒以上1.00秒以下(0.1秒など)であっても良い。
【0024】
このような電流センサ計測機1における電流の定格範囲は、特に限定はないが、例えば、15A以上1800A以下、好ましくは20A以上1650A以下、更に好ましくは25A以上1500A以下であっても良い。
ここで、本発明における「電流の定格範囲」とは、定格電流の範囲であって、「定格電流」とは、電気製品を安全に使用するために製造者によって補償された電流の限度値であるとも言え、更に「定格」とは、機器や装置で、安全・適性な動作が保証される使用限度や条件であるとも言える。
尚、本発明における「電流の値(電流値)」とは、実効値である。
又、電流センサ計測機1に実際に流れる電流の範囲の最大値は、上述した電流の定格範囲の最大値の10倍以上20倍以下であっても良く(例えば、40000Aや36000A、30000Aなど)、又、電流センサ計測機1に実際に流れる電流の範囲の最小値は、0Aであっても構わない。
次に、電流センサ部2について、以下に述べる。
【0025】
<電流センサ部2>
図1~16(特に、図2~10)に示したように、電流センサ部2は、上述した所定の電路Sにおける電流を検出する部分であり、電流センサ計測機1は、電流検出機能を有しているとも言える。
ここで、本発明における「電路」とは、電気を流すものであって、銅、アルミニウム、銀、金、ニクロム等の導体や、この導体を絶縁物で覆ったケーブル、一般的な電線などを含む。
【0026】
電流センサ部2が電流を検出する所定の電路Sは、特に限定はないが、例えば、後述する系統Kと同じ三相3線(3φ3W)であったり、電圧が6600Vや、22000V、3300V等であったり、周波数が60Hz又は50Hz等の電流(交流電流)が流れる電路であったり、単相2線(1φ2W)や、単相3線(1φ3W)等の電流が流れる電路でも良い。
より具体的には、電流センサ部2が電流を検出する所定の電路Sとは、例えば、後述する電力プラント20において、系統Kから系統盤21を介して負荷Fまでの電路(以下、「主電路M」という)や、後述する分岐電路24であっても良く、その他、後述する計器用変流器21fの2次側の電路21f’であっても構わない。
【0027】
尚、電流センサ部2が主電路M等に直接取り付けられたり、又は、電流センサ部2が計器用変流器21fの2次側の電路21f’に取り付けられる等によって、当該電流センサ部2が主電路M等の電流値さえ検出できれば、当該主電路M等の電圧値(電位)は、系統Kと同電位(6600Vや、22000V、3300V等)であるため、この電流センサ部2の検出による主電路M等の電流値と、主電路M等の電圧値の積が、主電路M等における電力である電流センサ部2によって検出される系統Kに流れる売電力(逆電力)や、系統Kから流れ込む買電力(受電力))とも言える。
これは、電流センサ部2が柱上変圧器(降圧変圧器)K’の低圧側に接続されている場合にも同様で、当該電流センサ部2が柱上変圧器K’の低圧側の電流値さえ検出できれば、柱上変圧器K’の高圧側・低圧側でも電力は略同じ(鉄損や銅損等を無視すれば)になるため、電流センサ部2の検出による柱上変圧器K’の低圧側の電流値と、柱上変圧器K’の低圧側の電圧値の積が、系統Kにおける電力(電流センサ部2によって検出される系統Kに流れる売電力(逆電力)や、系統Kから流れ込む買電力(受電力))であるとも言える。
【0028】
このような電流センサ部2は、1つの電流センサ計測機1において、1つだけ存在しても良いが、複数存在しても構わない。
電流センサ部2は、所定の電路Sにおける電流を検出できるのであれば、何れの構成でも良いが、例えば、フラックスゲート式(オープンループ型やクローズドループ型など)であったり、ホール素子式(オープンループ型やクローズドループ型など)の他、CT(Current Transformer )式や、ロゴスキーコイル式などであっても構わない。
【0029】
尚、電流センサ計測機1の電源についても、特に限定はないが、上述した検出対象としての電路の電圧と共用(つまり、60Hz又は50Hzの110V、220V、440Vや、100V以上200V以下)であったり、直流の100Vや110Vであっても良い。
電流センサ部2は、電流が検出できるのであれば、特に限定はないが、例えば、電子式や機械式であったり、三相式(三相3線のうち、2相を検出する方式)であったり、単相式などであっても良い。
【0030】
又、電流センサ部2は、1次側(所定の電路S側)と2次側(電流センサ部2からの出力(センサ電路11)側)の変流比も、特に限定はないが、例えば、最小値は10:1や100:1であっても良く、最大値は5000:1や20000:1(1500:1や15000:1など)であっても良い。
つまり、電流センサ部2における1次側と2次側の変流比が1500:1あれば、検出対象となる電路に流れる電流値が、例えば、非常に大きい1500A等でも、電流センサ部2から出力される電流値は約1A(1000mA)等となり、電流センサ部2における1次側と2次側の変流比が15000:1あれば、検出対象となる電路に流れる電流値が、例えば、非常に大きい1500A等でも、電流センサ部2から出力される電流値は約0.1A(100mA)等となる。
【0031】
又、電流センサ部2としての検出可能範囲も、特に限定はないが、例えば、15A以上1800A以下、好ましくは20A以上1650A以下、更に好ましくは25A以上1500A以下であっても良く、その他、0.1A以上5.0A以下であったり、1A以上50A以下などであっても構わない。
このような電流センサ部2は、所定の電路Sにおける電流を検出できるのであれば、当該電路に対して、何れの位置に取り付けられていても良いが、例えば、後述する計器用変流器21fの2次側の電路21f’であったり、系統Kから系統盤21を介して負荷Fまでの主電路M等であったり、後述する柱上変圧器K’の低圧側に取り付けられていても良い。
【0032】
ここまで述べた電流センサ部2は、後述する略矩形状コイル4を備えている。
その他、電流センサ部2は、後述するセンサ筐体10やセンサ電路11を備えていても良い。
又、電流センサ部2は、上述した所定の電路Sに対して、当該所定の電路Sを開裂することなく取付け可能な開閉型であっても良いが、開閉型でなくとも構わない。
次に、電流センサ部2における略矩形状コイル4や、センサ筐体10、センサ電路11について、以下に述べる
【0033】
<略矩形状コイル4>
図1~16(特に、図2~10)に示したように、略矩形状コイル4は、平面視で略矩形状のコイルである。
詳解すれば、略矩形状コイル4は、平面視において、略平行で且つ対向する一対の長辺と、略平行で且つ対向する一対の短辺を有した略矩形状(つまり、略長方形状)であったり、平面視において、四辺すべての長さが等しい(且つ対向する二対の辺を有した)略矩形状(つまり、略正方形状)であっても良い。
【0034】
尚、略矩形状コイル4は、その4つの角の部分が、平面視で丸みを帯びていても良く、その他、4つの角の部分が平面視で角張っていたり、4つの角の部分が面取りされて(角の部分の先端側が切り取られて)いても構わない。
略矩形状コイル4は、その角の部分以外の部分(つまり、辺の部分)のみに、巻線が巻回されていても良く、その他、角の部分と辺の部分に亘って巻線が巻回されていたり、角の部分のみに巻線が巻回されていても構わない。
【0035】
略矩形状コイル4が辺の部分に巻線が巻回されている場合、4つの辺の部分のうち、対向した1組の辺の部分それぞれに巻線が巻回されていても良く、その他、隣り合う2つの辺の部分や、4つの辺の部分全て、何れか3つの辺の部分、何れか1つの辺の部分に巻線が巻回されていても構わない。
以下、略矩形状コイル4には、主に、その対向した1組の辺の部分それぞれに巻線が巻回されている(つまり、1つの略矩形状コイル4に対して、巻回された巻線は2つ設けられる)として述べる。
【0036】
これらの2つの巻回された巻線からは、それぞれ巻線の一端と他端(謂わば、巻き始めと巻き終わり)が、リード線等として突出していても良く、各巻線の一端同士や他端同士(又は、一端と他端)を、ネジ止め等で連結(導通)させて、2つの巻回された巻線を直列につないでも良い。
直列につながれた2つの巻回された巻線それぞれにおいて、互いに連結されていない端に、丸型や先開型等の接続端子をそれぞれに設けていても良く、これらの接続端子は、例えば、赤と青などに色分けされていても構わない。
【0037】
略矩形状コイル4の大きさ(縦横の長さ)・断面形状・太さであったり、巻線の素材等も、特に限定はないが、その大きさであれば、後述のコイルボビン5Aを除けば(つまり、2つの当該略コ字状のコア部材5の端面同士を突き合わせた状態で)、縦の長さ(例えば、短手方向の長さ)は、6.0cm以上21.0cm以下、好ましくは8.0cm以上18.0cm以下、更に好ましくは10.0cm以上15.0cm以下(11.7cmなど)であっても良く、横の長さ(例えば、長手方向の長さ)は、7.0cm以上22.0cm以下、好ましくは9.0cm以上19.0cm以下、更に好ましくは11.0cm以上16.0cm以下(12.0cmなど)であっても構わない。
尚、略矩形状コイル4において巻線が巻回されている辺の部分は、その対向した1組の縦(短手方向)の辺の部分それぞれであっても良いし、その対向した1組の横(長手方向)の辺の部分それぞれであっても構わない。
【0038】
略矩形状コイル4の断面形状は、例えば、略矩形状(略長方形状や略正方形状)であったり、その他、略円形状や略楕円形状、略三角形状などであっても良い。
略矩形状コイル4の太さは、断面形状が略矩形状である場合、平面視での幅が、例えば、0.1cm以上3.0cm以下、好ましくは0.3cm以上2.0cm以下、更に好ましくは0.5cm以上1.5cm以下(0.8cmなど)であっても良く、側面視での幅(上下方向の長さ)は、0.1cm以上4.0cm以下、好ましくは0.3cm以上3.0cm以下、更に好ましくは0.5cm以上2.0cm以下(1.0cmなど)であっても構わない。
【0039】
尚、略矩形状コイル4の太さは、平面視での幅と、側面視での幅が、上述したように、異なっていたり、略同じでも良く、又、略矩形状コイル4の太さは、太さが一様であったり、途中で異なっていても(例えば、縦の辺の部分(短手方向の辺の部分)の太さと、横の辺の部分(長手方向の辺の部分)の太さが略同じでも、異なっていても)構わない。
略矩形状コイル4は、平面視でその内部に略矩形状(つまり、略長方形状か、略正方形状)の開口部を有するところ、この開口部の大きさも、特に限定はないが、例えば、縦の長さ(例えば、短手方向の長さ)は、5.0cm以上20.0cm以下、好ましくは7.0cm以上17.0cm以下、更に好ましくは9.0cm以上14.0cm以下(11.0cmなど)であっても良く、横の長さ(例えば、長手方向の長さ)は、6.0cm以上21.0cm以下、好ましくは8.0cm以上18.0cm以下、更に好ましくは10.0cm以上15.0cm以下(11.3cmなど)であっても構わない。
【0040】
略矩形状コイル4に巻回される巻線は、電線であるとも言え、その素材は、ポリウレタン銅線(UEW)や、(ポリエステル銅線(PEW)、ポリアミドイミド銅線(AIW)等の銅や、ニクロム線をはじめ、銀、金、アルミ等の電流を流し得るものであれば、素材、線種は何れであっても構わない。
又、巻回される巻線は、その直径も特に限定はないが、0.1mm以上10.0mm以下、好ましくは0.2mm以上5.0mm以下、更に好ましくは0.3mm以上1.0mm以下(0.6mmなど)であっても良い。
【0041】
このような巻線が巻回される回数(巻回数)も、特に限定はないが、その上限値は、例えば、50000回以下であり、好ましくは25000回以下、更に好ましくは10000回以下、より更に好ましくは2000回以下(750回や、1000回など)であっても良く、巻回数の下限値も、特に限定はないが、例えば、10回以上、好ましくは100回以上、更に好ましくは300回以上、より更に好ましくは500回以上であっても良い。
ここまで述べた巻線の巻回数の上限値や下限値は、例えば、10回以上50000回以下や、300回以上2000回以下のように、それぞれを互いに組み合わせても良い。
【0042】
又、1つの略矩形状コイル4に対して、巻回された巻線が複数設けられている場合には、それぞれの巻線の巻回数は、同じでも良いし、異なっていても良い。
尚、略矩形状コイル4における巻線の巻回数(巻回された巻線が1つであれば当該巻線の巻回数であり、巻回された巻線が複数であれば当該複数の巻線の巻回数の総合計)に対して、検出対象である所定の電路Sは、巻回数が1回であると言えることから、電流センサ部2としての1次側(所定の電路S側)と2次側(電流センサ部2からの出力(センサ電路11)側)の変流比は、所定の電路Sにおける巻回数である1回に対して、略矩形状コイル4における巻線の巻回数となる(つまり、1:略矩形状コイル4における巻線の巻回数)。
【0043】
この巻線を巻く際には、スピンドル式巻線機や、フライヤー式巻線機、ならい整列巻線機などの巻線器を用いたり、手巻き等、何れであっても構わない。
尚、巻線器を利用して整列巻回しをする場合には、ある程度、巻線にテンションをかけて、巻線を張った状態でないと綺麗な整列巻きが出来ないため、巻き始め及び巻き終りの巻線を、テープで仮止めしたり、上述の掛止ピンに絡げても良い。
【0044】
このような略矩形状コイル4は、後述するコア部材5を2つ有していても良く、その他、コイルボビン5Aや、固定具5B等を備えていても構わない。
尚、略矩形状コイル4は、略矩形状のコア部材を1つだけ有していても良く、又、コイルボビン5Aを備えていなかったり(つまり、巻線を直接略矩形状コイル4に巻回したり)、固定具5B等を備えていなくとも構わない。
以下、略矩形状コイル4は、コア部材5を2つ有しているとし、このコア部材5について、先に述べる。
【0045】
<コア部材5>
図1~16(特に、図2~10)に示したように、コア部材5は、鉄心部材(磁心部材)であるとも言え、2つのコア部材5で上述した略矩形状コイル4を形成しても良い。
コア部材5の形状は、特に限定はないが、例えば、それぞれが平面視で略コ字状に形成されていても良く、この場合、2つの当該略コ字状のコア部材5の端面同士を突き合わせて、上述した略矩形状コイル4を1つ形成することとなる。
【0046】
この略コ字状のコア部材5を詳解すれば、当該コア部材5は、略棒状(略角棒状や略丸棒状など)の胴部5aと、この胴部5aの両端(左右両端)それぞれに設けられた略棒状(略角棒状や略丸棒状など)の枝部5bを(つまり、胴部5aは1つ、枝部5bは2つ)備えており、胴部5aの長手方向と、各枝部5bの長手方向は、略直交している。
つまり、長手方向を有する胴部5aの左右両端から、この胴部5aの長手方向と直交する方向に、それぞれの枝部5bが延伸して、略コ字状(馬蹄状)を成している。
よって、2つの略コ字状のコア部材5の端面同士を突き合わせるとは、それぞれのコア部材5における各枝部5bの先端面同士を突き合わすこととなる。
【0047】
又、2つの略コ字状のコア部材5は、各胴部aの長さは、略同じであると言えるが、各枝部5bの長さは、例えば、一方の略コ字状のコア部材5における2つの枝部5b両方と、他方の略コ字状のコア部材5における2つの枝部5b両方が、略同じであったり、一方が他方より長く(又は、短く)ても良く、その他、1つの略コ字状のコア部材5における一方の枝部5bが他方の枝部5bより長く(又は、短く)ても構わない。
尚、1つの略コ字状のコア部材5における一方の枝部5bが他方の枝部5bより長い等の場合は、同じ形状の略コ字状のコア部材5が2つあれば、それらを互い違いに各枝部5bの先端面同士を突き合わすことで、1つの略矩形状コイル4を形成することになる。
【0048】
その他、コア部材5の形状は、一方が略コ字状だが、他方が略棒状(略角棒状や略丸棒状など)であっても良く、この場合は、一方の略コ字状のコア部材5における各枝部5bの先端面を、他方の略棒状のコア部材5の各端部の側面に突き合わせて、1つの略矩形状コイル4を形成しても良い。
コア部材5は、例えば、略コ字状に湾曲させた長尺状(テープ状)の薄板を複数枚積層して(つまり、平面視で積層された薄板が見える状態で)形成されたり、略コ字状の薄板を複数枚積層して(つまり、側面視で積層された薄板が見える状態で)形成されていても良い。
【0049】
尚、コア部材5が長尺状の薄板を複数枚積層している場合は、当該コア部材5の外周側で積層された薄板ほど長いとも言え、コア部材5が略コ字状の薄板を複数枚積層している場合は、各薄板の形状は略同一であるとも言える。
又、コア部材5が複数枚の薄板を積層している場合、当該複数枚の薄板の積層は、接着剤等にて互いに接着させても良い。
【0050】
コア部材5の素材は、方向性珪素鋼や極薄珪素鋼等の珪素鋼であったり、電磁鋼であったり、鉄ダストやセンダスト、パーマロイ等のダスト材であったり、フェライト材や、アモルファスや、ファインメット(登録商標)等であっても良い。
尚、コア部材5は、薄板を、上述した長尺状や略コ字状などの所定の形にくり抜いて、重ね合せて一定の厚みを持たせるように構成されていても良い。
【0051】
<コイルボビン5A>
図1~16(特に、図2~10)に示したように、コイルボビン5Aは、上述したコア部材5における各枝部5bを内部に嵌入可能なスプール部5A1と、このスプール部5A1の両端に設けられた鍔部5A2を備えている。
コイルボビン5Aの素材は、特に限定はないが、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックであったり、珪素樹脂、ナイロン(ポリアミド)等の合成樹脂で構成されていても良く、その他、繊維強化プラスチック、陶器、木材などの素材でも構わない。
【0052】
コイルボビン5Aにおけるスプール部5A1は、断面略正方形の角筒状部材であって、この筒内の開口形状・開口面積は、上述したコア部材5(特に、枝部5b)の断面形状・断面積より若干大きいか又は略同一である。
従って、スプール部5A1が、嵌め合いや両面テープ、接着剤等によって、コア部材5(枝部5b)に固定されることなる。
【0053】
このようなスプール部5A1の内部で、2つの略コ字状のコア部材5における各枝部5bの先端面同士が突き合わされることとなる。
従って、スプール部5A1(つまり、コイルボビン5A)は、2つの略コ字状のコア部材5の端面同士を突き合わせた1つの略矩形状コイル4に対して、2つ設けられることとなり、上述したように、略矩形状コイル4には、その対向した1組の辺の部分(2つの略コ字状のコア部材5の端面同士を突き合わせて形成される辺の部分)それぞれにコイルボビン5Aに配置されるとも言える。
【0054】
スプール部5A1の外周面に電線が巻回されることとなるが、巻回された電線を更にビニールテープ等にて巻回しても良い。
尚、スプール部5A1の開口端は、略コ字状のコア部材5における湾曲した角部に当接することによって、コア部材5に対するコイルボビン5Aの位置決めをし、各枝部5bのスプール部5A1内への嵌入深さを規定していても良い。
【0055】
コイルボビン5Aにおける鍔部5A2は、上述したスプール部5A1の上下端に一体的にそれぞれ設けられた一対の略正方形状の平板状部材であって、各鍔部5A2は、スプール部5A1の軸心に直交する、つまり、それぞれの側面が正面又は背面に略向くように配設されるとも言える。
尚、鍔部5A2それぞれは、略コ字状のコア部材5における湾曲した角部に当接することによって、コア部材5に対するコイルボビン5Aの位置決めをし、各枝部5bのスプール部5A1内への嵌入深さを規定していても良い。
【0056】
その他、鍔部5A2には、巻線をスプール部5A1に巻き始め又は巻き終りに、その巻線を絡げる掛止ピンが設けられていても良く、その掛止ピンに巻線を絡げる際に、その巻線を案内可能な案内溝が設けられていても良い。
これら掛止ピンや案内溝の個数は、特に限定はないが、例えば、掛止ピンが2つ設けられている場合には、2つの掛止ピンの間(略中間位置)に、電線を引っ掛けて巻く向きを変える凸部を設けていても良い。
【0057】
<固定具5B>
図1~16(特に、図2~10)に示したように、固定具5Bは、上述した2つの略コ字状のコア部材5の端面同士が突き合わされている状態を保持(又は、維持や固定)するものである。
固定具5Bは、その構成に特に限定はないが、例えば、結束バンドであっても良く、上述したコイルボビン5Aのスプール部5A1における筒内の開口形状・開口面積が、コア部材5(特に、枝部5b)の断面形状・断面積より略同一である(謂わば、コア部材5の枝部5bがコイルボビン5Aのスプール部5A1にきつく嵌っている)のであれば、当該コイルボビン5Aが、固定具5Bでもあるとも言える。
【0058】
以下、固定具5Bは、主に、結束バンドであるとして述べる。
結束バンドである固定具5Bは、上述した突き合わされた状態における2つの略コ字状のコア部材5の外周面を囲むバンド部5B1と、このバンド部5B1の両端を結束する結束部5B2を備えている。
【0059】
固定具5Bにおけるバンド部5B1は、バンド状の部材であって、その幅(バンド幅)は、上述した略矩形状コイル4(コア部材5)の側面視での幅(上下方向の長さ)と略同一又は若干狭いか広くても良く、その長さ(バンド長さ)は、略矩形状コイル4の外周長さと略同一又は若干大きくても構わない。
尚、バンド部5B1の長さが略矩形状コイル4の外周長さと略同一の場合は、当該バンド部5B1は、略矩形状コイル4の外周面に対して、略沿っている(隙間なく周長さ方向全てに沿って略当接している)と言えるが、バンド部5B1の長さが略矩形状コイル4の外周長さより若干大きい場合には、略矩形状コイル4の4つの辺の部分のうち、何れか1つの辺の部分(例えば、後述する結束部5B2が配置された辺の部分)に対しては、当該バンド部5B1は、略矩形状コイル4の外周面との間に若干隙間が生じていても良いが、その他の3つの辺の部分に対しては、略矩形状コイル4の外周面に対して略沿っていても構わない。
【0060】
又、バンド部5B1の一部もコア部材5(枝部5b)と共に、上述したコイルボビン5Aのスプール部5A1内に嵌入している。
このように、コア部材5と共にスプール部5A1内に嵌入されたバンド部5B1が、後述する結束部5B2によって、略矩形状コイル4の外周面に対して略沿った状態を保持されることで、スプール部5A1の内部で、2つの略コ字状のコア部材5における各枝部5bの先端面同士が突き合わされた状態も保持されることとなる。
【0061】
バンド部5B1における厚さ(バンド厚さ)、素材などは、特に限定はないが、その厚さは、例えば、0.1mm以上1.0mm以下、好ましくは0.1mm以上0.8mm以下、更に好ましくは0.1mm以上0.5mm以下(0.3mmなど)であっても良く、
バンド部5B1の素材は、ステンレス等の金属製や、合成樹脂製などであっても良い。
【0062】
固定具5Bにおける結束部5B2は、上述したバンド部5B1が略矩形状コイル4の外周面に略沿った状態を保持する部材である。
結束部5B2は、その構成に特に限定はないが、例えば、バンド部5B1が挿通可能で且つ当該バンド部5B1の断面形状に略相似した扁平な筒状の部材であったり、中央に略ロ字状の部材などであっても良い。特に、扁平な筒状の部材等は、長尺状(テープ状)の薄板を、扁平な筒状となるように折り曲げて形成されていても良いし、断面略円形状等のパイプ材を、扁平な筒状となるように潰して形成されていても構わない。
【0063】
以下、結束部5B2は、主に、扁平な筒状の部材であるとして述べる。
扁平な筒状の部材である結束部5B2は、その外形における長さ(筒長さ)や幅(筒幅)、厚さ(筒厚さ)、素材が何れであっても良いが、外形の長さは、例えば、0.1cm以上3.0cm以下、好ましくは0.3cm以上2.0cm以下、更に好ましくは0.5cm以上1.5cm以下(1.0cmなど)であっても良く、外形の長さは、その開口(筒孔)の長さと同一であると言える。
【0064】
結束部5B2の外形における幅は、バンド部5B1の幅より大きく(つまり、バンド部5B1の幅に、当該バンド部5B1と結束部5B2の間の隙間と、後述する筒肉厚を足した値と言え)、例えば、0.1cm以上3.0cm以下、好ましくは0.3cm以上2.0cm以下、更に好ましくは0.5cm以上1.5cm以下(1.0cmなど)であっても良く、その外形における厚さも、バンド部5B1の厚さより大きく(つまり、バンド部5B1の厚さに、当該バンド部5B1と結束部5B2の間の隙間と、後述する筒肉厚を足した値と言え)、例えば、0.1mm以上10.0mm以下、好ましくは0.5mm以上8.0mm以下、更に好ましくは1.0mm以上6.0mm以下(3.0mmなど)であっても構わない。
結束部5B2の素材は、例えば、鉄などの金属製であっても良く、又、ニッケル等のメッキをされていたり、その他、合成樹脂製などであっても構わない。
【0065】
その他、扁平な筒状の部材である結束部5B2は、その開口(筒孔)の大きさ(幅や上下長さ)や、筒としての肉厚(筒肉厚)も、特に限定はないが、筒孔の幅(孔幅)は、例えば、バンド部5B1の幅より若干大きいと言え、例えば、0.1cm以上3.0cm以下、好ましくは0.3cm以上2.0cm以下、更に好ましくは0.5cm以上1.5cm以下(1.0cmなど)であっても良く、その筒孔の上下長さ(孔上下長さ)は、バンド部5B1の厚さより若干大きいと言え、例えば、0.1mm以上5.0mm以下、好ましくは0.5mm以上4.0mm以下、更に好ましくは0.7mm以上3.0mm以下(1.5mmなど)であっても構わない。
扁平な筒状の部材である結束部5B2における筒としての肉厚(筒肉厚と言え、又は、扁平な筒状の部材を形成する長尺状の薄板の厚さとも言える)は、例えば、0.1mm以上2.0mm以下、好ましくは0.2mm以上1.5mm以下、更に好ましくは0.3mm以上1.0mm以下(0.6mmなど)であっても良い。
【0066】
ここまで述べた結束バンドである固定具5Bは、上述したバンド部5B1と結束部5B2によって、2つの略コ字状のコア部材5の端面同士が突き合わされている状態を保持するが、この保持は、例えば、<1>巻回されてロール状となったバンド部5B1から巻き出しながら、当該バンド部5B1の一端を、扁平な筒状である結束部5B2に一方開口から他方開口へ通り抜けさせて、所定の長さ分(例えば、結束部5B2の筒長さ分)ほど、他方開口から突出させ、<2>当該突出させたバンド部5B1の一端側を、結束部5B2の他方開口から一方開口へ向けて折り曲げ、<3>バンド部5B1の一端を結束部5B2に通り抜け且つ折り曲げた状態で、当該バンド部5B1を、突き合わされた状態の2つの略コ字状のコア部材5の外周面の1周分より長い長さ分を更に巻き出して、当該バンド部5B1を当該コア部材5の外周面に略沿わせ、<4>当該略沿わせた状態で、バンド部5B1がコア部材5の外周面の1周分より長い長さ分となるように、当該バンド部5B1を切断して、巻き出したバンド部5B1から切り離し、<5>切り離した端(他端)を、結束部5B2に他方開口から一方開口へ通り抜けさせて、所定の長さ分(例えば、結束部5B2の筒長さ分)ほど、一方開口から突出させ、<6>当該突出させたバンド部5B1の他端側を、引っ張りながら、当該バンド部5B1で2つの略コ字状のコア部材5を締めあげた状態で、バンド部5B1の当該他端側を、結束部5B2の一方開口から他方開口へ向けて折り曲げる等にて、保持を行っても良い。
又、この保持は、上記<4>~<6>のように、巻き出したバンド部5B1から切り離した後に、バンド部5B1の他端側を引っ張りながら、当該バンド部5B1で2つの略コ字状のコア部材5を締めあげるのではなく、バンド部5B1の他端側を引っ張りながら、当該バンド部5B1で2つの略コ字状のコア部材5を締めあげつつ、巻き出したバンド部5B1から切り離す保持でも良い。
【0067】
この保持を詳解すれば、<1’>巻回されてロール状となったバンド部5B1から巻き出しながら、当該バンド部5B1の一端を、扁平な筒状である結束部5B2に他方開口から一方開口へ通り抜けさせ、<2’>更に、突き合わされた状態の2つの略コ字状のコア部材5の外周面の1周分より長い長さ分を更に巻き出して、当該バンド部5B1を当該コア部材5の外周面に略沿わせ、<3’>当該バンド部5B1の一端を、結束部5B2に一方開口から他方開口へ通り抜けさせて、所定の長さ分(例えば、結束部5B2の筒長さ分)ほど、他方開口から突出させ、<4’>当該突出させたバンド部5B1の一端側を、結束部5B2の他方開口から一方開口へ向けて折り曲げ、<5’>巻回されてロール状となったバンド部5B1側に近い部分を、引っ張りながら、当該バンド部5B1で2つの略コ字状のコア部材5を締めあげた状態で、所定の長さ分(例えば、結束部5B2の筒長さ分)ほど、一方開口から突出した箇所で、当該バンド部5B1を切断して、巻き出したバンド部5B1から切り離し、<6’>切り離した端(他端)側を、結束部5B2の一方開口から他方開口へ向けて折り曲げる等にて、保持を行っても良い。
上述した<1>~<6>や<1’>~<6’>等の何れの保持の仕方においても、当該バンド部5B1を当該コア部材5の外周面に略沿わせる際には、当然、当該バンド部5B1は、コイルボビン5A(スプール部5A1)の内部に挿通されていると共に、当該コア部材5(枝部5b)も、コイルボビン5A(スプール部5A1)の内部に嵌合されているとも言える。
【0068】
<センサ筐体10>
図1~16(特に、図2~10)に示したように、センサ筐体10は、上述した略矩形状コイル4を内部に設ける(内蔵する)筐体である。
センサ筐体10の素材も、特に限定はないが、上述したコイルボビン5Aの素材のように、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックであったり、珪素樹脂、ナイロン(ポリアミド)等の合成樹脂で構成されていても良く、その他、繊維強化プラスチック、陶器、木材などの素材でも構わない。
【0069】
センサ筐体10は、その形状・大きさ・構成などについて、特に限定はないが、例えば、形状は、平面視で、略中央に開口を有した略矩形状(略長方形状や略正方形状)であっても良く、又、略矩形状コイル4を上下から挟んで内蔵する蓋部10aと10bを備えていても良い。
特に、センサ筐体10は、その外周形状が平面視で略長方形状である一方で、その開口形状(謂わば、内周形状)は略正方形状であっても良く、その他、その外周形状が平面視で略長方形状で、その開口形状も略長方形状であったり、その外周形状が平面視で略正方形状で、その開口形状も略正方形状であったり、その外周形状が平面視で略正方形状で、その開口形状は略長方形状であっても構わない。
【0070】
以下、センサ筐体10の形状は、主に、外周形状が平面視で略長方形状で、その開口形状が略正方形状であるとして述べる。
センサ筐体10の大きさについても、外周形状における縦の長さ(例えば、短手方向の長さ)は、7.0cm以上22.0cm以下、好ましくは9.0cm以上19.0cm以下、更に好ましくは11.0cm以上16.0cm以下(13.65cmなど)であっても良く、外周形状における横の長さ(例えば、長手方向の長さ)は、11.0cm以上26.0cm以下、好ましくは13.0cm以上23.0cm以下、更に好ましくは15.0cm以上20.0cm以下(16.0cmなど)であっても構わない。
【0071】
センサ筐体10の側面視での幅(上下方向の長さ)は、1.0cm以上6.0cm以下、好ましくは1.5cm以上5.0cm以下、更に好ましくは2.0cm以上4.0cm以下(2.7cmなど)であっても良い。
尚、センサ筐体10における長手方向の略中央部分は、上述したコイルボビン5Aも含め内蔵しているため、上下方向の長さが、他の部分より小さくとも(謂わば、凹んでいても)良く、例えば、0.5cm以上5.5cm以下、好ましくは1.0cm以上4.5cm以下、更に好ましくは1.5cm以上3.5cm以下(2.3cmなど)であっても構わない。
【0072】
センサ筐体10の長手方向の略中央部分における凹みの深さも、特に限定はないが、例えば、0.1cm以上3.0cm以下、好ましくは0.1cm以上2.0cm以下、更に好ましくは0.2cm以上1.0cm以下(0.4cmなど)であっても良く、その凹みの幅(長手方向の長さ)も、特に限定はなくが、例えば、5.0cm以上20.0cm以下、好ましくは7.0cm以上17.0cm以下、更に好ましくは9.0cm以上14.0cm以下(9.9cmなど)であっても構わない。
センサ筐体10は、その開口形状(内周形状)が略正方形状である場合には、その各辺の長さは、例えば、5.0cm以上20.0cm以下、好ましくは7.0cm以上17.0cm以下、更に好ましくは9.0cm以上14.0cm以下(10.5cmなど)であっても良い。
【0073】
その他、センサ筐体10は、上述した蓋部10aと底部10bが、ネジや接着剤、嵌合等の固定手段によって固定されていても良い。
センサ筐体10からは、上述した略矩形状コイル4のリード線や接続端子等が露出していても良く、これらのリード線等が後述するセンサ電路11の一部となると言える。 尚、リード線等の先端部には、所定長さ(例えば、6mm等)のストリップ部分(内部の電路(銅線等)が露出した部分)が設けられていても良く、又、2本リード線等がツイスト(捻り合わせ)されていても構わず、このツイストピットも特に限定はない。
【0074】
<センサ電路11>
図1~16(特に、図2~10)に示したように、センサ電路11は、上述した電流センサ部2と、後述する計測部3を接続する電路である。
このセンサ電路11を流れ且つ電流センサ部2から出力される電流の値は、特に限定がなくても良いが、上述した電流センサ部2における1次側と2次側の変流比(つまり、略矩形状コイル4全体(巻回された巻線が1つであれば当該巻線の巻回数であり、巻回された巻線が複数であれば当該複数の巻線の巻回数の総合計)としての巻線の巻回数)にも関係し、例えば、2A以下であっても構わない。
【0075】
つまり、当該出力された電流の上限値は、例えば、2A(2000mA)以下であり、好ましくは1000mA以下、更に好ましくは500mA以下、より更に好ましくは100mA以下(数百mAや、数十mA、1mA以上50mA以下など)であっても良い。
一方、当該出力する電流の下限値も、特に限定はないが、例えば、0.01mA以上、好ましくは0.10mA以上、更に好ましくは0.20mA以上、より更に好ましくは0.30mA以上であっても良い。
【0076】
ここまで述べた当該出力する電流の上限値や下限値は、例えば、0.01mA以上2000mA以下や、0.01mA以上1000mA以下のように、それぞれを互いに組み合わせても良い。
このセンサ電路11に流れる電流値に基づき、電流センサ部2では、検出対象である所定の電路Sに流れる電流値を検出する。
ここまで述べた略矩形状コイル4を有した電流センサ部2の取付について、以下に述べる。
【0077】
<電流センサ部2の所定の電路S(主電路M等)への取付>
図14、15に示したように、電流センサ部2は、例えば、検出対象となる所定の電路Sが、三相3線(3φ3W)で、6600Vや、22000V、3300V等の主電路Mや分岐電路24であったり、柱上変圧器K’を経た110V、220V、440V等の電路(計器用変流器21fの2次側の電路21f’を含んでも良い)などであれば、当該電流センサ部2を取り付けるのは3線中2線でも良い。
この場合、当然、1つの電流センサ計測機1が、2つの電流センサ部2を有していることとなる。
【0078】
ここで、電流センサ部2は、主電路M等の3線中2線の各ケーブルにおいては、露出した端子部分の近傍ではなく、当該端子部分から電界緩和部分を経て電界をシールドした(シールド済)部分に取り付けることになる。
尚、ケーブルにおける端子部分から電界緩和部分の長さは、当該ケーブルにおける電圧値により変わり、例えば、6600Vや、22000V、3300V等の高電圧のケーブルであれば長くなり、110V、220V、440Vや、100V以上200V以下等の低電圧のケーブルであれば短くなる。
【0079】
又、各ケーブルの実際の太さも、特に限定はないが、例えば、高電圧のケーブルであれば、38sq(被覆(塩化ビニル樹脂による絶縁被覆)も含めた太さは、約13.0mm)であっても良く、低電圧のケーブルであれば、100sq(同じく被覆も含めた太さは、約19.5mm)であっても良い。
ここまで、電流センサ部2の検出対象となる所定の電路Sは、三相3線(3φ3W)であったが、これ以外に、単相3線(1φ3W)である場合は、当該電流センサ部2を取り付けるのは3線中2線でも良く、単相2線(1φ2W)である場合は、当該電流センサ部2を取り付けるのは2線中1線でも構わない。
【0080】
<電流センサ部2の検出結果・位相角特性>
図11、12は、ここまで述べた電流センサ部2の検出結果、位相角特性の結果を示す。
尚、これらの図11、12の結果は、略矩形状コイル4における巻回数が合計1500回である電流センサ部2を20台作成し、これら20台の電流センサ部2それぞれに対して、検出対象の交流電流(入力電流)の周波数を50Hzや60Hzとし、その入力電流が50.00A、40.00A、37.50A、30.00A、25.00A、24.00A、20.00A、18.75A、16.00A、15.00A、12.50A、12.00A、10.00A、8.000A、7.500A、6.000A、5.000A、4.000A、3.750A、3.000A、2.500A、2.000A、1.500A、1.000A、0.750Aである場合、各電流センサ部2から出力される電流の基準値(巻回数1500回より、各入力電流の1500分の1の値)や位相と、電流センサ部2それぞれから実際に出力される電流(出力電流)の検出値(測定値)との差や位相の差から、比誤差(%)と位相差をそれぞれ求め、20台の電流センサ部2の比誤差と位相差の平均値を求めたものである。
【0081】
図11で示したように、電流センサ部2は、検出対象の交流電流の周波数が50Hzか60Hzかを問わず、何れの入力電流の値(基準値)と、出力電流の検出値との間にも相関があると言える。
特に、入力電流の値が50.00A(基準値33.33mA)から所定の値(例えば、7.500A(基準値5.00mA)や、5.000A(基準値3.33mA)、3.000A(基準値2.00mA))までは、何れの電流センサ部2も、基準値と検出値の比誤差が約1%以下であると言える。又、入力電流の値が上述した所定の値から0.750A(基準値0.50mA)までは、基準値と検出値の比誤差が1%を超えるものの、何れの電流センサ部2も、検出値が基準値より小さい値となる傾向があることから、この小さい値が出る範囲において、後述する補正部6にて補正することによって対応可能(つまり、入力電流が50.00Aから0.750Aまで(定格範囲の最小値が、最大値の約50分の1まで)と、非常に広い範囲(超広域)に対応可能)であると言える。
尚、図11において、●(黒丸)中の数字は、20台の電流センサ部2のうち当該比誤差となった台数を示すところ、入力電流が最も小さい0.750A(基準値0.50mA)に対する比誤差が5%前後(4%や約6%)である台数が、検出対象の交流電流の周波数が50Hzの場合は「17台」で、60Hzの場合は「19台」と、当該周波数によらず大部分の比誤差は大きくとも5%前後であり、逆に、周波数が50Hzの場合の「3台」や、60Hzの場合の「1台」が例外的であり、これらの例外的なものを除いた電流センサ部2における比誤差の平均値は、入力電流が最も小さい0.750A(基準値0.50mA)で、約「5%」であるとも言える。
又、電流センサ部2への入力電流それぞれを30倍とした(例えば、50Aであれば30倍の1500Aとなり、0.75Aであれば30倍の22.5Aとした)場合、それらに対応する基準値もそれぞれ30倍となるが、基準値に対する検出値の比誤差は、図11で示した検出結果と変わらないとも言える。
【0082】
図12で示したように、電流センサ部2は、検出対象の交流電流の周波数が50Hzか60Hzかを問わず、何れの入力電流の値(基準値)と、検出値との間の位相角の差も小さいと言える。尚、図12のグラフにおける縦軸の単位は、角度の単位である「°(度)」の60分の1の「′(分)」である。
特に、入力電流の値が50.00Aから5.000Aまで(基準値が33.33mAから3.33mAまで)は、何れの電流センサ部2も、基準値と検出値の位相角の差が約60分(1度)以下であると言える。又、入力電流の値が5.000Aから0.750Aまで(基準値が3.33mAから0.50mAまで)は、基準値と検出値の位相角の差が60分(1度)を超えるものの、何れの電流センサ部2も、検出値の位相角が、基準値の位相角より大きくなり且つ位相角の差が180分(3度)以内となる傾向があることから、この大きくなる等の範囲において、後述する補正部6にて補正することによって、位相角についても対応可能であると言える。
【0083】
<計測部3>
図1に示したように、計測部3は、上述した電流センサ部2から出力される電流に基づいて、所定の電路Sにおける電流の値を少なくとも計測する部分である。
計測部3は、後述する補正部6を備えていても良い。
【0084】
計測部3は、後述する筐体8に内蔵されて(筐体8内に設けられて)いても良い。
計測部3は、その構成も特に限定はないが、例えば、A/Dコンバータ(A/D変換機)や、A/D変換された電流センサ部2から出力される電流の値を演算処理するCPU(中央処理装置)、メモリ、後述するLCD(液晶ディスプレイ)を備えていたり、その他、計測部3は、電流センサ部2と、A/DコンバータやCPUとの間に、補助CT(補助変流器)を備えていても良く、又、補助CTを備えていなくとも構わない。
尚、計測部3が補助CTを備える場合、当該補助CTの1次側(電流センサ部2からの入力(センサ電路11)側)と2次側(A/Dコンバータ側やCPU側)の変流比も、特に限定はないが、例えば、最小値は2:1や3:1であっても良く、最大値は50:1や30:1(10:1や20:1など)であっても良い。
【0085】
計測部3は、所定の電路Sにおける電流の値を少なくとも計測するところ、当該電流の値以外に、計測部3(電流センサ計測機1)が後述する計器用変成器21bの低圧側や発電変成器35の低圧側にも接続されている場合には、所定の電路Sにおける電圧や電力の値を計測したり、無効電力や力率、電力量、無効電力量などを計測しても良い。
その他、計測部3は、所定の電力における交流電流の周波数や、零相電流を計測しても良い。
【0086】
<補正部6>
図1、11に示したように、補正部6は、上述した計測部3に備えられ、上述した電流センサ部2から出力される電流に基づいて、当該計測部3が計測した所定の電路Sにおける電流の値を補正する部分である。
補正部6は、その補正ついて特に限定はないが、例えば、図11にて上述したように、電流センサ部2から出力される電流の値(検出値)は、基準値より小さい値となる傾向があるところ、この小さい値が出る範囲において、その比誤差に応じた値(検出値に、図11における比誤差の平均値(例外的なものを除いた平均値でも良い)の逆数を掛けた値等)を、計測部3が計測した値とする補正を行っても良い。
【0087】
ここで、電流センサ部2からの検出値が基準値より小さい値となる範囲については、例えば、上述した図11において、比誤差が0%以外の範囲すべてにおいて、上述した補正を行っても良いが、その他、上述した所定の値(例えば、入力電流の値が7.500A(基準値5.00mA)や、5.000A(基準値3.33mA)、3.000A(基準値2.00mA))以下である場合にのみ、その比誤差に応じた値を、計測部3が計測した値とする補正でも構わない。
更に、電流センサ部2からの検出値が基準値より小さい値となる範囲は、例えば、入力電流の値が0.750A(基準値0.50mA)以上3.000A(基準値2.00mA)未満の範囲では、比誤差が5.0%から1.5%まで直線的(1次関数的)に変化するとし、入力電流の値が3.000A(基準値2.00mA)以上5.000A(基準値3.33mA)未満の範囲では、比誤差が1.5%から1.0%まで直線的(1次関数的)に変化するとし、入力電流の値が5.000A(基準値3.33mA)以上50.00A(基準値33.33mA)以下の範囲では、比誤差が1.0%から0.0%まで直線的(1次関数的)に変化するとして、この小さい値が出る範囲において、その比誤差に応じた値を、計測部3が計測した値とする補正でも良い。
【0088】
その他、補正部6による補正は、検出値を1次スケーリングした値を、計測部3が計測した値とする補正でも良い。
補正部6は、その構成も特に限定はないが、例えば、当該補正部6による補正は、上述した計測部3におけるCPUにて演算処理されても良く、ソフトウェアであるとも言える。
【0089】
<継電部7>
図1に示したように、継電部7は、上述した計測部3が計測した所定の電路Sにおける値(電流値等の値)に応じて継電動作を行う部分であり、電流センサ計測機1は、継電器機能(リレー(Relay )機能)を有しているとも言える。
ここで、本発明における「計測部3が計測した所定の電路Sにおける値に応じて」とは、当該計測した電流等が、所定の値(閾値)以上となった場合(閾値を超えた場合)や、所定の値(閾値)以下となった場合(閾値を下回った場合)に、後述する継電動作を行うことを意味する。
【0090】
尚、閾値となる電流値等の値とは、例えば、過電流や瞬時過電流、地絡過電流などの電流だけでなく、その他、不足電圧などの電圧の値や、逆電力などの電力の値、周波数の値などであっても良い。
更に加えて、「計測部3が計測した所定の電路Sにおける値に応じて」とは、当該計測した電流値等の値が、所定の値(閾値)以上となった直後、すぐに後述する継電動作を行う場合だけでなく、所定の時間を経過した後に、次の継電動作を行う場合も含む。
【0091】
尚、所定の時間とは、閾値を超えたり、閾値を下回ってから、0.1秒以上15.0秒以下や、0.2秒以上5.0秒以下、0.5秒以上や3.0秒以上(2.0秒など)であっても(つまり、閾値を越える等してから、2.0秒などが経過した場合には、後述する継電動作を行うこととなっても)良く、その他、この所定の時間は、0.0秒から15.0秒まで、0.1秒ステップ(0.0秒、0.1秒、0.2秒・・・15.0秒)で調整可能であっても構わない。
又、本発明における「継電動作」とは、例えば、後述する電力プラント20においてであれば、発電システム22から系統Kまでの電路を、何れかの遮断器にて、信号を介して遮断させる動作であったり、発電システム22がパワーコンディショナ26(直流電流又は交流電流を交流電流に変換するパワーコンディショナ26)を有していれば、当該パワーコンディショナ26の変換を停止する等を意味する。
【0092】
継電部7からの信号は、上述した遮断器への「トリップ」信号(遮断させる信号)の他、遮断器への「入」信号(遮断器自体をONにする信号)や、遮断器への「切」信号(遮断器自体をOFFにする信号)、所定の電路Sの遮断を解除する信号などを含んでいても良い。
又、継電部7からの信号は、パワーコンディショナ26の変換を停止させる信号であったり、パワーコンディショナ26の変換を開始させる信号を含んでいても良い。
【0093】
尚、遮断器では、後述する制御部28(又は、電流センサ計測機1)からの信号によって、引外しトリップコイル等を介して、遮断する構成としても良い。
継電部7は、その構成に特に限定はないが、例えば、電磁石を使用した有接点式(電磁式)や、半導体素子を使用した無接点式であっても良く、更に電磁式であれば、例えば、メーク型(電磁石に電流を流したときに接点が閉じるa接点)や、ブレーク型(電磁石に電流を流したときに接点が開く、b接点)、トランスファ型(電磁石に電流を流すことで複数の接点を切り替える、c接点)、ラチェット型(電磁石に電流を流すたびに接点の開閉を切り替える)であったり、その他、電磁石と並列に永久磁石を設けた有極リレー型など何れの構成であっても良い。
【0094】
このような継電部7も、1つの電流センサ計測機1において、1つ(1要素)だけ存在しても良いが、複数(複数要素)存在しても構わない。
以下、継電部7は、1つの電流センサ計測機1において、主に複数存在しているとして述べる。
【0095】
<筐体8>
図1に示したように、筐体8は、少なくとも計測部3を内蔵する筐体である。
筐体8は、電流センサ計測機1が計測部3を有し、継電部7を有していない場合には、計測筐体8であるとも言え、又、電流センサ計測機1が計測部3と継電部7を両方有している場合には、計測継電筐体8であるとも言える。
【0096】
筐体8には、上述した計測部3の計測した電流値等の値が表示されるLCD(液晶ディスプレイ)などの表示部が、外部から視認可能に設けられていても良く、この表示部にはバックライトが設けられていても構わない。
表示部に表示される内容も、計測部3によって計測された電流値だけでなく、電圧や電力などであったり、モードや状態を表す数字などが表示されていても良い。
【0097】
その他、筐体8は、操作部を有していても良く、この操作部は、その構成・役割・位置などについて、特に限定はないが、例えば、複数のボタンが設けられていても構わない。
操作部の役割としては、例えば、表示部をオンオフするボタン(ディスプレイボタン)や、電流センサ計測機1をリセットするリセットボタン、モードや状態を選択するためのボタン(「+」ボタンや「-」ボタンなど)や、選択したモード等を決定する(セットする)セットボタンなどであっても良い。
このような操作部の位置も、例えば、筐体8の正面において、上述した表示部の下方に設けられていても構わない。
【0098】
筐体8は、端子部(端子台)を有していても良く、この端子部も、その個数・位置などについて、特に限定はないが、例えば、1つの筐体8に、1つの端子部や、複数(3つなど)の端子部が設けられていても構わない。
端子部の位置も、例えば、筐体8の背面における下半分等に設けられていても良い。
このような1つの筐体8に、上述した計測部3や、継電部7が内蔵されることとなる。
【0099】
<第1実施形態の電力プラント20>
図13には、本発明に係る電力プラント20が示されている。
この電力プラント20は、後述する系統盤21と、上述した電流センサ計測機1を有している。尚、この第1実施形態の電力プラント20は、容量が300kVAを超える高圧受電を行うCB受電タイプ(高圧遮断器(VCB)21aを有したタイプ)であると言える。
又、第1実施形態では、電流センサ計測機1における電流センサ部2が、直接、系統Kから負荷Fまでの主電路M等(特に、系統盤21内で計器用変圧変流器21hと系統Kの間の電路)に取り付けられていても良いが、系統盤21における計器用変流器21fの出力側(2次側)の電路21f’に取り付けられていても構わない(図13中の点線参照)。
【0100】
電力プラント20は、後述する負荷F、及び/又は、発電システム22を有していても良い。
つまり、上述した系統盤21は、系統Kと負荷Fの2つに接続されているか、系統Kと発電システム22の2つに接続されているか、系統Kと負荷Fと発電システム22の3つに接続されていると言え、ここでは、まず系統Kについて、以下に述べる。
【0101】
<系統K>
図13等に示したように、系統Kは、商用電力系統とも言い、電力を需要家の受電設備に供給するための、発電・変電・送電・配電を統合したシステムである。
系統Kは、三相3線(3φ3W)で、6600Vや、22000V、3300V等、60Hz又は50Hz等の電力を、電力会社の変電所等から供給する。尚、後述する電力プラント20の第3実施形態における柱上変圧器K’以降は、単相2線(1φ2W)や、1φ3W(単相3線)等の電力を供給しても良い。
このような系統Kは、まず系統盤21に接続されており、次に系統盤21などについて以下に述べる。
【0102】
<系統盤21など>
図13等に示したように、系統盤21は、上述した系統Kに接続する機器を有した部分であって、この系統盤21は、買電盤などの系統盤21や、既存の盤であるとも言える。このような系統盤21の機器は、盤支持体(系統盤筐体)21’に内蔵されている。
系統盤21は、系統Kに接続され、且つ、系統盤21の機器が系統盤筐体21’に内蔵されているのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、真空遮断器(VCB)、高圧遮断器等の遮断器(謂わば、系統遮断器)21aや、避雷器(SAR)、計器用変成器(VT、Voltage Transformer 、謂わば、電圧変成器)21bのうち少なくとも1つを備えていても良い。
【0103】
系統盤21における系統遮断器21aは、後述する制御部28(又は、上述した電流センサ計測機1)からの信号によって、引外しトリップコイル等を介して、遮断する構成としても良い。
このような系統遮断器21aは、系統盤21(系統盤筐体21’)内に設けられていることによって、後述する発電システム22(パワーコンディショナ26)と系統Kとの間の電路(換言すれば、系統Kから系統盤21を介して負荷Fまでの主電路M等のうち系統盤21内の電路)を遮断することとなる。
【0104】
尚、上述したように、主電路M等における電位は、系統Kにおける電位と同じ(6600Vや、22000V、3300V等)であっても良く、後述する負荷Fが変圧器(降圧変圧器)F1を有している場合は、この変圧器F1(の高圧側)と系統盤21の間を接続する電路が主電路M等の一部であると言える。
この主電路M等には、後述する発電接続機器23(特に、分岐電路24)を介して、後述する発電システム22を接続しても良い。
【0105】
系統盤21における計器用変成器21bは、後述する発電システム22(パワーコンディショナ26)と系統Kの間で且つ系統盤21内の電路において、上述した系統遮断器21aより系統K寄り(系統Kに近い側)の電路に設けられている。
このような計器用変成器21bは、その高圧側が、系統遮断器21aより系統K寄り(系統Kに近い側)の電路と、当該電路における分岐点(変成分岐点)21cから分岐電路(変成分岐電路)21dを介して接続され、計器用変成器21bの低圧側は、上述した電流センサ計測機1等に接続されている。
【0106】
系統盤21における計器用変成器21bの構成も、特に限定はないが、例えば、6600Vや、22000V、3300V等を110V等に降圧する構成であっても良い。
系統盤21では、この計器用変成器21bと変成分岐点21cの間の電路に、高圧限流ヒューズ(PF、Power Fuse)が設けられていても良い。
【0107】
<系統盤21における他の機器>
図13等に示したように、系統盤21には、その他、断路器(謂わば、引込断路器、高圧開閉器)21e、計器用変流器(謂わば、高圧系統電流変成器)21f、過電流計測器(謂わば、受電OCR)21g、計器用変圧変流器(謂わば、高圧変成電圧電流器であり、取引用メータ21h’の一部を構成するとも言える)21hのうち少なくとも1つが設けられていても良い。
更に加えて、系統盤21には、不足電圧継電器や、過電圧継電器、不足周波数継電器(周波数低下継電器とも言う)、過周波数継電器、逆電力継電器であったり、電力量計や、柱上気中開閉器のうち少なくとも1つが設けられていても良い。
【0108】
系統盤21における断路器(DS、Disconnecting Switch)21eは、電力プラント20や、この電力プラント20における回路に電流が流れていない状態で、当該回路を開閉する機器であって、断路器21eには、電流を遮断する機能はなく、別の遮断器(系統遮断器21aや発電遮断器34等)で電流を遮断してから、断路器の開閉を行う。
断路器21eは、電流が流れていない状態で回路を開閉できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した計器用変成器21bへの分岐点(変成分岐点)21cと系統Kの間の電路に設けられていても良い。
【0109】
系統盤21における計器用変流器(CT、Current Transformer )21fは、後述する発電システム22と系統Kの間で且つ系統盤21内の電路(主電路M等のうち系統盤21内の電路)において、上述した系統遮断器21aより発電システム22寄り(発電システム22に近い側)の電路に設けられている。
このような計器用変流器21fの構成も、特に限定はないが、例えば、計器用変流器21fの出力側(2次側)の電路21f’に、上述した電流センサ計測機1の電流センサ部2が取り付けられていたり、又は、電流センサ計測機1が直接接続されていても良い。
この計器用変流器21fに、過電流継電器(OCR、Over Current Relay)21gは接続されている。
【0110】
系統盤21における計器用変圧変流器(VCT、Combined Voltage and Current Transformer)21hは、計器用変圧器(VT)と計器用変流器(CT)を一つに組み合わせた機器であって、系統Kから系統盤21に流れ込む(又は、系統Kへ流れ出す)電流や電圧の測定を行う機器であって、電力量計は、上述した計器用変圧変流器21hと組み合わせて、系統Kから系統盤21に流れ込む(又は、系統盤21から系統Kへ流れ出す)電力量の測定を行う機器であって、取引用メータであるとも言える。
計器用変圧変流器21hは、系統Kから系統盤21に流れ込む等の電流や電圧を測定できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、計器用変圧変流器21hは、上述した断路器21eと系統Kの間の電路に設けられていても良い。
【0111】
その他、系統盤21に不足電圧継電器(上述した電流センサ計測機1であっても良い)が設けられている場合、この不足電圧継電器(UVR、Under Voltage Relay )は、不足電圧を検知する継電器であって、不足電圧Uを検知できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した計器用変成器21bの低圧側に接続されていても良い。
不足電圧継電器等で検知される不足電圧Uが、所定値(6600Vや、22000V、3300V等から、所定の電圧(例えば、100Vや200V等)を引いた値)以下になると、後述する制御部28によって、上述した発電システム22(パワーコンディショナ26)から系統Kまでの何れかの遮断器(系統遮断器21aや発電遮断器34等)を遮断しても良いが、この遮断は、上述した継電部7によるパワーコンディショナ26の変換停止より、優先度が低いとも言える。
尚、不足電圧継電器等で不足電圧が検知された際、上述した遮断器をハードウェア的に(例えば、引外しトリップコイル等を介して)遮断する場合、当該不足電圧継電器等自体が、後述する制御部28であるとも言える。
【0112】
系統盤21に過電圧継電器が設けられている場合、この過電圧継電器(OVR、Over Voltage Relay)は、過電圧を検知する継電器であって、過電圧を検知できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した計器用変成器21bの低圧側に接続されていても良い。
過電圧継電器で検知される過電圧が、所定値(6600Vや、22000V、3300V等から、所定の電圧(例えば、100Vや200V等)を足した値)以上になると、後述する制御部28によって、上述した発電システム22(パワーコンディショナ26)から系統Kまでの何れかの遮断器を遮断しても良いが、この遮断も、上述した継電部7によるパワーコンディショナ26の変換停止より、優先度が低いとも言える。
尚、過電圧継電器で過電圧が検知された際、上述した遮断器をハードウェア的に遮断する場合、当該過電圧継電器自体が、後述する制御部28であるとも言える。
【0113】
系統盤21に不足周波数継電器が設けられている場合、この不足周波数継電器(UFR、Under Frequency Relay )は、不足周波数を検知する継電器であって、不足周波数を検知できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した計器用変成器21bの低圧側に接続されていても良い。
不足周波数継電器で検知される不足周波数が、所定値(60Hzや50Hz等から、所定の周波数(例えば、1Hz以上10Hz以下等)を引いた値)以下になると、後述する制御部28によって、上述した発電システム22(パワーコンディショナ26)から系統Kまでの何れかの遮断器を遮断しても良いが、この遮断も、上述した継電部7によるパワーコンディショナ26の変換停止より、優先度が低いとも言える。
尚、不足周波数継電器で不足周波数が検知された際、上述した遮断器をハードウェア的に遮断する場合、当該不足周波数継電器自体が、後述する制御部28であるとも言える。
【0114】
系統盤21に過周波数継電器が設けられている場合、この過周波数継電器(OFR、Over Frequency Relay)は、過周波数を検知する継電器であって、過周波数を検知できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した計器用変成器21bの低圧側に接続されていても良い。
過周波数継電器で検知される過周波数が、所定値(60Hzや50Hz等から、所定の周波数(例えば、1Hz以上10Hz以下等)を足した値)以上になると、後述する制御部28によって、上述した発電システム22から系統Kまでの何れかの遮断器を遮断しても良いが、この遮断も、上述した継電部7によるパワーコンディショナ26の変換停止より、優先度が低いとも言える。
尚、過周波数継電器で過周波数が検知された際、上述した遮断器をハードウェア的に遮断する場合、当該過周波数継電器自体も、後述する制御部28であるとも言える。
【0115】
系統盤21に逆電力継電器が設けられている場合、この逆電力(RPR、Reverse Power Relay)は、逆電力を検知する継電器であって、逆電力を検知できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した計器用変成器21bの低圧側に接続されていても良い。
逆電力継電器で検知される逆電力が、所定値(例えば、系統Kから系統盤21に流れ込む電力(受電力)の0.1%以上10.0%以下(0.4%や1.0%、5.0%など)であったり、0.0kW)等から、所定の電力(例えば、受電力の0.1%や0.2%、1.0%等)を足した値)以上になると、後述する制御部28によって、上述した発電システム22から系統Kまでの何れかの遮断器を遮断しても良いが、この遮断も、上述した継電部7によるパワーコンディショナ26の変換停止より、優先度が低いとも言える。
尚、逆電力継電器で逆電力が検知された際、上述した遮断器をハードウェア的に遮断する場合、当該逆電力継電器自体も、後述する制御部28であるとも言える。
【0116】
系統盤21に電力量計が設けられている場合、この電力量計は、系統Kから系統盤21に流れ込む際等の電力量の測定ができるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、計器用変圧変流器21hに接続されて、当該計器用変圧変流器21hから出力される電流及び電圧の測定値を入力し、これら電流と電圧をかけた値(電圧と電流の積)を積算して電力量を測定しても良い。
ここで、電力量計は、系統Kから系統盤21に流れ込む電力量を測定する際は買電用であると言え、逆に、系統盤21から系統Kへ流れ出す電力量を測定する際は売電用であるとも言える。尚、この電力量計は、電気用品安全法で規定された乙種電気用品であっても良い。
【0117】
系統盤21に柱上気中開閉器が設けられている場合、この柱上気中開閉器(PAS、Pole Air Switches )は、電力プラント20と系統Kとの責任分界点等の開閉に用いる機器である。
柱上気中開閉器は、電力プラント20と系統Kとの責任分界点等を開閉できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した計器用変圧変流器21hと系統Kの間の電路に設けられていても良い。
【0118】
<系統盤21の盤支持体(系統盤筐体)21’>
図13等に示したように、系統盤支持体である系統盤筐体21’は、上述した系統盤21の機器を内蔵する筐体であって、1つの電力プラント20(又は後述する発電システム22)において、系統Kに接続されるために1つだけ存在する(系統盤21も1つだけ存在する)ものであるとも言える。
系統盤筐体21’は、系統盤21の機器を内蔵するのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、全体として略直方体状等に形成されていても良い。
【0119】
<負荷Fなど>
図13等に示したように、負荷Fは、系統Kから系統盤21を介しての受電力や、発電システム22(パワーコンディショナ26)から出力された発電力等を消費する機器であって、このような負荷Fが消費する電力を負荷電力(消費電力とも言える)とする。
負荷Fは、受電力や発電力を消費するのであれば、何れの構成でも良いが、例えば、工場内等の照明(電灯負荷設備)Fであったり、工場内などのインダストリアルモータ(IM、Industrial Motor、動力負荷設備)Fであったり、上述した照明F複数と接続された照明分電盤などであっても良い。
【0120】
負荷Fは、工場内の機器の他、住宅やビル等の建物内のエアコン、蛍光灯、家電、電気自動車やガソリン自動車等の車両、当該車両内の機器などであっても良い。
その他、負荷Fは、系統Kから系統盤21を介しての受電力(又はパワーコンディショナ26からの発電力)を変圧(降圧)する変圧器(謂わば、降圧変圧器)F1を有していたり、この変圧器F1と系統盤21(又はパワーコンディショナ26)との間の電路等に高圧交流負荷開閉器(LBS、Load Break Switch )F2を有していたり、変圧器F1と上述したインダストリアルモータ(又は照明)Fとの間の電路等に配線用遮断器(MCCB、Molded Case Circuit Break )F3を有していても良い。
尚、配線用遮断器F3は、高圧限流ヒューズ等のヒューズを有していても良い。
【0121】
負荷Fにおける変圧器F1の構成も、特に限定はないが、例えば、インダストリアルモータ用(動力用)であれば、三相3線(3φ3W)で、6600Vや、22000V、3300V等を440Vや210V等に降圧する構成であったり、照明用(電灯用)であれば、単相3線(1φ3W)で、6600Vや、22000V、3300V等を、105V以上210V以下等に降圧する構成であっても良い。
負荷Fは、このような変圧器F1が設けられていなくとも良く、この場合は、系統盤21側に別の変圧器が設けられていたり、発電システム22(パワーコンディショナ26)からの出力が、変圧器F1を介すことなく、負荷Fに直接接続する構成であっても良い。
【0122】
負荷Fの数は、1又は複数であっても良い。
ここまで述べた負荷Fや系統盤21に対して、後述する発電システム22を接続させるための発電接続機器23について、以下に述べる。
【0123】
<発電接続機器23と電流センサ計測機1>
図13等に示したように、発電接続機器23は、上述した系統盤21及び負荷Fに、後述する発電システム22を接続させる機器である。又、上述した電流センサ計測機1も、発電接続機器23と共に発電システム22を接続させる別体の機器であるとも言えるため、ここで述べる。
尚、発電接続機器23は、系統盤21及び負荷Fに発電システム22を接続させるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、分岐電路24を備えていても良く、その他、発電力計(図示せず)や、発電遮断器34(図16参照)、発電変成器35(図16参照)などを備えていても良い。又、これらの発電接続機器23は、上述した系統盤21と同時に設けられても良いし、既存の系統盤21に対して後付けされても(系統盤21が設けられた後に設けられても)構わない。
【0124】
<分岐電路24>
図13等に示したように、分岐電路24は、後述する発電システム22を、上述した系統盤21及び負荷Fに接続可能とする電路であり、例えば、その素材は、電気を流すものであって、銅、アルミニウム、銀、金、ニクロム等の導体や、この導体を絶縁物で覆ったケーブル、一般的な電線などを含み、電気機器用ビニル絶縁電線などであっても良い。
分岐電路24(換言すれば、発電接続機器23)は、上述した変圧器F1を介すことなく、負荷Fに配線用遮断器(MCCB)24’のみを介して接続しても良く、その他、主電路Mに接続可能とされても構わない(この場合、分岐電路24における電位は、主電路Mや系統Kにおける電位と同じ高電圧(6600Vや、22000V、3300V等)となる)。
つまり、分岐電路24の一端側は、負荷Fに直接接続されたり、又は、主電路M(系統盤21と負荷Fの間の何れかの箇所の電路等)に接続され、分岐電路24の他端側は、発電システム22の出力側(変圧器27の出力側(低圧側))に接続されても良い。尚、分岐電路24は、1つの電力プラント20において、複数存在しても良い。
【0125】
<発電接続機器23における他の機器>
発電力計は、発電力を測定する電力計であって、発電接続機器23として備えられていても良い。
ここで、発電力とは、後述する発電システム22から出力される電力であり、発電電力であるとも言える。
【0126】
発電力計は、発電力を測定できるのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、上述した系統盤21に内蔵された計器用変成器21bの低圧側と接続可能で、且つ、分岐電路24に設けられた後述する発電変成器35の出力側と接続されていても良い。
このような発電力計は、例えば、後述する発電変成器35に接続された過電流継電器(OCR、Over Current Relay、謂わば、発電OCR)や、この過電流継電器に接続された電流計(謂わば、発電電流計であり、上述した電流センサ計測機1でも良い)、この電流計の出力側と上述した計器用変成器21bの低圧側に接続された電力計(狭義の発電力計とも言え、上述した電流センサ計測機1でも良い)、この電力計からの計測値をデジタル化等して制御部28へ出力する出力部も有する構成であっても良い。
【0127】
発電力計で測定される発電力の値と、上述した電流センサ計測機1で測定される受電力に基づいて、後述する制御部28によって、後述するパワーコンディショナ26からの出力が制御される。
尚、後述する発電システム22における変圧器27の出力側(高圧側)と、上述した分岐電路24が接続されることとなり、この場合、変圧器27からの出力である発電力計の測定値を、発電システム22から出力される発電力とする(とみなす)こととなる。
又、制御部28が後述する配電盤31等の内部に設けられている場合は、発電力計で測定された発電力の値は、通信ケーブル1A等による有線か、無線によって、制御部28へ出力されても良い。
【0128】
発電遮断器34は、分岐電路24(つまり、発電システム22と系統Kの間)を遮断する高圧交流負荷開閉器(LBS、Load Break Switch )等の遮断器である。
発電遮断器34は、分岐電路24を遮断するのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、メンテナンス性の向上のため、前後方向に回動可能となっていても良く、後述する制御部28(又は、電流センサ計測機1)からの信号によって、後述するコンデンサ引き外し電源装置や、引外しトリップコイル等を介して、遮断する構成としても良い。
この発電遮断器34や上述した系統遮断器21a等を遮断することで、発電システム22から発電力が出力されなくなる、又は、系統盤21から系統Kへ電流が流れ込まなくなるとも言える。
【0129】
発電接続機器23には、その他、コンデンサ引き外し電源装置や、ケーブルブラケットが設けられていても良い。
更に加えて、発電接続機器23には、不足電力継電器が設けられていても良い。
【0130】
発電接続機器23におけるコンデンサ引き外し電源装置(CTD、Condenser Trip Device )は、交流入力電圧を整流しコンデンサに放電した際のエネルギーを利用して、高圧交流負荷開閉器や真空遮断器などの引き外しを行う装置であって、このコンデンサ引き外し電源装置によって、上述した発電遮断器34で分岐電路24の遮断が行われる。
この場合、コンデンサ引き外し電源装置は、後述する制御部28(又は、電流センサ計測機1)からの信号を受けて、発電遮断器34によって分岐電路24を遮断していると言える。
【0131】
<発電システム22>
図13等に示したように、本発明に係る発電システム22は、発電を行う装置であって、その出力側が、上述した発電接続機器23や電流センサ計測機1を介して、上述した系統盤21及び負荷Fに接続可能な装置である。
発電システム22は、発電を行うのであれば、その構成に特に限定はないが、例えば、後述する太陽電池25’にて発電する太陽光発電システム22’であったり、風力、波力(潮力)、水力、火力、地熱等によって回転されるモータ(発電機)にて発電する発電システムや、電力を発生し得る装置であれば、太陽電池25’だけを意味するなど何れであっても良い。
【0132】
尚、風力発電システム等におけるモータは、交流モータや直流モータの何れでも構わない。
発電システム22は、発電部25と、パワーコンディショナ26と、変圧器27と、制御部28を備えていても良い。
【0133】
このような発電システム22は、発電接続機器23や電流センサ計測機1を介して、上述した系統盤21及び負荷Fに接続される。
以下、発電システム22は、主に太陽光発電システム22’であるとして述べる。
【0134】
<太陽光発電システム22’など>
図13等に示したように、太陽光発電システム22’は、後述する発電部25、パワーコンディショナ26や変圧器27、配電盤支持体31’等を備えた配電盤31を有していても構わない。
太陽光発電システム22’においては、上述した配電盤31が、上述した発電接続機器23や電流センサ計測機1、系統盤21、配電ケーブル等を介して、鉄塔や電柱等を末端とする系統Kに接続されていても良い。
【0135】
太陽光発電システム22’は、太陽電池25’等の発電部25や、配電盤31などを、それぞれ複数有していても良い。
更に、太陽電池25’が複数の場合、太陽光発電システム22’は、複数の太陽電池25’のうち所定数ごとと導通する複数の接続箱(遮断器等付き)を有していても構わず、各配電盤31は、これら複数の接続箱と導通することとなるが、この接続箱の機能が配電盤31に内蔵されていても良く、この場合、各配電盤31は、複数の太陽電池25’のうち所定数ごとと直接導通することとなる。
【0136】
太陽電池25’等の発電部25、配電盤31などは、設置する土地の広さ・形状に応じて配列するが、例えば、1つの配電盤31(各パワーコンディショナ26当たり)の発電力を、例えば、100kW以上180kW以下としたり、50kW以上120kW以下、30kW以上50kW以下(又は、50kw未満)とし、この配電盤31を複数台設けた太陽光発電システム22’としても良い。
尚、配電盤31としての重量も、特に限定はないが、例えば、0.1トン以上5.0トン以下、つまり、100kg以上5000kg以下であっても良く、好ましくは150kg以上2000kg以下、更に好ましくは200kg以上1000kg以下(350kgなど)であっても構わない。
【0137】
<発電部25>
図13等に示したように、発電部25は、実際に発電を行う部分であって、発電システム22が太陽光発電システム22’であれば、太陽電池25’が発電部25であり、発電システム22が風力等によって回転されるモータにて発電する風力発電プラント等であれば、モータが発電部25である。
【0138】
<太陽電池25’>
図13等に示したように、太陽電池25’は、パネル状(平板状)等であっても良く、光が照射されることによって、正極(+極)と負極(-極)の間に直流電力を発生し、発生する電力の平均は、100W以上400W以下(例えば、250W)である。
これらのうち、ある太陽電池25’の+極に別の太陽電池25’の-極を接続し、別の太陽電池25’の+極にまた別の太陽電池25’の-極を接続し、以下、これを繰り返して、複数枚(例えば、5~20枚)の太陽電池25’を直列に接続して、1本の太陽電池ストリングとなる。
【0139】
このように、複数枚の太陽電池25’が直列に繋がった太陽電池ストリング全体としての+極(電力出力端)と、-極(グランド端)の間の電圧は、各太陽電池25’で発生された直流電圧の和であって、天候、時刻や、各太陽電池25’の劣化、故障、設置位置のズレなどで変動するが、200V以上1500V以下となる。
又、太陽電池ストリングの電力出力端から出力される電力は、各太陽電池25’の電力の和であって、500W以上6000W以下(例えば、出力電力が250Wの太陽電池25’を14枚接続した場合、3500W=3.5kW)となる。
【0140】
ここで、太陽電池25’を直列に接続するということは、それらの太陽電池25’のうち1つでも不具合のある太陽電池25’が発生すると、その太陽電池25’において電流が遮断されてしまい、他の太陽電池25’により発電された電力を出力することが困難となる。
そのため、直列に接続された太陽電池25’ごとに、バイパスダイオード(図示せず)を設けることで、不具合の発生した太陽電池25’を、電流が、バイパス(迂回)するように構成される。
【0141】
尚、このバイパスダイオードは、太陽電池25’に対して、その-極から+極へ電流が流れる向きに並列に接続され、詳しくは、バイパスダイオードのカソード(陰極)が、太陽電池25’の+極に接続され、バイパスダイオードのアノード(陽極)が、太陽電池25’の-極に接続される。
このような太陽電池25’は、架台を介して設置面に設置されていても良い。
【0142】
太陽電池25’(又は架台)の設置面は、上述した太陽光発電システム22’自体を設置する設置面のことであって、太陽電池25’を設置できるのであれば、何れの面であっても良いが、例えば、ゴルフ場跡地や山間部の土地、空き地、休耕地、農地等、土のある地面、建物の屋根や屋上、壁等であっても良い。
尚、太陽電池25’の設置面は、上述した系統盤21の設置面や、負荷Fと同じ設置面であったり、系統盤21や負荷Fとは異なる設置面であっても良い。
又、架台は、太陽光発電システム22’の発電量を上げるため、太陽電池25’を所定方向(例えば、南へ行くほど低くなるよう)に傾けて支持しても良く、その角度は、十分な発電量を得られるのであれば、何度でも良いが、例えば、10度や5度などである。
【0143】
<パワーコンディショナ26>
図13等に示したように、パワーコンディショナ26は、上述した太陽電池25’など外部からの直流電流や、風力発電システムの交流モータなどからの交流電流を、系統Kの電圧及び位相等に合わせた交流電力に変換して出力する機器である。
パワーコンディショナ26は、太陽電池25’等からの直流電流等を交流電流(例えば、100V以上440V以下等)に変換するインバータ装置と、このインバータ装置が変換する交流の電圧や周波数を制御する制御部と、気中遮断器(ACB)等を備えていても良い。
【0144】
パワーコンディショナ26は、これらのインバータ装置や制御部、遮断器等が内蔵された筐体には、その内部の空気を逃がす回転ファン状の送風手段が設けられていても良い。
尚、このようなパワーコンディショナ26は、略してパワコン26とも呼ばれる。
【0145】
パワーコンディショナ26は、後述する制御部28からの信号によって、当該パワーコンディショナ26から出力される発電力を、所定の値(目標上限値など)に制限(抑制)するように制御される(謂わば、「電流センサ計測機1等からの信号によって、当該パワーコンディショナ26における変換を停止する構成としても良い(このように変換を停止することで、パワーコンディショナ26から発電力が出力されなくなるとも言える)。
尚、パワーコンディショナ26の数は、上述したように、1又は複数であっても良い。
パワーコンディショナ26が複数である場合、上述した電流センサ計測機1等からの信号によって、パワーコンディショナ26の変換を停止する際には、一度に全てのパワーコンディショナ26の変換を停止しても良いし、まずは少なくとも一部のパワーコンディショナ26の変換を停止しても良い。
【0146】
パワーコンディショナ26は、後述する変圧器27等を有した配電盤31とは別の筐体(パワコン筐体)に内蔵された状態で、当該配電盤31の配電盤支持体31’に設けられていたり、パワコン筐体に内蔵された場合には、1つの太陽光発電システム22’(の太陽電池25’の下方等)に、複数のパワコン筐体(つまり、パワーコンディショナ26)が分散して設けられていても構わない。
【0147】
<変圧器27>
図13等に示したように、変圧器27は、上述した1又は複数のパワーコンディショナ26からの交流電流を、より低圧な交流電流に変圧(降圧)する変圧器(謂わば、降圧変圧器)である。
この変圧器27は、後述する配電盤31における交流電流をより低圧な交流電流に変圧するのであれば、何れの構成でも良いが、例えば、乾式であって、変圧器筐体によって覆われ、配電盤支持体31’に取り付けていても構わない。
【0148】
又、変圧器27は、電力プラント20全体としては、上述した分岐電路24(負荷Fとパワーコンディショナ26との間の電路、又は、主電路M等とパワーコンディショナ26との間の電路)に設けられているとも言える。
変圧器27からの出力(謂わば、発電力)は、配線用遮断器(MCCB)を介して、直接、負荷Fに接続されていても良い。
変圧器27は、変圧器筐体の側面下部に、パワーコンディショナ26等からのケーブルを引き込む孔が設けられていても良く、変圧器筐体の前面及び後面の下部は開放されており、この開放部分から、冷却のための空気を取り入れ、変圧器筐体と、その上蓋との隙間から温まった空気を抜いても構わない。
変圧器27は、配電盤31外等からの交流電流(例えば、100V以上440V以下等)を、負荷Fが消費するのに適したより低圧な交流電流(例えば、200V等)に変換しても良い。
【0149】
変圧器27は、鉄心(磁心)の組み方によって、より高さを低位としつつ十分な容量を持っていても良く、このような変圧器27の具体的な高さは、特に制限はないが、例えば、1500mm以下(900mm以上1500mm以下)であっても良く、好ましくは1400mm以下(900mm以上1400mm以下)、更に好ましくは1200mm以下(95mm以上1200mm以下)、より好ましくは1150mm以下(950mm以上1150mm以下、1100mmなど)であっても良い。
変圧器27の容量も、特に制限はないが、例えば、1kVA以上500kVA以下、好ましくは10kVA以上200kVA以下、更に好ましくは20kVA以上100kVA以下であっても良い。
【0150】
このような変圧器27は、例えば、三相3線(3φ3W)で、100V以上440V以下等を、200V等に降圧する構成であっても良い。
変圧器27の数も、上述したように、1又は複数であっても良い。
変圧器27は、1つの太陽光発電システム22’(の太陽電池25’の下方等)に、複数の変圧器27が分散して設けられていても構わない。
ここまで述べた発電システム22におけるパワーコンディショナ26及び/又は系統盤21を制御する制御部28を、以下に述べる。
【0151】
<制御部28>
図13等に示したように、制御部28は、上述したパワーコンディショナ26及び/又は系統盤21を制御する部分である。制御部28は、例えば、後述する配電盤31であれば、キャビネット32内に設けられたスマートロガーなどや、その他、シーケンサ等であっても良い。
制御部28は、上述した系統Kから系統盤21へ受電される受電力と、上述した発電システム22から出力される発電力との和を、負荷Fの消費電力であるとして、発電システム22から出力される発電力(パワーコンディショナ26の出力とも言える)を制御しても良い。
尚、制御部28は、パワーコンディショナ26の出力を制御する(パワーコンディショナ26に出力目標値を与える)際には、上述した変圧器27における変圧ロス(昇圧ロスとも言える)等の電力ロス分を考慮して、実際の発電力(発電力計が設けられた変圧器27の高圧側(出力側)における電力)の目標値である発電目標値より、少し高めの出力目標値をパワーコンディショナ26に与えても良い。
又、制御部28がパワーコンディショナ26に出力目標値を与える時間間隔(目標付与間隔)は、所定の時間毎に与えられていても(所定の目標付与間隔でも)良いが、例えば、0.1秒毎や0.25秒毎、1秒毎、5秒毎など、目標付与間隔が0.1秒以下であったり、0.05秒であっても構わない(ここで、目標付与間隔は、後述するサンプリングタイムより長い又は同じ長さであっても良い)。
【0152】
又、制御部28は、上述した電流センサ計測機1で検出される電流値等が所定の閾値より大きくなると、上述したパワーコンディショナ26の変換を停止したり、上述したパワーコンディショナ26から系統Kまでの電路における何れかの遮断器(発電遮断器34や系統遮断器21a等)を遮断しても良い。
尚、パワーコンディショナ26の変換を停止した場合には、当該変換停止を再開する際に、パワーコンディショナ26からの出力を系統Kの電圧及び位相等に合わせる必要はないため、パワーコンディショナ26から系統Kまでの電路における何れかを遮断した場合と比べて、電力プラント20の復帰がより短時間で・より手間なく行うことが可能となる(システム復帰の短時間化・容易化」)とも言える。
【0153】
この他、電流センサ計測機1が制御部28に含まれるとも言える。
制御部28は、電力プラント20内であれば、何れに設けられていても良いが、例えば、後述する配電盤31に設けられていても良い。
以下は、この制御部28や、ここまで述べたパワーコンディショナ26や変圧器27、配電盤支持体31’、そして、上述した電流センサ計測機1等を備えた配電盤31について述べる。
【0154】
<配電盤31、配電盤支持体31’>
図13等に示したように、本発明に係る盤の1種である配電盤31は、配電盤支持体(配電盤筐体や配電盤フレーム体とも言える)31’と、上述したパワーコンディショナ26と、上述した変圧器27と、上述した制御部28、そして、上述した電流センサ計測機1等を有する盤であると言える。よ
配電盤31では、配電盤支持体31’に対して、パワコン筐体に内蔵されたパワーコンディショナ26と、変圧器筐体に覆われた変圧器27が取り付けられ、キャビネット32に内蔵された電流センサ計測機1と制御部28等が設けられ、キャビネット32内には、発電力計も設けられていても良い。
【0155】
配電盤31は、キャビネット32内に、上述した電流センサ計測機1が複数台設けられていたり、その他、地絡過電圧継電器(OVGR、Over Voltage Ground Relay )33や、配線用遮断器(MCCB、発電遮断機34であるとも言える)、通信機器(ルータなど)、無停電電源装置(UPS)、コンセントなどを有していても良い。
尚、地絡過電圧継電器33は、系統盤21内で、零相検出器(ZPD、Zero Phase potential Device )21zを介して、主電路M等に接続されていても良い。
又、1つの太陽光発電システム22’における配電盤31(つまり、配電盤支持体31’)の数も、上述したように、1又は複数であっても良いが、上述したパワーコンディショナ26や変圧器27等の数と同じ数であっても構わない。
配電盤31は、1つの太陽光発電システム22’(の太陽電池25’の下方等)に、複数の配電盤31が分散して設けられていても構わない。
【0156】
<第2実施形態の電力プラント20>
図14は、本発明の第2実施形態に係る電力プラント20を示している。
この第2実施形態において第1実施形態と最も異なるのは、容量が300kVA以下の高圧受電を行うLBS受電タイプ(高圧遮断器(VCB)21aの代わりに、高圧交流負荷開閉器(LBS)21a’を有すると同時に、断路器21e、計器用変流器21f、高圧交流負荷開閉器F2等を有さないタイプ)である点である。
【0157】
又、第2実施形態でも、電流センサ計測機1における電流センサ部2が、直接、系統Kから負荷Fまでの主電路M等(特に、系統盤21内で計器用変圧変流器21hと系統Kの間の電路)に取り付けられている。
その他の電力プラント20や、電流センサ計測機1、配電盤31、発電システム22、発電接続機器23、発電部25、パワーコンディショナ26、変圧器27、制御部28等の構成、作用効果や使用態様は、第1実施形態と同様である。
【0158】
<第3実施形態の電力プラント20>
図15は、本発明の第3実施形態に係る電力プラント20を示している。
この第3実施形態において第1、2実施形態と最も異なるのは、容量が50kW未満の低圧動力受電タイプ(高圧遮断器(VCB)21aや、高圧交流負荷開閉器(LBS)21a’、計器用変圧変流器21hの代わりに、配線用遮断器(MCCB)21a”、取引用メータ21h’を有すると同時に、零相検出器21z、地絡過電圧継電器33、降圧変圧器F1等を有さないタイプ)である点である。
【0159】
又、第3実施形態では、計器用変圧変流器21hと系統Kの間の電路において、柱上変圧器(降圧変圧器)K’を有していると同時に、電流センサ計測機1における電流センサ部2が、計器用変圧変流器21hと配線用遮断器(MCCB)21a”の間の電路に取り付けられている点等も、第1、2実施形態とは異なっている。
その他の電力プラント20や、電流センサ計測機1、配電盤31、発電システム22、発電接続機器23、発電部25、パワーコンディショナ26、変圧器27、制御部28等の構成、作用効果や使用態様は、第1、2実施形態と同様である。
【0160】
<第4実施形態の電力プラント20>
図16は、本発明の第4実施形態に係る電力プラント20を示している。
この第4実施形態において第1~3実施形態と最も異なるのは、配電盤31の代わりに、発電接続盤41を、系統盤21に接続している(謂わば、系統盤21に後付けしている)点である。
【0161】
<発電接続盤41、発電接続盤支持体41’>
図8に示したように、発電接続盤41は、上述した発電接続機器23や電流センサ計測機1を、その発電接続盤支持体41’(発電接続盤筐体41’)に内蔵しており、この発電接続盤41内には、既存の系統盤21及び負荷Fに発電システム22を接続して、当該電力プラント20の使用者が発電システム22発電した電力を負荷Fで自ら消費する「自家消費」を行うために必要な機器を集約しているとも言える。
発電接続盤41は、既存の系統盤21及び負荷Fに発電システム22を接続し且つ発電接続機器23が発電接続盤筐体41’に内蔵されているのであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、分岐電路24や、電流センサ計測機1、計器用変成器(VT)、高圧交流負荷開閉器(LBS)34、発電変成器35などを備えていても良い。
【0162】
尚、この高圧交流負荷開閉器(LBS)34は、発電遮断器34であるとも言える。
又、1つの発電接続盤41(発電接続盤筐体41’)は、2つの電流センサ計測機1を内蔵しても良く、この場合、一方の電流センサ計測機1(逆電力等用の電流センサ計測機1a)で、上述した逆電力等を検出し、この逆電力に応じて継電動作をするが、他方の電流センサ計測機1(発電力用の電流センサ計測機1b)では、発電力計として発電力を検出しても良い。
又、第4実施形態でも、逆電力等用の電流センサ計測機1における電流センサ部2は、直接、系統Kから負荷Fまでの主電路M等(特に、系統盤21内で計器用変圧変流器21hと系統Kの間の電路)に取り付けられていても良いが、系統盤21における計器用変流器21fの出力側(2次側)の電路21f’に取り付けられていても構わない(図16中の点線参照)。
尚、他方の電流センサ計測機1における電流センサ部2は、分岐電路24に取り付けられる。
【0163】
又、第4実施形態の電力プラント20では、備える機器を配電盤筐体31’に内蔵して、当該機器が露出しない配電盤31を、1又は複数有しており、この配電盤31には、変圧器(昇圧変圧器)や、送電部、集電部等が内蔵され、各配電盤31に、1又は複数のパワーコンディショナ26を介して複数の発電部25(太陽電池25’)が接続されている。
尚、制御部28は、シーケンサであっても良い。
その他の電力プラント20や、電流センサ計測機1等の構成、作用効果や使用態様は、第1~3実施形態と同様である。
【0164】
<その他>
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。電流センサ計測機1や、盤、電力プラント20等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
電流センサ計測機1は、継電部7を有していなくとも良い。
電流センサ計測機1は、上述では、系統盤21の内部や、発電接続盤41の内部に設けられていたが、配電盤31の内部など、電力プラント20の何れかに設けられていても良い。
電流センサ計測機1は、上述した出力部を有していなくとも良い。
【0165】
電流センサ計測機1における電流の定格範囲は、上述では、15A以上1800A以下であるとしたが、当該定格範囲における最小値が、当該定格範囲における最大値の50分の1~150分の1(50分の1や、60分の1、90分の1、120分の1、150分の1など)であれば良いとも言え、例えば、図11等にて示したように、当該定格範囲は、0.750A以上50.000A以下や、1.000A以上50.000A以下、2.000A以上180.000A以下、1.500A以上180.000A以下であったり、その他、当該定格範囲は、0.100A以上5.000A以下や0.200A以上18.000A以下、0.150A以上18.000A以下であったり、0.010A以上0.500A以下や0.020A以上1.800A以下、0.015A以上1.800A以下などであっても構わない。
電流センサ計測機1(電流センサ部2)が取り付けられる電路としては、上述した主電路Mや分岐電路24、計器用変流器21fの2次側(計器用変流器21fからの出力)の電路21f’だけでなく、系統盤21や発電接続盤41、配電盤31、太陽光発電システム22’等の発電システム22、そして、電力プラント20それぞれの内部における何れの電路に取り付けられても良いとも言える。
電流センサ計測機1は、買電盤などの系統盤21の他、特高盤(特高設備)、高圧盤(高圧設備)、低圧盤(低圧設備)、監視盤(監視設備)、制御盤(制御設備)、変電盤(変電設備)、ビルやマンション向け設備や、受電盤(特に、既存の受電盤)、照明分電盤に設けられていても良く、これらの盤は、電流センサ計測機1が設けられたそれらの盤支持体(盤筐体や、盤フレーム体)を有した本発明に係る盤であるとも言える。
【0166】
電流センサ部2における略矩形状コイル4は、開閉型でなくとも良いし、開閉型であっても構わない。
尚、略矩形状コイル4が開閉型である場合、上述した所定の電路Sに対して、当該所定の電路Sを開裂することなく取付け可能となり、検出対象である所定の電路Sを開裂せずとも、自らが開閉することによって、容易に後付けが出来る。
電流センサ部2は、略矩形状コイル4とセンサ筐体10の間に、ポッティング加工が施されていても良く、この加工で使用される樹脂は、ポリウレタン樹脂などであっても構わない。
このポッティング加工により、ホコリや汚れが略矩形状コイル4に付着し難くなり、防水性や防湿性などを有し、センサ筐体10内を樹脂で満たして固定するため、略矩形状コイル4が振動や衝撃に対して強くなるとも言える。
コア部材5の表面には、防錆や絶縁等の塗膜(被膜)が形成されていても良い。
センサ電路11の長さは、特に限定はないが、例えば、100cm以上500cm以下、好ましくは200cm以上400cm以下、更に好ましくは250cm以上350cm以下(300cmや、280cm、320cmなど)であっても良い。
発電プラント20は、蓄電池や燃料電池、ガソリン等の燃料で動く発電機などを有しても良い。
逆電力継電器は、上述した系統盤21の内部以外に、配電盤31の内部であったり、発電接続盤41の内部など、電力プラント20の何れかに設けられていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明の電流センサ計測機や、盤は、太陽光発電システムなどに対して、その発電量や規模に拘わらず利用でき、太陽光発電システム以外に、風力や、水力、波力、地熱等によって回転される発電機(交流モータ等)によって発電するシステムにおいて、計測対象の電路における電流値等の大小に拘わらず、電流計等として使用でき、その他、買電盤等の系統盤の他、特高盤(特高設備)、高圧盤(高圧設備)、低圧盤(低圧設備)、監視盤(監視設備)、制御盤(制御設備)、変電盤(変電設備)、ビルやマンション向け設備や、受電盤、照明分電盤などの発電しない全ての電力プラントなどにも使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
本発明の電力プラントは、太陽光発電システムなどに対して、その発電量や規模に拘わらず利用でき、太陽光発電システム以外に、風力や、水力、波力、地熱等によって回転される発電機(交流モータ等)によって発電するプラントにおいて使用でき、屋外・屋内を問わず利用可能である。
【符号の説明】
【0168】
1 電流センサ計測機
2 電流センサ部
3 計測部
4 略矩形状コイル
5 コア部材
6 補正部
7 継電部
8 筐体
20 電力プラント
21 系統盤
22 発電システム
K 系統
F 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16