IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 平嶋 正芳の特許一覧

<>
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図1
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図2
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図3
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図4
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図5
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図6
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図7
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図8
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図9
  • 特開-飛行体衝突回避装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024040085
(43)【公開日】2024-03-25
(54)【発明の名称】飛行体衝突回避装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/04 20060101AFI20240315BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240315BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240315BHJP
   B64C 13/16 20060101ALI20240315BHJP
   B64D 45/00 20060101ALI20240315BHJP
【FI】
G08G5/04 A
G05D1/02 S
G05D1/10
B64C13/16 Z
B64D45/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022144933
(22)【出願日】2022-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】315005299
【氏名又は名称】平嶋 正芳
(72)【発明者】
【氏名】平嶋 正芳
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181AA27
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF13
5H181FF32
5H181LL04
5H181LL09
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB10
5H301BB20
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301FF11
5H301HH01
5H301LL03
5H301LL06
5H301LL14
5H301LL15
5H301LL16
(57)【要約】
【課題】多数の飛行体が狭い範囲で、任意の方向に飛行している場合、前後左右上下6方向に存在する多数の飛行体の中の任意の2機の飛行体相互間の距離を測定し、衝突の可能性の有無を検出する簡単な手段がない。
【解決手段】2機の飛行体が、それぞれのGPS位置情報と飛行体の機体識別番号を発信し、受信し2機の飛行体の相互の距離を計算するとともに、前後左右上下6方向のカメラ入力画像を用いて、任意の2機の飛行体相互の高度差を測定し、高度差の時間変化をも考慮し衝突の可能性を検出し、衝突回避動作を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の飛行体の機体識別コード(ID)とGPS位置情報を発信する機能と、他の飛行体が発信する当該飛行体の機体識別コード(ID)とGPS位置情報を受信する機能と、前記2個のGPS位置情報から両飛行体間の水平方向の距離を算出する機能と、当該飛行体の画像入力と、自己の飛行体の位置を示す画像を同時に表示装置上に表示し、両飛行体の画像から両飛行体の高度差を算出する機能を備え、GPS位置情報から算出される両飛行体間の水平方向の距離と高度差から両飛行体の距離を算出し、距離が予め定めた数値以下になった時、衝突回避動作を開始することを特徴とする飛行体衝突回避装置。
【請求項2】
機体識別コードとGPS位置情報を用いることなく、他の飛行体の画像を入力し、仮想表示装置上に表示し、画像の大きさの時間変化から、他の飛行体が自己の飛行体に接近しているか、否かを判断し、衝突回避動作を開始することを特徴とする飛行体衝突回避装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2以上の上昇、下降、前進、後退及び左右への方向変換を可能にする推進装置を備えた飛行体相互の衝突を回避する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、いわゆるドローンと称される飛行体が増加し、複数人を運ぶ空飛ぶタクシーのようなものも、検討・開発されている。
【0003】
現在、ドローンは地上から操作されて飛行しているものが多い。しかし、近い将来、自律飛行や自動飛行するものが増加し、人や重量物を運ぶ大型のドローンも増加すると予想される。飛行経路が決められる宅配等の輸送用ドローンと、人を運ぶ空飛ぶタクシ-と農業、林業或いは監視点検用のドローンと、個人が各種目的用途で使用するドローンが混在する時代が予想される。このような状態での簡略化した衝突回避、警告装置は実現されていない。
【0004】
予め決められた経路のみを飛行するドローン、或いは、空中に設けられた飛行路(円柱形或いは角柱形の細長い空間)を、選択して目的地へ飛行する空飛ぶタクシーや宅配等の運送事業者の飛行体については、飛行管理センターを地域毎に設けて、衝突しない経路、時間を各ドローンに割り当てることで事故は防止できる。しかし、農業、林業、観光、構造物管理、個人の趣味等不定期で飛行エリアも不定な場合には、飛行しているドローン(以下自機と記す)と他のドローン(以下他機と記す)の双方が相手を検出し、衝突を自動的に回避できる装置を取り付ける必要がある。
【0005】
他機の位置を検出する方法として、地上を走行する車両の位置検出システムがある。これは、自機からミリ波を発射し、その反射時間を計り、接近の有無を判断するものであるが、道路上で測定するので、主として進行方向の正面の狭い角度の範囲の他の車両を検出できる。しかし、ドローンの場合は、上下、左右、前後6方向に存在する他機を検出せねばならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-121916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、前方方向以外の五方向に存在する他機の位置を検出できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、他機の位置情報を当該他機が発信するGPS位置情報で確認すると共に、カメラ入力画像の時系列変化から他機の接近を検出することを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のGPS位置情報は、他機が自己の位置をGPS位置情報を用いて検出し、当該他機のID情報と合わせて発信し、自機でこれを検出し、自機のGPS位置情報との差異から、他機との距離を測定する。GPS位置情報では高度差を正確に測定する事は困難なため、カメラ入力画像から、他機と自機の高度差を計算し、他機との衝突の可能性を検出する。GPS位置情報検出と自機ID情報を発信できない超小型のドローンに対しても、カメラ入力画像から他機の位置を検出し、衝突を回避することが出来るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は他機の位置をGPS位置情報を用いて検出する実施装置を示した説明図である。(実施例1)
図2図2は他機の位置をディスプレイ上に表示した状態を示す説明図である。(実施例1)
図3図3は上空から自機と他機の位置を見た状態を示す説明図である。(実施例1)
図4図4は機体識別情報(ID)とGPS位置情報及び其の他の情報の配列を表す1パケットの内容を示す説明図である。(実施例1)
図5図5は2機の飛行体の距離の測定例を示す説明図である。(実施例1)
図6図6は飛行体の機能ブロックを示す説明図である。(実施例1)
図7図7は自機と他機の距離の変化をカメラ入力画像のみから検出する装置の動作の説明図である。(実施例2)
図8図8は自機と他機の距離の変化をカメラ入力画像のみから検出する装置の機能ブロックを示す説明図である。(実施例2)
図9図9はカメラの水平方向の入力角度(視野)を示す説明図である。(実施例2)
図10図10はカメラの垂直方向の入力角度(視野)を示す説明図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0011】
他機のGPS位置情報を他機のID情報と合わせて取得することにより、他機との距離を正確に測定し、衝突の危険性を検出し、衝突を回避する装置を実現した。
【実施例0012】
図1は、本発明装置の1実施例の平面図であって、1は自機(ドローン)であり、2A、2B、2C、2Dは自機1の推進装置である。この図(例)では推進装置を4個としているが、それ以上多くても差し支えない。3Fは前方を撮影するカメラ、3Bは後方を撮影するカメラ、3Rは右方向を撮影するカメラ、3Lは左方向を撮影するカメラ、3Uは上方を撮影するカメラ、3Dは下方を撮影するカメラカメラである。4Dはディスプレイである。5は操作者(操縦士又は運転手)の座る座席であり、6A、6B、6C、6D、6Eは乗客の座る座席である。
【0013】
図2は、ディスプレイ4D上に表示される自機と他機との位置関係を示す図である。図2は画像メモリ内の自機、他機の画像を示しており、ディスプレイ4Dに表示した場合を示す。他機と自機の上下方向と、左右方向について表示しており、前後方向については、その差異を表示できない。空飛ぶタクシーのような大型のドローンの場合は操縦席の前面のディスプレイ4Dに表示される図(画像)である。
【0014】
図3はディスプレイに表示されている自機と他機を、上方から見た状況を示す図であり、2次元での位置関係を示す。1は自機であり、前方を飛行する他機21と同一の高さであるので、ディスプレイ4Dには重なって表示される(自機と他機が重なって表示されていることを示すため破線で記載してある)。他機21が自機1より遅い場合は、接近した時に警告がディスプレイ4D上に表示され、又同時にブザー音が発せられる。他機22は自機1と逆方向d2に進むが、水平方向では自機1から少し右に離れており、衝突はしない。安全にすれ違う状態である。他機24は右方向d2に進むので、自機1から離れて行く。他機25は既にすれ違っており、図2に示すように自機1とは高さが異なり、進行方向は自機1と逆のd5である。他機26は左の方から自機1に近づく。高さは自機1と同じで進行方向はd6である。自機1の進行方向d0と交差するが時間がずれている。自機1が前方(図3の紙面で上の方向)へ移動(飛行した)後、他機26が、自機1の飛行路を横切るので衝突しない。
【0015】
他機23は右斜め前方にあり、進行方向はd3である。図2から判る様に高さは異なるが、自機1と他機23が同一平面を飛行していれば、衝突の可能性がある。自機と他機が図3の実線の位置にある時を基準とし、T時間経過後に図3の破線の位置に移動したとすると、自機1の破線の位置1Tと他機23の破線の位置23Tはかなり接近する。GPSの水平方向の位置情報のみで、自機1と他機23との距離を測定していると、自機1と他機23とは衝突の危険性有りと判断することになる。
【0016】
図2に示される高さ方向の情報を併用すれば、自機1と他機23の衝突の可能性が無いことが容易にわかる。自機1の現在位置と他機23の現在位置を具体的な数値例を用いて表示する。自機1は北緯35度20分08秒30で、東経135度33分15秒20にある。他機23は北緯35度20分48秒30で、東経135度33分53秒97にあるものとする。先ず自機1と他機21の水平方向の距離を前記GPS位置情報から計算する。北緯35度での1度は約111キロメートルであるので、1分は約1.850キロメートル、1秒は約30.83メートルである。両者の緯度差は40秒有り、約1233メートルとなる。北緯35での経度1度は約91キロメートル、1分は約1.517キロメートル、1秒は約25.28メートルである。経度差は48.77秒有り、約1233メートルとなる。緯度、経度の数値は計算しやすい数値を選んでいるが、どんな数値であっても支障ない。自機1と他機23の水平距離は「1233の自乗+1233の自乗」の平方根であり、約1744メートルになる。この距離と図2に示されるカメラで撮影した自機1と他機23との角度から、自機1と他機23の高度差を計算出来る。即ち角度を30度とすれば、高さは概算で
1744Tan30度=1744÷1.732=1007
即ち、1007mの高度差があることになる。従って衝突の可能性は少ない。
【0017】
上記説明では、各飛行体が発信する信号について以下のように仮定している。先ず前提として、各飛行体がその位置をGPS信号から検出し、IDと合わせて発信するものとする。IDは16桁とし、各桁の数値はBCD(4ビット)で表すとすれば64ビットになる。緯度、経度は、分の位を2桁、秒の位を2桁で表し、秒以下2桁まで表示すれば1メートル以下まで位置を表せるので、緯度も経度も分以下6桁即ち12桁で表せば良い。度の単位を表示しても、遠く離れていなければ毎秒変化することは無いので、意味が無い。12桁をBCDで表示するには48ビット必要になる。ID16桁64ビットと、緯度及び経度48ビットを図4に示すように配列する。図4ではIDの一部のみ例示してある。ヘッダー16ビットと誤り訂正等其の他の情報を合わせた32ビットの合計160ビットを1パケットとし、1秒間に10回同じ内容で発信するものとする。
【0018】
自機1と他機23が共に時速600キロメートルで飛行しているとすれば、1分間に10キロメートル飛行し、1秒間に約167メートル飛行する。従って自機1と他機23が同一平面を飛行する場合、上述の如く自機1と他機23との距離が1744メートルである。基準時刻において自機1と他機23との角度が図3Bに示すように45度であると仮定して考える。両機の速度が同じなら、図3Bに示すように両機が1233メートル飛行したとき衝突する。衝突までの時間は約7.38秒である。1秒以内に他機23の位置を検出し衝突の可能性を計算し終われば、6秒以上の余裕があり、進行方向、又は飛行高度の両方又は何れか一方を変更して、衝突を回避出来る。いわゆるドローンと呼ばれる飛行体はその飛行速度は時速600キロメートルよりも遅く、半分以下が多いと思われるので、時間余裕は更に増す。
【0019】
IDとGPS位置情報を発信するために使用する周波数を、携帯電話に使用されている周波数帯の隙間、即ち1462.9MHと1475.9MHZの間の13MHZの幅の中とする。これは、送受信、信号処理等に既存の携帯電話の部品、回路等を共用することで、コストを低く抑えるためである。使用する周波数は例えば100MHZ程度より、高ければどの周波数でも良い。図6に示される機能ブロック図中の7の制御部を1GHZのクロックで動作させる。7の中のMPUのクロックも1GHZとする。1パケット160ビットの処理に要する単位時間は、160ナノ秒であり、処理時間を1000倍の160マイクロ秒と見込むと、1秒間に10回即ち100ミリ秒毎に送られてくる位置情報信号の処理時間は1.6ミリ秒で処理できるので、十分な余裕がある。1秒間に100回即ち10ミリ秒毎に送られて来ても処理時間は16ミリ秒であり、時間的余裕は十分ある。以上の例は計算しやすい位置(距離)で行っているが、これ以外の位置関係(高度差を含む)にある2つの飛行体の間の距離と、2つの飛行体の飛行速度から一定時間後の2つの飛行体の位置を計算し、衝突の可能性の有無を判断することは容易に行える。飛行速度が多くの場合は時速300キロメートル程度以下と推定されるので、時間余裕は2倍の12秒以上ある。
【0020】
図3の自機1と他機23の飛行について補足すると、上述の如く自機1と他機23の間の緯度は40秒の差があるので南北方向は約1233メートル、経度は48.77秒の差があるので、東西方向は同じく約1233メートル離れている。飛行速度を毎時600キロメートルとすれば、1分で10キロメートル、1秒で167メートル進む。従って自機1は約7.38秒間に北方向(図3の紙面の上方向を北とする)に約1233メートル飛行する。他機23は約7.38秒間に西方向(図3の紙面上の左を西とする)に約1233メートル飛行する。自機1と他機23とが同一平面を飛行し、基準時刻において、図5の位置関係に有れば自機1と他機23は約7.38秒後にK点に同時に到達し衝突する。GPS位置情報と飛行体のIDを受信し、2つの飛行体の間の距離を計算する時間は1秒以下で十分で有るので、衝突までの時間余裕が約6秒以上有り、衝突回避は容易に行える事は既に延べたとおりである。自機1と他の飛行体との距離の計算についても同様に行える。
【0021】
自機1と他機23の距離が1キロメートル以下になることが予想される場合は、自機1は他機23の進行方向と高度を考慮して、上昇又は下降する。他機23が図2に示すように、自機1と異なる高さで、その高度差が前述のように1007メートル有れば、衝突を回避する必要は無い。しかし、T時間後の位置が図3の破線の位置で、高度差が仮に500メートルに急に減少したとすれば、自機1は飛行方向はそのままで高度を下げる必要がある。いずれにせよ、自機1と他機23の距離が一定値以下になれば、自機の進行方向と高度を変更する必要がある。他機23も同じように方向を変更すると、水平方向は互いに逆に動くが、垂直方向は同じ方向に動くことになるので、上記誤り訂正等32ビット中に、上昇か下降かを示す2~4ビット程度の情報を入れておき、上昇又は下降することを相手に知らせれば、相手がそれを検知して逆の動きをすることが出来る。或いは、運行規約を、進行方向が北向きか東向きなら上昇、南向きか西向きなら下降せねばならぬと決めても良い。誤り訂正等32ビットの中にはこのような用途に割り当てる複数桁が含まれている。
【0022】
次に、自機1と他機22の関係を考えてみる。この場合は、高さが同一で両機の進行が逆だから、衝突の危険性がある。前述のように、両機のGPS位置情報から、両機の距離即ち図3で、上下(地図上で南北)と左右(地図上で東西)の距離が計算出来る。従って、左右(地図上で東西)の距離が一定以上有れば衝突回避動作(操作)の必要はない。将来的には、地上の道路の如く空中に筒状(円柱又は角柱)の飛行路が決められ、自機1と他機22、及び他機25はその筒状の空間内を飛行するので、追突以外を考慮しなくてもよい。他機23が、農業、林業、観光、構造物管理、個人の趣味等不定期で飛行エリアも不定な場合は、上記の如くGPS位置情報とカメラの入力画像から、自機1と他機23が衝突する可能性が有るか無いかを検出し、衝突回避操作をする必要がある。又、操作者(操縦士又は運転手)に警告するため、警報音を発することも必要で有る。自機1の操作がすべて自動化されている場合でも、操作者(操縦士又は運転手)が、搭乗している場合は、警報を発し、手動操作に切り替え衝突回避操作を行う事が望ましい。
【0023】
図3の他機24と他機26が自機1と同じく決められた筒状の空間を飛行している場合は、自機1の飛行している筒状の空間と交差することになる。この場合は、2つの筒状の空間は、一定以上の高度差で交差するので衝突回避の必要はない。図3の例では他機23のみが、農業、林業、観光、構造物管理、個人の趣味等不定期で飛行エリアも不定な飛行体と考えていたが、それ以外の21,22,24,25,26の何れか又はすべてが、不定期で飛行エリアも不定な飛行体であっても同様にGPS位置情報とカメラ入力の高度差情報を用いて衝突の可能性を検知し、回避動作を行う事が出来る。
【0024】
上記衝突回避操作を行う装置を図6の機能ブロック図を用いて説明する。図6で2は飛行の為の推進装置で、例えばプロペラである。図1に示す如く2A,2B,2C,2Dの4個は同じものである。これは4個以上何個でも差し支えない。3はカメラで、図1に示すように、前方撮影用3F、後方撮影用3B、上方撮影用3U、下方撮影用3D、右方撮影用3R、左方撮影用3Lの6個からなる。4Dはディスプレイで、2色以上の着色可能な液晶パネルである。4Kは操作用のキーボードである。マウス、ジョイスティックを併用することも可能である。7はCPUを含む制御部である。メモリ、画像処理専用チップ等を含むものとする。8Rは、GPS信号及び他機の発信するIDと他機の位置情報を受信する受信アンテナ、8Sは自機のIDと位置情報を発信する送信アンテナ、9はアンテナ8R,8Sと制御部7との間のインターフェースである。10は動力源と制御部などを駆動する電池である。電池10から電力を推進装置2へ供給し、飛行するための推進力を発生させる。3は6個のカメラ3B、3D、3F、3L、3R、3Uで、その入力画像を制御部7のMPUで処理し、ディスプレイ4Dに表示する。表示内容は図2に示される。
【0025】
ディスプレイ4D上に表示される自機1と他機21~26の表示については、衝突の危険性があるものを赤色、注意すべきものを黄色、安全なものを緑色で表す。他機21,24,25,26は緑色で表示され、他機22はすれ違うので黄色で表示される。他機23は高さが大きく異なれば緑色、高低差が少なければ黄色、高低差が微少であれば赤色で表示される。他機21と自機とは重なるので、例えば緑色の点滅で表示する。図1の5に座る操作者(操縦士又は運転手)は、この表示を見て、赤色表示の他機が無ければ、休憩モードで待機すればよく、黄色表示の他機が有れば、衝突回避操作にかかれるようスタンバイする。赤色表示の他機が現れれば、警告音が発せられ衝突回避操作を行う。完全自動運転であれば、5に座る操作者は不要で乗客を1名増やすことが出来る。宅配等の輸送の場合は、5に座る操作者に替えて、運転資格の無い配達員が搭乗し、図1の5の席に座ることも可能である。又、6個の座席にすべて荷物を載せることも出来る。
【0026】
制御部7では、受信した他機のGPS位置情報と自機1のGPS位置情報から両者の距離を測定し、接近か遠ざかるかを判断する。また、他機の位置情報から他機と自機1との関係を2次元で表し図2に表示する。図2はディスプレイ4dの表示と同一である。カーソルを他機の画像に合わせると、他機のIDが表示されるようにすることも可能である。キーボード4Kを操作すると、其の内容(キー操作信号)が制御部7で解釈され、例えば自機1が上昇するか、下降するか、或いは右方向に進路を変えるか、左方向へ変えるかの信号を推進装置2へ伝える。電池10は充電型であるが、代わりに軽量小型のガソリンエンジンや燃料電池であっても差し支えない。以上述べた如く構成することにより、飛行体の衝突回避装置を実現できる。
【実施例0027】
図2の実施例は、ID情報や、GPS位置情報を発信する機能を有しない小型のドローンの衝突回避装置の例である。この場合の機能ブロックを図7に示す。小型であるので、カメラ3は前方撮影用の3Fのみであり、ディスプレイ4D,キーボード4Kと発信アンテナ8Sは無い。この実施例では、カメラ入力のみから他機との衝突回避を行う。以下その方法を図7図8図9図10を参照しながら述べる。図9図10はカメラ3Fの入力の範囲(角度)を示す。上下方向は各30度、左右方向は各45度とする。この範囲の他機21,22,23の映像が図7に表示される。図7は第1の実施例の図2に相当するが、第2の実施例ではディスプレイ4Dは無く、図7は制御部7を構成するビデオメモリ内の状態で有り、それを表示する仮想画面である。自機1と他機21、22,23との位置関係は図3と同じとする。カメラ3Fのレンズはスマートフォンに搭載されているのと同等の小型のもので良い。カメラ3Fで撮影した場合、図7に示すように他機21,22,23のみが表示される。他機24,25,26はカメラ3Fのレンズの視野外である。図2では自機1と他機21が重なって表示されたが、図7は制御部7の中のメモリに記録されているカメラ3Fの入力画像を表示する仮想画面だから、自機1は表示されないが、この場合は他機21の位置と同じ位置に自機1がある。
【0028】
図7に表示される他機21,22,23のT時間後の大きさと画面上の位置から衝突の可能性を判断する。基準時間における他機21,22,23の位置を実線で表す。T時間後の他機21,22,23の位置を破線で表す。他機21は小さくなるので、遠ざかる事が判る。自機1の高さを図7のX-Yで表すと他機22の画像は同一高度で大きくなっている。自機1と他機22の距離が図7上で減少していれば、衝突の可能性がある。自機1を上昇又は下降させる事で回避出来る。他機23の画像は大きくなり、かつ高度差が少なくなっているので、衝突の可能性がある。他機22,23の飛行方向を画像の変化から検出する。この検出にMPEG2等のデジタル画像処理における動きベクトル検出を利用することも可能である。衝突回避は、他機22,23の飛行方向に対応して、自機1の飛行方向を上昇させるか下降させるか、又は左方向か右方向へ進路を変更するか、両方同時に行うことにより実施する。第2の実施例の自機1が地上から制御されている場合は、衝突回避は地上からの操作で行うが、自機1が自律飛行又は自動飛行の場合は、制御部7で、図7の画像の変化を読み取り、衝突の可能性の有無を判断し、推進装置2を制御し、衝突の可能性を検出した時点で衝突回避を自動的に行う。
【0029】
図8は、実施例2の機能ブロック図であり、図5から、ディスプレイ4Dとキーボード4Kを除いたものである。但し、図8の3は図5に記載されている3を構成する6個のレンズの中の前方撮影のレンズ3Fのみである。3Fの入力範囲は前述のように、上下各30度、左右各45度である。上下を45度にすることも可能で有るが、上昇、下降で衝突する可能性が、同一平面で衝突する可能性より低いと仮定して30度にしてある。図8において、図5と同じ数字のブロックは図5の同じ数字のブロックと同じ働きをする。上記の説明では、衝突の可能性を検出した時点で衝突回避を行う事を前提にしているが、自動車に搭載されている車間距離測定装置のような距離測定装置を追加して、衝突回避の実施時期を遅らせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
複数の飛行体間の距離を測定し、距離の変化から衝突の可能性を検出し、衝突回避動作を行う事が出来る。
【符号の説明】
【0031】
1 飛行体
2 飛行推進装置
3 カメラ
4 表示装置
5 操縦席
6 乗客席
7 制御部
8 アンテナ
9 インターフェース
10 動力源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10